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OpenVMS Galaxy を管理する場合,次の DCL コマンドが役立ちます。
これらのコマンドについては,次の節で説明します。
15.3.1 CPU コマンド
CPU は OpenVMS Galaxy で割り当て可能なリソースです。CPU を割り当てるには,Physical Structure チャート ( 第 12.4.2 項 を参照 ) または STOP/CPU/MIGRATE コマンド ( 第 15.3.1.1 項 を参照 ) を使用します。
15.3.1.1 STOP/CPU/MIGRATE
STOP/CPU/MIGRATE コマンドは,CPU の所有権を現在のインスタンスから別のソフト・パーティションに移します。
たとえば,次のコマンドを入力します。
$ STOP/CPU/MIGRATE=GLX0 4 |
この例では, GLX0はインスタンス名またはパーティション ID 値です。ターゲット上でオペレーティング・システムが実行している必要はありません。
次のメッセージが端末に表示されます。
%SYSTEM-I-CPUSTOPPING, trying to stop CPU 4 after it reaches quiescent state |
ソース・コンソールには,次のメッセージが表示されます。
%SMP-I-STOPPED, CPU #04 has been stopped. |
デスティネーション・コンソールには,次のメッセージが表示されます。
%SMP-I-SECMSG, CPU #04 message: P04>>>START %SMP-I-CPUTRN, CPU #04 has joined the active set. |
SHOW CPU コマンドは,指定されたプロセッサの状態,属性,機能に関する情報を表示します。たとえば,次のように表示されます。
$ SHOW CPU GLX0, AlphaServer 8400 Model 5/440 Multiprocessing ENABLED. Full checking synchronization image loaded. Minimum multiprocessing revision levels: CPU = 1 PRIMARY CPU = 00 Active CPUs: 00 01 Configured CPUs: 00 01 Potential CPUs: 00 01 03 04 05 06 07 |
SET CPU コマンドは,指定された CPU に関するユーザ機能を変更します。
次のコマンドの n は,CPU 番号,コンマで区切られた CPU のリスト,または /ALL 修飾子を表します。
SHOW MEMORY コマンドは,システムのメモリの使用状況を表示します。たとえば,次のように表示されます。
$ SHOW MEMORY/PHYSICAL System Memory Resources on 5-OCT-2001 20:50:19.03 Physical Memory Usage (pages): Total Free In Use Modified Main Memory (2048.00Mb) 262144 228183 31494 2467 Of the physical pages in use, 11556 pages are permanently allocated to OpenVMS. $ SHOW MEMORY/PHYSICAL System Memory Resources on 5-OCT-2001 07:55:14.68 Physical Memory Usage (pages): Total Free In Use Modified Private Memory (512.00Mb) 65536 56146 8875 515 Shared Memory (1024.00Mb) 131072 130344 728 Of the physical pages in use, 6421 pages are permanently allocated to OpenVMS. $ |
レキシカル関数は,現在のプロセスの文字列と属性に関する情報を返す関数です。次のコマンド・プロシージャは,F$GETSYI レキシカル関数を使用して,Galaxy システムの属性を表示するコマンド・プロシージャを作成します。
$ create shoglx.com $ write sys$output "" $ write sys$output "Instance = ",f$getsyi("scsnode") $ write sys$output "Platform = ",f$getsyi("galaxy_platform") $ write sys$output "Sharing Member = ",f$getsyi("galaxy_member") $ write sys$output "Galaxy ID = ",f$getsyi("galaxy_id") $ write sys$output "Community ID = ",f$getsyi("community_id") $ write sys$output "Partition ID = ",f$getsyi("partition_id") $ write sys$output "" $ exit $ ^Z |
