OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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第 8 章
Crash Log Utility Extractor (CLUE) (VAXのみ)

8.1 CLUE について (VAX のみ)

VAXシステムでは,Crash Log Utility Extractor (CLUE)を使用することにより, クラッシュ履歴ファイルの内容を表示することができます。クラッシュ履歴ファイルは, CLUEによって作成および更新されるファイルであり,クラッシュ・ダンプ・ファイルから抽出した重要なパラメータが格納されます。クラッシュ・ダンプはシステム障害(クラッシュ)が発生するたびに上書きされるため,通常は最後に発生した障害に対してのみ有効ですが,クラッシュ履歴ファイルはシステム障害を永続的に記録したファイルです。CLUE/DISPLAYコマンドを使用してクラッシュ履歴ファイルの内容を確認すれば,クラッシュの原因を突き止め,解決するのに役立ち,また,その他にも役立つデータを入手できます。

Alphaシステムでは,CLUEと同様の機能をSystem Dump Analyzer (SDA) ユーティリティのコマンドによって行うことができます。詳細については,『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。

8.2 CLUEの使用法の要約 (VAX のみ)

システム障害が発生すると,物理メモリの内容はクラッシュ・ダンプ・ファイルにコピーされ,CLUEは関連パラメータをCLUE$OUTPUT:CLUE$HISTORY.DATAという名前のファイルに自動的に追加します。 CLUEを使用すれば,このファイルに記録されたデータを表示し,確認できます。


形式

CLUE /DISPLAY


パラメータ

なし。

説明

CLUEを実行する前に,次のようにCLUEコマンドを定義します(会話で定義するか,またはログイン・コマンド・プロシージャなどのプロシージャで定義します)。


 
$ CLUE :== $CLUE 
 

CLUEを起動するには,CLUE/DISPLAYコマンドを使用します。CLUEを終了するには, CLUE_DISPLAY>プロンプトに対してEXITコマンドを入力するか,またはCtrl/Zを押します。

次の例に示すように,CLUE/DISPLAYコマンドはDCLレベルから直接入力することもできます。


$ CLUE/DISPLAY = DIR/TYPE=INVEXCEPTN/SINCE=21-NOV-2002/OUT=CLUE.LIS

8.3 CLUEコマンド (VAX のみ)

この節では,CLUE /DISPLAYコマンドについて説明し,使用例を示します。あいまいにならない範囲内であれば,コマンド,キーワード,修飾子は短縮できます。ユーザ名,ノード名,UICを指定する場合,アスタリスクとパーセント記号をワイルドカード文字として使用できます。

次の表は,この節で説明するコマンドを示しています。

コマンド 説明
DELETE クラッシュ履歴ファイルからエントリを削除する。
DIRECTORY クラッシュ履歴ファイルからエントリのリストを表示する。
EXIT CLUEを終了する。
EXTRACT クラッシュ履歴ファイル内のエントリからデータをファイルに書き込む。
HELP CLUE/DISPLAYコマンドに関するオンライン・ヘルプを表示する。
SHOW クラッシュ履歴ファイル内のエントリの特定の情報を表示する。

DELETE (VAX のみ)

リストからエントリを削除し,残りのエントリをバイナリ・ファイルに書き込みます。

形式

DELETE n


パラメータ

n

クラッシュ履歴ファイルから削除するエントリの番号。エントリ番号は, DIRECTORYコマンドで表示されるエントリ番号に対応します。

説明

CLUE.BINファイル内のエントリは,DELETEコマンドを使用して永久的に削除できます。このコマンドは,指定されたエントリを削除し,残りのエントリを出力ファイルに書き込みます。エントリをクラッシュ履歴ファイルから削除すると,新しい履歴ファイル(既存のファイルよりバージョン番号の大きいファイル)が作成されます。


CLUE_DISPLAY> DELETE 4
 

4番目のエントリを削除します。

DIRECTORY (VAX のみ)

クラッシュ履歴ファイル内の各エントリを簡略形式で表示します。

形式

DIRECTORY


修飾子

/MODULE=

指定したモジュールに対応するすべての障害(つまり,指定した文字列から始まる障害)を表示します。

/OFFSET=

指定したオフセットに対応するすべての障害(つまり,指定した文字列から始まる障害)を表示します。

/SINCE=

指定した日付以降に発生したすべての障害を表示します。/SINCE修飾子を使用し,日付を指定しなかった場合には,現在の日付に発生したすべての障害が表示されます。

/TYPE=

指定したタイプに対応するすべての障害(つまり,指定した文字列から始まる障害)を表示します。

説明

DIRECTORYコマンドは,最新のエントリから順に,クラッシュ履歴ファイル内のレコード・エントリを表示します。各エントリに対して,次の6つの見出しが表示されます。

DIRECTORYコマンドに1つ以上の修飾子を指定すれば,表示するクラッシュ・エントリを制限できます。また,同じコマンド行に複数の修飾子を指定できます。たとえば, DIRECTORY/SINCE=18-APR-2002/MODULE=NETACP コマンドを使用した場合には, 2002年4月18日以降に発生し,モジュールがNETACPであるクラッシュ・エントリだけが表示されます。


#1

CLUE_DISPLAY>  DIRECTORY
 
 
 


 
  
 
  
#  Time                      Type         Process name   Module   Offset 
   ====                      ==========   ============   ======   ====== 
1  11-JUL-2002 09:07:45.78  INVEXCEPTN   batman         NETACP   14B9 
2  01-JAN-2002 11:32:55.23  SSRVEXCEPT   startrek       SYSLOA   10A8 
3  15-MAY-2002 07:26:12.34  BADFID       evolushun      NONE     NONE 
4  22-APR-2002 10:45:20.60  INVEXCEPTN   aprocess       IOBUF    015D 
 

