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次のような方法で GCM をカスタマイズすることができます。
GCM は OpenVMS DCL コマンドおよびコマンド・プロシージャの分散実行をサポートします。ただし,現時点では,GCM は対話型コマンドおよびプロシージャをサポートしていません。GCM を使用して実行される可能性があるコマンドとして DCL コマンドがありますが,DCL コマンドには次のような特性があります。
DCL コマンドの多くはユーザからの応答を必要とし,応答がない場合はすぐには戻りません。このようなコマンドは,GCM での使用に適していません。たとえば,RUN コマンドは常にすぐ戻るわけではありません。GCM サーバはそれぞれのコマンド要求をサブプロセスで実行しますが,ユーザに応答を返さず,また,プログラムが終了しなければサブプロセスを終了しません。したがって,サブプロセスを停止するには,SHOW SYSTEM コマンドを入力して,該当するサブプロセスを調べてから手動で停止しなければなりません。
すべての GCM サーバ・コマンドには GCM_<node name>_CMDnnnn という形式のサブプロセス名が割り当てられます。nnnn は,コマンドの連続番号です。一般に,これらのサブプロセスは完了まで実行して,GCM サーバに AST を送ります。それによって GCM サーバは,サブプロセスと同じ名前の一時ログ・ファイルから関連する出力を見つけることができます。結果ファイルを返した後,サブプロセスと関連ファイルは削除されます。サブプロセスが,完了しないコマンドや入力を待つコマンドを実行している場合,GCM サーバにコマンド完了通知が送られないので,GCM サーバは結果を返しません。このため,GCM サーバは他の処理を行えなくなり,予期しないコマンド動作につながることがあります。
GCM の将来のリリースでは,追加のコマンド機能が提供される予定です。しかし,サポートできない種類のコマンド機能は常に存在するでしょう。グラフィカル・インタフェースや複雑な対話を伴なうアプリケーションの起動は,GCM の使用目的の範囲外です。多くの場合,単純なコマンド・プロシージャ・ラッパーを作成して,アプリケーションがそれ自身の表示のリダイレクトを管理できるようにすることが可能です。
13.8 GCM サーバのログ・ファイル
通常の GCM サーバ実行の一部として,いくつかのログ・ファイルが生成されます。これらのログ・ファイルのなかには,GCM サーバのトラブルシューティングに役立つものがあります ( 第 13.9 節 参照)。システム・ディスクがクラスタ共通のシステム・ディスクである場合に個々のシステム・ルートからログ・ファイルを分離する手段として,ログ・ファイルのファイル名の一部としてシステム・ノード名が含まれている場合があります。
次のようなログ・ファイルが生成されます。
GCM_<nodename>_CMD<sequence_number>.LOG |
コマンド実行が成功すると,関連するログ・ファイルは削除されます。まれに,GCM サーバ・フォールトのために,これらのログ・ファイルの 1 つが削除されずに残ることがあります。残ったログ・ファイルは,GCM サーバの起動時に削除されます。
通常の起動手順で起動したときには,GCM サーバは自動再起動動作をサポートするモードで実行されます。通常モードで実行された場合,GCM サーバは実行時ログ・ファイルを生成しますが,GCM サーバ問題の解決に役立つ追加情報はほとんど記録されません。
以下のセクションには,GCM サーバ問題のトラブルシューティングに役立つ情報があります。
13.9.1 診断情報の取得
ときには,何らかの診断が行われるモードで GCM サーバを実行すると有益なことがあります。診断が生成する手順追跡情報は,GCM サーバ・イベント・ログに書き込まれるか ( 有効な場合 ),画面に出力されます ( 有効な場合 )。一般に,診断出力は画面に出力されますが,弊社のサポート担当者に転送する必要がある場合は,イベント・ログ出力は手助けになり,便利です。
GCM サーバから診断画面出力を得るには,独立プロセスとしてではなく,対話方式で GCM サーバを実行する必要があります。このためには,GCM サーバが実行中であれば停止して,DECterm ウィンドウから次のコマンドを入力して再起動します。
$ RUN SYS$SYSTEM:GCM_SERVER.EXE |
GCM サーバが実行状態になったら,GCM クライアントから管理特権で接続して,GCM 管理データベースを次のように編集します。
コード (10進) | コード (16進) | 機能 | アクション |
---|---|---|---|
0 | 0 | DIAGNOSTIC_DISABLE | |
1 | 1 | HEARTBEAT_TRACE | (サーバ切断) |
2 | 2 | TRANSACTION_TRACE | (一般的なトラブルシューティング) |
4 | 4 | XML_TRACE | (一般的なトラブルシューティング) |
8 | 8 | LOCK_TRACE | (サーバのハング) |
16 | 10 | COMMAND_TRACE | (実行の無効化とパケットのダンプ) |
32 | 20 | CRYPTO_DISABLE | (GCM 管理データベースの
トラブルシューティング) |
デフォルトでは,GCM クライアント / サーバ通信でセキュリティ (SSL) を使用しているかどうかに関係なく,GCM 管理データベースは常に暗号化されます。まれに,GCM 管理データベース・ファイルの暗号化を無効にしたい場合があります。CRYPTO_DISABLE フラグを設定すると,GCM サーバは GCM_ADMIN.EDB ファイルの暗号化と更新を行わなくなります。代わりに,平文の ASCII XML を GCM_ADMIN.DAT に出力して,GCM_ADMIN.DAT からの起動時に入力を受け入れます。このため,GCM 管理データベース内で XML 構造を直接編集して,GCM クライアントとサーバによって行われた変更を見直すことができます。 |
トラブルシューティングのとき以外は,CRYPTO_DISABLE フラグが設定された状態で GCM サーバを実行しないでください。CRYPTO_DISABLE フラグが設定された状態で GCM サーバを実行すると,GCM ユーザ登録レコードを単純な ASCII ( 暗号化されていない ) 形式で公開することになるからです。 GCM サーバを実用に戻す前に,必ず診断を無効にしてください。ロギングを無効にしなかった場合,関連する GCM サーバ・ログ・ファイルが非常に大きくなり,GCM サーバのパフォーマンスが低下することがあります。 |
ハートビートは,高負荷システムでは潜在的な問題領域です。GCM サーバが他のインスタンスの GCM クライアントと GCM サーバの存在の有無を検出できるように,定期的なハートビート・トランザクションが発行されます。GCM サーバは,ハートビート・プロセスを最適化し,使用率に基づいて時間間隔を変えることができ,一方向のハートビートしか必要としません。ときには,GCM サーバまたはネットワークのアクティビティによってハートビートの発行が遅延することがあります。GCM サーバは,ハートビートを何回か受信しなくても切断とみなさないように設計されています。
GCM クライアントを使用して GCM 管理データベースを編集することによって,特定のニーズに合わせてハートビートの値を調整することができます。Client Pulse,Server Pulse,および Flat Line という 3 つの値が適用されます。Pulse の値は,ハートビート・トランザクションの時間間隔 ( 秒数 ) です。Flat Line の値は,何回ハートビートが受信されなかったときに切断とみなされるかという回数です。これらは,過度のトラフィックをもたらすことなく良好な動作をもたらす値に事前設定されています。特別な状況下で,セッションが切断されていることに気づいた場合,これらの値を変更することができます。これらの値は,コマンドとイベントの処理に関して GCM の全体的な応答性には影響を与えません。
