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OpenVMS Galaxy では,Galaxy インスタンス間でデータを共用する機能が提供されます(OpenVMS で Galaxy グローバル・セクションとして提供)。OpenVMS バージョン 7.3-1 では,INSTALL ユーティリティとイメージ・アクティベータが Galaxy グローバル・セクションに書き込み共用イメージ・セクションを配置する機能がサポートされるようになりました。この機能を使用すると,書き込み可能イメージ・セクションを使用してデータを共用する既存のアプリケーションは Galaxy 環境に拡張することができます。
INSTALL/ADD WRITABLE=GALAXY は,書き込み共用イメージ・セクションを Galaxy グローバル・セクションに配置します。また,GALAXY で IDENT キーワードを使用して,Galaxy グローバル・セクションの名前にイメージ ID を含むこともできます。このようにすると,Galaxy システムで 1 つのイメージの複数のバージョンを同時に使用できます。
詳細については,『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』を参照してください。
5.10 メールボックス・バッファ・クォータの拡大
バージョン 7.3-1 より前のバージョンでは,メールボックス・バッファ・クォータの最大サイズは 64,000 バイトでした。OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 では,アプリケーションの拡張性を向上するために,これまでより大きいバッファ・クォータでメールボックスを作成する機能がサポートされるようになりました。
$CREMBX システム・サービスを使用してメールボックスを作成する場合,BUFQUO パラメータでメールボックス・バッファ・クォータを指定することができます。メールボックス・バッファ・クォータを指定しなかった場合は,システム・パラメータ DEFMBXBUFQUO によって暗黙に指定されます。
次のことに注意してください。
ここでは,OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 オペレーティング・システムに追加された RMS の新機能について説明します。これらの新機能は I/O パフォーマンスを向上し,UNIX から OpenVMS Alpha への移植を容易にします。
5.11.1 I/O の回数を削減するためのデフォルトの I/O 転送サイズの拡大
順編成ディスク・ファイルのマルチブロック・カウントは,ディスクのブロック転送での RMS 中間バッファのサイズを決定します。このカウントは I/O 転送サイズとして機能します。システムのデフォルトのマルチブロック・カウントは 16 から 32 に拡大されました。この拡大により,順編成ファイルの読み込みおよび書き込み I/O 要求の数は半分に減少します。アプリケーションでマルチブロック・カウントを明示的に割り当てなかったり(RAB$B_MBC 設定を使用),プロセスのデフォルトとして指定しなかった場合(DCL の SET RMS_DEFAULT コマンドを使用),マルチブロック・カウントの新しいシステム・デフォルトである 32 が適用されます。
プロセスまたはシステムのマルチブロック・カウント・デフォルト・パラメータ(SET RMS_DEFAULT/BLOCK_COUNT または SET RMS_DEFAULT/SYSTEM/BLOCK_COUNT コマンドで設定するか,SYSGEN パラメータ RMS_DFMBC で設定)は,プロセスまたはシステムのデフォルト値を以前の 16 ブロックという値に動的に戻すことができます。また,ワーキング・セット・クォータを適切に変更した後,プロセス・レベルまたはシステム・レベルで 32 より大きい値にマルチブロック・カウントを拡大することもできます。マルチブロック・カウントの最大値は 127 ブロックです。RMS バッファのサイズを大きくすると,小さなワーキング・セット・クォータのプロセスでページ・フォルトが発生する回数が増大する可能性があるため,システム・デフォルトの拡大は 32 までに制限されています。
DCL でプロセス・パーマネント・ファイル(PPF)としてオープンされるファイルは,プロセスまたはシステムのマルチブロックのデフォルト値の影響を受けないため,DCL のファイル・オープンはこの機能向上の影響を受けません。しかし,マルチブロック・カウントのシステム・デフォルト値を変更すると,アプリケーションで(RAB$B_MBC 設定を使用して)明示的にマルチブロック・カウントを割り当てていない場合,プロセス・パーマネント・ファイルをオープンするために FAB$V_PPF(ドキュメントに記載されていません)オプションを使用する特権付きアプリケーションに影響する可能性があります。
