日本語Compaq DECprint Supervisor for OpenVMS
ユーザーズ・ガイド


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6.5 PostScript オペレータを使用したトレイの変換

DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアでは,ANSIファイル内でプリンタの給紙トレイを選択するエスケープ・シーケンスが使用できます。

DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアは,ANSIファイル内のプリンタ給紙トレイを選択するエスケープ・シーケンスを識別します。使用しているプリンタに存在しない給紙トレイを選択するように設定された日本語テキスト・ファイルを印刷する場合には,そのプリント・ジョブは実行できず,次のエラー・メッセージが表示されます。


%DCPS-W-RANGECHK, rangecheck: Argument out of bounds - 
offending command is setpapertray. 

この場合には,PostScript セットアップ・モジュールを作成して,それをプリント・ジョブとともにキューに登録し,給紙トレイの設定を再定義してください。たとえば,次のような PostScript セットアップ・モジュールを作成します。


/settoptray {statusdict begin 2 setpapertray end} def 
 
/setbottomtray {statusdict begin 1 setpapertray end} def 

この例では,上段給紙トレイ(settoptray)の代わりにプリンタのトレイ2を選択し,下段給紙トレイ(setbottomtray)の代わりにトレイ1を選択しています。 PostScript セットアップ・モジュールを作成するときに,日本語テキスト・ファイルで指定されている給紙トレイに対応するオペレータを 表 6-2 から選択し,そのオペレータを使用してください。また,プリンタの給紙トレイに対応する setpapertray 引数の値を選択してください。プリンタでサポートされる給紙トレイ番号については,プリンタのオーナーズ・マニュアルを参照してください。

PRINTコマンドを使用してANSIファイルとともにセットアップ・モジュールをジョブに指定します。たとえば,OVERHEAD.TXTというファイルを印刷するためにTRAYDEF.PS というセットアップ・モジュールを使用するには,次のコマンドを入力します。


$ PRINT /NOTIFY /SETUP=TRAYDEF OVERHEAD.TXT

ANSI給紙トレイ選択シーケンス,および対応する PostScript オペレータについては, 表 6-2 を参照してください。 setpapertrayの省略時の値は,他の値が定義されていないときにトランスレータで使用される値です。セットアップ・モジュールに別の値を指定した場合には,その値の方が省略時の値より優先します。

表 6-2 給紙トレイの変換用のオペレータ
ANSIシーケンス ユーザ定義オペレータ setpapertrayの省略時の値
CSI ! v [なし] [なし]
CSI 0 ! v [なし] [なし]
CSI 1 ! v settoptray 1
CSI 2 ! v setbottomtray 2
CSI 3 ! v setlcittray 3
CSI 4 ! v setmanualfeedtray 0
CSI 99 ! v setmanualfeedtray 0

6.6 ANSI シーケンスを使用した両面あるいは片面印刷

片面あるいは両面印刷を行うには,ファイルに ANSI エスケープ・シーケンスを追加します。 ANSI 両面印刷シーケンスは, 表 6-3 に示すとおりです。エスケープ・シーケンスをANSIファイルに追加する場合には,この表の sp をスペース・コード(10進数の32)に置き換えてください。

表 6-3 片面あるいは両面印刷用の ANSI シーケンス
ANSIシーケンス 両面印刷
CSI 0 sp x true simplex normal
CSI 1 sp x true simplex normal
CSI 2 sp x true simplex tumbled
CSI 3 sp x true duplex normal
CSI 4 sp x true duplex tumbled
CSI 5 sp x duplex master normal
CSI 6 sp x duplex master tumbled
CSI 7 sp x simplex compressed normal
CSI 8 sp x compressed tumbled


第 7 章
Imageインタプリタの使用によるDDIFイメージ・ファイルの印刷

DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアは,これまで使用されていた DEC Image Print-PLUS Client Servicesに代わる製品であり 1 ,Imageインタプリタを使用して,PrintServer 17,PrintServer 20, PrintServer 32 プリンタで DDIF 2値イメージ・ファイルを高速で印刷できるようになりました。

注意

PostScript レベル2インタプリタが存在する場合には,Imageインタプリタは使用されません。

ただし,プリント・ジョブに次のいずれかのパラメータが含まれている場合には,文書を印刷するためにImageインタプリタは使用されません。


/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION 
/PARAMETERS=NUMBER_UP 

この場合,パラメータ値によって指定された機能を提供できるように,ファイルが PostScript に変換されます。

注意

1 DECprint Supervisor for OpenVMS 製品は,以前にインストールされている DEC Image Print-PLUS Client Servicesのすべてのバージョンと互換性がありません。

7.1 イメージ印刷の改善

標準的なネットワーク環境では,次の 2 つの理由により,イメージの印刷にかなり時間がかかります。

  1. 標準環境では PrintServer が PostScript ファイルしか取り扱わないため,ユーザのノードでファイルを PostScript 形式に変換した後, PrintServer で PostScript インタプリタ・ソフトウェアによって処理しなければなりません。

