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10 BACKUPの使用法

OpenVMSのBACKUPユーティリティを使用して,ファイル,ディレクトリ, またはディスクのコピーを作成しておくことによって,データの消失や破損に備えることができます。 ディスク・ドライブの障害などの問題が発生した場合は, 作成したコピーを復元して,最小限の損失で作業を再開することができます。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
バックアップ方法の定式化 第10.3 節
効率的なバックアップのためのプロセス・ クォータの設定 第10.7節
ディスクとテープの使用 第10.8節
BACKUPセーブ・セットの内容の表示 第10.10節
ユーザ・ディスクとボリューム・シャドウ・セットのバックアップ 第10.15節
ユーザ・ディスクとボリューム・シャドウ・セットの復元 第10.16節
システム・ディスクのバックアップと復元 第10.17節
データの整合性チェック 第10.18 節
問題が発生したときの対処 第10.19節

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
バックアップのタイプ 第10.2 節
BACKUPコマンド行 第10.4.1項
The Backup Manager 第10.4.2項
セーブ・セット 第10.5節
BACKUPのファイル形式 第10.6節
ボリュームの初期化 第10.8.1 項
OPCOMとボリューム 第10.9節
マルチボリュームBACKUP 処理 第10.11 節
BACKUPによるテープ・ラベル処理 第10.12節
スタンドアロンBACKUP (VAXのみ) 第10.17.2項

10.1 BUCKUP作業の概要

BACKUPをデータ消失の防止手段として有効に活用するためには,定期的に大切なデータのバックアップを取り, 必要な場合にそのデータを復元する方法を理解しておく必要があります。

システム管理者は,自分のファイル,ディレクトリ,ディスクばかりでなく, システム・ディスクのバックアップも取ってください。スタンドアロン型のワークステーションを使用している場合, 自分のシステム・ディスクのバックアップを取るのは, たいていシステム管理者一人の仕事です。 ご使用のシステムが大規模なクラスタ型コンピュータ・システムのメンバの場合は, たいていオペレータかシステム管理者がシステム・ディスクのバックアップを取ります。

システム・ディスクのバックアップを取る方法には,次の2種類があります。

BACKUPでイメージ・バックアップを行うと,ディスクのフラグメンテーションが解消します。 このフラグメンテーションは,ディスクにファイルを作成したり, ディスク・ファイルを大きくしたりしていくにつれて,発生する現象です。 連続するブロックにファイルを書き込むことが不可能な場合, ファイル・システムはファイルをフラグメンテーションして書き込みます。 このため,最終的にディスクのフラグメンテーションはひどくなり, システム性能が低下することになります。

フラグメンテーションを解消したい場合は,ディスクのイメージ・バックアップを取り, そのバックアップ・コピーを復元してください。イメージ・ バックアップの復元では,BACKUPはディスク上にファイルを連続して書き込みます。 もう1つ,/SAVE_SET修飾子を使わずに,ディスク間でイメージ・ バックアップを取る方法もあります。これは,機能的にはシステム・ ディスク全体のコピーを作成するのと同じことであり,ファイルが連続して書き込まれます。


注意
レイヤード製品の中には,専用のバックアップ・ プロシージャが用意されているものがあります。詳細は, レイヤード製品のマニュアルを参照してください。

10.2 バックアップのタイプ

バックアップ操作には,次の表に示すいくつかのタイプがあります。

操作 説明
ファイル操作 ファイルやディレクトリを個別に処理する。 第10.13節を参照。
選択的操作 バージョン番号,ファイル・タイプ,UIC,作成日時,満了日,変更日などの基準に従い, 選択的にファイルやボリュームを処理する。

このバックアップでは,ワイルドカード文字と入力ファイル選択修飾子(/BACKUP, /BEFORE, /BY_OWNER [/OWNER_UIC], /CREATED, /EXCLUDE, /EXPIRED, /MODIFIED, /SINCEなど)を利用する。詳細は第10.13節を参照。

物理操作 ファイル構造を無視し, 論理ブロック単位でボリューム全体をコピー,セーブ,復元,比較する。
イメージ操作 入力ディスクのすべてのファイルを処理する。このイメージ操作には, 次の4つの種類がある。

  • イメージ・バックアップ (完全バックアップ)は, ディスクまたはボリューム上のすべてのファイルのコピーをセーブ・ セットと呼ばれる特殊ファイルに保存する。ディスクに初めて行うバックアップは, イメージ・バックアップである必要がある。 初めてのバックアップで,追加型バックアップを行うことはできない。

  • イメージ復元は,出力ディスクを初期化して,ボリューム全体を復元する。

  • イメージ・コピー操作は,出力ディスクを初期化して, ボリューム全体をコピーする。イメージ・バックアップの内容は, 論理的には入力ディスクの内容と同一。

  • イメージ比較操作は,ボリューム全体の内容を比較する。

イメージ・コピーやイメージ・バックアップ機能は入力ボリュームのすべてのファイルを処理するため, ファイル選択修飾子を使用することはできない。 ただし,イメージ・セーブ・セットからのファイルやディレクトリの復元では, 選択的な操作を行うことができる。

追加型操作 追加型操作には,次の2つの種類がある。

  • 追加型バックアップは,前回,/RECORD修飾子を使用して行われたバックアップ以降に作成または変更されたファイルのみセーブする。/RECORD 修飾子は,ファイルのバックアップを行った日時を記録する。

  • 追加型復元操作は,追加セーブ・セットを復元する。 追加型復元操作を行うには,/INCREMENTALコマンド修飾子を指定する。 詳細は第10.16.2項を参照すること。

2種類のBACKUP操作である,ファイル操作とイメージ操作は,ODS-5ファイル名からODS-2 ファイル名への変換をサポートします。詳細については, 第8.5.5.3項を参照してください。

10.3 バックアップ方法の定式化

バックアップ方法の定式化は,サイトの具体的な要件や,様々なバックアップのタイプの長所や短所を念頭に置いて行ってください。 また,次の要因を考慮することも忘れないでください。

たとえばスタンドアロン型のワークステーションでは,たいていの場合, 夜間のイメージ・バックアップが最適なバックアップ方法です。

また別の環境では,イメージ・バックアップと追加型バックアップを組み合せた方法も考えられます。 たとえば,常に会話型ユーザがログインしている環境( 第10.15.1項参照)では,イメージ・ バックアップを毎日行うのは困難です。そのため,イメージ・バックアップを毎週行って, 追加型バックアップを毎晩行うという方法がよいかもしれません。

イメージ・バックアップと追加型バックアップの比較を 表 10-1 に示します。

表 10-1 イメージ・バックアップと追加型バックアップの比較

バックアップ
形態
長所 短所
イメージ 追加型バックアップより短時間の復元が可能。 ディスク全体のバックアップが可能。 追加型バックアップより使用する空間が多く, 時間が長くかかる。システム性能やオープンしているファイルに影響するため, 会話型ユーザのログインがないことが前提になる( 第10.15.1項参照)。
追加型 時間と使用空間が少なくてすむ。 ファイルの復元が難しい。定期的なイメージ・バックアップと組み合わせる必要がある。


注意
イメージ・バックアップを実行する場合は, あらかじめ次のことに留意してください。

次の条件のいずれかが成立する場合,バックアップ中にテープまたはディスクを交換する必要はありません。

上記の場合は,夜間,または会話型ユーザのログインが最も少ないと思われる時間に, バッチ・ジョブでバックアップを行うことができます。第10.15.7項では, バッチ・ジョブで実行可能なコマンド・ プロシージャ例をいくつか紹介します。

10.4 バックアップのインタフェース

OpenVMSのBACKUPユーティリティには,次の2つのインタフェースが使用できます。

10.4.1 BACKUPコマンド行

バックアップを行うためには,入力側にバックアップ対象,出力側にセーブ・ セットまたはファイルの書き込み先を指定する必要があります。 BACKUPでは修飾子を使用することができ,それら修飾子は,コマンド行での位置によってその働きが変わります。BACKUP の形式は次のとおりです。

BACKUP/修飾子 入力指定/修飾子 出力指定/修飾子

表 10-2は,コマンド行上での位置別にBACKUP コマンド修飾子を定義したものです。

表 10-2 BACKUPコマンド修飾子の種類

種類 位置 働き
コマンド修飾子 コマンド行上の任意の場所 入力指定と出力指定の両方に作用
入力指定修飾子 入力指定の直後 入力指定にのみ作用
出力指定修飾子 出力指定の直後 出力指定にのみ作用

BACKUPを使用するにあたっては,コマンド行の間違った位置に修飾子を指定することのないように注意してください。BACKUP コマンド行については, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』にさらに詳しい説明があります。

10.4.1.1 拡張文字セット

OpenVMSではバージョン7.2からExtended File Specificationsがサポートされており,BACKUP ユーティリティは拡張文字セットのファイル名を処理できます。 含まれている文字は次の形式です:

拡張文字セットについて詳しくは『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

10.4.1.2 入力ファイルの指定

ファイルに基づくBACKUP操作では,次のように相対入力ファイル・バージョンを指定できます。

     $ BACKUP FILE.DAT;-2 SAVED_FILE.DAT

この例では,入力ファイル名の最新のバージョンから数えて2バージョン古いバージョンを選択し, 別のファイル名を割り当てています。

BACKUPユーティリティは,相対ファイル・バージョンの指定記法として, 最も古いバージョンを表わす-0を使用できません。代わりに-0は指定したファイルの最新バージョンを選択したとみなされます。

10.4.2 Backup Manager

Backup Managerは,直感的でタスク指向のセルフ・ドキュメント方式でBACKUP の機能を提供する, OpenVMSのBACKUPユーティリティへの画面用インタフェースです。 Backup Manager が,バックアップのプロセスを通じてガイドするので, バックアップ操作が簡単になります。Backup Manager を使用しても,BACKUPコマンド行を使用しても,実際のパフォーマンスには差がありません。

Backup Managerの動作環境は次の通りです。

Backup Managerインタフェースは,OpenVMS Screen Managementランタイム・ ライブラリ(RTL)ルーチンに対応します。

10.4.2.1 Backup Managerの機能

Backup Managerは次のようなバックアップの操作を実行できます。

Backup Managerでは,次の3種類のオンライン支援が使用できます。

10.4.2.2 Backup Managerの起動

Backup Managerを起動するには,DCLのプロンプトで次のコマンドを入力します。

     $ RUN SYS$SYSTEM:BACKUP$MANAGER

操作を開始すると,BACKUPユーティリティからの出力が自動的に表示されます。 いつでも出力を中断して(Ctrl/P),スクロールすることができます。 また,Ctrl/Tで状態を表示したり,Ctrl/Cで現在のBACKUP操作を停止したりすることもできます。

10.5 セーブ・セット

BACKUPコマンドを使用してファイルをテープにセーブした場合,それらファイルはセーブ・ セットと呼ばれる特殊なファイルに書き込まれます。またセーブ・ セットは,/SAVE_SET修飾子を使ってディスクに作成することもできます。 セーブ・セットは,それが置かれている媒体に従って分類されており, 表 10-3は,セーブ・セットの保管に使用可能な媒体をまとめたものです。

表 10-3 セーブ・セットの種類

媒体 参照箇所
磁気テープ 第10.5.1 項
Files-11ディスク 第10.5.2項
遠隔ノードのFiles-11ディスク( ネットワーク・セーブ・セット) 第10.5.3項
順編成ディスク・セーブ・セット 第10.5.4項

10.5.1 磁気テープ・セーブ・ セット

BACKUPセーブ・セットの保管媒体として最もよく使用される媒体は,磁気テープです。 ディスク媒体より価格が安く,コンパクトで,保管が容易です。 データの保存や復元を行うときに複数のテープを使用することができます。 つまり,バックアップ中,テープが終端に達したらテープを巻き取り, 次のテープに入れ換えてから,処理を継続することができます。

BACKUPは,あらゆる磁気テープ・ファイルをBACKUPセーブ・セットと見なします。 また,BACKUPコマンド行の入力側と出力側の両方にセーブ・セットを指定することはできません。 したがって,磁気テープ間でBACKUP操作は行えないことになります。

磁気テープ・セーブ・セットのディスクへのコピーには,BACKUPコマンドを使用してください。 ただし,/INTERCHANGE修飾子を使用して作成した磁気テープ・ セーブ・セットは,DCLのCOPYコマンドを使用できます。

磁気テープ・セーブ・セット指定の長さは,次に示すように区切り文字のピリオド(.) とファイル・タイプを含めて17文字までです。

WKLY27JAN1998.BCK

テープからデータを復元するとき,入力側の磁気テープのセーブ・セット名が省略された場合,BACKUP はテープの次のセーブ・セットを復元します。 ただし,入力セーブ・セット修飾子に/REWINDが指定された場合は, テープを巻き戻し,先頭のセーブ・セットを読み取ります。

10.5.2 Files-11ディスク・セーブ・セット

Files-11ディスクにセーブ・セットを書き込む場合は,出力セーブ・セット修飾子として/SAVE_SET を指定する必要があります。この修飾子は,ファイルのコピーではなくセーブ・ セットを作成するよう,出力ボリュームに指示します。 また,ディスクはFiles-11ボリュームとしてマウントし, ボリューム・セットの場合はすべてのボリュームをマウントしておく必要があります。

BACKUPは,Files-11セーブ・セットをFiles-11または順編成ディスクのどちらの形式のセーブ・ セットとしても読み取ることができます。

Files-11ディスクに保管されたセーブ・セットは標準のOpenVMSファイルであり, コピーや名前変更,削除,バックアップを行うことができます。

10.5.3 ネットワーク・セーブ・セット

セーブ・セット指定に遠隔ノードのノード名を指定することによって,そのノードに接続されているFiles-11 ディスクにセーブ・セットを作成したり, ディスクのセーブ・セット(ネットワーク・セーブ・セット)を読み取ったりすることができます。 遠隔ノードとは,ネットワークを介して, 使用中のノード(ホスト・ノード)からアクセス可能なノードです。 ネットワーク・セーブ・セットは,遠隔ノードの公用アクセス可能なディスク, すなわち,/SYSTEMか/GROUP,/CLUSTER修飾子を使用して遠隔ノードからマウントしたディスクに存在する必要があります。

遠隔ノードのボリューム保護とファイル保護の設定によっては,ネットワーク・ セーブ・セット指定にアクセス制御文字列を指定しなければならないことがあります。 そうしたアクセス制御文字列は,次の形式でユーザ名とパスワードから構成します。

遠隔ノード名"ユーザ名 パスワード"::装置名:[ディレクトリ]

次は,遠隔ノードのDOUBLEにネットワーク・セーブ・セットを作成している例です。

     $ BACKUP
     _FROM: [MY_DIR]
     _TO: DOUBLE"username password"::DBA0:SAVEIT.BCK/SAVE_SET

代理ネットワーク・アクセスのときのように,遠隔ノードへのアクセスに権限が必要ない場合は, アクセス制御文字列を省略してください。 アクセス制御文字列と代理ネットワーク・アクセスについては,『DECnet for OpenVMS Networking Manual』で詳しく説明しています。

10.5.4 順編成ディスク・セーブ・セット

順編成ディスク・セーブ・セットでは,Files-11ディスク・ボリュームを, 磁気テープ・ボリュームのように順に処理することができます。順編成ディスク・ セーブ・セットを使用する第1の利点は,マルチボリューム・ セーブ・セットを構成するボリュームを一度に1つずつマウントできることです。 これは,大容量の固定ディスク装置と小容量の着脱式ディスク装置があるだけで, テープ・ドライブが搭載されていないシステムで特に有効です。

順編成ディスクの1つが一杯になると,BACKUPは次のディスクをマウントするよう求めます。 データの保存や復元で複数のディスクを使用することができます。 つまり,ディスクを入れ換えながら処理を継続することができるのです。

マルチボリューム順編成ディスク・セーブ・セットを読み書きするためには,LOG_IO 特権かPHY_IO特権が必要です。

順編成ディスク・セーブ・セットを作成する場合は,まず,DCLのMOUNT /FOREIGNコマンドを使用して,セーブ・セットの最初のボリュームをマウントしてください。 これにより,ディスクはフォーリン・ボリュームとしてマウントされますが,BACKUP はFiles-11構造を使ってディスクを管理します。

順編成ディスクに保存を行う場合は,出力セーブ・セット修飾子/SAVE_SET を使用しなければなりません。また順編成ディスクからの復元 の場合は,入力セーブ・セット修飾子/SAVE_SETを使用しなければなりません。/SAVE_SET 修飾子が省略された場合,BACKUPは次のエラー・ メッセージを出します。

     %BACKUP-F-IMGFILSPE, /IMAGE specification must only have device name

順編成ディスク・セーブ・セットにディレクトリ名を指定する必要はありません。 順編成ディスク・セーブ・セットは,必ずマスタ・ファイル・ディレクトリ [000000]に書き込まれます。マスタ・ファイル・ディレクトリ以外のディレクトリが指定された場合, 保存操作ではその指定は無視されます。 また,復元または一覧出力操作では,ファイルが見つからないというエラー・ メッセージが表示されます。

省略時の設定でBACKUPは最初の順編成ディスク・ボリュームを初期化せず, 継続順編成ディスク・ボリュームだけ初期化します。このため,最初の順編成ディスク・ ボリュームに/INITIALIZE修飾子を指定しない場合は, 次のことに注意する必要があります。

順編成ディスク・セーブ・セットに使用するボリュームは,セーブ・セット専用にしてください。 一般のファイル用に使用していたボリュームを順編成ディスク・ ボリュームとして使用するためには,初期化を行う必要があります。1 つの順編成ディスクに書き込み可能なセーブ・セット数は最大で12 個です。1つのディスクに12個を超えるセーブ・セットを作成したい場合は,Files-11 ディスク・セーブ・セットを使用してください。

BACKUPは,順編成ディスク・セーブ・セットを順編成ディスクまたはFiles-11 のどちらの形式のセーブ・セットとしても読み取ることができます。

10.6 BACKUPが扱うファイル形式

VAXシステムにおいて,BACKUPがディスクあるいは磁気テープに保存可能なファイルとディレクトリの形式は,Files-11 構造のレベル1とレベル2ディスク形式のものです。 その逆の復元も,Files-11構造のレベル1と2ディスクの両方に対して行うことができます。

VAXシステムでAlphaシステム・ディスクのイメージ・バックアップを行うと, 復元操作によりAlphaシステムが正常にブートされます。

Alphaシステムにおいては,BACKUPはFiles-11構造のレベル2またはレベル5 のファイルとディレクトリをディスクと磁気テープのいずれにも保存できます。 必要な場合,BACKUPを使用して,保存されたファイルとディレクトリをFiles-11 構造のレベル2またはレベル5ディスクへ復元も行えます。


注意
OpenVMS Alphaオペレーティング・ システムは,Files-11構造のレベル1形式に対応していません。

ISO 9660形式の媒体上のファイルのバックアップを行うことはできませんが,ISO 9660 形式の媒体に格納されたセーブ・セットを復元することはできます。

Files-11ディスク構造についての詳細は,第8.1.1.2 項を参照してください。ISO 9660装置についての詳細は,第7.2.2項を参照してください。

10.7 プロセス・クォータによる効率的なバックアップの実現

バックアップを行うプロセス,すなわち,BACKUPコマンドを入力するか, バックアップ・コマンド・プロシージャをキュー登録するプロセスに対するプロセス・ クォータを正しく設定することによって,バックアップ効率を最適化することができます。 これは,ストリーミング・テープ装置を使用する場合, 特に大切です。

