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表 9-4 は,ディスク構造(ODS) レベル 1, 2, 5のそれぞれの固有の特徴について説明しています。
特徴 | ODS-1 (VAX のみ) | ODS-2 | ODS-5 |
---|---|---|---|
ファイル名の長さ | 9.3 | 39.39 | 238 バイト。ドットとファイルタイプを含む。 Unicode の 236 バイトは 119 文字。ドットとファイルタイプを含む。 |
文字セット | 大文字英数字 | 大文字英数字とハイフン,ドル記号($),アンダースコア(_) | ISO Latin-1, Unicode ( 『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照) |
ファイル・バージョン | 32,767 まで。バージョン制限はサポートされていない。 | 32,767 まで。バージョン制限はサポートされている。 | 32,767 まで。バージョン制限はサポートされている。 |
ディレクトリ | ディレクトリとサブ・ディレクトリの階層構造なし。ディレクトリ・エントリは順序が考慮されない。 1 | Alpha: 255
2
VAX: 8 (ルート論理名含み 16) |
Alpha: 255
VAX: 8 (ルート論理名含み 16) |
システム・ディスク | ODS-1 ボリュームであってはならない。 | ODS-2 ボリュームであってもよい。 | ODS-5 はバージョン 7.2ではサポートされていない。 |
ページ・ファイル, スワップ・ファイル,ダンプ・ファイル,パラメータ (.PAR) ファイルなどのシステム・ファイル。 | サポートされる。 | サポートされる。 | サポートされない。 |
OpenVMS クラスタ・アクセス | ローカル・アクセスのみ。ファイルはクラスタを越えて共有できない。 | ファイルはクラスタを越えて共有できる。 | ファイルはクラスタを越えて共有できる。ただし,バージョン7.2 またはそれ以降の OpenVMS だけが ODS-5 ディスクをマウントできる。バージョン 7.2 またはそれ以降の VAX では, ODS-2 スタイルのファイル名のみを見ることができる。 |
ディスク | サポートされないオブジェクト | 保護されるオブジェクト | 保護されるオブジェクト |
ディスク・クオータ | サポートされない。 | サポートされる。 | サポートされる。 |
マルチ・ボリューム・ファイルとボリューム・セット | サポートされない。 | サポートされる。 | サポートされる。 |
配置制御 | サポートされない。 | サポートされる。 | サポートされる。 |
キャッシュ | ファイル識別スロットまたはエクステント・エントリ | ファイル・ヘッダ・ブロック,ファイル識別スロット,エクステント・エントリのキャッシング | ファイル・ヘッダ・ブロック,ファイル識別スロット,エクステント・エントリのキャッシング |
クラスタ化した割り当て | サポートされない。 | サポートされる。 | サポートされる。 |
バックアップ・ホーム・ブロック | サポートされない。 | サポートされる。 | サポートされる。 |
保護コードE | E は RSX--11M オペレーティング・システムの "extend" を意味するが, OpenVMS はこれを無視する。 | E は "execute アクセス"を意味する。 | E は "execute アクセス"を意味する。 |
強化保護機能 (たとえば,アクセス制御リスト) | サポートされない。 | 強化保護機能がサポートされる。 | 強化保護機能がサポートがサポートされる。 |
OpenVMS ソフトウェアへの将来の機能強化は,主に ODS レベル2,5 に対して行なわれます。したがって,ODS レベル 1 ボリュームは将来制限がさらに増える可能性があります。ただし,ODS-5 をOpenVMS の省略時のファイル構造にすることを意図しているわけではありません。 ODS-5 の主な機能は,OpenVMS システムが拡張ファイル名を使用する他のシステム(たとえば Windows NT )のサーバとして稼動できるためのものです。 |
OpenVMS でのディスク構造の実装は,ISO 9660 規格で定義されたファイル構造に準拠します。 表 9-5 は,ISO 9660 規格に関連する用語を定義しています。
要素 | 説明 |
---|---|
ボリューム領域 | ボリュームの情報を収めているボリューム上のあうべての論理ブロックのセット。 |
システム領域 | CD-ROM ボリューム領域の中の2つの区画の1つ。論理セクタ0〜15を含む。システムのために予約されている。 |
データ領域 | CD-ROM ボリュームの2つの区画のうちの1つ。ボリューム領域の残りの部分を含む。論理セクタ16。 |
ISO 9660 ファイル構造を OpenVMS 環境で実装するには,部分記録データ・ブロックとデータ・インタリーブが必要です。
9.1.2 OpenVMS Alpha システム上での Extended File Specifications
Extended File Specifications では, Windows 95 スタイルまたは Windows NT スタイルのファイル名と属性をファイルが持つことができ, OpenVMS Alpha システムから管理することができます。 Extended File Specifications を適用するかどうかは,ボリューム単位で選択できます。
Extended File Specifications 環境では,ファイル指定について次の命名スタイルを選択できます。
従来のファイル名,拡張ファイル名,あるいは Extended File Specifications について詳しくは『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。
以降の節では,OpenVMS システム上での Extended File Specifications のディスク,混在バージョン,デュアル・アーキテクチャ,ネットワークの現在のサポートについて説明します。
9.1.2.1 システムおよびユーザ・ディスクのサポート
システムでの Extended File Specifications の使用について,制限事項と使い方のヒントは次のとおりです。
バージョン 7.2 以降の OpenVMS システムでは, Extended File Specifications の機能を使用することができます。逆に,OpenVMS の過去のバージョンが稼動しているシステムでは, ODS-5 ボリュームをマウントすることができない,または正しく拡張ファイル名を処理することができません。
