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Windows または Linux から日本語 OpenVMS へファイルを転送して,ファイルの内容が壊れてしまった場合には,日本語 OpenVMS のレコード・フォーマットについての高度な知識があれば,ファイルを修復できる場合があります。特にテキスト・ファイルをバイナリ・ファイルとして日本語 OpenVMS システム上に転送した場合は,理論上はデータの欠落がないので修復可能です。以下のコマンドを実行してください。
$ set file text.bin /attribute=(rfm:stm,rat:cr) |
このコマンドを実行すると,ファイルのレコード・フォーマットは Stream となり,エディタで編集可能となります。以下のコマンドでファイルの文字コードセットを適切に変換すれば,正しいテキスト・ファイルを得ることができます。
$ iconv convert text.bin /fromcode=sjis text.txt /tocode=sdeckanji |
C.5.2 バイナリ・ファイルをテキスト・ファイルとして転送した場合
Windows 上のバイナリ・ファイルをテキスト・ファイルとして日本語 OpenVMS へ転送してしまった場合,Windows 側のファイル転送ユーティリティによって漢字コード変換が行なわれるため,殆どの場合はファイル内容が壊されてしまいます。
一部の UNIX のように,漢字コードに EUC を使っている場合は,日本語 OpenVMS へのファイル転送の際に漢字コード変換が必要ないため,ファイルを修復できる場合があります。実際に修復できるかどうかは,日本語 OpenVMS 上に作成されたファイルの状態に依存します。
テキスト・ファイルとして日本語 OpenVMS へ転送された結果できあがったファイルが,Stream_LF フォーマットになっている場合は,以下のコマンドで修復できる場合があります。
$ set file binary.txt /attribute=(rfm:fix,rat:none) |
もし Variable length フォーマットになっている場合には,データの一部が失われている可能性が大きく,修復は困難です。
C.6 DECnet を利用する
DECnet は旧 DEC 社の独自のネットワークです。日本語 OpenVMS のほとんどの DCL コマンドは DECnet をサポートしています。
日本語 OpenVMS システムで DECnet を利用するためには,あらかじめ DECnet ソフトウェアがシステムにインストールされ,動作している必要があります。DECnet が動作しているかどうかは,次のようにして知ることができます。
$ show network Product: DECNET Node: TKO Address(es): 12.345 $ |
Product: の項目に DECnet と表示されれば,DECnet が動作しています。
C.7 DECnet を利用してリモート・システムへログインする
現在ログインしている日本語 OpenVMS システムから,リモート・システムにログインするためには SET HOST コマンドを使います。
$ SET HOST OSAKA Welcome to OpenVMS(TM)Alpha Operating System, Version V7.3-1 Username: |
リモート・システムでの作業が完了し,そのシステムをログアウトすると,元の日本語 OpenVMS システムに制御が戻ります。
C.8 DECnet を利用してリモート・システム間でファイルを転送する
DIR や COPY など,ほとんどの DCL コマンドは DECnet に対応しているので,簡単な操作でリモート・システムへアクセスできます。ユーザ名とパスワードは
二重引用符(" ")で囲み,コマンドライン上で指定します。
$ コマンドリモート・システム名"ユーザ名パスワード":: |
C.8.1 DECnet を利用してファイルの一覧を取得する
ファイルの一覧を取得するには,次のようにします。
$ DIR OSAKA"YAMADA パスワード":: Directory OSAKA"yamada password":: LOGIN.COM;1 1 9-MAY-2001 15:59:46.53 MAIL.MAI;1 27 22-JAN-2002 10:41:56.21 Total of 2 files, 28 blocks. $ |
ファイルをコピーするには,次のようにします。
