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12 キュー・マネージャとキュー・データベースの管理

キューを作成し起動するためには,その前にキュー・マネージャとキュー・ データベースを設定しておかなければなりません。本章では, OpenVMSバッチ・キューおよびプリント・キュー登録システムで,キュー・ マネージャとキュー・データベースを設定し管理する方法について説明します。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
キュー・データベース・ファイルの位置指定 第12.3節
キュー・ マネージャの情報表示 第12.4 節
キュー・マネージャの起動とキュー・ データベースの作成 第12.5節
キュー・マネージャ・フェイルオーバのカスタマイズ 第12.6節
キュー・マネージャの停止 第12.7節
複数の(追加の)キュー・マネージャの作成 第12.8節
キュー・データベースの保存と復旧 第12.9節
キュー・ システム性能の最大化 第12.10 節
キュー・マネージャ問題の解決 第12.11節
キュー登録システム問題のコンパックへの連絡 第12.12節

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
キュー・マネージャ 第12.1 節
キュー・データベース 第12.2節
複数の( 追加の)キュー・マネージャ 第12.8.1 項

本章では,多くの場所でDCLコマンドを参照しています。DCLコマンドについての詳細は, 『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください。

12.1 キュー・マネージャについて

システムでプリンタまたはバッチ処理を使用するには,キュー を使用する必要があります。キュー・マネージャはキューの動作を制御します。 キュー・データベースはマスタ・ ファイルをはじめ,キュー・ファイルやジャーナル・ファイルを格納します。 これらのファイルにはキューとジョブに関する情報が格納されます。

キュー操作を行うためには,必ずキュー・マネージャを起動して,キュー・ データベースを作成しておく必要があります。これらの実際の操作については, この後の第12.5節で説明します。

OpenVMS Cluster環境においてキューを管理するときのキュー・マネージャの働きを 図 12-1 に示します。

図 12-1 OpenVMSのバッチとプリント・キュー・システム

バッチ・ジョブまたはプリント・ジョブがキューに登録されると,キュー・ マネージャは次の操作を行います。

  1. ジョブのタイプ,ファイル名,キューの名前,特殊オプションなどが指定された, ユーザからのキュー要求を受け取る。

  2. 受け取った情報をキュー・データベースに記録し,ジョブをプリントまたは実行するときに読み出す。

  3. 対応するキューにジョブを登録して,順番を待つ。

    1. プリント・ジョブは,シンビオントと呼ぶ独立プロセスに送信されて書式整形され, 印刷のためにプリンタに送信される。

    2. バッチ・ジョブの場合は,ジョブ・コントローラ がバッチ・ジョブ・プロセスを生成する。

1つ以上のキュー・マネージャ・プロセスが,ノードのすべてのプロセスまたはOpenVMS クラスタ環境内のすべてのプロセスのキュー登録を制御します。 OpenVMS Cluster の1つのノードからジョブを登録して,別のノードのキューでそのジョブを実行することも可能です。 各ノードのユーザ・ プロセス,シンビオント,ジョブ・コントローラは,直接キュー・マネージャと通信します。

また,ジョブ・コントローラはキュー・マネージャと協力して,次のキュー管理作業を行います。

キュー・マネージャのフェイルオーバ

省略時の設定では,キュー・マネージャが動作中のノードがクラスタを離れた場合, キュー・マネージャは別のノードにフェイルオーバしようとします。

OpenVMS Cluster環境では,クラスタのノードにキューを要求させる順番を指定したり, キュー・マネージャを実行可能なノードを制限したりすることができます。 詳細は第12.6節を参照してください。

複数のキュー・マネージャ

CPU,ディスク容量,メモリの制約を回避するには,複数のキュー・マネージャを使用して, バッチ処理とプリント処理の作業負荷をノード間で分散したり, データベース・ファイルをディスク間で分散します。

たとえば,バッチ・キューやプリント・キューのためにキューを別々に作成し, それぞれのキューのマネージャを別々のノードで実行できます。バッチ・ キュー・マネージャを1つのノードで実行し,プリント・キュー・ マネージャを別のノードで実行します。また,キュー・ファイルとジャーナル・ ファイルを独立したディスクで管理することもできます。

キュー・マネージャを追加作成する方法と複数のキュー・マネージャを使用する理由, およびその場合の制限事項については,第12.8節を参照してください。

12.2 キュー・データベースについて

キュー・データベースは,キュー・システムが動作しつづけるために必要な, ジョブ,キュー,キュー・マネージャなどの情報を保持します。1つの省略時のキュー・ マネージャSYS$QUEUE_MANAGERに対するキュー・データベースを構成するファイルは次のとおりです。

ファイル 説明
マスタ・ファイル
(QMAN$MASTER.DAT)
内容:

  • キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所情報

  • フォームと特性の定義情報

  • キュー名のリスト

  • キュー・マネージャを実行可能なノードのリスト

  • キュー・マネージャのリストと,キュー・マネージャを実行できるノードのリスト。
キュー・ファイル
(SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES)
作成,起動,変更されたキューの定義を含む。
ジャーナル・ファイル
(SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$JOURNAL)
次の場合,キュー・ マネージャが最後の既知状態に戻ることを可能にする情報を含む。

  • スタンドアロン型のマシンが予期せぬ停止をした場合。

  • キュー・マネージャを実行しているOpenVMS ClusterノードがOpenVMS Cluster 環境を離れた場合。

このファイルには,ジョブの定義も含まれる。

複数のキュー・マネージャを持つシステムでは,各追加キュー・マネージャの新しいキュー・ ファイルとジャーナル・ファイルは,キュー・データベースに含まれています。 追加キュー・ファイルは,キュー・マネージャ名 .QMAN$QUEUESの形式で命名されます。追加ジャーナル・ファイルは, キュー・マネージャ名.QMAN$JOURNALの形式で命名されます。

図 12-2は,PRINT_MANAGERとBATCH_ MANAGERという2つのキュー・マネージャを登録したマスタ・ファイルを格納したキュー・ データベースを示しています。各キュー・マネージャにはそれぞれ, キュー・ファイルとジャーナル・ファイルがあります。