13.9.3 タイムアウトの検出
GCM クライアントには,タイムアウト検出を完全にオフにするデバッグ・フックが含まれています。デバッグ・モードに入るには,Ctrl+Alt+D+B を押します。「TEST」メニュー項目は,このモードがアクティブであることを示します。このモードでは,低速な GCM サーバ ( デバッグ中のものなど ) から応答が得られるまでに時間がかかっても,GCM クライアントは常に接続状態を保ちます。
13.10 パフォーマンス
GCM はクライアント/サーバ・アプリケーションなので,Galaxy Configuration Utility (GCU) に比べると,コマンドや構成イベントに対する反応が遅いです。Galaxy の CPU 割り当ては数ミリ秒しかかからず,GCU にただちに反映されますが,CM では,表示を更新するまでに数秒かかることがあります。リアルタイム応答が必要なときには,GCU を実行してください ( また,複数のハード・パーティションがある場合には,GCU の複数のインスタンスを実行してください )。
Microsoft Windows を実行している PC システムは,典型的なデスクトップ PC に搭載されている物理メモリよりかなり多くの物理メモリを必要とすることがあります。最高のパフォーマンスを得るには,少なくとも 128 MB (おそらくそれ以上) のメモリが必要です。ディスクの空き容量は,ほとんど関係ありません。
ネイティブの OpenVMS GCM クライアントでは,Windows GCM クライアントほどのパフォーマンスは得られません。OpenVMS で GCM クライアントを実行するためには,ユーザ・アカウントにかなりのページファイルを割り当てる必要があります。弊社では,PGFLQUO パラメータを 350000 以上に設定するようにお奨めします。( これは,OpenVMS 上のすべての Java アプリケーションに適用されます。)
GCM サーバのパフォーマンスは,一般にネットワークの動作によって左右されます。GCM サーバは大半の時間をアイドル状態で過ごしますが,他の GCM サーバまたはクライアントにハートビート・トランザクションを発行するために頻繁にウェイクアップします。GCM サーバは構成変更イベントへの応答として,メモリ内で AlphaServer 構成ツリー構造を再エンコードして,XML でエンコードされた表現をアクティブな GCM サーバおよびクライアントのすべてに送信します。これによって,一般に約 100 KB のネットワーク・トラフィックが発生します。複数の GCM サーバを含んでいるアソシエーションでは,それぞれのサーバが GCM クライアントを積極的にサポートしている場合,GCM サーバはこのような突出データを単一の構成モデルにマージして,そのモデルをそれぞれの GCM クライアントに転送しなければなりません。新しいモデルは 1 MB 以上を必要とすることがあります。
最適な GCM パフォーマンスを確保するには,次のことに注意してください。
一般に,GCM サーバのパフォーマンス・メンテナンス作業は必要ありません。しかし,複数の拡張ロギング機能を有効にした場合,それぞれのログ・ファイルが時間の経過とともに非常に大きくなることがあるので,そのような監査を必要とする場合は,これらのファイルを定期的にチェックする必要があるかもしれません。このようなログ・ファイルはすべて,SYS$COMMON:[SYS$CONFIG] ディレクトリにあります。通常の操作モードでは,ロギングは無効になっています。
GCM クライアントについては,ユーザによって検索されたライブラリ・ファイルを時々クリーンアップするだけでよいでしょう。ライブラリ・ファイルが検索されるたびに,コピーがローカル GCM クライアント・システムに格納されます。
13.12 冗長な GCM サーバ・セットアップの例
このセクションでは,冗長な GCM サーバ・セットアップの例を示します。
$ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYS$CONFIG] $ DIRECTORY Directory SYS$COMMON:[SYS$CONFIG] GCM$SETUP.EXE;1 GCM_BANNER.JPG;1 GCM_CERT.PEM;1 GCM_CUSTOM.XML;1 GCM_NOTICE.HTML;1 GCM_RULESET.XML;1 Total of 6 files. $ RUN GCM$SETUP OpenVMS GCM-Server Setup Utility Copyright 2001, Compaq Computer Corportation This utility initializes the GCM Administrative Database: GCM_ADMIN.EDB If you are performing an initial GCM-Server installation, continue. If you are replacing an existing database, you must delete the current database files on all GCM-Server instances in your current Association to allow the new database to be recognized. CONTINUE (Y/N)? y DO YOU PREFER FULL TEXT ASSISTANCE (Y/N)? y STEP 1: SERVER DISCOVERY IP PORT NUMBER By default, the GCM-Servers listen for client connections on IP Port 4100. This can be changed, but each server will need to be restarted, and each client will need to specify the new port number in their "Server Connection Preferences" settings. USE THE DEFAULT PORT NUMBER 4100 (Y/N)? y STEP 2: CONNECTION BOUNDS By default, the GCM-Servers support up to 4 concurrent clients and 8 concurrent servers. This can be changed, but each server will need to be restarted. Be advised that GCM performance may suffer as these values are increased. USE THE DEFAULT CONCURRENT CLIENT LIMIT (Y/N)? y USE THE DEFAULT CONCURRENT SERVER LIMIT (Y/N)? y STEP 3: CONNECTION SECURITY By default, the GCM-Servers expect that their clients will be using secure connections (SSL). This can be