作業方法

プロセス・クォータによって効率的なバックアップを実現する手順を次に示します。

  1. バックアップに使用するアカウントを決める。既存のアカウントを利用することも, バックアップ専用にアカウントを作成することもできる。 アカウントの作成については,第6.6 節を参照。

  2. AUTHORIZEユーティリティを使用して,バックアップに使用するアカウントの現在のクォータの値を確認する。 たとえばSYSTEMアカウントを使用してバックアップを行うのであれば, 次のコマンドを入力する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN AUTHORIZE
         UAF> SHOW SYSTEM
    

  3. SYSMANユーティリティを使用して,システム・パラメータのWSMAX とCHANNELCNTの値を確認する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW WSMAX
         %SYSMAN-I-USEACTNOD, a USE ACTIVE has been defaulted on node DIEM
         Node DIEM:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name          Current   Default   Minimum   Maximum Unit  Dynamic
         --------------          -------   -------   -------   ------- ----  -------
         WSMAX                      2600      1024        60    100000 Pages
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW CHANNELCNT
    
         Parameter Name          Current   Default   Minimum   Maximum Unit  Dynamic
         --------------          -------   -------   -------   ------- ----  -------
         CHANNELCNT                 127       127        21     2047 Channels
    
         SYSMAN> EXIT
         $
    

    WSMAXとCHANNELCNTの値は"Current"という欄に示され,それぞれ2600 と127である。これらの値を使用して,適切なプロセス・クォータを設定する。

  4. AUTHORIZEを使用して,ステップ3で求めたプロセス・クォータと 表 10-4に示す最適値を比較する。 示されている値は,効率的なバックアップを実現するための最適値である。

    表 10-4 効率的なバックアップのための最適プロセス・ クォータ

    プロセス・クォータ 最適値
    WSQUOTA システム・ パラメータWSMAXに等しい値
    WSEXTENT WSQUOTAに等しい値
    PGFLQUOTA WSEXTENTに等しいか,大きい値
    FILLM システム・ パラメータCHANNELCNTより小さい値
    DIOLM 4096か,FILLM値の3倍のどちらか大きい方
    ASTLM 4096 か,DIOLM値より100大きな値か,FILLM値の3倍のうちの一番大きな値
    BIOLM FILLMに等しい値
    BYTLM 次の式の結果に等しいか, 大きい値: (256 * FILLM) + (6 * DIOLM)
    ENQLM FILLMより大きい値

  5. 必要ならば,AUTHORIZEのMODIFYコマンドを使用してプロセス・ クォータを変更する。変更を有効にするためには,いったんログアウトする必要がある。 プロセス・クォータの変更方法についての詳細は, 第6.7.2項を参照すること。

    表 10-5は,たいていのシステム構成で使用可能な, 具体的なプロセス・クォータのリストである。ディスクのフラグメンテーションがひどかったり, システムの使用が激しいときにバックアップを行ったりする場合は, WSQUOTA とFILLM値を小さくする。

    表 10-5 プロセス・クォータ例

    プロセス・クォータ 推奨値
    WSQUOTA 16384
    WSEXTENT WSQUOTAに等しいか, 大きい値
    PGFLQUOTA 32768
    FILLM 128
    DIOLM 4096
    ASTLM 4096
    BIOLM 128
    BYTLM 65536
    ENQLM 256

次に,AUTHORIZEユーティリティを起動して, SYSTEMアカウントのプロセス・ クォータを設定するときに使用するコマンドを,順を追って紹介します。 実際の操作で別のアカウントからバックアップを行う場合は,そのアカウントのプロセス・ クォータを確認してください。

  1. 現在のクォータを確認する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN AUTHORIZE
         UAF> SHOW SYSTEM
    
         Username: SYSTEM                           Owner:  SYSTEM MANAGER
         Account:  SYSTEM                           UIC:    [1,4] ([SYSTEM])
         CLI:      DCL                              Tables: DCLTABLES
         Default:  SYS$SYSROOT:[SYSMGR]
                                          .
                                          .
                                          .
         Maxjobs:         0  Fillm:        40  Bytlm:        32768
         Maxacctjobs:     0  Shrfillm:      0  Pbytlm:           0
         Maxdetach:       0  BIOlm:        18  JTquota:       1024
         Prclm:          10  DIOlm:        18  WSdef:          256
         Prio:            4  ASTlm:        24  WSquo:          512
         Queprio:         0  TQElm:        20  WSextent:      2048
         CPU:        (none)  Enqlm:       200  Pgflquo:      20480
                                          .
                                          .
                                          .
         UAF> EXIT
    
         %UAF-I-NOMODS, no modifications made to system authorization file
         %UAF-I-NAFNOMODS, no modifications made to network authorization file
         %UAF-I-RDBNOMODS, no modifications made to rights database
         $
    

    この例では,SYSTEMは次のクォータ値を持つ。

    WSQUOTA 512
    WSEXTENT 2048
    PGFLQUOTA 20480
    FILLM 40
    DIOLM 18
    ASTLM 24
    BIOLM 18
    BYTLM 32768
    ENQLM 200

  2. SYSMANユーティリティを使用して,システム・パラメータのWSMAX とCHANNELCNTの値を確認する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW WSMAX
         %SYSMAN-I-USEACTNOD, a USE ACTIVE has been defaulted on node DIEM
         Node DIEM:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name          Current   Default   Minimum   Maximum Unit  Dynamic
         --------------          -------   -------   -------   ------- ----  -------
         WSMAX                      2600      1024        60    100000 Pages
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW CHANNELCNT
    
         Parameter Name          Current   Default   Minimum   Maximum Unit  Dynamic
         --------------          -------   -------   -------   ------- ----  -------
         CHANNELCNT                 127       127        21     2047 Channels
    
         SYSMAN> EXIT
         $
    

    WSMAXとCHANNELCNTの値は"Current"という欄に示され,それぞれ2600 と127である。

  3. ステップ3で求めたプロセス・クォータと表 10-4 に示す値を比較し,適切な値を設定する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN AUTHORIZE
         UAF> MODIFY SYSTEM/WSQUOTA=2600
         UAF> MODIFY SYSTEM/WSEXTENT=2600
         UAF> MODIFY SYSTEM/DIOLM=4096
         UAF> MODIFY SYSTEM/ASTLM=4096
         UAF> MODIFY SYSTEM/BIOLM=40
         UAF> MODIFY SYSTEM/BYTLM=34816
         UAF> EXIT
    

  4. プロセス・クォータを有効にするため,いったんログアウトして, ログインしなおす。

10.8 ディスクとテープの使用法

バックアップ操作では,たいてい,ディスク・ボリュームとテープ・ボリュームの両方を使用することになります。 バックアップでボリュームを使用する前に通常行う作業は次の4 つです。

  1. 装置名の決定

  2. 装置の割り当て

  3. ボリュームの初期化(任意)

  4. 装置のマウント(ディスクのみ,BACKUPはテープを自動的にマウント)

これらの作業全般の内容は,すでに第8章で説明したとおりです。 本章では,特にBACKUPとの関連でこれらの作業について説明します。 本章で取り上げるディスク操作はすべてディスケットにも適用されます。

10.8.1 ボリュームの初期化

ボリュームの初期化では,次のことを行います。


重要
ボリュームを初期化すると, 既存のファイルのリンクが解除され,ファイルが効率良く消去されます。 残したいデータが入っているボリュームを初期化しないように注意してください。

10.8.1.1 ボリュームを初期化する時期

次の条件を満たす場合は,BACKUPで使用するボリュームを初期化する必要があります。

ボリュームを初期化する方法は,表 10-6 に示す3 つです。

表 10-6 ボリュームの初期化方法

方法 参照箇所
バックアップの前にDCLのINITIALIZEコマンドを使用する 第8.3節
BACKUPコマンド行で/REWIND修飾子を使用する(テープのみ) 第10.8.1.2項
BACKUPコマンド行で/INITIALIZE修飾子を使用する( ディスクのみ) 第10.8.1.3 項

10.8.1.2 テープの初期化

INITIALIZEコマンドを使用してから,バックアップを行うという方法の代わりに,BACKUP コマンドで,一度にテープの初期化とバックアップを行うことができます。

作業方法

BACKUPコマンドでテープ・ボリュームを初期化する場合は,出力指定に/REWIND と/LABEL修飾子を追加します。/REWIND修飾子はボリュームを巻き戻して, 初期化します。/LABEL修飾子には,ボリューム・ラベルを指定することができます。

磁気テープのボリューム・ラベルには,任意のANSI "a"文字で最大6文字を指定することができます。ANSI "a" 文字とは,数字と英大文字,そして次の英数字以外の文字です。

! " % ' ( ) * + , _ . / : ; < = > ?

英数字以外の文字を使用する場合は,ボリューム・ラベルを二重引用符で囲まなければなりません。

ボリュームに含まれるデータの内容に合せて,ボリューム・ラベルを指定してください。 次に,ラベルの推奨例をいくつか紹介します。

ラベル バックアップ形態 満了日
DLY101 毎日,グループ1,ボリューム番号1 7日後満了
DLY102 毎日, グループ1,ボリューム番号2 7日後満了
WKY101 毎週,グループ1 ,ボリューム番号1 4週間後満了
WKY201 毎週,グループ2,ボリューム番号1 4週間後満了
MTH101 毎月,グループ1,ボリューム番号1 12ヶ月後満了
YRY101 毎年,グループ1,ボリューム番号1 5年後満了

初期化をするにあたっては,次のことに留意してください。

     $ BACKUP [ACCOUNTS.JUNE] MUA0:JUNE.BCK/REWIND/LABEL=MTH101

10.8.1.3 ディスクの初期化

INITIALIZEコマンドを使用してから,バックアップを行うという方法の代わりに,BACKUP コマンドで,一度にディスクの初期化とバックアップを行うことができます。

作業方法

バックアップでディスクを初期化する方法は次の2通りあります。

  1. 次のBACKUPコマンドは,DUA1のボリューム初期化データを使用してディスクDUA2: を初期化する。
         $ BACKUP/IMAGE DUA1: DUA2:
    

    初期化を終えると,BACKUPはDUA1:の内容をDUA2:にコピーし,効率良くDUA2 の既存ファイルを消去する。DUA2:のファイルは連続して書き込まれるので, ディスクのフラグメンテーションが解消される。

  2. 次のBACKUPコマンドは,出力先ディスクのボリューム初期化データを残したまま, イメージ・コピーを行う。
         $ BACKUP/IMAGE DUA1: DUA2:/NOINITIALIZE
    

    DUA1:の内容がDUA2:にイメージ・コピーされ,DUA2の既存ファイルが効率良く消去される。

  3. 次のBACKUPコマンドはDJA2:を初期化して,既存ファイルを効率良く消去する。
         $ MOUNT/FOREIGN DJA2:
         %MOUNT-I-MOUNTED, USER1 mounted on _DJA2:
         $ BACKUP/IMAGE DUA1: DJA2:DAILY.SAV/INITIALIZE
    

    初期化を終えると,BACKUPはDUA1:のイメージ・バックアップを順編成ディスク・ セーブ・セットDUA2:[000000]DAILY.SAVに作成する。使用可能な未使用空間よりセーブ・ セットが大きい場合は,次のボリュームを求めるプロンプトを出し, ボリュームがセットされると,初期化を行って, 新しいボリュームのマスタ・ファイル・ディレクトリ [000000]にセーブ・セットの残り部分を書き込む。セーブ・セットについては, 第10.5節,/INITIALIZE修飾子については, 『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照すること。

10.8.2 ボリュームのマウント

ボリュームをマウントするということは,そのボリュームをシステムから使用できるようにすることです。 バックアップの場合,BACKUPは自動的にテープをマウントします。 ディスクの方は,その大部分がシステム起動時にマウントされます。 この節では,明示的にボリュームをマウントする方法について説明します。

セーブ・セットをディスクに書き込む場合は,標準のFiles-11または順編成ディスクのどちらの形式でセーブ・ セットを書き込むのか決めてください。

作業方法

  1. 次の形式でSHOW DEVICEコマンドを入力して,装置がマウント済みかどうか調べる。

    SHOW DEVICE装置名

  2. 次の形式でMOUNTコマンドを入力する。

    MOUNT [/FOREIGN] 装置名 [ボリューム・ラベル] [論理名]

    装置名 マウントするボリュームがセットされている装置名。
    ボリューム・
    ラベル
    INITIALIZEコマンドでボリュームに設定した英数字からなる識別コード。 ディスク・ボリューム・ラベルの最大の長さは12 文字,磁気テープ・ボリューム・ラベルの最大の長さは6 文字。/FOREIGN修飾子を使用する場合,このパラメータを指定する必要はない。
    論理名 ボリュームに対応付ける1文字から255文字の英数字からなる名前( 省略可)。

     $ SHOW DEVICE MU

     Device                  Device           Error    Volume         Free  Trans Mnt
      Name                   Status           Count     Label        Blocks Count Cnt
     DAD$MUA6:               Online               0
     MOM$MUA6:               Online               0
     FRED$MUA6:              Online               0
     $ MOUNT/FOREIGN FRED$MUA6: TEST DRIVE1
     %MOUNT-I-MOUNTED, TEST mounted on _FRED$MUA6:

FRED$MUA6:にテープ・ボリュームをマウントし,論理名としてDRIVE1を設定しています。

10.8.3 ボリュームのディスマウント

/RELEASE_TAPE修飾子の指定がない場合,BACKUPがバックアップ対象の最後のボリュームをディスマウントすることはありません。 したがって,ボリュームに対する操作を終えたら, ディスマウントを行う必要があります。

作業方法

次の形式でDISMOUNTコマンドを使用します。

DISMOUNT 装置名

次は,MUB6:装置からテープをディスマウントしている例です。

     $ DISMOUNT MUB6:

このDISMOUNTコマンドはMUB6のテープをディスマウントして,アンロードします。 アンロードされたテープは装置から取り出すことができます。テープをディスマウントするだけで, アンロードしたくない場合は,次のコマンドを入力してください。

     $ DISMOUNT/NOUNLOAD MUB6:

10.9 OPCOMとボリューム

スタンドアロン型のワークステーションを使用しているか,設備的にディスクやテープ装置へのアクセスが簡単な場合, たいてい,システム管理者は自分で自分のボリュームをマウントし, 初期化することができます。しかしながら, サイトによっては,オペレータが代わってそれらの作業を行うところもあります。 使用したい装置のある場所が離れた場所にあったり, あるいはボリュームを操作するのに必要な特権がない場合は,オペレータの支援が必要です。

オペレータと交信する必要があるサイトでは,サイト別プロシージャの内容についてオペレータに問い合わせてください。 システムのカスタマイズ方法によって, オペレータ通信マネージャ(OPCOM)が必要になることがあります。OPCOM は,オペレータ支援を要請することを可能にするシステム・ プロセスです。またOPCOMには,オペレータが要請に応答する機能も用意されています。

10.9.1 オペレータ支援の要請


注意
サイト別プロシージャの内容についてオペレータに問い合わせてください。 OPCOM が使われていなかったり, この節で紹介する例と使用方法が異なっていたりすることがあります。

自分の代わりにオペレータにテープをマウントしてもらいたい場合は, OPCOMを使用してオペレータにテープのマウントを要請します。

作業方法

オペレータにテープのマウントを要求する場合は,REQUESTS/REPLYまたはREQUEST/TO コマンドを使用します。

オペレータ支援を要求したのだが,オペレータがいないという場合は,次のメッセージが表示されます。

     %MOUNT-I-NOOPR, no operator available to service request

このメッセージは,オペレータによってオペレータ・ターミナル機能が無効にされていることを意味します。 要求を強制終了する場合は,Ctrl/Zを押します。

BACKUPやMOUNTコマンドでは,/[NO]ASSIST修飾子を使用することができます。

  1. オペレータにテープのマウントを要求する場合は,次のようなコマンドを使用する。
         $ REQUEST/REPLY "Is anyone using drive MUA12?"
         %OPCOM-S-OPRNOTIF, operator notified, waiting...12:21:12.46
         %OPCOM-S-OPREPLY, PLEASE DIRECT YOUR REQUEST TO THE TAPE OPERATOR
         2-APR-1998 12:26:13.12. request 2 completed by operator OPA0
         $
    

    /REPLY修飾子は,オペレータが応答するときに要求を特定できるよう, 要求にユニークな番号(この例では2)を割り当てる。この場合,オペレータからの応答があるまで, 次のコマンドを入力することはできない。

  2. 次は,/TO修飾子を使用して特定のオペレータに要求を送っている。
         $ REQUEST/TO=TAPES "Is anyone using drive MUA12?"
         %OPCOM-S-OPRNOTIF, operator notified, waiting...12:40:11.32
         %OPCOM-S-OPREPLY, I'M DONE GO AHEAD
         2-APR-1998 12:45:26.18. request 5 completed by operator OPA0
         $
    

10.10 BACKUPセーブ・セット内容の表示

BACKUPでは,セーブ・セットとそこに含まれるファイル情報を取得して, ターミナルに表示したり,ファイルに出力したりすることができます。

BACKUPはそれ自身にのみ解釈可能な形式でセーブ・セットを書き込むため, セーブ・セットを復元せずにセーブ・セットの内容を確認する方法は, 一覧出力しかありません。一覧出力機能は,他のBACKUP機能と組み合せることができます。

省略時の設定では,セーブ・セットの一覧には,各ファイルの実際のブロック数をはじめとして,DCL のDIRECTORY/DATE/SIZEコマンドで提供されるのと類似したセーブ・ セットのファイル情報が含まれます。

またBACKUPの一覧出力では,BACKUPジャーナル・ファイルの内容を一覧出力することもできます。BACKUP ジャーナル・ファイルは,修飾子/JOURNAL[= ファイル指定 ]を使用して保存を行ったときに作成されるファイルであり,BACKUP 保存に関するディスク記録と,保存ファイルに関するファイル指定情報が含まれます。BACKUP ジャーナル・ファイルの作成と一覧出力についての詳細は, 第10.13.4 項を参照してください。

作業方法

BACKUPセーブ・セットの内容を一覧出力する手順は次のとおりです。

  1. セーブ・セットを含むメディア・ボリュームを装置にセットする。

  2. ボリュームがディスクの場合は,第10.8.2 項の説明に従ってディスクをマウントする。テープの場合は,BACKUP によって自動的にマウントされる。

  3. 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』に示されている形式で BACKUP/LIST コマンドを入力する。コマンドに/REWIND修飾子を指定すると, セーブ・セットの検索前に,テープが先頭まで巻き戻される。 ボリュームに含まれるすべてのセーブ・セットの一覧をリストしたい場合は, 装置指定にアスタリスク・ワイルドカード文字の(*) を含めること。

    磁気テープ上のセーブ・セットの内容の一覧をリストする場合には, セーブ・セット名を指定する必要はない。単にBACKUP/LISTコマンドに, テープがセットされている装置の装置名を指定すればよい。 BACKUPは磁気テープ上の次のセーブ・セット読み取り,そのセーブ・ セットの最後になると,処理を中止する。コマンドに/REWIND修飾子がないかぎり,BACKUP が自動的にテープの始まりマーカーまでテープを巻き戻すことはないので, 次のセーブ・セットを調べたい場合, BACKUP/LISTコマンドを繰り返せばよい。テープに次のセーブ・セットがない場合,BACKUP は次のエラー・メッセージを出す。

