本章は, VAXおよびAXPシステム用の日本語DECwindows Motif for OpenVMS の概要を紹介しており,以下の内容で構成されます。
| トピック | セクション |
|---|---|
| クライアント／サーバ・モデル | 第1.1節 |
| ディスプレイ・サーバ | 第1.1.1項 |
| クライアント | 第1.1.2項 |
| DECwindows Motifの構成要素 | 第1.2節 |
日本語DECwindows Motif for OpenVMSは,クライアント／サーバ・モデル上で稼働します。 サーバとは,多くのクライアント・プロセスのリクエストに応じて作業を実行する単一共用プロセスです。DECwindows Motif 環境では, DECterm やDECwindowsメールのようなグラフィック・アプリケーションが, ディスプレイ・サーバと会話するクライアントです。クライアントのアプリケーションに代わって, 物理的なグラフィック表示や入力デバイスを管理するのが ディスプレイ・サーバです。
大抵のクライアントとサーバの関係から,クライアント・システムとは机上のコンピュータであり, サーバ・システムは計算機室にあるものと考えますが, DECwindows では,クライアントが計算機室でDECtermやDECwindows メールといったアプリケーションを実行している間,サーバは机上で画面にグラフィックを表示します。DECwindows のサーバと他の種類のサーバを区別するために, DECwindows のサーバをディスプレイ・サーバと呼びます。
図 1-1はDECwindows Motif のクライアントとディスプレイ・ サーバの構造図です。
この構造の構成要素であるディスプレイ・サーバにより,アプリケーション・ インターフェイスがサポートされているシステムすべてと,同一の方法で会話できます。 ディスプレイ・サーバは表示システムに常駐し,トランスポート層を介してクライアントからからＸプロトコルを受信し, 特定のデバイス用のリクエストに応えるために必要な機能を実行します。
サーバは基本的に,リクエストの内容を示すデータを,該当するデバイス・ ドライバが実行できるようなコマンドに変換します。アプリケーションのユーザがマウスやキーボードを使ってデータを入力すると, ディスプレイ・ サーバはデバイス・ドライバから入力データを受信し,トランスポート層を通して, プロトコル・パケットをXlibおよびツールキット・ルーチンに返します。
ディスプレイ・サーバは,ユーザからアプリケーションへの非同期入力と, アプリケーションから画面への非同期出力をサポートします。
クライアントとはＸプロトコルを要求するプロセスで,通常DECtermまたはDECwindows メール等のユーザ・アプリケーションです。クライアントはサーバ表示システムに表示されるものを制御し, ユーザが会話を行うユーザ・ インターフェイスを生成します。
DECwindows構造では大抵のクライアント／サーバ・モデルと同様,クライアントとサーバが同一の計算機に存在する必要はありません。 クライアントとサーバは, 接続の詳細を隠すトランスポート層によって接続されます。 トランスポート層にはクライアントおよびサーバの両構成要素があり, クライアントとサーバは各自,トランスポート構成要素を含んでいなければなりません。
トランスポート層の仕事はクライアントとサーバ間のデータ交換で,データをどのような形であっても変更しません。
日本語DECwindows Motif for OpenVMSでは,以下のトランスポート機構をサポートしています。
本節では, DECwindows Motifのレイヤード・プロダクトの構成要素と,オペレーティング・ システムに依存する構成要素を示します。
以下に, DECwindows Motifのレイヤード・プロダクトの構成要素を示します。
以下のDECwindowsの構成要素は,オペレーティング・システムに依存しています。
主イメージとデバイスとは無関係のサーバは直接リンクしています。 初期化を行っている間に,どのグラフィック・デバイスが使用可能でかつ選択されているかによって, デバイスに依存するサーバ・イメージがダイナミックにアクティブ化されます。 ロード可能な拡張は, AXP用の初期化中または最初に使用された時にダイナミックにアクティブ化されます。
共通のトランスポート・イメージはディスプレイ・サーバに組み込まれており, トランスポート初期化パラメータを基礎としています。トランスポート固有のイメージが, １つ以上ダイナミックにアクティブ化されます。