OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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6.2 OpenVMS Cluster ストレージ・デバイスの命名

OpenVMS オペレーティング・システムでは,デバイス名は ddcu という形式です。ただし,

CI デバイスまたは DSSI デバイスの場合,コントローラ指定は常に英字の A です。ユニット番号はシステム管理者が選択します。

SCSI デバイスの場合,コントローラ名は,システム構成をもとに OpenVMS で割り当てられます。ユニット番号は,SCSI バス ID とデバイスの論理ユニット番号 (LUN) によって決定されます。

デバイス名は OpenVMS Cluster 内で固有の名前でなければならず,クラスタのすべてのメンバが同じデバイスに対して同じ名前を使用しなければならないため,OpenVMS では以下に示すように,デバイス名に接頭辞が追加されます。

6.2.1 割り当てクラス

割り当てクラスの目的は,一意で変化しないデバイス名を提供することです。デバイス名は共用デバイス,ファイル,データを一意に識別するために, OpenVMS Cluster 分散ロック・マネージャが OpenVMS 機能 (RMS や XQP など) と組み合わせて使用します。

複数のパスを介してストレージ・デバイスにアクセスできるような OpenVMS Cluster 構成では,割り当てクラスが必要です。割り当てクラスを使用しないと,デバイスへのアクセス・パスが変化したときに,ノード名に依存するデバイス名も変化します。

OpenVMS バージョン 7.1 より前のバージョンでは,ノード・ベースの割り当てクラスのみがありました。これを割り当てクラスと呼んでいました。 OpenVMS バージョン 7.1 で,2 番目の種類である ポート割り当てクラスが導入されました。これは単一のインターコネクトに固有のものであり,そのインターコネクトに接続されているすべてのデバイスに割り当てられます。ポート割り当てクラスは, SCSI デバイスの名前付け用に元々設計されました。これらの使用は,デバイス・タイプ (フロッピィ・ディスク, PCI RAID コントローラ・ディスク,および IDE ディスク) を追加するために拡張されて使われています。

ポート割り当てクラスを使用するかどうかは任意です。これは, 第 6.2.3 項 に示すように特定の構成で発生する可能性のある,デバイス名および構成の競合を解決できるようになっています。

以前のノード・ベースの割り当てクラスとそれよりも新しいポート割り当てクラスを区別するために,以前の割り当てクラスにノード割り当てクラスという名前がつけられました。

OpenVMS バージョン 7.2 よりも前では,同じマルチパス・デバイスに直接アクセスするノードはすべて,ノード割り当てクラスに対して 0 以外の同じ値を使用する必要がありました。 OpenVMS バージョン 7.2 で MSCP_SERVE_ALL システム・パラメータが導入されました。このシステム・パラメータで,すべてのディスクにサービスするか,またはノード割り当てクラスの異なるものを除外するように設定できます。

注意

SCSI デバイスが複数のホストに接続されていて,ポート割り当てクラスが使用されていない場合は,同じマルチパス・デバイスに直接アクセスするノードはすべて, 0 以外の同じノード割り当てクラスを使用する必要があります。

マルチパス MSCP コントローラにも割り当てクラス・パラメータがあり,接続されているノードの割り当てクラスに対応するように設定されます (割り当てクラスが一致しない場合,ノードに接続されているデバイスをサービスすることができません)。

6.2.2 ノード割り当てクラスの指定

ノード割り当てクラスは,コンピュータ,HSC または HSJ コントローラ,DSSI ISE に割り当てることができます。ノード割り当てクラスは 1〜255 の数値であり,システム管理者が割り当てます。

ノード割り当てクラスのデフォルト値は 0 です。ノード割り当てクラスの値として 0 が適切なのは,ローカルのシングル・パス・ディスクをサービスする場合だけです。ノード割り当てクラス 0 が割り当てられた場合,サービスされるデバイスの名前は, node-name$device-name という構文を使用して付けられます。つまり,デバイス名の接頭辞はノード名になります。

ノード割り当てクラスの値を指定する場合,以下の規則が適用されます。

  1. サテライトをサービスする場合,サービスする側のコンピュータとコントローラに 0 以外の同じノード割り当てクラス値を割り当てなければなりません。

  2. ノード割り当てクラス値が 0 以外のコンピュータ上のすべてのクラスタ・アクセス可能デバイスには,クラスタ全体で固有の名前を与えなければなりません。たとえば,2 台のコンピュータのノード割り当てクラスの値が同一である場合,その 2 台のコンピュータの両方に DJA0 という名前のローカル・ディスクまたは MUA0 という名前のテープを接続することはできません。この規則は HSC および HSJ サブシステムにも適用されます。