         %BACKUP-F-OPENIN, error opening MUA0:[000000].; as input
         -SYSTEM-W-NOSUCHFILE, no such file
    

  1. 装置MIA0:にある, 2MAR1555.BCKという磁気テープ・セーブ・ セットの情報を表示したい場合は,次のコマンドを入力する。
         $ BACKUP/LIST MIA0:2MAR1555.BCK/REWIND
         Listing of save set(s)
    
         Save set:          2MAR1555.BCK
         Written by:        POLYANNA
         UIC:               [000200,000207]
         Date:              21-MAY-1998 09:36:14.68
         Command:           BACKUP/LOG [USER.SAVE] MIA0:2MAR555.BCK/REWIND/LABEL=WKY201
    
         Operating system:  OpenVMS Alpha Version 7.2
    
         BACKUP version:    7.2
         CPU ID register:   08000000
         Node name:         _SUZI::
         Written on:        _MIA0:
         Block size:        8192
         Group size:        10
         Buffer count:      3
    
         [USER.SAVE]ANOTHER.DAT;1                  1  18-MAY-1998 14:10
         [USER.SAVE]LAST.DAT;1                     1  18-MAY-1998 14:11
         [USER.SAVE]THAT.DAT;1                     7  18-MAY-1998 14:10
         [USER.SAVE]THIS.DAT;2                     1  18-MAY-1998 13:44
    
         Total of 4 files, 10 blocks
         End of save set
    

  2. 次のコマンドはテープを先頭まで巻き戻して,ボリュームMIA0: のすべてのセーブ・セットの一覧を表示する。
         $ BACKUP/LIST MIA0:*.*/REWIND
    

  3. 次は,磁気テープに対して保存と一覧出力の両方を行っている例である。
         $ BACKUP/LIST=MYBACK.DAT [PRAMS] MTA0:2MAR1555.BCK/LABEL=DLY201
    

    BACKUPはボリューム・ラベルがDLY201か調べ,ディレクトリ[PRAMS]の内容を2MAR1555.BCK というセーブ・セットにコピーする。そして修飾子LIST があるので,保存しながら,MYBACK.DATファイルにセーブ・セット情報を書き出す。

10.11 マルチボリューム・バックアップ

BACKUPでデータを保存すると,セーブ・セットが複数のボリュームにまたがり, マルチボリュームのセーブ・セットになることがあります。そうした場合,BACKUP は最初のボリュームに書き込めるだけのデータを書き込み, 続いて,そのボリュームをディスマウントします。この後,BACKUPが行う処理は,BACKUP コマンド行に複数の装置が指定されているかどうか, あるいはテープ・ローダが使用されているかどうかによって異なります。

10.11.1 マルチボリュームのテープ・ラベル処理

マルチボリューム・セーブ・セット処理の場合,/REWIND修飾子の指定がないかぎり,BACKUP が先頭ボリュームを初期化することはありません。ただし, 以降のボリュームについては,初期化を行い,次のようにしてそのボリューム・ ラベルを決定します。

間違ったテープを初期化したり,間違ったテープに書き込みを行ったりすることのないよう,BACKUP はコマンド行に指定されたラベルと, 実際に装置にセットされているテープのラベルを比較します。こうしたBACKUP のテープ・ラベル処理とラベル不一致時の処理については,第10.12節で詳しく説明します。

10.11.2 磁気テープのバックアップ中のMOUNTメッセージ

ローダを持つ装置を使用したとき,あるいはスタッカまたはローダが空になった場合,MOUNT ユーティリティはバックアップ中に継続磁気テープ・ ボリュームにVOLINVメッセージを表示します。次の例は,表示の例です。

     %MOUNT-I-MOUNTED, ABCD03 mounted on _$4$MUA3: (HSC70)
     %BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 4
     %MOUNT-F-VOLINV, volume is not software enabled
     %BACKUP-I-READYWRITE, mount volume 4 on _$4$MUA3: for writing
     Enter "YES" when ready: yes
     %MOUNT-I-MOUNTED, ABCD04 mounted on _$4$MUA3: (HSC70)

一旦装置がオンライン状態に戻されるか,媒体が準備完了すると,バックアップ・ セッションは期待される通りに動作を継続あるいは終了します。 この問題は将来のリリースで対処予定です。

10.12 BACKUPによるテープ・ラベル処理

テープをマウントしたら,BACKUPは,書き込みを行う前にテープのボリューム・ ヘッダ・レコードの情報を処理します。このときBACKUPが行う処理は具体的には次のとおりです。

ラベルが一致し,正しいアクセス権をもっていて,かつテープが満了している場合,BACKUP は指示された処理を行います。

このとき/LABEL修飾子で複数のラベルが指定されており,/EXACT_ORDER修飾子を指定しなかった場合は, 指定ラベルと一致するテープのボリューム・ ラベルが1つでもあれば,処理は成功します。たとえば,テープのボリューム・ ラベルがMA1686であったとすると,/LABEL修飾子は次のようであれば問題ありません。

     /LABEL=(MA1684,MA1685,MA1686)

ボリューム・ラベルに一致するものがない場合,BACKUPは次のエラー・メッセージを表示します。

     %MOUNT-I-MOUNTED, DKA0 mounted on _SODAK$MUA0:
     %BACKUP-W-MOUNTERR, volume 1 on _SODAK$MUA0 was not mounted because
      its label does not match the one requested
     %BACKUP-W-EXLABEER, volume label processing failed because
      volume MB1684 is out of order, Volume label MA1684 was expected
      specify option (QUIT, NEW tape, OVERWRITE tape, USE loaded tape)
     BACKUP>

オプションの指定によっては,バックアップを強制終了(QUIT),現在のテープをディスマウントして, 新しいテープをマウントしたり(NEW),またテープのデータを書き換えたり(OVERWRITE) ,ロードされているテープを使用したり(USE) することができます。

/LABEL修飾子で複数のラベルを指定し,/EXACT_ORDER修飾子も指定した場合は,BACKUP はロードされたテープのラベルと/LABEL修飾子で指定した最初のラベルを比較します。 ラベルが一致した場合は,BACKUPは処理を開始し, 一致しなかった場合は,前記のメッセージを表示します。

使用するテープのボリューム・ラベルがコマンド行の対応するラベルと一致する場合は, 操作が完了する,またはボリューム・ラベルをすべて使用するまで,BACKUP は処理を続行します。コマンド行で十分なラベルを指定しなかったために操作が完了できなかった場合, またはロードされたテープのラベルがANSI ラベルではなかった場合は,BACKUPはドライブ内のテープに対してラベルを入力するよう要求します。

未使用テープを使用する,または既存のテープを書き換える場合は, /IGNORE=LABEL_PROCESSING修飾子を使用してください。この修飾子は,保存のときBACKUP がANSIラベル以外のテープを検出したときに出力する前記メッセージの出力を禁止します。

/EXACT_ORDER修飾子,/IGNORE修飾子,および/LABEL修飾子についての詳細は, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

10.13 ファイルとディレクトリのバックアップ

この節では,ファイルのコピーと,ファイルとディレクトリのバックアップ, ファイルの比較,BACKUPジャーナル・ファイルの作成と一覧出力について説明します。


注意
ファイルに対してBACKUPユーティリティを使用する場合には, 相対バージョン-0はバージョン0として処理され, 処理用のファイルの最も古いバージョンではなく最新のバージョンがセーブされることに注意してください。

10.13.1 ファイルのコピー

BACKUPを使用して,ファイルをコピーすることができます。BACKUPコマンドのコピー機能はバージョン番号や作成日, 変更日,保護コードなどのファイル情報を変更しない点が,DCL のCOPYコマンドとは異なります。ただし, 省略時の設定では,コピー先ファイルの所有者UICはカレント・プロセスのUIC になります。また,DCLコマンドのCOPYと異なり,BACKUPは,ディレクトリ構造を変更することなくディレクトリ・ ツリー全体をコピーすることもできます。

作業方法

ファイルのコピーを作成する場合は,次の形式でBACKUPコマンドを使用します。

BACKUP 入力指定 出力指定

  1. 次のコマンドは,カレント・ディレクトリのEMPLOYEES.DATファイルを[BATES.TEST] ディレクトリにコピーする。
         $ BACKUP EMPLOYEES.DAT USER1:[BATES.TEST]EMPLOYEES.DAT
    

  2. 次のようにしてディレクトリ・ツリー全体のコピーを作成することもできる。
         $ BACKUP USER1:[BATES...] USER2:[BATES...]
    

    USER2:ディスクにBATESディレクトリ構造を再作成している。

  3. 次のコマンドは,ディレクトリ・ツリー[LYKINS...]のすべてのファイルを, 同じディスクのディレクトリ・ツリー[OWLCR..]にコピーしている。
         $ BACKUP [LYKINS...]*.*;* [OWLCR...]*.*;*
    


注意
/VERIFY修飾子を指定して開始したディスク対ディスク間コピー操作では, コピーされなかったファイルを操作の完了確認をしようとすることがあります。 例えば,あるディスクから別のロケーションにあるディスクへの/VERIFY 修飾子つきのコピーが正常終了せず, システムが2つのエラーを表示した場合があります。1つはファイルがコピーされなかったことを表示します。 もう1つはファイルのコピー完了確認がされなかったことを示します。

10.13.2 セーブ・セットへのファイルとディレクトリのバックアップ

BACKUPを使用した処理で最もよく使われる処理の1つは,セーブ・セットへのファイルの保存です。 セーブ・セットには種類がいくつかあります。 詳細は第10.5節を参照してください。

作業方法

ファイルまたはディレクトリをバックアップする場合は,次の形式でBACKUP コマンドを使用します。

BACKUP 入力指定 出力指定[/SAVE_SET] [/LABEL=ラベル]

入力指定にはバックアップしたいファイル,出力指定には出力先の装置とセーブ・ セット名を指定します。

ディスクにデータを保存する場合は,出力セーブ・セット修飾子/SAVE_ SETを使用してください。この修飾子を省略すると,BACKUPのセーブ・セットが作成されず, 標準のファイル形式でファイルのコピーが行われます。 テープにデータを保存する場合は,/SAVE_SET修飾子を指定する必要はありません。BACKUP は磁気テープ・ファイルを必ずセーブ・セットとして取り扱います。 使用するテープのラベルを指定したい場合は,/LABEL修飾子を使用します。

  1. 次のコマンドは,EMPLOYEES.DATというファイルをセーブ・セットにバックアップする。
         $ ALLOCATE MUA0: TAPE1【1】
         %DCL-I-ALLOC, MUA0: allocated
         $ INITIALIZE TAPE1 DLY101【2】
         $ BACKUP/LOG EMPLOYEES.DAT MUA0:EMPL_MAY91.BCK/LABEL=DLY101【3】
         %MOUNT-I-MOUNTED, BACKUP mounted on _MUA0:
         BACKUP-S-COPIED, copied DUA0:[SCHULT]EMPLOYEES.DAT;32
         $
    

    この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行う。

    【1】
    テープ装置MUA0:を割り当て,論理名としてTAPE1を設定する。
    【2】
    装置のテープを初期化し,ラベルとしてDLY101を設定する。
    【3】
    MUA0のテープのセーブ・セットにEMPLOYEES.DATファイルを保存する。/LOG 修飾子が指定されているので,BACKUPは自身がコピーしたファイルのファイル指定情報を表示する。/LABEL 修飾子には,INITIALIZE コマンドで設定したボリューム・ラベルが指定されている。

  2. 次のコマンドは,[LYKINS...]というディレクトリ・ツリーのすべてのファイルとすべてのサブディレクトリを含む磁気テープ・ セーブ・ セット,NOV13SAVE.BCKを作成する。
         $ BACKUP [LYKINS...] TAPE:NOV13SAVE.BCK/LABEL=NOV13
    

  3. 次の例に示すように,バックアップしたいファイルをリスト形式で指定することもできる。
         $ BACKUP
         _From: DUA0:[MGR]EMPLOYEES.DAT,USER1:[RECORDS]DOOHAN.DAT,EVANS.DAT
         _To: MUA1:MONTHLY_AUG.BCK/LABEL=TAPE1
    

  4. 大量のデータをバックアップする場合は,複数の出力装置を指定することができる。
         $ BACKUP
         _From: DUA0:[000000]*.*
         _To: MTA1:BACKUP.BCK,MTA2:
    

    MTA1:のテープの空間を使い切った場合,BACKUPは,MTA2に初期化されていないテープがセットされているか, あるいはラベルBACK02で初期化されたテープがセットされているものとして,MTA2 のテープにセーブ・ セットの残りの部分を書き込む。

  5. 次の例に示すように,ファイル1つだけのFiles-11セーブ・セットを作成することができる。 このとき,DUA1:はすでにマウントされているものとする。
         $ BACKUP STRATCOL1.DAT DUA1:STRATDAT1.BCK/SAVE_SET
    

  6. ネットワーク・セーブ・セットを作成する場合は,次の形式で出力指定にノード名とユーザ名, パスワードを追加する。

    遠隔ノード名"ユーザ名 パスワード"::装置名:[ディレクトリ]

    次はネットワーク・セーブ・セットの作成例である。

         $ BACKUP
         From: STRATCOL1.DAT
         To: NIMBL"ROGERS SANFRANCISCO"::WORK1:[ROGERS]STRATDAT1.BCK/SAVE_SET
    

  7. 次のコマンドは,DUA0:に,現在の省略時のディレクトリのすべてのファイルを含む順編成ディスク・ セーブ・セット, NOV12SAVE.BCKを作成する。
         $ MOUNT/FOREIGN DUA0:
         $ BACKUP [] DUA0:NOV12SAVE.BCK/SAVE_SET
    

  8. 次の例では,[REPORTS...]というディレクトリ・ツリーをセーブ・ セットにバックアップしている。
         $ BACKUP [REPORTS...] MIA11:REPORT.BCK/REWIND/IGNORE=LABEL_PROCESSING
    

    /REWIND修飾子はテープを巻き戻して,初期化する。また, /IGNORE=LABEL_PROCESSING修飾子が指定されているため,BACKUP はテープの既存のラベル情報をすべて無視する。/LABEL修飾子がないので,BACKUP はセーブ・セット名の先頭6文字(REPORT)をテープ・ラベルにする。

  9. 次の例に示すように,Files-11形式でマウントしてディスクにディレクトリをバックアップすることもできる。
         $ MOUNT DUA1: PAYROLL
         %MOUNT-I-MOUNTED, PAYROLL mounted on _DUA1:
         $ MOUNT DUA21: DISK21
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK21 mounted on _DUA21:
         $ BACKUP
         From: DUA1:[PAYROLL]
         To: DUA21:[PAYROLL_BACKUPS]PAY22MAY1998.SAV/SAVE_SET
    

    [PAYROLL]ディレクトリのすべての内容がディスクDUA21:に収まらなかった場合, バックアップは失敗する。

  10. バックアップするデータが出力ボリュームに入り切らない場合は, 次の例に示すように,/FOREIGN修飾子を使って出力ボリュームをマウントして, 順編成ディスク・セーブ・セットを作成する。
         $ MOUNT DUA1: PAYROLL
         %MOUNT-I-MOUNTED, PAYROLL mounted on _DUA1:
         $ MOUNT/FOREIGN DJA21:
         %MOUNT-I-MOUNTED, WEEKLY mounted on _DJA21:
         $ BACKUP
         From: DUA1:[PAYROLL]
         To: DJA21:[PAYROLL_BACKUPS]PAY22MAY1998.SAV/SAVE_SET
    

    [PAYROLL]ディレクトリのすべての内容がDJA21:ディスクに入り切らなかった場合,BACKUP は装置のテープを入れ換えるよう促す。Files-11 セーブ・セットと順編成ディスク・セーブ・セットについては,第10.5節を参照すること。


注意
OpenVMSバージョン7.2よりも以前のバージョンでは,32 レベルのディレクトリがサポートされていました。OpenVMS バージョン7.2以降ではVAXとAlphaシステムディレクトリの階層の数はRMS の許容する数値までサポートされます。OpenVMSバージョン7.2 の場合,この数値は255レベルです。

10.13.3 ファイルの比較

BACKUPには,セーブ・セットとディスク・ファイルを比較したり,ディスク・ ファイル同士を比較したりする機能もあります。コピー,保存,または復元の後で, ファイルまたはボリュームの整合性をチェックしたい場合は, 比較機能を使用してください。たとえば,セーブ・セットを元のファイルと比較したり, ファイルやボリュームのコピーを元のファイルと比較したりすることができます。


注意
BACKUPはブロック単位でファイルを処理するため,BACKUP 以外の機能で作成したファイルを比較すると, 外見上は同じであっても,ファイルの不一致エラーになることがあります。

作業方法

BACKUPを使用して比較を行うには,次の2つの方法があります。

  1. 次は,テープ上のセーブ・セットとディスク上のファイルを比較している例である。2MAR1555.BCK セーブ・セットの内容と[LYKINS] ディレクトリの内容を比較している。
         $ BACKUP/COMPARE MTA0:2MAR1555.BCK [LYKINS]
    

  2. 次は,ディスク上のファイル,UPLIFT.EXE;4とUPLIFT.EXE;3を比較している。 ブロック16が一致しないことが分かる。
         $ BACKUP/COMPARE UPLIFT.EXE;3 UPLIFT.EXE;4
         %BACKUP-E-VERIFYERR, verification error for block 16 of
          WRKD$:[LYKINS]UPLIFT.EXE;4
    

  3. 2つのFiles-11ボリュームのすべての内容を比較したい場合は, 次の例に示すようにイメージ比較を行う。
         $ BACKUP/IMAGE/COMPARE DBA1: DBA2:
    

  4. 物理セーブ・セットとFiles-11ボリュームを比較したい場合は, 次の例に示すように物理比較を行う。物理比較では,すべてのディスクをフォーリン・ ボリュームとしてマウントしておく必要がある。
         $ MOUNT/FOREIGN DBA2:
         $ BACKUP/PHYSICAL/COMPARE MIA0:PHYSBACK.BCK DBA2:
    

  5. 次は,コピーと比較を組み合せている例である。
         $ BACKUP/VERIFY/LOG FRED.DAT [FRIENDS]OLDFRED.DAT
         %BACKUP-S-CREATED, created DISK$:[FRIENDS]OLDFRED.DAT;3
         %BACKUP-S-COMPARED, compared DISK$:[FRIENDS]OLDFRED.DAT;3
    

10.13.4 BACKUPジャーナル・ファイルの作成と一覧出力

BACKUPを使用した処理の記録を取っておきたい場合は,ジャーナル・ファイルを作成します。BACKUP ジャーナル・ファイルには,BACKUPの保存や, 個々の処理で保存されたファイル指定情報が含まれます。

作業方法

ジャーナル・ファイルを作成する場合は,BACKUPの保存で/JOURNAL[= ファイル指定]修飾子を使用します。

またBACKUPジャーナル・ファイルの内容の一覧を取りたい場合は,次の形式でBACKUP コマンドを入力します。

BACKUP/LIST[=ファイル指定]/JOURNAL[=ファイル指定]

BACKUP/LIST/JOURNALコマンドに入力指定や出力指定を行うことはできません。/LIST コマンド修飾子のファイル指定が省略された場合,BACKUPはターミナルに出力を行います。 また,/JOURNALコマンド修飾子のファイル指定が省略された場合は, 省略時のBACKUPジャーナル・ファイル名のSYS$DISK:[]BACKUP.BJL が使用されます。

BACKUPジャーナル・ファイルの作成と一覧出力については,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』の/JOURNAL修飾子を参照してください。

ここでは,BACKUPジャーナル・ファイルを作成して,その内容を一覧出力する例を紹介します。

     $ BACKUP/JOURNAL/LOG/IMAGE  DRA2: MIA0:3OCT.FUL
     %BACKUP-S-COPIED, copied DRA2:[COLLINS]ALPHA.DAT;4
     %BACKUP-S-COPIED, copied DRA2:[COLLINS]EDTINI.EDT;5
     .
     .
     .
     %BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 2
     %BACKUP-I-READYWRITE, mount volume 2 on _MIA0: for writing
     Press return when ready: <Return>
     %BACKUP-S-COPIED, copied DRA2:[LANE]MAIL.MAI;1
     %BACKUP-S-COPIED, copied DRA2:[LANE]MEMO.RNO;5
     .
     .
     .
     $ BACKUP/JOURNAL/LIST
     Listing of BACKUP journal
     Journal file _DB2:[SYSMGR]BACKUP.BJL;1 on 3-OCT-1998 00:40:56.36
     Save set 3OCT.FUL created on 3-OCT-1998 00:40:56.36
     Volume number 1, volume label 3OCT01

              [COLLINS]ALPHA.DAT;4
              [COLLINS]EDTINI.EDT;5
              [COLLINS]LOGIN.COM;46
              [COLLINS]LOGIN.COM;45
              [COLLINS]MAIL.MAI;1
              [COLLINS]MAR.DIR;1
              [COLLINS.MAR]GETJPI.EXE;9
              [COLLINS.MAR]GETJPI.LIS;14
                        .
                        .
              [LANE]LES.MAI;1
                        .
                        .
     Save set 3OCT.FUL created on 3-OCT-1998 00:40:56.36
     Volume number 2, volume label 3OCT02

               [LANE]MAIL.MAI;1
               [LANE]MEMO.RNO;5
               [LANE]MEMO.RNO;4
                        .
                        .
               [WALTERS.VI]KD.RNO;52

     End of BACKUP journal

10.14 ファイルとディレクトリの復元

BACKUPの復元機能は,セーブ・セットを読み取り,それを元の状態に戻します。 復元を行うことによって,重要なファイルを削除したり,ディスクのすべての内容を壊したりといったことがよくあります。 したがって,操作は十分注意して行ってください。BACKUP は,復元したセーブ・セットの内容を指定された場所に書き込みます。

ディスク全体の復元については,後述の第10.16 節で説明します。

作業方法

ファイルを復元する場合は,次の形式でBACKUPコマンドを使用します。

BACKUP セーブ・セット指定[/SAVE_SET] -
/SELECT=[ディレクトリ...] 出力指定:[ディレクトリ...]