図 12-2 キュー・データベース

省略時の設定では,データベース・ファイルはすべてSYS$COMMON:[SYSEXE] に格納されています。ただし必要であれば,別の場所に移すことも可能です。 次の節で,データベース・ファイルを移動する理由と方法を説明します。

12.3 キュー・データベースの格納場所の指定

キュー・データベース・ファイルが,省略時の格納場所SYS$COMMON:[SYSEXE] に存在しない場合には,キュー・データベースの格納場所を指定する必要があります。 省略時のファイル格納場所を変える理由には, 次のようなものがあります。

キュー・データベース・ファイルの移動方法

キュー・データベース・ファイルを移動する方法には2種類あります。

マスタ・ファイルの格納場所の指定方法については,第12.3.1項を参照してください。 キュー・ ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所の指定方法については, 第12.3.2項を参照してください。

12.3.1 キュー・マスタ・ファイルの格納場所の指定

マスタ・ファイルの格納場所を指定するためには,キュー・マネージャの起動とキュー・ データベースの作成の前に,次の操作を実行してください。

  1. 次の形式でコマンドを入力する。

    DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE QMAN$MASTER 等価名

    等価名パラメータには,マスタ・ファイルを作成し格納する装置とディレクトリを指定する。

    OpenVMS Cluster環境では,このコマンドをOpenVMS Cluster内のすべてのノードで入力する。


    注意
    OpenVMS Cluster環境では,マスタ・ ファイル用に指定したディレクトリは,クラスタのすべてのノードで利用できる必要があります。 ディレクトリ指定が隠し論理名になっている場合には,OpenVMS Cluster のすべてのノードで同じ名前で定義してある必要があります。 さらに,ディスクは,システム・スタートアップの初期に OpenVMS Clusterメンバ・ノードにマウントされている必要があります。

  2. ステップ1で入力したコマンドを,OpenVMS Cluster環境のすべてのノードのSYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM スタートアップ・コマンド・ プロシージャに追加する。

  3. 指定した格納場所がノードのシステム・ディスクでない場合には, そのディスクをマウントするコマンドをコマンド・プロシージャSYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM に追加する。通常SYLOGICALS.COMでは論理名の定義を行うが, この場合,このプロシージャのなかでマスタ・ ファイルが格納されているディスクをマウントすることに注意。これは, ジョブ・コントローラがキュー・マネージャを起動する前に,マスタ・ ファイルが利用できるようにしておくためである。

    SYLOGICALS.COMでシステム単位の論理名を定義する方法については, 第5.2.5項を参照。

12.3.2 キュー・ファイルとジャーナル・ファイル

START/QUEUE/MANAGERコマンドにディレクトリ指定パラメータを指定して, キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所を指定します。 次に例を示します。

     $ START/QUEUE/MANAGER DUA2:[SYSQUE]

このコマンドは,キューとジャーナル・ファイルが DUA2:[SYSQUE]ディレクトリに格納されるように指定します。


注意
OpenVMS Cluster環境では, キュー・ファイルとジャーナル・ファイルに対して指定したディレクトリは, キュー・マネージャを実行できるすべてのノードで利用できる必要があります。 ディレクトリ指定が隠し論理名になっている場合には,OpenVMS Cluster のすべてのノードで同じ名前で定義してある必要があります。 さらに,ディスクは,システム・スタートアップの初期に すべてのOpenVMS Clusterメンバ・ノードにマウントされている必要があります。

START/QUEUE/MANAGERコマンドを一度入力すると,入力したディレクトリ位置はキュー・ データベースに保存されます。キュー・マネージャを再起動する場合, ディレクトリ位置を再指定する必要はありません。

12.4 キュー・マネージャに関する情報の表示

1つ以上のキュー・マネージャに関する情報を表示するには,SHOW QUEUE /MANAGERSコマンドを入力します。

  1. 次の例では,PRINT_MANAGERとSYS$QUEUE_MANAGERという2つのキュー・ マネージャに関して,省略時の(/BRIEF)情報を表示する。
         $ SHOW QUEUE/MANAGERS
         Queue manager PRINT_MANAGER, running, on NODEA::
    
         Queue manager SYS$QUEUE_MANAGER, running, on NODED::
    

  2. システムまたはクラスタのキュー・マネージャに関する詳細情報を表示するには,/FULL 修飾子を使用する。

    次の例では,マスタ・ファイルは1か所にあるが,2つのキュー・マネージャに属しているキュー・ ファイルとジャーナル・ファイルは異なる場所にある。

         $ SHOW QUEUE/MANAGERS/FULL
         Master file:  SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]QMAN$MASTER.DAT;
    
         Queue manager PRINT_MANAGER, running, on NODEA::
           /ON=(NODEA,NODEB,*)
           Database location:  DUA2:[SYSQUE]
    
         Queue manager BATCH_MANAGER, running, on NODED::
           /ON=(NODEC,NODED,NODEE,*)
           Database location:  SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
    

図 12-3は,2番目の例で示したキュー・ データベース・ ファイルの場所を示しています。

図 12-3 キュー・データベース・ファイルの格納位置

12.5 キュー・マネージャの起動とキュー・データベースの作成

キューを作成するためには,次の形式でコマンドを使用してキュー・データベースを作成しておく必要があります。

START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION[/ON=(ノード名,...)] -
[ディレクトリ指定]

/NEW_VERSION 新しいキュー・データベース・ ファイルを作成することを指定する。
マスタ・ファイル
キュー・ファイル
ジャーナル・ファイル

/NEW_VERSION修飾子を指定するのは,新しいデータベース・ファイルを作成する場合 だけである。キュー登録システムがすでに機能している場合には, 新しいデータベース・ファイルを作成する必要はない。

/ON=(ノード名,...) キュー・マネージャのフェイルオーバをカスタマイズすることを許可する。 詳細は第12.6節を参照。
ディレクトリ指定 キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの場所を指定する。 第12.3.2項を参照。キュー・ ファイルとジャーナル・ファイルを省略時の場所以外の場所に作成する場合には, このパラメータを使用する。


