OpenVMS
システム管理者マニュアル


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24.8.2 DECnet MOP から LAN MOP への移行

LAN MOP へ移行するには,次の手順を実行します。

  1. MOP ダウンライン・ロード・サービスを提供するノードを決定する。これは DECnet のサービスを現在許可しているノードと同じでもかまわない。

  2. DCL プロンプトに対して次のコマンドを入力し, LAN パーマネント・デバイス・データベースを作成する。


    MCR LANCP DEFINE DEVICE/UPDATE 
    

  3. 各クラスタ・サテライト・ノード,および DECnet ノード・データベース内で同様に定義されているその他のノードの,ノード定義を入力することによって, LAN パーマネント・ノード・データベースを作成する。このデータは手操作で入力することも,コマンド・プロシージャ SYS$EXAMPLES:LAN$POPULATE.COM を実行し,表示される指示とヘルプに従って入力することもできる。

  4. 運用時データベース内で現在許可されている,各 DECnet サーキット上でのサービスを禁止する。

  5. LAN パーマネント・デバイス・データベース内の,使用する LAN 装置ごとに, DCL プロンプトに対して次のコマンドを入力することによって,各 LAN 装置上でのサービスを許可する。


    MCR LANCP DEFINE DEVICE 装置名/MOPDLL=ENABLE 
    

  6. 高性能が求められる場合は,1482 バイトのデータ・サイズを選択し,ロード要求がいくつか失敗した場合に限ってこのサイズを小さくする。または,小さなデータ・サイズが必要なクライアントをロードするシステムを 1 つ設定し,他のクライアントをロードするシステムを別に設定する。

DECnet MOP に永久的に戻すには,次の手順に従ってください。

  1. 次を入力して,運用時データベース内の MOP サービスを禁止する。


    MCR LANCP SET DEVICE 装置名/MOPDLL=DISABLE 
    

  2. 次を入力して,LANCP のパーマネント・データベースにある MOP サービスを禁止する。


    MCR LANCP DEFINE DEVICE 装置名/MOPDLL=DISABLE 
    

  3. パーマネント・データベースと運用時データベースにあるそれぞれの DECnet サーキットに対して,サービスを再度許可する。

注意

LAN MOP でのブート時に追加したノードは,ダウンライン・ロードのターゲットとして DECnet ノード・データベースには入力されず, DECnet MOP に戻った時に更新する必要があります。

24.8.3 CLUSTER_CONFIG_LAN.COM と LAN MOP

サテライトの LAN MOP ブートを行う上で, LANCP を簡単に使用できることを目的として,クラスタ管理コマンド・プロシージャが提供されています。このコマンド・プロシージャが CLUSTER_CONFIG_LAN.COM で,SYS$MANAGER 内にあり, OpenVMS Cluster システムの構成および再構成を行うためにクラスタ管理者が使用する CLUSTER_CONFIG.COM と,まったく同じ目的を持ちます。この 2 つのプロシージャは同じ機能を実行しますが, CLUSTER_CONFIG.COM がダウンライン・ロードに DECnet MOP を使用するのに対して, CLUSTER_CONFIG_LAN.COM は LAN MOP を使用して,DECnet を使用しません。このため,新たなノードを追加した場合,CLUSTER_CONFIG_LAN.COM がノードの DECnet ノード名とアドレスを求めることはありません。代わりに,SCS ノード名と SCS ノード ID 番号を求めます。

便宜上,CLUSTER_CONFIG.COM をこれまで通り実行することもできます。 CLUSTER_CONFIG.COM を実行すると, LANACP の MOP ブートが実行されているかどうかをチェックします。また,DECnet が実行されているかどうかについてもチェックします。 LANACP が実行されていて,DECnet が実行されていない場合, CLUSTER_CONFIG.COM は CLUSTER_CONFIG_LAN.COM にディスパッチします。また,CLUSTER_CONFIG.COM が, LANACP と DECnet の両方とも実行されていることを検出すると, LAN MOP が使用されているかどうか,および CLUSTER_CONFIG_LAN.COM をユーザに対して呼び出すかどうかについて,ユーザに問い合わせてきます。

