OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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8.1.2 クラスタ構成プロシージャから要求されるデータ

以下の表は,クラスタ構成コマンド・プロシージャから出力される質問と,各質問への応答方法を示しています。この表はまた,プロシージャを起動する前に,質問に対する応答を準備する際にも利用できます。

質問の多くは構成に応じて異なるため, 表 8-3 では,出力される順ではなく,構成の種類に応じて質問が並べられています。

表 8-3 CLUSTER_CONFIG_LAN.COM および CLUSTER_CONFIG.COM から要求されるデータ
必要な情報 指定または取得方法
すべての構成
ルート・ディレクトリが作成されるクラスタ・システム・ディスクのデバイス名 SYS$SYSDEVICE: 論理名の変換であるデフォルト・デバイス名をそのまま使用するときは,Return キーを押す。または共通システム・ディスクを指す論理名を指定する。
クラスタ・システム・ディスクに登録されているコンピュータのルート・ディレクトリ名 プロシージャから提供されるデフォルトをそのまま使用するときは,Return キーを押す。または SYS x という形式で名前を指定する。

  • システム・ディスクに直接アクセスできるコンピュータの場合, x は 1〜9 または A〜D の 16 進数である (たとえば,SYS1 や SYSA)。

  • サテライトの場合, x は 10〜FFFF の値でなければならない。

ワークステーション・ウインドウ・システム システム管理者が指定する。ワークステーション・ソフトウェアは,ワークステーション・サテライトを追加する前にインストールしなければならない。インストールしていないと,インストールされていないことがプロシージャから示される。
ページ・ファイルとスワップ・ファイルの場所とサイズ この情報は,コンピュータをクラスタに追加する場合にだけ要求される。デフォルトのサイズと場所をそのまま使用する場合は,Return キーを押す (プロシージャから表示される角括弧で囲まれたデフォルト・サイズは最小値である。デフォルトの場所はクラスタ・システム・ディスクのデバイス名である)。

構成にサテライト・ノードが含まれる場合は,サテライトのページ・ファイルとスワップ・ファイルをサテライトのローカル・ディスクに格納することで (このようなディスクを使用可能な場合),パフォーマンスを向上できる。パフォーマンスを向上できるかどうかは,OpenVMS Cluster システム・ディスクとネットワークの構成に応じて異なる。

サテライトのローカル・ディスクにページ・ファイルとスワップ・ファイルを設定する場合,クラスタ構成プロシージャはブート・サーバのシステム・ディスクのサテライトの [SYS n.SYSEXE] ディレクトリに SATELLITE_PAGE.COM というコマンド・プロシージャを作成する。SATELLITE_PAGE.COM プロシージャは以下の機能を実行する。

  • node-name_SCSSYSTEMID という形式で,クラスタ内で固有のボリューム・ラベルを使用して,サテライトのローカル・ディスクをマウントする。

    関連項目: ボリューム・ラベルの変更方法については, 第 8.6.5 項 を参照。

  • ページ・ファイルとスワップ・ファイルをサテライトのローカル・ディスクにインストールする。

注意: シャドウイングされたページ・ディスクおよびスワップ・ディスクには,新しく追加されたノードに,専用の "ローカル" ディスク (つまり,ホスト・ベースのシャドウイング・ディスク (DS xxx),またはホスト・ベースの RAID ディスク (DP xxxx),または DECram ディスク (MDA xxxx)) をマウントするように,適切な構文で SATELLITE_PAGE.COM に MOUNT および INIT コマンドを編集する必要があります。 CLUSTER_CONFIG(_LAN).COM では,SHADOW,RAID,または DECram ディスクに必要な MOUNT および INIT コマンドを作成しません。

注意: サテライトのページ・ファイルとスワップ・ファイルを (たとえばサテライトのローカル・ディスクからブート・サーバのシステム・ディスクへあるいはその逆へ) 移動したり,ファイル・サイズを変更するには,以下の操作を行う。

  1. 以下に示すように,新しい PAGE ファイルと SWAP ファイルを共用ディスクに作成する。
    $ MCR SYSGEN CREATE
    device:[dir] PAGEFILE.SYS/SIZE=
    block-count
    

