OpenVMS Alpha
オペレーティング・システム
V7.3-1 新機能説明書


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1.3 UNIX 移植性の向上

OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 では,UNIX アプリケーションを OpenVMS Alpha に移植するのに役立つソフトウェア・ツールを収録した「Open Source Tools CD-ROM」を提供するのに加えて,移植プロセスおよびマルチプラットフォーム環境をサポートする拡張機能がオペレーティング・システムの内部に組み込まれています。拡張ファイル指定には,ファイルへのアクセスや変更のために POSIX に準拠したタイム・スタンプが含まれるようになり,ハード・リンクや大文字と小文字を区別する機能もサポートされるようになりました。このタイム・スタンプは,RMS,システム・サービス,Compaq C 実行時ライブラリでもサポートされます。ODS-5 システム・ディスクが OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 でサポートされるようになりました。これらの機能と Open Source Tools for OpenVMS を組み合わせて利用することで,アプリケーション開発者にとって包括的な移植環境が実現され,ユーザやシステム管理者にとってオープンで柔軟性の高いコンピューティング環境が提供されます。

1.4 システム管理ツール

システム管理者にとって,OpenVMS が稼動するパーティション分割された AlphaServer を表示および制御するための新しい GCM(Graphical Configuration Manager)はとても役立つツールです。OpenVMS Cluster の管理者は,サーキットとポートの自動選択を無効にして,パフォーマンスと可用性を最適化できるようになりました。この新機能を利用するには,SCACP ユーティリティまたは Availability Manager を使用します。

1.5 新機能のまとめ

OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 には,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 のすべての機能に加えて,OpenVMS Alpha オペレーティング・システムに追加された新機能も含まれています。表 1-1 では,OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 で提供される各機能の概要を機能別(e-Business,一般ユーザ,システム管理,プログラミング,関連製品)に示しています。

表 1-1 OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 ソフトウェアの機能の概要
Compaq OpenVMS e-Business Infrastructure Package for OpenVMS Alpha
Compaq OpenVMS e-Business 次の e-Business テクノロジは,OpenVMS Alpha に付属している Compaq OpenVMS e-Business Infrastructure Package に含まれています。

  • Attunity Connect "On Platform" Package

  • Compaq BridgeWorks

  • COM for OpenVMS

  • Compaq Enterprise Directory for e-Business

  • NetBeans for OpenVMS

  • Reliable Transaction Router(RTR)

  • Compaq Secure Web Browser for OpenVMS Alpha

  • Compaq Secure Web Server for OpenVMS Alpha

  • Simple Object Access Protocol(SOAP)Toolkit

  • Compaq Software Development Kit(SDK)for the OpenVMS Operating System,for the Javatm Platform

  • Compaq XML Technology

Compaq OpenVMS e-Business Infrastructure Package では,OpenVMS Alpha 基本オペレーティング・システムの機能を強化するテクノロジとして,インターネットおよび e-Business ソフトウェア・テクノロジが提供されます。これらのテクノロジのライセンスは OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのライセンスに含まれています。

一般ユーザ機能
ドキュメント ドキュメントの更新情報はインターネットで提供されるようになりました。

このリリースでは,4 冊の新しいマニュアルが提供されます。

『Guide to Extended File Specifications』と『OpenVMS Master Index』はアーカイブされ,今後更新されないことになりました。

