Compq OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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付録 C
プログラマのための会計情報

表 C-1 は,会計情報に関係するシステム・サービスを示しています。会計情報ファイルを読み込むシステム・サービスはありません。このため,読み込み処理を行うには,会計情報ファイルの構造を充分理解する必要があります。

表 C-1 会計情報システム・サービスの要約
システム・サービス 説明
$CREPRC 会計情報を禁止できるプロセスを作成する。
$SNDJBC どの資源を現在の会計情報ファイルに記録するかを制御する。または,ユーザが定義したレコードを現在の会計情報ファイルに記録する。

この付録では,会計情報ファイルの構造について説明します。会計情報データに直接アクセスしたいプログラマを対象としています。

注意

記載されている形式は,今後のリリースで断りなく変更する場合があります。

この付録で説明するシンボルとオフセットは,STARLET ライブラリの $ACRDEF マクロで定義します。

C.1 会計情報ファイル・レコードの形式

会計情報レコードは,1 つの会計情報レコード・ヘッダと複数の情報パケットで構成されます。情報パケットの数とタイプは,レコードのタイプによって異なります。

図 C-1 は会計情報レコードの標準形式, 表 C-2 はレコード・ヘッダのフィールドを示しています。レコード・ヘッダのタイプ・フィールドは, 表 C-3 に示す 5 つのフィールドに分割されます。

図 C-1 会計情報レコードの形式


表 C-2 会計情報レコード・ヘッダのフィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$W_TYPE レコードのタイプを示す。 表 C-3 に示す 5 つのフィールドに分割される。(ワード)
ACR$W_LENGTH バイト単位によるレコード長。(ワード)
ACR$Q_SYSTIME 64 ビットの絶対時刻によるシステム時間。 (クォドワード)

表 C-3 会計情報レコード・ヘッダの ACR$W_TYPE フィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$V_PACKET レコード・ヘッダであることを示す。 0 でなければならない。(1 ビット)
ACR$V_TYPE レコードのタイプを示す。現在, 表 C-4 に示す 8 つのレコード・タイプがある。(7 ビット)
ACR$V_SUBTYPE レコードを対応づけるプロセスのタイプを示す。次のタイプがある。(4 ビット)

シンボル 意味
ACR$K_BATCH バッチ・プロセス
ACR$K_DETACHED 独立プロセス
ACR$K_INTERACTIVE 会話型プロセス
ACR$K_NETWORK ネットワーク・プロセス
ACR$K_SUBPROCESS サブプロセス

このフィールドが適用されるのは, ACR$K_IMGDEL と ACR$K_PRCDEL のタイプのレコードだけである。

ACR$V_VERSION 会計情報ファイル・レコード構造のバージョンを示す。次のバージョンがある。(3 ビット)

シンボル 意味
ACR$K_VERSION2 VAX/VMS バージョン 2.0
ACR$K_VERSION3T VAX/VMS バージョン 3.0 フィールド・テスト
ACR$K_VERSION3 OpenVMS Alpha バージョン 1.0 と OpenVMS VAX バージョン 3.0,および Alpha と VAX のそれ以降のバージョン

ACR$V_CUSTOMER レコードの書き込みに使用したソフトウェアが,Compaq のソフトウェアとカスタマ・ソフトウェアのどちらであるかを示す。0 は Compaq のソフトウェア,1 はカスタマ・ソフトウェアを示す。(1 ビット)

注意

ACR$K_CURVER = 現在のバージョン。今回のリリースでは ACR$K_VERSION3 と同じに設定してください。

C.1.1 会計情報レコードのタイプ

会計情報レコードのタイプは,レコードを記録させたイベントのタイプを示します。現在, 表 C-4 に示す 8 種類の会計情報レコードがあります。この表では,各レコード・タイプに格納される情報パケットも一覧しています。

表 C-4 会計情報レコードのタイプ
シンボル イベント 情報パケット
ACR$K_FILE_BL 会計情報ファイルがオープンされた ACR$K_FILENAME
ACR$K_FILE_FL 会計情報ファイルがクローズされた ACR$K_FILENAME
ACR$K_IMGDEL イメージが終了した ACR$K_ID
ACR$K_RESOURCE
ACR$K_IMAGENAME
ACR$K_LOGFAIL ログインが異常終了した ACR$K_ID
ACR$K_RESOURCE
ACR$K_PRCDEL プロセスが終了した ACR$K_ID
ACR$K_RESOURCE
ACR$K_PRINT 印刷ジョブが終了した ACR$K_ID
ACR$K_PRINT
ACR$K_SYSINIT システムが初期化された ACR$K_ID
ACR$K_RESOURCE
ACR$K_USER $SNDJBC システム・サービスが会計情報メッセージを送信した ACR$K_ID
ACR$K_USER_DATA

C.1.2 情報パケットの形式

情報パケットは,6 種類あります。パケット・タイプは,情報パケットのヘッダによって,次のように定義します。

情報パケットの標準形式については 付録 C.1.2.1 項 ,各情報パケット・タイプの形式については 付録 C.1.2.2 項 から 付録 C.1.2.7 項 で説明します。

C.1.2.1 標準形式

情報パケットは 1 つのパケット・ヘッダで始まり,次に複数のデータ・フィールドが続きます。データ・フィールドには,固定長データ,可変長データ,可変長データまでのオフセットのいずれかを格納できます。オフセットは,パケットの先頭から可変長データまでの距離をバイト数で表したものです。

すべての可変長データは,長さを指定された文字列で表現されます。可変長データは,パケット内の最後の固定長データ・フィールドの後に続きます。 図 C-2 は,情報パケットの標準形式を示しています。すべてのデータ・フィールドが値を持つとは限りません。

