OpenVMS
システム管理者マニュアル


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19.3.5 磁気テープ・ドライブ

次の手順に従って,テストを行う磁気テープ・ドライブを設定します。

  1. 少なくとも 600 フィートの磁気テープを持つスクラッチ磁気テープをテープ・ドライブに入れる。書き込み可能リングが装着されていることを確認する。

  2. 磁気テープの位置を BOT (テープの開始) に合わせ,そのドライブをオンラインにする。

  3. すべてのスクラッチ磁気テープをラベル UETP で初期化する。たとえば,スクラッチ磁気テープを MUA1 上に物理的にマウントしている場合,次のコマンドを入力し,Return を押す。


    $ INITIALIZE MUA1: UETP
    


    テストを行うテープには UETP というラベルが付いていなければならない。安全のため,UETP は MOUNT コマンドでマウントしたテープはテストしない。

磁気テープの初期化中に問題が発生した場合,または磁気テープへのアクセスに問題がある場合は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』の DCL の INITIALIZE コマンドの説明を参照してください。

19.3.6 テープ・カートリッジ・ドライブ

次の手順に従って,テストを行うテープ・カートリッジ・ドライブを設定します。

  1. スクラッチ・テープ・カートリッジをテープ・カートリッジ・ドライブに入れる。

  2. テープ・カートリッジを初期化する。次に例を示す。


    $ INITIALIZE MUA0: UETP
    


    テストを行うテープ・カートリッジには UETP というラベルが付いていなければならない。安全のため,UETP は MOUNT コマンドでマウントしたテープ・カートリッジはテストしない。

テープ・カートリッジの初期化中に問題が発生した場合,またはテープ・カートリッジへのアクセスに問題がある場合は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』の DCL の INITIALIZE コマンドの説明を参照してください。

TLZ04 テープ・ドライブ

初期化フェーズ中,TLZ04 ユニットが UETTAPE00 テストを完了するまでの時間は 6 分に設定されます。この時間内に UETTAPE00 テストが完了しなければ, UETP は次のようなメッセージを表示します。


-UETP-E-TEXT, UETTAPE00.EXE testing controller MKA was stopped ($DELPRC) 
        at 16:23:23.07 because the time out period (UETP$INIT_TIMEOUT) 
        expired or because it seemed hung or because UETINIT01 was aborted. 

このタイムアウト値を増やすには, UETP を実行する前に,次のようなコマンドを入力します。


$  DEFINE/GROUP UETP$INIT_TIMEOUT "0000 00:08:00.00"

この例では,初期化タイムアウト値を 8 分に定義しています。

19.3.7 コンパクト・ディスク・ドライブ

UETP を RRD40 または RRD50 コンパクト・ディスク・ドライブ上で実行する場合には,まず,ユーザのコンパクト・ディスク・ドライブ・ユニットに添付されているテスト・ディスクをロードしなければなりません。

19.3.8 光ディスク・ドライブ

UETP を RV60 ドライブ上で実行するには,次の手順に従って,RV64 光ディスク記憶システムを設定します。

  1. Jukebox Control Software (JCS) を使って,光ディスクをすべての RV60 ドライブにロードする。 JCS は,RV64 に添付されている OpenVMS オペレーティング・システム上のレイヤード製品で,ディスクをロードおよびアンロードするロボット・アームを制御するものである。

  2. 光ディスクをラベル UETP で初期化する。マウントは行わない。

UETP は,RV64 に存在するすべての RV60 を同時にテストします。テープ・テストと異なり,UETP はテスト終了時に光ディスクを再初期化しません。

19.3.9 ターミナルおよびライン・プリンタ

UETP でテストを行うターミナルおよびライン・プリンタは,電源が入っており,システムに対してオンラインでなければなりません。 ライン・プリンタおよびハードコピー・ターミナルに,十分な用紙が用意されていることを確認します。用紙の量は,実行する UETP パスの数によって異なります。パスごとに 2 枚の用紙がライン・プリンタおよびハードコピー・ターミナルに必要です。

すべてのターミナルについて,ボー・レートが正しく設定されており,特性が適切に割り当てられていることをチェックします (各ターミナルのユーザ・ガイドを参照してください)。

装置をスプールしたり,キューに割り当てると, UETP の初期化フェーズで失敗し,テストが行われません。

19.3.10 イーサネット・アダプタ

UETP を実行するときには,他のプロセスがイーサネット・アダプタ装置を共有していないことを確認してください。

注意

DECnet for OpenVMS などの他のアプリケーションが装置を割り当てている場合,UETP はイーサネット・アダプタをテストしません。

DECnet for OpenVMS または LAT ターミナル・サーバはイーサネット・アダプタ (共有可能装置) を使用しようとするので,イーサネット・アダプタをテストするときには,装置テスト・フェーズを実行する前に DECnet および LAT ターミナル・サーバをシャットダウンしてください。

