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以前には,モニタとキーボードで構成される ビデオ・ターミナル からホスト・コンピュータに接続していました。OpenVMS オペレーティング・システムが稼動するホスト・コンピュータにすべての処理能力があり,これらのコンピュータは,しばしば,中央のコンピュータ・ルームに設置されました。今日では,専用の計算機能を備えたパーソナル・コンピュータ(PC)またはワークステーションで作業する方が一般的になっています。この状況で,OpenVMS が稼動するホスト・コンピュータに接続するには,ターミナル・エミュレーション・プログラムを利用します。
ターミナル・エミュレーション・プログラムは,TCP/IP ネットワーク,インターネット,またはイントラネット経由で OpenVMS システムに接続します。オペレーティング・システムとの会話は,ターミナル・エミュレーション・プログラムによって提供されるインタフェースを使用して PC のモニタに表示されます。この方法で OpenVMS に接続するには,ターミナル・エミュレーション・プログラムを起動し,接続先のシステムを選択した後,本章の説明に従って OpenVMS オペレーティング・システムにログインします。
1.3 アカウントのパスワードの選択
安全なパスワードを選択するには,次のガイドラインに従ってください。
システム管理者やセキュリティ管理者は,たとえば10文字未満のパスワードや,パスワードの反復を禁止するなど,それ以外に制約を設定することもできます。
次の表は,安全なパスワードと危険性の高いパスワード(他人が簡単に推測できるパスワード)の例を示しています。
安全なパスワード | 危険なパスワード |
---|---|
意味のないつづり:
aladaskgam eojfuvcue joxtyois |
個人的な関わりの強い言葉:
自分の名前 恋人の名前 ペットの名前 住んでいる町の名前 自分の自動車の名前 |
混合文字列:
492_weid $924spa zu_$rags |
仕事に関連する用語:
会社名 特殊プロジェクト名 作業グループ名 |
通常,自分のアカウントがシステムですでに作成されているかどうかを調べれば,ユーザ・パスワードが必要かどうかがわかります。ユーザ・パスワードが有効な場合には,システム管理者は通常,最初のログインのために特定のパスワードを割り当てます。このパスワードはシステムの利用者登録ファイル(UAF)に登録されており,アカウントの使用方法に関するその他の情報もあわせて登録されています。
他の人が簡単に推測できるようなパスワードは望ましくありません。アカウントを作成する人に,推測しにくいパスワードを指定するように依頼してください。パスワードの作成にまったく関与できない場合には,自分の名前と同じパスワードが指定されてしまう可能性があります。その場合には,ログインした後,ただちにパスワードを変更してください(パスワードとして自分の名前や姓を使用するのはきわめて一般的であるため,セキュリティの観点からは望ましくありません)。
アカウントを作成するときに,パスワードの最小長と,自分で新しいパスワードを選択できるのか,それともシステムから一方的にパスワードが与えられるのかも知っていなければなりません。
1.3.2 初期パスワードの変更
アカウントが作成された後,そのアカウントにただちにログインし,パスワードを変更してください。アカウントの作成後,初めてログインするまでに時間が経過した場合には,他のユーザがアカウントにログインして,システムに損害を与える可能性があります。同様に,パスワードを変更しなかったり,パスワードを変更できない場合には,システムを安全に維持できません。システムがどのような損害を受けるかは,他にどのようなセキュリティ手段がとられているかに大きく左右されます。パスワードの変更の詳細については,第 1.7 節 を参照してください。
1.3.3 パスワードの制限事項
システムはパスワードを受け付けることができるかどうかについて,次のことを調べます。
システム辞書に登録されているパスワード,以前に使用したことのあるパスワード,UAF に指定されているパスワードの最小長未満のパスワードは指定できません。
1.3.4 使用するパスワードのタイプ
OpenVMS オペレーティング・システムでは,複数のパスワード・タイプが認識されます。
ほとんどのアウウントで必要。ユーザ名を入力した後,パスワードを要求するプロンプトが表示される。アカウントで 1 次パスワードと 2 次パスワトードの両方が必要な場合には,2 つのパスワードを入力しなければならない。
特定のターミルへのアクセスを制御し,セキュリティ管理者が設定する。システム・パスワードは通常,ダイアルアップ回線やパブリック・ターミナル・ラインなど,システムの不当な使用の対象となるターミナルへのアクセスを制御するのに必要である。
1 次パスワードと2次パスワードの両方を必要とするアカウントで最初に入力しなければならないパスワード。
1 次パスワードと 2 次パスワードの両方が必要なアカウントで 2 番目に入力しなければならないパスワード。2 次パスワードは,ユーザ・アカウントで補足的なセキュリティ・レベルを提供する。 通常,1 次ユーザは2次パスワードを知らない。したがって,スーパーバイサなどが2次パスワードを指定しなければならない。アプリケーションによっては,アカウントの使用中もスーパーバイザがそのまま残ることがある。したがって,2 次パスワードはログインやログイン後の処理を制御する上で便利である。
2 次パスワードを使用すると,時間がかかり,不便である。したがって,最大のセキュリティ要件を必要とするシステムでのみ使用する。二重パスワードを使用した方がよいアカウントの例としては,通常のアクセス制御を迂回して,データベースを緊急に修復するアカウントがある。
使用できる1つ以上のターミナルにログインするために,システム・パスワードを指定しなければならないかどうかは,セキュリティ管理者が決定します。現在のシステム・パスワード,パスワードの変更頻度,変更した場合の新しいシステム・パスワードの入手方法については,システム管理者にご質問ください。