3Dlabs Oxygen VX1-AGP4X グラフィック・モジュールでの 2D グラフィックのサポート OpenVMS Alpha では,VX1 モジュールの PCI ベース・モジュールと AGP ベース・バージョンの両方の DMA のサポートも含めて,このモジュールのサポート・ソフトウェアが提供されるようになりました。
DCL コマンドとレキシカル関数 ODS-5 ボリューム,RAD 機能,セキュリティ,その他の多くの機能をサポートするために,DCL コマンドとレキシカル関数に多くの機能が追加されました。
WWPPS でのコードセット GB18030 のサポート 新しいコードセット GB18030-2000 は中国語(簡体字)と中国語(繁体字)をサポートします。
システム管理機能
ACCOUNTING ユーティリティ 新しい /WIDE 修飾子は,レポートに含まれる大きい数字に対応できるように,バッファード I/O およびダイレクト I/O フィールドの幅を変更します。
AlphaServer DS25 新しい AlphaServer DS25 は,プロセッサ速度が 1 GHz で最新の Gigabit Ethernet アダプタ・アーキテクチャのサポート機能を備えており,強力なコンピューティング環境で優れたパフォーマンスを実現します。AlphaServer DS25 は CD-R および CD-RW ドライブをサポートします。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティ 新しい /LOCK_VOLUME 修飾子を使用すると,ボリュームを分析している間,ボリュームに対するファイル・システムの動作を禁止できます。
ACME(Authentication and Credentials Management Extensions) ACME は,完全準拠の OpenVMS 認証機能をシングル API から提供するための簡単な方法をアプリケーションに提供します。
BACKUP ユーティリティの /DENSITY 修飾子 新しいキーワードを使用すると,磁気テープの記録密度を指定できます。
バッチ・ジョブでの NUMA Resource Affinity Domain のサポート バッチ処理サブシステムが更新され,NUMA 環境で RAD(Resource Affinity Domains)がサポートされるようになりました。
DECram バージョン 3.1 DECram V3.1 はパフォーマンスが向上し,新しいコマンド・インタフェースを提供するようになりました。また,Galaxy でサポートされるようになりました。
マルチプロセッサ・システムでの DECram,Mailbox ドライバ,ボリューム・シャドウイングのパフォーマンスの向上 DECram for OpenVMS バージョン 3.1 およびバージョン 2.5,Mailbox ドライバ,Volume Shadowing for OpenVMS は,マルチプロセッサ・システムで I/O のパフォーマンスを向上するように変更されました。
Fast Path のパフォーマンスの向上 Fast Path 対応デバイスは,ハードウェア割り込みを特定の Fast Path CPU で処理できるようになったため,プライマリ CPU で CPU サイクルを解放できます。
ファイル・システムの拡張機能 POSIX に準拠したタイム・スタンプ,アクセス日付,ハード・リンク,大文字と小文字の区別機能により,UNIX および OpenVMS でより柔軟性の高い相互運用可能な環境が構築されます。
GCM(Graphical Configuration Manager) GCM は,OpenVMS を実行するパーティション分割された AlphaServer システムの構成をグラフィックとして表示および制御するための機能を提供します。
Kerberos MIT の Kerberos 1.0.5 リリースが OpenVMS オペレーティング・システムに完全に移植され,統合されました。従来のバージョンでは,Kerberos はレイヤード製品として提供されていました。
LANCP 新しい LANCP の修飾子は,SET DEVICE コマンドおよび SHOW DEVICES コマンドの機能を強化します。
LIBDECOMP.COM LIBDECOMP.COM は,選択されたライブラリの拡張と縮小の両方をできるようになりました。また,このユーティリティが認識するすべてのライブラリのサイズと状態もリストできるようになりました。このユーティリティをできるだけ有効活用できるように,データ圧縮形式で提供されるライブラリの選択が変更されました。
ODS-5 ボリューム構造 ファイル名として使用できる文字セットの範囲が拡大され,ISO Latin-1 マルチナショナル文字セット(* と ? を除く)も使用できるようになりました。

ODS-5 ボリュームをシステム・ディスクとして使用できるようになりました。

OpenVMS Cluster のパフォーマンスの向上 クラスタ内でメッセージの送信とデータの転送に使用される多くのモジュールが,Alpha アーキテクチャの実行速度に対応できるように最適化されました。パフォーマンス,正確性,明確性を向上するために,複数の主要モジュールがルーチンごとに完全に書き直されました。