24.8.4 サテライト・ロードのサンプル

MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可し,ノード ZAPNOT を定義するための, LANCP ユーティリティに対するコマンドの実行方法を次に示します。


set acp/opcom 
set device eza0/mopdll=enable 
set node ZAPNOT/addr=08-00-2B-33-FB-F2/file=APB.EXE- 
             /root=$64$DIA24:<SYS11.>/boot=Alpha 

次に,LANACP LAN サーバ・プロセスを起動したときに表示される OPCOM メッセージを示します。


%%%%%%%%%%%  OPCOM  10-JAN-2001 06:47:35.18  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on GALAXY 
LANACP MOP Downline Load Service 
Found LAN device EZA0, hardware address 08-00-2B-30-8D-1C 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  10-JAN-2001 06:47:35.25  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on GALAXY 
LANACP MOP Downline Load Service 
Found LAN device EZB0, hardware address 08-00-2B-30-8D-1D 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  10-JAN-2001 06:47:54.80  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on GALAXY 
LANACP MOP V3 Downline Load Service 
Volunteered to load request on EZA0 from ZAPNOT 
Requested file:  $64$DIA24:<SYS11.>[SYSCOMMON.SYSEXE]APB.EXE 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  10-JAN-2001 06:48:02.38  %%%%%%%%%%% 
Message from user SYSTEM on GALAXY 
LANACP MOP V3 Downline Load Service 
Load succeeded for ZAPNOT on EZA0 
System image, $64$DIA24:<SYS11.>[SYSCOMMON.SYSEXE]APB.EXE (Alpha image) 

LAN$ACP.LOG ファイルの内容を次に示します。


10-JAN-2001 06:47:35.02  Found LAN device EZA0, hardware address 
08-00-2B-30-8D-1C 
10-JAN-2001 06:47:35.18  Found LAN device EZB0, hardware address 
08-00-2B-30-8D-1D 
10-JAN-2001 06:47:35.25  LANACP initialization complete 
10-JAN-2001 06:47:45.39  Enabled LAN device EZA0 for MOP downline load service in 
exclusive mode 
10-JAN-2001 06:47:54.70  Volunteered to load request on EZA0 from ZAPNOT 
    Requested file:  $64$DIA24:<SYS11.>[SYSCOMMON.SYSEXE]APB.EXE 
10-JAN-2001 06:48:02.23  Load succeeded for ZAPNOT on EZA0 
    MOP V3 format, System image, $64$DIA24:<SYS11.>[SYSCOMMON.SYSEXE]APB.EXE 
    Packets:  2063 sent, 2063 received 
    Bytes:    519416 sent, 4126 received, 507038 loaded 
    Elapsed time:  00:00:07.42, 68276 bytes/second 

24.8.5 クロス・アーキテクチャ・ブート

LAN の機能拡張によって, OpenVMS Cluster システム内でのクロス・アーキテクチャ・ブートが可能になりました。 VAX ブート・ノードは,Alpha サテライトに対してブート・サービスを提供することができ, Alpha ブート・ノードは VAX サテライトに対してブート・サービスを提供することができます。なお,各アーキテクチャとも,インストールおよび更新に使用するシステム・ディスクを持つ必要があることに注意してください。

24.9 LAN MOP ダウンライン・ロード・サービスの管理

LANACP LAN サーバ・プロセスは, LAN 運用時ノード・データベースおよびデバイス・データベースを保守します。 LANCP ユーティリティには,次の機能を持つコマンドが用意されています。

カウンタおよび状態情報は,ノードおよび装置ごとに保守されます。カウンタ情報には,送受信されたバイトおよびパケット数,送信エラー,プロトコル違反やタイムアウトなどの論理エラー,ロード要求数が含まれます。状態情報には,最終ロード時刻および最終ロード状態が含まれます。

24.9.1 MOP ダウンライン・ロード・サービスの許可

MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。


SET DEVICE 装置名/DLL=ENABLE 

このコマンドでは,装置名パラメータで LAN コントローラの装置名を指定します。

このコマンドについての詳細は, 第 24.6.2 項 を参照してください。

24.9.2 MOP ダウンライン・ロード・サービスの禁止

MOP ダウンライン・ロード・サービスを禁止するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。


SET DEVICE 装置名/DLL=DISABLE 

このコマンドでは,装置名パラメータで LAN コントローラの装置名を指定します。

このコマンドについての詳細は, 第 24.6.2 項 を参照してください。

24.9.3 状態データとカウンタ・データの表示

MOP ダウンライン・ロード状態を表示するには,次の形式で SHOW DLL コマンドを入力します。


SHOW DLL 

次の例は,特定のノードについてのカウンタ情報を示しています。


LAN MOP DLL Status: 
   EXA enabled in exclusive mode for known nodes only, data size 1482 bytes 
   FXA disabled 
 
