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7 セットアップ・モジュールおよび装置制御ライブラリの作成

7.1 セットアップ・モジュールの概要

セットアップ・モジュールは,プリント・ジョブの文書の外観を修正したりプリント・ ジョブ内の命令を再定義する命令を含むファイルです。

PRINTコマンドの/SETUP修飾子を指定することで,プリント・ジョブにセットアップ・ モジュールを含めることができます。次の例では,600 dpiの解像度を指定するセットアップ・ モジュールを使用しています。

$ PRINT/QUEUE=LPS32$2SIDES/SETUP=RES_600X600 IMAGE.PS
フォーム(第8章を参照)を使用することで, プリント・ ジョブに暗黙のうちにセットアップ・モジュールを含めることもできます。

7.2 セットアップ・モジュールの位置

DECprint Supervisor for OpenVMSには各種のセットアップ・ モジュールが組み込まれており,インストレーション時に次の装置制御ライブラリに置かれます。

SYS$LIBRARY:DCPS$DEVCTL.TLB

セットアップ・モジュールの一覧を表示するには,次のコマンドを使用します。

$ LIBRARY/LIST SYS$LIBRARY:DCPS$DEVCTL.TLB
次の例のようなセットアップ・モジュールの一覧が表示されます。
DCW1000_DISPLAY
DCW1000_ENHANCED
DCW1000_HIGHRES
LPS$$APPLE360_INITPSDEVICE
LPS$$APPLE360_SETINPUTTRAY
RES_1200X1200
RES_1200X600

注意
セットアップ・モジュールあるいは装置制御モジュールを変更してはなりません。

いくつかのセットアップ・モジュールは特定のプリンタ専用に作成されています。 これらのセットアップ・モジュールは,そのファイル名にプリンタ名が含まれています。 たとえば,セットアップ・モジュールのDL3500_RET_DARK は,DEClaser 3500プリンタ用です。


注意
標準で提供される装置制御ライブラリの内容を変更してはなりません。

7.2.1 カスタム・セットアップ・モジュールの位置

カスタム・セットアップ・モジュールは特殊な装置制御ライブラリにまとめて,.TLB ( テキスト・ライブラリ)ファイルという名前でSYS$LIBRARYに置かれなければなりません。 次のコマンドは,SYS$LIBRARYにあるすべてのテキスト・ ライブラリの一覧を表示します。どのサブセットがDCPSで使用される特殊な装置制御ライブラリであるかを判定するには, システムのDCPSプリント・ キューの/LIBRARY修飾子に対応したライブラリおよびライブラリ検索リストと.TLB ファイル名との関係を調べてください。
$ DIRECTORY SYS$LIBRARY:*.TLB

7.2.2 セットアップ・モジュールの内容の表示

セットアップ・モジュールに含まれている命令を見るには,次の手順に従ってください。

  1. 装置制御ライブラリからセットアップ・モジュールを抽出します。 次の例では,DCPS$DEVCTL.TLB からセットアップ・モジュールDI_ONを抽出し, ユーザ・ディレクトリでファイル名をMYSETUP.TXTに変更します。
    $ LIBRARY/EXTRACT=(DI_ON)/OUT=MYSETUP SYS$LIBRARY:DCPS$DEVCTL.TLB
    

  2. TYPEコマンドあるいはエディタを使用して,そのファイルの内容を表示させます。
    $ TYPE MYSETUP.TXT
    
    このセットアップ・モジュールDI_ONはDECimageを有効とするもので,次の命令を含んでいます。
    %!
    