  2. PostScript レベル1 言語のイメージ・ファイルが大きいため,ネットワークを介してプリンタに送信するのに時間がかかります。

DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアでは,次の理由により,イメージ印刷がこれまでより高速になります。

7.2 イメージ・ファイルの印刷例

次のPRINTコマンドを使用すると,イメージ・ファイルはプリンタに直接送信されます。


$ PRINT/QUEUE=queue/NOTIFY file.DDIF

次のPRINTコマンドでは,イメージ・ファイルは PostScript に変換されて印刷されます。


$ PRINT/QUEUE=queue/NOTIFY/PARAMETERS=NUMBER_UP=1 file.DDIF


第 8 章
PCLファイルの印刷

注意

日本語 PCL はサポートされていません。

8.1 PCL ファイルの印刷方法

PCL ファイルは次のいずれかの方法で印刷されます。

  1. PCL トランスレータ
    DCPS には,PCL4 データを含むファイルのトランスレータが含まれており,弊社の PostScript プリンタは Hewlett-Packard LaserJet IID プリンタをエミュレートすることができます。 DCPS は,PCL5,PCL6,HPGL プリンティング言語は変換しません。 DECprint Supervisor ソフトウェアがPCLファイルを自動的に検出しない場合には, DATA_TYPEパラメータを使用してデータ・タイプを明示的に指定することができます。次の例を参照してください。


    $ PRINT /PARAMETERS=DATA_TYPE=PCL MYFILE.PRN
    

  2. ネイティブ PCL モード
    一部の PostScript プリンタにはPCLモードがあり, DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアはこのモードを使用することができます。プリンタがPCLモードをサポートしていて,ユーザがファイルの PostScript への変換を要求するパラメータを指定しない場合,ジョブは自動的に PCL モードで印刷されます。これをネイティブ PCL モードと呼びます。
    プリンタがネイティブ PCL5 をサポートしていて, HPGL ファイルが適切な PCL5 エスケープ・シーケンスで囲まれている場合は,その HPGL ファイルをプリンタに送信することができます。

図 8-1 に, DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアが PCL ファイルを処理する方法を示しています。

図 8-1 DCPS の PCL ファイルの処理方法


8.2 ネイティブ PCL モードでのファイルの処理

プリンタ固有の機能を犠牲にすることなく,プリンタでネイティブPCLモードを利用するために, DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアは次のような動作をします。

  1. プリント・ジョブに関する初期情報 (ジョブおよびファイル・フラグ・ページを含む) を PostScript モードで印刷します。

  2. プリンタをPCLモードに変更する制御シーケンスをプリンタに送信します。

  3. PCLファイルをプリンタに直接送信し,そのファイルを印刷します。

  4. プリンタを PostScript モードに戻し,トレーラ・ページを印刷します。

プリント・ジョブに PostScript セットアップ・モジュールと PCLセットアップ・モジュールの両方を含めることができますが,その効果は変換されたプリント・ジョブに応じて異なります。 PostScript セットアップ・モジュールの大部分の設定は PCL印刷に影響を与えません。 PCLセットアッブ・モジュールの設定は,それがプリント・ジョブ・ファイルに含まれているかのように,出力に影響します。

セットアップ・モジュールは/SETUPを使用して明示的に起動することができます。また,/FORMやキューの省略時の設定を使用することにより,暗黙のうちに起動することもできます。

8.2.1 ネイティブ PCL の使用を禁止する PRINT パラメータ

ネイティブ PCL モードでサポートされるプリンタに PCL ファイルを印刷する場合は,プリント・ジョブで特殊な PostScript 処理を要求しないかぎり,ファイルはプリンタに直接送信されます。プリント・ジョブに次の PRINT パラメータの1つあるいは複数が含まれている場合は, PCL ファイルをネイティブ PCL モードのプリンタに直接印刷することはできません。

/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION
/PARAMETERS=NUMBER_UP
/PARAMETERS=SHEET_COUNT(1 よりも大きな値)
/PARAMETERS=PAGE_LIMIT(開始ページが 1 よりも大きな場合,あるいは最終ページを指定した場合)

