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14 システム・パラメータの管理

システムをインストールまたはアップグレードすると,システム・ パラメータの値はコンパックの提供するコマンド・プロシージャSYS$UPDATE:AUTOGEN.COM (AUTOGEN) によって自動的に設定されます。 定期的にAUTOGENを使用し,ハードウェア構成とシステムの作業負荷に合わせて, システム・パラメータの値を調整してください。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
AUTOGENで使用するためのカスタマイズ済みパラメータ設定の変換 第14.3 節
AUTOGENによるシステム・ パラメータ値の変更(標準的な方法) 第14.5節
MODPARAMS.DATによるAUTOGENパラメータ設定の制御 第14.5.1項
AUTOGENレポートの自動化 第14.6節
SYSMANによるシステム・ パラメータの管理 第14.7 節
SYSGENによるシステム・パラメータの管理 第14.8 節
会話型ブートによるシステム・ パラメータの管理 第14.9 節

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
システム・パラメータ 第14.1節
システム・パラメータの省略時の値, 現在値,アクティブ値 第14.1.1項
ページとページレット 第14.1.2項
システム・パラメータ値の標準的な変更方法 第14.2節
AUTOGEN.COMコマンド・ プロシージャ 第14.4節
AUTOGENフィードバック 第14.4.1 項
AUTOGENフィードバック・レポート(AGEN$PARAMS.REPORT) 第14.4.2項
AUTOGENのフェーズ 第14.4.3項
AUTOGENパラメータ・ファイル(MODPARAMS.DAT) 第14.4.4項

14.1 システム・パラメータについて

システムがどのように機能するかは,システム・パラメータ の値によって制御されます。システム・パラメータは,広範囲のシステム機能を制御します。 次に,システム・パラメータで制御できる機能の一部を紹介します。

『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』では,システム・パラメータの一覧を示し, 各パラメータについて説明しています。

ディストリビューション・キットで提供されるシステム・パラメータの 省略時の値は,どんな構成でもブートするように設定されています。 システムをインストールまたはアップグレードすると, SYS$UPDATE:AUTOGEN.COMコマンド・プロシージャが実行され,システム構成の評価と主な作業負荷の予想を行い, 必要に応じてシステム・パラメータの値を調整します。

各システム・パラメータには,許容値の範囲を定義する最大値と最小値が設定されています。

パラメータ・タイプ

各システム・パラメータのタイプは,次の1つまたは複数になります。

タイプ 説明
ダイナミック ダイナミック・システム・パラメータの値は, メモリ内のアクティブ値を変更することによりシステムの稼働中に変更できる。 これに対してダイナミック・パラメータ以外のパラメータの値を変更する場合, パラメータ・ファイルに格納されている現在値を変更した後, システムを再ブートして変更した値を有効にしなければならない。 アクティブ値と現在値についての詳細は,第14.1.1項を参照。
汎用 汎用パラメータの値は,ブート時におけるデータ構造の作成と初期化に影響する。
メジャー メジャー・ パラメータは変更する必要性が最も高い。
特殊 特殊パラメータは,コンパックで使用するためだけに用意される。 これらのパラメータは,コンパックのエンジニアから指示があった場合, またはコンパック製品のインストレーション・ ガイドまたはリリース・ノートに示されている場合にのみ変更する。

機能別のパラメータ・カテゴリ

システム・パラメータは,その機能別に次のカテゴリに分けることができます。

カテゴリ 機能
ACP ファイル・システム・キャッシュおよびFiles-11 XQP ( 拡張QIOプロシージャ),すなわち補助制御プロセス(ACP) に関連するパラメータ。[1]
クラスタ VAXclusterまたはOpenVMS Cluster操作を制御するパラメータ。
ジョブ ジョブを制御するパラメータ。
LGI ログイン・セキュリティを制御するパラメータ。
マルチプロセッシング 対称型マルチプロセッシングに関連するパラメータ。
PQL プロセス作成上の制限とクォータに関連するパラメータ。
RMS OpenVMSレコード管理サービス(RMS) に関連するパラメータ。
SCS システム通信サービス(SCS)とポート・ ドライバの操作を制御するパラメータ。SCS操作に影響するパラメータの先頭にはSCS という文字列が付けられる。
SYS システム操作全体に影響するパラメータ。
TTY ターミナルの動作に関連するパラメータ。
ユーザ定義 次のパラメータはユーザが定義できる。
USERD1 (ダイナミック・パラメータ)
USERD2 (ダイナミック・パラメータ)
USER3
USER4

[1] ACPパラメータの多くは,Files-11ディスク構造レベル1ディスクがマウントされている場合, あるいはマウント・コマンドでACPが特に要求された場合にだけ適用できる。 バージョン4.0より前のオペレーティング・ システムでは,ファイルのオープンやクローズ,ウィンドウ切り替えといった, ファイル操作は補助制御プロセス(ACP)という別のプロセスが行う。 バージョン4.0では,XQP (拡張QIOプロシージャ)が導入され, これらの操作はシステム上の各プロセスが行うようになった。互換性のため, パラメータの名前は変更されていない。

14.1.1 省略時の値,現在値,アクティブ値

システムの各システム・パラメータは,次の4種類の値をとります。

値の種類 説明
省略時の値 システムにあらかじめ設定されている値で, サポートされるどの構成でもブートできるように設定されている。
現在値 ディスク上の省略時のパラメータ・ファイルに格納され, システムのブート時に使用される値。

VAXシステムの省略時のパラメータ・ファイルはVAXVMSSYS.PAR 。

Alphaシステムの省略時のパラメータ・ファイルはALPHAVMSSYS.PAR 。

アクティブ値 メモリに格納され,システムの稼働中に使用される値。 システムの稼働中に変更できるアクティブ値は,カテゴリがダイナミック・ システム・パラメータであるシステム・パラメータの値に限られる。
他のパラメータ・ファイルに格納されている値 現在値を格納する省略時のパラメータ・ ファイル以外にも,特別な目的のパラメータ・ファイルを作成できる。

ブート時,システムは現在値をメモリに読み込み,アクティブ値を作成します。 変更がない限り,アクティブ値と現在値は同じです。

AUTOGENコマンド・プロシージャのSETPARAMフェーズを実行すると,現在値が変更されます。

SYSMANユーティリティとSYSGENユーティリティにより,現在値 アクティブ値の両方を表示または変更できます。表示したり変更したい値を指定するには,USE コマンドおよびWRITEコマンドを使用します。

SYSMANによるパラメータの管理についての詳細は,第14.7節を参照してください。SYSGEN によるパラメータの管理についての詳細は, 第14.8 節を参照してください。

14.1.2 ページとページレット

VAXシステムでは,オペレーティング・システムはページと呼ばれる単位を使って, プロセスに対するメモリの割り当てや割り当て解除を行います。VAX システムのページ・サイズは512バイトです。システム・ パラメータのいくつかはページ単位で割り当てられます。

Alphaシステムでは,システム・パラメータのいくつかはページ単位で割り当てられますが, ページレット単位で割り当てられるシステム・ パラメータもあります。

Alphaシステムのページ・サイズは,8 Kバイト(KB) (8192バイト),16 KB,32KB,64KBのいずれかです。ページレットとは,512バイトのメモリ単位です。Alpha システムの1ページレットはVAXの1ページと同じサイズです。 また,ページ・サイズが8 KBのAlphaコンピュータでは,16 Alphaページレットが1 Alpha ページと等しくなります。

パラメータ値,特にメモリ管理に関連するパラメータを調べる場合には, 各パラメータに必要な割り当て単位に注意してください。第14.7.2項第14.8.2 項では,パラメータ値とその割り当て単位を表示する方法が説明されています。

14.2 パラメータ値の標準的な変更方法

システム・パラメータの多くは,他のパラメータやシステムの性能に影響します。 したがって,システム・パラメータを管理するときにはコマンド・ プロシージャSYS$UPDATE:AUTOGEN.COM (AUTOGEN)を使用してください。AUTOGEN については,第14.4節を参照してください。

またシステム・パラメータの管理は,SYSMANユーティリティやSYSGENユーティリティを使って行うこともできます。 パラメータ値の変更にこれらのユーティリティを使用するのは一般的ではありません。 しかし,次の場合には使用できます。


重要
SYSMANまたはSYSGENを使ってパラメータ値を変更すると,AUTOGEN の実行時に,値が省略時の値に変更されたり再設定されることがあります。AUTOGEN を実行してもパラメータの変更内容が保持されるようにするためには, 変更した値をAUTOGEN パラメータ・ファイルMODPARAMS.DATに追加します。詳細は第14.5.1項を参照してください。

カスタマイズ済みのパラメータ設定をMODPARAMS.DAT に追加してなく,SYSMANまたはSYSGEN を使用してパラメータを変更しようとする場合は,AUTOGENを実行する前に 第14.3節の指示にしたがってください。


14.3 AUTOGENで使用するためのカスタマイズ済みパラメータ設定の変換

システムのチューニングには,できるだけAUTOGENコマンド・プロシージャを使用するようにしてください。 システム管理ユーティリティ(SYSMAN) またはシステム生成ユーティリティ(SYSGEN)を使用してシステム・パラメータ値を変更し, その変更内容をAUTOGENパラメータ・ファイルMODPARAMS.DAT に保存しなかった場合,これらの変更内容は次にAUTOGENを実行したときに上書きされます。

