本書では,日本語 OpenVMS V7.3-2 の新しい機能,制限事項などについて説明します。
| 改訂/更新情報: | 新規マニュアルです。 |
| ソフトウェア・バージョン: | 日本語 OpenVMS Alpha V7.3-2 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社
© 2004 Hewlettt-Packard Development Company, L.P.
本書の著作権は日本ヒューレット・パッカード株式会社が保有しており,本書中の解説および図,表は日本ヒューレット・パッカードの文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。
また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,日本ヒューレット・パッカードは一切その責任を負いかねます。
本書で解説するソフトウェア ( 対象ソフトウェア ) は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。
日本ヒューレット・パッカードは,日本ヒューレット・パッカードまたは日本ヒューレット・パッカードの指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。
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本書は,日本語 OpenVMS Alpha バージョン 7.3-2 の新しい機能,制限事項などについて解説します。
本書は,システム管理者およびプログラマを含む日本語 OpenVMS のすべてのユーザを対象としています。システム管理者の方は,日本語 OpenVMS Alpha バージョン 7.3-2 をインストールする前に,必ず本書をお読みください。
本書の構成は次のとおりです。
| 第 1 章 | 日本語 OpenVMS バージョン 7.3-2 および 7.3 以降でアップデートされた機能,サポートされた機能について説明します。 |
| 第 2 章 | 日本語 OpenVMS バージョン 7.2-1 およびそれ以前のバージョンからの変更点について説明します。 |
| 第 3 章 | 日本語 OpenVMS バージョン 7.3-2 の制限事項について説明します。 |
| 第 4 章 | 日本語 OpenVMS バージョン 6.1,6.2 でリタイアした機能を示します。 |
本書では,「日本語 OpenVMS Alpha」は「日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」を,「日本語 OpenVMS VAX」は「日本語 OpenVMS VAX オペレーティング・システム」を指します。また特に明記しない限り,「日本語 OpenVMS」は,「日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」および「日本語 OpenVMS VAX オペレーティング・システム」の両方を指します。
また,日本語 DECwindows および日本語 DECwindows Motif はすべて日本語 DECwindows Motif for OpenVMS ソフトウェアを意味します。
また,本書では次の表記法も使用しています。
| 表記法 | 意味 |
|---|---|
| Ctrl/ x | Ctrl/ x という表記は,Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
| PF1 x | PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
| [Return] | 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。
HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。 |
| ... | 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。
|
| .
. . |
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。 |
| ( ) | コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。 |
| [ ] | コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか 1 つを選択しても,あるいは 1 つも選択しなくても構いません。ただし, OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。 |
| [|] | コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。 |
| { } | コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか1のオプションを指定しなければなりません。 |
| 太字 | 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。 |
| italic text | イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ ( たとえば内部エラー number),コマンド・ライン ( たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ ( たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。 |
| UPPERCASE TEXT | 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。 |
| Monospace type | モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。
C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。 |
| -- | コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。 |
| 数字 | 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて 10 進数です。10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。 |
この章では,日本語 OpenVMS Alpha V7.3-2 の新機能およびアップデートされた機能を説明するとともに, V7.3-1,V7.3 の新機能およびアップデートされた機能について説明します。
1.1 日本語 OpenVMS Alpha V7.3-2 の新機能およびアップデートされた機能