このマルチブロック・カウントの拡大は,複合クラスタでは互換性を維持していますが,VAX や以前の Alpha のバージョンには間接的に影響を与える可能性があります。新しいリリースで共用順編成ファイルを最初にオープンすると,システムのマルチブロック・デフォルト値は 32 ブロックに設定されます。最初にアクセスするプロセスは,その後アクセスするすべてのプロセスのマルチブロック・カウントを決定するため,その後アクセスするプロセスが以前のバージョンのシステムからファイルをオープンする場合,マルチブロック・カウントは 32 になります。
この新機能はデフォルトの拡張ブロック数も間接的に変更します。この値は,現在の 32 ブロック(デフォルトのマルチブロック・カウント 16 の 2 倍)ではなく,64 ブロック(マルチブロック・カウント 32 の2 倍)を使用します。
5.11.2 POSIX 準拠のファイル・タイムスタンプのサポート
UNIX アプリケーションを OpenVMS Alpha に移植する作業を簡単にするために,RMS では POSIX 準拠のファイル・タイムスタンプがサポートされるようになりました。XABDAT 構造が拡張され,POSIX に準拠したアクセス日付,属性変更日付,データ変更日付($OPEN と $DISPLAY)が含まれるようになりました。この機能は,$CREATE ですべての日付を設定するときも使用できます。この機能はファイルを復元するときに使用される可能性があります。これらの日付のサポートは,ODS-5 ボリュームに制限されており,ボリュームでアクセス日付をサポートする機能が有効に設定されている必要があります。
POSIX 準拠のアクセス日付,属性変更日付,データ変更日付の値を RMS を通じて更新する機能は,XABITM 構造を使用してサポートされます。
アクセス時刻の更新を行わないようにするには,XABITM$_NORECORD を使用します。
5.11.3 新しいシステム RMS write-behind パフォーマンス・オプション
非共用順編成ファイルで RMS がディスクに対して書き込みをオーバーラップさせることを要求するために,既存のユーザ write-behind(RAB$L_ROP の RAB$V_WBH 設定)オプションを使用できます。write-behind オプションを指定すると,接続時に RMS で少なくとも 2 つのバッファが割り当てられます。1 つのバッファがレコードで満杯になると,RMS は 2 番目のバッファに切り換え,非同期 QIO を発行して最初のバッファの内容をディスクに書き出します。RMS はプロセスをストールするわけではなく,最初のバッファの QIO が終了するまでの間,2 番目のバッファのレコードの処理を続行します。I/O のオーバーラップは一部のアプリケーションでパフォーマンスを大幅に向上することができます。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 では,write-behind 機能をシステム・デフォルトとして実行するように RMS に対して外部的に要求するために,動的 SYSGEN パラメータ(RMS_SEQFILE_WBH)として新しいシステム RMS write-behind パフォーマンス・オプションが導入されました(『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照)。このシステム・オプションを設定すると,RMS はイメージ I/O のためにオープンされた非共用順編成ファイルに対して書き込みアクセスが要求された場合,既存の RMS ユーザ write-behind オプションを常にシステム・デフォルトとして実行します(RAB$L_ROP RAB$V_WBH の設定にかかわらず)。
この機能はシステム・オプションです。しかし,次の理由からデフォルトではありません。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 では,大きなメモリ・ダンプの速度が向上し,システム・クラッシュ・ダンプ・ファイルを書き込む時間が大幅に短縮されました。
また,SDA XFC(Extended File Cache)コマンドの追加も含めて,System Dump Analyzer(SDA)の新しいコマンドと修飾子が数多く追加されました。詳細については,『OpenVMS Alpha System Analysis Tools Manual』を参照してください。
5.12.1 新しい VALIDATE TQE コマンド
新しい VALIDATE TQE コマンドは,タイマ・キュー・エントリ(TQE)に関連するすべてのデータ構造を確認します。
5.12.2 新しい TQE タイプ