セーブ・セットがディスクまたはディスケット上にある場合は,/SAVE_ SET修飾子を使用してください。/SELECT修飾子には,復元したいファイルを具体的に指定します。

セーブ・セットが複数の磁気テープまたは順編成ディスク・ボリュームにまたがる場合は, セーブ・セットの任意のボリュームから復元および比較を始めることができます。 ただし,/IMAGE修飾子を使用してセーブ・セットを復元する場合は, 必ず最初のボリュームから処理を始めます。これは, イメージ復元がすべてのファイルをボリュームまたはボリューム・セットに復元するためです。 イメージ復元か比較を行うときに,セーブ・セットの最初のボリューム以外のテープを指定すると, 次のメッセージが表示されます。

     %BACKUP-W-NOT1STVOL, tape 'name' is not the start of a save set

/LOG修飾子を指定すると,ファイルの復元の進行状況を監視することができます。 大きなセーブ・セットから少量のファイルだけ復元したい場合は, 目的のファイルの復元を終えた時点でCtrl/Yを押し,処理を終了してください。

  1. USER1:[WORK.SEPT]INVOICES.DATというファイルを誤って削除してしまったため, 前に保存しておいたNIGHTLY.BCKというセーブ・セットからファイルを復元する。
         $ BACKUP
         _From: MUA0:NIGHTLY.BCK/SELECT=[WORK.SEPT]INVOICES.DAT
         _To: USER1:[WORK.SEPT]INVOICES.DAT
    

  2. 次の例に示すように,ワイルドカード文字を使用して一度に複数のファイルを復元することもできる。
         $ BACKUP/LOG
         _From: MUA0:NIGHTLY.BCK/SELECT=[WORK.SEPT]INVOICES*.*
         _To: USER1:[WORK.SEPT]INVOICES*.*
         %BACKUP-S-CREATED, created USER1:[WORK.SEPT]INVOICES_01.TXT;1
         %BACKUP-S-CREATED, created USER1:[WORK.SEPT]INVOICES_02.TXT;1
         %BACKUP-S-CREATED, created USER1:[WORK.SEPT]INVOICES_03.TXT;1
         %BACKUP-S-CREATED, created USER1:[WORK.SEPT]INVOICES_04.TXT;1
         %BACKUP-S-CREATED, created USER1:[WORK.SEPT]INVOICES_05.TXT;1
         %BACKUP-S-CREATED, created USER1:[WORK.SEPT]INVOICES_06.TXT;1
            .
            .
            .
    

    /LOG修飾子が指定されているため,復元したファイルのファイル指定情報が表示される。

  3. 次の例では,NOV12SAVE.BCKという磁気テープ・セーブ・セットから[LYKINS] ディレクトリのサブディレクトリにファイルを復元している。
         $ BACKUP TAPE:NOV12SAVE.BCK [LYKINS...]
    

  4. セーブ・セットから特定の1つのファイルを復元したい場合は, 入力セーブ・セット修飾子の/SELECTを使用する。たとえば,[LYKINS.GLENDO] ディレクトリのファイルSTRAT1.DATを誤って削除してしまったと仮定する。 このファイルは,以前にNOV2SAVE.BCKというセーブ・ セットに保存していた。BACKUPを使用して,STRAT1.DATファイルを同じディレクトリに復元し, 続いてDIRECTORYコマンドを使用して, ファイルが正しく[LYKINS.GLENDO]サブディレクトリに復元されたか確認する。
         $ BACKUP
         _From: MIA0:NOV2SAVE.BCK/SELECT=[LYKINS.GLENDO]STRAT1.DAT;5
         _To: STRAT1.DAT;5
         $ DIRECTORY STRAT1.DAT
         Directory [LYKINS.GLENDO]
    
         STRAT1.DAT;5
    
         Total of 1 file.
         $
    

  5. たとえば,[REPORTS]というディレクトリのすべての内容を削除したと仮定する。 このディレクトリには,次に示すサブディレクトリが含まれていたと仮定する。
         $ SET DEFAULT [REPORTS]
         $ DIRECTORY *.DIR
    
         Directory USER3:[REPORTS]
    
         INTERNAL.DIR             2
         PUBLIC.DIR               5
         SUMMARIES.DIR            1
         TEST.DIR                 3
         WEEKLY.DIR               2
    
         Total of 5 files, 13 blocks.
         $
    

    これらのディレクトリとサブディレクトリのバックアップ・セーブ・ セットを作成していた場合は,次のコマンドを使用して,それらを復元することができる。

         $ BACKUP MUA0:MAY-10.BCK/SELECT=[REPORTS...] USER3:[REPORTS...]
    

    すなわち, このコマンドは,[REPORTS]ディレクトリとそのサブディレクトリの[.INTERNAL] ,[.PUBLIC],[.SUMMARIES],[.TEST],[.WEEKLY]のすべてのファイルを復元する。

  6. 次のコマンドは,NOV12SAVE.BCKという磁気テープ・セーブ・ セットに含まれているすべてのファイルを,元のディレクトリ・ツリーに復元している例である。
         $ BACKUP TAPE:NOV12SAVE.BCK/REWIND [*...]
    

    /REWIND修飾子は,復元を行う前にテープの始まりまでテープを巻き戻すようBACKUP に指示する修飾子である。これにより,セーブ・セットが現在のテープ位置より前に位置していても, 正しい復元が可能になる。

10.14.1 深いディレクトリ構造内のファイルへのアクセス

BACKUPは,最高32レベルの深さのディレクトリ構造にあるファイルにアクセスできます。BACKUP は,以前は深いディレクトリ(9レベル以上)にあったBACKUP のセーブ・セット内で,ファイルを選択することもできます。ただしODS-S ディスク上では,最高8レベルの深さのディレクトリから,ファイルを復元できます。 次の例では,深さ12レベルの深いディレクトリ構造を復元します。

     $ BACKUP MTA1:T.BCK/SAV/SELECT=[A.B.C.D.E.F.G.H.I.J.K.L]*.* -
      DISK:[DIR]*.*;*

10.15 ユーザ・ディスクのバックアップ

この節では,ディスクとテープに対する追加型バックアップとイメージ・ バックアップについて説明します。


注意
ユーザ・ディスクをバックアップする場合は, メニュー・システム (OpenVMS VAXオペレーティング・ システムCD-ROMのブート時に表示されるもの)を使用しないでください。 メニュー・システムは,システム・ディスクをバックアップする場合にだけ使用してください。

また,VAXシステム上で大規模な ユーザ・ディスクのバックアップを行うと,BACKUPにページングが必要となり, そのために操作が失敗する場合があります。このような事態が生じた場合は, オンラインのBACKUPを使用してVAXユーザ・ディスクのバックアップを行ってください。


10.15.1 ユーザ・ディスクをバックアップする前に

ユーザ・ディスクのバックアップは,ログインしている会話型ユーザが存在せず, かつアプリケーションが動作していない状態で行うようにしてください。 これは,保存中にオープンしているファイルを見つけると, エラー・メッセージが出され,そのファイルのコピーが行われなくなる ためです。また,BACKUPはディレクトリを検索しますから,ファイルの作成や削除などのディレクトリ操作が行われていると, ファイルがバックアップ対象から除外されることがあります。


注意
ディスクで初めてのバックアップなら, 通常の追加型バックアップを行う前に,BACKUP/IMAGE/RECORD コマンドでイメージ・バックアップを行います。イメージ・バックアップは, ディスク全体のコピーを保存しながら,保存した各ファイルにマークを付けます。 その後に実施する通常の追加型バックアップは,既にイメージ・ バックアップが行われていることを前提としているため,新しいファイルや変更されたファイルを保存します。

最初にイメージ・バックアップが行われていない場合には, 追加型バックアップで必要以上にファイルを保存して, 確実に追加型の復元ができるようにします。


後述の第10.18.3項で説明するように, /IGONRE=INTERLOCK修飾子を指定することによって,オープンしているファイルを保存するようBACKUP に指示することができます。ただし,アプリケーションが書き込みを行っていた場合, このようにして保存したファイルには矛盾するデータが含まれることがあります。BACKUP は,次のいずれかの場合にメッセージを表示します。

ただし,BACKUPのファイル読み取り終了時に,遠隔ノードでファイルが書き込みのためにアクセスされた場合には, メッセージは表示されません。 これは,BACKUPがそのアクセスを検出できないからです。

指定されたバージョンのファイルが既に存在していたら,BACKUPは次のエラー・ メッセージを表示します。

     RMS-E-FEX, file already exists, not superseded

作業方法

ユーザがログインしている場合は,ディスクのバックアップを行う旨を各ユーザに通知してください。OPER 特権を持っている場合は,次のようにREPLY/ALL コマンドを使用して,一度にすべてのユーザに通知することができます。

     $ REPLY/ALL "System Backup About to Begin -- Open Files Will Not Be Backed Up"

このコマンドが入力されると,システムの各会話型ターミナルには次のメッセージが表示されます。

     Reply received on MYNODE from user SYSTEM at VTA28:   23:35:11
     System Backup About to Begin -- Open Files Will Not Be Backed Up

10.15.2 テープへのイメージ・バックアップ

第10.2節で説明したように,ディスクのイメージ・ バックアップでは,そのディスクのすべてのファイルの論理的なコピーが作成されます。 このバックアップは,ファイルがオープンしているときの問題を考慮して, システムに会話型ユーザが存在しない状態で行ってください( 第10.15.1項参照)。また,システムの性能に影響することがありますから, バックアップは,システムが最も空いているときに行うのが最適です。 いくつかのプロセス・パラメータとシステム・ パラメータに適切な値を設定することにより,バックアップを効率良く行うことができます( 第10.7節参照)。

作業方法

テープにイメージ・バックアップを行う場合は,次の形式でBACKUPコマンドを使用します。

BACKUP/IMAGE [/RECORD] 入力装置-
出力指定[/LABEL=ラベル] [/REWIND]

/IMAGE修飾子は,このバックアップがイメージ・バックアップであることを示します。/RECORD 修飾子は任意であり,指定された場合は,バックアップした各ファイルのファイル・ ヘッダ・レコードにそのときの日時を記録します。 将来,追加型バックアップを行う場合は,必ずこの/RECORD修飾子を指定してください。 入力装置には,バックアップするディスクの装置を指定します。 ファイルは指定しないでください。/REWIND修飾子は任意であり, テープを初期化する場合は指定します。/LABEL修飾子は, テープのラベルを指定するときに使用します。

  1. 次は,ワークステーションのディスクのイメージ・バックアップを作成している例である。 ディスクがDKA100:で,テープ・カートリッジ・ デバイスがMKB100:とすると,イメージ・バックアップは,次のコマンドを使用して行うことができる。
         $ INITIALIZE MKB100: WKLY【1】
         $ MOUNT DKA100: DISK$1【2】
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK$1 mounted on _DKA100:
         $ BACKUP/IMAGE/RECORD/VERIFY
         _From: DKA100:
         _To: MKB100:FULL02.SAV/LABEL=WKLY【3】
         %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
    

    この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行う。

    【1】
    MKB100:のテープを初期化し,ラベルとしてWKLYを書き込む。
    【2】
    ディスクDKA100:をマウントする。BACKUPは自動的にテープをマウントする。
    【3】
    ディスクDKA100:のすべての内容をMKB100 のセーブ・セットFULL02.SAVにバックアップする。/IMAGE修飾子は, このバックアップがイメージ・バックアップであることを示し,/RECORD 修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・ レコードにそのときの日時を記録する。/VERIFY修飾子を指定しているので,BACKUP は,ファイルをボリュームに書き込んでから,出力指定装置の内容と入力指定装置の内容を比較する。/LABEL 修飾子は, テープのラベルを指示する。

  2. 大容量のディスクをバックアップする場合は,バックアップに複数台のテープ装置を使用することがある。 そうした場合は,次のようにしてバックアップを行う。
         $ ALLOCATE MUA0:,MUA1:,MUA2:【1】
         %DCL-I-ALLOC, MUA0: allocated
         %DCL-I-ALLOC, MUA1: allocated
         %DCL-I-ALLOC, MUA2: allocated
         $ BACKUP/IMAGE/RECORD/NOASSIST/RELEASE_TAPE
         _From: DKA100:
         _To: MUA0:FULL02.SAV,MUA1,MUA2/LABEL=MNTH【2】
         %MOUNT-I-MOUNTED, MNTH mounted on _MUA0:
         %BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 2
         %MOUNT-I-MOUNTED, MNTH02 mounted on _MUA1:
         %BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 3
         %MOUNT-I-MOUNTED, MNTH03 mounted on _MUA2:
         $
    

    この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行う。

    【1】
    バックアップに使用するテープ装置を割り当てる。
    【2】
    DKA100:のすべての内容をセーブ・セットにバックアップする。BACKUP は,まずMUA0のテープからセーブ・セットの書き込みを開始する。 そして,そのテープが一杯になると,MUA1:のテープを初期化して, セーブ・セットの残りを書き込む。MUA1:のテープのラベルはMNTH02 である。そしてさらに,MUA1:のテープも一杯になった場合は,MUA2: のテープに残りのデータを書き込む。

    /RELEASE_TAPE修飾子は,セーブ・セットの書き込みを終えた出力テープ装置をディスマウントして, アンロードするよう指示する。/RECORD 修飾子が指定されているので,バックアップした各ファイルのファイル・ ヘッダ・レコードにはそのときの日時が記録される。

10.15.3 ディスクへのイメージ・バックアップ

第10.2節で説明したように,ディスクのイメージ・ バックアップでは,そのディスクのすべてのファイルの論理的なコピーが作成されます。 このバックアップは,ファイルがオープンしているときの問題を考えて, システムに会話型ユーザが存在しない状態で行ってください( 第10.15.1項参照)。また,システムの性能に影響することがあるため, バックアップは,システムが最も空いているときに行うのが最適です。 いくつかのプロセス・パラメータとシステム・ パラメータに適切な値を設定することにより,バックアップを効率良く行うことができます( 第10.7節参照)。

作業方法

ディスクにイメージ・バックアップを行う場合は,次の形式でBACKUPコマンドを使用します。

BACKUP/IMAGE/RECORD 入力装置 出力指定/SAVE_SET

/IMAGE修飾子は,このバックアップがイメージ・バックアップであることを示します。/RECORD 修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ ヘッダ・レコードにそのときの日時を記録します。将来,追加型バックアップを行う場合は, 必ずこの/RECORD修飾子を指定してください。/SAVE_SET 修飾子は,セーブ・セットをディスクに作成することを示します。

  1. 次の例では,DUA2:というディスクにDUA1:というディスクのイメージ・ バックアップ・セーブ・セットを作成している。
         $ MOUNT DUA1: USER1
         %MOUNT-I-MOUNTED, USER1 mounted on _DUA1:
         $ MOUNT DUA2: USER2
         %MOUNT-I-MOUNTED, USER2 mounted on _DUA2:
         $ BACKUP/IMAGE/RECORD
         _From: DUA1:
         _To: DUA2:[USER.BACKUPS]USER1.SAV/SAVE_SET
    

  2. 次の例に示すように,BACKUPコマンド行の出力装置指定に複数のディスク装置を指定することもできる。
         $ BACKUP/IMAGE/RECORD
         _From: DUA0:
         _To: DUB24:[USER.BACKUPS]USER1.SAV,DUB25/SAVE_SET
    

10.15.4 テープへの追加型バックアップ

第10.2節で説明したように,ディスクの追加型バックアップでは, 前回/RECORD修飾子を用いて行われたイメージまたは追加型バックアップ以降に作成または変更されたファイルのコピーしか作成されません。

作業方法

テープに追加型バックアップを行う手順は次のとおりです。

  1. /RECORD修飾子を使用してイメージ・バックアップを行う(第10.15.2項参照)。

  2. 次の例に示すようにDIRECTORY/FULLコマンドを使用し,最後に/RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップの日付を確認する。
         $ DIRECTORY/FULL LOGIN.COM
    
         Directory WORK204:[HIGGINS]
    
         LOGIN.COM;31                  File ID:  (23788,1,0)
         Size:            7/9          Owner:    [ACC,HIGGINS]
         Created:  30-APR-1998 14:37:33.98
         Revised:  30-APR-1998 14:37:34.44 (1)
         Expires:   <None specified>
         Backup:   30-APR-1998 20:20:57.37
         File organization:  Sequential
         File attributes:    Allocation: 9, Extend: 0, Global buffer count: 0, No version limit
         Record format:      Variable length, maximum 94 bytes
         Record attributes:  Carriage return carriage control
         RMS attributes:     None
         Journaling enabled: None
         File protection:    System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World:
         Access Cntrl List:  None
    
         Total of 1 file, 7/9 blocks.
    

