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ユーティリティにファイルを作成させる場合,処理されるファイル名から暗黙に設定される省略時の設定に注意する必要があります。 ODS-2 ボリュームに拡張された名前を持つファイルを誤って置かないよう,どこにファイルを置くのかは意識していてください。
次の例は,ユーザが意図していない場所にファイルを置いてしまった例です。
$ SHOW DEFAULT DKA200:[DOREO] $ DUMP /OUTPUT DKA500:[DOREO]This^_is^_a^_file.Dat %DUMP-E-OPENOUT, error opening DKA200:[DOREO]THIS^_IS^_A^_FILE.DMP;as output -RMS-E-CRE, ACP file create failed -SYSTEM-W-BADFILENAME, bad file name syntax |
/OUTPUT 修飾子で指定された出力ファイルは,省略時の設定では,省略時ディレクトリ作成される入力ファイルと同じファイル名でファイル・タイプ .DMP のファイルになります。入力ファイル指定が ODS-5 ボリュームにある拡張名のとき,.DMP ファイルは従来の名前を持つ必要があります。その理由は,出力ファイルが ODS-2 ボリュームに書き込まれる予定だからです。その結果として,エラーが発生します。
上記の条件がそろうと,ログ・ファイルを作成することができないので,バッチ・コマンド・ファイルは実行されません。論理名 SYS$LOGIN が ODS-2 ボリュームを指し示している場合にこの状況はよく起ります。これは,ログ・ファイルが暗黙に SYS$LOGIN 装置に作成されるからです。さらに,バッチ・ジョブのキュー登録時に通知機能が禁止されていた場合,バッチ・ジョブが実行されなかったことが通知されません。
この問題を避けるため, ODS-5 拡張ファイル名を持ったコマンド・ファイルをキューに登録する場合には /LOG= 修飾子と ODS-2 対応ログ・ファイル指定を使用します。
ここではシステム・アーキテクチャに関連する Extended File Specifications の問題について説明します。
VAX システムにログインした場合, ODS-5 ボリュームをVAX にマウントすることはできるが ODS-5 拡張ファイル名は見えません。これに代わって擬似名が表示されます:
たとえば, Alpha および VAX システムで同じディレクトリを表示した場合,次のようになります:
$ DIRECTORY DPA100:[TEST] Directory DPA100:[TEST] Accounting^_data.lis;1 atest.txt;1 |
$ DIRECTORY DPA200:[TEST] Directory DPA200:[TEST] \PISO_LATIN\.??? ATEST.TXT |
さらに,VAX 上でのディレクトリの深さは8 (または,ルート論理名により16) に制限されます。
OpenVMS VAX システムでは,BACKUPはボリュームをバックアップする場合, /PHYSICAL 修飾子を指定した場合にのみ,ODS-5 ボリュームをサポートします。 BACKUP /PHYSICAL コマンドにより BACKUP はブロックからブロックへの物理的バックアップを行い, ディスクの構造的内容を無視します。
Alpha システムでは BACKUP /IMAGE または BACKUP /PHYSICAL コマンドが使用できます。
10.2 ODS-5 ボリュームを有効化する場合の考慮事項
ODS-5 は,主に Advanced Server for OpenVMS 7.2 3 のユーザおよびDCOM と Java アプリケーションのユーザに対し,高度なファイル共有機能を提供することを目的として,OpenVMS にインプリメントされています。
ODS-5 ボリュームを有効化すると一部の新機能がアプリケーションやレイヤード・プロダクト,さらにはシステム管理の一部にまで影響を与える可能性があります。 ODS-5 ボリュームで使用できる新しい構文のファイル名は, ODS-2 ボリュームでまったく同様に使用できるわけではありません。バージョン 7.2 より前の Alpha システムは ODS-5 ボリュームにアクセスできず,また Open VMS バージョン 7.2 VAX システムが持つ ODS-5 機能は限られているので,混合バージョンや混合アーキテクチャの OpenVMS Cluster では,どこで,またどのように ODS-5 ボリュームを有効化するのかを慎重に考慮する必要があります。
次の節では,ODS-5 ボリュームが,システム管理,ユーザ,およびアプリケーションに与える影響について簡単に説明します。
10.2.1 システム管理に関する考慮事項
深いディレクトリへの RMS アクセスおよび拡張ファイル名は, OpenVMS Alpha V7.2 システムにマウントされた ODS-5 ボリュームでのみ利用可能です。 ODS-5 ボリュームは,できるだけ Alpha V7.2 以降を実行する同質の OpenVMS Cluster 上でのみ有効化してください。
ODS-5 を混合バージョンまたは混合アーキテクチャの OpenVMS Cluster で有効化する場合,システム管理者は特別な手順に従う必要があり,また混在バージョン,混在アーキテクチャの OpenVMS Cluster で ODS-5 ボリュームを有効にした場合の固有の制約を知っておく必要があります。