19.3.11 DR11--W データ・インタフェース (VAX のみ)

DR11--W データ・インタフェースは,内部論理ループバック・モードを使って,モジュール・コネクタ,ケーブル,トランシーバを除くすべての機能をテストします。

重要

DR11--W データ・インタフェースを UETP テスト用に設定できるのは弊社のサポート担当者だけです。

この動作中にはランダムな外部パターンが作成されるので,テストを行うユーザ装置または他のプロセッサは,場合によっては,テストが完了するまで DR11--W データ・インタフェースから分離しておく必要があります。

DR11--W データ・インタフェースを適切にテストするには, E105 スイッチパックを次のように設定しておかなければなりません。

スイッチ 1 スイッチ 2 スイッチ 3 スイッチ 4 スイッチ 5
オフ オン オフ オフ オン

UETP のテストが完了したら,DR11--W データ・インタフェースを適切な動作構成に戻します。

19.3.12 DRV11--WA データ・インタフェース (VAX のみ)

DRV11--WA データ・インタフェースは,汎用の 16 ビット・パラレルのダイレクト・メモリ・アクセス (DMA) データ・インタフェースです。

重要

DRV11--WA データ・インタフェースを UETP テスト用に設定できるのは弊社のサポート担当者だけです。

MicroVAX コンピュータ上の DRV11--WA ドライバを UETP テスト用に準備するためには,次の状態を確認してください。

UETP テストが完了したら,DRV11--WA を適切な動作構成に戻します。

19.3.13 DR750 または DR780 (DR32 インタフェース) (VAX のみ)

DR32 (DR750 または DR780) 装置は,VAX プロセッサの内部メモリ・バスを, DR32 装置間接続 (DDI) と呼ばれるユーザ・アクセス可能バスに接続するインタフェース・アダプタです。

重要

DR750 または DR780 を UETP テスト用に設定できるのは弊社のサポート担当者だけです。

次の手順に従って,DR750 または DR780 を UETP テスト用に準備してください。

  1. DR780 マイクロコード・ファイル XF780.ULD を診断媒体から SYS$SYSTEM にコピーする。 DR780 マイクロコード・キットに添付されたドキュメントに記載されている手順に従うこと。

  2. DR780 の電源を切る。

  3. 次の DR780 背面ジャンパを変更する。

    1. W7 および W8 からジャンパを外す。

    2. E04M1 から E04R1 までにジャンパを追加する。

    3. E04M2 から E04R2 までにジャンパを追加する。

  4. DDI ケーブルを DR780 から外す。このケーブルは, BC06V--nn ケーブルの場合と BC06R--nn ケーブルの場合がある。前者はそのまま外すことができるが,後者を外すときは,DR780 の背面からパドル・カードを取り外さなければならない。

  5. もう一度,DR780 の電源を入れる。

UETP テストが完了したら, DR750 または DR780 を適切な動作構成に戻します。

19.3.14 2 台目の LPA11--K 装置

LPA11--K 装置が 2 台存在する場合は,各装置のシステム単位の論理名が SYS$MANAGER:LPA11STRT.COM ファイルに指定されていることを確認してください。最初の LPA11--K 装置に対する論理名は LPA11$0 で, 2 番目の LPA11--K 装置に対する論理名は LPA11$1 でなければなりません。

19.3.15 テストを行わない装置

UETP は,次の装置に関してはテストを行いません。これらの装置の状態は UETP の実行にまったく影響を与えません。

UETP は,UDA,HSC,または CI 装置についてはテストを行いません。これらの装置は,ディスク,磁気テープ,および DECnet for OpenVMS のテストで暗黙にテストされます。

また,UETP はコンソール・ターミナルまたはコンソール・ドライブについてもテストを行いません。システムをブートし,ログインして,UETP を起動すれば,これらの装置が使用できるかどうかを確認できます。

19.3.16 OpenVMS Cluster のテスト

OpenVMS Cluster 環境で UETP を実行する前には, SYSTEST_CLIG アカウントをチェックしてください。 SYSTEST_CLIG アカウントは,SYSTEST アカウントに似ていますが,クラスタ統合テストのみ行います。次に,SYSTEST_CLIG アカウントの要件を示します。

クラスタ統合テスト・フェーズの場合,通常の UETP テスト・フェーズの要件に加えて,さらに準備することがあります。 次に,クラスタ統合テストのために必要な追加の要件を示します。

  1. ユーザのシステムがクラスタのメンバであること。メンバでない場合,UETP はメッセージを表示し,テストを実行しない。

  2. ユーザのシステムが,クラスタ中の他のシステムと同じデッドロック検出インターバルを使用していること (デッドロック検出インターバルは,SYSGEN パラメータの DEADLOCK_WAIT で設定する。通常は,省略時の設定 (10 秒) から変更されていない)。