以前に,SYSMANまたはSYSGENを使ってパラメータ値を変更した場合は, AUTOGENで使用できるように,次の手順でパラメータ設定を変更します。 この手順に従うと,AUTOGENを実行してもその設定が維持されるように, カスタマイズ済みパラメータ設定をMODPARAMS.DATに追加することができます。

この作業を行う場合は,その前に第14.4節を参照して,AUTOGEN ,フィードバック,AUTOGENパラメータ・ファイルMODPARAMS.DAT について理解しておいてください。

  1. システムが現在使用しているパラメータ値を保存する。次に例を示す。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS USE ACTIVE
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR
    

  2. アクティブ・パラメータ値のリストをノード名_ PARAMS.OLDというASCIIファイルに書き込む。次に例を示す。
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW/ALL/OUTPUT=ノード名_PARAMS.OLD
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW/SPECIAL/OUTPUT=ノード
    名_PARAMS_SPECIAL.OLD
         SYSMAN> EXIT
         $ APPEND ノード名_PARAMS_SPECIAL.OLD ノード名_PARAMS.OLD
    

    このファイルは,ステップ6で使用する。

  3. AUTOGENのパラメータ・ファイルSYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATを編集してシンボルを定義し, 以下の値を指定する。

    値の指定は,明示的に行うのではなく,MIN_パラメータ名,MAX_パラメータ名,ADD_ パラメータ名のいずれかの形式を使用してシンボルを定義する。 次に例を示す。

         $ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
    
         SCSNODE = "MYNODE"      ! Not calculated by AUTOGEN
         SCSSYSTEMID = 10001     ! Not calculated by AUTOGEN
         MIN_GBLPAGES = 10000    ! Needed for MCS, BLISS32, and ADA
         MIN_GBLSECTIONS = 600   ! Needed for MCS, BLISS32, and ADA
    

    MODPARAMS.DATに加えた変更内容を分かりやすく示すために,各行にコメントを追加する。 コメントの先頭には感嘆符(!)を付ける。MODPARAMS.DAT にシンボルを定義する方法については,第14.5.1項を参照。

  4. AUTOGENを実行する。ただし,再ブートはしない。システムに応じて次のいずれかのコマンドを使用する。

  5. 新しいパラメータ値のリストをASCIIファイルに書き込む。次に例を示す。
         SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW /ALL /OUTPUT=ノード名_PARAMS.NEW
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW /SPECIAL /OUTPUT=ノード
    名_PARAMS_SPECIAL.NEW
         SYSMAN> EXIT
         $ APPEND ノード名_PARAMS_SPECIAL.NEW; ノード名_PARAMS.NEW
    

  6. 古いパラメータ値と新しいパラメータ値を比較する。次に例を示す。
         $ DIFFERENCES/PARALLEL/OUTPUT=ノード名_PARAMS.DIF/MATCH=5  -
         _$ ノード名_PARAMS.OLD ノード名_PARAMS.NEW
    

  7. ステップ6で作成した差分ファイル(ファイル名の形式はノード名 _PARAMS.DIF)を出力する。出力は読み易さを考えて132カラムのライン・ プリンタで行う。

  8. 各パラメータ名カラムの後の2つのカラムの数値を比較する。 左側のカラムには古い値,右側のカラムには新しい値が示されている。 図 14-1に,出力の例を示す。

    図 14-1 パラメータの古い値と新しい値

  9. MIN_,MAX_,ADD_のいずれかが先頭に付いたシンボルを使って,MODPARAMS.DAT の調整を行う。たとえば,AUTOGENによりGBLPAGES に比較的小さい値が算出された場合,次のようにして,このパラメータに最小値を指定することができる。
         MIN_GBLPAGES = 10000
    

    ステップ3でMODPARAMS.DATにパラメータ値を指定したのに,そのパラメータが変更されていない場合は, 次の事柄をチェックする。

    ほとんどのパラメータは,新しい値の方が古い値よりも大きければ, AUTOGENによる設定を受け入れる。新しい値の方が古い値よりも小さい場合は,AUTOGEN の実行時にその資源を使用できなかったため,古い値を残しておくようにする。

    たとえば,SYSMANを使って,レイヤード製品に合うようにGBLPAGESを10,000 に増やしたのに,その変更内容をMODPARAMS.DATに保存しなかった場合,AUTOGEN はシステムが必要とするのは5,000グローバル・ページだけであると算出する。 この場合,AUTOGENの実行後再ブートすると, レイヤード製品の一部がインストールされずに,システム・メッセージGPTFULL (global page table full) が表示されて,さらにGBLPAGES が必要であることが示される。

  10. 満足できるパラメータ値が決まるまで,ステップ3以降を繰り返す。

    必要ならば,MODPARAMS.DATにさらに変更を加え,AUTOGENを再度実行し, 上述したようにその変更内容をチェックする。通常,AUTOGENのチェックに2 回パスすれば,このパラメータ値が確定し,再ブートすることができる。

  11. 再ブートする。再ブートすると,新しいパラメータ値が有効になる。 再ブートにはAUTOGENは必要ないし,またすぐに再ブートする必要もない。 ただし,新しいパラメータ値が使用される前に再ブートする必要がある。

    システムがブートしない場合は,会話型ブートを行い,ステップ1で作成したバックアップ・ パラメータ・ファイルを使用する。

         SYSBOOT> USE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR
         SYSBOOT> CONTINUE
    

    CONTINUEコマンドを入力すると,AUTOGENの実行前に保存したパラメータ値でシステムがブートされる。

    システムのブート後,古いパラメータ値が必要になった場合は,次のコマンドを使用する。

         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS USE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
         SYSMAN> EXIT
    

  12. システムの資源が確実にシステムの作業負荷に一致するように, フィードバックを使って定期的にAUTOGENを実行する。 フィードバックを使ったAUTOGENの実行方法については,第14.5節を参照。

14.4 AUTOGENコマンド・プロシージャについて

AUTOGENコマンド・プロシージャSYS$UPDATE:AUTOGEN.COMは,ディストリビューション・ キットで提供されます。AUTOGENは,システムのインストールまたはアップグレード時に自動的に実行され, システム・パラメータを適切な値に設定します。 また,システム・パラメータの値を再設定したり, ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを変更したりする場合にも,AUTOGEN を使用してください。新しい値は, システムのブート後,有効になります。

AUTOGENは特定の重要なシステム・パラメータのみを算出します。AUTOGEN により算出されるシステム・パラメータの表が『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のAUTOGENの節にありますので参照してください。

AUTOGENをどんな場合に実行するか?

AUTOGENは次の場合に実行してください。

AUTOGENの機能

AUTOGENはフェーズ単位で実行されます。AUTOGENをどのフェーズで実行させるかによって, 次の動作の一部またはすべてが行われます。

AUTOGENの起動

AUTOGENを起動するには,DCLプロンプトに次の形式でコマンドを入力します。

@SYS$UPDATE:AUTOGEN [開始フェーズ] [終了フェーズ] [実行モード]

開始フェーズ AUTOGENの実行が開始されるフェーズ。 第14.4.3項にAUTOGEN フェーズのリストを示す。
終了フェーズ AUTOGENの実行が完了するフェーズ。第14.4.3項にAUTOGENフェーズのリストを示す。
実行モード 次のいずれか

  • FEEDBACK-フィードバックを使用する。

  • NOFEEDBACK-フィードバックを使用しない。

  • CHECK_FEEDBACK-フィードバックが有効であれば使用する。フィードバックが無効な場合は, 無視するが,終了フェーズまで実行は続けられる。

  • ブランク(実行モードが指定されない場合)-フィードバックが有効であれば使用する。 フィードバックが無効な場合は変更が行われる前に終了する。

AUTOGENの起動と,指定できるコマンド行パラメータについての詳細は, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のAUTOGENの節を参照してください。

AUTOGENの動作の制御

表 14-1に,AUTOGENの動作を制御する方法を要約します。

表 14-1 AUTOGENの制御

制御内容 使用する方法
AUTOGENを実行させるための操作 AUTOGENの起動時に開始フェーズと終了フェーズを指定する。
AUTOGENによるパラメータ値の設定 AUTOGENパラメータ・ファイルMODPARAMS.DAT に値を指定する。

使用しているハードウェア構成に関してAUTOGENが正しい計算を行っているかどうか,AUTOGEN による計算結果を定期的に調べ,システム・パラメータ値が作業負荷の必要条件を確実に満たすようにする。 値が適切でない場合は,MODPARAMS.DAT に必要な値を指定することにより調整する。 MODPARAMS.DATについての詳細は,第14.4.4 項を参照。

AUTOGENによるフィードバック情報の使用 AUTOGENの起動時に実行モードを指定する。

AUTOGENにより,稼働システムから収集した動的フィードバックを利用して, システムの性能を向上させることができる場合が多いが, フィードバック情報は無効な場合や不適切な場合もある。詳細は第14.4.1項を参照。

14.4.1 AUTOGENフィードバックについて

AUTOGENフィードバックを利用すると,パラメータ値やシステム・ファイルのサイズを変更する回数が少なくてすみます。 フィードバックにより, AUTOGENは実際の作業負荷に基づいて,オペレーティング・システムのサイジングを自動的に行います。 サイジングとは,システム資源( メモリおよびディスク空間)の割り当てを実際の作業負荷の必要条件に一致させることです。

フィードバックとは,オペレーティング・システム・エグゼクティブによって連続的に収集された, 作業負荷を処理するためにシステムが使用するさまざまな資源に関する情報のことです。 この情報は例外イベントが発生したときに収集されるため, 収集作業はシステム性能に影響しません。AUTOGEN をフィードバック・モードで実行すると, AUTOGENはこの情報を分析し,関連するすべてのパラメータ値を調整します。