SHOW TQE コマンドは,次の新しい TQE タイプも含めて,タイマ・キュー・エントリ(TQE)を表示します。
カラム | シンボル | 説明 |
---|---|---|
6 | N | AST 完了時に TQE の割り当ては解除されない。 |
-- | AST の完了時に TQE の割り当ては解除される。 |
表 5-2 は OpenVMS バージョン 7.3-1 で追加された新しい SDA コマンドの修飾子を示しています。
コマンド | 修飾子 | 説明 |
---|---|---|
SHOW PROCESS | /POOL | プロセス P0(プロセス)または P1(制御)領域の動的ストレージ・プールを表示する。SHOW PROCESS コマンドの次の修飾子は,SHOW PROCESS/POOL コマンドにも適用されるようになった。/FREE,/HEADER,/MAXIMUM_BYTES,/STATISTICS,/SUBTYPE,/SUMMARY,/TYPE,/UNUSED。 |
/TQE | 現在のプロセスに関連するすべてのタイマ・キュー・エントリを表示する。 | |
SHOW RESOURCES | /LIST | 各リソースの要約情報と,リソースに割り当てられているすべてのロックのリストを表示する。 |
5.12.4 新しい SDA XFC(Extended File Cache)コマンド
表 5-3 は,SDA XFC(Extended File Cache)のコマンドとパラメータおよび修飾子を示しています。これらのコマンドは,拡張ファイル・キャッシュをチューニングしてプログラムのパフォーマンスを向上するための分析ツールとして使用できます。
コマンド | 機能 |
---|---|
EXIT | XFC SDA 拡張機能を終了する。このコマンドにはパラメータも修飾子もない。 |
LOAD DSF | SDA> FORMAT コマンドで使用するために,シンボルを指定されたデバッグ・シンボル・ファイル(DSF)にロードする。このコマンドにはパラメータも修飾子もない。 |
SHOW CONTEXT |
XFC コンテキスト構造(CTX)の内容を表示する。このコマンドにはaddress というパラメータが 1 つだけあり,これは CTX のアドレスである。アドレスを指定しなかった場合は,すべてのコンテキスト構造が表示される。次の 3 つの修飾子がある。
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SHOW EXTENT | エクステント制御ブロック(ECB)の内容を表示する。このコマンドにはaddress というパラメータが 1 つだけあり,これは ECB のアドレスである。修飾子はない。 |
SHOW FILE | キャッシュ・ファイル・ブロック(CFB)の内容を表示する。このコマンドにはaddress というパラメータが 1 つだけあり,これは CFB のアドレスである。/OPEN 修飾子と /CLOSED 修飾子は指定しても無視される。アドレスを指定しなかった場合は,すべての CFB が表示される。このコマンドには次の 8 つの修飾子がある。
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SHOW MEMORY | キャッシュが使用しているメモリに関する情報を表示する。このコマンドにパラメータはない。修飾子は次の 2 つである。
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SHOW SUMMARY | 拡張ファイル・キャッシュに関する全般的な情報を表示する。このコマンドにパラメータはない。修飾子は /STATISTICS だけであり,I/O サイズの順に並べられた読み込みおよび書き込み操作が表示される。 |
SHOW TABLES | エクステント・ハッシュ・テーブル(EHT)とファイル・ハッシュ・テーブル(FHT)の両方を表示する。このコマンドにパラメータはない。修飾子は次の 4 つである。
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SHOW TRACE | 最新のエントリから古いエントリへの順に,XFC トレース・バッファ全体または選択した部分を表示する。このコマンドにパラメータはない。修飾子は次の 6 つである。
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SHOW VOLUME | キャッシュ・ボリューム・ブロック(CVB)の内容を表示する。このコマンドにはaddress というパラメータが 1 つだけあり,これは CVB のアドレスである。アドレスを指定しなかった場合は,すべてのボリュームが表示される。修飾子は次の 4 つである。
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