日本語 OpenVMS V7.3-2 では以下の新機能の提供および品質の改善が行なわれています。
XTPU が端末に送受信するコード (キーボード・コードセット) を UTF-8 に設定できるようになりました。次のコマンドで設定します。
[Do] tpu set(keyboard_codeset,utf8)
1.1.2 ロケールデータファイルの提供
DEC 漢字 2000 コードセットをサポートするロケールである deckanji2000 のロケール定義ファイルおよびコンバータは, XPG4 ロケール・データ・ファイル・キットで提供されることになりました。これらのファイルはオペレーティング・システムのインストレーションの際に「日本語サポート」を選択した場合にインストールされます。
1.1.3 問題点の修正
本リリースでは, V7.3-1 あるいはそれ以前に発見された以下の問題点の修正が含まれています。
本リリースでは,以下のレイヤード・プロダクトをバンドルします。
Advanced Server V7.3A ECO2
日本語 DECprint Supervisor V2.1A
日本語 DECwindows Motif V1.3-1
日本語 TCP/IP Services V5.4
ESCPトランスレータ V1.1
ロケール・データファイル (VMSI18Nキット)
標準版の変更に合わせて,DCLの翻訳版オンラインヘルプがアップデートされています。
1.2 日本語 OpenVMS Alpha V7.3 および V7.3-1 の新機能およびアップデートされた機能
この節では,日本語 OpenVMS Alpha バージョン 7.3 およびバージョン 7.3-1 でアップデートされた機能と新機能について説明します。
日本語 OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 は,次の新機能を提供します。
日本語 OpenVMS Alpha バージョン 7.3 は,次の新機能を提供します。
日本語 ESCPトランスレータが日本語 OpenVMS にバンドルして提供されるようになりました。
日本語 ESCP トランスレータは OpenVMS システムから PRINT コマンドを発行して,ESC/P プリンタ (EPSON VP-1800 など) で印刷を行うためのソフトウェアです。詳しくは『日本語 ESCP トランスレータソフトウェア仕様書』を参照してください。
1.2.2 日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL)
日本語 OpenVMS バージョン 7.2 で追加された JSY$CONTROL ユーティリティは,バージョン 7.3 で機能を大幅に拡張し,総合的な日本語環境設定ユーティリティになりました。
日本語環境設定ユーティリティ(JSY$CONTROL) は,日本語 OpenVMS の持つ,各種の日本語機能の設定を一括して制御します。以下の機能を制御できます。
日本語ファイル名の制御 (JSY$CONTROL)
日本語端末ドライバの制御 (KANJIGEN)
日本語テキスト表示ユーティリティの制御 (TYPE /PAGE=SAVE)
日本語 EVE エディタの制御 (JEVE/XTPU)
個人辞書の制御 (JSYKOJIN.JISHO, JSY$LEARN.DAT)
ロケールの制御 (LANG)
日本語ヘルプの制御 (JSY$SWITCH.COM)
IMLIB の制御 (IM$PROFILE)
日本語画面管理ライブラリの制御 (JSMG)
JSY$CONTROL ユーティリティでは,上記の機能を以下のカテゴリーに分けて,それぞれを一括して設定,変更,表示する機能を提供します。
日本語ファイル名の制御
ロケールの制御
かな漢字変換の制御
詳しくは『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』を参照してください。
1.2.3 JIS X0213 第 3 水準サポート
2000 年 1 月に制定された JIS X 0213「 7 ビット及び 8 ビットの 2 バイト情報交換用符号化拡張漢字集合」をサポートします。なお日本語 OpenVMS V7.3 では第 3 水準 (Level 3) のみのサポートです。第 4 水準 (Level 4) については将来のバージョンでのサポートとなります。
1.2.3.1 新しいコードセットの仕様
日本語 OpenVMS V7.3 では,新しく DEC 漢字 2000 コードセットおよび deckanji2000 ロケールをサポートします。
DEC 漢字 2000 コードセットは,従来の Super DEC 漢字コードセットから JIS 補助漢字 (JIS X 0212) を取り除き,かわって JIS X 0213 を追加したものです。
| 文字集合 | コード領域 |
|---|---|
| C0 Control | 00 〜 1F |
| ASCII/JIS X 0201 LH | 20 〜 7F |
| C1 Control | 80 〜 9F |
| 第 1 〜第 3 水準 | A1A1 〜 FEFE |
| 第 4 水準 (future support) | SS3 A1A1 〜 SS3 FEFE |
| 半角カナ | SS2 A1 〜 SS2 DF |
| ユーザー定義文字 | A121 〜 FE7E |
なお,半角カナは継続してサポートします。
1.2.3.2 新しいロケールの仕様
日本語 OpenVMS V7.3 では新たに DEC 漢字 2000 コードセットのためのロケールとして deckanji2000 をサポートします。現在のロケールを deckanji2000 に設定すると,ロケールをサポートするアプリケーションで DEC 漢字 2000 コードセットを使用できます。
以下のロケール定義ファイルを提供します。
日本語 Compaq DECwindowws/Motif の漢字端末エミュレータ (JDECterm) 上で JIS X 0213 第 3 水準文字を表示するためのサンプル・フォント・ファイルを JSY$EXAMPLES ディレクトリに提供します。Level3 部分は,平成明朝フォントです。
サンプル・フォント・ファイルを有効にするためには,システム・マネージャ・アカウントでログインし,以下のコマンドを入力します。
@ JSY$JISLEVEL3TRIAL.COM ENABLE
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コマンド実行後に起動される漢字端末エミュレータでは,サンプル・フォント・ファイルが有効になります。なお,この設定はシステム全体で有効になるため,特定のユーザのみがサンプル・フォント・ファイルを使うことはできません。
サンプル・フォント・ファイルを無効にするためには,システム・マネージャ・アカウントでログインし,以下のコマンドを入力します。
@ JSY$JISLEVEL3TRIAL.COM DISABLE
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