OpenVMS
システム管理者マニュアル


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14.8.8 使用不能キューの修正

キュー・マネージャは,検出した破損を修正します。破損がキュー・レコードで検出されれば,キューを使用不能にして破損を分離します。キューが使用不能にされると,次のメッセージがコンソールおよびオペレータ・ログ・ファイルに出力されます。


%QMAN-I-QUEDISCOR, queue 'queue_name' has been 
disabled due to database corruption 

キューが使用不能にされている場合には,キューを変更または登録しようとすると,次のメッセージが表示されます。


%JBC-E-QUEDISABLED, disabled queue cannot be modified, nor can a job be 
submitted to it 

上記のいずれかのメッセージが表示されたら,次の作業を実行してください。

  1. コンパックのサポート担当者に連絡をする。

  2. キューを削除してから新規キューを作成して置き換える。

14.8.9 キュー問題の弊社への報告

キューに問題が生じ,それを弊社に報告する必要がある場合には,できる限り多くの情報をご提供ください。 第 13.12 節 には,弊社がキュー・システムを診断する際に最も有用な事項を説明してあります。


第 15 章
システム・パラメータの管理

システムをインストールまたはアップグレードすると,システム・パラメータの値はコンパックの提供するコマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM (AUTOGEN) によって自動的に設定されます。定期的に AUTOGEN を使用し,ハードウェア構成とシステムの作業負荷に合わせて,システム・パラメータの値を調整してください。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
AUTOGEN で使用するためのカスタマイズ済みパラメータ設定の変換 第 15.3 節
AUTOGEN によるシステム・パラメータ値の変更 (標準的な方法) 第 15.5 節
MODPARAMS.DAT による AUTOGEN パラメータ設定の制御 第 15.5.1 項
AUTOGEN レポートの自動化 第 15.6 節
SYSMAN によるシステム・パラメータの管理 第 15.7 節
SYSGEN によるシステム・パラメータの管理 第 15.8 節
会話型ブートによるシステム・パラメータの管理 第 15.9 節

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
システム・パラメータ 第 15.1 節
システム・パラメータの省略時の値,現在値,アクティブ値 第 15.1.1 項
ページとページレット 第 15.1.2 項
システム・パラメータ値の標準的な変更方法 第 15.2 節
AUTOGEN.COM コマンド・プロシージャ 第 15.4 節
AUTOGEN フィードバック 第 15.4.1 項
AUTOGEN フィードバック・レポート (AGEN$PARAMS.REPORT) 第 15.4.2 項
AUTOGEN のフェーズ 第 15.4.3 項
AUTOGEN パラメータ・ファイル (MODPARAMS.DAT) 第 15.4.4 項

15.1 システム・パラメータについて

システムがどのように機能するかは,システム・パラメータ の値によって制御されます。システム・パラメータは,広範囲のシステム機能を制御します。次に,システム・パラメータで制御できる機能の一部を紹介します。

『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』では,システム・パラメータの一覧を示し,各パラメータについて説明しています。

ディストリビューション・キットで提供されるシステム・パラメータの 省略時の値 は,どんな構成でもブートするように設定されています。システムをインストールまたはアップグレードすると, SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM コマンド・プロシージャが実行され,システム構成の評価と主な作業負荷の予想を行い,必要に応じてシステム・パラメータの値を調整します。

各システム・パラメータには,許容値の範囲を定義する最大値と最小値が設定されています。

パラメータ・タイプ

各システム・パラメータのタイプは,次の 1 つまたは複数になります。

タイプ 説明
ダイナミック ダイナミック・システム・パラメータの値は,メモリ内のアクティブ値を変更することによりシステムの稼働中に変更できる。これに対してダイナミック・パラメータ以外のパラメータの値を変更する場合,パラメータ・ファイルに格納されている現在値を変更した後,システムを再ブートして変更した値を有効にしなければならない。アクティブ値と現在値についての詳細は, 第 15.1.1 項 を参照。
汎用 汎用パラメータの値は,ブート時におけるデータ構造の作成と初期化に影響する。
メジャー メジャー・パラメータは変更する必要性が最も高い。
特殊 特殊パラメータは,コンパックで使用するためだけに用意される。これらのパラメータは,コンパックのエンジニアから指示があった場合,またはコンパック製品のインストレーション・ガイドまたはリリース・ノートに示されている場合にのみ変更する。