disabled, but the servers will need to be restarted, and each client will need to change their "Server Connection Preferences" settings. USE CLIENT-SERVER SECURITY (Y/N)? y STEP 4: SERVER ASSOCIATION RECORD Multiple GCM-Servers can form an "Association" of systems, providing a wide management scope. This Association may include one server per soft-partition on one or more hard-partition on one or more physical system. Regardless of how many servers are in the Association, you need to define an Association Name that describes the involved systems. Choose a simple descriptive string such as "Engineering Lab Systems". ENTER THE ASSOCIATION NAME: TEST ASSOCIATION STEP 5: SYSTEM RECORDS Each system in the Association must be uniquely identified by its IP Address, System Number, Hard-Partition Number, and Soft Partition Number. At least one system must be defined. You may define multiple systems now, or define additional systems after establishing your first client connection. Enter a fully qualified name for the system running a GCM-Server. For example: star.zko.compaq.com. When you are done entering system records, enter 0 at the following prompt. ENTER SYSTEM NAME (star.zko.compaq.com)(or 0 when done): WFGLX5.ZKO.DEC.COM Enter a fully qualified IP Address for the system running a GCM-Server. For example: 16.32.112.16 If you prefer to use DNS to lookup the address, enter 0 ENTER SYSTEM IP ADDRESS (or 0 to use DNS): 16.32.112.17 The SYSTEM NUMBER is a simple numeric value that uniquely identifies soft and hard partitions that reside in a common partitionable computer. For example, if you have two separate partitionable computers in your Association, each having its own hard and soft partitioned instances, enter a SYSTEM NUMBER of 0 for all hard and soft partitions in the first computer, and enter 1 for those in the second computer. ENTER SYSTEM NUMBER: 0 The HARD PARTITION NUMBER is a numeric value that uniquely identifies which HARD Partition a GCM-Server resides within. If a system has only a single HARD Partition, enter 0. If a system has multiple HARD Partitions, use the appropriate Hard Partition ID. These are sequential numeric values which were used when creating the system partitions. You can also obtain these values by running the Galaxy Configuration Utility via $ CONFIG GALAXY command. ENTER HARD PARTITION NUMBER: 1 The SOFT PARTITION NUMBER is a numeric value that uniquely identifies which SOFT Partition a GCM-Server resides within. If a system has only a single SOFT Partition, enter 0. If a system has multiple SOFT Partitions, use the appropriate Soft Partition ID. These are sequential numeric values which were used when creating the system partitions. You can also obtain these values by running the Galaxy Configuration Utility via $ CONFIG GALAXY command. ENTER SOFT PARTITION NUMBER: 0 %Define additional system records as needed... Enter a fully qualified name for the system running a GCM-Server. For example: star.zko.compaq.com. When you are done entering system records, enter 0 at the following prompt. ENTER SYSTEM NAME (star.zko.compaq.com)(or 0 when done): 0 STEP 6: CLIENT AUTHORIZATION RECORDS At least one client must be defined in order to allow an initial client-server connection to be established. Additional clients may be defined now, or at any point using the client application and the GCM Subscription Procedure. This initial client record must provide fully privileged access