注意
構成を大幅に変更した後にAUTOGEN を実行するときには,nofeedbackを指定して,必ず初期AUTOGEN 設定を使用するようにしてください。第14.4 節を参照してください。

AUTOGENフィードバックは,次の資源に影響を与えます。影響を受けるシステム・ パラメータについては,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・リファレンス・ マニュアル』のAUTOGEN の節を参照してください。

フィードバックは,AUTOGENのSAVPARAMSフェーズで収集され, SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DATファイルに書き込まれます。このファイルはその後,GETDATA フェーズに読み込まれます。AUTOGENのフェーズについての詳細は, 第14.4.3項を参照してください。

フィードバックが有効なのは,それがシステムの正常な作業負荷を反映している場合だけです。 このため,AUTOGENはフィードバックに対していくつかの基本的なチェックを行い, 次のいずれかの条件に一致した場合には警告メッセージを出します。

システムを変更した場合(たとえばハードウェアのアップグレード,ユーザ数の変更, オプション製品のインストールを行った場合)には,しばらく新しいシステム環境で操作してから, 再度AUTOGENをSAVPARAMSフェーズから実行してください。

VAXシステムでは,フィードバックに必要な最小稼働時間を時間単位で指定するために, 論理名AGEN$FEEDBACK_REQ_TIMEを定義できます。詳細は第14.5.2項を参照してください。

AUTOGENを実行すると,フィードバックが使用されているかどうかが次のように表示されます。

     Feedback information was collected on 21-JAN-1998 14:00:08.53
     Old values below are the parameter values at the time of collection.
     The feedback data is based on 21 hours of up time.
     Feedback information will be used in the subsequent calculations

14.4.2 フィードバック・レポート(AGEN$PARAMS.REPORT) について

AUTOGENによって算出されたシステム・パラメータの値とシステム・ ファイルのサイズを使用するかどうか判断する必要があります。判断のための手助けとして,AUTOGEN は次の情報を含むレポート・ファイル(SYS$SYSTEM:AGEN$PARAMS.REPORT) を生成します。

例 14-1は,VAXシステムのAUTOGENフィードバック・ レポートの例です。Alphaシステムについては,フィードバック・ レポートは似ていますが,この例とは同一ではありません。

情報メッセージの禁止

情報メッセージの表示を禁止するには,AGEN$REPORT_NO_INFORMATIONALS 論理名をTRUEに定義します。メッセージは,AGEN$REPORT_NO_ INFORMATIONALSの値に関係なく,SYS$SYSTEM:AGEN$PARAMS.REPORTに入力されます。

ユーザ・レポートからのDCL文のチェック

フィードバック・レポートには,MODPARAMS.DATのDCL文が含まれます。これらのDCL 文は,システム・パラメータやADD_,MAX_,またはMIN_拡張への単純な割り当てではありません。 これらの文をレポートから除去するには,MODPARAMS.DAT の各文の先頭にドル記号($)を付けます。

例 14-1 AUTOGENフィードバック・レポートの例

AUTOGEN Parameter Calculation Report on node: NODE22
  This information was generated at 23-APR-1998 01:45:47.87
  AUTOGEN was run from GETDATA to TESTFILES using FEEDBACK

** No changes will be done by AUTOGEN **
   The values given in this report are what AUTOGEN would
    have set the parameters to.

Processing Parameter Data files
-------------------------------

** WARNING ** - The system was up for less than 24 hours when the feedback
information was recorded. This could result in feedback information
that does not accurately reflect your typical work load.

Including parameters from: SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
The following was detected within MODPARAMS.DAT
   Please review immediately.

** INFORMATIONAL ** - Multiple MIN values found for MIN_CHANNELCNT.
        Using MODPARAMS value (550) which is superseding OpenVMS value (255)

** INFORMATIONAL ** - Multiple MIN values found for MIN_SWPOUTPGCNT.
        Using MODPARAMS value (1000) which is superseding OpenVMS value (500)

** INFORMATIONAL ** - Multiple MIN values found for MIN_PQL_DWSEXTENT.
        Using MODPARAMS value (11000) which is superseding OpenVMS value (1024)

** INFORMATIONAL ** - Multiple MIN values found for MIN_PQL_MWSEXTENT.
        Using MODPARAMS value (11000) which is superseding OpenVMS value (1024)

Feedback information was collected on 22-APR-1998 14:00:07.70
  Old values below are the parameter values at the time of collection.
  The feedback data is based on 13 hours of up time.
  Feedback information will be used in the subsequent calculations


Parameter information follows:
------------------------------

MAXPROCESSCNT parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 100, New value is 80
           Maximum Observed Processes: 52

Information on VMS executable image Processing:

        Processing SYS$MANAGER:VMS$IMAGES_MASTER.DAT


GBLPAGFIL parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 1024.  The new value is 6024.
           GBLPAGFIL has been increased by 5000.
           GBLPAGFIL is not allowed to be less than 6024.


GBLPAGES parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 43300, New value is 50000
           Peak used GBLPAGES: 36622
           Global buffer requirements: 6024


GBLSECTIONS parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 400, New value is 400
           Peak used GBLSECTIONS: 294
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 350.  The new value is 400.
           GBLSECTIONS is not allowed to be less than 400.

LOCKIDTBL parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 2943, New value is 3071
           Current number of locks: 1853
           Peak number of locks: 3200

LOCKIDTBL_MAX parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 65535, New value is 65535

RESHASHTBL parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 1024, New value is 1024
           Current number of resources: 957

MSCP_LOAD parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 1.  The new value is 0.
           MSCP_LOAD has been disabled by a hard-coded value of 0.

MSCP_BUFFER parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 128, New value is 128
           MSCP server I/O rate: 0 I/Os per 10 sec.
           I/Os that waited for buffer space: 0
           I/Os that fragmented into multiple transfers: 0

SCSCONNCNT parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 5, New value is 5
           Peak number of nodes: 1
           Number of CDT allocation failures: 0

SCSRESPCNT parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 300, New value is 300
           RDT stall count: 0

SCSBUFFCNT parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 512, New value is 512
           CIBDT stall count: 0


NPAGEDYN parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 686592, New value is 783360
           Maximum observed non-paged pool size: 815616 bytes.
           Non-paged pool request rate: 47 requests per 10 sec.


LNMSHASHTBL parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 1024, New value is 1024
           Current number of shareable logical names: 1194


ACP_DIRCACHE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 88, New value is 88
           Hit percentage: 99%
           Attempt rate: 0 attempts per 10 sec.

ACP_DINDXCACHE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 25, New value is 25
           Hit percentage: 97%
           Attempt rate: 1 attempts per 10 sec.

ACP_HDRCACHE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 88, New value is 106
           Hit percentage: 98%
           Attempt rate: 17 attempts per 10 sec.

ACP_MAPCACHE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 8, New value is 8
           Hit percentage: 2%
           Attempt rate: 4 attempts per 10 sec.

PAGEDYN parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 521728, New value is 542208
           Current paged pool usage: 304160 bytes.
           Paged pool request rate: 1 requests per 10 sec.

PFRATL parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 0.  The new value is 1.
           PFRATL has been disabled by a hard-coded value of 1.

WSDEC parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 35.  The new value is 19.
           WSDEC has been disabled by a hard-coded value of 19.

MPW_LOLIMIT parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 120.  The new value is 2100.
           MPW_LOLIMIT is not allowed to be less than 2100.

MPW_HILIMIT parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 1310.  The new value is 4500.
           MPW_HILIMIT is not allowed to be less than 4500.

LONGWAIT parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 30.  The new value is 10.
           LONGWAIT has been disabled by a hard-coded value of 10.


WSMAX parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 8200.  The new value is 12000.
           WSMAX is not allowed to be less than 12000.


PQL_DWSEXTENT parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 400.  The new value is 11000.
           PQL_DWSEXTENT is not allowed to be less than 11000.


PQL_DWSEXTENT parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 400.  The new value is 11000.
           PQL_DWSEXTENT is not allowed to be less than 11000.

PQL_MWSEXTENT parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 2048.  The new value is 11000.
           PQL_MWSEXTENT is not allowed to be less than 11000.

VAXCLUSTER parameter information:
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 1.  The new value is 0.
           VAXCLUSTER has been disabled by a hard-coded value of 0.

Page, Swap, and Dump file calculations

  Page and Swap file calculations.

PAGEFILE1_SIZE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 45200, New value is 50500
           Maximum observed usage: 25265
        PAGEFILE1_SIZE will be modified to hold 50500 blocks

PAGEFILE2_SIZE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 154000, New value is 194400
           Maximum observed usage: 97175
        PAGEFILE2_SIZE will be modified to hold 194400 blocks

        ** WARNING ** - The disk on which PAGEFILE2 resides would be
           over 95% full if it were modified to hold 194400 blocks.
           NODE22$DKA300:[SYSTEM_FILES]PAGEFILE.SYS will not be modified.
           NODE22$DKA300:[SYSTEM_FILES]PAGEFILE.SYS will remain at 154002
blocks.

SWAPFILE1_SIZE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 15000, New value is 15000
           Maximum observed usage: 14280
        Override Information - parameter calculation has been overridden.
           The calculated value was 21400.  The new value is 15000.
           SWAPFILE1_SIZE is not allowed to exceed 15000.
        SWAPFILE1 will not be modified.

