Compq OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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ABOVE,BELOW,MINIMUM,MAXIMUM のキーワードは,単独でも,組み合わせても使用できます。例えば, /SPAN_VERSIONS=(MINIMUM=V2.1,BELOW=V3.0)とすると,V2.1 以降で,V3.0 よりも前の (V3.0 を含まない) バージョンを選択します。ここで BELOW キーワードの代わりに MAXIMUM を使うと,V3.0 が含まれます。

/VERSION=(バージョン番号[,...])

指定されたバージョンを持つソフトウェア製品を選択します。

バージョン番号を 1 つしか指定しない場合に限って,括弧(())はオプションになります。複数のバージョン番号を指定する場合は,必ず括弧を使用しなくてはなりません。



$ PRODUCT SHOW PRODUCT * /REFERENCED_BY=DECNET_OSI
 

このコマンドは,DECnet-Plus 製品が依存しているすべての製品を表示します。

SHOW UTILITY

使用しているPOLYCENTER Software Installationユーティリティのバージョンを表示します。

形式

PRODUCT SHOW UTILITY


パラメータ

なし。

修飾子

なし。


$ PRODUCT SHOW UTILITY
POLYCENTER Software Installation utility version: V7.3-100
   .
   .
   .

この例のコマンドは,コマンドを実行しているユーティリティのバージョンを表示します。


第 18 章
SCA Control Program ユーティリティ (SCACP)

18.1 SCACP について

SCA Control Program (SCACP) ユーティリティは,クラスタ通信の監視と管理を行うために設計されています。 SCA とは,Systems Communications Architecture の略語であり, OpenVMS Cluster システムにあるノード間の通信が可能になる通信メカニズムを定義するものです。

OpenVMS バージョン 7.3 では,SCACP を使って LAN パスの SCA 使用を管理できます。将来のバージョンでは,OpenVMS Cluster インターコネクト経由での SCA 通信の監視と管理を行うために SCACP が使用される可能性もあります。

18.1.1 SCACP に関連する用語

SCACP に関連する用語の定義をこれ以降で説明します。

18.1.1.1 Systems Communications Architecture (SCA)

System Communications Architecture (SCA) は, OpenVMS Cluster システムにあるノードが協調できる通信メカニズムを定義します。 SCA は,ノードにある資源の間でのデータ共有を統括し,異なる Alpha コンピュータおよび VAX コンピュータ上で実行される SYSAP (システム・アプリケーション) を結び付けます。

ノード間の通信メカニズムは,仮想サーキットによって定義されます。 仮想サーキット (VC) とは,次のことを行うために, OpenVMS Cluster ノード間で信頼性のあるポート・ツー・ポート通信を提供する共通トランスポートです。

2 つのポート間で仮想サーキットが形成されると,それらのノード内の SYSAP 間で通信を確立できます。クラスタでは,それぞれのポートは対応する他のすべての遠隔ポートとの仮想サーキットを保持します。

18.1.1.2 ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) クラスタ

LAN クラスタ通信は NI-SCA トランスポート・プロトコル LAN ハードウェアを使った仮想サーキットを作成し,このハードウェアはデータグラム・サービスを用意しています。 LAN クラスタ・ドライバである PEDRIVER は,LAN アダプタ (装置) とネットワーク接続を定義するチャネルを使った信頼性のある仮想サーキットを構築します。

チャネルとは,2 つの LAN アダプタ間の論理的な通信です。ノード間のチャネルは,アダプタのペアと,それらが接続しているネットワークによって決定します。たとえば,それぞれ 2 つのアダプタを備えた 2 つのノードは,4 つのチャネルを確立することができます。特定の仮想サーキットが伝送するメッセージは,この 2 つのノードを接続しているいずれかのチャネルを経由して送信できます。

18.1.1.3 チャネルと仮想サーキットの相違点

チャネルと仮想サーキットの相違点は,チャネルはデータグラム・サービスを提供する LAN パスであることです。チャネル上に階層化される仮想サーキットは,ノード間にエラー・フリーなパスを提供します。OpenVMS Cluster 内のノード間には複数のチャネルが存在できますが,一度に 2 つのノード間に存在できるのは 1 つの LAN ベース仮想サーキットのみです。

18.1.2 LAN クラスタ・ポートの管理

LAN クラスタ・ポートを管理するために,クラスタ内のノードで仮想サーキット,チャネル,LAN 装置を使用できます。仮想サーキット・データは,クラスタ内の他のノードとの通信の属性と状態を示します。チャネル・データは,各 LAN 通信パスの属性を示し,仮想サーキットでの使用に各チャネルがどの程度適しているかを示します。 LAN 装置データは低レベルのローカル LAN 装置属性,カウンタ,エラーを示します。