       #Loads   Packets        Bytes     Last load time       Last loaded 
       ------   -------        -----  --------------------  ----------------- 
   EXA      5      1675      4400620  10-JAN-2001 10:27.51  GALAXY 
   FXA      0         0            0       

このノードには EXA (DEMNA) および FXA (DEMFA) という 2 つの LAN 装置があります。 MOP ダウンライン・ロード・サービスは,EXA 上で排他的モードで許可されます。

LANACP ノード・データベースで定義されているノードに限って,要求が応答されます。ロード・メッセージ内のイメージ・データのサイズは 1482 バイトです。 5 つのダウンライン・ロードがあり,最後のダウンライン・ロードは,ノード GALAXY 上で 10:27 に起こりました。最終的に,FXA に対してダウンライン・ロードは記録されません。これは,ダウンライン・ロード・サービスが現在禁止されているためです。

LAN$ACP.LOG ファイルに記録されている最新のダウンライン・ロード処理を表示するには,次の形式で SHOW LOG コマンドを入力します。


SHOW LOG 

24.9.4 個々のノードの状態とカウンタ・データの表示

LAN パーマネント・ノード・データベース内のノードについて, MOP ダウンライン・ロード情報を表示するには,次の形式で LIST NODE コマンドを入力します。


LIST NODE ノード名 [/修飾子,...] 

LAN 運用時ノード・データベース内のノードについて, MOP ダウンライン・ロード状態とカウンタ情報を表示するには,次の形式で SHOW NODE コマンドを入力します。


SHOW NODE ノード名 [/修飾子,...] 

表 24-12 に, LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子について簡単に説明します。

表 24-12 LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子
修飾子 説明
/ALL データベース内の全ノードについて情報を表示する。
/OUTPUT=
ファイル名
指定されたファイルに対して,出力が行われることを指示する。ファイル名拡張子が .com である場合,出力は, DEFINE NODE または SET NODE コマンドのリスト形式になる。作成されたコマンド・ファイルは,LAN ノード・データベースを作成するのに使用できる。
/TOTAL (SHOW NODE コマンドのみ) カウンタ合計だけを表示する。


次の例は,3 つのノード (GALAXY,ZAPNOT,CALPAL) が定義されているローカル・ノードで発行されたコマンドからの出力を示します。 CALPAL は 2 つのロード要求を出しています。


Node Listing: 
 
GALAXY (08-00-2B-2C-51-28): 
  MOP DLL:  Load file:   APB.EXE 
            Load root:   $64$DIA24:<SYS11.> 
            Boot type:   Alpha satellite 
 
ZAPNOT (08-00-2B-18-7E-33): 
  MOP DLL:  Load file:   NISCS_LOAD.EXE 
            Load root:   LAVC$SYSDEVICE:<SYS10.> 
            Boot type:   VAX satellite 
 
CALPAL (08-00-2B-08-9F-4C): 
  MOP DLL:  Load file:   READ_ADDR.SYS 
            Last file:   LAN$DLL:APB_X5WN.SYS 
            Boot type:   Other 
            2 loads requested, 1 volunteered 
            1 succeeded, 0 failed 
            Last request was for a system image, in MOP V4 format 
            Last load initiated 10-jan-2001 09:11:17 on EXA0 for 00:00:06.65 
            527665 bytes, 4161 packets, 0 transmit failures 
 
Unnamed (00-00-00-00-00-00): 
 
Totals: 
  Requests received    2 
  Requests volunteered 1 
  Successful loads     1 
  Failed loads         0 
  Packets sent         2080 
  Packets received     2081 
  Bytes sent           523481 
  Bytes received       4184 
  Last load            CALPAL at 10-jan-2001 09:11:17.29 