重要
現在正しく機能しているキュー・ データベースがない場合にのみ,/NEW_VERSION修飾子を指定します。 既にキュー・データベース・ファイルがある場合にこの修飾子を指定すると, 現在のキュー・データベース・ファイルは上書きされます。  

通常,ユーザがこの作業を実行するのは1度だけです。これは,ユーザがこのコマンドを実行すると, システムはこのコマンドと指定した修飾子とパラメータとともに, このコマンドをキュー・データベースに格納するからです。

ユーザがSTOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTERコマンドを入力しない限り,ジョブ・ コントローラは再起動時に自動的にキュー・マネージャを起動します。 このため,スタートアップ・コマンド・プロシージャにSTART/QUEUE /MANAGERコマンドを記述する必要はありません。


重要
ここでは,システム・ディスクが1 つのOpenVMS Clusterまたはシステム上で,キュー・マネージャを起動する方法とキュー・ データベースを作成する方法を説明します。

複数のシステム・ ディスクを持ったOpenVMS Cluster内のシステムでは,特殊な作業を実行する必要があります。OpenVMS Cluster は混合アーキテクチャでもかまいません。 実行方法については『OpenVMS Cluster Systems』を参照してください。


作業方法

  1. システム・アドレス・パラメータSCSNODEおよびSCSSYSTEMIDの値が,DECnet for OpenVMS ノード名およびノードIDと一致することを確認する。 システムでキューを正常に実行させるためには,これらの値は正しく定義されていなければならない。

    詳細は第12.11.5.1項の2番目の例を参照。

  2. 省略時の位置SYS$COMMON:[SYSEXE]にキュー・データベース・ ファイルを作成する場合は,ステップ3へ進む。

    省略時の位置以外の位置にキュー・データベース・ファイルを作成する場合は, 第12.3.1項または第12.3.2項, あるいは両方を参照。

  3. キュー・マネージャを起動してキュー・データベース・ファイルを作成するには, START/QUEUE/MANAGER コマンドを実行する。このコマンドを実行するとキュー・ マネージャ・プロセスが起動する。 オプションで,キュー・ファイルとジャーナル・ファイルを作成できる。

キュー・マネージャが起動しない場合は,第12.11.1 項の問題解決チェックリストを参照。

次の例は以下を指定しています。

     $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE QMAN$MASTER DUA4:[MASTER]
     $ MOUNT/SYSTEM/NOASSIST DUA4:
     $ !
     $ ! Add the two previous commands to SYLOGICALS.COM
     $ !
     $ START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION DUA2:[SYSQUE]

1つ以上のキュー・マネージャを追加作成する方法については,第12.8節を参照してください。

12.6 キュー・マネージャ・フェイルオーバのカスタマイズ

省略時の設定では,OpenVMS Cluster環境のすべてのノードでキュー・マネージャが実行可能であり, 実行に決まった順番はありません。START /QUEUE/MANAGERコマンドの/ON修飾子を使うと,キュー・マネージャの実行可能なOpenVMS Cluster ノードを,実行したい順に列挙したリストを指定できます。 少なくとも1つのノードが常にキュー・マネージャを実行できるようにするために, ノード・ディスクの最後にアスタリスク(*)を指定することをおすすめします。

12.7 キュー・マネージャの停止

キュー・マネージャを停止し,再起動するには,DCLコマンドを入力する必要があります。

12.7.1 キュー・マネージャの停止

スタンドアロン・ノードまたはOpenVMS Clusterノードでキュー・マネージャをシャットダウンするには, 次のコマンドを入力します。

     $ STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER

キュー・マネージャは,次の作業を実行します。

STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTERコマンドが入力されると,キュー・マネージャ・ プロセスが停止状態になるため,START/QUEUE/MANAGERコマンドを入力することによってキュー・ マネージャを再度起動しないかぎり,キュー・ システムに対する要求は拒否されます(キュー・マネージャが1つでも実行されているとキュー・ システムも実行されています)。

OpenVMS Cluster遷移によって,キュー・マネージャの状態が変化することはありません。 また,START/QUEUE/MANAGERコマンドが入力されないかぎり, 新たに使用可能になったノードがキュー・マネージャの起動を試みることはありません。

クラスタ全体で動作するキュー・マネージャを停止させるためには, /CLUSTER修飾子が必要です。以前の/CLUSTER修飾子なしのSTOP/QUEUE /MANAGERコマンドは,DCLのSTOP/QUEUES/ON_NODEコマンドと同じ働きをします。 キュー・マネージャを停止させることなく,特定の1つのノードのすべてのキューを停止したい場合は,STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドを使用してください。

12.7.2 キュー・マネージャの再起動

システムを再ブートすると,キュー・マネージャは自動的に再起動されます。 しかし,次のいずれかの理由でSTART/QUEUE/MANAGERコマンドを入力しなければならないことがあります。

作業方法

キュー・マネージャを再起動する場合は,次の形式でSTART/QUEUE /MANAGERコマンドを使用します。

START/QUEUE/MANAGER[/ON=(ノード名,...)] [ディレクトリ指定]

キュー・マネージャを再起動する場合,現在使用している/ON=(ノード名,... )修飾子またはディレクトリ指定パラメータの値を変更するのでないかぎり, それらの項目を指定する必要はありません。キュー・ マネージャを起動するコマンドは,指定した修飾子およびパラメータと一緒にキュー・ データベースに格納されます。それらの指定がない場合, キュー・マネージャは,キュー・データベースに格納されているノード・ リストと位置情報を使って起動されます。

キュー・マネージャが起動しない場合の対処方法については,第12.11.1項で説明しています。

12.8 複数のキュー・マネージャの使用

複数のキュー・マネージャを使用すると,バッチ処理とプリント処理の作業負荷を複数のノードやディスク・ ボリューム間で分散できます。複数のキュー・ マネージャの概要と,キュー・マネージャを追加作成するにはどのような処理が必要であるかを理解しておかなければなりません。