SWAPFILE2_SIZE parameter information:
        Feedback information.
           Old value was 50000, New value is 26300
           Maximum observed usage: 1680
        SWAPFILE2_SIZE will be modified to hold 26300 blocks

        ** WARNING ** - The disk on which SWAPFILE2 resides would be
           over 95% full if it were modified to hold 26300 blocks.
           NODE22$DKA300:[SYSTEM_FILES]SWAPFILE.SYS will not be modified.
           NODE22$DKA300:[SYSTEM_FILES]SWAPFILE.SYS will remain at 50001 blocks.

  Dumpfile calculations:

        No dump file modifications would have been made.
        Dumpfile will remain at 34116 blocks.

14.4.3 AUTOGENのフェーズについて

AUTOGENの起動時には,AUTOGENに実行させる開始フェーズと終了フェーズを指定します。AUTOGEN は,指定された開始フェーズから終了フェーズまで, すべてのフェーズを実行します。開始フェーズと終了フェーズを指定すると,AUTOGEN は表 14-2に示す順序で各フェーズを実行します。

表 14-2 AUTOGENのフェーズ

フェーズ 説明
SAVPARAMS 稼働システムの動的フィードバックを保存する。
GETDATA AUTOGEN の計算で使用するすべてのデータを収集する。
GENPARAMS 新しいシステム・パラメータを生成し, インストールされたイメージ・リストを作成する。
TESTFILES AUTOGENが算出したページ・ファイル, スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを表示する。 このフェーズを開始フェーズにはできない。
GENFILES 必要に応じて新しいページ・ファイル,スワップ・ ファイル,ダンプ・ファイルを生成する。開始フェーズにはできない。
SETPARAMS SYSMANを実行し, 省略時のパラメータ・ファイルでの新しいシステム・パラメータの設定, オリジナルのパラメータの保存,新しいパラメータ・ファイルAUTOGEN.PAR の生成を行う。

VAXシステムの場合,省略時のパラメータ・ファイルはVAXVMSSYS.PAR。オリジナルのパラメータはVAXVMSSYS.OLD に保存される。

Alphaシステムの場合,省略時のパラメータ・ファイルはALPHAVMSSYS.PAR 。オリジナルのパラメータはALPHAVMSSYS.OLDに保存される。

SHUTDOWN システムを手動で再ブートできる状態にする。
REBOOT 自動的にシステムをシャットダウンし,再ブートする。
HELP 画面にヘルプ情報を表示する。

AUTOGENの各フェーズと各フェーズで影響を受けるファイルについての詳細は『OpenVMS システム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のAUTOGENの節を参照してください。

14.4.4 AUTOGENパラメータ・ファイル(MODPARAMS.DAT) について

AUTOGENは,GETDATAフェーズ中,MODPARAMS.DATという名前のパラメータ・ ファイルを読み込みます。このファイルにコマンドを追加すれば, AUTOGENが設定するシステム・パラメータ値とファイル・サイズを制御できます。MODPARAMS.DAT を使用すれば,次のことができます。

操作 参照箇所
数値システム・パラメータの値を大きくする 第14.5.1.1項
数値システム・ パラメータの最小値を設定する 第14.5.1.2項
数値システム・パラメータの最大値を設定する 第14.5.1.3 項
システム・パラメータの絶対値を指定する 第14.5.1.4 項
外部のパラメータ・ ファイルを取り込む 第14.5.3 項
システム・ファイル(ページ・ ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイル)のサイズを指定する 第15.15.1.2 項
+VAXclusterノードの数を定義する 第14.5.1.5 項
+イーサネット・アダプタの数を定義する 第14.5.1.6 項
+メモリを追加する前にパラメータ値を設定する 第14.5.1.7項
省略時の代替スタートアップ・ コマンド・プロシージャを指定する 第4.5.2項

+ VAXのみ

MODPARAMS.DATに加えた変更内容を分かりやすく示すために,各行にコメントを追加します。 コメントの先頭には感嘆符(!)を付けます。


重要
システム・パラメータとシステム・ ファイルのサイズを変更する場合には,できるだけ, MODPARAMS.DATファイルにパラメータ設定値を指定する方法を使用してください。SYSMAN ,SYSGEN,あるいは会話型ブートでシステム・パラメータ値またはファイル・ サイズを変更しても, MODPARAMS.DATに値を指定しなければ,AUTOGEN は次回の実行時にパラメータ値とファイル・サイズを再計算します。 詳細は第14.5.1項を参照してください。

次にMODPARAMS.DATファイルの例を示します。

     !
     ! ***************** A Sample MODPARAMS.DAT for Node NODE22 ***************
     !
     ! MODPARAMS.DAT for "NODE22"
     ! REVISED: 04/29/96 -CHG- Upped GBLPAGES to account for ADA.
     !
     SCSNODE         = "NODE22"      ! This is not calculated by AUTOGEN.
     SCSSYSTEMID     = 19577         ! This is not calculated by AUTOGEN.
     TTY_DEFCHAR2    = %X0D34        ! This is not calculated by AUTOGEN.
     ADD_ACP_DIRCACHE= 150           ! Hit rate was only 65% on directory cache.
     MIN_PAGEDYN     = 500000        ! PAGEDYN must be at least 1/2 Mbyte to
                                     ! account for a large number of logical names.
     !

     MAX_PAGEFILE1_SIZE  = 15000     ! Maximum size for primary page.
     MAX_SWAPFILE        =  5000     ! Maximum size for swap file space.
     MAX_DUMPFILE        = 32768     ! Maximum size for dump file space.

     ADD_GBLPAGES    = 425+507+157   ! Account for MCS, BLISS32 and ADA.
     ADD_GBLSECTIONS = 4 + 5 + 2     ! Account for MCS, BLISS32 and ADA.
     VIRTUALPAGECNT  = 144264        ! So that we can read MONSTR's 68Mb dumps.
     !
     ! end of MODPARAMS.DAT for NODE22

14.5 AUTOGENによるシステム・パラメータの変更

システム・パラメータを変更する場合には,できるだけ次に示すように, AUTOGENを2段階に分けて実行してください。

  1. 第1段階では,次のコマンドを使ってAUTOGENを実行する。
         $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS TESTFILES
    

    このコマンドを実行すると,AUTOGENは次の作業を行う。

    計算の元となるデータ(PARAMS.DAT),計算結果(SETPARAMS.DAT),および生成されたレポート(AGEN$PARAMS.REPORT) を調べる。

    パラメータの設定内容に満足できない場合には,MODPARAMS.DAT を編集してパラメータ値を変更する。編集方法については,第14.5.1項を参照。 パラメータ値を変更したら, ファイル・サイズを変更したい場合,第15.15節を参照してサイズを変更するその後,GETDATA フェーズからAUTOGENを実行する。

    SETPARAMS.DATの内容に満足した場合には,ステップ2に進む。

  2. 第2段階では,次のコマンドを使って,AUTOGENをもう一度実行する。
         $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GENPARAMS REBOOT
    

    このAUTOGENコマンドは,SYSMANを実行して新しいシステム・パラメータ値を更新し, 再ブート時にそれらのパラメータを使用してシステムをブートする。 この方法では,システム・ファイルは変更されない点に注意。

14.5.1 MODPARAMS.DATによるAUTOGENパラメータ設定値の制御

AGEN$PARAMS.REPORTファイルおよびSETPARAMS.DATファイルを調べた結果, ハードウェア構成データを修正したり,AUTOGENが選択したシステム・ パラメータ値を変更することになった場合は,この項で説明しているように,MODPARAMS.DAT ファイルを編集してパラメータ値を指定してください。


重要
パラメータの値を指定するためには,PARAMS.DAT ではなく,必ずMODPARAMS.DATを使用してください。 PARAMS.DATの内容を変更すると,AUTOGENが正しく機能しない場合があります。

MODPARAMS.DATファイルを使ってページ・ファイル,スワップ・ファイル, ダンプ・ファイルのサイズを制御する方法については,第15.15.1.2項を参照してください。

MODPARAMS.DATファイル中で,次の形式でシンボルを定義すると,パラメータ値を制御することができます。

制御方法 シンボルの形式 参照箇所
指定された量だけ値を大きくする ADD_* 第14.5.1.1 項
最小値を指定する MIN_* 第14.5.1.2項
最大値を指定する MAX_ * 第14.5.1.3項
絶対値を指定する パラメータ名 第14.5.1.4項

MODPARAMS.DATを使ってシンボルを定義する場合には,次のことを確認してください。


重要
MODPARAMS.DATや他のパラメータ・ ファイルを読み込む場合,AUTOGENはファイルに指定されたシンボル名が有効かどうかチェックします。 有効でない場合,AUTOGENはAGEN$PARAMS.REPORT に警告メッセージを書き込みます。しかし,AUTOGEN がチェックするのはシンボル名だけで,そのシンボルに指定された値が有効かどうかはチェックしません。

値が無効でもその行が無視されることはありません。AUTOGEN は指定された値の使用を試みます。

シンボルが指定されている行に等号記号(=) 以外のDCLの命令文が含まれていると, そのシンボルはチェックされません。たとえば,DCLのIF文がある行に指定されているシンボル名は, 有効かどうかはチェックされません。その場合,AUTOGEN はAGEN$PARAMS.REPORTに警告メッセージを書き込みます。


MODPARAMS.DATに加えた変更内容を分かりやすく示すために,ファイルを変更するたびに必ず各行にコメントを追加します。 コメントの先頭には感嘆符(!) を付けます。

