前へ | 次へ | 目次 | 索引 |
AUTOGEN フィードバック操作を有効に設定するには, SAVE_FEEDBACK オプションを使用します。
注意: このオプションは,典型的な作業負荷を反映できるだけの十分長い時間,コンピュータが実行された場合にだけ選択します。
関連項目: AUTOGEN フィードバックの詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。
10.8 ダンプ・ファイル
OpenVMS Cluster システムで 1 つの共通システム・ディスクを使用する場合も,複数のシステム・ディスクを使用する場合も,ダンプ・ファイルを管理する方法を計画しなければなりません。
10.8.1 サイズと作成の制御
1 つのシステム・ディスクを使用する大規模なクラスタの場合,ダンプ・ファイルの管理が特に重要です。たとえば,256 MB の OpenVMS Alpha コンピュータでは,AUTOGEN が 500,000 ブロック以上のダンプ・ファイルを作成します。
ソフトウェアで検出されるシステム障害が発生すると,各コンピュータは分析のためにシステム・ディスクのフル・ダンプ・ファイルにメモリの内容を書き込みます。デフォルト設定では,このフル・ダンプ・ファイルは物理メモリのサイズに数ページを加算したサイズです。システム・ディスク領域が制限されている場合 (大規模なクラスタに対して 1 つのシステム・ディスクだけを使用する場合は,おそらくこのケースです),サテライトに対してダンプ・ファイルを作成しないこと,または AUTOGEN が選択型ダンプ・ファイルを作成することを指定しなければならない可能性があります。選択型ダンプ・ファイルは通常,フル・ダンプ・ファイルのサイズの 30〜60% です。
各コンピュータに対して,ダンプ・ファイルのサイズと,ダンプ・ファイルを作成するかどうかを制御できます。この 2 つを制御するには,AUTOGEN シンボル DUMPSTYLE と DUMPFILE に対して適切な値を,コンピュータの MODPARAMS.DAT ファイルに指定します。 表 10-4 を参照して,ダンプ・ファイルを指定します。
指定する値 | 結果 |
---|---|
DUMPSTYLE = 0 | フル・ダンプ・ファイルが作成される (デフォルト)。 |
DUMPSTYLE = 1 | 選択型ダンプ・ファイルが作成される。 |
DUMPFILE = 0 | ダンプ・ファイルは作成されない。 |
警告: ダンプ・ファイルなしでコンピュータを構成することもできますが,ダンプ・ファイルがないと,システム障害の原因を判断するのが困難になったり,不可能になる可能性があります。
たとえば,メモリの大きなシステムでシステム・ダンプ・ファイルのサイズを変更するには,以下のコマンドを使用します。
$ MCR SYSGEN SYSGEN> USE CURRENT SYSGEN> SET DUMPSTYLE 1 SYSGEN> CREATE SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP/SIZE=70000 SYSGEN> WRITE CURRENT SYSGEN> EXIT $ @SHUTDOWN |
70,000 ブロックのダンプ・ファイル・サイズは,約 32 MB のメモリに対応できるだけの十分なサイズです。このサイズは通常,システム障害を分析するのに必要な情報を格納できるだけの十分な大きさです。
システムをリブートした後,SYSDUMP.DMP は消去してもかまいません。
10.8.2 ダンプ・ファイルの共用
ダンプ・ファイルの領域を節約するためのもう 1 つの方法として,複数のコンピュータ間で 1 つのダンプ・ファイルを共用する方法があります。この方法では,切り分けられたコンピュータ障害を分析することができます。しかし,複数のコンピュータで同時に障害が発生したり,最初の障害を分析する前に,2 台目のコンピュータで障害が発生した場合,ダンプは失われます。ブート・サーバの障害は,他のコンピュータの障害より,クラスタ操作に大きな影響を与えるため,問題をスピーディに分析することができるように,ブート・サーバではフル・ダンプ・ファイルを構成しなければなりません。
VAX システムで Alpha コンピュータとダンプ・ファイルを共用することはできず,その逆も同様です。しかし,1 つのダンプ・ファイルを複数の Alpha コンピュータで共用し,別のダンプ・ファイルを VAX コンピュータで共用することは可能です。各オペレーティング・システムに対して,以下の操作を行います。
