OpenVMS Alpha
オペレーティング・システム
パーティショニングおよび Galaxy ガイド


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13.4 GCM サーバの起動

GCM サーバは自動 (第 13.4.1 項) または手動 (第 13.4.2 項) で起動することができます。

1 つのインスタンスでは 1 つの GCM サーバだけを実行してください。

13.4.1 GCM サーバの自動起動

サーバのセットアップ時に GCM サーバの自動起動を選択した場合 ( 第 13.3.4 項 参照),セットアップ・ユーティリティは次のコマンドを実行します。


$ MC SYSMAN STARTUP ADD FILE GCMSRV$STARTUP.COM   

このコマンドはいつでも手動で入力することができます。

GCMSRV$STARTUP.COM プロシージャは,次のようなタスクを実行します。

自動起動をオフにするには,次のコマンドを入力します。


$ MC SYSMAN STARTUP REMOVE FILE GCMSRV$STARTUP.COM 

13.4.2 GCM サーバの手動起動

次のコマンドを入力することによって,いつでも GCM サーバを手動で起動することができます。


$ @SYS$STARTUP:GCMSRV$STARTUP 

13.5 インストール後の管理タスク

管理者は,特権 GCM クライアントから次のタスクを行います。

これらのタスクの詳細については,以下のセクションと GCM クライアントのヘルプを参照してください。

13.5.1 GCM ユーザの登録とサブスクリプション・テンプレートの定義

GCM サーバのセットアップ手順において,または GCM クライアントからいつでも (admin 特権で),GCM ユーザの定義,登録,および有効化を行うことができます。典型的なインストールでは,セットアップ・ユーティリティからシステムの主要なユーザを定義します。その他のユーザは,サブスクリプション・プロセスと電子メール要求を使用して,GCM サーバ・アソシエーションへのアクセスを要求することができます。

インストール後のセットアップの一部として,GCM サーバは初めて起動されたときにサブスクリプション・テンプレート・ファイル SYS$COMMON:[SYS$CONFIG]GCM_TEMPLATE.XML を作成します。このファイルは,特定のサイトに応じたサブスクリプション・フォームを作成するテンプレートを含んでいます。このテンプレートをカスタマイズするには,管理者は GCM クライアントから GCM サーバに接続して,「 File 」メニューの「 Edit Subscription Template 」を選択する必要があります。

デフォルトのサブスクリプション・テンプレートが表示されたら,必要に応じてフォームに入力して「OK」を押すと,公式テンプレートがすべてのアクティブな GCM サーバに返されます。(GCM サーバがまだ実行されていない場合は,このファイルを構成内の他のインスタンスに手動でコピーすることもできます。) サブスクリプション・フォームには,潜在的ユーザがユーザ名,パスワード,およびアクセス・レベルを要求するためのフィールドがあります。管理者は,ユーザに表示する認可を選ぶことができます。たとえば,システム管理者アカウントを 1 つだけにしておきたい場合は,ユーザが Admin 特権を要求できないようにすることができます。

注意

GCM ユーザ登録レコード (ユーザ名,パスワードなど) は,OpenVMS の認可メカニズムから完全に独立しています。

サブスクリプション・フォームが初期化されたら,ユーザは GCM 対応のインスタンス (GCM サーバを実行しているインスタンス ) を見つけて,サブスクリプション・フォームを要求することができます。管理者がサブスクリプション・テンプレートをカスタマイズするまでは,ユーザはサブスクリプション・フォームを要求できません。ユーザが入力したサブスクリプション・フォームは GCM サーバに返され,新しいサブスクリプション要求を通知する電子メールが管理者に送られます。要求を承認するには,管理者は GCM クライアントからアソシエーションに接続して,GCM 管理データベースを編集し,要求を承認または拒否するオプションを選択します。オプションとして,管理者は「Email」ボタンをクリックして,要求のステータスについてユーザに助言する応答メールを表示することができます。サブスクリプション要求が承認されて,アカウントが有効になると,更新された GCM 管理データベースが自動的に他の GCM サーバに送信され,要求した GCM ユーザはアソシエーション内の GCM サーバへのアクセスを許されます。

GCM ユーザのアクセス権を無効にするには,管理者はクライアント・レコードを削除するか,単にアカウントを無効にします。現在接続しているクライアントは,ただちに切断されます。

GCM ユーザの特権

ユーザを登録するときに,次のような特権を与えることができます。

特権 説明
Config ユーザはアソシエーションの構成を変更することができる。
Command ユーザは自分用のコマンドを定義することができる。
User Command ユーザはすべてのクライアント用のコマンドを定義することができる。
Admin ユーザは GCM 管理データベース (GCM$ADMIN.EDB) を編集することができる。
Power ユーザはシステムとコンポーネントの電源投入および電源切断を行うことができる。