14.5.1.1 ADD_接頭辞を使って値を大きくする方法

ADD_接頭辞を使って数値パラメータの値を大きくします。新しい値はGENPARAMS フェーズの以降のAUTOGEN計算によって更新されます。次に, ADD_接頭辞の使用例を示します。

     ADD_GBLPAGES=500
     ADD_NPAGEDYN=10000

AUTOGENが計算するパラメータの場合は,AUTOGENの計算結果に加算されます。AUTOGEN が計算しないパラメータの場合には,現在値ではなく,省略時の値に加算されます。 なお,AUTOGENにより影響を受けるパラメータの表が『OpenVMS システム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のAUTOGENの節にありますので参照してください。


注意
ADD_で指定された値は計算された値に一度だけ加えられます。 フィードバック計算のための連続実行は, 累積されません。

通常,フィードバック機構によって計算されたパラメータを変更するときに,ADD_ 接頭辞を使用することはありません。 それは,フィードバックの結果が作業負荷を正確に反映しなければならないためです。 もし,フィードバックでADD_接頭辞を使用する場合は, AUTOGENがSETPARAMSフェーズ以降まで実行されても,AUTOGENは値を一度しか加算しない点に注意してください。AUTOGEN の計算値より上に最小値を設定したい場合には,MIN_ 接頭辞を使用します。


14.5.1.2 MIN_接頭辞による最小値の指定方法

AUTOGENによる設定値が指定した値より小さくならないようにするためには,MIN_ 接頭辞を使用します。MIN_は,AUTOGENが設定できるパラメータの最小値を示します。 最小値を400,000に設定する例を次に示します。

     MIN_PAGEDYN = 400000

14.5.1.3 MAX_接頭辞による最大値の指定方法

AUTOGENが,指定した値より大きな値にパラメータを設定しないようにするためには,MAX_ 接頭辞を使用します。MAX_は,AUTOGENによって設定できるパラメータの最大値を示します。 最大値を400,000に設定する例を次に示します。

     MAX_PAGEDYN = 400000

14.5.1.4 絶対値の指定方法

この方法は,AUTOGENが計算しないパラメータの値を指定する場合に使用します。AUTOGEN の計算で変更されるシステム・パラメータの表が『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のAUTOGENの節にありますので参照してください。


注意
この方法は,システム環境を記述するパラメータ(SCSNODE やSCSSYSTEMIDなど)に限って使用してください。AUTOGEN により計算されるパラメータでこの方法を指定すると, AUTOGENの計算ができなくなります。絶対値を指定する代わりに,次のいずれかの方法を用いてください。

パラメータの絶対値を指定するためには,MODPARAMS.DATに次の形式で代入文を追加します。

パラメータ名 = パラメータ値 ! comment

たとえば,次のコマンドはノード名BIGVAXをSCSNODEパラメータに代入します。

     SCSNODE = "BIGVAX"   ! the node name

14.5.1.5 VAXclusterノード数の定義方法(VAXのみ)

VAXcluster環境では,NUM_NODESシンボルを使用して,VAXclusterのメンバが一時的に変化してもAUTOGEN によるVAXclusterに関連するパラメータの値の計算に影響しないようにすることができます。 具体的には, MODPARAMS.DATでNUM_NODESシンボルを定義して,VAXclusterで稼働させるノードの数を指定します。AUTOGEN はこの値を使用して,VAXclusterノードの数に影響されるパラメータを設定します。 たとえば,MODPARAMS.DAT に次の行を追加します。

     NUM_NODES = 30

14.5.1.6 イーサネット・アダプタの数を定義する方法(VAX のみ)

VAXcluster環境では,NUM_ETHERADAPTシンボルをMODPARAMS.DATに定義して,VAXcluster 内のイーサネット・アダプタの合計数を指定します。たとえば,MODPARAMS.DAT に次の行を追加します。

     NUM_ETHERADAPT = 40

14.5.1.7 メモリを追加する前にあらかじめパラメータ値を設定する方法(VAX のみ)

VAXシステムでは,大容量のメモリ(512 MB以上)を追加することにより, システム・ハードウェアをアップグレードしようとする場合,システム・ パラメータを追加分のメモリに適するようあらかじめ設定しておくようにします。 システム・パラメータをあらかじめ設定しておくことにより,不適切なパラメータ値を指定することで発生するメモリのアップグレードに関する問題を, 最小限に抑えることができます。

作業方法

次の手順を実行してください。

  1. SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに次の形式の1行を加える。

    MEMSIZE =アップグレード後のメモリの総ページ数

    次に例を示す。

         MEMSIZE = 2048 * 1024 ! (2048 page per MB *  1GB of memory)
    

  2. SETPARAMSフェーズでAUTOGENを実行する。

  3. ハードウェアのアップグレードを実行して,追加メモリを加える。

  4. MODPARAMS.DATを編集して,ステップ1で追加した行を削除する。

14.5.1.8 DECnetに関連するパラメータを上書きする方法

DECnetの存在(または不在)に関するAUTOGENの観測を上書きするには, MODPARAMS.DATのパラメータLOAD_DECNET_IMAGESをTRUE (またはFALSE)に設定します。 同期ネットワーク・ハードウェアがないシステムにおいて非同期DECnet を実行したい場合には,設定値を制御すると役に立ちます。

14.5.1.9 NPAGEDYNとNPAGEVIRの値の設定

物理メモリが多くないOpenVMSシステムのために,AUTOGENはNPAGEDYNが物理メモリの10% を越えた時,あるいはNPAGEVIRが物理メモリの33%を越えた時に,

AUTOGENは計算値を,NPAGEDYNは物理メモリの20 %にNPAGEVIRは物理メモリの50 % に制限しています。これらの計算値は物理メモリが16MB以下のほとんどのシステムで妥当な値です。 システムでこれ以上大きな値を設定する必要がある場合, MODPARAMS.DAT に書き込むことによってAUTOGENの計算値を上書きすることができます。

14.5.2 AUTOGENフィードバックに必要な最小稼働時間の指定(VAX のみ)

VAXシステムでは,システムの稼働時間がシステムの正常な作業負荷を十分に反映していなければ,AUTOGEN フィードバックは有効ではありません。 省略時の設定では,AUTOGENはデータが作成されてから24時間より多く経過しないとフィードバックを使用しません。VAX システムでは,論理名AGEN$FEEDBACK_REQ_TIME を定義することにより,省略時の設定と異なる最小稼働時間( データの生成後,フィードバックに利用できない期間)を時間単位で指定できます。

たとえば,論理名を次のように定義した場合,AUTOGENはデータが生成されてから19 時間より多く経過しないとフィードバック・データを使用しません。

     $ DEFINE/SYSTEM AGEN$FEEDBACK_REQ_TIME 19

システムが起動するたびにこの論理名を定義するためには,このコマンドをSYLOGICALS.COM に追加します。

14.5.3 外部パラメータ・ファイルのMODPARAMS.DAT への取り込み

外部のパラメータ・ファイルをMODPARAMS.DATに取り込むことができます。 たとえば,あるシステム・パラメータを VAXclusterまたはOpenVMS Cluster環境内のすべてのノードと同じ値に設定すると同時に,他のシステム・ パラメータをノード固有の値にしたいことがあります。そのような場合は, クラスタ共通の値を別のファイルで指定し,クラスタ内の各システムのMODPARAMS.DAT にそのファイルを取り込むようにします。

パラメータ・ファイルを取り込むためには,MODPARAMS.DAT,あるいはMODPARAMS.DAT に取り込まれる任意のパラメータ・ファイルに次の形式でコマンドを追加します。

AGEN$INCLUDE_PARAMS 完全なディレクトリ指定:ファイル名

CLUSTERPARAMS.DATという名前のクラスタ共通のパラメータ・ファイルを取り込む場合には, まず,次の名前の共通のパラメータ・ファイルを作成します。


SYS$COMMON:[SYSEXE]CLUSTERPARAMS.DAT

次に,各クラスタのシステム固有のディレクトリのMODPARAMS.DATファイルに次の行を追加します。

     AGEN$INCLUDE_PARAMS SYS$COMMON:[SYSEXE]CLUSTERPARAMS.DAT

14.5.4 DCL文のログの停止

MODPARAMS.DATの内容は,DCL文として評価されます。したがって,シンボルにシステム・ パラメータではない名前(たとえば,他の値に基づくスクラッチ変数または条件付き割り当て) を割り当てることができます。通常, そのような割り当てはすべてAGEN$PARAMS.REPORTにログが取られ,ログが取られた多くの文によって必要のない大きなファイルが作成されていきます。

このような割り当てすべてにドル記号($)を接頭辞として付けることにより,AGEN$PARAMS.REPORT にログを取られたくない割り当てを指定することができます。 AUTOGEN は, MODPARAMS.DATの中のドル記号で始まるレコードを検出すると, 既知のシステム・パラメータのリストをチェックしないで,AGEN$PARAMS.REPORT にこのレコードのログを取りません。

14.6 AUTOGENレポートの自動化

バッチ・モードのコマンド・プロシージャを作成して,AUTOGENを定期的に自動実行させ, その結果得られるフィードバック・レポートを適切なMail アカウントに送信しておくようにしてください。例 14-2 は,このようなコマンド・プロシージャの例です。