以降の節では,OpenVMS バージョン 7.2と OpenVMS のそれ以前のバージョンとの混在バージョン・クラスタでのサポートについて説明します。
OpenVMS バージョン 7.2 システムのユーザは,バージョン 7.2 以前のファイルとディレクトリにアクセスすることができます。たとえば,次の操作をすべて行うことができます。
混在バージョン・クラスタには制限事項があります。 7.2 よりも以前のバージョンの OpenVMSには制限事項があります。
OpenVMS Alpha システムでは,すべての Extended File Specifications 機能が使用できます。現状のほとんどすべての ODS-2 ディスクとファイル管理機能は VAX と Alpha バージョン 7.2 システムに同じように残されています。ただし,拡張ファイル名と解析は VAX システムでは使用できません。
以降の節ではデュアル・アーキテキチャ・クラスタでの OpenVMS VAX と Alpha システムのサポートについて説明します。
VAX システム上で制限される Extended File Specifications
OpenVMS バージョン 7.2 クラスタのデュアル・アーキテキチャ環境では, 次の制限があります。 OpenVMS VAX システムでは,次に掲げる制限つきの Extended File Specifications が使用できます。
OpenVMS VAX システムでは, ユーザは ODS-5 イメージ・セーブ・セットを正しく作成,復元することができません。ただし,ODS-5 セーブ・セットから正しく ODS-2 対応ファイル名を復元することができます。
ユーザは,/IMAGE 修飾子を指定しない限り, ODS-5 から ODS-2 へディスクからディスクへのコピーをすることができます。
詳しくは『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻 ) 』を参照してください。
9.1.2.4 ネットワーク・サポート
OpenVMS バージョン 7.2 以降では, DECnet を介してネットワークに送られるファイル指定の長さはネットワークを使用しない場合の最大サイズに比べて短くなります。
9.1.2.5 Extended File Specifications 機能の有効化
OpenVMS Alpha システムで Extended File Specifications オン・ディスク構造の機能を使用するには,次の操作を行います。
操作 | 参照 |
---|---|
ODS-5 として新ボリュームを初期化する。 | 第 9.3.3 項 |
現在のボリュームを ODS-2 から ODS-5 に変換する。 | 第 9.5.5.1 項 |
ODS-5 ボリュームの有効化により, Compaq Advanced Server for OpenVMS 7.2 clients で拡張ファイル名が使用できるようになり, OpenVMS Alpha システムからこれらの名前を見たり管理したリすることができます。
Extended File Specifications は 7.2 よりも前のバージョンの OpenVMS Alpha を稼働しているシステムでは利用できません。これらのシステムでは, ODS-5 ボリュームをマウントすることも, OpenVMS ファイル・システムで拡張ファイル名の長所を利用することもできません。 |
磁気テープのファイル記憶システムは,ANSI X3.27-1987 などのいくつかの米国規格と互換性をもつ ISO 1001-1986 規格の標準磁気テープ構造に準拠しています。
テープの概念そのものについては,『Guide to OpenVMS File Applications』を参照してください。
磁気テープに関連する用語を 表 9-6 に示します。
用語 | 定義 |
---|---|
ブロック | 磁気テープの場合, ブロックの大きさはユーザが決定する。ODS ディスクの場合は,512 バイト固定。 |
bpi | 1 インチ当たりのビット数。 OpenVMS システムでは,テープ上のデータ文字の密度を表す。 |
IRG | レコード間のギャップ,つまり,ブロック間の空き間隔。 |
ブロック化 | 個々のレコードを 1 つのブロックにまとめること。これにより,空間の無駄遣いが抑えられる。 |
順編成 | 磁気テープ・データの編成方法であり, 書き込まれたデータが順編成されることを意味する。 |
磁気テープ補助
制御プロセス (MTACP) |
標準ラベルのボリュームの論理形式を解釈する内部ソフトウェア・プロセス。 |
テープの開始 (BOT) マーカと テープの終端 (EOT) マーカ | ボリューム上の書き込み可能領域を区別する,光反射式テープの一部。すべてのボリュームに存在する。
ANSI 規格では,BOT マーカの前に,最低 14 フィート,最大 18 フィートの磁気テープが必要とされる。また,EOT マーカの後には,最低 25 フィート,最大 30 フィートのテープ (その中の 10 フィートは書き込み可能でなければならない) が必要とされる。 EOT マーカは,テープの物理的な終端ではなく,テープの書き込み可能領域の終端の 開始を示す。したがって,EOT マーカ後もデータやラベルを書き込むことができる。 |
データ・レコード記憶領域 | テープ・ファイル内において,データ・レコードはサイズ可変データ・ブロックに格納される。各ブロックには,1 つまたは複数のレコードが入っている。 RMS は,レコードを管理する方法を提供している。 |
ヘッダ・ラベル | テープにファイルを作成するとき,テープ・ファイル・システムがデータ・ブロックの直前に書き込む一連のラベル。このラベルには,ユーザが提供するファイル名,作成日,満了日などの情報が入っている。磁気テープ上のファイルにファイル名でアクセスすると,ファイル・システムは指定されたファイル名を持つヘッダ・ラベルをテープで検索する。 |
トレーラ・ラベル | テープ・ファイル・システムがファイルの後にテープに書き込む一連のラベル。 |
マルチボリューム・ファイル | ファイルのデータ・ブロック,または関連ファイルが 1 つのボリューム (磁気テープ 1 本) に収まらなかったときの追加ボリューム。 |
ボリューム・セット | 一連のファイルが記録されたボリューム。 |
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