    % ~~~~~~~~~~ DI_on ~~~~~~~~~~
    statusdict begin false setDECimage end
    systemdict /languagelevel known {languagelevel} {1} ifelse
    2 ge {currentpagedevice /Install get exec} if
    statusdict begin true setDECimage end
    % ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    

    注意

    いくつかのセットアップ・モジュールは,TYPE コマンドを使用しても表示することのできないエスケープ・シーケンスあるいはグラフィックスを含んでいる場合があります。 そのようなモジュールについては, 抽出したファイルに対してDUMP/RECORDコマンドを実行することができます。


7.3 カスタム・セットアップ・モジュールの作成

異なるデータ・タイプを持つプリント・ジョブに影響を与えるセットアップ・ モジュールを作成することができます。いくつかのセットアップ・モジュールはANSI プリント・ジョブを処理し,別のものはPostScriptジョブに影響を与えます。 サポートする任意のデータ・タイプについてのセットアップ・ モジュールを作成することができます。

注意:

7.4 装置制御ライブラリの作成

ユーザがセットアップ・モジュールをアクセスできるように設定するには, 装置制御ライブラリを作成し,モジュールをそのライブラリに登録しなければなりません。 各データ・タイプのセットアップ・モジュールに対して異なるライブラリを使用してください。 異なるデータ・タイプのセットアップ・ モジュールを同じライブラリに登録しないでください。ANSI,PCL, Proprinter,PostScriptファイルのためのライブラリを作成することができます。


注意
セットアップ・モジュールを標準的なDCPS$DEVCTL ライブラリに登録してはなりません。DECprint Supervisorソフトウェアをアップグレードした場合,DCPS$DEVCTL ライブラリに登録されたカスタム・ セットアップ・モジュールは削除されるからです。

セットアップ・モジュールを登録するライブラリを作成するには,次のコマンドを使用します。

$ LIBRARY/CREATE/TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]library-name.TLB
ライブラリの名前としてlibrary-nameを指定してください。

次のコマンドは固有のPostScriptセットアップ・モジュールを登録するために,PS1 という新しいPostScript装置制御ライブラリを作成します。

$ LIBRARY/CREATE/TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]PS1.TLB
詳細は,『OpenVMS Librarian Utility Manual』を参照してください。

7.4.1 ライブラリへのセットアップ・モジュールの登録

セットアップ・モジュールを装置制御ライブラリに登録するには,次のコマンドを使用します。
$ LIBRARY/INSERT SYS$LIBRARY:library-name.TLB module-name
このコマンドに次の情報を指定してください。

library-name ライブラリの名前
module-name セットアップ・モジュールの名前

次のコマンドは,CONFIDENTIAL.PSというPostScriptセットアップ・モジュールをPS1.TLB というPostScript装置制御ライブラリに登録し,セットアップ・ モジュールの名前をCONFIDENTIALとして指定します。

$ LIBRARY/INSERT SYS$LIBRARY:PS1.TLB CONFIDENTIAL.PS
次のコマンドは,A4_PAGE.TXTというANSIセットアップ・モジュールをANSI1.TLB というANSI装置制御ライブラリに登録し,セットアップ・モジュールの名前をA4_PAGE に設定します。
$ LIBRARY/INSERT SYS$LIBRARY:ANSI1.TLB A4_PAGE.TXT

7.4.2 ライブラリ検索リストの指定

装置制御ライブラリが複数ある場合には,SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP.COM内のライブラリの検索リストを設定しなければなりません。 検索リストは検索する装置制御ライブラリと検索順序を指定します。

例 7-1に,装置制御ライブラリの検索リストを示します。

例 7-1 装置制御ライブラリの検索リスト

$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG DCPS_LIB -
         DCPS$DEVCTL,-
         "PS1/DATA_TYPE=POSTSCRIPT",-
         "ANSI1/DATA_TYPE=ANSI",-
         PS2
例 7-1では,ソフトウェアは次の動作をします。

  1. 標準装置制御ライブラリDCPS$DEVCTLから必要なセットアップ・ モジュールおよび/SETUPあるいは/FORMで指定されたセットアップ・モジュールを検索します。

  2. PostScriptライブラリPS1から,標準装置制御ライブラリで見つからなかった指定されたセットアップ・ モジュールを検索します(PostScript セットアップ・モジュールは任意のタイプのファイルで使用されるため, セットアップ・モジュールの検索時にはPostScript装置制御ライブラリは常に検索されます) 。

  3. プリント・ジョブがANSIである場合,ANSI1と呼ばれるライブラリから検索されます。

  4. プリント・ジョブがANSI以外のデータ・タイプである場合,ANSI1ライブラリではなくPostScript ライブラリのPS2から検索されます。
ライブラリ論理名および検索リストを定義するには,次の手順にしたがってください。