$ @SHOGLX Instance = COBRA2 Platform = 1 Sharing Member = 1 Galaxy ID = 5F5F30584C47018011D3CC8580F40383 Community ID = 0 Partition ID = 0 $ |
INSTALL LIST コマンドは,標準のグローバル・セクションだけでなく,galaxywide セクションも返すようになりました。
15.3.5 INSTALL ADD/WRITABLE
INSTALL ADD/WRITABLE コマンドは,標準グローバルだけでなく,Galaxy セクションもサポートするようになりました。INSTALL ADD/WRITABLE=GALAXY は,指定されたファイルを書き込み可能な既知のイメージとして Galaxy グローバル・セクションにインストールします。
15.3.6 CONFIGURE GALAXY
CONFIGURE GALAXY コマンドは,Galaxy Configuration ユーティリティ (GCU) を起動して,OpenVMS Galaxy システムを監視し,表示し,会話します。GCU を使用するには,DECwindows Motif V1.2-4 またはそれ以上と OpenVMS Alpha V7.2 またはそれ以上が必要です。
オプションの model パラメータは,ロードおよび表示する Galaxy 構成モデルの場所と名前を指定します。model が指定されていないときに,システムが OpenVMS Galaxy として動作している場合は,現在のアクティブ構成が表示されます。
システムが OpenVMS Galaxy として動作していない場合は,GCU はシングル・インスタンス OpenVMS Galaxy システムを作成するユーザを支援します。
OpenVMS Galaxy 構成モデルは Galaxy Configuration ユーティリティを使用して作成されます。詳細については,GCU のオンライン・ヘルプを参照してください。詳細については,GCU または GCM のオンライン・ヘルプを参照してください。
形式:
CONFIGURE GALAXY [model.gcm]
パラメータ:
GALAXY [model.gcm] |
ロードおよび表示する Galaxy 構成モデルの場所と名前を指定します。
model を指定しなかったときに,システムが OpenVMS Galaxy として動作している場合は,現在のアクティブ構成が表示されます。
修飾子:
/ENGAGE |
GCU は,グラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示せずに,指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルに設定 ( ロード/確認,およびアクティブ化 ) します。確認の後,指定されたモデルがアクティブ・システム構成になります。この修飾子を使用すると,システムをブートした後で,どのような動的リソースの再割り当てが実行されていたとしても,システム管理者はそれとは無関係に,OpenVMS Galaxy システムを既知の構成に復元することができます。このコマンドを DCL コマンド・プロシージャに埋め込んでおけば,構成操作を自動化することができます。
/VIEW |
この修飾子を /ENGAGE および model パラメータと組み合わせて使用すると,GCU は指定された構成モデルをロードし,確認し,アクティブ化し,表示します。
例:
$ CONFIGURE GALAXY |
GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示します。システムが現在,OpenVMS Galaxy として構成されている場合は,アクティブ・システム構成が表示されます。
$ CONFIGURE GALAXY model.GCM |
GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示します。指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルがロードされ,表示されますが,ユーザが設定することを選択するまで,アクティブ構成にはなりません。
$ CONFIGURE GALAXY/ENGAGE model.GCM |
GCU コマンド行インスタンスを起動して,GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示せずに,指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルに設定します。
$ CONFIGURE GALAXY/ENGAGE/VIEW model.GCM |
