OpenVMS
システム管理者マニュアル


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第 19 章
UETP によるシステムのテスト

本章では,UETP (ユーザ環境テスト・パッケージ) を使って, OpenVMS オペレーティング・システムが正しくインストールされているかどうかを調べる方法について説明します。

19.1 概要

ここでは,UETP が何を行うか,また UETP をどのように使用するかについて説明します。さらに,テストのためのシステムの設定,テストの実行,およびトラブルシューティングについての具体的な指示を行います。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業項目 参照箇所
UETP の実行 (要約) 第 19.1.2 項
UETP を使用するための準備 第 19.2 節
テストの対象となる装置の設定 第 19.3 節
UETP の起動 第 19.4 節
UETP の動作の停止 第 19.5 節
トラブルシューティング---問題の識別と解決 第 19.7 節

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
UETP について 第 19.1.1 項
トラブルシューティング (概要) 第 19.6 節
UETP テストおよびフェーズ 第 19.8 節

19.1.1 UETP について

UETP は,OpenVMS オペレーティング・システムが正しくインストールされているかどうかをテストするソフトウェア・パッケージです。 UETP は,日常の使用で発生し得る要求と同等の要求をシステムに対して行うことによって,通常のユーザ環境をシミュレートする一連のテストを行います。

UETP は診断プログラムではありません。つまり,すべての機能を徹底的にテストするわけではありません。 UETP が回復不可能なエラーに遭遇せず,その実行を終えたということは,テストされたシステムが一応使用できるということを表しているだけです。

UETP は,すべての OpenVMS システムに共通な装置と機能を調べます。高水準言語コンパイラのようなオプションの機能についてはテストしません。次に,UETP がテストするシステム・コンポーネントを示します。

19.1.2 UETP の使用方法 (概要)

この節では,UETP のすべてのフェーズを省略時の値を使用して実行する手順を要約して説明します。すでにこのテスト・パッケージを使用したことのある方は,この節を参照してください。より詳細な情報が必要な方は, 第 19.2 節 を参照してください。

注意

OpenVMS Alpha システムで UETP を使用する場合,次の手順を行う前に CREATE_SPECIAL_ACCOUNTS.COM コマンド・プロシージャを実行し, SYSTEST および SYSTEST_CLIG アカウントを作成しておいてください。 CREATE_SPECIAL_ACCOUNTS.COM コマンド・プロシージャについての詳細は, 第 7.4 節 を参照してください。

  1. 次のように,SYSTEST アカウントにログインする。


    Username: SYSTEST
    Password:
    

    重要

    SYSTEST および SYSTEST_CLIG アカウントは特権を持っているので,権限のないユーザがこのアカウントを使用すると,システムの機密保護上,問題が発生することがあります。

  2. ユーザ・プログラムが実行されていないこと,およびユーザ・ボリュームがマウントされていないことを確認する。

    重要

    設計上,UETP はシステム資源を排他的に使用することを想定し,また,そのように要求します。この制約を無視すると,UETP は当該資源に依存するアプリケーションに影響を与えることがあります。

  3. ログイン後,すべての装置が次の状態であることをチェックする。


    通信装置の中には弊社のサポート担当者が設定しなければならないものもあるので注意する ( 第 19.3 節 を参照)。
    UETP のための準備中になんらかの問題が発生した場合は,次に進む前に 第 19.3 節 を参照する。

  4. UETP を起動するには,次のコマンドを入力し,Return を押す。


    $ @UETP
    


    UETP は次の質問を行う。


    Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]? 
    


    Return を押して,大括弧で囲まれた省略時の応答を選択する。 UETP は次の質問を行う。


    How many passes of UETP do you wish to run [1]? 
    How many simulated user loads do you want [4]? 
    Do you want Long or Short report format [Long]? 
    


    各プロンプトに対して Return を押す。最後の質問に答えた後, UETP は一連のテストをすべて開始する。以降,完了するまで入力することはない。最後に,次のようなメッセージが表示される。


    ***************************************************** 
    *                                                   * 
       END OF UETP PASS 1 AT 22-JUN-2000 16:30:09.38 
    *                                                   * 
    ***************************************************** 
    

    注意

    省略時の応答を使用せずに UETP を実行する場合については, 第 19.4 節 を参照してください。ここにはオプションが説明されています。

  5. UETP の実行後,ログ・ファイルでエラーをチェックする。テストが成功終了した場合, OpenVMS オペレーティング・システムは適切に動作する状態である。
    UETP が異常終了した場合は,トラブルシューティングの情報について 第 19.6 節 を参照する。

    注意

    UETP の実行後,エラー・ログ・ユーティリティを実行して, UETP 実行中に発生したハードウェア障害をチェックしてください。エラー・ログ・ユーティリティの実行についての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

19.2 UETP を使用するための準備

この節では,UETP を実行するための詳細な情報について説明します。

19.2.1 ログイン

システム管理者から SYSTEST のパスワードを教えてもらいます。次のように入力し,コンソール・ターミナルから SYSTEST アカウントにログインします。


Username: SYSTEST
Password:

注意

SYSTEST には特権があるので,権限のないユーザがこのアカウントを使用すると,システムの機密保護上,問題が発生することがあります。

SYSTEST アカウントからテストを実行しないと, UETP は失敗します。また,コンソール・ターミナル以外のターミナルから UETP を実行しようとすると,現在使用しているターミナルはテストには使用できないというエラー・メッセージが装置テスト・フェーズで表示されます。このメッセージは無視してもかまいません。