機能別のパラメータ・カテゴリ

システム・パラメータは,その機能別に次のカテゴリに分けることができます。

カテゴリ 機能
ACP ファイル・システム・キャッシュおよび Files-11 XQP (拡張 QIO プロシージャ),すなわち補助制御プロセス (ACP) に関連するパラメータ。 1
クラスタ VAXcluster または OpenVMS Cluster 操作を制御するパラメータ。
ジョブ ジョブを制御するパラメータ。
LGI ログイン・セキュリティを制御するパラメータ。
マルチプロセッシング 対称型マルチプロセッシングに関連するパラメータ。
PQL プロセス作成上の制限とクォータに関連するパラメータ。
RMS OpenVMS レコード管理サービス (RMS) に関連するパラメータ。
SCS システム通信サービス (SCS) とポート・ドライバの操作を制御するパラメータ。 SCS 操作に影響するパラメータの先頭には SCS という文字列が付けられる。
SYS システム操作全体に影響するパラメータ。
TTY ターミナルの動作に関連するパラメータ。
ユーザ定義 次のパラメータはユーザが定義できる。
USERD1 (ダイナミック・パラメータ)
USERD2 (ダイナミック・パラメータ)
USER3
USER4


1ACP パラメータの多くは, Files--11 ディスク構造レベル 1 ディスクがマウントされている場合,あるいはマウント・コマンドで ACP が特に要求された場合にだけ適用できる。バージョン 4.0 より前のオペレーティング・システムでは,ファイルのオープンやクローズ,ウィンドウ切り替えといった,ファイル操作は補助制御プロセス (ACP) という別のプロセスが行う。バージョン 4.0 では,XQP (拡張 QIO プロシージャ) が導入され,これらの操作はシステム上の各プロセスが行うようになった。互換性のため,パラメータの名前は変更されていない。

15.1.1 省略時の値,現在値,アクティブ値

システムの各システム・パラメータは,次の 4 種類の値をとります。

値の種類 説明
省略時の値 システムにあらかじめ設定されている値で,サポートされるどの構成でもブートできるように設定されている。
現在値 ディスク上の省略時のパラメータ・ファイルに格納され,システムのブート時に使用される値。

VAX システムの省略時のパラメータ・ファイルは
VAXVMSSYS.PAR。

Alpha システムの省略時のパラメータ・ファイルは ALPHAVMSSYS.PAR。

アクティブ値 メモリに格納され,システムの稼働中に使用される値。システムの稼働中に変更できるアクティブ値は,カテゴリがダイナミック・システム・パラメータであるシステム・パラメータの値に限られる。
他のパラメータ・ファイルに格納されている値 現在値を格納する省略時のパラメータ・ファイル以外にも,特別な目的のパラメータ・ファイルを作成できる。

ブート時,システムは現在値をメモリに読み込み,アクティブ値を作成します。変更がない限り,アクティブ値と現在値は同じです。

AUTOGEN コマンド・プロシージャの SETPARAM フェーズを実行すると,現在値が変更されます。

SYSMAN ユーティリティと SYSGEN ユーティリティにより, 現在値アクティブ値の両方を表示または変更できます。表示したり変更したい値を指定するには, USE コマンドおよび WRITE コマンドを使用します。

SYSMAN によるパラメータの管理についての詳細は, 第 15.7 節 を参照してください。 SYSGEN によるパラメータの管理についての詳細は, 第 15.8 節 を参照してください。

