Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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24.8.5 クロス・アーキテクチャ・ブート

LAN の機能拡張によって, OpenVMS Cluster システム内でのクロス・アーキテクチャ・ブートが可能になりました。 VAX ブート・ノードは,Alpha サテライトに対してブート・サービスを提供することができ, Alpha ブート・ノードは VAX サテライトに対してブート・サービスを提供することができます。なお,各アーキテクチャとも,インストールおよび更新に使用するシステム・ディスクを持つ必要があることに注意してください。

24.9 LAN MOP ダウンライン・ロード・サービスの管理

LANACP LAN サーバ・プロセスは, LAN 運用時ノード・データベースおよびデバイス・データベースを保守します。 LANCP ユーティリティには,次の機能を持つコマンドが用意されています。

カウンタおよび状態情報は,ノードおよび装置ごとに保守されます。カウンタ情報には,送受信されたバイトおよびパケット数,送信エラー,プロトコル違反やタイムアウトなどの論理エラー,ロード要求数が含まれます。状態情報には,最終ロード時刻および最終ロード状態が含まれます。

24.9.1 MOP ダウンライン・ロード・サービスの許可

MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。


SET DEVICE 装置名/DLL=ENABLE 

このコマンドでは,装置名パラメータで LAN コントローラの装置名を指定します。

このコマンドについての詳細は, 第 24.6.2 項 を参照してください。

24.9.2 MOP ダウンライン・ロード・サービスの禁止

MOP ダウンライン・ロード・サービスを禁止するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。


SET DEVICE 装置名/DLL=DISABLE 

このコマンドでは,装置名パラメータで LAN コントローラの装置名を指定します。

このコマンドについての詳細は, 第 24.6.2 項 を参照してください。

24.9.3 状態データとカウンタ・データの表示

MOP ダウンライン・ロード状態を表示するには,次の形式で SHOW DLL コマンドを入力します。


SHOW DLL 

次の例は,特定のノードについてのカウンタ情報を示しています。


LAN MOP DLL Status: 
   EXA enabled in exclusive mode for known nodes only, data size 1482 bytes 
   FXA disabled 
 
       #Loads   Packets        Bytes     Last load time       Last loaded 
       ------   -------        -----  --------------------  ----------------- 
   EXA      5      1675      4400620  10-JAN-2001 10:27.51  GALAXY 
   FXA      0         0            0       

このノードには EXA (DEMNA) および FXA (DEMFA) という 2 つの LAN 装置があります。 MOP ダウンライン・ロード・サービスは,EXA 上で排他的モードで許可されます。

LANACP ノード・データベースで定義されているノードに限って,要求が応答されます。ロード・メッセージ内のイメージ・データのサイズは 1482 バイトです。 5 つのダウンライン・ロードがあり,最後のダウンライン・ロードは,ノード GALAXY 上で 10:27 に起こりました。最終的に,FXA に対してダウンライン・ロードは記録されません。これは,ダウンライン・ロード・サービスが現在禁止されているためです。

LAN$ACP.LOG ファイルに記録されている最新のダウンライン・ロード処理を表示するには,次の形式で SHOW LOG コマンドを入力します。


SHOW LOG 

24.9.4 個々のノードの状態とカウンタ・データの表示

LAN パーマネント・ノード・データベース内のノードについて, MOP ダウンライン・ロード情報を表示するには,次の形式で LIST NODE コマンドを入力します。


LIST NODE ノード名 [/修飾子,...] 

LAN 運用時ノード・データベース内のノードについて, MOP ダウンライン・ロード状態とカウンタ情報を表示するには,次の形式で SHOW NODE コマンドを入力します。


SHOW NODE ノード名 [/修飾子,...] 