24.9.5 カウンタ・データのクリア

全ノードおよび装置で MOP ダウンライン・ロード・カウンタをクリアするには,次の形式で CLEAR DLL コマンドを入力します。


CLEAR DLL 

24.9.6 OPCOM メッセージ

省略時の設定では,OPCOM メッセージが許可されています。メッセージは,装置状態が変化したとき,ロード要求を受信したとき,およびロードが完了したとき,LANACP LAN サーバ・プロセスによって生成されます。これらのメッセージは,オペレータのコンソールに表示され, LANACP によって作成されるログ・ファイル SYS$MANAGER:LAN$ACP.LOG に書き込まれます。

OPCOM メッセージを許可するには,次の形式で SET ACP/OPCOM コマンドを入力します。


SET ACP/OPCOM 

24.9.7 ロード・トレース機能

ロード要求について LANACP LAN サーバ・プロセスが出力するエラー・データでは,ロードの失敗の理由が十分に判断できない場合,サーバ・プロセスに対して,トレース・データの記録を指示することができます。データは,サーバによって行われる送受信ごとの,送受信パケット情報で構成され,ロードのたびにログ・ファイルに書き込まれます。ログ・ファイル名は SYS$MANAGER:LAN$nodename.LOG です。全パケット・データ,または各パケットの先頭の 32 バイトだけ,のいずれかを記録できます。

一般的なロードの流れを次に示します。

  1. Program Request メッセージを,Load Assistance Multicast Address 上で,要求ノードから受信する。コード 8。

  2. Assistance Volunteer メッセージを要求ノードへ送信する。コード 3。

  3. Program Request メッセージを,自分のノード・アドレス上で,要求ノードから受信する。コード 8。

  4. Memory Load メッセージを,要求ノードへシーケンス番号ゼロで送信する。コード 2。

  5. 次のシーケンス番号 (モジュロ 256) を要求する Request Memory Load メッセージを受信する。コード 10 (10 進数)。

  6. 送信するデータがなくなるまで,ステップ 4 および 5 を繰り返す。

  7. Memory or Parameter Load with Transfer Address メッセージを送信する。コード 0 または 20 (10 進数)。

  8. 最後のメッセージが受信されたことを示す次のシーケンス番号 (モジュロ 256) を要求する,最終 Request Memory Load メッセージを受信する。コード 10 (10 進数)。

クラスタ・サテライト・ロードの場合,最後の Memory Load メッセージには,クラスタ・パラメータが含まれます。このメッセージ,および最後の Load with Transfer Address メッセージは,部分的なトレース・エコーだけが許可されている場合であっても,すべて表示されます。

パケット・データの部分トレースを許可するには,次の形式で SET ACP/ECHO コマンドを入力します。


SET ACP/ECHO 

パケット・データの完全トレースを許可するには,/FULL 修飾子を追加します。


SET ACP/ECHO/FULL 

24.9.8 MOP コンソール・キャリア

コンソール・キャリアは, MOP コンソール・キャリア・プロトコルを使用して管理インタフェースを実現している,ターミナル・サーバなどの LAN 装置に接続するメカニズムを備えています。 LANCP ユーティリティは,この機能を CONNECT NODE コマンドの形式で提供します。

コマンド形式は次のとおりです。


CONNECT NODE ノード指定 [/修飾子,...] 

表 24-13 に, CONNECT NODE コマンド修飾子について,簡単に説明します。

表 24-13 CONNECT NODE コマンド修飾子
修飾子 説明
/DEVICE= 装置名 接続に使用する LAN コントローラの装置名を指定する。
/DISCONNECT= 切断文字 遠隔ノードとの接続終了に使用できる文字を指定する。
/PASSWORD=16 桁の 16 進数 接続を開始するときに使用されるパスワードを指定する。
/V3 または /V4 それぞれ MOP バージョン 3 またはバージョン 4 で書式化されたメッセージを使用して接続を行うように指定する。



  1. CONNECT NODE GALAXY/DEVICE=EWA0
    


    このコマンドは,イーサネットの装置 EWA0 を使用して,ノード GALAXY へのコンソール・キャリア接続を試みる。


  2. CONNECT NODE 08-00-2B-11-22-33/DEVICE=EWA0/PASSWORD=0123456789ABCDEF
    


    このコマンドは,イーサネット・デバイス EWA0 を使用し,パスワードを指定して,任意のノード・アドレスへのコンソール・キャリア接続を試みる。


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