Fibre Channel ドライバ・ソフトウェアの最適化により,I/O ロックの保持時間が I/O 当たり 3〜6 マイクロ秒短縮され,その結果,I/O パフォーマンスが大幅に向上しました。

Fibre Channel 構成では,ホスト・バス・アダプタ内の I/O 終了割り込みは一まとめにされ,一度に 1 つずつ送信するのではなく,グループとして送信されるようになりました。この新しい方式により,I/O 作業負荷の高い環境では I/O パフォーマンスを向上できます。

MSCP でサービスされるデバイスの最大数は,これまでの 512 から 1000 に拡大されました。1 台の OpenVMS Alpha サーバで最大 1000 のディスクをサービスできるようになりました。この結果,システム管理者は OpenVMS Cluster ストレージをこれまでよりはるかに柔軟に構成できるようになります。

SCSI および Fibre Channel 構成で,ディスクに対する MSCP サービス・パスへのマルチパス・フェールオーバーがインプリメントされました。

マルチパス・バランシングとは,マルチパス・ディスク・デバイスまたはテープ・デバイスへの現在のパスへの選択が,接続されているパスのうち,そのパスを使用するデバイスの数が最も少ないパスに対して行われることを意味します。

Fibre Channel 構成で,フェールオーバも含めてマルチパス・テープのサポートがインプリメントされました。

ポートとサーキットの優先順位を設定できるようになりました。さらに,PEdriver の設計が変更され,SCS サーキットのロード・クラス値が更新されるようになりました。

OpenVMS Registry Registry データベースにインデックスを付けることにより,パフォーマンスが向上しました。Registry Control Program でパフォーマンスを向上するために 2 つの拡張機能が追加されました。
SHOW CLUSTER ユーティリティ 新しいフィールドが CIRCUITS クラスと LOCAL_PORTS クラスに追加され,仮想サーキットとローカル・システム・インタフェースに関する追加情報を表示するようになりました。
サブプロセス・パフォーマンスの向上 生成したサブプロセスに自動的に名前を付けるための新しい方法が開発されたことにより,オーバーヘッドが削減されました。
SYSMAN ユーティリティ RAD 機能をサポートするために,新しい RESERVED_MEMORY コマンドと修飾子が追加されました。
システム・パラメータ 新しいパラメータ DCL_CLTFLAGS,DELPRC_EXIT,MPDEV_AFB_INTVL,RMS_SEQFILE_WBH は OpenVMS V7.3-1 でパフォーマンス・オプションをサポートします。
SCACP(Systems Communications Architecture Control Program) クラスタ通信を監視および管理する SCACP ユーティリティに,柔軟性を向上する新機能が追加されました。
Fast Path をサポートする Ultra3 SCSI アダプタ 新しい Ultra3 SCSI アダプタである KZPEA は Fast Path をサポートします。
DECdtm への XA 機能の追加 OpenVMS に対して X/Open Distributed Transaction Processing XA インタフェースがインプリメントされました。このインタフェースを使用すると,OpenVMS DECdtm トランザクション・マネージャは XA 準拠のリソース・マネージャを統合することができ,XA 準拠のトランザクション処理システムは DECdtm 準拠のリソース・マネージャを統合することができます。
プログラミング機能
新しい Alpha プロセッサのパフォーマンス情報 弊社の Web サイトに新しいホワイト・ペーパーが公開され,プログラマが Alpha の最新のパフォーマンス機能を利用する方法が紹介されています。
ANALYZE コマンド 新しい /SHADOW_MEMBER 修飾子を使用すると,システム・ダンプ・ファイルを格納するシャドウ・セット・メンバを判断することができます。
Compaq C 実行時ライブラリ(CRTL)の拡張機能 2 GB より大きいファイルのサポート

