OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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/LIST

コマンド修飾子

BACKUP セーブ・セットとセーブ・セット内のファイルに関する情報をリストします。ターミナル上にリストすることも,ファイルに書き込むこともできます。


形式

/LIST [=ファイル指定] セーブ・セット指定


説明

/LIST 修飾子は,単独で使用してもよく,セーブ,復元,コピー,比較,ジャーナルなどの他の処理と併用することもできます。/LIST を単独で使用する場合,入力指定子はセーブ・セットとし,出力指定子は省略してください。

セーブ・セットの内容をリストするには,まず,セーブ・セットを格納している媒体をドライブに挿入しなければなりません。セーブ・セットがディスクに格納されている場合,Files-11 ボリュームまたはフォーリン・ボリュームとしてディスクをマウントしてください。磁気テープは,リスト処理の一部として自動的にマウントされます。

省略時の設定では,リスト情報は使用中のターミナルに表示されますが,指定ファイルに書き込むこともできます。

スタンドアロン BACKUP で /LIST 修飾子を使用し,/LIST= ファイル指定で指定したファイルに出力する場合,指定ファイルはターミナルまたはプリンタでなければなりません。

/LIST 修飾子では,コマンド修飾子 /BRIEF や /FULL を併用できます。 /BRIEF 修飾子は,ブロック数によるファイル・サイズとファイル作成日付をリストします。/FULL 修飾子は,DCL の DIRECTORY/FULL コマンドと同じ形式で,その他のファイル情報もリストします。省略時の値は, /BRIEF です。

/LIST の結果をターミナルに出力する場合,コマンド修飾子 /LOG を /LIST と併用してはなりません。併用すると,混乱した結果が出力されます。



$ BACKUP/LIST DBA2:[SAVE]23MAR00.BCK/SAVE_SET
 
Listing of save set(s)
 
Save set:          23MAR00.BCK
Written by:        MOROCI
UIC:               [000200,000200]
Date:              23-MAR-2000 14:18:16.00
Command:           BACKUP [SAVE] DBA2:[SAVE]23MAR00.BCK/SAVE_SET
 
Operating system:  OpenVMS Alpha Version V7.3-1
 
BACKUP version:    V7.3-1
CPU ID register:   08000000
Node name:         _SUZI::
Written on:        _DBA2: 
Block size:        32,256 
Group size:        10
Buffer count:      3
 
[SAVE]LAST.DAT;1                         1  18-JAN-2000 14:11
[SAVE]INFO.TXT;4                         5   4-FEB-2000 13:12
[SAVE]WORK.DAT;3                        33   1-JAN-2000 10:02
 
Total of 3 files, 39 blocks
End of save set
 

BACKUP 要約情報とセーブ・セット内の各ファイルの名前,サイズ,作成日付をリストしています。Files-11 ディスク上のセーブ・セットを入力指定子に指定するため,/SAVE_SET 修飾子を使用しています。

/LOG

コマンド修飾子

処理するファイルのファイル指定を,処理中に SYS$OUTPUT に表示するかどうかを指定します。省略時の値は,/NOLOG です。


形式

/[NO]LOG 入力指定子 出力指定子



$ BACKUP/LOG [SAVE]23MAR00.BCK/SAVE_SET DBA2:[PLI.WORK]
S>(%BACKUP-S-CREATED, created DBA2:[PLI.WORK]ANOTHER.DAT;1) 
%BACKUP-S-CREATED, created DBA2:[PLI.WORK]LAST.DAT;1
%BACKUP-S-CREATED, created DBA2:[PLI.WORK]THAT.DAT;1
%BACKUP-S-CREATED, created DBA2:[PLI.WORK]THIS.DAT;2
. 
. 
. 

DBA2 上のディレクトリ [PLI.WORK] に復元するファイルのファイル指定が,SYS$OUTPUT に出力されます。

/MEDIA_FORMAT=[NO]COMPACTION

出力セーブ・セット修飾子

データ・レコードを自動的に圧縮してブロッキングするかどうかを制御します。データを圧縮しレコードをブロッキングすれば,より多くのデータをテープに格納できます。

圧縮比は,データとテープ・ドライブによって異なります。詳細については,テープ・ドライブのマニュアルを参照してください。

BACKUP を使用すると,1 つのテープ上の異なるセーブ・セットについて,異なる圧縮の設定を行うことができます。ただし,すべてのテープ・ドライブが 1 つのテープ上の複数の圧縮の設定をサポートしているわけではありません。混合されたモードのテープが許可されるかどうかは,使用するテープ・ドライブのモデルに依存します。