  1. DCPS$STARTUP.COMを編集して,次の行を追加します。

    コマンド行
    $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG -
        logical-name -
        search-list
    
    $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG DCPS_LIB -
        DCPS$DEVCTL,-
        "PS1/DATA_TYPE=POSTSCRIPT",-
        "ANSI1/DATA_TYPE=ANSI",-
        PS2
    

    コマンド行には,次の情報を記述します。

    logical-name:

    ライブラリ名のリストに展開される論理名を使用します。この論理名は実行キューの定義( パラメータp3)にも指定しなければなりません。

    search-list:

    検索するライブラリのリストを追加します。ライブラリを追加する場合は, 次のガイドラインを使用してください。

  2. 新しいライブラリを有効とするには,実行キューを停止させた後に再起動します( 既存のライブラリにセットアップ・モジュールを追加した場合は, キューを再初期化する必要はありません)。

7.4.3 キューを起動するために必要な装置制御ライブラリ

キューを起動するには,キュー用に指定されたすべての装置制御ライブラリが存在していなければなりません。 たとえば,次の論理名でキューが定義されている場合は,SYS$LIBRARY:DCPS$DEVCTL.TLB ,SYS$LIBRARY:ANSI.TLB, SYS$LIBRARY:PS.TLBのすべてのライブラリがテキスト・ライブラリとして存在している必要があります。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS_LIB -
    DCPS$DEVCTL, -
    "ANSI/DATA_TYPE=ANSI", -
    "PS/DATA_TYPE=POSTSCRIPT"

7.4.4 アップグレード時のカスタム・セットアップ・ モジュールの保存

DECprint Supervisorソフトウェアをインストールすると, 提供される装置制御ライブラリDCPS$DEVCTL.TLBの新しいバージョンが作成されます。 ソフトウェアのインストレーション時に古いファイルをパージした場合, 装置制御ライブラリの以前のコピーは削除されます( 詳細は『日本語DECprint Supervisor for OpenVMS インストレーション・ガイド』を参照してください)。

カスタム・セットアップ・モジュールを追加する場合には,新しいライブラリを作成し, そのライブラリをライブラリ検索リストで参照するようにしてください。 このようにすれば,プリンティング・ソフトウェアをアップグレードする際に, カスタム・セットアップ・モジュールを保存することができます。

DECprintプリンティング・サービスまたはPrintServer クライアント・ソフトウェアのアップグレード

DECprintプリンティング・サービス・ソフトウェアまたはPrintServerクライアント・ ソフトウェアは固有の装置制御ライブラリ(CPS$DEVCTL.TLB およびLPS$DEVCTL.TLB)を持っています。DECprint Supervisorにアップグレードした場合は,CPS$ およびLPS$ 装置制御ライブラリは使用されなくなります。これらのライブラリのいずれかにカスタム・ セットアップ・モジュールが含まれている場合は, 必要なモジユールを新しいライブラリに登録し,装置制御ライブラリ検索リストにそのライブラリを指定してください。

7.5 プリント・ジョブへのセットアップ・モジュールの指定

PRINTコマンドで/SETUP修飾子を使用することで,セットアップ・モジュールを指定することができます。

/SETUP修飾子を使用してプリント・ジョブにANSIセットアップ・モジュールを指定するには, 次のコマンド形式を使用してください。

$ PRINT/QUEUE=queue-name/SETUP=your-module-name print-file.TXT
間違ったコマンドを入力した場合,ファイルが印刷されるまでその間違いは検出されません。 ソフトウェアが直ちに間違いを検出できるようにするには, フォームにセットアップ・モジュールを含めるようにします。その命令については, 第8章を参照してください。

一般ユーザが頻繁にセットアップ・モジュールにアクセスする場合は,セットアップ・ モジュールを特定のキューに対応させることにより,そのキューに登録されたすべてのプリント・ ジョブが自動的にそのセットアップ・モジュールを使用して出力されるようにすることができます。 その命令については, 第8章を参照してください。

