OpenVMS Alpha
オペレーティング・システム
V7.3-1 新機能説明書


前へ 次へ 目次 索引


3.4.1 RECALL/ALL の更新

RECALL/ALL コマンドは,リコール・バッファ内の特定のコマンドだけを表示することができるパラメータを受付けるようになりました。

次の例を参照してください。


$ RECALL/ALL SHOW 
  1 show system 
  4 show users 
  5 show intrusion 
  6 show error 
  7 show time 

3.4.2 SET COMMAND/OBJECT の更新

SET COMMAND/OBJECT コマンドによって割り当てられる仮想メモリの値を拡大するために,新しい論理名 CDU$TABLE_SPACE を使用できるようになりました。

バージョン 7.3-1 より前のバージョンでは,非常に大きなコマンド定義(CLD)ファイルをコンパイルすると,次のエラーが発生することがありました。


%CDU-F-INTNODESPACE, Internal error: node space exhausted 

SET COMMAND/OBJECT で割り当てられる仮想メモリのデフォルト値は 384KB です。この値は,大きな CLD ファイルを処理するには不十分なことがあります。

このサイズを拡大するには,CDU$TABLE_SPACE 論理名を使用して,これより大きい値を指定し,コマンドを再実行します。次の例を参照してください。


$ DEFINE CDU$TABLE_SPACE 2048 
$ SET COMMAND/OBJECT MYCLD.CLD 
$ DIR *.OBJ 
 
Directory $1$DKA600:[GUY.CDU] 
 
MYCLD.OBJ;1 

3.4.3 SHOW DEVICES の更新

大きなディスク・サイズに対応できるように,SHOW DEVICES コマンドで空き領域をバイト数で表示できるようになりました。

バージョン 7.3-1 より前のバージョンでは,SHOW DEVICES コマンドは空き領域をブロック単位でのみ表示していました。

バージョン 7.3-1 以降,SHOW DEVICES/SIZE=BYTES コマンドを使用して,空き領域をバイト単位で表示できるようになりました。次の例を参照してください。


$ SHOW DEVICES DKB/SIZE=BYTES 
 
Device                Device     Error    Volume         Free  Trans Mnt 
 Name                 Status     Count     Label         Space Count Cnt 
$2$DKB0:    (IPG32)Mounted        0  ENG_IMAGES      5.41GB     1   3 
$2$DKB100:  (IPG32)Online         0 
$2$DKB300:  (IPG32)Online         0 
$2$DKB400:  (IPG32)Online         0 (remote shadow member)
$2$DKB500:  (IPG32)Mounted        0  GUY           621.37MB     1   4 
$2$DKB600:  (IPG32)Mounted        0  DATA           11.54GB     1   4 
$ 

SHOW DEVICES/FULL コマンドは,現在でも空き領域をブロック単位で表示します。

3.5 WWPPS で GB18030 コードセットのサポートを追加

WWPPS(World-Wide PostScript Printing Subsystem)で,中国語(簡体字)と中国語(繁体字)用の新しい標準コードセット GB18030-2000 がサポートされるようになりました。中華人民共和国(PRC)でビジネスを展開する場合,コードセット GB18030 をサポートすることは必要条件です。

WWPPS の詳細については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。


第 4 章
システム管理機能

この章では,システム管理者に関連する新機能,変更点,拡張機能について説明します。

4.1 ACCOUNTING ユーティリティに追加された新しい修飾子

ACCOUNTING ユーティリティの /WIDE 修飾子は,レポート内のバッファード I/O およびダイレクト I/O のフィールド幅を 8 文字から 10 文字に変更します。/WIDE 修飾子を使用しなかった場合,これらのフィールドでオーバーフローが発生すると,アスタリスク(*****)が表示されます。

詳細については,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

4.2 AlphaServer DS25

OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 では,AlphaServer DS20 ファミリに追加された最新の AlphaServer DS25 がサポートされます。AlphaServer DS25 は,プロセッサ速度が 1 GHz で,最新の Gigabit Ethernet アダプタ・アーキテクチャをサポートし,強力なコンピューティング環境で最高のパフォーマンスを提供します。

4.2.1 Broadcom 5700 シリーズ Gigabit Ethernet

AlphaServer DS25 では,3COM Gigabit Ethernet アダプタ(DEGXA)が LAN デバイスおよびクラスタ・インターコネクト・デバイスとしてサポートされます。このサポートは将来の AlphaServer でも提供される予定です。

4.2.2 CD-ROM を作成するための新しい CDRECORD.COM の使用

AlphaServer DS25 システムで稼動する OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 で,CD-R および CD-RW ドライブの読み込み機能と書き込み(ライトワンス)機能がサポートされるようになりました。これらのシテスムおよび将来の AlphaServer システムでは,ファイルの配布やバックアップのために独自の CD-ROM を作成できます。