13.5.2 ライブラリの管理

GCM には分散文書検索システムが含まれています。このシステムによって,管理者は個別の GCM サーバ上の指定したディレクトリにドキュメントを投稿することができ,ユーザはそれらを検索し,表示することができます。(「 Library 」ダイアログ・ボックスを呼び出すには,「 File 」メニューの「 Edit Admin Database 」を選択します。) さらに,GCM サーバ・システム上で実行されるプログラムとプロシージャは,ユーザが検索・表示するための出力ファイルを生成することができます。

ドキュメントの検索にはワイルドカード文字を使用することができます。たとえば,リモート GCM サーバ・コマンド・プロシージャを実行して性能分析を行い,Excel スプレッドシート出力ファイルを生成することができます。GCM を使用すると,このプロシージャをアソシエーション内の複数のシステムで同時に起動することができます。それぞれのシステムが生成する結果ファイルのファイル名には,ノード名やタイムスタンプなどの一意な識別名が含まれています。たとえば,CFG_*_LOG.CSV など,ワイルドカードでドキュメントを指定することができます。このように指定すると,それぞれのシステムから一致するファイルが検索されます。一致したファイルは,検索に使用可能なドキュメントとして GCM クライアントのライブラリにリストされます。完全な OpenVMS ディレクトリの指定もできます。

ユーザが GCM サーバ・ライブラリを開いてドキュメントを検索するときには常に,そのドキュメントのコピーがユーザの GCM クライアント・ディレクトリに書き込まれます。ユーザが GCM クライアント・セッションを終了した後も,これらのファイルをエディタやブラウザで表示することができます。ただし,ファイルに加えられた変更は,GCM サーバ上のライブラリにコピーされません。これらのファイルが不要になったときには,ユーザは手動で削除しなければなりません。

13.5.3 カスタム・バナー

独自の JPEG ファイルを SYS$COMMON:[SYS$CONFIG]GCM_BANNER.JPG にコピーすることによって,会社または組織のカスタム・バナー・イメージを提供することができます。ダウンロードに時間がかかり過ぎないように,このファイルは適切なサイズでなければなりません。このファイルは,接続時に GCM クライアントに表示されます。

13.5.4 システム通知

SYS$COMMON:[SYS$CONFIG]GCM_NOTICE.HTML ファイルを編集することによって,GCM クライアント用の一般的なシステム通知を記入することができます。このファイルは単純なハイパーテキスト文書であり,CM クライアントが GCM サーバに接続したときに表示されるメッセージを含めることができます。このファイルの編集は単純にしておくべきです。リンクを埋め込むことはできますが,スクリプト,イメージ,サウンドなどを埋め込むことはできません。GCM クライアントの組み込みブラウザ (Java デフォルト・ブラウザ) は,最新のブラウザほど高度な機能を備えていず,汎用目的のものではありません。

13.5.5 コマンドのカスタマイズ

GCM コマンドをカスタマイズするには 2 つの方法があります。ユーザ・コマンド特権を持つユーザは,カスタム DCL コマンドを定義・保存するためのメニュー項目にアクセスできます。これらのコマンドは,OpenVMS と DCL によってサポートされている関数であれば,どんな関数でも実行することができます。GCM サーバは,現時点では,対話型コマンドやコマンド・プロシージャをサポートしていません。

注意

ユーザ・コマンド特権を与えるときには,すべてのコマンドが GCM サーバによってシステム・コンテキストにおいて実行されることを覚えておいてください。GCM は,システムのパフォーマンスや運用に有害なコマンドの実行を防止しようとはしません。

拡張ルールセット定義によってカスタム・コマンドを作成することもできます。それぞれの GCM サーバ上のオプション・ファイル (SYS$COMMON:[SYS$CONFIG]GCM_CUSTOM.XML) は,XML 形式の単純なメニュー定義文を含みます。GCM サーバの起動時にこのファイルが存在した場合,コマンド特権を持つすべてのユーザについて,これら追加のメニュー・コマンドが GCM クライアントに表示されます。これは,システム管理者がユーザのためにインスタンス固有のコマンドを定義する手段となります。キットにサンプル・ファイルが含まれていて,追加のカスタム・コマンドの定義に関する説明が含まれています。この機能を使用しない場合は,カスタム・ルールセット・ファイルを削除してもかまいません。カスタム・コマンドの使用の詳細については, 第 13.7.1 項 を参照してください。

13.6 アソシエーションの構成

GCM が正常に動作するためには,システムの,そしてハード・パーティションとソフト・パーティションの正しい値を指定することが重要です。値が正しくないと,コマンド・ルーティングが失敗します。GCM のインストールとアソシエーションの構成の前に,ワークシート ( 作業計画書 ) でアソシエーションを定義しておくとよいでしょう。

