OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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第 6 章
AUTOGEN コマンド・プロシージャ

6.1 AUTOGEN について

AUTOGENコマンド・プロシージャ(SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM)はシステム・パラメータの値を適切に設定し,システム・ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズも適切に設定します。オペレーティング・システムをインストールするときや,アップグレードするときは,AUTOGENは自動的に実行されます。

さらに,システム・パラメータの値やシステム・ファイルのサイズを再設定する場合にも,AUTOGENを使用できます。新しい値とファイル・サイズは,システムを次にブートするときに有効になります。

AUTOGEN は,週に一度実行して,システム・パラメータをシステムの負荷状況に応じて設定し直すようにしてください。すべてのシステム・パラメータの一覧とその説明については, 付録 J

AUTOGENはフェーズ単位で実行され,各フェーズではそれぞれ独立した作業が実行されます。AUTOGENが実行する作業を制御するには,AUTOGENを起動するときに開始フェーズと終了フェーズを指定します。 AUTOGENのフェーズについての詳しい説明は, 第 6.4 節 を参照してください。

AUTOGENが設定するシステム・パラメータ値とファイル・サイズを制御するために, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATファイルにコマンドを追加できます。AUTOGENはこのファイルに登録された情報を使用して,システム・パラメータの最終的な値や,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを判断します。詳しくは,『OpenVMS システム管理者マニュアル』のシステム・パラメータの管理に関する章を参照してください。

AUTOGENでは,フィードバックと呼ぶ動的情報を使用して,システムの性能を向上できます。フィードバックは実行中のシステムから収集されます。

注意

構成を大幅に変更する場合は,フィードバックを使用しないでください。 AUTOGEN の初期設定を使用するには,nofeedback を指定します。 nofeedback の詳細については, 表 6-4 を参照してください。

AUTOGENがフィードバックを使用する方法は,AUTOGENを起動するときに実行モードを指定することにより制御できます。AUTOGENが計算でフィードバックを使用するように指定するには, フィードバック・モードでAUTOGENを実行します。一定の期間が経過した後,AUTOGENをフィードバック・モードで実行して,システム・パラメータの設定をさらに調整できます。 AUTOGENのフィードバックについての詳しい説明は, 第 6.3 節 を参照してください。

6.2 AUTOGEN の使用法の要約

AUTOGEN は,次の場合に実行してください。

新しいオペレーティング・システムをインストールしたときやアップグレードしたときには,システムの作業負荷に対処できるシステム・パラメータ値を AUTOGEN が設定しているかどうかを確認してください。

表 6-1 は,AUTOGEN で処理するシステム・パラメータの一覧です。ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズも,AUTOGEN で処理します。 表 6-2 は,AUTOGEN のフィードバックで処理するシステム・パラメータの一覧です。