従来,LAN クラスタ・ポート情報は,SDA で可用性マネージャ管理ツールを使用することで利用可能になっていました。 LAN 装置上の PEDRIVER の起動と停止は, SYS$EXAMPLES:SYS$LAVC_START_BUS.EXE と SYS$LAVC_STOP_BUS.EXE によって提供されていました。 LAN 装置または個別のチャネルの使用に優先順位を付ける方法は何もありませんでした。

SCACP は,クラスタ管理データの収集について,別の方法を提供し,また,チャネル優先順位と LAN 装置の優先順位の設定を可能にします。また,LAN 装置上の PEDRIVER の起動と停止の機能も提供します。

LAN クラスタ・ポート・ドライバである PEDRIVER には,定義された各イベントの少量の情報を収集し,それを仮想サーキットまたはチャネルに関連付けられたバッファに保存する イベント・トレース機能があります。特定の仮想サーキットやチャネルに関連しないイベントは,グローバルな PEDRIVER トレース・バッファに保存されます。

イベント・トレース・データは,デバッグ,ダンプ分析の実行,および PEDRIVER 処理の詳細な側面の確認を行うときに使われます。

注意

SET TRACE コマンドは,コンパックのサービス担当および OpenVMS Engineering 部門の使用に限定されています。トレース用コマンドとその出力は,今後のリリースで変更する可能性があります。

18.1.3 クラスタ通信のトラブルシューティング

SCACP を使用すると,クラスタ通信の問題を診断できます。『Compaq OpenVMS Cluster システム』の付録「NISCA プロトコルのトラブルシューティング」にはクラスタ管理者とネットワーク管理者が SCACP や他のツールを使ってネットワークに関連するクラスタ通信の問題を正確に把握できるトラブルシューティング手法が説明されています。

18.1.4 関連資料

この章で説明するトピックの補足情報については,次のマニュアルを参照してください。

18.2 SCACP コマンド

SCACP コマンドには,次のタイプの機能が用意されています。

SCACP コマンドを 表 18-1 に示します。

表 18-1 SCACP コマンド
コマンド 機能
SCACP ポート選択コマンド
SET DEFAULT_PORT 省略時のポートを設定する。
SHOW DEFAULT_PORT 省略時のポート PEA0 を表示する。 OpenVMS バージョン 7.3 では,サポートされている唯一のポートがこのポートである。
SCACP 表示コマンド
SHOW VC PEDRIVER 仮想サーキット情報を表示する。
SHOW CHANNEL PEDRIVER チャネル情報を表示する。
SHOW LAN_DEVICE PEDRIVER LAN 装置情報を表示する。
SCACP 装置操作コマンド
START LAN_DEVICE 指定された LAN 装置で PEDRIVER を起動する。
STOP LAN_DEVICE 指定された LAN 装置で PEDRIVER を停止する。
SET LAN_DEVICE PEDRIVER LAN 装置管理優先順位の値を設定する。
SCACP チャネル操作コマンド
SET CHANNEL PEDRIVER チャネル管理優先順位の値を設定する。
SCACP トレース・コマンド
SET TRACE PEDRIVER イベント・トレース・オプションを設定する。
SHOW TRACE PEDRIVER イベント・トレース・オプションを表示する。
START TRACE PEDRIVER イベント・トレースを開始する。
STOP TRACE PEDRIVER イベント・トレースを停止する。
SCACP のその他のコマンド
HELP ヘルプ・データを表示する。
SPAWN [コマンド] スポーンしてコマンドを実行する。
@ファイル名 コマンド・ファイルを実行する。
EXIT SCACP を終了する。

18.3 SCACP使用法の要約

SCA Control Program (SCACP) は,特定の特権付きクラスタ通信管理機能を実行するクラスタ管理ユーティリティです。 SCACP によって,クラスタ通信操作パラメータを変更して,クラスタ通信パスの管理属性を指定できます。これらのクラスタ管理パスの操作状態を説明する状態とカウンタを確認することもできます。

形式

RUN SYS$SYSTEM:SCACP


パラメータ

なし。
使用法の要約 SCACP を起動するには,DCL プロンプトで次のコマンドを入力します。


$ RUN SYS$SYSTEM:SCACP

SCACP は,次のプロンプトを表示するので,ここで DCL 構文の標準規則を使って SCACP コマンドを入力できます。


SCACP> 

それ以外の方法として,RSX コマンドの MCR を入力することもできます。 MCR は RUN SYS$SYSTEM に展開されます。


$ MCR SCACP

MCR コマンドでは,SCACP を起動して, 1 つのコマンド文字列に 1 つのコマンドを提供できます。 SCACP は,このように起動された SCACP コマンドで,コマンド文字列を実行して終了します。