表 24-12 に, LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子について簡単に説明します。

表 24-12 LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子
修飾子 説明
/ALL データベース内の全ノードについて情報を表示する。
/OUTPUT=
ファイル名
指定されたファイルに対して,出力が行われることを指示する。ファイル名拡張子が .com である場合,出力は, DEFINE NODE または SET NODE コマンドのリスト形式になる。作成されたコマンド・ファイルは,LAN ノード・データベースを作成するのに使用できる。
/TOTAL (SHOW NODE コマンドのみ) カウンタ合計だけを表示する。


次の例は,3 つのノード (GALAXY,ZAPNOT,CALPAL) が定義されているローカル・ノードで発行されたコマンドからの出力を示します。 CALPAL は 2 つのロード要求を出しています。


Node Listing: 
 
GALAXY (08-00-2B-2C-51-28): 
  MOP DLL:  Load file:   APB.EXE 
            Load root:   $64$DIA24:<SYS11.> 
            Boot type:   Alpha satellite 
 
ZAPNOT (08-00-2B-18-7E-33): 
  MOP DLL:  Load file:   NISCS_LOAD.EXE 
            Load root:   LAVC$SYSDEVICE:<SYS10.> 
            Boot type:   VAX satellite 
 
CALPAL (08-00-2B-08-9F-4C): 
  MOP DLL:  Load file:   READ_ADDR.SYS 
            Last file:   LAN$DLL:APB_X5WN.SYS 
            Boot type:   Other 
            2 loads requested, 1 volunteered 
            1 succeeded, 0 failed 
            Last request was for a system image, in MOP V4 format 
            Last load initiated 10-jan-2001 09:11:17 on EXA0 for 00:00:06.65 
            527665 bytes, 4161 packets, 0 transmit failures 
 
Unnamed (00-00-00-00-00-00): 
 
Totals: 
  Requests received    2 
  Requests volunteered 1 
  Successful loads     1 
  Failed loads         0 
  Packets sent         2080 
  Packets received     2081 
  Bytes sent           523481 
  Bytes received       4184 
  Last load            CALPAL at 10-jan-2001 09:11:17.29 

24.9.5 カウンタ・データのクリア

全ノードおよび装置で MOP ダウンライン・ロード・カウンタをクリアするには,次の形式で CLEAR DLL コマンドを入力します。


CLEAR DLL 

24.9.6 OPCOM メッセージ

省略時の設定では,OPCOM メッセージが許可されています。メッセージは,装置状態が変化したとき,ロード要求を受信したとき,およびロードが完了したとき,LANACP LAN サーバ・プロセスによって生成されます。これらのメッセージは,オペレータのコンソールに表示され, LANACP によって作成されるログ・ファイル SYS$MANAGER:LAN$ACP.LOG に書き込まれます。

OPCOM メッセージを許可するには,次の形式で SET ACP/OPCOM コマンドを入力します。


SET ACP/OPCOM 

24.9.7 ロード・トレース機能

ロード要求について LANACP LAN サーバ・プロセスが出力するエラー・データでは,ロードの失敗の理由が十分に判断できない場合,サーバ・プロセスに対して,トレース・データの記録を指示することができます。データは,サーバによって行われる送受信ごとの,送受信パケット情報で構成され,ロードのたびにログ・ファイルに書き込まれます。ログ・ファイル名は SYS$MANAGER:LAN$nodename.LOG です。全パケット・データ,または各パケットの先頭の 32 バイトだけ,のいずれかを記録できます。

一般的なロードの流れを次に示します。

  1. Program Request メッセージを,Load Assistance Multicast Address 上で,要求ノードから受信する。コード 8。

  2. Assistance Volunteer メッセージを要求ノードへ送信する。コード 3。

  3. Program Request メッセージを,自分のノード・アドレス上で,要求ノードから受信する。コード 8。

  4. Memory Load メッセージを,要求ノードへシーケンス番号ゼロで送信する。コード 2。

  5. 次のシーケンス番号 (モジュロ 256) を要求する Request Memory Load メッセージを受信する。コード 10 (10 進数)。

  6. 送信するデータがなくなるまで,ステップ 4 および 5 を繰り返す。

  7. Memory or Parameter Load with Transfer Address メッセージを送信する。コード 0 または 20 (10 進数)。

  8. 最後のメッセージが受信されたことを示す次のシーケンス番号 (モジュロ 256) を要求する,最終 Request Memory Load メッセージを受信する。コード 10 (10 進数)。