形式

入力指定子 出力セーブ・セット指定  /MEDIA_FORMAT=[NO]COMPACTION


説明

/MEDIA_FORMAT 修飾子は,テープ圧縮をサポートするテープ・ドライブ専用です。

Alphaシステムでは,/MEDIA_FORMAT=COMPACTION 修飾子を使用して, SCSI テープ・ドライブのハードウェア・データ圧縮を行うことができます。



$ BACKUP WORK$:[TESTFILES...]*.*;*  MUA0:TEST.SAV -
_$/MEDIA_FORMAT=COMPACTION /REWIND

セーブ・セット TEST.SAV 内のディレクトリ [TESTFILES] とそのサブディレクトリに存在するすべてのファイルを,テープ・ドライブ TA90E を使用してセーブしています。 /MEDIA_FORMAT=COMPACTION 修飾子により,テープ・ドライブがデータ・レコードを自動的に圧縮しブロッキングします。

/MODIFIED

入力ファイル選択修飾子

各ファイル・ヘッダ・レコードの変更日付フィールド値 (ファイルを最後に変更した日付) をもとに,ファイルを選択します。


形式

入力指定子 /BEFORE=日時  /MODIFIED 出力指定子

入力指定子 /SINCE=日時  /MODIFIED 出力指定子


説明

/MODIFIED 修飾子は,入力ファイル選択修飾子 /BEFORE または /SINCE と併用します。/BEFORE または /SINCE で指定した日時により,処理するファイルが決まります。

/MODIFIED は,/BACKUP,/CREATED,/EXPIRED のいずれかの入力ファイル選択修飾子と併用することはできません。



$ BACKUP [SUNDANCE...]/BEFORE=TODAY/MODIFIED MFA1:MOD.BCK

ディレクトリ木構造 [SUNDANCE] に存在し,変更日付が今日 (現在の日,月,年の 00:00:00.0 時) より前のすべてのファイルをセーブしています。

/NEW_VERSION

出力ファイル修飾子

復元先やコピー先の記憶位置に同名のファイルがすでに存在する場合,新しいバージョンのファイルを作成します。


形式

入力指定子 出力指定子/NEW_VERSION


説明

ファイルをコピーまたは復元するときに,ディレクトリ名,ファイル名,タイプが指定ファイルと同じで,バージョン番号が指定ファイルと同じであるか指定ファイルより大きいファイルがすでに存在する場合,名前とタイプは同じで,バージョン番号が既存の最大番号より 1 大きいファイルが作成されます。

既存ファイルのバージョン番号以下のバージョン番号を持つファイルを /NEW_VERSION,/REPLACE,/OVERLAY なしでコピーまたは復元しようとすると,エラーが出力されます。

/NEW_VERSION 修飾子を使用してファイルをコピーまたは復元する場合,ファイルはバージョン番号の降順で処理され,昇順で作成されます。この結果,バージョン番号は逆転します。

このようにしてバージョン番号が変更されるため,この修飾子を /VERIFY 修飾子と併用した場合,結果は予測不能となります。 /VERIFY 修飾子は,/NEW_VERSION 修飾子と併用しないようにしてください。



$ BACKUP MTA1:NOV30REC.BCK/SELECT=*.DAT [RECORDS...]/NEW_VERSION

ファイル・タイプが .DAT であるすべてのファイルを,磁気テープ・セーブ・セット NOV30REC.BCK からディレクトリ [RECORDS] に復元します。/NEW_VERSION 修飾子により,同名のファイルがすでに存在しているかどうかに関わりなく,ファイル・タイプ .DAT のファイルが復元されます。

/NOINCREMENTAL

コマンド修飾子

OpenVMS 7.2 以降では,保存操作において, /NOINCREMENTAL 修飾子を使用して保存するデータの量を制御できます。この修飾子は,すべてのデータではなく特定のファイルを保存したい場合にのみ使用します。


形式

/NOINCREMENTAL 入力指定 出力指定


説明

OpenVMS 6.2 とそれ以前のバージョンにおいては,システムは省略時の設定では,変更されたディレクトリの下にあるファイルやサブディレクトルを保存しません。 OpenVMS 7.0 と 7.1 においては,システムは省略時の設定では,的確に復元をおこなうために,変更されたディレクトリの下にあるファイルやサブディレクトリをすべて保存します。このような動作は,後の復元操作で必要でないファイルやサブディレクトリを保存してしまうことになることがありました。

/NOINCREMENTAL 修飾子は,復元操作においては意味をもっていません。



$ BACKUP/ FAST/ NOINCREMENTAL /SINCE="3-MAY-2000" -
_$ MAC_DISK:[000000...]*.*;* -
_$ TAPE:MCDSK000503.BCK/ SAVE/ REWIND

この例でのバックアップコマンドは,入力指定したボリュームの追加型保存 BACKUP 操作を実行します。このコマンドは,現在変更したディレクトリの下のすべてのファイルを保存しないように指示しています。