12.8.1 複数のキュー・マネージャについて

この節では,複数のキュー・マネージャの操作に関連する項目について説明します。

複数のキュー・マネージャを使用する場合の制限事項

複数のキュー・マネージャには次の制限事項があります。

複数のキュー・マネージャの名前

キュー・マネージャのプロセス名は,キュー・マネージャ名の最初の12 文字です。省略時のキュー・マネージャ名はSYS$QUEUE_MANAGERです。 省略時のキュー・マネージャのプロセス名はQUEUE_MANAGEです。PRINT_ MANAGERという名前の追加キュー・マネージャを作成すると,プロセス名はPRINT_MANAGE になります。

キュー・マネージャに関する問題が発生したときに,その問題に適切に対処できるように, すべてのキュー・マネージャのプロセス名を把握しておかなければなりません。 第12.11節を参照してください。

複数のキュー・マネージャによるキュー・データベース・ ファイルの使用

複数のキュー・マネージャは,1つのマスタ・ファイルを共有します。しかし, 複数のキュー・マネージャを使用するキュー・データベースには, 各キュー・マネージャに対して1つのキュー・ファイルと1つのジャーナル・ ファイルが格納されます。第12.2節を参照してください。

複数のキュー・マネージャを管理するためのコマンド

省略時の設定では,次のコマンドは省略時のキュー・マネージャSYS$QUEUE_MANAGER ,または省略時のキュー・マネージャで実行中のキューに影響します。

/NAME_OF_MANAGER修飾子を使用すると,これらのコマンドに対して異なるキュー・ マネージャを指定できます。

12.8.2 追加キュー・マネージャの作成

1つ以上のキュー・マネージャを作成するには,次の操作を実行してください。

  1. 第12.5節のステップ1とステップ2 を実行する。

  2. キュー・マネージャを追加作成するには,次の形式でコマンドを入力する。

    START/QUEUE/MANAGER/ADD/NAME_OF_MANAGER=名前-
    [ /ON=(ノード名,...)] [ディレクトリ指定]

    /ADD 既存のマスタ・ファイルにキュー・ マネージャを追加作成し,新しいキュー・ファイルとジャーナル・ ファイルを作成する。
    /NAME_ OF_MANAGER=名前 31文字以内の名前を使用して, 省略時のキュー・マネージャ以外のキュー・マネージャを作成する。 キュー・マネージャは最大5つ作成できる。
    /ON=(ノード名,...) キュー・マネージャのフェイルオーバをカスタマイズすることを許可する。 詳細は 第12.6節を参照。
    ディレクトリ指定 キュー・ ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所を指定する。第12.3.2項を参照。 キュー・ファイルとジャーナル・ ファイルを省略時の格納場所以外の場所に作成する場合には, このパラメータを使用する。


重要
新しいキュー・マネージャを作成するときには,/NEW_VERSION 修飾子を指定しないでください。複数のキュー・ マネージャは1つのマスタ・ファイルを共有します。追加作成した各キュー・ マネージャに対して,追加のキュー・ファイルとジャーナル・ ファイルが自動的に作成されます。

次のコマンドは,BATCH_MANAGERという名前の新しいキュー・マネージャを作成し, 起動します。

     $ START/QUEUE/MANAGER/ADD/NAME_OF_MANAGER=BATCH_MANAGER/ON=(A,B,*) DUA2:[QUEUES]

12.8.2.1 複数のキュー・マネージャの作成と移動

INITIALIZE/QUEUEコマンドでキューを作成するときには,/NAME_OF_ MANAGER修飾子を付けて,キューが実行されるキュー・マネージャの名前を指定します。/NAME_OF_MANAGER 修飾子を指定しないと,キューは省略時のキュー・ マネージャSYS$QUEUE_MANAGER上で作成されます。

既存のキューを元のキュー・マネージャから別のキュー・マネージャに移動するには,DELETE/QUEUE コマンドでキューを削除し,INITIALIZE/QUEUE コマンドで再作成します。

12.8.2.2 キュー・マネージャの保守

キュー・マネージャを保守するためにDCLコマンドを入力するときは,必ず/NAME_OF_MANAGER 修飾子でコマンドを適用するキュー・マネージャを指定します。/NAME_OF_MANAGER 修飾子を指定しない場合,コマンドは省略時のキュー・ マネージャSYS$QUEUE_MANAGERで実行されます。

例で各コマンドが行っている操作は次のとおりです。

     $ START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION/NAME_OF_MANAGER=PRINT_MANAGER -
     _$ /ON=(JADE,RUBY,*)
     $ START/QUEUE/MANAGER/ADD/NAME_OF_MANAGER=BATCH_MANAGER -
     _$ /ON=(OPAL,PEARL,*)
     $ SHOW QUEUE/MANAGER/FULL
     Master file:  SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]QMAN$MASTER.DAT;

     Queue manager PRINT_MANAGER, running, on JADE::
       /ON=(JADE,RUBY,*)
       Database location:  SYS$COMMON:[SYSEXE]

     Queue manager BATCH_MANAGER, running, on OPAL::
       /ON=(OPAL,PEARL,*)
       Database location:  SYS$SYSROOT:[SYSEXE]

12.9 キュー・データベースの保存と復元

キュー構成に変更を行う場合は,必ずキュー・データベース・ファイルのコピーを作成しておきます。 このコピーを保存しておくと,キュー・データベース・ ファイルにアクセスできなくなったときに,保存したキュー・ データベースを復元することができます。その結果,フォームや属性を再定義して, 各キューを再度初期化する必要がなくなります。

12.9.1 キュー・データベース・ファイルの保存

次に,キュー・システムが動作しているときにキュー・データベースのレコードごとのコピーを保存する手順を説明します。 保存されるのはキュー, フォーム,および特性の定義だけであり,ジョブ情報は保存されません。 なお,時刻指定してあるジョブや保留中のジョブが,ジャーナル・ ファイルの復元後に再実行される場合があるので,ジャーナル・ファイルは保存しないようにしてください。