15.1.2 ページとページレット

VAX システムでは,オペレーティング・システムは ページ と呼ばれる単位を使って,プロセスに対するメモリの割り当てや割り当て解除を行います。 VAX システムのページ・サイズは 512 バイトです。システム・パラメータのいくつかはページ単位で割り当てられます。

Alpha システムでは,システム・パラメータのいくつかはページ単位で割り当てられますが, ページレット単位で割り当てられるシステム・パラメータもあります。

Alpha システムのページ・サイズは,8 K バイト (KB) (8192 バイト), 16 KB,32KB,64KB のいずれかです。ページレットとは,512 バイトのメモリ単位です。 Alpha システムの 1 ページレットは VAX の 1 ページと同じサイズです。また,ページ・サイズが 8 KB の Alpha コンピュータでは, 16 Alpha ページレットが 1 Alpha ページと等しくなります。

パラメータ値,特にメモリ管理に関連するパラメータを調べる場合には,各パラメータに必要な割り当て単位に注意してください。 第 15.7.2 項第 15.8.2 項 では,パラメータ値とその割り当て単位を表示する方法が説明されています。

15.2 パラメータ値の標準的な変更方法

システム・パラメータの多くは,他のパラメータやシステムの性能に影響します。したがって,システム・パラメータを管理するときにはコマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM (AUTOGEN) を使用してください。 AUTOGEN については, 第 15.4 節 を参照してください。

またシステム・パラメータの管理は,SYSMAN ユーティリティや SYSGEN ユーティリティを使って行うこともできます。パラメータ値の変更にこれらのユーティリティを使用するのは一般的ではありません。しかし,次の場合には使用できます。

重要

SYSMAN または SYSGEN を使ってパラメータ値を変更すると, AUTOGEN の実行時に,値が省略時の値に変更されたり再設定されることがあります。 AUTOGEN を実行してもパラメータの変更内容が保持されるようにするためには,変更した値を AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT に追加します。詳細は 第 15.5.1 項 を参照してください。

カスタマイズ済みのパラメータ設定を MODPARAMS.DAT に追加してなく, SYSMAN または SYSGEN を使用してパラメータを変更しようとする場合は, AUTOGEN を実行する前に 第 15.3 節 の指示にしたがってください。

15.3 AUTOGEN で使用するためのカスタマイズ済みパラメータ設定の変換

システムのチューニングには,できるだけ AUTOGEN コマンド・プロシージャを使用するようにしてください。システム管理ユーティリティ (SYSMAN) またはシステム生成ユーティリティ (SYSGEN) を使用してシステム・パラメータ値を変更し,その変更内容を AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT に保存しなかった場合,これらの変更内容は次に AUTOGEN を実行したときに上書きされます。

以前に,SYSMAN または SYSGEN を使ってパラメータ値を変更した場合は, AUTOGEN で使用できるように,次の手順でパラメータ設定を変更します。この手順に従うと,AUTOGEN を実行してもその設定が維持されるように,カスタマイズ済みパラメータ設定を MODPARAMS.DAT に追加することができます。

この作業を行う場合は,その前に 第 15.4 節 を参照して, AUTOGEN,フィードバック, AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT について理解しておいてください。

  1. システムが現在使用しているパラメータ値を保存する。次に例を示す。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> PARAMETERS USE ACTIVE
    SYSMAN> PARAMETERS WRITE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR
    

  2. アクティブ・パラメータ値のリストを ノード名_PARAMS.OLD という ASCII ファイルに書き込む。次に例を示す。


    SYSMAN> PARAMETERS SHOW/ALL/OUTPUT=ノード名_PARAMS.OLD
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW/SPECIAL/OUTPUT=ノード名_PARAMS_SPECIAL.OLD
    SYSMAN> EXIT
    $ APPEND ノード名_PARAMS_SPECIAL.OLD ノード名_PARAMS.OLD
    


