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本節では,本リリースの SNMP 構成要素の制限事項を詳しく説明します。
3.24.1 不完全な再起動
SNMP マスタおよびサブエージェントに障害が発生したか停止した場合,日本語 TCP/IP Services は一般にすべてのプロセスを自動的に再起動することができます。しかし,特定の条件下では,サブエージェント・プロセスが再起動しないことがあります。つまり,DCL コマンド SHOW SYSTEM 表示に, TCPIP$OS_MIBS および TCPIP$HR_MIB が含まれなくなります。これが起こった場合は,以下のコマンドを発行して SNMP を再起動します。
$ @SYS$STARTUP:TCPIP$SNMP_SHUTDOWN $ @SYS$STARTUP:TCPIP$SNMP_STARTUP |
低速システムでは, SNMP のインストレーション検証プロシージャ(IVP)は,サブエージェントがテスト問い合せに応答しなかったために失敗することがあります。次のようなエラー・メッセージが表示されます。
... Shutting down the SNMP service... done. Creating temporary read/write community SNMPIVP_153. Enabling SET operations. Starting the SNMP service... done. SNMPIVP: unexpected text in response to SNMP request: "- no such name - returned for variable 1" See file SYS$SYSDEVICE:[TCPIP$SNMP]TCPIP$SNMP_REQUEST.DAT for more details. sysContact could not be retrieved. Status = 0 The SNMP IVP has NOT completed successfully. SNMP IVP request completed. Press Return to continue ... |
IVP のこれらのタイプのメッセージは無視してもかまいません。
3.24.3 既存の MIB サブエージェント・モジュールの使用
既存のサブエージェントが正しく実行されなかった場合には,現在のバージョンの TCP/IP Services に再リンクして,正常に動作するイメージを作成しなくてはならないことがあります。また,一部のサブエージェント (Compaq Insight Manager の OpenVMS サポートなど) も最低限のバージョンの OpenVMS と最低限のバージョンの TCP/IP Services を必要とします。
以下に示す一般的な制限事項と注意事項が適用されます。
これ以外のバージョンの下で構築されたイメージは,いずれかの共用イメージと,または日本語 TCP/IP Services V5.1 の TCPIP$ESNMP_SHR.EXE と再リンクすることができます。
イメージは再リンクなしでも動作するかもしれませんが,このような下位互換性はサポートされておらず,不正確なデータが生成されたり,実行時に問題が生じたりする可能性があります。 |
$ DIRECTORY/DATE/PROTECTION SYS$SHARE:*$ESNMP_SHR.EXE |
プレフィックス TCPIP$ と UCX$ を持つファイルの作成日は,互いに数秒以内でなくてはならず,各ファイルのバージョンは 1 つしか存在していてはなりません。両方のイメージにファイル保護 W:RE が含まれていることを確認してください。
また,次のコマンドでバージョンを確認することもできます。
$ TCPIP SHOW VERSION/ALL |
カテゴリ「Network Management」の下の,イメージ TCPIP$ESNMP_SHR の行の 2 番目の列にバージョンが表示されます。たとえば,フィールド・テストでは次のように表示されます。
TCPIP$ESNMP_SHR;1 T5.1-9Q 22-FEB-2000 SYS$COMMON:[SYSLIB] |
ipRouteMetric1 - ipRouteMetric5 tcpMaxConn |
hrPartitionTable hrPrinterTable hrSWInstalled hrSWInstalledTable |
ipDefaultTTL ipRouteAge ipRouteDest ipRouteIfIndex ipRouteMask ipRouteNextHop ipRouteType |
hrFSLastFullBackupDate hrFSLastPartialBackupDate hrStorageSize hrSWRunStatus hrSystemDate hrSystemInitialLoadDevice hrSystemInitialLoadParameters |
TCP/IP Services V5.1では,SNMPに関して以下の制限事項と特徴があります。詳細については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference 』を参照してください。
1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206828 = 1321206828 1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206829 = 1321206829 1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206830 = 1321206830 |
これらの例は
hrSWRunTableからとったものです。
hrSWRunPerfTableも影響を受ける可能性があります。
1.3.6.1.2.1.1.2.0 = 1.3.6.1.4.1.36.2.15.x3.7.1 |
1.3.6.1.4.1.36.2.15.x3.7.1 は次に対応しています。
iso.org.dod.internet.private.enterprises.dec.ema.sysobjectids.openvms.- major-version-id.minor-version-id |
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.1 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.2 1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.1 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.2 = Base o/s agent (HR_MIB) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.1 = 31 = 0 d 0:0:0 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = 36 = 0 d 0:0:0 |
この例はMIBブラウザ(TCPIP$SNMP_REQUEST.EXE)からとったものです。
コード | 条件 |
---|---|
警告(3) | エラー・ロギングが実行中(OpenVMS UCB値UCB$M_ERLOGIP) |
実行中(2) | ソフトウェアが有効であり,エラー・ロギングが実行中でない(OpenVMS UCB値UCB$M_VALID) |
不明(1) | 他のすべてのOpenVMSステータス |
ifInDiscards ifInErrors ifInNUcastPkts ifInOctets ifInUcastPkts ifInUnknownProtos ifOutErrors ifOutNUcastPkts ifOutOctets ifOutUcastPkts |
SNMPv2では,これらのカウンタはデータ型Counter32です。以下の
ifTableメンバは,OpenVMSではつねに-1です:
ifOutDiscards(Counter32),
ifOutQLen(Gauge32)。
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.1 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.2 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.1 = 3256 = 0 d 0:0:32 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = 3256 = 0 d 0:0:32 |
この例で,TCPIP$OS_MIBSサブエージェントは,異なる
sysORUpTime(1.3.6.1.2.1.1.9.1.4)を表示する可能性のある異なるID番号を持つ2つのエントリ (プレフィックス1.3.6.1.2.1.1.9.1.2のOID)を作成しています。
snmp_requestプログラムは,センチセコンドの値を日(d)に時:分:秒を加えた表記に変換し,1秒未満は切り捨てます。 HR_MIBサブエージェントはまだ起動しておらず,自分の能力を登録していません。起動時に,この例のエントリは,次に使用可能なインデックス番号を使用します。
1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1 = 0.0 |
1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1 = 1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1.5.56.7 |
{executable-image-name} WARNING {source-file-name} line {nnn}: Default esnmp timeout hrSWRunStatusset to 3 seconds. |
{executable-image-name} WARNING {source-file-name} line {nnn}: Null Varbind or object, or, bad object type |
TCP/IP Services V5.1 にアップグレードした後には,TCPIP$CONFIG を使って SNMP を無効にし,再び有効にする必要があります。"this node" と "all nodes" のどちらかを指定するように求められた場合には,以前のコンフィギュレーションを反映するオプションを選択します。
3.24.7 通信コントローラ・データが完全に更新されない
日本語 TCP/IP Services をアップグレードした後に,既存の通信コントローラを変更すると,通信コントローラを使用するプログラムは更新された情報にアクセスできない場合があります。
MIB ブラウザ (snmp_request) などのプログラムが通信コントローラに関する新しいデータにアクセスできるようにするには,以下の操作を行います。
$ @SYS$STARTUP:SNMP_SHUTDOWN.COM $ @SYS$STARTUP:SNMP_STARTUP.COM |
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