注意
このコマンド・プロシージャでは, システム・パラメータの適切な値を計算してレポートを送信するためにだけAUTOGEN を実行しています。AUTOGENの実行によりシステム・パラメータを変更したり, システムを再ブートすることはありません。レポートを調べた結果, システム・パラメータを変更することになった場合には, 第14.6.1項にある指示に従ってください。

例 14-2に示したコマンド・プロシージャは, AUTOGENを2段階に分けて実行します。第1段階では,AUTOGENを作業負荷がピークになる時間帯に実行し, 現実的なシステムの作業負荷のデータを収集します。 この段階ではシステムの性能が低下することはありません。第2 段階では,AUTOGENをシステムの作業負荷が軽い時間帯に実行し,第1段階で収集したデータを解釈します。

このプロシージャで,ファイルAGEN$PARAMS.REPORTに含まれている結果のレポートがSYSTEM アカウントに送信されます。このレポートを定期的に検討し, システムの負荷が変更されているかどうかを調べてください。

例 14-2に,コマンド・プロシージャの例を示します。 このプロシージャを参考にして,使用中のシステム構成に合ったコマンド・ プロシージャを作成してください。

例 14-2 AUTOGENコマンド・プロシージャの例

$ BEGIN$:   ! ++++++++++ AGEN_BATCH.COM ++++++++++
$  on warning then goto error$
$  on control_y then goto error$
$!
$! Setup process
$!
$! Set process information
$  set process/priv=all/name="AUTOGEN Batch"
$! Keep log files to a reasonable amount
$  purge/keep=5 AGEN_Batch.log
$  time = f$time()                              ! Fetch current time
$  hour = f$integer(f$cvtime(time,,"hour"))     ! Get hour
$  today = f$cvtime(time,,"WEEKDAY")            ! Get Day of the week
$  if f$integer(f$cvtime(time,,"minute")) .ge. 30 then hour = hour + 1
$!
$! Start of working day...
$!
$ 1AM$:
$  if hour .le. 2
$     then
$     next_time = "today+0-14"
$     gosub submit$                             ! Resubmit yourself
$     set noon
$!

$!      Run AUTOGEN to TESTFILES using the parameter values collected earlier

$!      in the day (i.e., yesterday at 2:00pm)
$       if today .eqs. "Tuesday" .OR. today .eqs. "Thursday" .OR. -
           today .eqs. "Saturday"
$          then
$            @sys$update:autogen GETDATA TESTFILES feedback 【2】
$            mail/sub="AUTOGEN Feedback Report for system-name" -
                sys$system:agen$params.report system 【3】
$            ! Clean up
$            purge/keep=7 sys$system:agen$feedback.report 【4】
$            purge/keep=7 sys$system:agen$feedback.dat
$            purge/keep=7 sys$system:params.dat
$            purge/keep=7 sys$system:autogen.par
$            purge/keep=7 sys$system:setparams.dat
$            purge/keep=7 sys$system:agen$addhistory.tmp
$            purge/keep=7 sys$system:agen$addhistory.dat
$        endif
$     goto end$
$     endif
$!
$ 2PM$:
$  if hour .le. 15
$     then
$     next_time = "today+0-17"
$     gosub submit$
$     if today .eqs. "Monday" .OR. today .eqs. "Wednesday" .OR. -
         today .eqs. "Friday"
$        then
$          @sys$update:autogen SAVPARAMS SAVPARAMS feedback 【1】
$        endif
$     goto end$
$     endif
$!
$ 5PM$:
$  if hour .le. 18
$     then
$     next_time = "tomorrow+0-1"
$     gosub submit$
$     endif
$!
$! End of working day...
$!
$ END$:     ! ---------- BATCH.COM ----------
$  exit
$!++
$! Subroutines
$!--
$!
$ SUBMIT$:
$  submit/name="AGEN_Batch"/restart/noprint - 【5】
   /log=AGEN_batch.log -
   /queue=sys$batch/after="''next_time'" sys$system:AGEN_batch.com
$  return
$!++
$! Error handler
$!--
$ ERROR$:
$  mail/sub="AGEN_BATCH.COM - Procedure failed." _nl: system
$  goto end$

次に,このコマンド・プロシージャで実行されるタスクを説明します。

【1】
作業負荷がピークになる時間帯にAUTOGENの第1 段階を実行し,実際の作業負荷のデータを収集する。このコマンドは非常に高速なイメージを実行するため, システムの応答性を低下させることはない。
【2】
作業負荷が軽い時間帯にAUTOGENの第2段階を実行し, 第1段階で収集したデータを解釈する。
【3】
AGEN$PARAMS.REPORT という名前の結果のレポート・ファイルをSYSTEMアカウントにメールする。
【4】
作成したファイルを削除する。
【5】
コマンド・プロシージャを再びキューに登録する。

14.6.1 AUTOGENレポートを調べた後のパラメータ値の変更

第14.6節で説明したコマンド・ プロシージャのレポートにおいて,AUTOGEN の計算結果が現在値と異なっている場合には, 次に示すいずれかの方法で,AUTOGENの設定内容を修正してください。

14.7 SYSMANユーティリティによるシステム・ パラメータの管理


注意
システム・パラメータを変更する場合には, できるだけAUTOGENを使用してください。詳細は第14.5節を参照してください。 また, ノード・グループに関するシステム・パラメータを表示したり,パラメータを一時的に変更したい場合には,SYSMAN を使用してください。

システム管理ユーティリティ(SYSMAN)を使用すると,1つのシステムだけではなく, クラスタ全体,あるいはノードの任意のグループに対応するシステム・ パラメータを調べたり,変更することができます。SYSMANで利用できるPARAMETERS コマンドは,OpenVMSのシステム生成ユーティリティ(SYSGEN) のパラメータ設定機能を持っています。

次に,SYSMANユーティリティを使ってシステム・パラメータを管理できる作業を示します。

作業 参照箇所
パラメータ値の表示 第14.7.2 項
パラメータ・ファイル内の現在値の変更 第14.7.3 項
稼働中のシステムのアクティブ値の変更 [1] 第14.7.4 項

[1]ダイナミック・システム・パラメータだけに適用

表 14-3に,SYSMANが提供するコマンドと機能を示します。

表 14-3 SYSMAN PARAMETERSコマンド

コマンド 機能
PARAMETERS SHOW パラメータ値を表示する。
PARAMETERS USE パラメータのセットを, メモリまたはディスクから調査または変更のための一時作業領域に読み込む。 ファイル名,または追加パラメータACTIVE かCURRENTが必要。
PARAMETERS SET パラメータ値を変更する。変更内容は作業領域内でのみ有効。 変更内容をより永久的なものにするためには,PARAMETERS WRITEコマンドが必要。
PARAMETERS WRITE 作業領域の内容をメモリまたはディスクに書き込む。 ファイル名,または追加パラメータACTIVEかCURRENTが必要。

一時作業領域についての詳細は,第14.7.1項を参照してください。

14.7.1 パラメータ値とSYSMANについて

第14.1.1項で説明しているように, システム・ パラメータの値にはいくつかの種類があります。簡単にまとめると 現在値とは,ディスク上の省略時のパラメータ・ファイルに格納されている値のことです。 アクティブ値とは,メモリ内に格納され, システムの稼働中に使用される値のことです。これらの値のほかにも,SYSMAN はディスク上の独自の作業領域にパラメータ値を一時的に書き込みます。 この値を一時値と呼びます。図 14-2は, この3種類の値と,SYSMANコマンドがそれらの値にどう影響するかを示しています。 次に,図中の動作を説明します。

【1】
WRITE ACTIVEは,一時的パラメータ値をメモリに書き込む。
【2】
USE ACTIVEは,値をメモリから作業領域に読み込む。ユーザはここで値を変更することができる。
【3】
WRITE CURRENTは, 一時的パラメータ値をディスクに書き込む。書き込まれた値が現在の値となる。 次にシステムをブートしたとき,これらの値がアクティブになる。
【4】
USE CURRENTは,現在の値をディスクから作業領域に読み込む。 ユーザはここで値を変更することができる。

図 14-2 SYSMANパラメータの一時値,アクティブ値, 現在値

セッション中にパラメータ値を表示または変更する場合,通常のセッションでは次の手順に従ってください。

  1. USEコマンドを使って,パラメータの値をSYSMANの一時作業領域に読み込む。 アクティブ値を読み込むときにはUSE ACTIVEを,現在値を読み込むときにはUSE CURRENT をそれぞれ使用する。

  2. SHOWコマンドを使って,パラメータ値を表示する。

  3. SETコマンドを使って,パラメータ値を変更する。変更した値を有効にするには,WRITE コマンドを実行しなければならない。

  4. WRITEコマンドを使って,変更内容を有効にする。

システム・パラメータについての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

14.7.2 SYSMANによるパラメータ値の表示

SYSMANのPARAMETERS SHOWコマンドを使用すると,クラスタ内のすべてのノードのパラメータ値を表示することができます。

  1. パラメータに関する情報の表示方法を示す。/LGI修飾子を使用すると, すべてのログイン・セキュリティ制御パラメータを表示する。 その他にも,/ACP,/ALL,/SPECIALなどのパラメータを表示できる。 パラメータとパラメータ・カテゴリについては,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW/LGI
    