$ COPY OSAKA"YAMADA PASSWORD"::LOGIN.COM [] $ |
C.9 DECnet を利用してパスワード入力なしにアクセスする
セキュリティが重要なリモート・システムに対し,コマンド・ラインでパスワードを入力せずに DECnet を使用してファイル・アクセスを行う方法があります。
コマンド・ラインでパスワードを入力しないで,DECnet を使用してリモート・システムにアクセスするには,使用しているこちら側のシステムの名前とアクセスしたいユーザ名とを,あらかじめリモート・システム側に登録しておく必要があります。これをプロキシと呼びます。
プロキシの登録はシステム管理者が行います。プロキシの登録が完了すると,以下のようにユーザ名もパスワードも入力せずに,リモート・システムへのアクセスができるようになります。
$ DIR OSAKA:: Directory OSAKA::USER$DISK:[YAMADA] LOGIN.COM;1 1 9-MAY-2001 15:59:46.53 MAIL.MAI;1 27 22-JAN-2002 10:41:56.21 Total of 2 files, 28 blocks. $ |
C.10 日本語 OpenVMS がサポートするネットワーク・プロトコルとネットワーク製品
日本語 OpenVMS がサポートするネットワーク・プロトコルとネットワーク製品には次のものがあります。
TCP/IP
DECnet
JMAIL ユーティリティは,日本語 OpenVMS が提供しているユーザ間で電子メールをやりとりするためのユーティリティです。ここでは,JMAIL の基本操作について説明します。(JMAIL について詳しくは『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』または『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』の「Mail ユーティリティ」をご覧ください。)
JMAIL ユーティリティを使用する前に JMAIL ユーティリティで使用する用語を次に説明します。
JMAIL ユーティリティを使用して情報を扱う際の情報の最小の単位を,メール・メッセージといいます。
受け取ったメール・メッセージには,そのメール・メッセージの 発信人の名前が付けられています。発信人の名前の形式は,次のとおりです。
ノード名::ユーザ名 "個人名" |
ユーザが個人名を設定していると,ユーザ名の後に個人名が付きます。
ヘッダには次の項目があります。
メール・メッセージを送るときは,相手の宛先を指定します。宛先には,ノード名とユーザ名を指定します。
ただし,相手が同じノードを使用している場合は,ユーザ名だけを指定します。
CC は,カーボン・コピー(Carbon Copy)の略です。「参考までに」送信する相手を指定します。
メール・メッセージを送る場合は,表題を付けて送ることができます。表題を付けて送ると,メール・メッセージの識別が容易になります。
メール・メッセージを整理して保存しておく入れ物を,フォルダといいます。以下のフォルダは,あらかじめ用意されています。
まだ読んでいないメール・メッセージが入っているフォルダ
すでに読んだメール・メッセージが入っているフォルダ
削除したメール・メッセージが入っているフォルダ
これらのフォルダの他に,ユーザが任意にフォルダを作成することもできます。フォルダの中のメール・メッセージがすべてなくなると,フォルダも自動的になくなります。
メール・メッセージとフォルダを管理するファイルを,メール・ファイルといいます。
メール・メッセージは,通常,MAIL$xxxxxxxxxx.MAI というようなファイル名(MAIL$ で始まるファイル名)とファイル・タイプ(MAI)で取り扱われます。このファイルが置かれているディレクトリを,メール・ディレクトリといいます。メール・ディレクトリを特に指定しない場合,ログイン・ディレクトリがメール・ディレクトリになります。
D.1 JMAIL ユーティリティを起動する -- JMAIL
JMAIL ユーティリティを起動するには,JMAIL コマンドを使用します。次のように入力します。
$ JMAIL |
JMAIL ユーティリティを起動すると,次のように表示されます。
$ JMAIL JMAIL> (1) (2) |
JMAIL ユーティリティを使用する際の条件を,使用環境といいます。使用環境を調べるには次のようにします。
JMAIL>SHOW ALL |
使用環境のうちメール・ディレクトリ,CC プロンプト,エディタは,JMAIL ユーティリティを初めて使用するときに設定したほうがよいでしょう。