    注意: ページ・ファイルとスワップ・ファイルがシャドウ・セットに対して作成される場合は,それに応じて SATELLITE_PAGE を編集しなければならない。

  2. SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]PAGEFILE.SYS と SWAPFILE.SYS ファイルの名前を PAGEFILE.TMP および SWAPFILE.TMP に変更する。

  3. リブートし,.TMP ファイルを削除する。

  4. ファイルをロードするように, SYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COM プロシージャを変更する。

ローカル・コンピュータの割り当てクラス (ALLOCLASS またはTAPE_ALLOCLASS) パラメータの値 ALLOCLASS パラメータは,ノード割り当てクラスに対して使用でき,Alpha コンピュータではポート割り当てクラスに対しても使用できる。割り当てクラスの指定の詳細については, 第 6.2.1 項 を参照。
クォーラム・ディスクの物理デバイス名 システム管理者が指定する。
DECnet for OpenVMS を実行しているシステム
コンピュータの DECnet フェーズ IV のノード・アドレス DECnet ノード・アドレスに関しては,以下の方法で取得する。

  • コンピュータを追加する場合は,ネットワーク管理者がアドレスを指定する。

  • コンピュータを削除する場合は, SHOW NETWORK コマンドを使用する ( 表 8-2 を参照)。

コンピュータの DECnet ノード名 ネットワーク管理者が指定する。名前は 1〜6 文字の英数字でなければならず,ドル記号($) とアンダスコア(_) を使用することは できない
DECnet-Plus を実行するシステム
コンピュータの DECnet フェーズ IV ノード・アドレス (フェーズ IV 互換性が必要な場合) DECnet ノード・アドレスに関しては,以下の方法で取得する。

  • コンピュータを追加する場合は,ネットワーク管理者がアドレスを指定する。

  • コンピュータを削除する場合は, SHOW NETWORK コマンドを使用する ( 表 8-2 を参照。)

ノードの DECnet フルネーム ネットワーク管理者に支援してもらってフルネームを判断する。以下の要素で構成される文字列を入力する。

  • ネームスペース名とコロン (:)。これは省略可能である。

  • ピリオド (.) によって指定されるルート・ディレクトリ。

  • 0 以上の階層ディレクトリ。文字列とピリオド (.) によって指定される。

  • 単純名とディレクトリ名の組み合わせによって,ノードが一意に識別される。以下の例を参照。
    .SALES.NETWORKS.MYNODE
    MEGA:.INDIANA.JONES
    COLUMBUS:.FLATWORLD

このノードの SCS ノード名 OpenVMS Cluster ノード名を入力する。この名前は 6 文字以下の英数字文字列である。
DECnet 同意語 DECnet 同意語を定義するときは Return キーを押す。これはノードのフルネームの短縮名である。それ以外の場合は N と入力する。
このノードの同意名 6 文字以下の英数字文字列を入力する。デフォルト設定では,フルネームの最後の単純名の最初の 6 文字である。以下の例を参照。
+フルネーム: BIGBANG:.GALAXY.NOVA.BLACKHOLE
同意名: BLACKH

注意: ノードの同意名が OpenVMS Cluster ノード名と同じである必要はない。

このノードの MOP サービス・クライアント名 ノードがブート・サーバとして構成される場合,ノードの MOP サービス・クライアントの名前を入力する。デフォルト設定では,OpenVMS Cluster ノード名である (たとえば SCS ノード名)。この名前が OpenVMS Cluster ノード名と同じである必要はない。
サテライト・ブートのために TCP/IP または LANCP ユーティリティ,もしくは両方を実行するシステム
コンピュータの SCS ノード名 (SCSNODE) と SCS システム ID (SCSSYSTEMID) これらのプロンプトについては, 第 4.2.3 項 を参照。システムが TCP/IP を実行している場合,クラスタ・ノード名 (SCSNODE) は TCP/IP ホスト名と一致する必要がないため,プロシージャから TCP/IP ホスト名を要求しない。 TCP/IP ホスト名は 7 文字以上とし,一方, SCSNODE 名は 6 文字以下とする。システムが DECnet と IP の両方を実行している場合,プロシージャは DECnet のデフォルトを使用する。
LAN 構成
クラスタ・グループ番号とパスワード この情報は,CHANGE オプションを選択した場合にだけ要求される。クラスタ・グループ番号とパスワードの割り当ての詳細については, 第 2.5 節 を参照。
サテライトの LAN ハードウェア・アドレス アドレスは xx-xx-xx-xx-xx-xx という形式である。ハードウェア・アドレスを指定する場合は,ハイフンも指定しなければならない。以下のように指定する。