GCU コマンド行インタフェースを起動して,指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルに設定し,GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示します。
この章では,次の 2 つの OpenVMS 内部機能について説明します。これらの機能は,共用メモリを使用して,OpenVMS Galaxy コンピューティング環境のインスタンス間で通信を行います。
16.1 共用メモリ・クラスタ・インターコネクト (SMCI)
共用メモリ・クラスタ・インターコネクト (SMCI) は,Galaxy インスタンス間で通信するためのシステム通信サービス (SCS) ポートです。OpenVMS インスタンスが Galaxy および OpenVMS Cluster メンバの両方としてブートされると,SMCI ドライバがロードされます。この SCS ポート・ドライバは,共用メモリを介して同じ Galaxy 内の他のクラスタ・インスタンスと通信します。この機能は,OpenVMS Galaxy ソフトウェア・アーキテクチャが備えている性能向上のための主要な機能の 1 つです。共用メモリを介してクラスタ接続された他のインスタンスと通信できる機能は,従来のクラスタ・インターコネクトより大幅に性能を向上することができます。
以下のセクションでは,SMCI とともに使用されるドライバとデバイスについて説明します。
16.1.1 SYS$PBDRIVER ポート・デバイス
Galaxy およびクラスタ・メンバの両方としてブートすると,デフォルトで SYS$PBDRIVER がロードされます。このドライバをロードすると,デバイス PBAx が作成されます。ただし,x は Galaxy パーティション ID です。他のインスタンスがブートされると,PBAx デバイスも作成されます。SMCI は他のインスタンスをただちに識別し,そのインスタンスへの通信チャネルを作成します。従来のクラスタ・インターコネクトと異なり,他のインスタンスと通信するために新しいデバイスが作成されます。このデバイスにも PBAx という名前が割り当てられます。ただし,x は,このデバイスの通信相手であるインスタンスの Galaxy パーティション ID です。
たとえば,MILKY と WAY という 2 つのインスタンスで構成される OpenVMS Galaxy について考えてみましょう。MILKY はインスタンス 0 であり,WAY はインスタンス 1 です。ノード MILKY がブートされると,デバイス PBA0 が作成されます。ノード WAY がブートされると,PBA1 が作成されます。2 つのノードが相互に相手を"検出" すると,MILKY はWAY と通信するために PBA1 を作成し,WAY は MILKY と通信するために PBA0 を作成します。
MILKY WAY PBA0: PBA1: PBA1: <-------> PBA0: |
SYS$PBDRIVER は同じ Galaxy 内で複数のクラスタをサポートできます。この機能は,SYS$PEDRIVER を使用して,同じ LAN で複数のクラスタがサポートされるのと同じ方法で実現されます。SYS$PEDRIVER で使用されるクラスタ・グループ番号とパスワードは,同じ Galaxy コミュニティ内の異なるクラスタを区別するために,SYS$PBDRIVER でも使用されます。Galaxy インスタンスが LAN を介して他の OpenVMS インスタンスとクラスタ接続もされている場合は,クラスタ・グループ番号は CLUSTER_CONFIG によって適切に設定されます。現在のクラスタ・グループ番号を判断するには,次のコマンドを入力します。
$ MCR SYMAN SYSMAN> CONFIGURATION SHOW CLUSTER_AUTHORIZATION Node: MILKY Cluster group number: 0 Multicast address: xx-xx-xx-xx-xx-xx SYSMAN> |
LAN を介してクラスタ接続されていないときに,同じ Galaxy コミュニティ内で複数のクラスタを稼動する場合は,クラスタ・グループ番号を設定しなければなりません。グループ番号とパスワードは,次のように同じクラスタ内のすべての Galaxy インスタンスで同一でなければなりません。
$ MCR SYSMAN SYSMAN> CONFIGURATION SET CLUSTER_AUTHORIZATION/GROUP_NUMBER=222/PASSWORD=xxxx SYSMAN> |
Galaxy インスタンスが LAN を介してクラスタ接続もされている場合は,CLUSTER_CONFIG はクラスタ・グループ番号を質問し,Galaxy インスタンスはこれらのグループ番号を使用します。LAN を介してクラスタ接続されていない場合は,グループ番号のデフォルトは 0 になります。つまり,Galaxy 内のすべてのインスタンスは同じクラスタ内に存在します。
16.1.3 SYS$PBDRIVER の SYSGEN パラメータ