D.3 メール・ディレクトリを設定する -- SET MAIL_DIRECTORY
メール・メッセージのファイルやメール・ファイルは,メール・ディレクトリに置かれます。
メール・ディレクトリを設定しておかないと,ログイン・ディレクトリがメール・ディレクトリになってしまうため,他のファイルやディレクトリと混在してしまいます。これを防ぐため,メール・ディレクトリは,専用のディレクトリにしたほうがよいでしょう。
メール・ディレクトリを設定するには,SET MAIL_DIRECTORY サブコマンドを使用します。次のように入力します。
JMAIL> SET MAIL_DIRECTORY ディレクトリ |
ディレクトリは,メール・ディレクトリにするディレクトリの名前です。必ず [.ディレクトリ] の形式で指定します。
JMAIL> SET MAIL_DIRECTORY [.MAILBOX] %MAIL-I-EXISTS, USER$:[YAMADA.MAILBOX] はすでに存在します。 |
JMAIL> SET MAIL_DIRECTORY [.MAILBOX] %MAIL-I-CREATED, USER$:[YAMADA.MAILBOX] が作られました。 |
SHOW MAIL_DIRECTORY サブコマンドを使用して,メール・ディレクトリを確認することができます。次のように入力します。
JMAIL> SHOW MAIL_DIRECTORY あなたのメール・ファイル・ディレクトリは USER$:[YAMADA.MAILBOX] です。 |
D.4 CC プロンプトを使用する -- SET CC_PROMPT
CC は,カーボン・コピー(Carbon Copy)の略です。CC プロンプトに対してユーザ名を入力すると,そのユーザに対して,「参考までに」メール・メッセージを送ることができます。また,何の設定もしていないと,メール・メッセージは手元に残りません。確認のために,自分自身を CC に入れて,メールを保存してもよいでしょう。
CC プロンプトを使用するには,SET CC_PROMPT サブコマンドを使用します。次のように入力します。
JMAIL> SET CC_PROMPT |
D.5 自分自身へのコピーの設定 -- SET COPY_SELF
自分自身へのコピーの設定をしておかないと,送ったメール・メッセージは手元に残りません。自分自身へのコピーを手元に残すように設定するには,SET COPY_SELF サブコマンドを使用します。次のように入力します。
JMAIL> SET COPY_SELF サブコマンド[,...] |
サブコマンドは,コピーを残すサブコマンドを指定します。指定できるサブコマンドは,SEND,REPLY,FORWARD です。
JMAIL> SET COPY_SELF SEND,REPLY,FORWARD |
メール・メッセージを送る場合,エディタを使用してメール・メッセージを作成,編集してから送ることができます。エディタを設定するには,SET EDITOR サブコマンドを使用し,次のように入力します。
JMAIL> SET EDITOR エディタ名 |
エディタが設定されたことを確認するには,SHOW EDITOR サブコマンドを使用します。次のように入力します。(この例では XTPU を指定。)
JMAIL> SHOW EDITOR あなたのエディタは XTPU です。 |
D.8 個人名の設定 -- SET PERSONAL_NAME
個人名を設定することもできます。個人名を設定するには,SET PERSONAL_NAME サブコマンドを使用し,次のように入力します。
JMAIL> SET PERSONAL_NAME "個人名" |
個人名は,ユーザ名の後に付ける個人名です。任意の文字列を指定できます。必ず,二重引用符(")で囲みます。
JMAIL> SET PERSONAL_NAME "山田太郎/開発1課/東京" |
D.9 JMAIL ユーティリティを終了する -- EXIT
JMAIL ユーティリティを終了するには,次のいずれかの方法を使用します。
JMAIL ユーティリティを終了すると,DCL コマンドが入力できる状態に戻り,$ プロンプトが表示されます。
JMAIL> EXIT $ |
まだ読んでいないメール・メッセージを読むには,READ サブコマンドを使用します。次のように入力します。
JMAIL> READ |
ただし,JMAIL ユーティリティの使用中に,新たにメール・メッセージが届いた場合は,次のように入力します。
JMAIL> READ/NEW |
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