  • ++Alpha システムでは,サテライトのコンソールから以下のコマンドを入力する。
     >>> SHOW NETWORK
    

    SHOW CONFIG コマンドを使用することもできる。

  • +MicroVAX II および VAXstation II サテライト・ノードの場合。ブート・サーバで DECnet for OpenVMS ネットワークが実行されている場合は,サテライトのコンソールから以下のコマンドを入力する。
     >>> B/100 XQA0
    
    Bootfile: READ_ADDR

  • +MicroVAX 2000 および VAXstation 2000 サテライト・ノードの場合。 DECnet for OpenVMS ネットワークがブート・サーバで実行されている場合は,連続して出力されるコンソール・モード・プロンプトに対して,以下のコマンドを入力する。
     >>> T 53
    
    2 ?>>> 3
    >>> B/100 ESA0
    Bootfile: READ_ADDR

    2 番目に表示されるプロンプトが 3 ?>>> の場合は, Return キーを押す。

  • +MicroVAX 3 xxx および 4 xxx シリーズのサテライト・ノードの場合は,サテライトのコンソールから以下のコマンドを入力する。
     >>> SHOW ETHERNET
    


+DECnet-Plus のフルネーム機能は VAX 固有である。
++Alpha 固有。

8.1.3 プロシージャの起動

必要な準備が完了した後,クラスタ構成プロシージャを起動して, OpenVMS Cluster システムを構成できます。システム管理者・アカウントにログインし,デフォルトが SYS$MANAGER であることを確認します。その後,以下に示すように DCL コマンド・プロンプトに対してプロシージャを起動します。


$ @CLUSTER_CONFIG_LAN

または


$ @CLUSTER_CONFIG

警告: 複数のセッションを同時に起動しないでください。クラスタ構成セッションは一度に 1 つだけ実行できます。

どちらのプロシージャも,起動されると,以下の情報およびメニューを表示します (この時点での CLUSTER_CONFIG_LAN.COM と CLUSTER_CONFIG.COM の相違点は,表示されるコマンド・プロシージャ名だけです)。選択したメニュー・オプションに応じて,各プロシージャで会話しながら構成情報が求められます ( 表 8-3 の説明に従って,応答をあらかじめ準備しておいてください)。


                 Cluster Configuration Procedure 
 
    Use CLUSTER_CONFIG.COM to set up or change an OpenVMS Cluster configuration. 
    To ensure that you have the required privileges, invoke this procedure 
    from the system manager's account. 
 
    Enter ? for help at any prompt. 
 
            1. ADD a node to the cluster. 
            2. REMOVE a node from the cluster. 
            3. CHANGE a cluster member's characteristics. 
            4. CREATE a second system disk for JUPITR. 
            5. MAKE a directory structure for a new root on a system disk. 
            6. DELETE a root from a system disk. 
 
    Enter choice [1]: 
   .
   .
   .

この章では,クラスタ構成プロシージャを実行する方法を示すために,多くのサンプル・セッションを用意しています。 CLUSTER_CONFIG_LAN.COM プロシージャと CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャは Alpha システムと VAX システムの両方で同じように機能しますが,使用するコンピュータ・システムの種類に応じて,表示される質問や形式が少し異なることがあります。

8.2 コンピュータの追加

ほとんどの場合,OpenVMS Cluster のアクティブ・コンピュータで CLUSTER_CONFIG_LAN.COM または CLUSTER_CONFIG.COM を起動し,ADD 機能を選択して,コンピュータを OpenVMS Cluster のメンバとして有効にします。しかし,状況によっては,コンピュータを追加するために追加ステップを実行しなければならないことがあります。必要な操作を判断するには, 表 8-4 の説明を参照してください。