  3. テストを行うすべてのシステムの SYS$TEST 中に,ファイル UETCLIG00.COM および UETCLIG00.EXEが存在すること。

  4. DECnet for OpenVMS がクラスタ・ノード間で設定されていること。 UETP は,DECnet for OpenVMS を使って,上記ノード上にプロセスを作成する。テストで行われるチェックは,SYSTEST_CLIG プロセスを作成する能力,および,DECnet for OpenVMS ソフトウェアを使って上記プロセスと通信する能力によって異なる。

  5. すべてのオペレータ・ターミナル (OPA0:) は,ブロードキャスト・メッセージを受信できなければならない。 BROADCAST 特性を設定するには,次のコマンドを入力する。


    $ SET TERM/BROADCAST/PERM OPA0:
    

    オペレータ・ターミナル (OPA0) に NO BROADCAST ターミナル特性が設定されているノードでは,クラスタ・テスト中に,次のメッセージが表示される。


    ********************** 
    *  UETCLIG00master   * 
    *  Error count =  1  * 
    ********************** 
    -UETP-E-TEXT, 0 operator consoles timed out on the cluster test warning 
           and 1 operator console rejected it. 
    -UETP-E-TEXT, Status returned was, 
          "%SYSTEM-F-DEVOFFLINE, device is not in configuration or not 
          available" 
    

  6. クラスタ内の各ノード (OpenVMS および HSC) において, [SYSTEST] または [SYS0.SYSTEST] ディレクトリが,クラスタで使用できるディスク上に存在しなければならない。テストは,UETP ディスク・テストと同じディレクトリを使って,各クラスタ・ノード上にファイルを作成し,そのクラスタ中の他の OpenVMS ノードがそのファイルに共用アクセスできるかどうかを調べる。このようなディレクトリは,ノードごとに 1 つずつ必要である。テストは,1 つのファイルが処理されるたびに,次のクラスタ・ノードに続く。

  7. 省略時の設定で,UETP クラスタ・フェーズは,デッドロック・テスト,ディスク・テスト,およびファイル・アクセス・テスト用に,実行中のクラスタから 3 つのノードを選択する。しかし,すべてのクラスタ・ノードをテストしたい場合は, UETP を起動する前に,次のコマンドを入力する。


    $ DEFINE/GROUP UETP$CTMODE ALL
    

19.3.17 小規模ディスク・システムのテスト方法

小規模なシステム・ディスク (RZ23L など) に OpenVMS VAX オペレーティング・システムをインストールすると, UETP を実行するのに必要な 1200 ブロックの空きディスク領域がありません。システム・ディスクに 1200 ブロックの空き領域がない場合は, UETP を実行する前に,VMSTAILOR を使って,いくつかのファイルをシステム・ディスクから削除します。 VMSTAILOR の使用方法についての指示は,使用しているシステムの OpenVMS のアップグレードおよびインストール・マニュアルを参照してください。

19.3.18 DECnet for OpenVMS フェーズ

UETP の DECnet for OpenVMS フェーズは,他のテストより多くのシステム資源を使用します。しかし,最も負荷の低いノード上でテストを行うことで,他のユーザへの影響を最小限に抑えることができます。

省略時の設定で,ファイル UETDNET00.COM は, DECnet テストを行うノードを指定します。異なるノードで DECnet テストを行う場合は, UETP を実行する前に,次のコマンドを入力します。


$ DEFINE/GROUP UETP$NODE_ADDRESS node_address

このコマンドは,グループ論理名 UETP$NODE_ADDRESS に,UETP の DECnet フェーズを実行したいユーザの領域内にあるノードのノード・アドレスを割り当てます。

次に例を示します。


$ DEFINE/GROUP UETP$NODE_ADDRESS 9.999

UETP を実行する前に次のコマンドを入力すると,異なるノード上で DECnet for OpenVMS テストを行うことができます。


$ DEFINE/GROUP UETP$NODE_NAME "node""username password"

注意

論理名 UETP$NODE_ADDRESS を使用すると, UETP は NCP (ネットワーク制御プログラム) で最初に見つかったアクティブなサーキットだけをテストします。使用しなかった場合,UETP はアクティブでテスト可能なサーキットをすべてテストします。

UETP の実行時,ルータ・ノードは, UETP$NODE_ADDRESS または UETP$NODE_NAME で定義されたノードとユーザのノードとの間で接続を確立しようとします。ユーザのノードとルータ・ノード間の接続がビジー状態であったり,存在しないことがあります。このような場合には,システムは次のようなエラー・メッセージを表示します。


 %NCP-F-CONNEC, Unable to connect to listener 
 -SYSTEM-F-REMRSRC, resources at the remote node were insufficient 
 
 %NCP-F-CONNEC, Unable to connect to listener 
 -SYSTEM-F-NOSUCHNODE, remote node is unknown 


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