表 6-1 AUTOGENが処理するシステム・パラメータ
ACP_DINDXCACHE ACP_DIRCACHE ACP_HDRCACHE
ACP_MAPCACHE ACP_MULTIPLE ACP_QUOCACHE
ACP_SWAPFLGS ACP_SYSACC BALSETCNT
BORROWLIM CTLPAGES DUMPSTYLE
ERLBUFFERPAGES 1 EXPECTED_VOTES FREEGOAL
FREELIM GBLPAGES GBLPAGFIL
GBLSECTIONS ++GH_EXEC_CODE ++GH_EXEC_DATA
++GH_RES_CODE ++GH_RES_DATA GROWLIM
+INTSTKPAGES LNMPHASHTBL 2 LNMSHASHTBL
LOAD_SYS_IMAGES 1 LOCKDIRWT LOCKIDTBL
LONGWAIT 1 MAXPROCESSCNT MINWSCNT
MMG_CTLFLAGS MPW_HILIMIT MPW_IOLIMIT 1
MPW_LOLIMIT MPW_LOWAITLIMIT MPW_THRESH 1
MPW_WAITLIMIT MPW_WRTCLUSTER MSCP_BUFFER
MSCP_LOAD MULTITHREAD MVTIMEOUT 1
NISCS_MAX_PKTSZ 1 NISCS_PORT_SERV NPAGEDYN
NPAGEVIR PAGEDYN PASTDGBUF
PFCDEFAULT PFRATH 1 PFRATL
++PHYSICAL_MEMORY +PHYSICALPAGES PIOPAGES
PIXSCAN PQL_DPGFLQUOTA 2 PQL_DWSDEFAULT
PQL_DWSEXTENT PQL_DWSQUOTA PQL_MPGFLQUOTA 2
PQL_MWSDEFAULT PQL_MWSEXTENT PQL_MWSQUOTA
PRCPOLINTERVAL 1 PROCSECTCNT QUANTUM 1
RECNXINTERVAL 1 RESHASHTBL RMS_DFMBC
RMS_DFMBFIDX RMS_DFMBFREL RMS_DFMBFSDK
RMS_DFMBFSMT RMS_DFMBFSUR RMS_DFNBC
SCSBUFFCNT SCSNODE SCSRESPCNT
SHADOW_MAX_COPY +SPTREQ SWPOUTPGCNT 2
SYSMWCNT TMSCP_LOAD VAXCLUSTER
+VBSS_ENABLE ++VCC_FLAGS ++VCC_MAXSIZE
VIRTUALPAGECNT VOTES WSDEC
WSINC 1 WSMAX ++ZERO_LIST_HI


+VAX固有パラメータ
++Alpha固有パラメータ
1Alphaシステムのみで処理されるパラメータ
2VAXシステムのみで処理されるパラメータ

6.3 フィードバック

AUTOGEN のフィードバックを使用すれば,パラメータ値やシステム・ファイル・サイズを手作業で変更する必要がほとんどありません。実際の作業負荷に基づいて,AUTOGEN がオペレーティング・システムを自動的にサイジングしてくれます。サイジングとは,システム資源であるメモリとディスク空間を作業負荷条件に合わせて割り当てる処理です。フィードバックとは,システムの作業負荷によってさまざまな資源がどのように使用されるかについての情報です。この情報はオペレーティング・システム・エグゼクティブによって継続的に収集されます。例外イベントが発生すると,システムはフィードバックを収集します。したがって,フィードバックの収集によってシステムの性能が低下することはありません。

AUTOGENがフィードバックを使用する方法は,AUTOGENを起動するときに実行モードを指定することにより制御できます。フィードバック・モードで実行すると,AUTOGENはこの情報を分析し,関連するパラメータ値を調整します。 AUTOGENでのフィードバックの使い方の制御についての詳しい説明は, 第 6.5 節 を参照してください。

AUTOGENはSYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.EXEイメージを実行することにより, SAVPARAMSフェーズでフィードバックを収集します。フィードバック情報は SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DATファイルに書き込まれます。このファイルは GETDATAフェーズで読み込まれます。 AUTOGENフェーズについての詳しい説明は, 第 6.4 節 を参照してください。

表 6-2 は,AUTOGEN のフィードバックで処理するシステム・パラメータの一覧です。フィードバックでは,ページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズも処理します。

表 6-2 AUTOGENのフィードバックで処理されるシステム・パラメータ
ACP_DINDXCACHE ACP_DIRCACHE ACP_EXTCACHE
ACP_FIDCACHE ACP_HDRCACHE ACP_MAPCACHE
ACP_QUOCACHE GBLPAGES GBLSECTIONS
++GH_EXEC_CODE ++GH_EXEC_DATA ++GH_RES_CODE
++GH_RES_DATA ++GH_RSRVPGCNT LNMSHASHTBL
LOCKIDTBL MAXPROCESSCNT MSCP_BUFFER
NPAGEDYN PAGEDYN RESHASHTBL
SCSBUFFCNT SCSCONNCNT SCSRESPCNT


++Alpha固有パラメータ

6.4 フェーズ

AUTOGEN は,フェーズ単位で実行します。AUTOGEN で行う作業の種類は,AUTOGEN 始動時に開始フェーズ終了フェーズを指定することによって制御します。 表 6-3 は,AUTOGEN が実行できるフェーズを,実行シーケンスに従って示しています。