    上記の"Backup"フィールドに示されているのが,前回/RECORD修飾子を使用して行ったバックアップの日付である。 この例では,1998年4月30 日の20:20:57.37に行われたことが分かる。


    注意
    /RECORD修飾子を使用したイメージ・ バックアップか追加型バックアップで/IGNORE=INTERLOCK修飾子も使用する場合は, 第10.18.3項を参照してください。 オープンしたままのファイルをバックアップしようとしても,そのファイルは追加型バックアップに含まれません。 これは,ファイルのバックアップ日付フィールドの値が, 前回/RECORD修飾子を使用して行ったイメージ・ バックアップまたは追加型バックアップの最新のバックアップより新しくないからです。

  3. 次の形式でBACKUPコマンドを入力する。

    BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP 入力指定-
    出力指定[ /LABEL=ラベル] [/REWIND]

    /RECORD修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・ レコードにそのときの日時を記録する。将来,追加型バックアップを行う場合は, 必ずこの/RECORD修飾子を指定すること。/SINCE=BACKUP 修飾子は,前回/RECORD修飾子を使用して行ったバックアップ以降の日付のファイルをバックアップすることを指示する。/REWIND 修飾子は任意であり, テープを初期化する場合に指定する。/LABEL修飾子は,テープのラベルを指定するときに使用する。

次は追加型バックアップを行うBACKUPコマンドの例であり,前回のBACKUP/RECORD コマンド以降に変更されたDRA1:のすべてのファイルを20APR1998.SAV というセーブ・セットに保存します。

     $ BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP/RELEASE_TAPE
     From: DRA1:[000000...]
     To: MIA0:20APR1998.SAV/LABEL=20JUNE

/LABEL修飾子は,テープのボリューム・ラベルを示します。イメージ・ バックアップではなく,追加型バックアップであるため, DRA1:[000000 . . . ]を明示的に使用して,DRA1のすべてのファイルをバックアップ対象にすることを指示する必要があります。/SINCE=BACKUP 修飾子は,前回/RECORD修飾子を使用して行ったバックアップ以降に作成または変更されたすべてのファイルを保存しなさいという指示です。/RELEASE_TAPE 修飾子は,BACKUPがセーブ・セットを書き込んだ後, /RECORD修飾子の処理を行う前に出力テープ装置をディスマウントして, アンロードします。

10.15.5 ディスクへの追加型バックアップ

第10.2節で説明したように,ディスクの追加型バックアップでは, 前回/RECORD修飾子を用いて行われたイメージまたは追加型バックアップ以降に作成または変更されたファイルのコピーしか作成されません。

作業方法

ディスクに追加型バックアップを行う手順は次のとおりです。

  1. 追加型バックアップを行うためには,まず/RECORD修飾子を使用してイメージ・ バックアップを行う(第10.15.2 項を参照)。

  2. 次の例に示すようにDIRECTORY/FULLコマンドを使用し,前回/RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップの日付を確認する。
         $ DIRECTORY/FULL LOGIN.COM
    
         Directory WORK204:[HIGGINS]
    
         LOGIN.COM;31                  File ID:  (23788,1,0)
         Size:            7/9          Owner:    [ACC,HIGGINS]
         Created:  30-APR-1998 14:37:33.98
         Revised:  30-APR-1998 14:37:34.44 (1)
         Expires:   <None specified>
         Backup:   30-APR-1998 20:20:57.37
         File organization:  Sequential
         File attributes:    Allocation: 9, Extend: 0, Global buffer count: 0, No version limit
         Record format:      Variable length, maximum 94 bytes
         Record attributes:  Carriage return carriage control
         RMS attributes:     None
         Journaling enabled: None
         File protection:    System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World:
         Access Cntrl List:  None
    
         Total of 1 file, 7/9 blocks.
    
         $
    

    上記の"Backup"フィールドに示されているのが,前回/RECORD修飾子を使用して行ったバックアップの日付である。 この例では,1998年4月30 日の20:20:57.37に行われたことが分かる。


    注意
    /RECORD修飾子を使用してイメージ・ バックアップか追加型バックアップを行ったとき,同時に/IGNORE=INTERLOCK 修飾子も使用した場合は,第10.18.3 項を参照してください。オープンしたままのファイルをバックアップしようとしても, ファイルは追加型バックアップに含まれません。 これは,ファイルのバックアップ日付フィールドの値が,前回/RECORD 修飾子を使用して行ったイメージ・バックアップまたは追加型バックアップの日付より新しくないからです。

  3. 次の形式でBACKUPコマンドを入力する。

    BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP 入力指定-
    出力指定/SAVE_ SET

    /RECORD修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・ レコードにそのときの日時を記録する。追加型バックアップの第1 ステップはイメージ・バックアップである(第10.15.2 項参照)。将来,追加型バックアップを行う場合は,イメージ・ バックアップを行うときに必ずこの/RECORD修飾子を指定すること。/SINCE=BACKUP 修飾子は,前回/RECORD修飾子を使用して行ったバックアップ以降の日付のファイルをバックアップすることを指示する。/SAVE_SET 修飾子は,セーブ・セットをディスクに作成することを指示する。

  1. 次のコマンドは,DJC12:にある順編成ディスク・セーブ・セットにDUA55: のディスクの追加型バックアップを行う。
         $ MOUNT DUA55: DISK1
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _DUA55:
         $ MOUNT/FOREIGN DJC12:
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK2 mounted on _DJC12:
         $ BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP
         _From: DUA55:[000000...]
         _To: DJC12:USER1.SAV/SAVE_SET
    

  2. 次の例に示すように,BACKUPコマンド行の出力装置指定に複数のディスク装置を指定することもできる。
         $ MOUNT DUA0: USER1
         %MOUNT-I-MOUNTED, USER1 mounted on _DUA0:
         $ MOUNT/FOREIGN DUB24:
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK2 mounted on _DUB24:
         $ MOUNT/FOREIGN DUB25:
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK3 mounted on _DUB25:
         $ BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP
         _From: DUA0:[000000...]
         _To: DUB24:USER1.SAV,DUB25/SAVE_SET
    

10.15.6 OpenVMSサーバ用のPATHWORKSを使用した追加型バックアップの実行

PATHWORKS for OpenVMS Macintoshサーバの追加型バックアップ操作と, OpenVMSの追加型バックアップ操作には互換性がありません。これが原因でBACKUP は,(サブディレクトリとそのファイルまでを含めた)ディスクやディレクトリ構造の全体がセーブされることがあります。

BACKUPユーティリティでは,ファイル・ヘッダ内のBackup Dateフィールドに示された日付以降にディレクトリ・ ファイルが変更されているかどうかを検出できます。 ディレクトリ・ファイルが変更されている場合は,そのディレクトリのサブディレクトリとファイルが後の復元操作に備えてすべてセーブされます。

OpenVMSシステムでは,ディレクトリ・ファイルの変更日付のアップデートは, 通常は行われません。ただし,名前変更でディレクトリ・ファイルの位置を変えた場合などには, アップデートが行われることがあります。 これとは対照的に,PATHWORKS Macintoshサーバでは,Macintoshユーザのディレクトリ・ ファイルの変更日付が保持されます。つまり,各ディレクトリ変更, ファイル作成,およびファイル削除について変更日付のアップデートが行われます。

このことが原因となって, Macintoshユーザに対するファイルのサービスに PATHWORKS が使用されている場合に,ディスクの追加型バックアップを行うと, 前回の追加型バックアップ操作以降に作成または変更されたユーザ・ ファイルだけでなく,ディスク全体あるいはディレクトリ全体が (その下のサブディレクトリやファイルを含めて) セーブされることになります。

不必要に保存しないようにするには,次のいずれかの方法をとります:

10.15.7 ワークステーションのディスクのバックアップ

スタンドアロン型のワークステーションでは,たいていシステム管理者がユーザ・ ディスクのファイルのバックアップを行います。 第10.15.7.1項第10.15.7.2項, および第10.15.7.3項では, それぞれワークステーション上でユーザ・ ディスクのイメージ・バックアップ,追加型バックアップ, 会話型バックアップを行うためのコマンド・プロシージャを紹介します。

またSYS$EXAMPLESディレクトリには,BACKUPコマンド・プロシージャの設計に役立つ2 つのテンプレート・コマンド・プロシージャが用意されています。 それらコマンド・プロシージャの名前は,BACKUSER.COMとRESTUSER.COM です。

コマンド・プロシージャの使い方がわからない場合は,『OpenVMSユーザーズ・ マニュアル』を参照してください。

10.15.7.1 コマンド・プロシージャによる夜間イメージ・ バックアップ

ここでは,毎晩イメージ・バックアップを行うコマンド・プロシージャを紹介します。MUA0 の磁気テープの,FULL_BACKUP.SAVEというセーブ・セットにDUA2: ディスクのすべてのファイルをバックアップします。このプロシージャは,MicroVAX システムやワークステーションでのファイルのバックアップに特に有用です。

作業方法

夜間のイメージ・バックアップ用コマンド・プロシージャを使用する手順は次のとおりです。

  1. システムのバッチ・キューが使用可能な状態にあることを確認し( 第13.3節を参照),コマンド・プロシージャを1 度だけキュー登録する。このコマンド・プロシージャは毎日午前2:00 に動作する。すなわち,プロシージャは毎朝2:00に自動的に自身を再度キュー登録する。 ただし,毎日のテープの物理的なセットは人間が行う必要がある。 これを怠った日は,バックアップ・プロシージャは動作しないが, その後,正しくテープがセットされれば,再び自身をキュー登録して, 動作する。

  2. SYS$MANAGERディレクトリから次の内容のコマンド・プロシージャを作成し,SYSTEM_BACKUP.COM という名前を付ける。
         $!
         $! Resubmit this procedure --
         $ SUBMIT/AFTER="TOMORROW+2:0" SYS$MANAGER:SYSTEM_BACKUP
         $!
         $  ON ERROR THEN GOTO FAILURE
         $  SET PROCESS/PRIVILEGES=ALL
         $!
         $  REPLY/ALL -
             "Full Backup About to Begin.  Open Files Will Not Be Saved"
         $!
         $  BACKUP /IMAGE   DUA2:   MUA0:FULL_BACKUP.SAV /REWIND /IGNORE=LABEL_PROCESSING
         $  DISMOUNT MUA0:
         $  EXIT
         $!
         $FAILURE:
         $  WRITE SYS$OUTPUT "---> Backup failed"
         $  WRITE SYS$OUTPUT ""
         $  DISMOUNT MUA0:
         $  EXIT
    

  3. 実行環境に合せてコマンド・プロシージャを編集する。

  4. 設定したセーブ・セット名を書き留める。

  5. 次のコマンド行を入力して,コマンド・プロシージャをキュー登録する。 プロシージャにSYS$MANAGER:SYSTEM_BACKUP.COM以外の名前を付けた場合は, プロシージャ名をその名前に置き換えること。

    SUBMIT/NOPRINT/AFTER="TOMORROW+2:0"/QUEUE=キュー名-
    SYS$MANAGER:SYSTEM_BACKUP

  6. 必ず,テープを毎日入れ換え,また指定した装置に物理的にセットしておくこと。 バックアップが終了したら,バックアップ・テープを安全な場所に保管する。 別のイメージ・バックアップを取るのでないかぎり, 保管したテープは使用してはならない。

キュー登録後にプロシージャの実行を中止する場合は,DELETE/ENTRYコマンドを使用します。 エントリ番号が判らない場合は,次の例に示すようにSHOW ENTRY コマンドで調べることができます。

     $ SHOW ENTRY
       Entry  Jobname         Username     Blocks  Status
       -----  -------         --------     ------  ------
          14  SYS_BACKUP   TPROULX                 Holding until 19-APR-1998 02:00
              On generic batch queue CLUSTER_BATCH
     $ DELETE/entry=14

10.15.7.2 コマンド・プロシージャによる夜間追加型バックアップ

コマンド・プロシージャを使用して,毎晩ディスクの追加型バックアップを行うことができます。 次のいずれかの条件を満たす場合は,夜間の追加型バックアップと毎週のイメージ・ バックアップを行う方が好都合です。

金曜の夜以外の毎晩11:00に,追加型バックアップを行いたいと仮定します。 金曜の夜は,イメージ・バックアップを行うものとします。この後の手順で紹介するコマンド・ プロシージャは,金曜の夜を除く毎晩,3つのディスクの追加型バックアップを行い, 自動的に自身を再キュー登録します。

作業方法

夜間の追加型バックアップ用コマンド・プロシージャを使用する手順は次のとおりです。

  1. SYS$MANAGERディレクトリから次の内容のコマンド・プロシージャを作成し,INCREMENTAL_BACKUP.COM という名前を付ける。
         $!
         $! Resubmit this procedure --
         $ SUBMIT/AFTER="TOMORROW+23:0" SYS$MANAGER:INCREMENTAL_BACKUP
         $!
         $ TODAY = f$cvtime("today",,"weekday")
         $ IF TODAY .EQS. "Friday" THEN GOTO DONE
         $!
         $  ON ERROR THEN GOTO FAILURE
         $  SET PROC/PRIV=(OPER,BYPASS)
         $!
         $  REPLY/ALL -
             "Incremental Backup About to Begin.  Open Files Will Not Be Saved"
         $!
         $  BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP  DRA0:[000000...]  -
            MIA0:INCREMENT1.SAV /LABEL=INC1
         $  BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP  DRA1:[000000...]  -
            MIA1:INCREMENT2.SAV /LABEL=INC2
         $  BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP  DRA2:[000000...]  -
            MIA2:INCREMENT3.SAV /LABEL=INC3
         $  DISMOUNT MIA0:
         $  DISMOUNT MIA1:
         $  DISMOUNT MIA2:
         $  EXIT
         $!
         $FAILURE:
         $  WRITE SYS$OUTPUT "---> Backup failed"
         $  WRITE SYS$OUTPUT ""
         $  DISMOUNT MIA0:
         $  DISMOUNT MIA1:
         $  DISMOUNT MIA2:
         $  EXIT
    

  2. コマンド・プロシージャを編集し,実行環境に合せて以下を変更する。

    この例では,金曜日には追加型バックアップを行わない。金曜日は, イメージ・バックアップ(完全バックアップ)を行う。

  3. イメージ・バックアップをすでに行っていることを確認する。 イメージ・バックアップでは,必ず,/BACKUPコマンド行に /IMAGE修飾子とともに/RECORD 修飾子を使用すること。

  4. 次のコマンド行を入力して,コマンド・プロシージャをキュー登録する。 プロシージャにSYS$MANAGER:INCREMENTAL_BACKUP.COM以外の名前を付けた場合は, プロシージャ名をその名前に置き換えること。
         $ SUBMIT/AFTER=23  SYS$MANAGER:INCREMENTAL_BACKUP
    

  5. 必ず,指定した装置にテープを物理的にセットしておくこと。 追加型バックアップが終了したら,バックアップ・テープを安全な場所に保管する。 別のイメージ・バックアップを取るのでないかぎり, 保管したテープは使用してはならない。

10.15.7.3 会話型コマンド・プロシージャによるバックアップ

ここでは,会話形式で磁気テープにディスクをバックアップするためのコマンド・ プロシージャを紹介します。

作業方法

会話型コマンド・プロシージャを使用する手順は次のとおりです。

  1. 自分のディレクトリに次の内容のコマンド・プロシージャを作成する。
         $ ! Command procedure DAILYBACK.COM
         $ !
         $ ! Execute this command procedure interactively
         $ !  by entering the command @[directory]DAILYBACK
         $ !  at the DCL prompt.
         $ !
         $ ! The BACKUP command in this procedure contains the
         $ !  output save-set qualifier /REWIND.  Therefore, this
         $ !  command procedure always initializes the output tape.
         $ !
         $ ON ERROR THEN GOTO FAILURE
         $ INQUIRE DRIVE "Enter the drive name (without a colon)"
         $ ALLOCATE 'DRIVE'
         $ INQUIRE SAVESET_SPEC "Enter the save-set specifier"
         $ INQUIRE LBL "Enter the tape label"
         $ INQUIRE EXP "Enter the tape expiration date"
         $ BACKUP/NOASSIST/RECORD/IGNORE=INTERLOCK/SINCE=BACKUP -
           [...] 'DRIVE':'SAVESET_SPEC'/REWIND/LABEL='LBL'/TAPE_EXPIRATION='EXP'
         $ DISMOUNT 'DRIVE'
         $ EXIT
         $!
         $FAILURE:
         $  WRITE SYS$OUTPUT "---> Backup failed"
         $  WRITE SYS$OUTPUT ""
         $  DISMOUNT 'DRIVE'
         $  EXIT
    

  2. プロシージャを実行して,装置,セーブ・セット,テープ・ラベル, およびテープ満了情報を入力する。

  3. 指定されたテープ装置が割り当てられると,BACKUPテープのボリューム・ ヘッダ・レコードを検索してボリューム・ラベルを探し出す。 そして,ボリューム・ヘッダ・レコードにボリューム・ラベルがない場合は,/LABEL 修飾子に指定されたラベルと満了日をヘッダ・レコードに書き込んで, テープを初期化する。ボリューム・ヘッダ・レコードにボリューム・ ラベルがある場合は,そのラベルを指定されたラベルと比較し, テープが満了しているか調べる。

    テープが満了していない,またはラベルが一致しない場合,コマンド・ プロシージャは終了する。テープが満了し,かつラベルが一致する場合は, 指定された満了日をヘッダ・レコードに書き込んで,テープを初期化する。 テープの初期化を終えると,BACKUPが,現在の省略時のディレクトリ・ ツリー内にあって,前回の保存以降に作成または変更されたすべてのファイルを指定された名前のセーブ・ セットに保存する。

10.15.8 ボリューム・シャドウ・セットのバックアップ

ボリューム・シャドウイング機能は,同一データのコピーを複数のディスク・ ボリュームに作成して管理します。システムでボリューム・シャドウイング機能を使用している場合は, 個々のディスク・ボリューム(シャドウ・ セット・メンバ)を統合し,1つのシャドウ・セットを形成することができます。 このときボリューム・シャドウイング機能は,シャドウ・セットの各メンバにデータのコピーを作成します。 シャドウ・セットに含める各ディスクについて, ディスクごとにライセンスが取得できます。このオプションは, 少数のディスクしかシャドウイングしないようなクラスタで効果的です。 ただし,シャドウイングを行うディスクが多い大規模なシステムでは, 従来の容量ごと(CPUごと)のライセンスの方が適切な場合があります。

シャドウ・セットに含めることができるディスク数の制限を表 10-7 に示します。

表 10-7 サポートされるシャドウ・セットの数

シャドウ・セットのタイプ サポートされるセット
単一メンバ セット数無限
複数メンバ 2 メンバ・セットおよび3メンバ・セット,または両方でディスク総数400

これらの制限はクラスタごとに適用されます。たとえば,合計400のディスクは, 各クラスタにおいて,2メンバ・シャドウ・セット200または,3 メンバ・シャドウ・セット133に構成することができます。1つのクラスタに単一メンバ,2 メンバ,3メンバのシャドウ・セットが混在している場合には, 最高400のディスクを2メンバと3メンバのシャドウ・セットに入れることができます。