/OVERLAY

出力ファイル修飾子

出力位置に存在する同名のファイルに入力ファイルを上書きします。


形式

入力指定子 出力指定子/OVERLAY


説明

ディレクトリ名,ファイル名,タイプ,バージョン番号がコピーまたは復元対象ファイルと同じであるファイルがすでに存在する場合,既存バージョンに新バージョンが上書きされます。新バージョンのファイル識別子は,上書きされたファイルの識別子と同じです。

ディスク上におけるファイルの物理位置は,変わりません。既存ファイルより新ファイルが大きい場合に /OVERLAY を指定すると,追加ブロックが割り当てられ,ファイルが拡張されます。

処理するファイルのバージョン番号が既存ファイルと同じであるときに /OVERLAY,/REPLACE,/NEW_VERSION を指定しない場合,コピーまたは復元処理はエラーを出力します。



$ BACKUP DRA1:MAR30SAV.BCK/SAVE_SET [RECORDS...]/OVERLAY

順編成ディスク・セーブ・セット MAR30SAV.BCK をディレクトリ木構造 [RECORDS...] に復元しています。セーブ・セットのファイルと同じ識別子を持つファイルが [RECORDS...] に存在する場合, /OVERLAY により,既存バージョンが上書きされます。

/OWNER_UIC

/OWNER_UIC 修飾子は,/BY_OWNER に変更されています。コマンド・プロシージャやオペレータ命令に /OWNER_UIC を使用している場合は,/BY_OWNER に変更してください。詳細については,/BY_OWNER の項を参照してください。

/PHYSICAL

コマンド修飾子

入力ボリュームのファイル構造を無視し,論理ブロック単位でボリュームを処理することを指定します。


形式

/PHYSICAL 入力指定子 出力指定子


説明

物理処理では,論理ブロック単位でボリューム全体を処理します。

物理ボリュームの入力指定子と出力指定子は,異なる装置名でなければなりません。また,/DELETE,/IMAGE,/INCREMENTAL,/JOURNAL,/RECORD のいずれかの修飾子を /PHYSICAL 修飾子と併用すると,回復不可能なエラーが発生します。

ディスク間で物理コピー処理を行う場合,出力ディスクの装置タイプは入力ディスクと同じでなければなりません。たとえば,入力ディスク RP05 と出力ディスク RP06 との間で BACKUP/PHYSICAL 処理を実行することはできません。出力ディスクには,入力ディスクの正常ブロックに対応する位置に不良ブロックが存在してはなりません。この制限は,RA または RA よりも新しいディスク・アーキテクチャには適用されません。

ディスク間の物理セーブ処理に使用する出力ディスクは,入力ディスクと同じタイプであるか,または入力ディスクより容量が大きいディスクでなければなりません。出力ディスクには,入力ディスクの正常ブロックに対応する位置に不良ブロックが存在してはなりません。この制限は,RA または RA よりも新しいディスク・アーキテクチャには適用されません。

ディスク間の物理復元処理に使用する出力ディスクは,セーブ・セットを作成したディスクと同じタイプの装置である必要があります。出力ディスクには,セーブ・セットを作成したディスクの正常ブロックに対応する位置に,不良ブロックが存在してはなりません。この制限は,RA または RA よりも新しいディスク・アーキテクチャには適用されません。

物理処理に使用する出力ディスクは,DCL の MOUNT/FOREIGN コマンドでマウントしてください。同様に,入力ディスクも, DCL の MOUNT/FOREIGN コマンドでマウントしてください。あるいはユーザ特権 LOG_IO または PHY_IO を持っていることが必要です。

物理セーブまたは復元処理に磁気テープを使用できます。磁気テープは,フォーリン装置として自動的にマウントされます。

/PHYSICAL 修飾子を使用して書き込んだセーブ・セットは,物理セーブ・セットとしてのみ読み込みます。同様に,ファイル構造セーブ・セットは,ファイル構造の復元または比較処理でのみ読み込めます。

注意

BACKUP/PHYSICAL は,ディスケット RX01 と RX02 の第 1 トラックであるトラック 0 をコピーしません。トラック 0 は,サポートされていないからです。


#1

$ MOUNT/FOREIGN DYA0:
$ MOUNT/FOREIGN DYA1:
$ BACKUP/PHYSICAL DYA0:  DYA1:

RX02 ディスケットを DYA0 と DYA1 にフォーリン装置としてマウントし,DYA0 にマウントしたディスケットの内容を DYA1 にマウントしたディスケットにコピーしています。

#2

$ MOUNT/FOREIGN DBA1:
$ BACKUP/PHYSICAL MTA0:28SEP.BCK DBA1:

物理セーブ・セット 28SEP.BCK を DBA1 に復元しています。

/PROTECTION

出力セーブ・セット修飾子

ディスク上にセーブ・セットを作成する場合,出力セーブ・セットに適用する保護を定義します。磁気テープ上にセーブ・セットを作成する場合,磁気テープ・ボリュームに適用する保護を定義します。テープを初期化しないかぎり,その後テープ上に作成するすべてのセーブ・セット同じ保護が適用されます。


形式

入力指定子 出力セーブ・セット指定 /PROTECTION[=(コード)]


説明

ファイル・システムは BACKUP セーブ・セットを 1 つのファイルとして扱うので,適宜セーブ・セットを保護する必要があります。セーブ・セットを正しく保護していないと,セーブ・セット内のファイルは,セーブ・セットにアクセスできるユーザであれば誰にでもアクセスされてしまいます。

保護コードは,システム,所有者,グループ,一般の 4 種類のユーザが使用できるアクセスのタイプ (読み込み,書き込み,実行,削除) を示します。保護コードの指定方法については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

/PROTECTION を指定しないまま,セーブ・セットを Files-11 ディスクまたは順編成ディスクに書き込んだ場合,プロセスの省略時の保護が適用されます。/PROTECTION を指定した場合,指定を省略した保護カテゴリには,個々のユーザの省略時のプロセス保護が使用されます。

保護情報は,磁気テープのボリューム・ヘッダ・レコードに書き込まれ,そのテープに格納されるすべてのセーブ・セットに適用されます。 /PROTECTION を指定した場合,指定を省略した保護カテゴリには,個々のユーザの省略時のプロセス保護が使用されます。

磁気テープを初期化して正しく保護するには,/PROTECTION 修飾子とともに出力セーブ・セット修飾子 /REWIND を指定する必要があります。 /REWIND を /PROTECTION と併用しない場合,ボリューム・ヘッダ・レコードに格納されている保護情報は変更されません。ただし,後続のボリュームについては,/REWIND を指定せずに /PROTECTION だけを指定することによって正しい保護が設定されます。

/PROTECTION を指定せずにセーブ・セットを磁気テープに書き込むと,保護なしがテープに適用されます。

以前に /PROTECTION 修飾子を使用して初期化した磁気テープ・ボリュームを初期化するには,ボリュームの所有者であること (ユーザの UIC がボリュームの UIC と同じ),または VOLPRO 特権を持っていることが必要です。



$ BACKUP
_From: [CLEAVER...]
_To: MFA2:ACCOUNTS.BCK/BY_OWNER=[301,310]/REWIND/LABEL=BANK01-
_$ /PROTECTION=(S:RWE,O:RWED,G:RE,W)

磁気テープ BANK01 上のセーブ・セット ACCOUNTS.BCK に,ディレクトリ木構造 [CLEAVER...] をセーブしています。出力セーブ・セット修飾子 /REWIND により,セーブ処理前にテープが巻き戻され初期化されます。出力セーブ・セット修飾子 /BY_OWNER が,所有者 UIC [301,310] を磁気テープに設定します。 /PROTECTION 修飾子は,読み込み,書き込み,実行,削除のアクセス権を磁気テープの所有者に設定します。SYSTEM ユーザには読み込み,書き込み,実行のアクセス,GROUP ユーザには読み込みと実行のアクセスが許可され,WORLD ユーザにはアクセスが許可されません。


$ BACKUP/IMAGE
_From: DUA0:
_To: MFA2:DAILY.BCK/REWIND/LABEL=TAPE1-
_$ /PROTECTION=(S:RWED,O:RWED,G,W)
$ BACKUP/IMAGE DUA2: MFA2:DAILY2.BCK/PROTECTION=(S:RWED,O:RWED,G,W)
%BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 2
%BACKUP-I-READYWRITE, mount volume 2 on _MFA2: for writing
Press return when ready: [Return]

最初の BACKUP コマンドは,ディスク DUA0 のイメージ・バックアップをラベル BANK01 の磁気テープ上のセーブ・セット DAILY.BCK に作成します。出力セーブ・セット修飾子 /REWIND によって,セーブを行う前にテープが巻き戻されて初期化されます。 /PROTECTION 修飾子は,磁気テープの所有者および SYSTEM ユーザに読み込み,書き込み,実行,削除アクセス権を設定します。 GROUP ユーザおよび WORLD ユーザにはアクセス権は設定されません。

2 つめの BACKUP コマンドは,同じテープにディスク DUA2 のバックアップを作成します。テープがいっぱいになると,次のボリュームが要求されます。 /PROTECTION 修飾子が指定されているため,後続のボリュームにも適切な保護が適用されます。


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