表 6-3 AUTOGEN のフェーズ
フェーズ 説明
SAVPARAMS 実行中システムからの動的なフィードバックをセーブする。
GETDATA AUTOGEN の計算に使用するすべてのデータを収集する。
GENPARAMS 新しいシステム・パラメータを生成し,インストール済みイメージ・リストを作成する。
TESTFILES AUTOGEN が計算したページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを表示する。開始フェーズとしては使用できない。
GENFILES 適宜,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルを作成する。開始フェーズとしては使用できない。
SETPARAMS SYSMAN を実行して新しいシステム・パラメータを省略時のパラメータ・ファイルに設定し,オリジナル・パラメータをセーブし,新しいパラメータ・ファイル AUTOGEN.PAR を作成する。
SHUTDOWN 手作業でシステムを再ブートできるようにする。
REBOOT システムを自動的にシャットダウンし,再ブートする。
HELP ヘルプ情報を画面に表示する。

次に,各フェーズについて,詳しく説明していきます。

6.4.1 SAVPARAMS

SAVPARAMS フェーズは,以降の AUTOGEN のフェーズで使用する
AGEN$FEEDBACK.DAT ファイルにフィードバックを記録します。 実行モード・パラメータとして NOFEEDBACK を指定した場合,収集した情報は使用されません。

SAVPARAMS フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 SAVPARAMS では,SYSPRV と CMKRNL の特権が必要です。

注意

SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM を使用して会話形式で通常のシャットダウンを行う場合,SAVE_FEEDBACK オプションを指定することができます。 "Shutdown options:" のプロンプトに対してこのオプションを入力すると,システムを最後にブートしてから収集されたフィードバックが記録されます。この結果,新しいバージョンの SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DAT が作成されます。この新しいバージョンのフィードバックを使用するには,システムを再ブートしたときに GETDATA フェーズから AUTOGEN を始動します。

6.4.2 GETDATA

GETDATA フェーズは,AUTOGEN による計算に必要な次の情報を収集し,PARAMS.DAT ファイルに格納します。

さらに,GETDATA フェーズでは,次のファイルを実行することによって,各種装置をシステムに設定します。

GETDATA フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 GETDATA では,SYSPRV と CMKRNL の特権が必要です。

6.4.3 GENPARAMS

GENPARAMS フェーズの AUTOGEN は,PARAMS.DAT に格納されているデータをもとにパラメータ値を計算し,SETPARAMS.DAT を出力します。 AUTOGEN は,フィードバックが含まれているかどうかをチェックし,含まれていれば,計算に利用します。だたし,AUTOGEN を起動したときに, NOFEEDBACK 実行モードを指定した場合は,この処理を実行しません。 さらに,既知イメージ・ファイル・リスト VMSIMAGES.DAT も作成します。

GENPARAMS フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 GENPARAMS では,SYSPRV と OPER の特権が必要です。

6.4.4 TESTFILES

TESTFILES フェーズは,AUTOGEN が出力したシステム・ページ・ファイル,システム・スワップ・ファイル,システム・ダンプ・ファイルのサイズを表示します。このフェーズでは,ファイル・サイズの変更は行いません。

現在インストールされている一次と二次のページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズを表示します。省略時の設定では,ファイル・サイズ情報は SYS$OUTPUT と AGEN$PARAMS.REPORT ファイルに出力されます。 TESTFILES は,終了フェーズとしてだけ使用することができます。

TESTFILES フェーズを指定した場合,AUTOGEN のファイル・サイズ計算値が表示されます。新しいサイズのファイルを作成するには, GENFILES フェーズを指定してください。この 2 つのフェーズの両方を AUTOGEN 始動時に指定することはできません。まず TESTFILES でファイル・サイズの変更内容を表示し,次に新しいサイズのファイルを作成してください。

TESTFILES フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 TESTFILES では,SYSPRV 特権が必要です。


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