RAIDレベル1 (シャドウイング)のファームウェアのインプリメンテーションでは, 単一のSWXCR-xxコントローラにローカルで接続されているSCSI ディスクを使用して,シャドウ・セットを作成することができます。StorageWorks RAID Array 210 Subsystem (SWXCR-EA またはSWXCR-EB EISA Backplane RAIDのコントローラ)とStorageWorks PCI Backplane RAIDコントローラ(SWXCR-PAまたはSWXCR-PB)は,独自のファームウェアでRAID レベル0,1,5を実現します。

このようなコントローラに接続されているSCSIディスクも,OpenVMSでホスト・ ベースのボリューム・シャドウイングで作成されたシャドウ・セットに入れることができます。 たとえば,ホスト・ベースのボリューム・シャドウイングでは, クラスタ内に配置されている別個のSWXCR-xx RAIDコントローラに接続されている2つの同様のディスクを含むRAID1シャドウ・ セットを作成することができます。OpenVMSでボリューム・シャドウイングを行うシステムに接続すれば,SCSI ディスクをシャドウ・セットとして構成できます。

電源が落とされているか,ポーリングに応答しない状態の直接接続されているSCSI 装置の場合,装置をシャドウ・セットから取り外すには,1分近く時間がかかることがあります。 その他の状況では,ほぼSHADOW_MBR_TMO パラメータで指定された秒数だけかかります。

ボリューム・シャドウイングは,装置上でジオメトリと最大論理ブロック数(LBN) をチェックします。これによって,RZ28やRZ28Bのような装置が, 同じシャドウ・セット中で動作できます。装置IDが異なっていても,同様のコントローラ( たとえば2台のHSJコントローラ)上で構成されていれば, ジオメトリや最大LBNは一致します。

個々のユーザは,1つの仮想ユニットとして作成されたシャドウ・セットにアクセスすることができます。 たとえば,DUA1:,DUA2:,DUA3:という3 つのディスクをまとめて,DSA1という1つの仮想ユニットを作成したと仮定します。 この場合,ユーザはシャドウ・セットのメンバに直接アクセスすることはできません。 メンバを操作する場合は,仮想ユニット(DSA1:) にアクセスします。

ボリューム・シャドウイング機能はシャドウ・セットの各ボリュームにデータの複製を作成するため, シャドウ・セットのバックアップには特別な注意が必要です。 ここでは,シャドウ・セットをバックアップする 1つの方法として,BACKUP ユーティリティを使用する方法を簡単に紹介します。


重要
シャドウ・セットのバックアップを行おうとして, シャドウ・セット・メンバを個別にディスマウントしたり, アクティブなシャドウ・セット・メンバをバックアップしたりしないでください。 シャドウ・セットは全体としてディスマウントし,メンバを1 つ除いてシャドウ・セットを再作成します。この制約に従わないと, 作成したバックアップ・コピーに矛盾するデータが含まれることがあります。

作業方法

ここでは,BACKUPを使用してシャドウ・セットをバックアップする手順の要約を示します。 詳しい手順については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。


注意
紹介する手順を使用して追加型バックアップをしないでください。 バックアップしたディスク・ボリュームを既存のシャドウ・ セットに戻すと,バックアップ日付が書き換えられます。

  1. すべてのシャドウ・セット・メンバが完全なメンバであり, 結合状態やコピー状態になっていないことを確認する。

  2. シャドウ・セット全体をディスマウントする。

  3. メンバを1つ除いてシャドウ・セットを再作成する。除外したメンバの日付が, 他のすべてのシャドウ・セット・メンバの日付に反映される。

  4. 前のシャドウ・セット・メンバをマウントする。

  5. 前のシャドウ・セット・メンバのイメージ・バックアップを行う。

  6. バックアップが終了したら,前のシャドウ・セット・メンバをディスマウントする。

  7. バックアップしたシャドウ・セット・メンバを追加する。

10.15.8.1 ホスト・ベースのシャドウ・セットへのディスクのマウント

ホスト・ベースのシャドウ・セットで,StorageWorks RAID Array 110 Subsystemにディスクをマウントするには,MOUNTコマンドに/OVERRIDE=NO_FORCED_ERROR 修飾子を指定します。

StorageWorks RAID Array 110 Subsystemは,SCSIでFORCED ERROR機能を実現するのに必要なREAD/WRITE LONG SCSI コマンドをサポートしません。 FORCED ERROR機能がなければ,シャドウイング・ドライバでチェック内容を上書きしなければなりません。

10.15.8.2 混合アーキテクチャ・クラスタでの支援型マージ

支援型マージはミニマージとも呼ばれ,シャドウ・セットがOpenVMS Alphaノードや同じクラスタ内の他のタイプのノードにマウントされると, 使用禁止になります。支援型マージを再び使用可能にするには,シャドウ・ セットをマウントする全OpenVMS Clusterノードに,CSCPAT (TIMA) キットをインストールします。

ミニマージが使用禁止になっても,シャドウイングは正常に機能し続けます。 ただし,マージ処理が必要な場合は,常に完全なマージが行われます。 完全なマージは,ミニマージよりかなり時間がかかります。CSCPAT (TIMA)キットのインストールをおすすめします。

10.16 ユーザ・ディスクの復元

ディスク装置が故障して,ディスクの内容が壊れた場合などは,バックアップ・ コピーを使用してディスク全体を復元することができます。ときどき保存したイメージ・ バックアップを復元することにより,ディスクのフラグメンテーションを防ぐこともできます。

ディスクを復元する方法は,最後に行ったバックアップがイメージ・バックアップ( 完全バックアップ)か,追加型バックアップのどちらであるかによって異なります。 次の第10.16.1項では, イメージ・バックアップの場合のディスクの復元方法について,また 第10.16.2項では,追加型バックアップの場合のディスクの復元方法について説明します。

10.16.1 イメージ・バックアップの復元

この節では,最後に行ったバックアップが/IMAGE修飾子を使用したイメージ・ バックアップの場合の,ディスクのすべての内容の復元手順を紹介します( 第10.15.2項参照)。

作業方法

イメージ・バックアップを復元する手順は次のとおりです。


重要
復元で/IMAGE修飾子を使用すると, 復元先のディスクが初期化され,既存のファイルのリンクが削除されることになります。 ディスク全体ではなく,ファイルやディレクトリを個々に復元する場合は, 第10.14節を参照してください。

  1. 第10.8.2項で説明したように, MOUNT/FOREIGNコマンドを使用してファイルの復元先のディスクをマウントする。

  2. イメージ・バックアップ・コピーを含むボリュームをセットして, マウントする。バックアップ・コピーがFiles-11セーブ・セットの場合は,Files-11 形式でボリュームをマウントすること。順編成ディスク・ セーブ・セットの場合は,ボリュームをセットしてから, MOUNT/FOREIGNコマンドでマウントする。また,テープ・セーブ・セットの場合は, 最初のテープをセットする。

  3. セーブ・セット名が分からない場合は,次のいずれかの操作を行う。

  4. 次の形式で/IMAGE修飾子を指定してBACKUPコマンドを入力して, セーブ・セットを復元する。

    BACKUP/IMAGE 装置:セーブ・セット指定[/SAVE_SET] -
    出力装置

    ディスクまたはディスケット・セーブ・セットの場合は,セーブ・セット指定( 装置:セーブ・セット指定)の直後に/SAVE_SET修飾子を指定する必要がある。

  5. セーブ・セットが複数のテープかディスク,ディスケットにまたがっている場合,BACKUP は最初のボリュームをディスマウントして, アンロードする。これを終えるとBACKUPからプロンプトが表示されるので, その時点で次のボリュームをセットすること。

  6. /NOUNLOAD修飾子を使用して,ファイルを復元したばかりのディスクをディスマウントする。

ここでは,次のことを前提にイメージ・バックアップを復元する例を紹介します。

     $ MOUNT/FOREIGN DRA2:【1】
     %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _DRA2:
     $ BACKUP/IMAGE  MIA1:FULL_BACKUP.SAV/REWIND  DRA2:【2】
     $ DISMOUNT/NOUNLOAD  DRA2:【3】

この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行います。

【1】
ファイルの復元先であるDRA2:ディスクをマウントする。ディスクは, マウントする前に必ずセットしておくこと。
【2】
DRA2: を初期化して,効率良くディスクの既存のデータを消去し,さらに, FULL_BACKUP.SAVセーブ・セットからDRA2:ディスクにディレクトリ構造とすべてのファイルを復元する。BACKUP はDRA2:ディスクにファイルを連続して書き込むので, ディスクのフラグメンテーションも解消される。

/IMAGE修飾子があると,元のディスクの論理的な複製が作成されて,ディレクトリ構造全体が復元され, ファイルがそれぞれのディレクトリに書き込まれる。

【3】
ディスクをディスマウントする。

10.16.2 追加型バックアップの復元

イメージ・バックアップの後に追加型バックアップを行ったときのファイルの復元は,2 段階に分かれます。第1段階は,最後に行ったイメージ・バックアップの復元です。 その後で,最新のものから始めて,順次各追加型バックアップの復元を行います。

アクセス可能なディレクトリ構造のレベルについては,第10.14.1項を参照してください。

作業方法

追加型バックアップを復元する手順は次のとおりです。最初の数ステップは, イメージ・バックアップの復元手順と同じです。

  1. MOUNT /FOREIGNコマンドを使用してファイルの復元先のディスクをマウントする(MOUNT コマンドについての詳細は,第10.8.2項を参照)。

  2. ディスクの最新のイメージ・バックアップ・コピーを含むテープかディスク, またはディスケットをセットする。バックアップ・ セーブ・セットが複数のボリュームにまたがる場合は,セットの最初のボリュームをセットすること。 バックアップ・コピーがディスクまたはディスケット・ セーブ・セットにある場合は,続いてボリュームをマウントする。

  3. セーブ・セット名が分からない場合は,次のいずれかの操作を行う。

  4. 次の形式でBACKUPコマンドを入力する。

    BACKUP/IMAGE 装置:セーブ・セット指定[/SAVE_SET] 出力装置

    /IMAGE修飾子は,行おうとしているバックアップがイメージ・バックアップであることを示す。 ディスクまたはディスケット・セーブ・ セットの場合は,セーブ・セット指定(装置:セーブ・セット指定 )の直後に/SAVE_SET修飾子を指定する必要がある。

  5. セーブ・セットが複数のテープかディスク,またはディスケットにまたがっている場合は, BACKUP からプロンプトが表示されるので, その時点で次のテープまたはディスケットをセットすること。

  6. /NOUNLOAD修飾子を使用して,ファイルを復元したばかりのディスクをディスマウントする。

  7. 次の形式でMOUNTコマンドを使用し,復元するディスクをファイル構造を持つボリュームとしてマウントする。

    MOUNT 装置名:ボリューム・ラベル

    装置名には,マウントするボリュームがセットされている装置の名前を指定する。 ボリューム・ラベルは,INITIALIZEコマンドでボリュームに割り当てた,1 文字から6文字の長さの英数字からなる識別名である。

  8. イメージ・バックアップ・コピーが含まれている媒体をディスマウントして, 最新の追加型バックアップ・コピーが含まれているテープ, ディスク,またはディスケットをマウントする。

  9. 最新の追加型バックアップから始めて,順番に追加セーブ・セットを復元する。 この復元では,次の形式でBACKUPコマンドを使用する。

    BACKUP/INCREMENTAL セーブ・セット指定[/SAVE_SET] - 出力装置

    ディスクまたはディスケット・セーブ・セットの場合は,セーブ・セット指定の後に必ず/SAVE_SET 修飾子を指定すること。

    最後のイメージ・バックアップ以降に行ったすべての追加型バックアップを処理し終えるまで, 新しいものから古いものの順に追加型バックアップの復元を行う。 追加型バックアップが複数のボリュームにまたがる場合は,BACKUP からプロンプトが表示されるので,その都度, 次のボリュームをセットする必要がある。

    復元は,最も古い追加型バックアップの復元を終えた時点で終了する。

ここでは,次のことを前提に,一連の追加型バックアップが行われたディスク全体を復元する例を紹介します。

     $ MOUNT/FOREIGN DUA2:【1】
     %MOUNT-I-MOUNTED, WORK_B mounted on _DUA2:
     $ BACKUP/IMAGE DUA3:WORK_BACKUP.SAV/SAVE_SET DUA2:【2】
     $ DISMOUNT/NOUNLOAD  DUA2:【3】
     $ MOUNT DUA2: WORK_B 【4】
     %MOUNT-I-MOUNTED, WORK_B mounted on _DUA2:
     $ BACKUP/INCREMENTAL  DUA3:WORK_18_JAN.SAV/SAVE_SET  DUA2:【5】
     $ BACKUP/INCREMENTAL  DUA3:WORK_17_JAN.SAV/SAVE_SET  DUA2:【6】
     $ BACKUP/INCREMENTAL  DUA3:WORK_16_JAN.SAV/SAVE_SET  DUA2:【7】

この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行います。

【1】
ファイルの復元先であるDUA2:ディスクをマウントする。 /FOREIGN修飾子が使用されていることに注意すること。
【2】
WORK_ BACKUP.SAVセーブ・セットからDUA2:ディスクにディレクトリ構造とすべてのファイルを復元する。 これは,イメージ・バックアップの復元である。 追加型バックアップ・セーブ・セットを復元する場合は,その第1段階としてイメージ・ バックアップ・セーブ・セットを復元する必要がある。
【3】
DUA2:ディスクを論理的にディスマウントする。
【4】
DUA2:ディスクを,今度はFiles-11ボリュームとして再マウントする。
【5】
最新の追加型バックアップを復元する。
【6】
次の追加型バックアップを復元する。
【7】
最も古い追加型バックアップを復元する。

ファイルを復元する最も効率的な方法は,発生の逆順に追加型バックアップを復元する方法である。 最も古い追加型バックアップの復元を終えた時点で, 復元は終了する。

10.16.2.1 ターゲット・ディスク構造への復元

BACKUPは,ターゲット・ディスクとセーブ・セットの内容を検査して,セーブ・ セットのどの項目を無視し,ターゲット・ディスクのどの項目を削除するか決定します。BACKUP が,ターゲット・ディスクからディレクトリやその他のファイルを削除しようとして, 特権エラーを検出すると, BACKUPは,そのファイルの保護を変更してファイルを削除します。

BACKUPは,変更されたディレクトリ・ファイルを検出すると,その後で, 名称変更されたディレクトリを適切に復元できるように,そのディレクトリとサブディレクトリの内容を保存します。


注意
ディレクトリの名前は変更しないようにしてください。 また,ディレクトリの機密保護情報を変更すると, 変更日が変わります。そのため,ファイルの保護や機密保護情報が変わると, ディレクトリが"名称変更"されたように見え,内容が追加型セーブ・ セットに含まれることがあります。名称変更したディレクトリの内容が追加されると, 追加型セーブ・セットのサイズが増加します。

BACKUPは,ディレクトリのレベルごとに,ターゲット・ディスクのディレクトリ構造をアルファベット順に処理します。 このためBACKUPは,ターゲット・ ディスクに追加型セーブ・セットを正しく復元できないような状況が生じることがあります。 たとえば,ターゲット・ディスク上の元のディレクトリやその内容を削除しなければ, ターゲット・ディスクには,新たに「名称変更」されたディレクトリとその内容を入れるのに十分なスペースがない場合もあります。

ディスク・スペースが不十分なために追加型の復元ができない場合には, (他の操作を行う前に)もう一度追加型のセーブ・セットを適用する,という解決方法もあります。 これにより,最初の追加型の復元が継続され,ディレクトリとその内容が削除されて, ターゲット・ディスクの使用可能スペースが増加します。 セーブ・セットからファイルを選択して復元するという方法もあります。

BACKUPは,別名ファイルや同義語ファイルのエントリの複数処理を指定しない, 追加型の復元処理(/NOALIAS)で,別名ファイルや同義語ファイルのエントリを復元しようとします。 別名ファイルのエントリが適切に復元できない場合,BACKUP はエラー・メッセージを表示して,別名ファイルのエントリ, その1次ファイル,失敗の原因を示す2次状態を表示します。

/LOG修飾子を指定すると,別名ファイルのエントリが正しく復元されたときに,BACKUP はメッセージを表示します。

/VERIFY修飾子を指定すると,BACKUPはチェック・パスの間に別名ファイルのエントリを復元しようとします。 指定しない場合には,別名ファイルのエントリの復元は, 通常のファイル復元と同時に行なわれます。これは,BACKUP は,1次ファイルを全部復元してから,これらのファイルを参照する別名ファイルのエントリを復元しようとするからです。

10.16.3 ボリューム・シャドウ・セットの復元

ボリューム・シャドウイング機能は,シャドウ・セットを構成する各ディスクに同一データの複製を作成するため, シャドウ・セットの復元には特別な注意が必要です。 シャドウ・セットの復元方法については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。


注意
BACKUP出力装置(シャドウ・セット) は,/FOREIGN修飾子を使用してマウントする必要があります。そのため, コンパックではイメージ・セーブ・セットの仮想ユニットへの復元操作をサポートしていません。

10.17 システム・ディスクのバックアップと復元

次のような条件の下では,システム・ディスクのバックアップが非常に大切です。

OpenVMS AlphaまたはVAXオペレーティング・システムのディストリビューション・ コンパクト・ディスクにアクセスできる場合は,そのディスクのメニュー・ システムを使用して,システムをバックアップしてください。 メニュー・システムの使用についての詳細は,第10.17.1項を参照してください。


注意
メモリの少ないVAXシステム( メモリ32 MB未満)上で大規模なシステム・ディスクのバックアップを行うと,BACKUP ユーティリティがページングを必要とするために操作に失敗する可能性があります。 この問題が起こる場合は,スタンドアロンBACKUP を使用してVAX上のシステム・ディスクのバックアップを行ってください。

OpenVMS VAXオペレーティング・システムのディストリビューション・コンパクト・ ディスクにアクセスできない場合は,スタンドアロンBACKUP を使用して,システム・ディスクのバックアップと復元を行ってください。 スタンドアロンBACKUPについての詳細は第10.17.2 項を参照してください。

10.17.1 メニュー・システムの起動

OpenVMS AlphaまたはVAXオペレーティング・システムのディストリビューション・ コンパクト・ディスクにアクセスできる場合には,この項で説明するメニュー・ システムを使用して,システム・ディスクとユーザ・ディスクのバックアップまたは復元を行います。

作業方法

  1. オペレーティング・システムが実行中でなければ,ステップ2 へ進む。

    オペレーティング・システムが実行中であれば,SYSTEMアカウントにログインする。 次のコマンドを入力してReturnキーを押す。

         $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN
    

    質問に応答する。自動システム・ブートを実行するかどうかをプロシージャが問い合わせてきたら,NO と答える(Returnキーを押す)。プロシージャが終了すると, 次のメッセージが表示される。

         SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE
    

    VAXシステムの場合,次のメッセージも表示される。

         USE CONSOLE TO HALT SYSTEM
    

    このメッセージが表示されたらシステムを停止する。

  2. システムをブートする。


    注意
    使用するブート・コマンドは, ユーザが使用しているシステムのタイプによって異なります。システムのブートについての詳細は, 使用しているコンピュータのインストールおよび操作マニュアルを参照してください。

  3. システムのブートが実行されるとメニューが表示される。DCL コマンドおよびプロシージャを実行するメニュー項目を選択する。

  4. DCLプロンプトが表示されると,システム・ディスクおよびユーザ・ ディスクのバックアップと復元を実行できる。

    システム・ディスクのバックアップ・コピーを作成する場合には,第10.17.3項を参照してください。

    システム・ディスクを復元するには,第10.17.4項を参照してください。

10.17.1.1

次に,OpenVMS VAXシステムにおけるメニュー方式のプロシージャの起動方法の例を示します。

     >>>  B/R5:10000100 ESA0
     Bootfile: ISL_SVAX_071
     -ESA0
      Network Initial System Load Function
      Version 1.1

       FUNCTION        FUNCTION
         ID
         1     -       Display Menu
         2     -       Help
         3     -       Choose Service
         4     -       Select Options
         5     -       Stop

      Enter a function ID value: 3
       OPTION          OPTION
         ID
         1     -       Find Services
         2     -       Enter known Service Name

      Enter an Option ID value: 2
     Enter a Known Service Name: VMS071
        OpenVMS VAX Version 7.2 Major version id = 1 Minor version id = 0

     %SYSINIT-E, error opening page file, status = 0000025C
     %SYSINIT-E, error opening swap file, status = 0000025C
     %SYSINIT, primary PAGEFILE.SYS not found; system initialization continuing
     %SYSINIT, no dump file - error log buffers not saved
     %SYSINIT-E, error mounting system device, status = 00000F64
     $!  Copyright (c) 1998 Compaq Computer Corporation.  All rights reserved.
     $set noverify

         Copyright 0 (c) 1998 Compaq Computer Corporation.  All rights reserved.