表 13-1 は,2 つのハード・パーティションのそれぞれに 4 つのソフト・パーティションを含んでいるシステムのアソシエーションを定義する方法の例です。

表 13-1 単純なアソシエーションのワークシート例
完全修飾されたシステム名 IP アドレス 1 システム ハード・パー
ティション
ソフト・パー
ティション
sysnam1.zko.dec.com 16.32.112.1 0 0 0
sysnam2.zko.dec.com 16.32.112.2 0 0 1
sysnam3.zko.dec.com 16.32.112.3 0 0 2
sysnam4.zko.dec.com 16.32.112.4 0 0 3
sysnam5.zko.dec.com 16.32.112.5 0 1 0
sysnam6.zko.dec.com 16.32.112.6 0 1 1
sysnam7.zko.dec.com 16.32.112.7 0 1 2
sysnam8.zko.dec.com 16.32.112.8 0 1 3


1値がゼロの場合,DNS 名前変換は現在の IP アドレスを検索します。

13.6.1 考慮事項

アソシエーションは,単一システム,単一システム内のハード・パーティションとソフト・パーティションの組み合わせ,またはハード・パーティションとソフトパーティションの組み合わせを含む複数のシステムです。一般に,GCM は,そのシステムに存在するすべてのソフト・パーティションを含めて,単一システムで使用されます。GCM アソシエーションを複数のシステム (以前の AlphaServer システムも含めて) に拡張することもできますが,大きなアソシエーションを作成した場合のパフォーマンスへの影響に留意してください。

構成を変更すると,GCM によるネットワーク・トラフィックが急増します。アソシエーションが多くのシステムとパーティションにまたがる場合,データ量が過剰になることがあります。弊社は GCM の動作の改善を続けていますが,アソシエーションの定義方法によってはアソシエーションが管理不能になることがあります。ネットワークの速度や負荷,GCM クライアントのシステム・リソースなど,さまざまな要素がパフォーマンスに影響を与えるので,アソシエーションのサイズに制限を設定するのは困難です。GCM の最初のリリースの設計目標は,最大 8 つのパーティションです (AlphaServer GS320 は最大 8 つのソフト・パーティションを含むことができます)。一般的なインストールでは,パーティションの数はこれよりはるかに少ないです。

13.6.2 アソシエーションへのシステムの追加

システム とは,物理的なマシン本体のことです。アソシエーションにシステムを追加するには,GCM セットアップ・ユーティリティを使用して追加するか (少なくとも 1 つのローカル・システムを定義する必要があります; 第 13.3.4 項 を参照),またはいつでも GCM クライアントを使用して追加することができます。アソシエーションに新しいシステムを追加するときには,識別の詳細を指定する必要があり,また,必要に応じて GCM サーバの限界を調整する必要があります。

それぞれのシステムには一意なシステム番号を割り当てなければなりません。たとえば,GS320 では,1 つのシステムに最大 8 つのパーティションを設定できます。システム番号はゼロから連続的に割り当てられます。システム番号ごとに個別の構成表示が作成されます。

それぞれのシステムのそれぞれのハード・パーティションにハード・パーティション番号を定義する必要があります。これは,実際のハード・パーティション番号でなければなりません。たとえば,GS320 を 4 つのハード・パーティションに分割した場合は,0 から 3 までのパーティション番号が割り当てられます。

それぞれのハード・パーティション内のそれぞれのソフト・パーティションにソフト・パーティション番号を定義する必要があります。これは,実際のソフト・パーティション番号でなければなりません。たとえば,ハード・パーティション番号 0 をソフト・パーティション 0 と 1 に分割した場合は,それぞれのシステムに適切なパーティション番号を指定しなければなりません。表 13-1 は,このようにして構成されたシステムを示しています。

すべてのパーティションがシステム 0 にあることに注目してください。独自のパーティション・セットを持つ別のシステムを追加してアソシエーションを拡張した場合,それらのパーティションはシステム 1 になります。

注意

これらの値を正しく設定することが重要です。適切な値を指定しなかった場合,GCM は目的のアソシエーションを形成できなかったり,アソシエーションを通じてコマンド・トラフィックを正しくルーティングできません。CONFIGURE GALAXY コマンドでネイティブの Graphical Configuration Utility (GCU) を起動して,GCM の適切な識別子を調べなければならない場合があります。

GCM サーバは,サポートする並列 GCM クライアントおよび GCM サーバの上限数を保持します。デフォルトは,4 つの並列 GCM クライアントと 8 つの並列 GCM サーバです。これらの限界に達すると,追加の GCM クライアントまたは GCM サーバ接続要求は拒否されます。特権 GCM クライアントから GCM 管理データベースを編集することによって,これらの値を変更することができます。

変更後は,変更した GCM 管理データベース・ファイル GCM_ADMIN.EDB をアソシエーションに追加されたすべてのインスタンスに手動で伝播してください。GCM サーバはすでに実行したことがあるが,このアソシエーションでは初めて実行するという場合には,すべての GCM サーバを停止して,GCM 管理データベース・ファイルを手動でコピーし,すべての GCM サーバを再起動します。アソシエーションがセットアップされ,正常に機能するようになったら,必要以上に変更しないでください。一度,安定性が達成されると,GCM はその後も安定して動作するはずです。


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