ステップ | 操作 |
---|---|
1 | フル・ダンプ・ファイルを使用するのか,選択型ダンプ・ファイルを使用するのかを判断する。 |
2 | サテライトで必要とされる最大ダンプ・ファイルのサイズを判断する。 |
3 | クラスタ内でメモリ構成が最大のサテライトを選択し,以下の操作を実行する。
|
4 | ダンプ・ファイルの名前を SYS$COMMON:[SYSEXE]SYSDUMP-COMMON.DMP に変更するか,または SYSDUMP-COMMON.DMP という新しいダンプ・ファイルを SYS$COMMON:[SYSEXE]に作成する。 |
5 | ダンプ・ファイルを共用する各サテライトに対して,以下の操作を実行する。
|
6 | ダンプ・ファイルを所有している各システムで,元のシステム固有のダンプ・ファイルの名前を変更する。
$ RENAME SYS$SYSDEVICE:[SYS n.SYSEXE]SYSDUMP.DMP .OLD コマンド・ラインの n の値は,各システムのルートである (たとえば SYS0 や SYS1)。システムがリブートされるときに,オペレーティング・システム・ソフトウェアがそのファイルをダンプ・ファイルとして使用しないように,ファイル名を変更する。 |
7 | 各ノードをリブートして,新しい共通ダンプ・ファイルにマッピングできるようにする。オペレーティング・システム・ソフトウェアは,システムがリブートされるまで,クラッシュ・ダンプのために新しいファイルを使用することができない。 |
8 | リブートした後,各システム固有のルートから SYSDUMP.OLD ファイルを削除する。SYSDUMP.DMP というファイルを削除してはならない。このファイルの名前を変更し,リブートした後,ステップ 6 とステップ 7 の説明に従ってファイルを削除する。 |
10.9 OpenVMS Cluster メンバーシップの整合性の管理
複数の LAN クラスタおよび複合インターコネクト・クラスタが 1 つの拡張 LAN に共存するため,オペレーティング・システムでは個々のクラスタの整合性を確保し,登録されていないコンピュータがクラスタにアクセスするのを防止するような機能を提供しています。
以下の機能は,クラスタの整合性を確保できるように設計されています。
クラスタ・グループ番号とパスワードの目的は,登録されていないコンピュータがクラスタに誤ってアクセスするのを防止することです。通常の状況では,システム管理者はインストール時,または CLUSTER_CONFIG.COM を実行して ( 例 8-11 を参照), OpenVMS Cluster システム内で動作するようにスタンドアロン・コンピュータを変換するときに,クラスタ・グループ番号とパスワードを指定します。
OpenVMS Cluster システムでは,これらの機能を使用して,クラスタの整合性を保護し,以下のような状況で発生する可能性のある問題を防止しています。
関連項目: これらの機能の詳細については, 第 10.9.1 項 と 第 8.2.1 項 を参照してください。
10.9.1 クラスタ・グループ・データ
クラスタ登録ファイル SYS$COMMON:[SYSEXE]CLUSTER_AUTHORIZE.DAT には,クラスタ・グループ番号と (スクランブル形式の) クラスタ・パスワードが格納されます。 CLUSTER_AUTHORIZE.DAT ファイルは,SYSPRV 特権を持つユーザだけがアクセスできます。
通常の状況では,CLUSTER_AUTHORIZE.DAT ファイル内のレコードを会話方式で変更する必要はありません。しかし,セキュリティがおかされている疑いがある場合は,クラスタ・パスワードを変更しなければなりません。その場合には,SYSMAN ユーティリティを使用して,パスワードを変更します。
クラスタ・パスワードを変更するには,以下の操作を実行します。
ステップ | 操作 |
---|---|
1 | SYSMAN ユーティリティを起動する。 |
2 | システム管理者としてブート・サーバにログインする。 |
3 | 以下のコマンドを入力する。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN |
4 | SYSMAN> プロンプトに対して,以下のいずれかの CONFIGURATION コマンドを入力する。
|