7.6 永続的なPostScript資源のロード


注意
この機能はデスクトップ・プリンタのみに適用されます。PrintServer プリンタについては,PrintServerソフトウェアを使用して資源が永続的にロードされます。

すべてのプリント・ジョブについてPostScriptコードをダウンロードすると, 印刷性能に悪い影響を与える可能性があります。この問題を解消するために, プリンタに常駐するモジュールをロードしておくことができます。

デスクトップ・プリンタにはLPS$PERSISTENT_RESOURCESモジュールが永続的にロードされます。 永続的なPostScriptモジュールを作成するには,次の手順にしたがってください。

  1. 次のコマンドを使用して,ユーザ固有のPostScriptセットアップ・ モジュール用の新しい装置制御ライブラリを作成します。
    $ LIBRARY/CREATE/TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]library-name.TLB
    

  2. SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP.COMファイルを編集して,検索リストに新しい装置制御ライブラリを登録します。DCPS スタートアップ・ファイルに次のコマンドを記入します。
    $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG DCPS_LIB DCPS$DEVCTL, "library-name/DATA=POST"
    

  3. そのセットアップ・モジュールをロードする各PostScriptプリンタ用の実行キューの定義のパラメータ3 に,装置制御検索リスト論理名として論理名DCPS_LIB が記入されていることを確認します。

  4. DCPS$STARTUP.COMファイルを保存します。

  5. 変更の影響を受けるプリンタについての各キューにSTOP/QUEUE/RESET コマンドを実行してキューを停止します。

  6. 新しいDCPS$STARTUP.COMファイルを実行します。

  7. 2つのプリント・ジョブを各プリンタに送信してプリント・キューをテストします。 プリンタに最初に送信されるプリント・ジョブについて,セットアップ・ モジュールがロードされます。第2のプリント・ジョブにもその設定が同様に有効である必要があります。

警告
永続的なセットアップ機能の間違った使用法により, 問題が発生する可能性があります。この機能を使用する場合は, 次の事項に注意してください。

  • 永続的にロードすることができるのは,PostScriptセットアップ・ モジュールだけです。 別のデータ・タイプを永続的にロードすることはできません。

  • セットアップ・モジュールがプリントの仮想メモリを超える可能性があります。 プリンタの異なるモジュールは異なる容量を持っています。たとえば, あまりに多くのフォントを持ったセットアップ・モジュールはプリンタの容量を超えてしまう可能性があります。

  • ネットワーク内の複数のノードから共有ネットワーク・プリンタを使用することができます。 印刷結果が異なることがないように,そのプリンタにアクセスするすべてのノードから同一のセットアップ・ モジュールがロードされることを確認してください。 異なるセットアップ・モジュールをロードする必要がある場合は, 各プリント・ジョブについて/SETUPあるいは/FORM 修飾子のいずれかを使用してください。

  • 永続的にロードされるセットアップ・モジュール内の不正なPostScript コードは,予測できない解cまた,プリンタの電源が落とされるまでコードがプリンタ内にそのまま存在するため, 異なるシステムからのプリント・ ジョブが異常終了して予測できない結果となり,問題の原因を特定することができなくなります。

7.7 PCLおよびProprinterプリント・ジョブ用の省略時の文字セットの変更

PCLファイルの省略時の文字セットはRoman-8です。Proprinterファイルの省略時の文字セットはコード・ セット437,文字セット1です。省略時の文字セットを変更するには, 次の手順にしたがってください。

  1. PCLセットアップ・モジュール,Proprinterモジュール,PostScrpit モジュールのそれぞれについて1つの装置制御ライブラリを作成します。 次のコマンドを使用してください。
    $ LIBRARY/CREATE/TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]PCL_LIB
    $ LIBRARY/CREATE/TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]PRO_LIB
    $ LIBRARY/CREATE/TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]PS_LIB
    

  2. 次のように,DCPS$STARTUP.COMを編集してこれらのライブラリを登録します。
    DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG DCPS_LIB DCPS$DEVCTL,
                                    "PCL_LIB/DATA=PCL",
                                    "PRO_LIB/DATA=PRO",
                                    PS_LIB)
    