         Installing required known files...

         Configuring devices...

         ****************************************************************

         The menu can be used to execute DCL commands and procedures for
         various "standalone" tasks, such as backing up the system disk.

         Please choose one of the following:

             1)  Execute DCL commands and procedures
             2)  Shut down this system

     Enter CHOICE or "?" to repeat menu: (1/2/?)) 1

         WARNING --

         The normal VMS startup procedure has not executed.
         Some commands and utilities will not work as documented.

         Enter DCL commands -- Enter "LOGOUT" when done.
         When you enter "LOGOUT" a logout message will be displayed,
         and you will be returned to the menu.

     $$$

10.17.2 スタンドアロンBACKUP (VAXのみ)

BACKUPユーティリティは,オープンされたファイル(会計情報ファイルやオペレータ・ ログ・ファイルなど)はコピーしません。したがって,スタンドアロンBACKUP (VAX のみ)または構成が許せば,メニュー・システムを使用してシステム・ ディスクのバックアップを取る必要があります。オペレーティング・ システムがシャットダウン中でも,メイン・メモリにスタンドアロンBACKUP をブートし,BACKUPコマンド修飾子のサブセットを使用すれば, システム・ディスクのファイルの完全なバックアップをとることができます。 スタンドアロンBACKUPは,OpenVMS VAXのみを対象としています。 また,インストールおよびシステム・ディスクのバックアップと復元についてサポートしています。 スタンドアロンBACKUPで使用できる修飾子の一覧を 表 10-8に示します。

表 10-8 使用できるスタンドアロンBACKUP修飾子

タイプ 修飾子 省略時の値
コマンド修飾子 /BRIEF /BRIEF

/COMPARE なし

/FULL /BRIEF

/IMAGE /IMAGE

/[NO]INITIALIZE 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照

/LIST
[=ファイル指定]
『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照

/[NO]LOG /NOLOG

/PHYSICAL なし

/RECORD なし

/[NO]TRUNCATE /NOTRUNCATE

/VERIFY なし

/VOLUME=n なし
入力セーブ
セット修飾子
/[NO]CRC /CRC

/[NO]REWIND /NOREWIND

/SAVE_SET なし
出力セーブ
セット修飾子
/BLOCK_SIZE=n 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・リファレンス・ マニュアル』を参照

/BY_OWNER=uic 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・ マニュアル』を参照

/COMMENT=文字列 なし

/[NO]CRC /CRC

/DENSITY=n 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照

/[NO]EXACT_ORDER /NOEXACT_ORDER

/GROUP_SIZE=n /GROUP_SIZE=10

/LABEL=(文字列[,...]) 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照

/PROTECTION
[=(コード)]
『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照

/[NO]REWIND /NOREWIND

/SAVE_ SET なし

/TAPE_EXPIRATION Today

スタンドアロンBACKUPコットはOpenVMSディストリビューション・キットに入っていますが, システム・ディスクあるいはユーザ・ディスクに作成した方がブート時間が短縮できます。 各種媒体にスタンドアロンBACKUPを作成し, それらを使用する方法については,ご使用のコンピュータのインストールおよびアップグレードの手引書を参照してください。

以降の項では,ディスクまたはテープにスタンドアロンBACKUPを作成し, そのBACKUPを使用してシステム・ディスクのバックアップをとる方法を説明します。

10.17.2.1 ディスクへのスタンドアロンBACKUPの作成(VAX のみ)

スタンドアロンBACKUPは,テープではなく,ディスクに置いたほうが高速に立ち上がるので, ディスクに作成することをおすすめします。

スタンドアロンBACKUPは,システム・ディスクまたはユーザ・ディスクのどちらにでも作成することができます。 ユーザ・ディスクに作成した場合, ディスクの占有空間量はシステム・ディスクのときより大きくなります。 これは,システムのブートに必要なファイルがユーザ・ディスクにないためです。

スタンドアロンBACKUPの作成には,SYS$UPDATE:STABACKIT.COMコマンド・ プロシージャを使用します。このプロシージャは,必要ならばターゲット装置に指定されたディレクトリを新たに作成し, スタンドアロンBACKUPをブートするためのファイルをそのディレクトリにコピーします。 コピー先のディレクトリは, システム・ディスクであれば[SYSE],ユーザ・ディスクであれば[SYS0] です。

作業方法

ディスクにスタンドアロンBACKUPを作成する手順は次のとおりです。

  1. SYSTEMアカウントにログインする。

  2. 次のコマンドを入力して,Returnを押す。
         $ @SYS$UPDATE:STABACKIT
         Enter the name of the device on which to build the kit:
    

  3. スタンドアロンBACKUPを作成するディスクの装置名を入力する。 システム・ディスクに作成する場合は,次の例に示すように装置名としてSYS$SYSDEVICE を入力する。
         Enter the name of the device on which to build the kit: SYS$SYSDEVICE:
    

  4. SYS$UPDATE:STABACKIT.COMコマンド・プロシージャが,指定されたディスクの既定のディレクトリにファイルをコピーし, その間, コピー中のファイルの名前を表示する。そして,処理を終えると次のメッセージを表示する。
         The kit is complete.
    

RF73ディスクからのイメージ・バックアップの実行

RF73ディスク(クラスタ・サイズ4ブロックのディスク)からRF74ディスク( クラスタ・サイズ7ブロックのディスク)へイメージ・バックアップを実行する場合,Backup ユーティリティはコピーして書き込むファイル用の領域を割り当てる際にファイル・ サイズを確認しません。したがって,ファイルが初期化時に設定されたCLUSTER_SIZE 属性の値よりも大きなサイズの割り当てを持っていた場合, 実際のファイル・サイズがクラスタ・サイズより小さい場合にもBACKUP はクラスタ1つ分余計のブロックをファイルに割り当てます。 たとえば,イメージ・バックアップ時に,実際のファイル・ サイズが6ブロックであるのに,8ブロックが割り当てられるような場合がこれに相当します( この場合,コピー終了後にDIRECTORY/SIZE=ALLコマンドを実行すると, 画面には6/8と表示されます)。実際のサイズはクラスタ・ サイズよりも小さくなります。

具体的には次のファイルは,イメージ・システム・ディスクに使用ブロック数6 ブロック,割り当てブロック数14ブロック(6/14)でコピーされます。


SYS$COMMON:[SYS$LDR]LIDRIVER.EXE
SYS$COMMON:[SYS$LDR]LPDRIVER.EXE

この誤った割り当てサイズにより,スタンドアロンBACKUPはブートされたイメージ・ ディスクで障害を発生します。

この問題を解決するには,上記2つのファイルをイメージ・バックアップ後に次のコマンドを使用して同じディレクトリに再びコピーします( このコマンドでは正しい割り当てサイズを指定しています):

     $ COPY/ALLOCATION=7 SYS$COMMON:[SYS$LDR]LIDRIVER.EXE
     $ COPY/ALLOCATION=7 SYS$COMMON:[SYS$LDR]LPDRIVER.EXE

10.17.2.2 ディスクからのスタンドアロンBACKUPのブート(VAX のみ)

ディスクからスタンドアロンBACKUPをブートする手順を,次に示します。

  1. オペレーティング・システムが停止している場合は,ステップ2 に進む。

    オペレーティング・システムが停止していない場合は,SYSTEMアカウントにログインし, 次のコマンドを入力してReturnを押す。

         $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN
    

    質問に答えていき,自動システム・ブートを行うか質問があったら, Returnを押してNOを選択する。処理が終わると,プロシージャは次のメッセージを表示する。

         SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE -- USE CONSOLE TO HALT SYSTEM
    

  2. システムを停止させる。

  3. スタンドアロンBACKUPキットが置かれているルートからBACKUP を実行する。スタンドアロンBACKUPをブートするためのコマンドは, コンピュータの機種によって異なる。詳細は,ご使用のシステムのインストールおよびアップグレードの手引書を参照すること。

    たとえば,MicroVAX 3100コンピュータを使用している場合は,次のコマンドを使用してスタンドアロンBACKUP をブートする。

         >>> B/n0000000 device-name
    

    たとえば,ディスクの装置名がDKA400:,スタンドアロンBACKUPを作成したディレクトリが[SYSE] ディレクトリの場合は,次のコマンドを入力します。

         >>> B/E0000000 DKA400
    

    装置名については,第7.1節を参照すること。

  4. スタンドアロンBACKUPから次のメッセージが表示される。
         VAX/VMS Version Vn.n Major version id = 01 Minor version id = 00
    

  5. プロシージャから日時の質問があるので,24時間形式で日時を入力して,Return を押す。
         PLEASE ENTER DATE AND TIME (DD-MMM-YYYY HH:MM) 19-JAN-1998 15:00
    

  6. システムのローカル・デバイスの一覧が表示される。
         Available device MKA500:     device type TK50
         Available device DKA100:     device type RRD40
            .
            .
            .
    

    一覧にローカル・デバイスがすべて列挙されているか調べ,すべて列挙されていない場合は, すべての装置がシステムに正しく接続されているか調べる。 詳細は,ご使用のハードウェアのマニュアルを参照すること。

  7. ブートが終わると,スタンドアロンBACKUPは識別メッセージを表示し, その後,ドル記号プロンプト($)が表示される。
         %BACKUP-I-IDENT, Standalone BACKUP V7.2; the date is 19-APR-1998 15:00
         $
    

    システム・ディスクのバックアップ・コピーを作成したい場合は,第10.17.3項を参照すること。

    システム・ディスクの復元については,第10.17.4項で説明する。

10.17.2.3 テープ・カートリッジへのスタンドアロンBACKUP の作成(VAXのみ)

テープ・カートリッジ・ディストリビューション・キットを持つVAXシステムの場合は, ディストリビューション・キットで提供されるテープ・カートリッジにスタンドアロンBACKUP が含まれています。この後に紹介する手順は, スタンドアロンBACKUPのコピーが破損した場合,または予備のコピーを作成する必要がある場合に使用してください。

作業方法

テープ・カートリッジにスタンドアロンBACKUPを作成する手順は,次のとおりです

  1. 空の初期化済みテープ・カートリッジを用意し,紙のラベルにS/A BKUP V7.2 と記入して,カートリッジのラベル・スロットにラベルを貼り付ける。

  2. 書き込み禁止スイッチ(ラベル・スロットの横)をスライドさせて, テープ・カートリッジを書き込み可能にする。

  3. 装置にS/A BKUP V7.2のラベルの付いたテープ・カートリッジを挿入する。

  4. SYSTEMアカウントにログインする。

  5. 次のコマンドを入力する。
         $ @SYS$UPDATE:STABACKIT
    

  6. ターゲット装置名の質問があるので,スタンドアロンBACKUPを作成するテープ・ カートリッジ装置名を入力する。
         Enter the name of the device on which to build the kit: MUA0
    

  7. 次のメッセージが表示される。
         Please place the scratch tape cartridge in drive _MUA0:
         This volume will receive the volume label SYSTEM.
    
         Enter "YES" when ready:
    

  8. 準備ができたら,YESと入力する。

  9. ファイルをコピー中である旨のメッセージが表示される。

  10. スタンドアロンBACKUPの作成を終えると,次のようなメッセージが表示される。
         Ending time   19-MAY-1998 16:44:29.90
         Starting time 19-MAY-1998 16:30:39.05
    
         The Kit is complete.
    
         $
    

  11. テープ・カートリッジ装置からS/A BKUP V7.2のラベルの付いたテープ・ カートリッジを取り出す。

  12. 書き込み禁止スイッチ(ラベル・スロットの横)をスライドさせて, テープ・カートリッジを書き込み禁止にする。テープは安全な場所に保管すること。

10.17.2.4 テープ・カートリッジからのスタンドアロンBACKUP のブート(VAXのみ)

テープ・カートリッジにスタンドアロンBACKUPを作成していて,ディスク装置の故障などでスタンドアロンBACKUP の入ったディスクが使用不能になった場合は, 代わりにテープ・カートリッジのスタンドアロンBACKUPを使用することができます。 テープ・カートリッジからのスタンドアロンBACKUP のブートに要する時間は,約20分です。

作業方法

テープ・カートリッジからスタンドアロンBACKUPをブートする手順は,次のとおりです。

  1. オペレーティング・システムが停止している場合は,ステップ2 に進む。

    オペレーティング・システムが停止していない場合は,SYSTEMアカウントにログインし, 次のコマンドを入力して,Returnを押す。

         $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN
    

    質問に答えていき,自動システム・ブートを行うか質問があったら, Returnを押してNOを選択する。処理が終わると,プロシージャは次のメッセージを表示する。

         SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE -- USE CONSOLE TO HALT SYSTEM
    

  2. システムを停止させる。

  3. スタンドアロンBACKUPキットが収められているテープ・カートリッジをテープ・ カートリッジ装置に挿入する。

  4. 次の例に示すように,BOOTと入力してから,テープ・カートリッジ装置の装置名を入力し,Return を押す。
         >>> BOOT MUA0
    

  5. スタンドアロンBACKUPから次のメッセージが表示される。
         VAX/VMS Version V7.2 Major version id = 1 Minor version id = 0
    

  6. プロシージャから日時の質問があるので,24時間形式で日時を入力してReturn を押す。
         PLEASE ENTER DATE AND TIME (DD-MMM-YYYY HH:MM) 19-MAY-1998 15:00
    

  7. システムのローカル・デバイスの一覧が表示される。HSCとMSCP サービス・デバイスが使用されている場合は,そのデバイスも一覧に表示される。
         Available device DUA0:             device type Generic_DU
         Available device MUA0:             device type TK50
    

  8. ブートを終えると,スタンドアロンBACKUPは識別メッセージを表示し, その後,ドル記号プロンプト($)が表示される。
         %BACKUP-I-IDENT, standalone BACKUP V7.2; the date is 19-MAY-1998 15:50
         $
    

  9. テープ・カートリッジ装置からテープ・カートリッジを取り出す。

    システム・ディスクのバックアップ・コピーを作成したい場合は,第10.17.3項を参照すること。

    システム・ディスクの復元については,第10.17.4項を参照すること。

10.17.3 テープへのシステム・ディスクのバックアップ

システム・ディスクのバックアップを行う場合には,BACKUPコマンドの/IMAGE と/PHYSICAL修飾子の機能について理解してから,スタンドアロンBACKUP を行います。

修飾子 機能
/IMAGE 機能的にはシステム・ディスク全体と等価のコピーを作成する。 復元すると,イメージ・バックアップのファイルがシステム・ ディスクに連続して書き込まれるので,ディスクのフラグメンテーションの解消にもなる。
/PHYSICAL ファイル構造を無視し,論理ブロック単位でシステム・ ディスク全体をコピー,保存,復元,比較する。

BACKUPユーティリティの修飾子についての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

作業方法

システム・ディスクをテープにイメージ・バックアップする手順は,次のとおりです。

  1. バックアップに使用する空のテープ・カートリッジまたは磁気テープを用意する。

  2. テープを書き込み可能にする。テープ・カートリッジの場合は, 書き込み禁止スイッチ(ラベル・スロットの横)をスライドすること。 磁気テープの場合は,テープ・リールの背面に書き込み許可リングをセットする。

  3. テープ装置にテープをセットする。

  4. バックアップを行うシステム・ディスクの装置名を確認する。 装置名の確認については,第7.2節を参照すること。 ブートを行うシステム・ディスクの装置名を知りたい場合は,DCL のSHOW LOGICAL SYS$SYSDEVICEコマンドを使用する。

  5. システム構成に応じて,スタンドアロンBACKUPをブートするか, メニュー方式のプロシージャを起動する。

  6. 次の形式でBACKUPコマンドを入力する。

    BACKUP/IMAGE/VERIFY 入力指定: - 出力指定:セーブ・セット.BCK/REWIND/LABEL=ラベル

    こうした構文規則に従ったBACKUPコマンドの例を次に示す。

         $ BACKUP/IMAGE/VERIFY DUA1: MUA0:DEC_31_BACKUP.BCK/REWIND/LABEL=WKY101
    

  7. スタンドアロンBACKUPから,ファイルの転送を終え,バックアップ・ コピーの検証中であることを示す次のメッセージが表示される。
         %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
    

  8. 一本のテープ・カートリッジまたは磁気テープにバックアップ・ コピーが収まらない場合は,次のメッセージとプロンプトが表示される。
         %BACKUP-I-RESUME, Resuming operation on volume 2
         %BACKUP-I-READYWRITE, Mount volume 2 on _MUA0: for writing
         Enter "YES" when ready.
    

    これらのメッセージが出されない場合は,ステップ9に進む。これらのメッセージを受け取った場合は, 次の操作を行う。

    1. 装置から現在のバックアップ・テープを取り出す。

    2. 取り出したテープにCOMPLETE SYSTEM BACKUPというラベルを付け, 同時に日付とテープの連続番号を記入する。

    3. バックアップ・テープを書き込み禁止にする。

    4. 別の空のテープを書き込み可能にして,装置にセットする。

    5. 準備ができたら,Y (YES)と入力して,Returnを押す。

    6. ファイルの転送を終え,バックアップ・コピーの検証中であることを示す次のメッセージが表示される。
           %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
      

      この後,マウント要求が出されたら,その都度,aからeのステップを繰り返す。

  9. スタンドアロンBACKUPを使用している際に,バックアップが終了すると, 次のメッセージが表示される。
         %BACKUP-I-PROCDONE, Operation completed. Processing finished at 19-MAY-1998
         15:30. If you do not want to perform another standalone BACKUP operation,
         use the console to halt the system.
    
