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V1.2--6
日本語DECwindows Motif V1.2-6 のキットは,従来のセーブセット形式から,標準版Compaq OpenVMS Alpha の POLYCENTER ソフトウェア・インストレーション・ユーティリティ(PCSI)形式のキットへ移行しました。これにより,より迅速かつ分かり易いインストール環境を提供します。
6.2.2 既知の問題点の解決
V1.2--6
日本語DECwindows Motif V1.2-6 では,次の問題点が解決されています。
DECW$SYSTEM_DEFAULTS_JA_JP:DECW$TERMINAL.DAT |
6.3 日本語 DECwindows Motif V1.2--5A の新機能
6.3.1 日本語ファイル名サポート
V1.2--5A
日本語 DECwindows Motif V1.2--5A では,日本語 OpenVMS V7.2 から提供されている日本語ファイル名サポート機能を使用することによって日本語ファイル名を使用することができます。
以下のアプリケーションで日本語ファイル名を使用することができます。
日本語 Motif V1.2--5A では,ODS--5 ディスク上で最長 40 文字の日本語ファイル名を使用することができます。日本語ファイル名の使用できる長さは,ファイルが存在するディレクトリの長さにも依存します。制限を超えた場合,ファイル名はファイル ID,ディレクトリ ID 形式に変換されます。
日本語ファイル名として使用できる文字は, ASCII 文字,JIS X0208--1983 漢字です。半角カナは使用することができません。半角カナを使用した場合,予期せぬ結果が生じる場合があります。 |
日本語 Motif V1.2--5A の日本語ファイル名サポート機能は,日本語 OpenVMS V7.2 以降で提供されている機能を使用しています。したがって,日本語 OpenVMS V7.2 より前の OS 上にインストールされた場合,日本語 Motif 1.2--5A のアプリケーションで日本語ファイル名を使用することはできません。
アプリケーションから RMS を使用してファイルの読み込みあるいは書き込みを行う場合, SDECKANJI コードでファイル名の指定あるいは取得を行うことができます。ウィンドウ・アプリケーションのファイル・セレクション等で,日本語ファイル名を使用することができます。
使用する場合は以下の論理名定義を行います.
$ DEFINE /SYSTEM JDECW$RMS_ENCODING SDECKANJI |
また,使用を中止する場合は以下の論理名定義を行います。
$ DEFINE /SYSTEM JDECW$RMS_ENCODING DEFAULT あるいは $ DEASSIGN /SYSTEM JDECW$RMS_ENCODING |
この節では,日本語機能の制限事項について説明します。
6.4.1 ノートパッド
V1.3
ノートパッドには以下の制限事項があります。
V1.3
低解像度のディスプレイを使用している場合,大きいフォントを設定するとセキュリティのアイコンが消えてしまうことがあります。
セキュリティの設定を行う場合は,一旦小さいフォントを設定しアイコンを表示させてください。
6.4.3 セッション・マネージャ
V1.3
DEC 漢字 2000ロケールを選択した場合,以下のメニューを選択して表示されるダイアログ・ボックス内の選択リストの項目が正しく表示されません。
この場合,一旦他の日本語ロケールでログインし,これらの項目を設定してください。
6.4.4 CSTextウィジェット
V1.3
CSTextウィジェットに値を設定 (SetValue) すると,メモリ・リークが発生することがあります。
この問題は将来のリリースで解決される予定です。
6.4.5 CSWB (Compaq Secure Web Browser)の日本語入力サポート
V1.3
CSWB の日本語入力には以下の制限事項があります。
6.4.6 日本語EVEのDECwindowsインタフェース
V1.3
日本語EVEのDECwindowsインタフェースを使用する際には以下の点に注意してください。
V1.2--5A
$ mcr jsy$control set rms /filename=sdeckanji $ edit /xtpu /interface=decwindows <filename> |