表 8-4 OpenVMS Cluster にコンピュータを追加するための準備
場合 操作
OpenVMS Cluster に最初のサテライト・ノードを追加する場合。 以下の操作を実行する。

  1. クラスタ・ブート・サーバとして有効にするコンピュータにログインする。

  2. クラスタ構成プロシージャを起動し, 第 8.4 節 の説明に従って CHANGE 機能を実行し,ローカル・コンピュータをブート・サーバとして有効にする。

  3. CHANGE 機能が終了した後,ADD 機能を実行してサテライトをクラスタに追加する。

クラスタが DECdtm サービスを使用する場合。 クラスタにコンピュータを追加したときに,そのコンピュータのトランザクション・ログを作成しなければならない。トランザクション・ログの作成方法については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』の DECdtm サービスの章を参照。
クラスタ共通システム・ディスクからブートされる CI で接続されたコンピュータを追加する場合。 コンピュータをクラスタにブートする前に,そのコンピュータの新しいデフォルト・ブートストラップ・コマンド・プロシージャを作成しなければならない。この方法については,各コンピュータのインストール/操作ガイドを参照。
複数の共通システム・ディスクを使用するクラスタにコンピュータを追加する場合。 コンピュータが追加される各システム・ディスクに対して異なるデバイス名を使用しなければならない。この理由から,クラスタ構成プロシージャはデフォルト・デバイス名として,ローカル・システムの SYS$SYSDEVICE: の論理ボリューム名 (たとえば DISK$MARS_SYS1) を表示する。

異なるデバイス名を使用すると,システム・ディスクに同じ名前のルートが含まれる場合でも,追加する各コンピュータが固有のルート・ディレクトリ指定を持つようになる。たとえば, DISK$MARS_SYS1:[SYS10] と DISK$MARS_SYS2:[SYS10]。

ボーツ・メンバをクラスタに追加する場合。 ADD 機能が終了した後, 第 8.6 節 の説明に従ってクラスタを再構成しなければならない。

警告: ADD 機能が完了する前に,ローカル・コンピュータまたは新しいコンピュータで障害が発生した場合は,正常な状態に復旧した後,REMOVE オプションを使用して不正なデータを消去し,ADD オプションを再起動しなければなりません。 REMOVE オプションについては, 第 8.3 節 を参照してください。

8.2.1 会話型ブートストラップ操作の制御

クラスタ構成コマンド・プロシージャを使用してサテライトをクラスタに追加する場合,サテライトに対して会話型ブートストラップ操作を許可するかどうかがプロシージャから質問されます (デフォルトは No)。

デフォルトを選択すると,サテライトのシステム・パラメータ・ファイルの NISCS_CONV_BOOT システム・パラメータは 0 に設定されたままになり,会話型ブートストラップ操作は無効になります。パラメータ・ファイル (Alpha システムの場合は ALPHAVMSSYS.PAR,VAX システムの場合は VAXVMSSYS.PAR) は,ブート・サーバのシステム・ディスクのサテライトのルート・ディレクトリにあります (device:[SYSx.SYSEXE])。このパラメータを 1 に設定すれば,いつでも特定のサテライトに対して会話型ブートストラップ操作を有効にできます。

例:

デバイス $1$DJA11 のルート 10 からブートされる OpenVMS VAX サテライトに対してこのような操作を有効にするには,以下の操作を実行します。

ステップ 操作
1 ブート・サーバでシステム管理者としてログインする。
2 +VAX システムでは, System Generation ユーティリティ (SYSGEN) を起動し,以下のコマンドを入力する。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN

SYSGEN> USE $1$DJA11:[SYS10.SYSEXE]VAXVMSSYS.PAR
SYSGEN> SET NISCS_CONV_BOOT 1
SYSGEN> WRITE $1$DJA11:[SYS10.SYSEXE]VAXVMSSYS.PAR
SYSGEN> EXIT
$
  ++Alpha サテライトでは,同じコマンドを入力するが,VAXVMSSYS.PAR の代わりに ALPHAVMSSYS.PAR と入力する。
3 サテライトの MODPARAMS.DAT ファイルを編集し, NISCS_CONV_BOOT を 1 に設定する。


+VAX 固有
++Alpha 固有


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