    PostScript装置制御ライブラリ(PS_LIB)は検索リストの最後に登録されなければなりません。

  3. 次のセットアップ・モジュールを作成します。

    • DEF_CHAR_SET.PCLファイルは,PC-8デンマーク語/ノルウェー語の文字セットを選択します。
      <ESC>!`1P<ESC>(11U<ESC>!`0P
      
      <ESC> はエスケープ文字(10進数の27)と置き換えます。

    • DEF_CHAR_SET.PROファイルはコード・ページ850を選択します。
      <ESC>`<ETX><NUL><CR>R<ETX>
      

      • <ESC>はエスケープ文字(10進数の27)と置き換えます。

      • <ETX>はetx文字(10進数の3)と置き換えます。

      • <NULL>はnull文字(10進数の0)と置き換えます。

      • <CR>は改行文字(10進数の13)と置き換えます。

    • DEF_CHAR_SET.PS PostScriptファイルは,PCLでもProprinterでもない出力ファイルで使用されます。

  4. これらのモジュールを,次の例に示すようにLIBRARYコマンドを使用して適当な装置制御ライブラリ内に置きます。
    $ LIBRARY/INSERT/TEXT
    SYS$COMMON:[SYSLIB]PCL_LIB DEF_CHAR_SET.PCL
    
    $ LIBRARY/INSERT/TEXT
    SYS$COMMON:[SYSLIB]PRO_LIB DEF_CHAR_SET.PRO
    
    $ LIBRARY/INSERT/TEXT
    SYS$COMMON:[SYSLIB]PS_LIB DEF_CHAR_SET.PS
    

  5. セットアップ・モジュールとしてDEF_CHAR_SETを含むフォーム定義を作成します。 次のように,このフォームをプリンタの実行キューに対応させることができます。
    $ DEFINE/FORM DEF_CHAR_SET form_number -
      /SETUP=DEF_CHAR_SET/STOCK=DEFAULT
    
    キューに対するこの変更を永続的なものとするために,DCPS$STARTUP.COM ファイルの実行キュー定義にこのフォームを指定します。

7.8 セットアップ・モジュールを使用したプリンタ解像度の指定

次のセットアップ・モジュールを使用すると,PostScriptレベル2プリンタの解像度を操作することができます。

表 7-1 プリンタ解像度のセットアップ・モジュール

セットアップ・モジュール 説明
RES_300X300 横300 dpi,縦300 dpi
RES_600X300 横600 dpi,縦300 dpi
RES_600X600 横600 dpi,縦600 dpi (省略時の設定)
RES_1200X600 横1200 dpi,縦600 dpi
RES_1200X1200 横1200 dpi,縦1200 dpi


注意
すべての解像度がすべてのプリンタでサポートされているわけではありません。 指定した解像度での印刷ができないことをプリンタに通知させるには,PRINT コマンドに/NOTIFYスイッチを指定します。 指定された解像度での印刷ができない場合は,プリンタはそれよりも低い解像度で印刷を行います。

7.9 セットアップ・モジュールを使用したDECimage パラメータの変更

次に示すセットアップ・モジュールはDECimageを起動したり,DECimageパラメータを変更するためのものです。 次のように分類されています。

DECimageの有効化および無効化

次のセットアップ・モジュールは現在のパラメータ値はそのままの状態で, DECimageをonあるいはoffに切り替えます。別のDECimageセットアップ・ モジュールを使用している場合は, このモジュールを使用する必要はありません。DECimage セットアップ・モジュールは,現在のプリント・ジョブに対してDECimage を自動的に起動します。

表 7-2 DECimageの有効化および無効化

セットアップ・モジュール 説明
DI_ON DECimageをONに切り替えます
DI_OFF DECimageをOFFに切り替えます

複合パラメータ

次のセットアップ・モジュールは,2つのDECimageパラメータを同時に調整します。

表 7-3 DECimageセットアップ・モジュール-複合パラメータ

セットアップ・モジュール 説明
DI_HICONTRAST Punch0 = 0.2, Punch1 = 0.8
DI_LOCONTRAST Punch0 = -.1, Punch1 = 1.1
DI_BRIGHTER Punch0 = -.2, Punch1 = 0.8
DI_DARKER Punch0 = 0.2, Punch1 = 1.2
DI_NORMAL Punch0 = 0,Punch1 = 1