コンパイル/リンク時に有効になる C RTL 機能

UNIX 形式のファイル名のサポートの強化

POSIX ルートのサポート

32 ビットのグループ識別子

DECdtm DECdtm で使用されるトランザクション処理用の複数のシステム・サービスがドキュメントに完全に記述されるようになりました。
CDSA(Common Data Security Architecture)と SSL(Secure Sockets Layer) CDSA はオープン・ソースのマルチプラットフォーム業界標準セキュリティ・アーキテクチャです。OpenVMS の一部として CDSA を統合し,開発者のために標準規格に準拠した暗号化インタフェースを提供することで,ソフトウェア開発を簡単に行うことができるようになりました。SSL は,SSL 証明書の表示と作成のための証明書ツールを提供します。
Compaq SSL for OpenVMS Alpha と LDAP Compaq SSL for OpenVMS Alpha が LDAP セッションで利用できるようになりました。
浮動小数点レジスタおよび実行データ・ブロック(FRED)の新しい動作 FRED ブロックは必要に応じて割り当てられるようになったため,カーネル・スレッドを使用するアプリケーションの拡張性とパフォーマンスが向上します。
将来のアーキテクチャを対象にしたコードの変更 アプリケーション開発者のために,OpenVMS の将来のバージョンに関する情報が提供されます。
Galaxy でのイメージ・セクションのサポート 書き込み共用イメージ・セクションを Galaxy グローバル・セクションに配置することができるようになったため,Galaxy でサポートされるアプリケーションの機能が強化されました。
メールボックス・バッファ・クォータの拡大 $CREMBX システム・サービスはこれまでより大きなメール・ボックス・バッファ・クォータをサポートするようになったため,アプリケーションの拡張性が向上しました。
RMS の機能拡張 デフォルトの I/O 転送サイズが拡大したため,I/O の回数が削減され,パフォーマンスを向上できます。

POSIX に準拠したタイム・スタンプのサポートが追加されました。

新しい RMS write-behind パフォーマンス・オプションにより,I/O のオーバーラップが可能になり,一部のアプリケーションではパフォーマンスを大幅に向上できます。

System Dump Analyzer 拡張ファイル・キャッシュ(XFC)を分析するための新しいコマンドなど,パフォーマンスを向上するために新しいコマンドと修飾子が追加されました。
SDA Spinlock Tracing ユーティリティ SHOW TRACE コマンドと SHOW COLLECT コマンドに 2 つの新しい修飾子 /RATES と /TOTALS が追加され,スピンロックの動作を監視および調整する機能が強化されました。
システム・サービス 複数のシステム・サービスが追加および更新されました。

NUMA RAD(Resource Affinity Domain)のバッチ・ジョブをサポートするように,システム・サービスが更新されました。

NUMA でスレッド・ライブラリをサポート GS シリーズの Alpha(NUMA)システムでアプリケーションの拡張性とパフォーマンスを向上するために,スレッド・プログラムは NUMA システムの複数の RAD を利用できるようになりました。
関連製品機能
Compaq Advanced Server for OpenVMS Alpha バージョン 7.3 は OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 でサポートされます。
Compaq C Run-Time Header Files Library ライブラリ関数およびマクロ定義を格納したヘッダ・ファイルが OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 の Layered Products CD-ROM で提供されます。
Compaq PATHWORKS for OpenVMS(Advanced Server) バージョン 6.1 は OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 でサポートされます。
Compaq TCP/IP Services for OpenVMS この製品のバージョン 5.3 が OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 でサポートされます。
OpenVMS Management Station バージョン 3.2 OpenVMS Management Station バージョン 3.2 が OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 に付属しています。
Powerstorm 300/350 グラフィックのサポート バージョン 2.0 には,OpenGL Utility Toolkit(GLUT)の新機能が含まれています。
UNIX 移植性の向上 UNIX アプリケーションを OpenVMS に簡単に移植できるようにするために,UNIX 移植性機能が導入されました。
Open Source Tools for OpenVMS OpenVMS バージョン 7.3-1 に付属している Open Source Tools CD-ROM には,UNIX から OpenVMS への移植を促進するための多くのユーティリティとソースが含まれています。


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