         If you do want to perform another standalone BACKUP operation,
         ensure the standalone application volume is online and ready.
         Enter "YES" to continue:
    

    ステップ11に進む。

  10. メニュー方式のプロシージャを使用している場合は,バックアップが終了すると,DCL プロンプトが表示される。ログ・アウトしてメニューからシャットダウン・ オプションを選択する。

  11. 装置からバックアップ・テープを取り出す。取り出したテープにCOMPLETE SYSTEM BACKUP というラベルを付け,同時に日付も記入する。 複数のテープを使用した場合は,連続番号も記入すること。

  12. テープ・カートリッジまたは磁気テープを書き込み禁止にする。

  13. システムを停止させる。

  14. システムを再ブートする。

  15. バックアップ・テープを安全な場所に保管する。

10.17.4 テープからのシステム・ディスクの復元

何らかの問題が発生して,システム・ディスクのブートが不可能になった場合は, バックアップ・コピーを使用してシステム・ディスクを復元することができます。

作業方法

テープからシステム・ディスクを復元する手順は次のとおりです。


注意
BACKUPで復元したシステム・ ディスクのクラスタ・サイズ(ディスク・アクセス方式)などのボリューム・ パラメータには,コンパックが用意した値が使用されます。 それらボリューム・パラメータの大半は,後でSET VOLUMEコマンドを使用して変更することができます。 クラスタにマウントされているボリュームに関しては,SET VOLUME コマンドが発行されたノードに対して変更が起こります。

クラスタ・サイズを変更する場合は,新しいクラスタ・ サイズで初期化したディスクにシステム・ディスクを再度バックアップする必要があります。 ディスクの初期化については第8.3節,BACKUP コマンドの修飾子については『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』をそれぞれ参照してください。


  1. システム構成に応じて,スタンドアロンBACKUPをブートするか, またはメニュー・システムを起動する。

  2. 復元先のシステム・ディスクをセットしている装置名を確認する。 装置名の確認方法については,第7.2 節を参照すること。

  3. 完全なシステム・ディスク・バックアップが入っている1本目を装置にセットする。 テープは,必ず書き込み禁止にしておくこと。

  4. 次の形式でBACKUPコマンドを入力する。

    BACKUP/IMAGE/VERIFY - 入力指定:セーブ・セット.BCK/REWIND 出力指定:

    こうした構文規則に従ったBACKUPコマンドの例を次に示す。

         $ BACKUP/IMAGE/VERIFY MUA0:DEC_31_BACKUP.BCK/REWIND DUA0:
    

  5. 次のメッセージが表示される。
         %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
    

  6. システム・ディスクのバックアップ・コピーが複数のテープ・ カートリッジまたは磁気テープにまたがっている場合は,次のメッセージとプロンプトが表示される。
         %BACKUP-I-RESUME, Resuming operation on volume 2
         %BACKUP-I-READYREAD, Mount volume 2 on MUA0: for reading
         Enter "YES" when ready.
    

    これらのメッセージが出されない場合は,ステップ7に進む。これらのメッセージを受け取った場合は, 次の操作を行う。

    1. 装置から現在のバックアップ・テープを取り出す。

    2. 次のバックアップ・テープを装置にセットする。

    3. 準備ができたら,Y (YES)と入力して,Returnを押す。

    4. 次のメッセージが表示される。
           %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
      

      この後,マウント要求が出されたら,その都度,aからcのステップを繰り返す。

  7. スタンドアロンBACKUPを使用している際に,復元が終了すると, 次のメッセージが表示される。
         %BACKUP-I-PROCDONE, Operation completed. Processing finished at 19-MAY-1998
         15:30. If you do not want to perform another standalone BACKUP operation,
         use the console to halt the system.
    
         If you do want to perform another standalone BACKUP operation,
         ensure the standalone application volume is online and ready.
         Enter "YES" to continue:
    

    ステップ9に進む。

  8. メニュー方式のプロシージャを使用している場合は,復元が終了すると,DCL プロンプトが表示される。ログアウトしてメニューからシャットダウン・ オプションを選択する。

  9. 装置から最後のバックアップ・テープを取り出す。

  10. システムを停止させる。

  11. システムを再ブートする。

  12. バックアップ・テープを安全な場所に戻す。

10.17.5 ディスクへのシステム・ディスクのバックアップ

/SAVE_SET修飾子を使わずに,ディスク間のイメージ・バックアップを行うことによって, ディスクのフラグメンテーションを解消することができます。 このバックアップでは,ファイルが連続して書き込まれ,機能的にシステム・ ディスク全体と等価のコピーが作成されます。


注意
ディスク間のバックアップでは, 出力装置が初期化され,既存のファイルが効率良く消去されます。

作業方法

システム・ディスクをディスク間でイメージ・バックアップする手順は, 次のとおりです。

  1. バックアップに使用する,十分な記憶容量をもつディスクを用意する。 出力ディスクは初期化されるため,必要なファイルが含まれていないことを確認すること。

  2. バックアップするシステム・ディスクの装置名を確認する。装置名の確認については, 第7.2節を参照すること。 ブートを行うシステム・ディスクの装置名を知りたい場合は,DCL のSHOW LOGICAL SYS$SYSDEVICEコマンドを使用する。

  3. システム構成に応じて,スタンドアロンBACKUPをブートするか, メニュー方式のプロシージャを起動する。

  4. 次の形式でBACKUPコマンドを入力する。

    BACKUP/IMAGE/VERIFY 入力指定: 出力指定:

    こうした構文規則に従ったBACKUPコマンドの例を次に示す。

         $ BACKUP/IMAGE/VERIFY DUA0: DUA1:
    

  5. BACKUPから,ファイルの転送を終え,バックアップ・コピーの検証中であることを示す次のメッセージが表示される。
         %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
    

  6. スタンドアロンBACKUPを使用している際に,バックアップが終了すると, 次のメッセージが表示される。
         %BACKUP-I-PROCDONE, Operation completed. Processing finished at 19-MAY-1998
         15:30. If you do not want to perform another standalone BACKUP operation,
         use the console to halt the system.
    
         If you do want to perform another standalone BACKUP operation,
         ensure the standalone application volume is online and ready.
         Enter "YES" to continue:
    

    ステップ8に進む。

  7. メニュー方式のプロシージャを使用している場合は,バックアップが終了すると,DCL プロンプトが表示される。ログアウトしてメニューからシャットダウン・ オプションを選択する。

  8. これでバックアップ・コピーの出力先ディスクを,システム・ ディスクとして使用することができる。ファイルが連続して書き込まれるので, ディスクのフラグメンテーションも解消される。

  9. 元のシステム・ディスクを保管する。

  10. システムを停止させる。

  11. 新しく作成したシステム・ディスクでシステムを再ブートする。

10.17.6 InfoServerテープによるシステム・ ディスクのバックアップと復元

VAXシステムの場合,システム・ディスクをInfoServerテープにバックアップして,InfoServer テープからシステム・ディスクを復元することができます。

作業方法

  1. OpenVMS CD-ROMの現在のバージョンを使用して,SYS1ディレクトリからシステムをブートする。CD-ROM は,InfoServerまたはローカル・ ドライブの読取り装置に入れる。


    注意
    ブート・コマンドは,ご使用のシステムのタイプによって異なります。 システムのブートについての詳細は, ご使用のシステムのインストールおよび操作の説明を参照してください。

  2. メニューシステムから,オプション1を選択する。

  3. プロンプトから,システム・ディスクのバックアップを実行できる。

例 10-1は,システム・ディスクをInfoServerテープにバックアップする手順を示しています。

例 10-1 InfoServerテープへのシステム・ディスクのバックアップ

>>>  B/R5:10000100 ESA0
Bootfile: ISL_SVAX_061
-ESA0
 Network Initial System Load Function
 Version 1.1

  FUNCTION        FUNCTION
    ID
    1     -       Display Menu
    2     -       Help
    3     -       Choose Service
    4     -       Select Options
    5     -       Stop

 Enter a function ID value: 3
  OPTION          OPTION
    ID
    1     -       Find Services
    2     -       Enter known Service Name

 Enter an Option ID value: 2
Enter a Known Service Name: VMS062
   OpenVMS VAX Version 7.1 Major version id = 2 Minor version id = 0

%SYSINIT-E, error opening page file, status = 0000025C
%SYSINIT-E, error opening swap file, status = 0000025C
%SYSINIT, primary PAGEFILE.SYS not found; system initialization continuing
%SYSINIT, no dump file - error log buffers not saved
%SYSINIT-E, error mounting system device, status = 00000F64
$!  Copyright (c) 1998 Compaq Computer Corporation.  All rights reserved.
$set noverify

    Copyright 0 (c) 1998 Compaq Computer Corporation.  All rights reserved.

    Installing required known files...

    Configuring devices...

    ****************************************************************

    The menu can be used to execute DCL commands and procedures for
    various "standalone" tasks, such as backing up the system disk.

    Please choose one of the following:

        1)  Execute DCL commands and procedures
        2)  Shut down this system

Enter CHOICE or "?" to repeat menu: (1/2/?)) 1

    WARNING --

    The normal VMS startup procedure has not executed.
    Some commands and utilities will not work as documented.

    Enter DCL commands -- Enter "LOGOUT" when done.
    When you enter "LOGOUT" a logout message will be displayed,
    and you will be returned to the menu.

$$$ MCR ESS$LADCP SHOW SERVICE/TAPE
$$$ MCR ESS$LADCP BIND/WRITE/TAPE TZL04_TAPE
$$$ MOUNT/FOREIGN MADn
$$$ BACKUP/IMAGE DKA100:  MADn:SYS_DISK.BCK/SAVE_SET
.
    .
    .
$$$ LOGOUT
  Process SYSTEM_1 logged out at  2-FEB-1998 23:35:17.52

    ****************************************************************

    The menu can be used to execute DCL commands and procedures for
    various "standalone" tasks, such as backing up the system disk.

    Please choose one of the following:

        1)  Execute DCL commands and procedures
        2)  Shut down this system

Enter CHOICE or "?" to repeat menu: (1/2/?)

10.18 データの整合性チェック

BACKUPには,作成したバックアップ・コピーの整合性をチェックするための修飾子がいくつか用意されています。 元のディスクとバックアップの整合を確実に行いたい場合は, それらの修飾子を使用してください。この節では, データの整合性を高める方法について説明します。紹介する修飾子のさらに詳しい内容については, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

10.18.1 /CRC修飾子

/CRC修飾子は,ソフトウェアによる巡回冗長性検査(CRC)を有効にします。 省略時の設定では,検査は有効(オン)です。検査を無効にするためには,/NOCRC を指定する必要があります。検査を無効にすると,処理時間が短くなりますが, データ・エラーが起きる危険性が増します。

出力セーブ・セットに/CRC修飾子が指定された場合は,出力セーブ・セットのブロックにCRC 検査コードが書き込まれます。

入力セーブ・セットに/CRC修飾子が指定された場合は,入力セーブ・セットにCRC 情報が書き込まれます。

できるだけCRC検査を行うようにしてください。処理時間が長くなりますが, データの整合性は向上します。

10.18.2 /GROUP_SIZE修飾子

/GROUP_SIZE修飾子は出力セーブ・セット修飾子であり,この修飾子があると,BACKUP は出力セーブ・セットに冗長データを書き込みます。そして, この冗長データがあると,BACKUPは復元中の読み取りエラーの訂正を試みます。 次の例に示すように,/GROUP_SIZE修飾子には,冗長情報を書き込むブロック間隔を指定してください。

     $ BACKUP/IMAGE/RECORD
     _From: DKA100:
     _To: MKB100:BACKUP.SAV/LABEL=WKY101/GROUP_SIZE=20

このコマンドは,保存データの20ブロックおきに回復ブロックを追加します。 これによりBACKUPは,保存データの20ブロック単位で壊れたデータ・ ブロックを復元することができます。/GROUP_SIZE修飾子の省略時の値は10 ブロックです。

この修飾子を使用すると,セーブ・セットが大きくなり,処理時間が長くなりますが,/GROUP_SIZE 修飾子を使用してデータの整合性を向上させてください。

10.18.3 /IGNORE修飾子

システムのバックアップは,会話型ユーザのログインがない状態で行ってください。 これは,保存中にオープンしているファイルがある場合, BACKUPはエラー・メッセージを出すだけで,オープンしているファイルのコピーを 行わないためです。

オープンしているファイルを保存したい場合は,BACKUPコマンド行に/IGNORE=INTERLOCK 修飾子を指定します。この修飾子を使用すると,オープンしているファイルのバックアップ時点の内容が保存されます。

/IGNORE=INTERLOCK修飾子は,常時オープンしていて,通常の方法ではバックアップを取られることがないファイルが存在する場合に有効です。 ただし, アプリケーション・トランザクション・ファイルやメモリにキャッシュされているデータ・ ファイルなど,アプリケーションが常にオープンしているファイルに書き込みを行う場合には, 矛盾したデータを保存する可能性があることを忘れないでください。 また,BACKUPはディレクトリを検索するため, ファイルの作成や削除などのディレクトリ操作が行われていると, ファイルがバックアップ対象から除外されることがあります。一般的には, システムのバックアップは,オープンしているファイルが最も少ないときに行うのが最適です。

さらに,/IGNORE=INTERLOCK修飾子を使用して,オープンしているファイルのバックアップを取ると, それ以降の追加型バックアップに影響が出ることがあります。 たとえばBACKUP/IMAGE/RECORD/IGNORE=INTERLOCKコマンドを使用して, オープンしているファイルのバックアップを取った仮定とします。 このファイルのバックアップ日付フィールドは,ファイルがクローズされないかぎり更新されません。 以降の追加型バックアップでファイルがオープンしたままになっていると, バックアップ日付が最後のイメージ・ バックアップの日付と異なり,最新ではないため,バックアップにファイルが取り込まれないことになります。

10.18.4 /LOG修飾子

/LOG修飾子は,バックアップで処理されたファイルのファイル指定情報を表示したい場合に使用します。 たとえば,あるディレクトリのファイルをコピーするとき,/LOG 修飾子を使用すると,コピーしたファイルのファイル指定情報が表示されます。 次に例を示します。

     $ BACKUP/LOG
     _From: WORK3:[OCONNELL]*.*
     _To: WORK1:[OCONNELL.SCRATCH]*.*
     %BACKUP-S-CREDIR, created WORK1:[OCONNELL.SCRATCH.COM]
     %BACKUP-S-CREATED, created WORK1:[OCONNELL.SCRATCH]DECW$MAIL.DAT;2
     %BACKUP-S-CREATED, created WORK1:[OCONNELL.SCRATCH]DECW$SM.LOG;42
     %BACKUP-S-CREATED, created WORK1:[OCONNELL.SCRATCH]DECW$SM.LOG;41
        .
        .
        .

10.18.5 /VERIFY修飾子

保存,復元,またはコピーを行った後で入力側と出力側の内容を比較したい場合は,/VERIFY 修飾子を使用してください。検証パスに入るとき, BACKUPは次のメッセージを表示します。

     %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass

入力と出力ファイルとの間に相違があると,BACKUPはエラー・メッセージを表示します。

できるだけ/VERIFY修飾子を使用するようにしてください。処理時間は長くなりますが, データの整合性は向上します。

/VERIFY修飾子を使用したセーブ・セットの2度バックアップ

この節で説明されている問題はTZ87とTZ88,TZ89テープ・ドライブに関しての問題です。 テープ装置を/FOREIGN修飾子を指定してマウントし,セーブ・ セットにファイルを2度バックアップすると,第2のセーブ・ セットは次のエラーを表示します。

次のエラー・メッセージに類似したメッセージが表示されます。

     %BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass
     %BACKUP-E-READERR, error reading MKB300:[]SET.SAV;
       -SYSTEM-W-DATAOVERUN, data overrun
     %BACKUP-E-INVBLKSIZE, invalid block size in save set
     %BACKUP-E-INVRECSIZ, invalid record size in save set
     %BACKUP-F-READERRS, excessive error rate reading MKB300:[]SET.SAV;
       -SYSTEM-W-DATAOVERUN, data overrun

10.19 問題が発生したときの対処

この節では,BACKUPの使用中によく見られるエラーと,そうしたエラーからの回復方法を説明します。

10.19.1 BACKUPの致命的なエラー対処オプション

バックアップ中にハードウェアまたは媒体関係の致命的なエラーを検出したり, データの信頼性を損なうと見なされる数のエラーを検出したりした場合,BACKUP は次の情報メッセージとプロンプトを表示します。

     %BACKUP-I-SPECIFY, specify option (CONTINUE, RESTART, QUIT)
     BACKUP>


注意
コマンド修飾子/NOASSISTを指定してBACKUP を会話形式で実行している場合は,BACKUP>プロンプトに対して直接オプションを入力することができます。BACKUP をバッチ・ジョブで実行している, またはコマンド修飾子/ASSISTを指定している場合は, オペレータがDCLのREPLYコマンドを使用して,オプションを入力する必要があります。

選択可能なオプションとその制約,使用結果を 表 10-9 に示します。

表 10-9 BACKUPのエラー対処オプションと使用結果

オプション 制約 結果
CONTINUE データの信頼性について妥協することがある。 元のエラー位置からテープの位置が変わっておらず, かつエラーによってデータが失われていないと思われる場合にのみ使用すること。 可能な場合, BACKUPはエラーを無視して,処理を継続する。
RESTART 出力ボリュームが先頭ボリュームの場合, 意味なし。 BACKUPは装置にセットされているテープをアンロードして, 別のボリュームをセットするよう促す。 テープがセットされると,元のテープがマウントされた箇所から保存を再開する。
QUIT なし BACKUPは処理を終了する。コマンドを再度入力することができる。

次は,一例として, VOL3に多数のメディア・エラーが検出されたときに発生するイベントを, 発生順にまとめたものです。オプションは, RESTARTを選んだものと仮定します。

  1. BACKUPが磁気テープに多数のメディア・エラーが検出されたことを示し, 次のエラー・メッセージとプロンプトを表示する。
         %BACKUP-F-WRITEERRS, excessive error rate writing VOL3
         %BACKUP-I-SPECIFY, specify option (CONTINUE, RESTART, QUIT)
         BACKUP>
    

  2. RESTARTと入力する。

  3. BACKUPがVOL3をディスマウントして,新しいテープをセットするよう求める。 装置からVOL3を取り出す。

  4. 装置に新しいテープをセットし,プロンプトに対する応答としてYES を入力する。

  5. BACKUPがVOL3の先頭から保存を再開する。失われたデータはない。

10.19.2 テープ・ラベル・エラー

指定したもとのと異なるラベルのテープを使用するように指示した場合, BACKUPは次のメッセージを表示します。

     %MOUNT-I-MOUNTED, DKA0 mounted on _SODAK$MUA0:
     %BACKUP-W-MOUNTERR, volume 1 on _SODAK$MUA0 was not mounted because
     its label does not match the one requested
     %BACKUP-W-EXLABEER, volume label processing failed because
      volume TAPE4 is out of order, Volume label TAPE1 was expected
      specify option (QUIT, NEW tape, OVERWRITE tape, USE loaded tape)
     BACKUP>

このメッセージは,保存中にBACKUPがANSIラベル以外のテープを検出したときに出されるメッセージです。 ここで選択可能なオプションは,バックアップを強制終了するか(QUIT) ,古いテープをディスマウントして新しいテープをマウントするか(NEW) ,テープのデータを書き換えるか(OVERWRITE) ,またはセットされているテープを使用する(USE)のいずれかです。

もともと書き換えるつもりの空のテープを使用する場合は, /IGNORE=LABEL_PROCESSING修飾子を使用してください。/IGNORE=LABEL_ PROCESSING修飾子を指定すると,前記のメッセージが出力されません。


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