作業方法

  1. 次の形式でOpenVMSのCONVERTユーティリティ・コマンドを入力して, マスタ・ファイルを保存する。

    CONVERT/SHARE QMAN$MASTER.DAT マスタ・ファイル名

    マスタ・ファイル名には,QMAN$MASTER.DATのコピー先のファイル名を指定する。

    CONVERTユーティリティについては,『OpenVMS Record Management Utilities Reference Manual』を参照。

  2. 次の形式でCONVERTコマンドを入力して,キュー・ファイルを保存する。

    CONVERT/SHARE SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES -
    キュー・ ファイル名

    キュー・ファイル名には,SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUESのコピー先のファイル名を指定する。

  3. 次の形式でBACKUPユーティリティ・コマンドを使用して, CONVERTで作成したファイルを保存する。

    BACKUP/LOG マスタ・ファイル名,キュー・ファイル名
    装置: セーブ・セット名/LABEL=ラベル

    BACKUPユーティリティについては,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照。

次の例は,キュー・データベースを保存する方法を示す簡単なプロシージャです。

     $ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYSEXE]
     $ CONVERT/SHARE QMAN$MASTER.DAT MASTERFILE_9SEP.KEEP;
     $ CONVERT/SHARE SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES QFILE_9SEP.KEEP;
     $ INITIALIZE MUA0: QDB
     $ MOUNT/FOREIGN MUA0:
     %MOUNT-I-MOUNTED, QDB mounted on _LILITH$MUA0:
     $ BACKUP/LOG MASTERFILE_9SEP.KEEP,QFILE_9SEP.KEEP MUA0:QDB_9SEP.SAV/LABEL=QDB
     %BACKUP-S-COPIED, copied SYS$COMMON:[SYSEXE]MASTERFILE_9SEP.KEEP;
     %BACKUP-S-COPIED, copied SYS$COMMON:[SYSEXE]QFILE_9SEP.KEEP;
     $ DISMOUNT MUA0:

12.9.2 キュー・データベース・ファイルの復元

キュー・データベース・ファイルを復元すると,すべてのキュー,フォーム, 属性,キュー・マネージャ情報が復元されます。しかし,キューに登録されているジョブに関する情報は復元されません。

作業方法

  1. キュー・マネージャが動作している場合は,DCLのSTOP/QUEUE /MANAGER/CLUSTERコマンドを入力して停止させる。

  2. 3つのキュー・データベース・ファイルをすべて削除する。残っているファイルがあっても, すべて削除すること。

  3. MOUNTコマンドを使用して,キュー・データベースのバックアップを格納したディスクまたはテープをマウントする。

  4. BACKUPユーティリティを使用して,第12.9 節のステップ3で作成したセーブ・セットからキュー・ファイルとマスタ・ ファイルを復元する。マスタ・ファイルかキュー・ファイルを省略時以外の場所に格納している場合は, その場所に復元する。格納場所を変更した場合は, キュー・マネージャを起動するときに新しい格納場所を指定すること。


    注意
    キュー・データベースの復元では, いずれか1つだけが失われている場合でも,必ずマスタ・ファイルとキュー・ ファイルの両方を復元する必要があります。

  5. START/QUEUE/MANAGERコマンドを使ってキュー・マネージャを起動する。/NEW_VERSION 修飾子は使用しないこと。新しい空のジャーナル・ ファイルが自動的に作成される。

次の例は,キュー・データベースをテープから復元する方法を示すプロシージャです。

     $ STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER
     $ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYSEXE]
     $ DELETE SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$JOURNAL;,SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;, -
     _$ QMAN$MASTER.DAT;
     $ MOUNT/FOREIGN MUA0:
     %MOUNT-I-MOUNTED, QDB mounted on _LILITH$MUA0:
     $ BACKUP/LOG MUA0:QDB_9SEP.SAV/SELECT=[SYSEXE]MASTERFILE_9SEP.KEEP; -
     _$ QMAN$MASTER.DAT;
     %BACKUP-S-CREATED, created SYS$COMMON:[SYSEXE]QMAN$MASTER.DAT;1
     $ SET MAGTAPE/REWIND MUA0:
     $ BACKUP/LOG MUA0:QDB_9SEP.SAV/SELECT=[SYSEXE]QFILE_9SEP.KEEP; -
     _$ SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES
     %BACKUP-S-CREATED, created SYS$COMMON:[SYSEXE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;1
     $ DISMOUNT MUA0:
     $ START/QUEUE/MANAGER

12.10 キュー・システム性能の最大化

次のシステム資源は,キュー登録システムの性能に最も影響を与えます。

次の操作を行うと,キュー登録システムの性能を最大化できます。

12.11 キュー・マネージャに関する問題の解決

次の参照箇所を読んで,キュー・マネージャに関する問題を解決してください。

問題 参照箇所
一般的な問題の回避:問題解決チェックリスト 第12.11.1項
キュー・マネージャが起動しない場合 第12.11.2項
キュー登録システムが停止する場合またはキュー・マネージャがあるノードで実行されない場合 第12.11.3項
キュー・マネージャが使用できない場合 第12.11.4 項
あるOpenVMS Clusterノードでキュー登録システムが実行されない場合 第12.11.5項
別々のOpenVMS Cluster ノードでキュー登録動作が一定でない場合 第12.11.6項
キュー登録システムに関する問題のコンパックへの連絡 第12.12節

12.11.1 一般的な問題の回避:問題解決チェックリスト

キュー登録システムに関する一般的な問題を避けるために,次の条件を必ず満たしてください。

必要条件 参照箇所
QMAN$MASTERがクラスタ内のすべてのノードで同等に定義されていること。 第12.3 節
キュー・データベースが指定の格納場所に存在すること。 第12.3節
キュー・データベース・ ディスクがマウントされており利用可能なこと。 第12.3節
十分な数のノードを/ON 修飾子のノード・リストに指定すること。ノード・リストを指定する場合には, ノード・リストの最後にアスタリスク(*)を指定するとよい。 第12.11.4 項
システム・アドレス・パラメータSCSNODE とSCSSYSTEMIDがDECnet for OpenVMSのノード名およびノードID と一致すること。 第12.11.5 項