CD-ROM を作成するには,CD-Recordable(CD-R または CD-RW)ドライブと新しい CD-R ディスクが必要です。CD-R および CD-RW ドライブでは,レーザー・ビームを使用してブランクの CD-R ディスクにデータを書き込みます(焼き付けます)。CD-R ディスクは "ライトワンス" です。つまり,データは 1 回しか書き込むことができません。再書き込みはできません。

書き込みプロセスでは,Files-11 フォーマットの CD-ROM が作成されます。OpenVMS が動作するコンピュータに接続され,サポートされる CD-ROM リーダーであれば,作成した CD-ROM を読み込むことができます。

注意

データ・ファイルを記録した CD-ROM は作成できますが,現時点ではオーディオの記録はサポートされません。

OpenVMS では,認定された CD-R および CD-RW ドライブだけがサポートされます。各 Alpha システムでサポートされるドライブの詳細については,次の Web サイトの適切なページを参照してください。


    http://www.compaq.com/alphaserver/configure.html    

COPY コマンドを使用して,ファイルをハード・ドライブから CD-R ディスクに転送することはできません。CDRECORD.COM というプログラムを使用してください。1 CDRECORD.COM のソースは Open Source Tools for OpenVMS CD-ROM に収録されています(第 6.8 節 を参照)。CDRECORD.COM の使用方法の詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル(上巻)』を参照してください。

注意

1 CDRECORD ソフトウェアは弊社で開発したものではなく,社外で開発され,GNU 一般公衆利用許諾契約書バージョン 2 によって保護されています。ソフトウェアのソースのコピーおよび GNU ライセンスは,Compaq OpenVMS Freeware Web ページに掲載されています。アドレスは http://www.openvms.compaq.com/openvms/freeware/ です。

4.3 ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティの新しい修飾子

ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティの /LOCK_VOLUME 修飾子を使用すると,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティを使用してボリュームを分析している間,ボリュームに対するファイル・システムの動作を防止できます。

詳細については,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

4.4 ACME(Authentication and Credentials Management Extensions)サブシステム

ACME(Authentication and Credentials Management Extensions)サブシステムは,認証および persona ベースの証明書サービスを提供します。

アプリケーションは,これらのサービスを使用してユーザと対話し,次の 1 つ以上の機能を実行できます。

ACME は,標準的な OpenVMS 認証および外部認証ポリシーをサポートします。したがって,アプリケーションでは,システムの LOGINOUT および SET PASSWORD コンポーネントが使用しているのと同じ仕組みを利用します。

ACME サブシステムの概要については,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

ACME サブシステム・コンポーネントの詳細については,次のマニュアルを参照してください。

ACME コンポーネント 説明しているドキュメント
SYS$ACM システム・サービス 『OpenVMS System Services Reference Manual』と『OpenVMS Programming Concepts Manual』
ACME_SERVER プロセスと ACME ポリシー・プロバイダ・エージェント 『OpenVMS Guide to System Security』
DCL コマンド SET SERVER ACME および SHOW SERVER ACME 『OpenVMS DCL ディクショナリ』

4.5 BACKUP ユーティリティの /DENSITY 修飾子でサポートされる新しいキーワード

BACKUP コマンドの /DENSITY 修飾子では,出力磁気テープの記録密度を指定できるようになりました。次の表は,OpenVMS バージョン 7.3-1 以降サポートされるようになった /DENSITY 修飾子の新しいキーワードを示しています。

キーワード 説明
AIT1 Sony Advanced Intelligent Tape 1 - Alpha のみ
AIT2 Sony Advanced Intelligent Tape 2 - Alpha のみ
AIT3 Sony Advanced Intelligent Tape 3 - Alpha のみ
AIT4 Sony Advanced Intelligent Tape 4 - Alpha のみ
DLT8000 DLT 8000 - Alpha のみ
8900 Exabyte 8900 - Alpha のみ
SDLT SuperDLT1 - Alpha のみ
SDLT320 SuperDLT320 - Alpha のみ

詳細については,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

4.6 NUMA RAD(Resource Affinity Domain)のためのバッチ・ジョブのサポート

ここでは,NUMA 環境で RAD(Resource Affinity Domain)をサポートするために,OpenVMS バッチ処理サブシステムに対して行われた拡張について説明します。

システム管理者は RAD バッチ・キューを割り当てることができるようになり,ユーザはバッチ・ジョブを実行する RAD を指定できるようになりました。

これらの新機能は,バッチ実行キューおよびバッチ・ジョブで使用する場合に制限されています。

$GETQUI および $SNDJBCF システム・サービスの詳細については,第 5.15 節 を参照してください。DCL コマンドの詳細については,『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

4.6.1 バッチ・キュー・レベルの RAD のサポート

DCL コマンド INITIALIZE/QUEUE,SET/QUEUE,START/QUEUE で,新しい /RAD 修飾子を使用できるようになりました。システム管理者はこの修飾子を使用して,キューに割り当てられているバッチ・ジョブを実行する RAD の番号を指定します。