システム管理者は,ディスクとテープのそれぞれにノード割り当てクラスを割り当てます。ディスクのノード割り当てクラスとテープのノード割り当てクラスは,同一でなくてもかまいません。

ノード割り当てクラス名は以下のように作成されます。


$disk-allocation-class$device-name
$tape-allocation-class$device-name

警告: ノード割り当てクラス値およびデバイス・ユニット番号を正しく設定しないと,データの整合性が侵される可能性があり,ロックの競合が発生して,正常なクラスタ動作ができなくなることがあります。 図 6-4 では, CI 構成でクラスタ・デバイス名を指定する方法を示しています。

図 6-4 HSC コントローラ間でデュアル・パス接続されているディスクとテープ


この構成で,以下のことに注意してください。

ノード割り当てクラス 1 のコントローラが 1 台使用できなくなっても,ユーザは他のコントローラを通じてそのノード割り当てクラスによって指定されるデバイスにアクセスできます。

図 6-6 では, 図 6-4 をもとに,JUPITR コンピュータと NEPTUN コンピュータを通じてデバイス $1$DUA17 と $1$MUA12 にアクセスするサテライト・ノードを追加しています。この構成では,デバイスへのアクセス・パスとは無関係に,サテライト・ノードが統一されたデバイス名を使用することができるように, JUPITR コンピュータと NEPTUN コンピュータにノード割り当てクラスが必要です。

注意: すべてのサーバ,HSC,HSJ サブシステム,DSSI ISE に対して同じノード割り当てクラス値を使用すれば,通常,システム管理は簡単になります。1〜255 の数値を任意に選択できます。しかし,ノード割り当てクラス値を変更するには,クラスタ全体をシャットダウンして,リブートしなければなりません ( 第 8.6 節 を参照)。コンピュータとコントローラに対して共通のノード割り当てクラスを使用する場合は,すべてのデバイスに固有のユニット番号が割り当てられていることを確認してください。

6.2.2.1 コンピュータでのノード割り当てクラス値の割り当て

ノード割り当てクラスは 2 種類の方法で割り当てることができます。それは,CLUSTER_CONFIG.COM または CLUSTER_CONFIG_LAN.COM を使用する方法 ( 第 8.4 節 を参照) と,AUTOGEN を使用する方法 (以下の表を参照) です。

ステップ 操作
1 システム・ディスクからブートされる各ノードで,ルート・ディレクトリ [SYS n.SYSEXE]MODPARAMS.DAT を編集する。以下の例では,MODPARAMS.DAT ファイルを示している。ここに示したエントリは単なる例であり,特定のパラメータの推奨設定値を示すものではない。
!

! Site-specific AUTOGEN data file. In an OpenVMS Cluster
! where a common system disk is being used, this file
! should reside in SYS$SPECIFIC:[SYSEXE], not a common
! system directory.
!
! Add modifications that you want to make to AUTOGEN's
! hardware configuration data, system parameter
! calculations, and page, swap, and dump file sizes
! to the bottom of this file.
SCSNODE="NODE01"
SCSSYSTEMID=99999
NISCS_LOAD_PEA0=1
VAXCLUSTER=2
MSCP_LOAD=1
MSCP_SERVE_ALL=1
ALLOCLASS=1
TAPE_ALLOCLASS=1
2 AUTOGEN を起動して,システム・パラメータ値を設定する。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN start-phase end-phase

3 クラスタ全体をシャットダウンして,リブートすることにより,新しい値を有効にする。

6.2.2.2 HSC サブシステムでのノード割り当てクラス値の割り当て

HSC サブシステムでノード割り当てクラス値の割り当てまたは変更を行う場合は,クラスタをシャットダウンする必要があります。 HSC サブシステムのディスクにノード割り当てクラスを割り当てるには,以下の形式で HSC コンソール・コマンドを使用して,値を指定します。


SET ALLOCATE DISK allocation-class-value 

テープのノード割り当てクラスを割り当てるには,以下の形式で SET ALLOCATE TAPE コマンドを入力します。


SET ALLOCATE TAPE tape-allocation-class-value 

たとえば,ディスクのノード割り当てクラスの値を 1 に変更するには, HSC の内部ドア・スイッチを Enable の位置に設定し,適切な HSC コンソールから以下のようなコマンド・シーケンスを入力します。


[Ctrl/C]
HSC> RUN SETSHO
SETSHO> SET ALLOCATE DISK 1
SETSHO> EXIT
SETSHO-Q Rebooting HSC; Y to continue, Ctrl/Y to abort:? Y