12.11.2 キュー・マネージャが起動しない場合

START/QUEUE/MANAGERコマンドを入力しても,キュー・マネージャが起動しない場合, システムは次のメッセージを表示します。

     %JBC-E-QMANNOTSTARTED, queue manager could not be started

12.11.2.1 問題の調査

次のようなコマンドを使用して,オペレータ・ログ・ファイルSYS$MANAGER:OPERATOR.LOG ( またはオペレータ・コンソール)上に, キュー・マネージャまたはジョブ・コントローラから問題に関してメッセージが出力されていないか検索してください。

     $ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG/WINDOW=5 QUEUE_MANAGE,
     JOB_CONTROL,BATCH_MANAGE

メッセージが見つかったら,それを利用してさらに問題を調査し,第12.11.1項の条件を満たしていることを確認してください。

12.11.2.2 原因

この問題が発生するのは,システムがキュー・マスタ・ファイルを見つけることができないからです。 多くの場合,論理名の定義が正しくないか, またはディスクが使用可能な状態でないと考えられます。たとえば,次のメッセージは, マスタ・キュー・ファイルが適切な場所に格納されていないことを示します。

     %%%%%%%%%%%  OPCOM  13-MAR-1998 15:53:52.84  %%%%%%%%%%%
     Message from user JOB_CONTROL on ABDCEF
     %JBC-E-OPENERR, error opening SYS$COMMON:[SYSEXE]QMAN$MASTER.DAT

     %%%%%%%%%%%  OPCOM  13-MAR-1998 15:53:53.04  %%%%%%%%%%%
     Message from user JOB_CONTROL on ABDCEF
     -SYSTEM-W-NOSUCHFILE, no such file

12.11.2.3 問題の解決

複数のキュー・マネージャが存在するシステムでも,追加キュー・マネージャによって表示されるメッセージを, 検索文字列にプロセス名を含めて調べてください。 ユーザのシステムで実行されているキュー・マネージャに関する情報を表示するために, 第12.4節の説明にしたがってSHOW QUEUE MANAGERS コマンドを使用してください。メッセージに表示されたすべての問題を解決してください。

     $ START/QUEUE/MANAGER DUA55:[SYSQUE] 【1】
     %JBC-E-QMANNOTSTARTED, queue manager could not be started 【2】
     $ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG /WINDOW=5 QUEUE_MANAGE,JOB_CONTROL 【3】
     %%%%%%%%%%%  OPCOM  14-APR-1998 18:55:18.23  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on CATNIP
     %QMAN-E-OPENERR, error opening DUA55:[SYSQUE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;

     %%%%%%%%%%%  OPCOM  14-APR-1998 18:55:18.29  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on CATNIP
     -RMS-F-DEV, error in device name or inappropriate device type for operation

     %%%%%%%%%%%  OPCOM  14-APR-1998 18:55:18.31  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on CATNIP
     -SYSTEM-W-NOSUCHDEV, no such device available 【4】
     $ START/QUEUE/MANAGER DUA5:[SYSQUE] 【5】
【1】
キュー・マネージャを起動するコマンド。キュー・ファイルとジャーナル・ ファイルの格納場所としてDUA55:[SYSQUE]が指定されている。
【2】
キュー・マネージャを起動できなかったことを示すエラー・ メッセージ。
【3】
このコマンドは,オペレータ・ログ・ ファイルに関連するメッセージがあるか調べる。SEARCHコマンドには,BATCH_MANAGE などの2番目のキュー・マネージャ名が指定されていない。
【4】
このメッセージは,装置DUA55:が存在しないために, キュー・ファイルをオープンできなかったことを示す。
【5】
このコマンドは, キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの場所としてDUA5:[SYSQUE] を正しく指定しているため,キュー・マネージャを正しく起動できる。

複数のキュー・マネージャとそのプロセス名についての詳細は,第12.8.1項を参照してください。

12.11.3 キュー登録システムが停止する場合またはキュー・ マネージャがあるノードで実行されない場合

クラスタ内のあるノードでキュー・マネージャが実行されない場合,またはキュー登録システムが停止する場合には, この項の説明をお読みください。 特に,次のいずれかの項目にあてはまる場合は,この項を参考にしてください。

12.11.3.1 問題の調査

キュー・マネージャの起動時またはフェイルオーバ時のオペレータ・ログをチェックしてください。 キュー・マネージャ(QUEUE_MANAGEプロセス名) からのオペレータ・メッセージがないかログを検索してください。

複数のキュー・マネージャが存在するシステムの場合も,追加キュー・マネージャから表示されるメッセージがないか, 検索文字列にプロセス名を含めて調べてください。 システムで実行されているキュー・マネージャに関する情報を表示するためには, 第12.4節の説明にしたがってSHOW QUEUE MANAGERS コマンドを使用してください。

複数のキュー・マネージャとそれらのプロセス名についての詳細は,第12.8.1項を参照してください。

次のメッセージは,キュー・データベースが指定した格納場所に存在しないことを示しています。

     %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:06:25.21  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR
     %QMAN-E-OPENERR, error opening CLU$COMMON:[SYSEXE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;

     %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:06:27.29  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR
     -RMS-E-FNF, file not found

     %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:06:27.45  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR
     -SYSTEM-W-NOSUCHFILE, no such file

次のメッセージはキュー・データベース・ディスクがマウントされていないことを示しています。

     %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:36:49.15  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR
     %QMAN-E-OPENERR, error opening DISK888:[QUEUE_DATABASE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;

     %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:36:51.69  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR
     -RMS-F-DEV, error in device name or inappropriate device type for operation

     %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:36:52.20  %%%%%%%%%%%
     Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR
     -SYSTEM-W-NOSUCHDEV, no such device available

12.11.3.2 原因

キュー登録システムは,次の環境下では正常に動作しません。

キュー・マネージャに重大なエラーが発生し,キュー・マネージャが同一ノードで2 分間に2回連続して強制的にクラッシュやフェイルオーバを行った場合には, 通常,キュー登録システムは完全に停止します。ただし,元のノードの起動に失敗した後で, キュー・マネージャをデータベースにアクセスできる別のノードに移動した場合は, キュー登録システムの実行を続けることができます。