本リリース・ノートは,OSF/Motif Release Note for Release 1.2 の第3章を基にしており,OSF/Motif アプリケーションを開発するプログラマ向けのその他いくつかの注意事項も記載しています。注意事項の大部分はOSF/Motif リリース 1.2への変更についての説明です。最初の2つの注意事項では,性能向上と上位の互換性について説明します。
本リリース・ノートは,日本語 HP DECwindows Motif for HP OpenVMS Alpha 製品で現在提供されている OSF/Motif ソフトウェアに対応しています。
A.1 性能向上
Open Software Foundation社の目標は,OSF/Motif リリース 1.2の性能を可能な限り向上させ,性能を最低でもOSF/Motif リリース 1.1以下にはさせないことです。
性能テストが以下の3つの分野で行なわれました。
ダイアログ・ボックスやポップアップ・メニューの表示や消去のような,ユーザがすぐ気付くイベントの性能は,OSF/Motif リリース 1.1.4の性能と匹敵するかあるいはそれ以上になっています。大量のテストを行なった結果,スクロール・テキスト領域内のスクロールが大幅に改善されています。
データ・スペースの使用量については,OSF/Motif ツールキット全体を通じて,特にテキスト・ウィジェットで改善されています。一部のケースでは,データ・スペース使用量は40%も節減されています。またテキスト・ウィジェットでテキストに使われるメモリは,テキストがより少量のテキストに置き換えられたときは,正しく減らされるようになりました。
メモリ・リークは,ツールキット全部のウィジェットで生成と破壊を複数回行なっても,最低限に抑えられるようになりました。Motifテストでは,わずかなメモリ・リークがありましたが,OSFでは,この程度の量のメモリは起動オーバーヘッドの一部として必要なもので,本当のメモリ・リークではないと考えています。
しかしOSFでは実際に若干のメモリ・リークを発見しており,将来のリリースでは修正する予定です。例えば,File Selection Box,Command,Drawn Buttonの3つのウィジェットに,約500 バイトのメモリ・リークがあります。
A.2 下位の互換性
OSFでは,OSF/Motif リリース 1.2のリンク時間の互換性,表示と動作の面での互換性についてテストしました。
A.2.1 表示と動作の面での互換性
OSFでは,自動化されたテストを行って,現在の表示とOSF/Motif リリース 1.1.4 ライブラリを使用して記録されたものとを比較しました。リリース 1.2とリリース 1.1.4 バージョンとの間の違いが解明されてから,表示はリリース 1.2 表示を使用して記録され, この新しく記録された表示がその後のテストで使用されました。
OSF の見解では Motif リリース 1.2 は,表示的にも動作的にもリリース 1.1.4 との互換性があります。ただし OSF は,Traversal and Geometry Management (移動・外形管理) アルゴリズムに大幅な改善を加えたため,両バージョンに違いがでてきています。こうした違いには,以前のリリースでの欠陥を正そうとする努力が反映されています。
このような新しい改善方針のひとつの例として,アプリケーションのマネージャ・ウィジェットの初期サイズ設定が,ツールキットで完全なものになっていることがあげられます。 OSF/Motif リリース 1.1 では,アプリケーションがマネージャ・ウィジェットのために初期サイズを設定しましたが,実際にはこのサイズを使いませんでした。現在のリリース 1.2では,Motifはこのサイズ設定を使い,これに対応して初期レイアウトが変更されるようになっています。
A.3 OSF/Motif リリース 1.2の変更と新機能
この節では, OSFがOSF/Motif リリース 1.2に加えた変更と新機能について要約します。変更についてさらに詳しくは,Motifのリファレンス・ページと,下記の Motif リリース 1.2 改訂版を参照してください。
以降の各項では,OSF/Motif リリース 1.2で改善された点について説明します。
A.3.1 ツールキットの全般的変更
この項では,OSF/Motif リリース 1.2 ツールキット全体に加えられた変更について説明します。
A.3.1.1 組み込みファイルの変更
OSF/Motif リリース 1.1にあった下記の各ヘッダ・ファイルは,リリース 1.2では廃止されています。
ExtObject.h
Traversal.h
VaSimple.h
VendorE.h
VendorEP.h
新しい共用ヘッダ・ファイル
XmAll.hがOSF/Motif リリース 1.2に加えられています。このヘッダ・ファイルは,すべてのドキュメント化ヘッダ・ファイルを含みます。