HSC の内部ドア・スイッチの設定を元に戻します。

関連項目: HSC コンソール・コマンドの詳細については, HSC ハードウェアのマニュアルを参照してください。

6.2.2.3 HSJ サブシステムでのノード割り当てクラス値の割り当て

HSJ サブシステムのディスクに対してノード割り当てクラス値を割り当てるには,以下の形式で SET CONTROLLER MSCP_ALLOCATION_CLASS コマンドを入力します。


SET CONTROLLER MSCP_ALLOCATION_CLASS = allocation-class-value 

テープのノード割り当てクラス値を割り当てるには,以下の形式で SET CONTROLLER TMSCP_ALLOCATION_CLASS ALLOCATE TAPE コマンドを入力します。


SET CONTROLLER TMSCP_ALLOCATION_CLASS = allocation-class-value 

たとえば,HSJ サブシステムでディスクのノード割り当てクラス値を 254 に設定するか,または 254 に変更するには, HSJ コンソール・プロンプト (PTMAN>) に対して以下のコマンドを入力します。


PTMAN> SET CONTROLLER MSCP_ALLOCATION_CLASS = 254

6.2.2.4 HSD サブシステムでのノード割り当てクラス値の割り当て

HSD サブシステムで割り当てクラス値の割り当てまたは変更を行うには,以下のコマンドを使用します。


$ MC SYSMAN IO CONNECT FYA0:/NOADAP/DRIVER=SYS$FYDRIVER
$ SET HOST/DUP/SERVER=MSCP$DUP/TASK=DIRECT node-name
$ SET HOST/DUP/SERVER=MSCP$DUP/TASK=PARAMS node-name
PARAMS> SET FORCEUNI 0
PARAMS> SET ALLCLASS 143
PARAMS> SET UNITNUM 900
PARAMS> WRITE
Changes require controller initialization, ok? [Y/(N)] Y
PARAMS> EXIT
$ 

6.2.2.5 DSSI ISE でのノード割り当てクラス値の割り当て

DSSI ISE でノード割り当てクラス値の割り当てまたは変更を行うには,オペレーティング・システムに応じて異なるコマンドを使用します。

たとえば,DSSI ISE TRACER の割り当てクラス値を 1 に変更するには, 表 6-2 に示す手順を実行します。

表 6-2 DSSI 割り当てクラス値の変更
ステップ 操作
1 ハードウェア・デバイス TRACER に接続されているコンピュータで SYSTEM アカウントにログインし,以下の手順でドライバをロードする。

  • Alpha システムの場合は,DCL プロンプトに対して以下のコマンドを入力する。
    $ MC SYSMAN IO CONN FYA0:/NOADAP/DRIVER=SYS$FYDRIVER
    

  • VAX システムの場合は,DCL プロンプトに対して以下のコマンドを入力する。
    $ MCR SYSGEN CONN FYA0:/NOADAP/DRIVER=FYDRIVER
    

2 DCL プロンプトに対して,SHOW DEVICE FY コマンドを入力して,FY デバイスが存在するかどうかと,その状態を確認する。以下の例を参照。
$ SHOW DEVICE FY

Device Device Error
Name Status Count
FYA0: offline 0
3 DCL プロンプトに対して,以下のコマンド・シーケンスを入力して,割り当てクラス値を 1 に設定する。
$ SET HOST/DUP/SERVER=MSCP$DUP/TASK=PARAMS
node-name

params >set allclass 1
params >write
Changes require controller initialization, ok?[Y/N]Y
Initializing...
%HSCPAD-S-REMPGMEND, Remote program terminated--message number 3.
%PAxx, Port has closed virtual circuit - remote node TRACER
%HSCPAD-S-END, control returned to node node-name
$
4 クラスタ全体をリブートして,新しい値を有効にする。

6.2.2.6 DSA ディスクおよびテープのノード割り当てクラスの例

図 6-5 は,2 台のコンピュータ間でデュアル・パス接続されている DSA ディスクとテープを示しています。

図 6-5 コンピュータ間でデュアル・パス接続されているディスクとテープ


この構成で,以下のことに注意してください。

6.2.2.7 複合インターコネクトの場合のノード割り当てクラスの例

図 6-6 では,複合インターコネクト・クラスタでデバイス名を指定する典型的な方法を示しています。この図では,各 CI コンピュータに対して関連するシステム・パラメータ値を設定する方法も示しています。

図 6-6 複合インターコネクト・クラスタでのデバイス名


この構成で,以下のことに注意してください。

注意: 最適な可用性を実現するには,2 台以上の CI 接続されたコンピュータがクラスタに対して,HSC デバイスまたは HSJ デバイスをサービスしなければなりません。


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