システム・パスワードを指定するには,次の操作を実行します。
手順 | タスク |
---|---|
1 | ターミナルが認識文字を応答するまで,Enter キーを押す。認識文字は通常,ベルである。 |
2 | システム・パスワードをタイプし,Enter を押す。この例に示すように,プロンプトは表示されず,入力した文字も表示されない。正しいシステム・パスワードを指定しなかった場合でも,そのことは通知されない(したがって,そのターミナルでシステム・パスワードが必要であることがわからない場合,最初はシステムが誤動作しているかのように見える)。システムから応答がない場合には,誤ったパスワードを入力したものと解釈し,正しいパスワードを再入力する。 |
3 | 正しいシステム・パスワードを入力すると,システム・アナウンスメント・メッセージが表示され(設定されている場合),その後に Username: プロンプトが表示される。次の例を参照。
MAPLE - A member of the Forest Cluster |
2 次パスワードを使用しなければならないかどうかは,アカウントの作成時にセキュリティ管理者が設定します。アカウントで 1 次パスワードと 2 次パスワードが必要な場合には,ログイン時に2つのパスワードを指定しなければなりません。セキュリティ管理者が UAF に指定したパスワードの最小長は,両方のパスワードに適用されます。
1 つのパスワードでログインできる場合と同様に,システムはログイン全体に対して特定の時間を割り当てます。その時間内に 2 次パスワードを入力しなかった場合には,ログインは時間切れになります。
次の例は,1 次パスワードと2次パスワードを必要とするログインを示しています。
WILLOW - A member of the Forest Cluster Welcome to OpenVMS on node WILLOW Username: RWOODS Password: [Enter] Password: [Enter] Last interactive login on Friday, 11-DEC-2002 10:22 $ |
OpenVMSシステムでは,4種類のユーザ・アカウントを使用できます。
コンピュータに直接接続されているターミナルからログインする場合には,次の例にしめすように,OpenVMSシステムは情報システム・メッセージを表示します。
WILLOW - A member of the Forest Cluster (1) Unlawful Access is Prohibited Username: RWOODS Password: You have the following disconnected process: (2) Terminal Process name Image name VT320: RWOODS (none) Connect to above listed process [YES]: NO Welcome to OpenVMS on node WILLOW (3) Last interactive login on Wednesday, 11-DEC-2002 10:20 (4) Last non-interactive login on Monday, 30-NOV-2002 17:39 (5) 2 failures since last successful login (6) You have 1 new mail message. (7) $ |
以下は,例についての説明です。
システムは次の条件が満足される場合にのみ,切断メッセージを表示する。
一般に,この機能が使用可能であっても,システム・セキュリティに問題はないため,セキュリティ管理者はユーザが再接続できるように設定する。ただし,ターミナルでこの設定を変更し,システムで仮想ターミナルの使用を禁止すれば,この機能を禁止できる(仮想ターミナルの設定と再接続についての説明は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照)。
セキュリティ管理者は,ノード名とオペレーティング・システム識別情報を含むウェルカム・メッセージとアナウンスメント・メッセージを表示しないように設定できます。ログイン・プロシージャはオペレーティング・システムに応じて異なっているため,この情報が表示されなければ,ログインが困難になります。
最終ログイン成功メッセージと失敗メッセージは省略可能です。セキュリティ管理者はこれらをまとめて有効にしたり,無効にすることができます。中レベルまたは高いレベルのセキュリティが必要とされるシステムでは,これらのメッセージを表示すれば,不法な侵入(ブレークイン)を示すことができます。さらに,システムがログインを監視していることを示すことができるため,これらのメッセージは不当なユーザによるアクセスを抑制する効果があります。
1.4.2 成功ログイン・メッセージ
ログインするたびに,システムは最後に成功したログインとログイン失敗の回数を再設定します。アカウントに会話方式でアクセスするときに,ログイン時に誤ったパスワードを指定しなければ,最後に成功した非会話型ログイン・メッセージとログイン失敗メッセージは表示されません。
1.5 ログインのタイプとログイン・クラス
ログインは会話型と非会話型に分類できます。会話型ログインの場合には,ユーザ名とパスワードを入力します。非会話型ログインでは,システムがユーザの識別と認証を実行します。ユーザ名とパスワードを要求するプロンプトは表示されません。
会話型ログインと非会話型ログインの他に,OpenVMSオペレーティング・システムではさまざまなログイン・クラスも認識されます。システムにログインする方法によって,どのログイン・クラスに属しているかが決定されます。ログイン・クラス,および曜日と時刻によって,システム管理者はシステムへのアクセスを制御します。
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