SCACP を終了し,DCL コマンド・レベルに戻るには, SCACP> プロンプトで EXIT を入力するか,または Ctrl/Z を押します。

注意

SCACP コマンドを発行するには SYSPRV 特権が必要です。



$ CREATE COUNT.COM
SHOW LAN_DEVICE/COUNTERS
SPAWN WAIT 00:01:00
@COUNT
[Ctrl/Z]
$ RUN SYS$SYSTEM:SCACP
SCACP> @COUNT

コマンド・プロシージャ COUNT.COM を作成し,実行します。実行によって,装置カウンタが 1 分に 1 回表示されます。

EXIT

SCACP の実行を停止し,制御を DCL コマンド・レベルに戻します。また,Ctrl/Z を押すといつでも終了できます。

形式

EXIT


パラメータ

なし。

修飾子

なし。


SCACP> EXIT
$

SCACP の実行を停止し,制御を DCL コマンド・レベルに戻します。

HELP

SCACP ユーティリティに関するオンライン・ヘルプ情報を提供します。

形式

HELP [トピック]


パラメータ

トピック

情報を表示する SCACP コマンドまたはコマンドとコマンド・キーワードを指定します。HELP SET のように,HELP コマンドとコマンド名のみを入力した場合には, SET コマンドで使用される全コマンド・キーワードのリストが表示されます。

修飾子

なし。


SCACP> HELP SET TRACE

SET TRACE コマンドに関する情報が表示されます。


SET 
 
   TRACE 
 
        Sets or modifies PEDRIVER tracing parameters. 
 
        Format 
 
          SET TRACE 
 
     Additional information available: 
 
     Parameters Qualifiers 
     /AFTER   /DEFAULT   /EVENT   /EXCLUDE   /LOCAL_DEVICE 
     /REMOTE_DEVICE      /STOP   /SIZE 
 
     Examples 
 
 SET TRACE Subtopic? 

SET CHANNEL

優先順位の値を含めた,CHANNEL 管理パラメータを設定します。

形式

SET CHANNEL ノード名


パラメータ

ノード名[,ノード名1,ノード名2,...]

特定のノードへのチャネルを含めます。指定にはワイルドカードを使用できます。各ノード名には,オプションの修飾子を使ってローカルや遠隔の装置名を追加することができます。ローカルと遠隔の装置名が何も指定されない場合,指定されたノードへのすべてのチャネルが含められます。

SHOW CHANNEL コマンドを使用すると,ノード名,およびローカルと遠隔の装置名を表示できます。


修飾子

/EXCLUDE[=(ノード名1,ノード名2,...)]

特定のノードへのチャネルを除外します。指定にはワイルドカードを使用できます。各ノード名には,オプションの修飾子を使ってローカルや遠隔の装置名を追加することができます。ローカルと遠隔の装置名が何も指定されない場合,指定されたノードへのすべてのチャネルが含められます。

/LOCAL_DEVICE[=(LAN装置名1,LAN装置2,...)]

チャネルのローカル終端を識別する特定の LAN 装置を含めます。 LAN 装置の指定にはワイルドカードを使用できます。

SHOW CHANNEL コマンドを使用すると,ノード名,およびローカルと遠隔の装置名を表示できます。また,SHOW LAN_DEVICE コマンドを使用すると,装置名を表示できます。

/PRIORITY[=n]

選択したノードへのチャネル用の管理優先順位の値を設定します。

/REMOTE_DEVICE[=(LAN装置名1,LAN装置2,...])

チャネルの遠隔終端を識別する特定の LAN 装置を含めます。 LAN 装置の指定にはワイルドカードを使用できます。

SHOW CHANNEL コマンドを使用すると,ノード名,およびローカルと遠隔の装置名を表示できます。また,SHOW LAN_DEVICE コマンドを使用すると,装置名を表示できます。

遠隔ノードに対して SHOW LAN_DEVICE コマンドを使用すると,遠隔装置名を表示できます。


#1

SCACP> SET CHANNEL/PRIORITY=3 NODE5

ノード NODE5 への全チャネルの優先順位を 3 に設定します。

#2

SCACP> SET CHANNEL/LOCAL=EWA/REMOTE=EWB 
                     NODE10,NODE15/L=F*/R=F*,NODE20/PRIORITY=10

これは次のコマンドと同じです。


SET CHANNEL NODE10/L=EWA/R=EWB,NODE15/L=F*/R=F*,NODE20/L=*/R:*/PRIORITY=10 

このコマンドは,次のチャネルの優先順位を 10 に設定します。

SET DEFAULT_PORT

SCACP コマンドを適用する省略時のポートを設定します。

注意

OpenVMS バージョン 7.3 の省略時のポートは PEA0 です。 SET DEFAULT_PORT コマンドは機能しません。


形式

SET DEFAULT_PORT ポート名


パラメータ

ポート名

ポート名を特定します。PEDRIVER が実装するポートの名前は PEA0 です。

修飾子

なし。


SCACP> SET DEFAULT_PORT PEA0

PEDRIVER への省略時ポートを設定します。


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