個別パラメータ

次のセットアップ・モジュールのいずれかを指定した場合,特定のパラメータ以外のすべてのパラメータは, 省略時の設定値あるいは別のセットアップ・ モジュールで最後に修正された値のままの状態となります。このセットアップ・ モジュールは順序に影響されません。したがって,PRINTコマンド行にどの順序で指定してもかまいません。

表 7-4 DECimageセットアップ・モジュール-個別パラメータ

セットアップ・モジュール 説明
DI_PUNCH0_0 Punch0 = 0
DI_PUNCH0_0P1 Punch0 = 0.1
DI_PUNCH0_0P2 Punch0 = 0.2
DI_PUNCH0_M0P1 Punch0 = -.1
DI_PUNCH0_M0P2 Punch0 = -.2
DI_PUNCH1_1 Punch1 = 1
DI_PUNCH1_0P8 Punch1 = 0.8
DI_PUNCH1_0P9 Punch1 = 0.9
DI_PUNCH1_1P1 Punch1 = 1.1
DI_PUNCH1_1P2 Punch1 = 1.2
DI_SHARP_0P5 Sharpness = 0.5
DI_SHARP_1 Sharpness = 1.0
DI_SHARP_1P5 Sharpness = 1.5
DI_SHARP_2 Sharpness = 2.0
DI_SHARP_2P5 Sharpness = 2.5

DECimageセットアップ・モジュールの例

次の例では,鮮明度を増し,グレイ・レベルにシフトさせています。

$ PRINT/NOTIFY/QUEUE=queue/SETUP=(DI_SHARP_2,DI_DARKER) filename

7.10 フォント・カートリッジ・エミュレーションのアクセスの提供

DECprint Supervisorソフトウェアでは, 物理的なフォント・カートリッジのエミュレーション機能が準備されています。PRINT コマンドのFONTS_USEDパラメータを使用すれば,テキスト・ライブラリ・ ファイルSYS$LIBRARY:CPS$ANSI_FONTS.TLBから取り出すソフト・フォント・ モジュールを1つあるいは複数指定することができます。

この機能はANSIファイルに対してのみ使用でき,弊社のANSIプリンタに印刷するためにフォント・ カートリッジを必要とする文書をサポートしています。 これらのプリンタの場合と同様に,文書には適切なフォントを選択するエスケープ・ シーケンスが含まれていなくてはなりません。


注意
DECprint Supervisorソフトウェア・ プロダクトにはソフト・フォント・ モジュールは含まれていません。ソフト・フォント・キットは弊社から個別に取得することができます。

1つあるいは複数の省略時のソフト・フォント・モジュールをプリント・ キューに対応付けることによって, パラメータをPRINTコマンド行に指定する必要がなくなります。 たとえば,CGTRIUM24_ISO1をキューの省略時のソフト・フォント・ モジュールとして設定するには,DCPS$STARTUP.COMに次の行を指定します。

FONTS_USED=CGTRIUM24_ISO1
(実行キュー定義のp4あるいはジェネリック・キュー定義の p3にこの行を追加します。) ユーザにとって便利なように,ソフト・フォント・モジュールを組み合わせて指定できますが, その場合には,より多くのディスク空間が必要となり, ロード時間も長くなります。たとえば,ユーザが3つのすべてのDEC Multinational CG Timesソフト・フォント・モジュールをロードしなければならない場合には, 次のコマンド・シーケンスを使用して新しいモジュールを作成します。
$ LIBRARY SYS$LIBRARY:CPS$ANSI_FONTS.TLB/EXTRACT=CGTIMES8-10-12_MCS