混合バージョンまたは混合アーキテクチャの OpenVMS Cluster におけるユーザに関する ODS-5 サポート上の制約については, 第 10.2.2 項 に詳細を示します。
ほとんどの非特権アプリケーションは,ほとんどの拡張ファイル名を扱うことができますが,拡張ファイル名をすべて扱えるためには,変更が必要なアプリケーションもあります。ディスクとの間で物理または論理 I/O を使用する特権アプリケーションおよび ODS-5 ファイル名またはボリュームへのアクセスに関して特定の要請があるアプリケーションは,変更が必要な場合があるので,分析が必要です。フル・サポートされる OpenVMSアプリケーションのリストについては, Web サイト www.openvms.compaq.com を参照してください。また,ODS-5 が OpenVMS に与える影響についての詳細は, 第 10.2.3 項 を参照してください。
第 10.3.1 項 では,Extended File Specifications のサポートレベルの決定について,詳細に説明しています。
10.2.2 ユーザに関する考慮事項
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 システムのユーザは, OpenVMS Alpha バージョン 7.2 システムにマウントされた ODS-5 ボリュームで,Extended File Specifications 機能をすべて利用することができます。
混合バージョンまたは混合アーキテクチャの OpenVMS Cluster は, ODS-5 機能の利用が制限されることがあります。
第 9.1.2.2 項 に,混合バージョンの OpenVMS Cluster に存在する制限事項を示します。また,
第 9.1.2.3 項 に,混合アーキテクチャの OpenVMS Cluster に存在する制限事項を示します。
10.2.3 アプリケーションに関する考慮事項
ODS-5 機能は,ボリュームごとに選択することができます。 ODS-5 ボリュームをシステム上で有効にしていない場合,既存のアプリケーションの動作はすべて従来どおりです。 ODS-5 ボリュームを有効にした場合は,次の点が従来とは異なることに注意する必要があります。
ODS-5 ボリュームでは,ドキュメントに記載されたインタフェースに準じてコーディングされた既存のアプリケーションとレイヤード・プロダクトおよび DCL コマンド・プロシージャは,変更なく動作します。
しかし,ドキュメントに記載されていないインタフェースに準じてコーディングされたアプリケーション,または次のいずれかを含むアプリケーションが ODS-5 ボリューム上で想定どおりに動作するには,変更が必要になることがあります。
ディスク上のデータのレイアウト
ファイル・ヘッダの内容
ディレクトリ・ファイルの内容
XQP が変更されないまま OpenVMS VAX または Alpha システム上で稼動し ODS-5 にアクセスした場合,Unicode または ISO Latin-1 名の代わりに ODS-2 に準拠しない擬似名が返されたと認識します。これによってアプリケーションが予期しない動作をすることがあります。 ODS-5 ディスクを使用して XQP インタフェースを持つファイル名を指定または検索するアプリケーションが拡張名を持つファイルにアクセスするためには変更が必要です。 |
OpenVMS アプリケーションのサポート状況についての詳細は,『OpenVMS Programming Concepts Manual』を参照してください。
3 PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server) から発展した Compaq のファイルおよびプリント・サーバで,Alpha 上のOpenVMS バージョン 7.2 で実現された Windows NT 統合機能をサポートします。 |
10.3 OpenVMS アプリケーションで Extended File Specifications 機能を使用するためのガイドライン
ODS-5 を有効化する前に,システム管理者は次の手順を実行する必要があります。
ODS-5 ボリュームは,できるだけバージョン 7.2 Alpha クラスタのみで構成される同質の OpenVMS Cluster 上で有効化してください。 |
ODS-5 に対する OpenVMS ユーティリティとコマンドの動作を予測できるよう,次のサポート・レベルが確立されています。各レベルは,ユーティリティまたはコマンドが,拡張 (ODS-5 準拠) ファイル指定に遭遇したときの許容できる動作の概要を定めています。
ODS-5のサポート・レベルは,フル・サポートからノー・サポートまであり, 10.3.1.1 から
10.3.1.4 までの節で,それぞれ説明します。
10.3.1.1 フル・サポート
ODS-5 をフル・サポートする OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル命名をすべて利用できるように変更されています。これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定をエラーなしに許容し,処理するとともに,大文字小文字を作成時のまま保存します。 4
加えて,Extended File Specifications をフル・サポートする OpenVMS コマンドとユーティリティは,ディレクトリ ID (DID) またはファイル ID (FID) 形式に短縮しなくても,従来,元の形式5 が持っていた 255 バイトの上限を超えて長いファイル名の指定を許容したり,作成したりすることができます。