RAD の値は,0〜SYI$_RAD_MAX_RADS の範囲の正の整数です。SHOW/QUEUE/FULL コマンドは出力に RAD を表示するようになり,F$GETQUI レキシカル関数は新しい RAD アイテムを受付けるようになりました。


ここでは,一連のコマンドと,これらのコマンドがバッチ・キューに与える影響について説明します。バッチ・キューの変更をわかりやすく示すために,各々の例には SHOW コマンドも含まれています。

4.6.2 ジョブ・レベルの RAD のサポート

SUBMIT コマンドと SET ENTRY コマンドで新しい /RAD 修飾子を使用できるようになりました。

ユーザは,登録したバッチ・ジョブを実行する RAD の番号を修飾子の値に指定します。SHOW ENTRY コマンドと SHOW QUEUE/FULL コマンドは機能が拡張され,バッチ・ジョブの RAD の設定を表示するようになりました。


RAD が設定されていないバッチ・キューにジョブが登録されると,そのジョブは SUBMIT コマンドに指定された RAD を使用して実行されます。

次のコマンドは TEST.COM を ANYRADQ キューに登録します。ANYRADQ キューには RAD が設定されていません。


$ SUBMIT/HOLD/QUEUE=ANYRADQ /RAD=1  TEST.COM 
Job TEST(queue ANYRADQ, entry 23)holding 
 
$ SHOW ENTRY/FULL 23 
  Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
  -----  -------         --------     ------  ------ 
     23  TEST            SYSTEM               Holding 
         On idle batch queue ANYRADQ 
         Submitted 24-JUL-2001 14:19:37.44 /KEEP /NOPRINT /PRIORITY=100 /RAD=1 
         File: _$1$DKB200:[SWEENEY.CLIUTL]TEST.COM;1 

RAD が設定されていないバッチ・キューにジョブが登録されると,そのジョブは SUBMIT コマンドに指定された RAD とは無関係に,キューに指定されている RAD を使用して実行されます。この動作は他のバッチ・システム機能と整合性がとれています。

キュー BATCHQ1 は /RAD=0 として定義されています。次の SUBMIT コマンドは,ユーザが登録時に RAD 1 を指定した場合でも,RAD 0 で実行されるジョブを作成します。


$ SUBMIT/HOLD/QUEUE=BATCHQ1 /RAD=1  TEST.COM 
Job TEST(queue BATCHQ1, entry 24)holding 
 
$ SHOW ENTRY 24/FULL 
  Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
  -----  -------         --------     ------  ------ 
     24  TEST            SYSTEM               Holding 
         On idle batch queue BATCHQ1 
         Submitted 24-JUL-2001 14:23:10.37 /KEEP /NOPRINT /PRIORITY=100 /RAD=0 
         File: _$1$DKB200:[SWEENEY.CLIUTL]TEST.COM;2 

4.6.3 実行時の動作

バッチ・ジョブに RAD を指定した場合,ジョブ・コントローラは $CREPRC home_rad 引数をジョブの RAD の値に設定してプロセスを生成します。

ジョブで指定した RAD が対象システムで無効な場合は,ジョブは実行されず,ジョブ・コントローラは,不正な RAD が指定されたことを示すメッセージをオペレータ・コンソールに送信します。不正な RAD の値がバッチ・キューの RAD の設定と一致する場合は,バッチ・キューは停止し,ジョブはキューに残されます。

4.6.3.1 エラー処理

次の例は実行時のエラー処理を示しています。


SYSTEM@QUEBID> SUBMIT/NONOTIFY/NOLOG/QUEUE=BATCHQ1 TEST.COM 
Job TEST(queue BATCHQ1, entry 30)started on BATCHQ1 
 
OPCOM MESSAGES 
 
SYSTEM@QUEBID> START/QUEUE BATCHQ1 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  25-JUL-2001 16:15:48.52  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on QUEBID 
%JBC-E-FAILCREPRC, job controller could not create a process 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  25-JUL-2001 16:15:48.53  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on QUEBID 
-SYSTEM-E-BADRAD, bad RAD specified 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  25-JUL-2001 16:15:48.54  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on QUEBID 
%QMAN-E-CREPRCSTOP, failed to create a batch process, 
queue BATCHQ1 will be stopped 
  
$SYSTEM@QUEBID> WRITE SYS$OUTPUT  - 
_$ F$message(%x'F$GETQUI("DISPLAY_ENTRY","CONDITION_VECTOR","30")')
%SYSTEM-E-BADRAD, bad RAD specified 

4.6.3.2 バッチ・キューでの RAD の変更

バッチ・キューで RAD の値を変更しても,そのバッチ・キューに現在登録されているジョブは,キューに指定した新しい RAD の値に変更されません。

実行中のジョブは,変更前の RAD の値を使用して処理されます。待機状態,保留状態,実行時間待ち状態のジョブは,ジョブに指定されていた前の RAD の値をそのまま保持します。しかし,このようなジョブが実行可能な状態になると,ジョブは新しい RAD の値で更新され,キューに指定された RAD で実行されます。


前へ 次へ 目次 索引