クラスタ・サテライト・ロードの場合,最後の Memory Load メッセージには,クラスタ・パラメータが含まれます。このメッセージ,および最後の Load with Transfer Address メッセージは,部分的なトレース・エコーだけが許可されている場合であっても,すべて表示されます。

パケット・データの部分トレースを許可するには,次の形式で SET ACP/ECHO コマンドを入力します。


SET ACP/ECHO 

パケット・データの完全トレースを許可するには,/FULL 修飾子を追加します。


SET ACP/ECHO/FULL 

24.9.8 MOP コンソール・キャリア

コンソール・キャリアは, MOP コンソール・キャリア・プロトコルを使用して管理インタフェースを実現している,ターミナル・サーバなどの LAN 装置に接続するメカニズムを備えています。 LANCP ユーティリティは,この機能を CONNECT NODE コマンドの形式で提供します。

コマンド形式は次のとおりです。


CONNECT NODE ノード指定 [/修飾子,...] 

表 24-13 に, CONNECT NODE コマンド修飾子について,簡単に説明します。

表 24-13 CONNECT NODE コマンド修飾子
修飾子 説明
/DEVICE= 装置名 接続に使用する LAN コントローラの装置名を指定する。
/DISCONNECT= 切断文字 遠隔ノードとの接続終了に使用できる文字を指定する。
/PASSWORD=16 桁の 16 進数 接続を開始するときに使用されるパスワードを指定する。
/V3 または /V4 それぞれ MOP バージョン 3 またはバージョン 4 で書式化されたメッセージを使用して接続を行うように指定する。



  1. CONNECT NODE GALAXY/DEVICE=EWA0
    


    このコマンドは,イーサネットの装置 EWA0 を使用して,ノード GALAXY へのコンソール・キャリア接続を試みる。


  2. CONNECT NODE 08-00-2B-11-22-33/DEVICE=EWA0/PASSWORD=0123456789ABCDEF
    


    このコマンドは,イーサネット・デバイス EWA0 を使用し,パスワードを指定して,任意のノード・アドレスへのコンソール・キャリア接続を試みる。

24.9.9 MOP トリガ・ブート

システムによっては,MOP 遠隔ブート要求を認識して,応答します。これらのシステムは通常,不要なブート要求によってシステムの再ブートが起動されるのを防ぐために,パスワードまたは他のメカニズムを必要とします。 LANCP ユーティリティは,この機能を TRIGGER NODE コマンドの形式で実現しています。

LAN システムの再ブートを要求するには,次の形式で TRIGGER NODE コマンドを入力します。


TRIGGER NODE ノード指定 [/修飾子,...] 

表 24-14 に, TRIGGER NODE コマンド修飾子について簡単に説明します。

表 24-14 TRIGGER NODE コマンド修飾子
修飾子 定義
/DEVICE= 装置名 ブート・メッセージを送信するのに使用する LAN コントローラの装置名を指定する。
/PASSWORD=16 桁の 16 進数 接続を開始するときに使用されるパスワードを指定する。

MOP バージョン 3 または 4 を送信するための形式の指定に代わって, LANCP ユーティリティは,ターゲット・ノードに対して,各形式でメッセージを 1 つ送信します。

次の例は,TRIGGER NODE コマンドの使い方を示しています。



  1. TRIGGER NODE GALAXY/DEVICE=EWA0
    


    このコマンドは,イーサネット・デバイス EWA0 を使用して,ノード GALAXY に対して,MOP トリガ・ブート・メッセージを送信します。


  2. TRIGGER NODE 08-00-2B-11-22-33/DEVICE=EWA0/PASSWORD=0123456789ABCDEF
    


    このコマンドは,イーサネット・デバイス EWA0 を使用し,パスワードを指定して,指定ノード・アドレスに対して,MOP トリガ・ブート・メッセージを送信します。


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