12.11.3.3 問題の解決

次の操作を実行してください。

  1. キュー・マネージャが停止している場合には,START/QUEUE /MANAGERコマンドに次の項目を加えて実行します。

  2. ノード・リストに指定されたすべてのノードで,マスタ・ファイルが格納されているディスクをマウントするMOUNT コマンドを,プロシージャSYLOGICALS.COM に追加する。ただし,キュー・データベース・ ファイルが格納されているディスクからブートされるノードは省く。 システム・ディスクの場合は,ディスクをノードに明示的にマウントする必要はない。

12.11.4 キュー・マネージャが使用できない場合

キュー・マネージャが起動しない場合や,実行を停止した場合には,キュー・ マネージャは使用できなくなります。

12.11.4.1 問題の調査

問題を調査するには,SHOW CLUSTERコマンドを入力して,リストに指定されているノードが使用可能な状態であるかどうか確認します。

12.11.4.2 原因

十分なフェイルオーバ・ノード・リストがキュー・マネージャに対して指定されていないため, キュー・マネージャを実行できるノードがフェイルオーバ・ リストにありません。

12.11.4.3 問題の解決

キュー・マネージャがいずれかのノードで実行できるよう,/ON修飾子にシステム構成にあったノード・ リストを指定して,START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力してみてください。

どのノードを指定すればよいのか明確でない場合は,OpenVMS Clusterの残りのノードがキュー・ マネージャを実行できるよう,リストの最後にアスタリスク(*) ワイルドカード文字を指定することをおすすめします。アスタリスクを指定しておくと, ノード・リストに十分な数のノードが指定されていなくても, キュー・マネージャが使用不能になることがなくなります。

12.11.5 あるOpenVMS Clusterノードでキュー登録システムが実行されない場合

あるOpenVMS Clusterノードでキュー登録システムが実行されない場合には, この項の内容をもとに対処してください。

12.11.5.1 問題の調査

次の操作を実行してください。

  1. 次のメッセージがないか,問題が発生したときのオペレータ・ ログを検索する。これらのメッセージは,関連するノードがブートされた後,30 秒ごとに表示される。
         %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:36:49.15  %%%%%%%%%%%
         Message from user QUEUE_MANAGE on ZNFNDL
         %QMAN-E-COMMERROR, unexpected error #5 in communicating with node CSID 000000
    
         %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 15:36:49.15  %%%%%%%%%%%
         Message from user QUEUE_MANAGE on ZNFNDL
         -SYSTEM-F-WRONGACP, wrong ACP for device_
    

  2. システム・アドレス・パラメータの SCSNODEとSCSSYSTEMIDに対するノードの値を,DECnet のノード名およびノードIDに対する値と比較する。 次に例を示す。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW SCSSYSTEMID
    
         Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit  Dynamic
         --------------            -------    -------    -------  -------   ----  -------
         SCSSYSTEMID                 19941          0        -1        -1 Pure-numbe
    
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW SCSNODE
    
         Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit  Dynamic
         --------------            -------    -------    -------  -------   ----  -------
         SCSNODE                 "RANDY  "    "    "    "    "    "ZZZZ" Ascii
    
         SYSMAN> EXIT
         $ RUN SYS$SYSTEM:NCP
         NCP> SHOW EXECUTOR SUMMARY
    
         Node Volatile Summary as of  5-FEB-1998 15:50:36
    
         Executor node = 19.45 (DREAMR)
    
         State                    = on
         Identification           = DECnet for OpenVMS VAX V7.2
    
         NCP> EXIT
         $ WRITE SYS$OUTPUT 19*1024+45
         19501
    

12.11.5.2 原因

DECnetのノード名とノードIDが,システム・アドレス・パラメータのSCSNODE とSCSSYSTEMIDに一致しない場合には,オペレーティング・システムの内部機構であるプロセス間通信(IPC: interprocess communication) は正常に動作しません。また,影響を受けたノードは,キュー登録システムには使用できません。

12.11.5.3 問題の解決

次の操作を実行してください。

  1. 値が一致するように,システム・アドレス・パラメータのSCSNODE およびSCSSYSTEMID,またはDECnetのノード名およびノードID を変更する。

    これらのシステム・パラメータについての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照。DECnetのノード名とノードID の詳細は,『DECnet for OpenVMS Guide to Networking』を参照。

  2. システムを再ブートする。

12.11.6 複数のOpenVMS Clusterノードでキュー登録動作が一定でない場合

次の現象が発生した場合には,この項の内容をもとにして対処してください。

12.11.6.1 問題の調査

次の操作を実行してください。

  1. SHOW LOGICALコマンドを使用して,クラスタ内の各ノードの環境内でQMAN$MASTER 論理名を変換する。与えられたノードに変換値が存在しない場合には,SYS$COMMON:[SYSEXE] の省略時の値を変換する。

    1つまたは複数のノードでSHOW LOGICAL変換値に別の物理ディスク名が表示された場合には, 問題を特定したことになる。

  2. 関連ノードの1つがブートされたときのオペレータ・ログ・ ファイルをチェックする。次のような,JOB_CONTROLプロセスからのOPCOM メッセージを検索する。
         %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 14:41:20.88  %%%%%%%%%%%
         Message from user JOB_CONTROL on MANGLR
         %JBC-E-OPENERR, error opening BOGUS:[QUEUE_DIR]QMAN$MASTER.DAT;
    
         %%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-1998 14:41:21.12  %%%%%%%%%%%
         Message from user JOB_CONTROL on MANGLR
         -RMS-E-FNF, file not found
    

12.11.6.2 原因

この問題は,クラスタ内の別々のノード上のQMAN$MASTER論理名を別々に定義したために発生します。 その結果,複数のキュー登録環境ができてしまいます。 この問題は,通常,OpenVMS Cluster環境でシステム・ディスクを追加するときやキュー登録データベースを移動するときに起こります。

12.11.6.3 問題の解決

次の操作を実行してください。

  1. キュー・マネージャとキュー・データベースが1つか存在しない場合には, ステップ2に進む。複数のキュー・マネージャとキュー・ データベースが存在する場合には,次の操作を実行する。