SYSTEST アカウントにログインした後,コマンド SHOW USERS を入力して,ユーザ・プログラムが実行されていないことと,ユーザ・ボリュームがマウントされていないことを確認してください。 UETP は,システム資源を排他的に使用することを想定しています。この制約を無視すると, UETP はその資源に依存するアプリケーションに影響を与えることがあります。

注意

UETP を実行するときに発生し得る,クォータ,特権,またはアカウントの間違いなどの問題を識別および解決するための情報については, 第 19.7.2 項 を参照してください。 UETP を実行する前に,この節に目を通しておいてください。

19.2.2 SYSTEST ディレクトリの使用方法

ログインに成功すると,省略時のディレクトリはシステム・ディスク上の [SYSTEST] となります。 UETP は,UETP コマンド・プロシージャ (UETP.COM) が使用するファイル,および UETP がテスト中に使用する一時ファイルをこのディレクトリに格納します。

典型的なシステムでは,論理名 SYS$TEST は次のように定義されています。


$ SHOW LOGICAL SYS$TEST
   "SYS$TEST" = "SYS$SYSROOT:[SYSTEST]"  (LNM$SYSTEM_TABLE)

スクラッチ・ディスクなどの特定のディスクを UETP でテストするには,そのディスクに [SYSTEST] ディレクトリまたは [SYS0.SYSTEST] ディレクトリを作成します。スクラッチ・ディスクのテストのための設定については, 第 19.3.3 項 を参照してください。

19.3 テストを行う装置の設定

この節の説明に従って,ログイン後にシステム上の装置を UETP テスト用に設定します。なお,この節で述べられているすべての装置がユーザのシステムにも接続されているとは限らないので注意してください。

19.3.1 装置のチェック

UETP が使用するすべての装置が次の状態であるかチェックしてください。

この節で述べる通信装置の中には弊社のサポート担当者が設定しなければならないものもあるので注意してください。

19.3.2 必要なシステム・ディスク領域

UETP を実行する前に,システム・ディスクの少なくとも 1200 ブロックが使用できることを確認してください。 ロード・テスト・プロセスを 20 より多く実行するシステムでは,少なくとも 2000 ブロック必要です。UETP の複数パスを実行する場合,ログ・ファイルは省略時のディレクトリに蓄積され,後続のパスで使用できるディスク領域が減少します。

ディスク・クォータがシステム・ディスクに対して使用可能に設定されている場合は, UETP を実行する前に,ディスク・クォータを使用不能に設定しておいてください。

19.3.3 UETP のディスク上での動作

UETP のディスク・テスト・フェーズでは,テストを行うすべてのディスク上で使用できるほとんどの空き領域は,次のような方法で使用されます。

このように,断片化されたファイルを作成および拡張することによって, UETP はディスクを調査します。この調査によって,クォータを超過しているか,またはディスクがいっぱいになっているかをチェックでき,使用できるディスク領域の大きさも調整できます。

他のディスクと同様に,シャドウ・セットやボリューム・セットも UETP でテストできますが, UETINIDEV (UETP の初期化) の間に,個々のメンバがテスト不能としてリストされることが予想されます。 UETINIDEV は,システム・ディスク (UETDISK00) のパス中にシャドウ・セットでテストすると,エラーを表示しますが,シャドウ・セットはテスト可能とリストされます。ボリューム・セットでテストすると,相対ボリューム番号 1 以外ではエラーが出て,UETINIDEV の最後にテスト不能とリストされます。

19.3.4 ディスク・ドライブの準備

次の手順に従って,システム上の各ディスク・ドライブを UETP テスト用に準備してください。

  1. スクラッチ・ディスクをドライブに入れ,ドライブを回転させる。スクラッチ・ディスクが使用できない場合は,空き領域が十分にあるディスクで代用する。どのボリューム上においても,UETP は既存のファイルを上書きしない。スクラッチ・ディスクの中に保管しておきたいファイルがある場合は,ディスクを初期化しないで,ステップ 3 に進む。

  2. 保存したいファイルがディスクに存在しない場合には,そのディスクを初期化する。次に例を示す。


    $ INITIALIZE DUA1: TEST1
    


    このコマンドは,DUA1 を初期化し,TEST1 というボリューム・ラベルをそのディスクに割り当てる。同じラベルのボリュームが存在してはならない。

  3. ディスクをマウントする。次に例を示す。


    $ MOUNT/SYSTEM DUA1: TEST1
    


    このコマンドは,TEST1 というラベルのボリュームを DUA1 上にマウントする。 /SYSTEM 修飾子は,システム上のすべてのユーザが使用できるボリュームを作成していることを示している。

  4. ディスクのテスト時,UETP は [SYSTEST] ディレクトリを使用する。ディレクトリ [SYSTEST] がボリュームに存在しない場合,このディレクトリを作成しなければならない。次に例を示す。


    $ CREATE/DIRECTORY/OWNER_UIC=[1,7] DUA1:[SYSTEST]
    


    このコマンドは [SYSTEST] ディレクトリを DUA1 上に作成し,利用者識別コード (UIC) として [1,7] を割り当てる。 UETP を実行するためには,ディレクトリの UIC は [1,7] でなければならない。

マウントしたディスクにルート・ディレクトリ構造が存在する場合には, [SYS0.] ツリーの中に [SYSTEST] ディレクトリを作成することができます。


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