         Parameters in use: Active
         Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit  Dynamic
         --------------            -------    -------    -------  -------   ----  -------
         LGI_BRK_TERM                    0          1         0         1 Boolean    D
         LGI_BRK_DISUSER                 0          0         0         1 Boolean    D
         LGI_PWD_TMO                    30         30         0       255 Seconds    D
         LGI_RETRY_LIM                   3          3         0       255 Tries      D
         LGI_RETRY_TMO                  20         20         0       255 Seconds    D
         LGI_BRK_LIM                     5          5         0       255 Failures   D
         LGI_BRK_TMO                   300        300         0        -1 Seconds    D
         LGI_HID_TIM                   300        300         0        -1 Seconds    D
    

  2. 次の例では,SYSMANを起動し,NODE21およびNODE22から構成されるローカル・ クラスタを環境として指定する。また,ユーザ,ターミナル, ノードのログインを試みる時間(秒数)を制御するLGI_BRK_TMO パラメータのアクティブ値を表示する。この例では,アクティブ値は600 である。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
         %SYSMAN-I-ENV, Current command environment:
            Clusterwide on local cluster
            Username MORIN    will be used on nonlocal nodes
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO
    
         Node NODE21:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
    
         Node NODE22:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
    

14.7.3 SYSMANによるパラメータ・ファイルの変更

SYSMANのPARAMETERS WRITEコマンドを使用すると,システム・パラメータ値およびシステム固有のスタートアップ・ コマンド・プロシージャを,ユーザが選択したパラメータ・ ファイル,ディスク上の現在のシステム・パラメータ・ ファイルに書き込むことができます。

DCLのSET MESSAGEコマンドを使ってシステム・メッセージの形式を変更していない限り,PARAMETERS WRITE CURRENT コマンドを実行すると,メッセージがOPCOM に送信され,イベントが記録されます。


注意
PARAMETERS WRITE CURRENTコマンドを実行すると, 現在操作している値だけではなく,パラメータのすべてのアクティブ値または現在値がディスクに書き込まれます。

  1. 新しいパラメータ指定ファイルを作成する。
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE SYS$SYSTEM:NEWPARAM
    

  2. PARAMETERS SETコマンドに続けてPARAMETERS WRITEコマンドを実行すると, ディスク上の現在のパラメータ・ファイルが変更される。
         SYSMAN> PARAMETERS SET LGI_BRK_TMO 300
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
    

14.7.4 SYSMANによるアクティブ値の変更

SYSMANのPARAMETERS SETコマンド,PARAMETERS WRITEコマンド,およびPARAMETERS USE コマンドを使用すると,アクティブ・パラメータ値を変更できます。

アクティブ値を変更するとメモリ上の値が変更されるため,ただちにダイナミック・ パラメータに影響します。ダイナミック・パラメータについての詳細は, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。 また,SYSMANのPARAMETERS SHOW/DYNAMICコマンドを使っても調べることができます。 ダイナミック・パラメータ以外のパラメータ値は,システムの稼働中には変更できません。

アクティブ値を変更しても,ディスク上のシステム・パラメータ・ファイルには影響はありません。 次回のシステム・ブート時には,以前の現在値がアクティブ値として使用されるためです。

新しいアクティブ・パラメータ値を設定し,その値を以降のブート操作で使用する場合には,PARAMETERS WRITE CURRENT コマンドを使って,新しい値を現在のパラメータ・ ファイルに書き込みます。次の例を参照してください。


重要
SYSMANによって変更されたパラメータ値は,AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。SYSMAN で行った変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに新しいパラメータ値を指定する必要があります。 手順については,第14.5.1項を参照してください。

  1. LGI_BRK_TMOの値を作業領域で300に変更し,それをアクティブ値としてメモリに書き込んだ後, アクティブ値を表示する。
         SYSMAN> PARAMETERS SET LGI_BRK_TMO 300
    
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE ACTIVE
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO
    
         Node NODE21:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                300       300         0         -1 Seconds     D
    
         Node NODE22:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                300       300         0         -1 Seconds     D
    

  2. LGI_BRK_TMOに含まれている現在のパラメータ値をディスクから作業領域に呼び出した後,LGI_BRK_TMO を表示する。この例では,ディスク上の現在値は600 である。
         SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO
    
         Node NODE21:   Parameters in use: CURRENT
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
    
         Node NODE22:   Parameters in use: CURRENT
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
    

  3. LGI_BRK_TMOの値(600)を作業領域からメモリに書き込む。書き込まれた値は, 稼働中のシステムのアクティブ値となる。PARAMETER WRITE ACTIVEコマンドにより,LGI_BRK_TMOだけではなく,すべてのパラメータ値が作業領域からメモリに書き込まれる点に注意。
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE ACTIVE
    
         SYSMAN> PARAMETERS USE ACTIVE
    
         SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO
    
         Node NODE21:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
    
         Node NODE22:   Parameters in use: ACTIVE
         Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic
         --------------         -------   -------   -------    ------- ----  -------
         LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
    

14.8 SYSGENユーティリティによるシステム・ パラメータの管理


注意
システム・パラメータを変更する場合には, できるだけAUTOGENを使用してください(詳細は第14.5節を参照)。 何らかの理由でAUTOGEN を使用できない場合には,SYSMANユーティリティを使用してください( 詳細は第14.7節を参照)。

次に,SYSGENユーティリティを使ってシステム・パラメータを管理できる作業を示します。 ただし,この方法はなくべく使用しないでください。

作業 参照箇所
パラメータ値の表示 第14.8.2 項
省略時のパラメータ・ファイル内の現在値の変更 第14.8.3 項
稼働中のシステムのアクティブ値の変更 [1] 第14.8.4 項
新しいパラメータ・ファイルの作成 第14.8.5 項

[1]ダイナミック・システム・パラメータのみ。

SYSGENでシステム・パラメータを管理するときに使用するコマンドを,表 14-4 に示します。SYSGENコマンドについての詳細は, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のSYSGENの節を参照してください。

表 14-4 システム・パラメータとともに使用されるSYSGEN コマンド

コマンド 機能
SHOW パラメータ値を表示する。
USE メモリまたはディスクから,調査または変更のために一時作業領域に値を読み込む。
SET パラメータ値を変更する。変更内容は作業領域のみで有効。 変更内容をより永久的なものにするためには,WRITEコマンドが必要。
WRITE 作業領域の内容をメモリまたはディスクに書き込む。

一時作業領域についての詳細は,第14.8.1 項を参照してください。

14.8.1 パラメータ値とSYSGENについて

第14.1.1項で説明しているように, システム・ パラメータの値にはいくつかの種類があります。簡単にまとめると, 現在値とは,ディスク上の省略時のパラメータ・ ファイルに格納されている値のことです。アクティブ値とは, メモリ内に格納され,システムの稼働中に使用される値のことです。 これらの値のほかにも,SYSGENはディスク上の独自の作業領域にパラメータ値を一時的に書き込みます。 この値を一時値と呼びます。図 14-3 は,この3種類の値と,SYSGENコマンドがそれらの値にどう影響するかを示しています。

図 14-3 SYSGENパラメータの一時値,アクティブ値, 現在値

パラメータ値を表示または変更する場合,通常のセッションでは次の手順に従います。

  1. USEコマンドを使って,パラメータの値をSYSGENの一時作業領域に読み込む。 アクティブ値を読み込むときはUSE ACTIVE,現在値を読み込むときはUSE CURRENT をそれぞれ使用する。

  2. SHOWコマンドを使って,パラメータ値を表示する。

  3. SETコマンドを使って,パラメータ値を変更する。ただし,SET コマンドは,SYSGENの一時作業領域の値を変更するだけである。

  4. WRITEコマンドを使って変更内容を有効にする。

システム・パラメータについての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

14.8.2 SYSGENによるパラメータ値の表示

システム・パラメータの値を表示するときには,次の手順に従います。

  1. 次のコマンドを入力してSYSGENを起動する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
    

  2. 次のUSEコマンドを使って,表示する値を指定する。

    表示対象 入力するコマンド
    アクティブ値 USE ACTIVE
    現在値 USE CURRENT
    他のパラメータ・ファイルの値 USEファイル指定
    ファイル指定には,表示したい値が含まれているパラメータ・ ファイルの名前を指定する。たとえば,USE SYS$SYSTEM:ALTPARAMS.DAT。

  3. SHOWコマンドを次の形式で入力する。

    SHOW [/修飾子] [パラメータ名]

    特定のタイプのパラメータを表示する場合には,修飾子を指定する。 例を示す。

    表示対象となるグループ 入力するコマンド
    WSMAXパラメータ SHOW WSMAX
    すべてのダイナミック・ パラメータ SHOW/DYNAMIC
    TTYカテゴリのすべてのパラメータ SHOW/TTY
    すべてのパラメータ SHOW/ALL

SYSGEN SHOWコマンドと修飾子についての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のSYSGENの節を参照してください。

ここでは,SYSGENを使ってすべてのTTYシステム・パラメータの現在値を表示します。

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
     SYSGEN> USE CURRENT
     SYSGEN> SHOW/TTY
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
SYSGEN> USE CURRENT
SYSGEN> SHOW/TTY
Parameters in use: Current【1】
Parameter Name            Current    Default       Min.      Max. Unit       Dynamic
--------------            -------    -------    -------  -------  ----       -------
【2】                      【3】      【4】      【5】       【6】 【7】
TTY_SCANDELTA            10000000   10000000    100000        -1  100Ns
TTY_DIALTYPE                    0          0         0       255  Bit-Encode
TTY_SPEED                      15         15         1        16  Special
TTY_RSPEED                      0          0         0        16  Special
TTY_PARITY                     24         24         0       255  Special
TTY_BUF                        80         80         0     65535  Characters
TTY_DEFCHAR             402657952  402657952         0        -1  Bit-Encode
TTY_DEFCHAR2               135178       4098         0        -1  Bit-Encode
TTY_TYPAHDSZ                   78         78         0        -1  Bytes
TTY_ALTYPAHD                 2048        200         0     32767  Bytes
TTY_ALTALARM                  750         64         0        -1  Bytes
TTY_DMASIZE                    64         64         0        -1  Bytes       D 【8】
TTY_CLASSNAME               "TTY"      "TTY"      "AA"      "ZZ"  Ascii
TTY_SILOTIME                    8          8         0       255  Ms
TTY_TIMEOUT                  3600        900         0        -1  Seconds    D
TTY_AUTOCHAR                    7          7         0       255  Character  D
SYSGEN>