    1. QMAN$MASTER論理名が正しく定義されていないノードの1つで, 次の形式でコマンドを入力する。

      STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER - /NAME_OF_MANAGER=キュー・ マネージャ名

      ただし,キュー・マネージャ名には停止するキュー・マネージャの名前を指定する。

    2. 無効なキュー・データベースの3つのファイルをすべて削除する( 複数のキュー・マネージャがあるシステムでは,無効なファイルは4 つ以上ある)。

  2. 論理名QMAN$MASTERを,関連するシステムで割り当て直し, この論理名が定義されているスタートアップ・プロシージャ(通常はSYLOGICALS.COM) 内の定義を訂正する。

  3. 関連しないノードでSTOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTERコマンドを入力して, 有効なキュー・マネージャを停止する。

  4. START/QUEUE/MANAGERをいずれかのノードで入力して,キュー登録システムが正常に動作することを確認する。

12.12 キュー登録システムに関する問題のコンパックへの連絡

キューに問題が生じ,それを弊社のサポート担当者に連絡する必要がある場合には, 次の表に示す内容をご連絡ください。この情報は,ユーザのシステムの問題を診断するのに役立ちますので, できるだけ多くの情報を連絡するようにしてください。

提供内容 説明
問題の概要 次の項目を含める。

  • 問題が起こった環境。問題が起こったノード,ユーザ・アカウント, 使用していたレイヤード製品など。

  • オペレーションに与えた影響。どのサイト・オペレーション( プリント・チェック,重大なバッチ・ジョブなど)に影響があったか。 問題発生頻度(1ヶ月に1回の出力,1日に数回の出力等)。

  • キュー登録システムが正常に動作しているときと,問題が発生したときの間に起こったシステム事象。

  • 正常に動作している作業。
問題再現のための手順 問題を再現するための正確な手順と, それに必要なハードウェアまたはソフトウェアを明確に記述する。
構成情報 例:

  • OpenVMS Clusterシステムの構成であるかどうか。複数のシステム・ ディスクを使用しているかどうか。

  • キュー・データベースを省略時の格納場所(SYS$COMMON:[SYSEXE]) に保存してあるかどうか。マスタ・ファイルをキュー・ ファイルとジャーナル・ファイルとは別の格納場所に保存してあるかどうか。
SHOW QUEUE/MANAGER
/FULLコマンド出力
次の例に示すように,SYSMANを使用してこのコマンドをすべてのノードで実行すること。
     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
     SYSMAN> DO/OUTPUT SHOW QUEUE/MANAGERS/FULL
     SYSMAN> EXIT
     $ TYPE SYSMAN.LIS

出力ファイルSYSMAN.LISをタイプしてみて,すべてのノードで出力が一致するかどうか確認する。

キュー・ファイルとジャーナル・
ファイルの格納場所
可能であれば, (キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所を指定する) START /QUEUE/MANAGERコマンドのディレクトリ指定パラメータで指定した最も新しい値を探し出すこと。 何も指定しなかった場合の省略時の値はSYS$COMMON:[SYSEXE] である。
QMAN$MASTER
論理名の変換値
変換値がすべてのノードで同じかどうか確認すること。

次のコマンドを入力して結果出力を含めること。

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
     SYSMAN> DO SHOW LOGICAL QMAN$MASTER

SHOW LOGICALコマンドから返された変換値が物理ディスク名でない場合には,SHOW LOGICAL コマンドを各ノードの環境で再実行して,変換値に物理装置名が含まれるまで戻り値を変換すること。

オペレータ・ログ・ファイル出力 次のコマンドを入力して, ジョブ・コントローラまたはキュー・マネージャによるメッセージ出力に対するオペレータ・ ログを検索すること。
     $ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG/WINDOW=5 -
     _$ JOB_CONTROL,QUEUE_MANAGE

複数のキュー・マネージャが存在するシステムでは,省略時の設定でないキュー・ マネージャに対しては,追加キュー・マネージャのキュー・ マネージャ名の最初の12文字を指定すること。たとえば,名前がPRINT_ MANAGERのキュー・マネージャの場合には,次のようにしてPRINT_MANAGE と指定すること。

     $ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG/WINDOW=5 -
     _$ JOB_CONTROL,QUEUE_MANAGE,PRINT_MANAGE
関連DCLコマンドから戻される
情報
DCLコマンドを入力すると問題が発生する場合には, この情報も含めること。
キュー・データベースの
ジャーナル・ ファイルのコピー
BACKUPユーティリティに/IGNORE=INTERLOCK 修飾子を指定して使用することにより, SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$JOURNALファイルのコピーを作成し,このコピーをコンパックに提出すること。

複数のキュー・マネージャが存在するシステムでは,すべてのキュー・マネージャのジャーナル・ ファイルのコピーを提出すること。省略時の設定ではないキュー・ マネージャのジャーナル・ファイル名の形式は,キュー・ マネージャ名.QMAN$JOURNALである。

作成されたプロセス・ダンプ
のコピー
次のコマンドを実行して関連するプロセス・ ダンプを探し出し,そのファイルのコピーをコンパックに提出すること。
     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
     SYSMAN> DO DIRECTORY/DATE SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]JBC$*.DMP, -
     _SYSMAN> QMAN$*.DMP,PRTSMB.DMP,LATSYM.DMP

PRTSMBまたはLATSYMではないシンビオントを使用した実行キューに問題がある場合には, そのシンビオントのプロセス・ダンプ・ファイルのコピーも含めること。 ファイル名の形式は,イメージ・ファイル名 .DMPである。

SHOW QUEUEコマンド
の出力
問題が個々のキューに関係する場合には,SHOW QUEUEコマンドを実行して関連するキューを表示すること。
その他の関連情報 例:

  • キュー・データベースの作成日時と更新日時。ノードを最後に再ブートしてから作成または更新したかどうか。

  • IPCACPプロセスが関連ノードに存在するかどうか。存在しない場合には, 以前に存在したプロセスを特定すること。たとえば,システム会計情報などをチェックしてみること。


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