情報パケットのデータ・フィールドの詳細については, 付録 C.1.2.2 項 から 付録 C.1.2.7 項 までを参照してください。

すべての情報パケットは,ACR$W_LENGTH フィールドと ACR$W_TYPE フィールドで構成されるパケット・ヘッダで始まります。 表 C-5表 C-6 を参照してください。

図 C-2 情報パケットの形式


表 C-5 情報パケット・ヘッダのフィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$W_TYPE パケット・タイプを示す。 表 C-6 に示す 5 つのフィールドに分割される。(ワード)
ACR$W_LENGTH バイト単位によるパケット長。(ワード)

表 C-6 情報パケット・ヘッダの ACR$W_TYPE フィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$V_PACKET パケット・ヘッダであることを示す。 1 でなければならない。(1 ビット)
ACR$V_TYPE パケット・タイプを示す。現在,次の 6 種類がある。(7 ビット)

シンボル 説明
ACR$K_FILENAME ファイル名パケット
ACR$K_ID 識別パケット
ACR$K_IMAGENAME イメージ名パケット
ACR$K_PRINT 印刷資源パケット
ACR$K_RESOURCE 資源パケット
ACR$K_USER_DATA ユーザ・データ・パケット

ACR$V_SUBTYPE パケット・サブタイプを示す。今後のため予約されている。(4 ビット)
ACR$V_VERSION 表 C-3 を参照
ACR$V_CUSTOMER 表 C-3 を参照

C.1.2.2 ファイル名パケット (ACR$K_FILENAME)

ファイル名パケットは,会計情報ファイルの名前を格納します。 図 C-3 はファイル名パケットの形式, 表 C-7 はパケット・フィールドを示しています。パケット・ヘッダについては, 付録 C.1.2.1 項 を参照してください。

図 C-3 ファイル名パケットの形式


表 C-7 ファイル名パケットのデータ・フィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$T_FILENAME ファイルの名前。(完全なファイル指定を示す,指定された長さの ASCII 文字列)

C.1.2.3 識別パケット (ACR$K_ID)

識別パケットは,レコードを記録させたプロセスを格納します。

図 C-4 は識別パケットの形式, 表 C-8 はパケット・フィールドを示しています。パケット・ヘッダについては, 付録 C.1.2.1 項 を参照してください。

図 C-4 識別パケットの形式


表 C-8 識別パケットのデータ・フィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$L_PID プロセスのプロセス識別子 (PID)。 (ロングワード)
ACR$L_OWNER 親プロセスの PID。(ロングワード)
ACR$L_UIC プロセスの UIC。メンバ番号を ACR$W_MEM で,グループ番号を ACR$W_GRP で定義できる。(ロングワード)
ACR$Q_PRIV プロセスが持つ特権。(クォドワード)
ACR$B_PRI プロセスの基本優先順位。(バイト)
ACR$B_IDFLGS フラグ・バイト。下位ビットが設定されている場合は完全なアドレスと完全な名前。
ACR$W_USERNAME プロセスのユーザ名を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$W_ACCOUNT プロセスのアカウント名を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$W_NODENAME 遠隔プロセスの Phase W ノード名を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$W_TERMINAL ターミナル名を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$W_JOBNAME ジョブ名を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$L_JOBID 印刷ジョブまたはバッチ・ジョブの識別子 (キュー・エントリ番号)。(ロングワード)
ACR$W_QUEUE バッチ・ジョブまたは印刷ジョブが対応するキューの名前を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$W_NODEADDR Phase W 遠隔ノード・アドレスを格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。(ワード)
ACR$W_REMOTEID 遠隔プロセスの遠隔 ID を格納する指定された長さの ASCII 文字列までのオフセット。ネットワークのインプリメンテーションと用途によって異なる。(ワード)
ACR$W_FULLADDR 完全な遠隔ノード・ネットワーク・アドレスを格納する指定されたバイナリ文字列までのオフセット。DECnet-Plus システムでは,遠隔ノードの NSAP アドレス。
ACR$W_FULLNAME 完全な遠隔ノード名を格納する指定された ASCII 文字列までのオフセット。DECnet/OSI システムでは,遠隔ノードの完全な名前。

C.1.2.4 イメージ名パケット (ACR$K_IMAGENAME)

イメージ名パケットは,プロセスが実行したイメージの名前を格納します。

図 C-5 はイメージ名パケットの形式, 表 C-9 はパッケージ・フィールドを示しています。パケット・ヘッダについては, 付録 C.1.2.1 項 を参照してください。

図 C-5 イメージ名パケットの形式


表 C-9 イメージ名パケットのデータ・フィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$T_IMAGENAME イメージの名前。(完全なファイル指定を示す,指定された長さの ASCII 文字列)

C.1.2.5 印刷資源パケット (ACR$K_PRINT)

印刷資源パケットは,印刷ジョブに関する情報を格納します。

図 C-6 は印刷資源パケットの形式, 表 C-10 はパケット・フィールドを示しています。パケット・ヘッダについては, 付録 C.1.2.1 項 を参照してください。

図 C-6 印刷資源パケットの形式


表 C-10 印刷資源パケットのデータ・フィールド
シンボリック・オフセット 説明
ACR$L_PRINTSTS 印刷ジョブの状態。(ロングワード)
ACR$Q_QUETIME ジョブがキューに登録された時間。 (64 ビットの絶対時刻)
ACR$Q_BEGTIME ジョブが開始された時間。 (64 ビットの絶対時刻)
ACR$L_SYMCPUTIM シンビオント CPU 時間 (常に 0)。 (ロングワード)
ACR$L_PAGECNT 印刷されたページ数。(ロングワード)
ACR$L_QIOCNT プリンタに送られた QIO 数。(ロングワード)
ACR$L_GETCNT 印刷されたファイルの GET 数。 (ロングワード)


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