SYSGENは,次の情報を表示します。

【1】
使用中の値(この例では, 現在値)
【2】
システム・パラメータの名前
【3】
要求された値( この例では,現在値)

このカラムの見出しは,パラメータの現在値を表示する場合にも, アクティブ値を表示する場合にも,常に"Current"である。この場合の"Current" は,USEコマンドで指定される,このパラメータの現在使用されている値を指すのであって,WRITE CURRENT コマンドによってディスクに格納されたパラメータの現在値を指すのではない。

【4】
省略時の値
【5】
最小値
【6】
最大値
【7】
割り当て単位
【8】
そのシステム・パラメータがダイナミックのときは"D"

14.8.3 SYSGENによるシステム・ パラメータ・ ファイルの変更


重要
システム生成ユーティリティ(SYSGEN) を使って変更されたパラメータ値は,AUTOGENコマンド・プロシージャによって上書きされます。SYSGEN による変更内容を保持するには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATファイルで新しいパラメータ値を指定する必要があります( 第14.5.1項を参照)。


注意
システム・パラメータの変更はSYSGEN を使ってもできます。ただしシステム・パラメータ値を変更する場合にはできるだけAUTOGEN を使ってください。詳細は第14.5節を参照してください。

AUTOGENを使用できない場合には,システム管理ユーティリティ(SYSMAN) を使用してください。詳細は第14.7節を参照してください。


省略時のシステム・パラメータ・ファイルの現在値の変更は,実行中のシステムのアクティブ値には, すぐには反映されません。次回のシステム・ ブート時に,新しい値で初期化されます。

VAXシステム・パラメータ・ファイルのTTY_TIMEOUTパラメータの値を変更します。

     $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
     $ RUN SYSGEN
     SYSGEN> USE CURRENT
     SYSGEN> SET TTY_TIMEOUT 3600
     SYSGEN> WRITE CURRENT
     %OPCOM, 15-APR-1998 16:04:06.30, message from user SYSTEM
     %SYSGEN-I-WRITECUR, CURRENT system parameters modified by process
     ID 00160030 into file VAXVMSSYS.PAR
     SYSGEN> EXIT

14.8.4 SYSGENによるアクティブ値の変更


重要
SYSGENによって変更されたパラメータ値は,AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。SYSGEN による変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATファイルで新しいパラメータ値を指定する必要があります( 第14.5.1項を参照)。


注意
システム・パラメータの変更はSYSGEN を使ってもできます。しかし,システム・パラメータ値を変更する場合にはできるだけAUTOGEN を使ってください。詳細は第14.7節を参照。

アクティブ値を変更すると,ダイナミック・パラメータにすぐに影響を与え, メモリ内にある値が変更されます。ダイナミック・パラメータについての詳細は, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。 また,SYSGENのSHOW/DYNAMICコマンドを使ってもダイナミック・パラメータであるか調べることができます。 ダイナミック・パラメータ以外の値をシステムの稼働中に変更することはできません。

アクティブ値を変更しても,ディスク上のシステム・パラメータの現在値には影響を与えません。 次回のシステム・ブート時に,それまでの現在値がアクティブ値として設定されます。

パラメータの新しいアクティブ値を設定し(WRITE ACTIVEと入力) ,以降のブート時に新しい値を使用する場合には,第14.8.3項で説明しているように,WRITE CURRENT コマンドを使用して,ディスク上の現在のパラメータ・ ファイルに新しい値を書き込む必要があります。また,パラメータがダイナミック・ パラメータでない場合には,WRITE CURRENTコマンドを入力して, システムを再ブートする必要があります。

SYSGENを使ってアクティブ・パラメータを変更すると,DCLのSET MESSAGE コマンドを使ってシステム・メッセージの形式を変更していない限り,オペレータ通信マネージャ(OPCOM) により,そのメッセージがオペレータ・ ログとオペレータ・コンソールに書き込まれます。

  1. PFCDEFAULTパラメータのアクティブ値を変更する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN SYSGEN
         SYSGEN> SET PFCDEFAULT 127
         SYSGEN> WRITE ACTIVE
         %OPCOM, 15-APR-1998 16:04:06.30, message from user SYSTEM
         %SYSGEN-I-WRITEACT, ACTIVE system parameters modified by process
         ID 00160030
         SYSGEN> EXIT
    

  2. PFCDEFAULTパラメータのアクティブ値を変更し,同時にOpenVMS Alpha システム・パラメータ・ファイルに書き込む。このファイルは, システムの再ブート時に使用される。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN SYSGEN
         SYSGEN> SET PFCDEFAULT 127
         SYSGEN> WRITE ACTIVE
         %OPCOM, 15-APR-1998 16:04:06.30, message from user SYSTEM
         %SYSGEN-I-WRITEACT, ACTIVE system parameters modified by process
         ID 00160030
         SYSGEN> WRITE CURRENT
         %OPCOM, 15-APR-1998 16:04:06.30, message from user SYSTEM
         %SYSGEN-I-WRITECUR, CURRENT system parameters modified by process
         ID 00160030 into file ALPHAVMSSYS.PAR
         SYSGEN> EXIT
    

14.8.5 SYSGENによる新規パラメータ・ ファイルの作成

パラメータ・ファイルを新しく作成しても,稼働中のシステムには影響を与えません。 しかし,それ以降の会話型ブート操作で,アクティブなシステムを新しいファイルの値で初期化することができます。

パラメータ・ファイルの作成方法

  1. 次のコマンドを入力してSYSGENを起動する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN SYSGEN
    

  2. 次の形式のコマンドを入力して,パラメータ・ファイルをSYSGEN の一時作業領域にコピーする。

    USE ファイル指定

    ファイル指定には,ベースとなる既存のパラメータ・ファイルを指定する。 このファイルの値を変更して,新しいパラメータ・ファイルを作成できる。

  3. 次の形式のコマンドを入力して,必要に応じて値を変更する。

    SET パラメータ名 値

    パラメータ名には,値を変更するパラメータの名前を指定する。値には, そのパラメータの新しい値を指定する。

  4. 次の形式のコマンドを指定して,値を新しいパラメータ・ファイルに書き込む。

    WRITE ファイル指定

    ファイル指定には,作成するパラメータ・ファイルの名前を指定する。

  5. SYSGENを終了する。


重要
SYSGENユーティリティを使って変更したパラメータ値は,AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。SYSGEN による変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATファイルに新しいパラメータ値を指定する必要があります( 第14.5.1項を参照)。

  1. パラメータ・ファイルPARAMS.PARのTTY_TIMEOUTパラメータの値を変更して, ファイルを更新する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN SYSGEN
         SYSGEN> USE SYS$MANAGER:PARAMS.PAR
         SYSGEN> SET TTY_TIMEOUT 3600
         SYSGEN> WRITE SYS$MANAGER:PARAMS.PAR
         SYSGEN> EXIT
    

  2. PARAMS.PARファイルをベースにしてSYS$SYSTEM:OURSITE.PARという名前のファイルを作成する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN SYSGEN
         SYSGEN> USE SYS$MANAGER:PARAMS.PAR
         SYSGEN> SET TTY_TIMEOUT 1000
         SYSGEN> WRITE OURSITE.PAR
         SYSGEN> EXIT
    

14.9 会話型ブートによるシステム・パラメータの変更


注意
システム・パラメータの変更は会話型ブートで行うこともできます。 しかし,システム・パラメータを変更する場合にはできるだけAUTOGEN またはSYSMANユーティリティを使用してください。 詳細は,第14.5 節および第14.7節を参照してください。

会話型ブートを使用するのは,他に影響を与えないシステム・ パラメータを一時的に変更する場合か,緊急の場合だけに限定してください。 たとえば,システムのアップグレード時などに,会話型ブートを使用して, 簡易スタートアップを使用するようにSTARTUP_P1を変更します。

値を変更し,変更した値をAUTOGENパラメータ・ファイルMODPARAMS.DAT に追加しない場合,AUTOGENの次回の実行時にその値は上書きされるということを覚えておいてください。


会話型ブート操作によって,システム・ブートの前にアクティブ・パラメータを変更できます。 次の方法があります。

作業内容 参照箇所
個々のパラメータのアクティブ値を変更する。 第4.2.1項
省略時のパラメータ・ ファイル以外のパラメータ・ファイルの値を使って, アクティブ値を初期化する。 第4.2.2項
省略時の値を使ってアクティブ値を初期化しなおす。 第4.4.1 項

会話型ブートの最後に,省略時のパラメータ・ファイルが変更され,各パラメータの新しいアクティブ値が格納されます。


重要
会話型ブートによって変更されたパラメータ値は,AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。 会話型ブートによる変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATファイルに新しいパラメータ値を指定する必要があります( 第14.5.1項を参照)。


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