5 | 構成に複数のシステム・ディスクが含まれている場合は,各ディスクに CLUSTER_AUTHORIZE.DAT のコピーが必要である。SYSMAN ユーティリティを実行して,すべてのコピーを更新しなければならない。 |
警告: グループ番号またはパスワードを変更する場合は,クラスタ全体をリブートしなければならない。操作方法については, 第 8.6 節 を参照。 |
10.9.2 例
例 10-4 は,SYSMAN ユーティリティを使用してクラスタ・パスワードを変更する方法を示しています。
例 10-4 クラスタ・パスワードを変更するための SYSMAN セッションの例 |
---|
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER %SYSMAN-I-ENV, current command environment: Clusterwide on local cluster Username SYSTEM will be used on nonlocal nodes SYSMAN> SET PROFILE/PRIVILEGES=SYSPRV SYSMAN> CONFIGURATION SET CLUSTER_AUTHORIZATION/PASSWORD=NEWPASSWORD %SYSMAN-I-CAFOLDGROUP, existing group will not be changed %SYSMAN-I-CAFREBOOT, cluster authorization file updated The entire cluster should be rebooted. SYSMAN> EXIT $ |
LAN 構成の最大パケット・サイズは, NISCS_MAX_PKTSZ システム・パラメータを使用して調整できます。
10.10.1 LAN の場合のシステム・パラメータの設定
OpenVMS バージョン 7.3 から,オペレーティング・システム (PEdriver) は,システムに接続されているすべての仮想サーキットの最大パケット・サイズを自動的に検出します。システムのインターコネクトの最大パケット・サイズが,デフォルトのパケット・サイズ設定よりも小さい場合, PEdriver はデフォルトのパケット・サイズを自動的に縮小します。
OpenVMS の前のバージョン (VAX ではバージョン 6.0 〜 7.2,Alpha ではバージョン 1.5 〜 7.2-1) では, NISCS_MAX_PKTSZ パラメータの値を,イーサネット・クラスタの場合は 1498 に, FDDI クラスタの場合は 4468 に設定しなければなりませんでした。
10.10.2 NISCS_MAX_PKTSZ の使用方法
このパラメータの現在値,デフォルト値,最小値,および最大値を取得するには,次のコマンドを実行します。
$ MC SYSGEN SHOW NISCS_MAX_PKTSZ |
NISCS_MAX_PKTSZ を使用してパケット・サイズを縮小すると,メモリ消費を少なくすることができます。しかし,パケット・サイズを縮小すると,ある量のデータを送信するのにより多くのパケットが必要になるため,ブロック・データ転送により CPU 使用率が増大することもあります。ロック・メッセージ・パケットは最小値よりも小さいため, NISCS_MAX_PKTSZ の設定はロック機能の性能には影響しません。
すべての LAN パスで最小のパケット・サイズの LAN パスにあわせた共通のパケット・サイズを使うように, NISCS_MAX_PKTSZ を用いることもできます。共通のパケット・サイズを使用すれば,低速でパケット・サイズの小さいネットワークにフェールダウンした時に,パケット・サイズの縮小による VC 封鎖を回避することができます。
ワークステーションなどのメモリに制約があるシステムで,巨大パケットを使用する FDDI またはギガビット・イーサネットのような大きいサイズのパケットを使うネットワーク・パスへのアダプタがある場合, NISCS_MAX_PKTSZ パラメータの値を縮小して,メモリを大切に使ってください。
10.10.3 パラメータ・ファイルの編集
NISCS_MAX_PKTSZ パラメータの値を変更する場合は,変更されたパケット・サイズを AUTOGEN が計算で反映できるように,SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]MODPARAMS.DAT ファイルを編集します。
10.11 プロセス・クォータの判断