$ LIBRARY SYS$LIBRARY:CPS$ANSI_FONTS.TLB/EXTRACT=CGTIMES14-18_MCS

$ LIBRARY SYS$LIBRARY:CPS$ANSI_FONTS.TLB/EXTRACT=CGTIMES24_MCS

$ COPY CGTIMES8-10-12_MCS.TXT,CGTIMES14-18_MCS.TXT,-
CGTIMES24_MCS.TXT ALLCGTIMES_MCS.TXT

$ LIBRARY/INSERT SYS$LIBRARY:CPS$ANSI_FONTS.TLB ALLCGTIMES_MCS.TXT
このようにしておけば,ユーザはプリント・パラメータFONTS_ USED=ALLCGTIMES_MCSを使用して,新しいモジュールを指定することができます。

7.11 装置制御ライブラリのキャッシュ機能

DCPSには,一般的に使用される特定のPostScript装置制御モジュールの検索を最適化する装置制御ライブラリのキャッシュ機能が含まれています。

キャッシュ機能はLPS$$で始まる名前を持つモジュールを,最初に要求された場合だけ読み込まれるようにします。 このモジュールはシンビオントのキャッシュに置かれます。 キューをリセットするかシステムを再起動するまでは, 以降のジョブはこのモジュールに迅速にアクセスすることができます。 これにより主要な装置制御ライブラリへのアクセスを最小にし,CPU時間を節約し, ディスクの動作を軽減させることができます。

省略時の設定では,装置制御ライブラリのキャッシュ機能は無効となっています。 特定のキューに対して装置制御ライブラリのキャッシュ機能を有効とするには, そのプリント・キューを起動する前に次のコマンドを実行してください。

$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$queuename_DEVCTL_CACHE 1
装置制御ライブラリ・モジュールをキャッシングすることにより,シンビオントが消費するCPU 時間を17%軽減することができます。シンビオントでのI/O 処理も,50%軽減されます。

システム論理名DCPS$DEVCTL_CACHE (キュー名指定なし)を定義することで, そのシステム上のすべてのDCPSプリント実行キューに対して装置制御ライブラリのキャッシュ機能を有効とすることができます。

7.12 識別されないプリンタへの印刷

DCPSソフトウェアは,ジョブを印刷する前にプリンタの製品名を取得します。DCPS ソフトウェアはこの製品名を使用して,特定のプリンタに固有の装置制御モジュールを選択してダウンロードします。

DCPSソフトウェアが識別できない製品名を持つプリンタをDCPSソフトウェアで使用し, システムにDCPS-Openライセンスがロードされている場合は,製品名は省略時の"UNRECOGNIZED" となり,DCPSソフトウェアはその名前に対応した装置制御モジュールをダウンロードします。 この構成はサポートされていませんが, その装置に印刷するだけであればUNRECOGNIZEDに対応したモジュールで十分な場合があります。

必要に応じてシステム管理者は,サポートされていないプリンタの特性に影響を与えることなく, 対応する装置制御モジュールを修正することができます。LPS$$UNRECOGNIZED モジュール内のコメントの記述に従い,PostScriptについての知識およびプリンタの仕様を使用し, 類似したプリンタがある場合はその装置制御モジュールを調べることにより, システム管理者はそのプリンタの給紙および用紙サイズ選択を動作させることができます。


注意
識別されないプリンタをDCPSで使用すること, およびLPS$$UNRECOGNIZED 装置制御モジュールの使用あるいは修正について弊社はサポートしておりません。 また弊社は,DCPSの異なるバージョンについても, そのモジュールの内容およびインタフェースが同一であることを保証しておりません。

DCPSで識別されないプリンタあるいは弊社のプリンタ以外のプリンタを使用するには, 正しいDCPS-Openライセンスが必要です。


装置制御モジュールは,次の装置制御ライブラリに置かれています。

SYS$COMMON:[SYSLIB]DCPS$DEVCTL.TLB
識別されないプリンタに対応した装置制御モジュールは次のとおりです。
LPS$$UNRECOGNIZED_INITPSDEVICE
LPS$$UNRECOGNIZED_SETCONTEXT
LPS$$UNRECOGNIZED_SETINPUTTRAY
LPS$$UNRECOGNIZED_SETOUTPUTTRAY
特定のプリンタ用にこれらのモジュールを修正した場合は,常にユーザ固有の装置制御ライブラリに修正したモジュールを登録しなければなりません( 第7.4節を参照)。


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