Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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11.8.1.3 ディスクの初期化

INITIALIZE コマンドを使用してから,バックアップを行うという方法の代わりに,BACKUP コマンドで,一度にディスクの初期化とバックアップを行うことができます。

作業方法

バックアップでディスクを初期化する方法は次の 2 通りあります。


  1. 次の BACKUP コマンドは,DUA1 のボリューム初期化データを使用してディスク DUA2: を初期化する。


    $ BACKUP/IMAGE DUA1: DUA2:
    


    初期化を終えると,BACKUP は DUA1: の内容を DUA2: にコピーし,効率良く DUA2 の既存ファイルを消去する。DUA2: のファイルは連続して書き込まれるので,ディスクのフラグメンテーションが解消される。

  2. 次の BACKUP コマンドは,出力先ディスクのボリューム初期化データを残したまま,イメージ・コピーを行う。


    $ BACKUP/IMAGE DUA1: DUA2:/NOINITIALIZE
    


    DUA1: の内容が DUA2: にイメージ・コピーされ,DUA2 の既存ファイルが効率良く消去される。

  3. 次の BACKUP コマンドは DJA2: を初期化して,既存ファイルを効率良く消去する。


    $ MOUNT/FOREIGN DJA2:
    %MOUNT-I-MOUNTED, USER1 mounted on _DJA2:
    $ BACKUP/IMAGE DUA1: DJA2:DAILY.SAV/INITIALIZE
    


    初期化を終えると,BACKUP は DUA1: のイメージ・バックアップを順編成ディスク・セーブ・セット DUA2:[000000]DAILY.SAV に作成する。使用可能な未使用空間よりセーブ・セットが大きい場合は,次のボリュームを求めるプロンプトを出し,ボリュームがセットされると,初期化を行って,新しいボリュームのマスタ・ファイル・ディレクトリ [000000] にセーブ・セットの残り部分を書き込む。セーブ・セットについては, 第 11.5 節 ,/INITIALIZE 修飾子については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照すること。

11.8.2 ボリュームのマウント

ボリュームをマウントするということは,そのボリュームをシステムから使用できるようにすることです。バックアップの場合, BACKUP は自動的にテープをマウントします。ディスクの方は,その大部分がシステム起動時にマウントされます。この節では,明示的にボリュームをマウントする方法について説明します。

セーブ・セットをディスクに書き込む場合は,標準の Files--11 または順編成ディスクのどちらの形式でセーブ・セットを書き込むのか決めてください。

作業方法

  1. 次の形式で SHOW DEVICE コマンドを入力して,装置がマウント済みかどうか調べる。


     
    SHOW DEVICE 装置名 
    

  2. 次の形式で MOUNT コマンドを入力する。


    MOUNT [/FOREIGN]   装置名    [ ボリューム・ラベル ] [ 論理名 ] 
    

    装置名 マウントするボリュームがセットされている装置名。
    ボリューム・ラベル INITIALIZE コマンドでボリュームに設定した英数字からなる識別コード。ディスク・ボリューム・ラベルの最大の長さは 12 文字,磁気テープ・ボリューム・ラベルの最大の長さは 6 文字。 /FOREIGN 修飾子を使用する場合,このパラメータを指定する必要はない。
    論理名 ボリュームに対応付ける 1 文字から 255 文字の英数字からなる名前 (省略可)。



$ SHOW DEVICE MU
Device                  Device           Error    Volume         Free  Trans Mnt 
 Name                   Status           Count     Label        Blocks Count Cnt 
DAD$MUA6:               Online               0 
MOM$MUA6:               Online               0 
FRED$MUA6:              Online               0
$ MOUNT/FOREIGN FRED$MUA6: TEST DRIVE1
%MOUNT-I-MOUNTED, TEST mounted on _FRED$MUA6:

FRED$MUA6: にテープ・ボリュームをマウントし,論理名として DRIVE1 を設定しています。

11.8.3 ボリュームのディスマウント

/RELEASE_TAPE 修飾子の指定がない場合,BACKUP がバックアップ対象の最後のボリュームをディスマウントすることはありません。したがって,ボリュームに対する操作を終えたら,ディスマウントを行う必要があります。

作業方法

次の形式で DISMOUNT コマンドを使用します。


DISMOUNT  装置名 


次は,MUB6: 装置からテープをディスマウントしている例です。


$ DISMOUNT MUB6:

この DISMOUNT コマンドは MUB6 のテープをディスマウントして,アンロードします。アンロードされたテープは装置から取り出すことができます。テープをディスマウントするだけで,アンロードしたくない場合は,次のコマンドを入力してください。


$ DISMOUNT/NOUNLOAD MUB6:

11.9 OPCOM とボリューム

スタンドアロン型のワークステーションを使用しているか,設備的にディスクやテープ装置へのアクセスが簡単な場合,たいてい,システム管理者は自分で自分のボリュームをマウントし,初期化することができます。しかしながら,サイトによっては,オペレータが代わってそれらの作業を行うところもあります。使用したい装置のある場所が離れた場所にあったり,あるいはボリュームを操作するのに必要な特権がない場合は,オペレータの支援が必要です。

オペレータと交信する必要があるサイトでは,サイト別プロシージャの内容についてオペレータに問い合わせてください。システムのカスタマイズ方法によって,オペレータ通信マネージャ (OPCOM) が必要になることがあります。OPCOM は,オペレータ支援を要請することを可能にするシステム・プロセスです。また OPCOM には,オペレータが要請に応答する機能も用意されています。

11.9.1 オペレータ支援の要請

注意

サイト別プロシージャの内容についてオペレータに問い合わせてください。 OPCOM が使われていなかったり,この節で紹介する例と使用方法が異なっていたりすることがあります。

自分の代わりにオペレータにテープをマウントしてもらいたい場合は, OPCOM を使用してオペレータにテープのマウントを要請します。

作業方法

オペレータにテープのマウントを要求する場合は,REQUESTS/REPLY または REQUEST/TO コマンドを使用します。

オペレータ支援を要求したのだが,オペレータがいないという場合は,次のメッセージが表示されます。


%MOUNT-I-NOOPR, no operator available to service request 

このメッセージは,オペレータによってオペレータ・ターミナル機能が無効にされていることを意味します。要求を強制終了する場合は,Ctrl/Z を押します。

BACKUP や MOUNT コマンドでは,/[NO]ASSIST 修飾子を使用することができます。


  1. オペレータにテープのマウントを要求する場合は,次のようなコマンドを使用する。


    $ REQUEST/REPLY "Is anyone using drive MUA12?"
    %OPCOM-S-OPRNOTIF, operator notified, waiting...12:21:12.46
    %OPCOM-S-OPREPLY, PLEASE DIRECT YOUR REQUEST TO THE TAPE OPERATOR 
    2-APR-2000 12:26:13.12. request 2 completed by operator OPA0
    $
    


    /REPLY 修飾子は,オペレータが応答するときに要求を特定できるよう,要求にユニークな番号 (この例では 2) を割り当てる。この場合,オペレータからの応答があるまで,次のコマンドを入力することはできない。

  2. 次は,/TO 修飾子を使用して特定のオペレータに要求を送っている。


    $ REQUEST/TO=TAPES "Is anyone using drive MUA12?"
    %OPCOM-S-OPRNOTIF, operator notified, waiting...12:40:11.32
    %OPCOM-S-OPREPLY, I'M DONE GO AHEAD 
    2-APR-2000 12:45:26.18. request 5 completed by operator OPA0
    $
    

11.10 BACKUP セーブ・セット内容の表示

BACKUP では,セーブ・セットとそこに含まれるファイル情報を取得して,ターミナルに表示したり,ファイルに出力したりすることができます。

BACKUP はそれ自身にのみ解釈可能な形式でセーブ・セットを書き込むため,セーブ・セットを復元せずにセーブ・セットの内容を確認する方法は,一覧出力しかありません。一覧出力機能は,他の BACKUP 機能と組み合せることができます。

省略時の設定では,セーブ・セットの一覧には,各ファイルの実際のブロック数をはじめとして,DCL の DIRECTORY/DATE/SIZE コマンドで提供されるのと類似したセーブ・セットのファイル情報が含まれます。

また BACKUP の一覧出力では,BACKUP ジャーナル・ファイルの内容を一覧出力することもできます。BACKUP ジャーナル・ファイルは,修飾子/JOURNAL[= ファイル指定 ] を使用して保存を行ったときに作成されるファイルであり,BACKUP 保存に関するディスク記録と,保存ファイルに関するファイル指定情報が含まれます。 BACKUP ジャーナル・ファイルの作成と一覧出力についての詳細は, 第 11.13.4 項 を参照してください。