ほとんどの場合,SYS$PBDRIVER のデフォルト設定を使用すると適切です。しかし,いくつかの SYSGEN パラメータも準備されています。SMCI_PORTS と SMCI_FLAGS の 2 つの SYSGEN パラメータは SYS$PBDRIVER を制御します。
16.1.3.1 SMCI_PORTS
SYSGEN パラメータ SMCI_PORTS は,SYS$PBDRIVER の初期ロードを制御します。このパラメータはビットマスクであり,ビット 0〜25 はそれぞれコントローラ名を表します。ビット 0 がセットされている場合は,PBAx がロードされます。これはデフォルト設定です。ビット 1 がセットされている場合は,PBBx がロードされ,以下同様で,ビット 25 がセットされている場合は,PBZx がロードされます。OpenVMS Alpha バージョン 7.3--1 の場合,このパラメータはデフォルト値の 1 のままにしておいてください。
追加ポートをロードすると,Galaxy インスタンス間で複数のパスを使用できます。OpenVMS Alpha バージョン 7.3--1 では,SYS$PBDRIVER は,Fast Path をサポートしないので,複数の通信チャネルを使用しても利点がありません。OpenVMS の将来のリリースでは,SYS$PBDRIVER 用に Fast Path がサポートされるようになる予定です。Fast Path がサポートされるようになれば,複数の CPU が割り当てられたインスタンスは,インスタンス間に複数の通信チャネルを持つことで,スループットを向上できます。
16.1.4 SMCI_FLAGS
SYSGEN パラメータ SMCI_FLAGS は,SYS$PBDRIVER の動作を制御します。現在定義されているフラグはビット 1 だけです。ビット 1 は,ポート・デバイスがそれ自体との通信をサポートするかどうかを制御します。それ自体との SCS 通信をサポートする機能は,主にテストのために使用されます。デフォルト設定では,このビットはオフに設定され,システム・リソースを節約するために,ローカルな SCS 通信のサポートは無効になります。このパラメータは動的であり,このビットをオンにすると,SCS 仮想サーキットがただちに作成されます。
次の表に,SMCI_FLAGS パラメータのビットとビット・マスクの値を示します。
ビット | マスク | 説明 |
---|---|---|
0 | 0 | 0 = ローカル通信チャネルを作成しない (SYSGEN のデフォルト )。ローカル SCS 通信は主にテストで使用され,通常の操作では必要ない。このビットをオフにしておけば,リソースとオーバーヘッドを削減できる。
1 = ローカル通信チャネルを作成する。 |
1 | 2 | 0 = Galaxy およびクラスタの両方としてブートされた場合は,SYS$PBDRIVER をロードする (SYSGEN のデフォルト )。
1 = Galaxy としてブートされた場合は,SYS$PBDRIVER をロードする。 |
2 | 4 | 0 = 必要最低限のコンソール出力 (SYSGEN のデフォルト )
1 = 完全なコンソール出力,SYS$PBDRIVER は,通信チャネルを作成するときと,通信チャネルを破棄するときに,コンソール・メッセージを表示する。 |
OpenVMS Galaxy インスタンス間のローカル・エリア・ネットワーク (LAN) 通信は,イーサネット LAN 共用メモリ・ドライバでサポートされます。この LAN ドライバは共用メモリを介して,同じ OpenVMS Galaxy システム内の他のインスタンスと通信します。共用メモリを介して他のインスタンスと通信すれば,従来の LAN を介した通信より性能を大幅に向上できます。
LAN 共用メモリ・ドライバ SYS$EBDRIVER をロードするには,次のコマンドを入力します。
$ MCR SYSMAN SYSMAN> IO CONN EBA/DRIVER=SYS$EBDRIVER/NOADAPTER |
OpenVMS バージョン 7.3--1 で,LAN プロトコルがこの LAN デバイス (EBAn,ただし n はユニット番号 ) を介して自動的に起動するように設定するには,このドライバをロードするためのプロシージャを構成プロシージャに追加する必要があります。
SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM.
LAN ドライバは Ethernet/IEEE 802.3 と同じフレーム形式でイーサネット LAN をエミュレートしますが,最大フレーム・サイズは 1518 から 7360 バイトに拡大しています。LAN ドライバは標準の OpenVMS QIO および VCI インタフェースをアプリケーションに提供します。既存の QIO および VCI LAN アプリケーションはすべて,変更せずに動作するはずです。
将来のリリースでは,SYS$EBDRIVER デバイス・ドライバは自動的にロードされるようになります。
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