    このファイルは,ステップ 6 で使用する。

  3. AUTOGEN のパラメータ・ファイル SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT を編集してシンボルを定義し,以下の値を指定する。


    値の指定は,明示的に行うのではなく,MIN_パラメータ名,MAX_パラメータ名, ADD_パラメータ名のいずれかの形式を使用してシンボルを定義する。次に例を示す。


    $ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
    


    SCSNODE = "MYNODE"      ! Not calculated by AUTOGEN 
    SCSSYSTEMID = 10001     ! Not calculated by AUTOGEN 
    MIN_GBLPAGES = 10000    ! Needed for MCS, BLISS32, and ADA 
    MIN_GBLSECTIONS = 600   ! Needed for MCS, BLISS32, and ADA 
    


    MODPARAMS.DAT に加えた変更内容を分かりやすく示すために,各行にコメントを追加する。コメントの先頭には感嘆符(!) を付ける。 MODPARAMS.DAT にシンボルを定義する方法については, 第 15.5.1 項 を参照。

  4. AUTOGEN を実行する。ただし,再ブートは しない。システムに応じて次のいずれかのコマンドを使用する。

  5. 新しいパラメータ値のリストを ASCII ファイルに書き込む。次に例を示す。


    SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW /ALL /OUTPUT=ノード名_PARAMS.NEW
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW /SPECIAL /OUTPUT=ノード名_PARAMS_SPECIAL.NEW
    SYSMAN> EXIT
    $ APPEND ノード名_PARAMS_SPECIAL.NEW; ノード名_PARAMS.NEW
    

  6. 古いパラメータ値と新しいパラメータ値を比較する。次に例を示す。


    $ DIFFERENCES/PARALLEL/OUTPUT=ノード名_PARAMS.DIF/MATCH=5  -
    _$ ノード名_PARAMS.OLD ノード名_PARAMS.NEW
    

  7. ステップ 6 で作成した差分ファイル(ファイル名の形式は ノード名_PARAMS.DIF) を出力する。出力は読み易さを考えて 132 カラムのライン・プリンタで行う。

  8. 各パラメータ名カラムの後の 2 つのカラムの数値を比較する。左側のカラムには古い値,右側のカラムには新しい値が示されている。 図 15-1 に,出力の例を示す。

    図 15-1 パラメータの古い値と新しい値


  9. MIN_,MAX_,ADD_ のいずれかが先頭に付いたシンボルを使って, MODPARAMS.DAT の調整を行う。たとえば,AUTOGEN により GBLPAGES に比較的小さい値が算出された場合,次のようにして,このパラメータに最小値を指定することができる。


    MIN_GBLPAGES = 10000 
    


    ステップ 3 で MODPARAMS.DAT にパラメータ値を指定したのに,そのパラメータが変更されていない場合は,次の事柄をチェックする。


    ほとんどのパラメータは,新しい値の方が古い値よりも大きければ, AUTOGEN による設定を受け入れる。新しい値の方が古い値よりも小さい場合は,AUTOGEN の実行時にその資源を使用できなかったため,古い値を残しておくようにする。
    たとえば,SYSMAN を使って,レイヤード製品に合うように GBLPAGES を 10,000 に増やしたのに,その変更内容を MODPARAMS.DAT に保存しなかった場合,AUTOGEN はシステムが必要とするのは 5,000 グローバル・ページだけであると算出する。この場合,AUTOGEN の実行後再ブートすると,レイヤード製品の一部がインストールされずに,システム・メッセージ GPTFULL (global page table full) が表示されて,さらに GBLPAGES が必要であることが示される。

  10. 満足できるパラメータ値が決まるまで,ステップ 3 以降を繰り返す。
    必要ならば,MODPARAMS.DAT にさらに変更を加え,AUTOGEN を再度実行し,上述したようにその変更内容をチェックする。通常,AUTOGEN のチェックに 2 回パスすれば,このパラメータ値が確定し,再ブートすることができる。


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