8.3 PCL トランスレータを使用したファイルの処理

次の方法を使用すると, Hewlett-Packard LaserJet プリンタのフロント・パネルの設定をエミュレートすることができます。

8.3.1 PRINT パラメータを使用した PCL プリント・ジョブの変更

表 8-1 に,PCL プリント・ジョブを変更するために使用することができる PRINT パラメータを示します。

表 8-1 PCLフロント・パネル設定をエミュレートするPRINTパラメータ
LaserJet IIDフロント・
パネル選択
PRINTパラメータ 参照項目
#copies /PARAMETERS=SHEET_COUNT 第 1.5 節
duplex /PARAMETERS=SIDES 1 第 1.3 節
orientation /PARAMETERS=PAGE_ORIENTATION 1 第 1.4 節
tray selection /PARAMETERS=INPUT_TRAY 第 3.1 節
paper size /PARAMETERS=SHEET_SIZE 第 11.4 節
manual feed /PARAMETERS=INPUT_TRAY 第 3.1 節


1 データ・ファイルに記述されている命令は,この PRINT パラメータを無効とすることができます。

8.3.1.1 PAGE_SIZE パラメータの使用

ページ・サイズは, /PARAMETERS=PAGE_SIZEパラメータを使用して選択することができます。 PCLファイルに対しては次のページ・サイズがサポートされます。

7_envelope あるいは Monarch
A4
A3
Business_envelope あるいは COM10
C5_envelope
DL_envelope
Executive
Letter (A)
Legal
Ledger (B)

上記以外のページ・サイズを指定した場合には, PCLトランスレータはサポートするサイズのうち,指定されたサイズに最も近いサイズを選択します。

注意

PCL ファイル内のページ・サイズ・コマンドは, PRINT パラメータに指定したページ・サイズよりも優先されます。変換されるファイルに適用される PostScript セットアップ・モジュールを作成し,ページ・サイズ・オペレータを再定義することで,印刷時にそのオペレータを無効とすることができます。セットアップ・モジュールの作成についての詳細は, 第 8.3.3 項 を参照してください。

8.3.1.2 ネイティブ PCL で無視される PRINT パラメータ

サポートされるプリンタのネイティブ PCL 機能を使用して PCL ファイルを印刷する場合, DCPS は次の PRINT パラメータを無効とします。

INPUT_TRAY
OUTPUT_TRAY
PAGE_ORIENTATION
PAGE_SIZE
SHEET_SIZE
SIDES

この場合,プリンタの省略時の設定が有効となります。出力するファイルあるいはセットアップ・モジュールに適切な PCL エスケープ・シーケンスを挿入することにより, PCL プリンタのトレイ選択を操作することができます。

あるいは,ホスト上で PostScript に強制的に変換することにより,上記のパラメータがジョブに有効となるようにすることができます。強制的に変換するには,PAGE_LIMIT あるいは NUMBER_UP などの変換を強制的に行う DCPS 機能を使用します。

8.3.2 エスケープ・シーケンスを使用した PCL プリント・ジョブの変更

フロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスの形式は次のとおりです。

エスケープ・シーケンスの形式:


ESC     !     `     value     P 

10進数の値:


027     033   096             080 

注意

この形式では,わかりやすくするためにコマンドの要素間にスペースを表示しています。しかし,実際のコマンドにはスペースを入力しないでください。

フロント・パネル設定は,次の操作で指定します。

  1. value を1に設定してフロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスを指定することにより,フロント・パネル・モードを有効に設定します。

  2. プリント属性を設定するためにPCLエスケープ・シーケンスを入力します。

  3. value を0に設定してフロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスを指定することにより,フロント・パネル・モードを無効に設定します。

フロント・パネル・モードはPCLリセット・エスケープ・シーケンス(ESC E)によって禁止することもできます。

PCL エスケープ・シーケンスを指定して,次のプリント属性を設定することができます。

PCLエスケープ・シーケンスを使用すれば,主フォントと副フォントの両方を指定することができます。省略時のフォントを選択するためのフロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスに両方のフォント・タイプのエスケープ・シーケンスを指定することができます。

たとえば,ピッチを16.66文字/インチ(cpi)に設定し,シンボル・セットを ISO 17 Spanishに設定するPCLエスケープ・シーケンスを有効にするためのフロント・パネル・モード・コマンド形式は次のとおりです。


ESC ! ` 1 P ESC (s16.66H ESC (2S ESC ! ` 0 P 

注意

この形式では,わかりやすくするためにコマンドの要素間にスペースを表示しています。しかし,実際のコマンドにはスペースを入力しないでください。

このコマンドには次のエスケープ・シーケンスが含まれています。


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