次の DCL コマンドおよび OpenVMS ユーティリティは,拡張ファイル名をフル・サポートします。
ANALYZE /AUDIT
ANALYZE /DISK
ANALYZE /RMS
BACKUP
CONVERT
CONVERT /RECLAIM
COPY
CREATE /DIRECTORY
DELETE
DIRECTORY
DUMP
EDIT /ACL
EXCHANGE /NETWORK
FDL
PURGE
RECOVER/RMS
RENAME
SEARCH
SET SECURITY
SYSMAN
TYPE
省略時サポートの OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは,ほとんどまたはまったく変更することなく, Extended File Specifications 機能を利用することができます。これらのユーティリティおよびコマンドは,Extended File Specifications のほとんどの属性 (たとえば,新しい文字や深いディレクトリ構造) を正しく処理できます。しかし,ファイル名が誤った大文字小文字の区別で作成されたり,表示されたりすることがあります。
フル・サポートを行うユーティリティとは異なり,省略時サポートを行うユーティリティは,RMS が提供する DID および FID 短縮を利用して,長いファイル指定を処理します。そのため,これらのユーティリティには,DID および FID 短縮に関連する次の制限事項があります。
$ DIRECTORY a[1,2,3]*.txt $ COPY a[1,2,3].txt *.txt2 |
FID 短縮は 1 つのファイルの一意の数値表現なので,他のファイルの表現または照合には使用できない。
DID 短縮と FID 短縮の詳細については,『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。
10.3.1.3 拡張ファイル命名のサポートなし
拡張ファイル名をサポートしない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドも,ODS-5 ボリューム上で動作しますが,処理できるのは従来のファイル指定のみに制限されます。このようなユーティリティおよびコマンドが拡張ファイル指定に遭遇したとき,正しく動作するかどうか弊社では保証できませんので,これらを ODS-5 ボリュームで使用する場合は注意が必要です。
表 10-1 は,拡張ファイル名または ODS-5 ボリューム構造の処理上の限界から, Extended File Specifications をサポートしない OpenVMS ユーティリティとコマンドを示します。
10.3.1.4 ODS-5 のサポートなし
ODS-5 ボリューム構造をサポートしない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル名を処理できません。このようなユーティリティおよびコマンドは,従来のファイル指定に遭遇したときでも,正しく動作するかどうか弊社では保証できませんので,これらを ODS-5 ボリュームで使用する場合は注意が必要です。
表 10-1 は,拡張ファイル名または ODS-5 ボリューム構造の処理上の限界から, Extended File Specifications をサポートしない OpenVMS ユーティリティとコマンドを示します。
コンポーネント | 注意 |
---|---|
ODS-5 をサポートしない | |
ディスク・デフラグメンタ | サポートされない。ただし,特定のデフラグメンテーション・ツールについて,ODS-5 ボリュームをサポートするために更新されたという記載がドキュメントにある場合を除く。 6 |
システム・ディスク | ODS-5 ボリュームとして設定または初期化してはならない。 |
拡張ファイル命名をサポートしない | |
コード・コンパイラ | オブジェクトファイルに拡張ファイル名が使用できない。 ただし,コード・コンパイラで,拡張名をサポートするアプリケーションを作成することはできる。 |
INSTALL による既知イメージのインストール | 拡張ファイル名を持つイメージを既知イメージとしてインストールしてはならない。 |
LINK | 拡張ファイル名を持つイメージを出力できない。 |
MONITOR | 拡張ファイル名の処理の信頼性が低い。 |
ネットワーク・ファイル (NET*.DAT) | 名前を拡張ファイル名に変更してはならない。 |
オブジェクト・モジュール (.OBJ) | 名前を拡張ファイル名に変更してはならない。 |
ページと スワップ・ファイル | 拡張ファイル名を使用してはならない。 |
SYSGEN | 拡張ファイル名を使用してパラメータ・ファイルを作成してはならない。 |
システム・スタートアップ・ファイル | 名前を拡張ファイル名に変更してはならない。 |
4 新しいファイルの最初のバージョンの作成時に,新しいファイルの大文字小文字の区別が,ユーザが指定した大文字小文字の区別と一致します。既存のファイルの新しいバージョンを作成した場合も,大文字小文字の区別は元のバージョンのままです。5 DCL コマンド行で長いファイル指定を入力した場合は, DCL がコマンド行の長さを 255 バイトに制限します。 |
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