for the specified user so that subsequent GCM administration functions can be performed. Enter a string which describes this client. The string can be the users full name, or job title, etc. ENTER CLIENT NAME/TITLE (or 0 when done): First Last Enter the clients USER name. This is a single word that identifies the user, such as their last name. ENTER USERNAME: First Enter the clients PASSWORD. This is a unique GCM password, unrelated to any system authorization function. Note: Passwords can be changed by any GCM Client with Admin privilege. ENTER INITIAL PASSWORD FOR First: Last Enter the clients EMAIL Address. This is particularly important for the client that is serving the role of GCM Administrator as they will receive email subscription requests. ENTER EMAIL ADDRESS FOR First: First.Last@compaq.com CONFIG privilege allows a user to issue commands that alter a system configuration (if they also have the COMMAND privilege) and to load and save configuration models. GIVE First CONFIG PRIVILEGE (Y/N)? y COMMAND privilege allows a user to issue DCL commands. GIVE First COMMAND PRIVILEGE (Y/N)? y USER-COMMAND privilege allows a user to create their own command menu entries. Commands are executed in a privileged context so use discretion when authorizing this privilege. GIVE First USER-COMMAND PRIVILEGE (Y/N)? y POWER privilege allows a user to issue commands that power on or off system components for systems that support such operations. GIVE First POWER PRIVILEGE (Y/N)? y ADMIN privilege allows a user to modify the GCM-Server Administration Database. Use discretion when authorizing this privilege. GIVE First ADMIN PRIVILEGE (Y/N)? y You may choose to ENABLE this client immediately, or enable the client later once the GCM is fully configured. IMPORTANT: Be sure to enable the initial administrator client! ENABLE First ACCOUNT NOW (Y/N)? y %Define additional client records as needed... Enter a string which describes this client. The string can be the users full name, or job title, etc. ENTER CLIENT NAME/TITLE (or 0 when done): 0 STEP 7: SERVER STARTUP OPTIONS You may choose to have the local GCM-Server started automatically upon system boot. If you choose this option, the server will be started during the next system boot. To accomplish this, the startup file SYS$STARTUP:GCMSRV$STARTUP.COM will be added to the Layered Product startup database. DO YOU WANT THE LOCAL GCM-SERVER TO START ON SYSTEM BOOT (Y/N)? y You may choose to start the local GCM-Server now, or you can start it later via $ @SYS$STARTUP:GCMSRV$STARTUP.COM DO YOU WANT TO START THE LOCAL GCM-SERVER NOW (Y/N)? y %DCL-I-SUPERSEDE, previous value of GCMSRV$RESTART has been superseded ************************ POST SETUP TASKS ************************** This completes the GCM Admin Database initialization. IMPORTANT: If you are using multiple GCM-Servers, copy the newly created GCM Admin Database file: SYS$COMMON:[SYS$CONFIG]GCM_ADMIN.EDB, to the same location on each system you defined in the Association, then start or restart each server via $ @SYS$STARTUP:GCMSRV$STARTUP.COM If the database has been properly defined, each server will detect the presence of the other servers and form the specified Association. At this point, you can use the GCM Client to establish a connection and further tune the installation. For maximum security, you may wish to protect or remove this utility. $ |
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