作業方法

BACKUP セーブ・セットの内容を一覧出力する手順は次のとおりです。

  1. セーブ・セットを含むメディア・ボリュームを装置にセットする。

  2. ボリュームがディスクの場合は, 第 11.8.2 項 の説明に従ってディスクをマウントする。テープの場合は,BACKUP によって自動的にマウントされる。

  3. 『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』に示されている形式で BACKUP/LIST コマンドを入力する。コマンドに /REWIND 修飾子を指定すると,セーブ・セットの検索前に,テープが先頭まで巻き戻される。ボリュームに含まれるすべてのセーブ・セットの一覧をリストしたい場合は,装置指定にアスタリスク・ワイルドカード文字の (*) を含めること。
    磁気テープ上のセーブ・セットの内容の一覧をリストする場合には,セーブ・セット名を指定する必要はない。単に BACKUP/LIST コマンドに,テープがセットされている装置の装置名を指定すればよい。BACKUP は磁気テープ上の次のセーブ・セット読み取り,そのセーブ・セットの最後になると,処理を中止する。コマンドに /REWIND 修飾子がないかぎり,BACKUP が自動的にテープの始まりマーカーまでテープを巻き戻すことはないので,次のセーブ・セットを調べたい場合, BACKUP/LIST コマンドを繰り返せばよい。テープに次のセーブ・セットがない場合,BACKUP は次のエラー・メッセージを出す。


    %BACKUP-F-OPENIN, error opening MUA0:[000000].; as input 
    -SYSTEM-W-NOSUCHFILE, no such file 
    


  1. 装置 MIA0: にある, 2MAR1555.BCK という磁気テープ・セーブ・セットの情報を表示したい場合は,次のコマンドを入力する。


    $ BACKUP/LIST MIA0:2MAR1555.BCK/REWIND
    Listing of save set(s)
    Save set:          2MAR1555.BCK
    Written by:        POLYANNA 
    UIC:               [000200,000207]
    Date:              21-MAY-2000 09:36:14.68
    Command:           BACKUP/LOG [USER.SAVE] MIA0:2MAR555.BCK/REWIND/LABEL=WKY201
               
    Operating system:  OpenVMS Alpha Version 7.3
     
    BACKUP version:    7.3
    CPU ID register:   08000000
    Node name:         _SUZI::
    Written on:        _MIA0:
    Block size:        8192
    Group size:        10
    Buffer count:      3
     
    [USER.SAVE]ANOTHER.DAT;1                  1  18-MAY-2000 14:10
    [USER.SAVE]LAST.DAT;1                     1  18-MAY-2000 14:11
    [USER.SAVE]THAT.DAT;1                     7  18-MAY-2000 14:10
    [USER.SAVE]THIS.DAT;2                     1  18-MAY-2000 13:44
    Total of 4 files, 10 blocks
    End of save set
    

  2. 次のコマンドはテープを先頭まで巻き戻して,ボリューム MIA0: のすべてのセーブ・セットの一覧を表示する。


    $ BACKUP/LIST MIA0:*.*/REWIND
    

  3. 次は,磁気テープに対して保存と一覧出力の両方を行っている例である。


    $ BACKUP/LIST=MYBACK.DAT [PRAMS] MTA0:2MAR1555.BCK/LABEL=DLY201
    


    BACKUP はボリューム・ラベルが DLY201 か調べ,ディレクトリ [PRAMS] の内容を 2MAR1555.BCK というセーブ・セットにコピーする。そして修飾子 LIST があるので,保存しながら,MYBACK.DAT ファイルにセーブ・セット情報を書き出す。

11.11 マルチボリューム・バックアップ

BACKUP でデータを保存すると,セーブ・セットが複数のボリュームにまたがり,マルチボリュームのセーブ・セットになることがあります。そうした場合,BACKUP は最初のボリュームに書き込めるだけのデータを書き込み,続いて,そのボリュームをディスマウントします。この後, BACKUP が行う処理は,BACKUP コマンド行に複数の装置が指定されているかどうか,あるいはテープ・ローダが使用されているかどうかによって異なります。


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