Alpha システムでは,SYSUAF.DAT に登録されているプロセス・クォータのデフォルト値が,VAX システムの SYSUAF.DAT のデフォルト値より大きな値であることがよくあります。このような場合,OpenVMS Cluster の Alpha システムまたは VAX システムで実行される可能性のあるプロセスに対して,値をどのように設定すればよいでしょうか。デュアル・アーキテクチャ OpenVMS Cluster 構成でプロセスが生成されるときに,クォータがプロセスにどのように割り当てられるかを理解しておけば,この作業を管理するのに役立ちます。
10.11.1 クォータ値
新しいプロセスで使用されるクォータは, OpenVMS LOGINOUT ソフトウェアによって決定されます。 LOGINOUT は,OpenVMS Alpha システムと OpenVMS VAX システムで同じように動作します。ユーザがログインし,プロセスが起動されると,LOGINOUT は以下の 2 つの値のうち,大きい方の値を使用します。
例: LOGINOUT は,アカウントの ASTLM プロセス上限の値 (共通の SYSUAF.DAT に定義されている値) を, OpenVMS Cluster 内のホスト Alpha システムまたはホスト VAX システムの PQL_MASTLM システム・パラメータの値と比較します。
10.11.2 PQL パラメータ
PQL_M の M という英字は,minimum を表します。 PQL_Mquota システム・パラメータは,クォータの最小値を設定します。以下の編集後の SYSMAN 表示の Current と Default というカラムで,ほとんどの場合,各 PQL_Mquota パラメータの現在の値が,システムで定義されているデフォルト値より大きくなっていることに注意してください。以下の表示は Alpha の場合の例です。 VAX システムの場合の同様の SYSMAN 表示では,Unit カラムに "Pagelets" の代わりに "Pages" が表示されます。
SYSMAN> PARAMETER SHOW/PQL |
%SYSMAN-I-USEACTNOD, a USE ACTIVE has been defaulted on node DASHER Node DASHER: Parameters in use: ACTIVE Parameter Name Current Default Minimum Maximum Unit Dynamic -------------- ------- ------- ------- ------- ---- ------- PQL_MASTLM 120 4 -1 -1 Ast D PQL_MBIOLM 100 4 -1 -1 I/O D PQL_MBYTLM 100000 1024 -1 -1 Bytes D PQL_MCPULM 0 0 -1 -1 10Ms D PQL_MDIOLM 100 4 -1 -1 I/O D PQL_MFILLM 100 2 -1 -1 Files D PQL_MPGFLQUOTA 65536 2048 -1 -1 Pagelets D PQL_MPRCLM 10 0 -1 -1 Processes D PQL_MTQELM 0 0 -1 -1 Timers D PQL_MWSDEFAULT 2000 2000 -1 -1 Pagelets PQL_MWSQUOTA 4000 4000 -1 -1 Pagelets D PQL_MWSEXTENT 8192 4000 -1 -1 Pagelets D PQL_MENQLM 300 4 -1 -1 Locks D PQL_MJTQUOTA 0 0 -1 -1 Bytes D |
この表示で,多くの PQL_Mquota パラメータの値は,デフォルト値から現在の値に増えています。通常,システムでフィードバック付きの AUTOGEN が定期的に実行されると,このような状況が発生します。もちろん,MODPARAMS.DAT または SYSMAN で値を変更することにより, PQL_Mquota の値が変化する場合もあります。 VAX コンピュータと Alpha コンピュータの両方を含む OpenVMS Cluster で,共通の SYSUAF.DAT を使用することを検討している場合は, PQL_Mquota パラメータが動的に変化する性質を持っていることを忘れないようにしてください。
前へ | 次へ | 目次 | 索引 |