A.3.2 XT 変換における変更
XT 変換コードの問題を解決した結果 (Patch 25 for X11 R5), Xt における変換は,現在では厳密に処理されて,もう以前のように見込みによる一致を受け付けません。この変更により,QATS および Motif VTS テスト・スーツの動作が変更されて,キーパッドで定義されている矢印キーがあるような特定のキーボードに対して,誤った仮定をするようになりました。他の Motif アプリケーションも同じような影響を受けることがあります。
問題となるキーについてバインディングを再定義するファイルを作成し,そのファイルをxmodmapユーティリティに渡すことにより,この問題を回避することができます。
次の例は,矢印キーに一致するキーパッド・キー用のバインディングを変更して,キーパッドの数字ではなく,矢印キーだけを生成するようにします。この新しい定義を使用すると,アプリケーションは矢印キーとともに修飾子を使用できるようになります。
! ! Always force: ! KP_2 = Down ! KP_8 = Up ! KP_4 = Left ! KP_6 = Right keycode 120 = Down keycode 76 = Up keycode 98 = Left keycode 100 = Right |
caddr_tへの参照がすべて
XtPointerに変更されました。この変更は,
caddr_tを参照するすべてのコールバック・ルーチンやその他のルーチンに影響します。OSFがこの変更をしたのは,OSF/Motif リリース 1.2が,ANSI C 仕様に準拠するようにするためです。
A.3.4 表示と画面特有のデータ
Motifには,各表示ごとにデータとリソースをサポートする
XmDisplayオブジェクトが加わりました。また各画面ごとにデータとリソースをサポートする
XmScreenオブジェクトも加えられています。
A.3.5 ドラッグ・ドロップ
OSF/Motif リリース 1.2では,データ交換用に「ドラッグ・ドロップ」メタファーをサポートしており,「ドラッグ・ドロップ」仕様はフルに実現されています。「ドラッグ・ドロップ」インタフェースについては,リリース 1.2バージョンの『OSF/Motif プログラマーズ・ガイド』を参照してください。
ポップアップ・メニューをポップアップさせるために Btn2を使用すると,「ドラッグ・ドロップ」は正しく機能しません。この場合,ドラッグ・ドロップを無効にしなければなりません。 |
「ティア・オフ」メニューを使用すると,ユーザは,表示領域にメニューを保留しておいて次の選択を行うことができます。個々のtearできる (引きはがせる) メニュー枠が「ティア・オフ」ボタンとなっています。「ティア・オフ」ボタンでマウスのドラッグ・ボタンを押すと枠が引きはがされてドラッグでき,マウスのドラッグ・ボタンを離した場所に設置できます。ウィンドウ・マネージャは,「ティア・オフ」メニュー枠にメニュー・ボタンおよびタイトルを付けます。ティア・オフされたメニューのウィンドウ枠へのフォーカスの移動は,標準的なウィンドウ・マネージャの場合と同様です。
ティア・オフ動作は, XmNtearOffModelリソースを, XmTEAR_OFF_ENABLEDに設定することで可能となります (省略時設定は XmTEAR_OFF_DISABLED)。
XmNtearOffModelによってあらかじめ登録されているリソース・コンバータがないことに注意してください。ティア・オフ機能をリソース・データベースを通じてオンにできるよう,アプリケーションは, XmRepTypeInstallTearOffModelConverter機能を使用して, XmNtearOffModelリソース用のアプリケーション自身のリソース・コンバータを登録しなければなりません。
コンバータが自動的にインストールされない理由は,メニュー内の項目の感度を動的に設定するために,多くのアプリケーションがマップやカスケードするコールバックを使用しているからです。ただし「ティア・オフ」メニューがマップされると,他のアプリケーションの状態の変更を反映するよう,メニュー項目の感度を直ちに変更しなければなりません。既存のアプリケーションが,このようにメニュー項目の感度を変更することはないでしょう。このため,メニューをティア・オフできるようにすると予期しない時に機能がオンとなることがあります。ユーザがこれらのメニュー項目のひとつをアクティブ化すると,アプリケーションがクラッシュしたり,不変データが損なわれることもあります。
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