この例では,クラッシュ履歴ファイル内のすべてのエントリが表示されます。

#2

CLUE_DISPLAY>  DIRECTORY /MODULE=SYSLOA
 
 
 


 
  
 
  
#  Time                      Type         Process name   Module   Offset 
   ====                      ==========   ============   ======   ====== 
2  01-JAN-2002 11:32:55.23  SSRVEXCEPT   startrek       SYSLOA   10A8 
 

この例では,モジュールがSYSLOAであるエントリが表示されます。

EXIT (VAX のみ)

CLUEを終了します。

形式

EXIT


説明

このコマンドはCLUEを終了し,DCLレベルに戻ります。


CLUE_DISPLAY> EXIT
$ 

この例はCLUEを終了します。

EXTRACT (VAX のみ)

クラッシュ履歴ファイル内のエントリから,すべてのデータをASCIIファイルまたはバイナリ・ファイルに書き込みます。

形式

EXTRACT n


パラメータ

n

ファイルに抽出するエントリ番号。エントリ番号は,DIRECTORYコマンドで表示されるエントリ番号に対応します。

修飾子

/BINARY=ファイル名.bin

出力をバイナリ・ファイルに書き込みます。

/OUTPUT=ファイル名.txt

出力をASCIIファイルに書き込みます。省略時の設定は/OUTPUT修飾子です。

説明

EXTRACTコマンドは,クラッシュ履歴ファイル内のレコード・エントリをASCIIファイルまたはバイナリ・ファイルに保存します。修飾子を指定しなかった場合には,エントリは CLUE$HISTORY.TXTという名前のテキスト・ファイルに書き込まれます。


CLUE_DISPLAY> EXTRACT 3 /OUTPUT=15MAYCRASH.TXT
 

このコマンドでは,クラッシュ履歴ファイル内のエントリ番号3のデータが 15MAYCRASH.TXTという名前のASCIIファイルに書き込まれます。

HELP (VAX のみ)

CLUEコマンドに関するオンライン・ヘルプを表示します。

形式

HELP [コマンド]


パラメータ

コマンド

ヘルプが必要なコマンド。


CLUE_DISPLAY> HELP DIRECTORY
 

このコマンドでは,CLUEのDIRECTORYコマンドのオンライン・ヘルプが表示されます。

SHOW (VAX のみ)

クラッシュ履歴ファイル内のエントリの情報を表示します。

形式

SHOW 情報タイプ n


パラメータ

情報タイプ

次のいずれかの情報タイプを選択しなければなりません。

SDAコマンドについて詳しい説明は,『OpenVMS VAX System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。

n

情報を表示するエントリの番号。エントリ番号は,DIRECTORYコマンドで表示されるエントリ番号に対応します。

説明

このコマンドを使用すれば,特定の障害に関するすべてのデータを表示できます。情報は複数の項目に分割されます。個々の項目を表示でき,また,すべての情報を表示することもできます。

クラッシュ番号を指定しなかった場合には,クラッシュ履歴ファイル内で最新のエントリの情報が表示されます。しかし,情報タイプ に対してキーワードを 1つ,必ず指定しなければなりません。

クラッシュ履歴リストから特定のエントリを要求した場合には(SHOW nコマンドを使用して),弊社のサポート要員だけが解釈できる一部のパラメータも表示されます。


#1

CLUE_DISPLAY> SHOW ISTREAM 4
 
 


 
  
 
  
 
Instructions around the failing PC: 
 
    80A9F841 RSB     
    80A9F842 BUG_CHECK #019C 
    80A9F846 BUG_CHECK #019C 
    80A9F84A PUSHL   R4 
    80A9F84C MOVL    R5,R4 
    80A9F84F BEQL    00002C88 
 
    80A9F851 JSB     @#-7FFFCC48 
    80A9F857 MOVL    (SP)+,R4 
    80A9F85A RSB     
    80A9F85B BUG_CHECK #019C 
PC->80A9F85F BUG_CHECK #019C  => CLUSTRLOA + 09B6F 
    80A9F863 MOVL    #00,R1 
    80A9F866 MOVB    #01,R0 
    80A9F869 RSB     
    80A9F86A INCL    00002301 
    80A9F86E TSTW    000022FF 
    80A9F872 BLSS    00002CA5 

この例では,クラッシュ履歴ファイルのエントリ番号4に関して,障害が発生したPCの前後の命令ストリーム情報が表示されます。

#2

CLUE_DISPLAY>  SHOW CRASH 4
 
 


 
  
 
  
Time of system crash:              21-MAR-2002 15:21:33.72 
Version of system:                 VAX/VMS VERSION V7.3-1    
System Version Major ID/Minor ID:  1/0 
VAXcluster node:                   HERMES, a VAX 6000-420 
Crash CPU ID/Primary CPU ID:       03/01 
Bitmask of CPUs active/available:  0000000A/0000000A 
CPU bugcheck codes:                CPU 03     INCONSTATE 
                                  1 other    CPUEXIT 
Current Process name:              OPCOM 
Current IPL:                       8  
CPU database address:              801AA000 
 
General registers: 
 
 R0  = 80A9F85B   R1  = 00000002   R2  = 80A15B08   R3  = 00010008 
 R4  = 80A15AD0   R5  = 00000000   R6  = 00000001   R7  = 00000042 
 R8  = 00022520   R9  = 00020F18   R10 = 00021000   R11 = 00020EC0 
   .
   .
   .

この例では,障害が発生した時刻のシステムの状態情報が表示されます。このコマンドからの実際の出力には,この例に示した情報より重要な情報が表示されることもあります。


第 9 章
DECevent ユーティリティ

9.1 DECevent について

DECevent ユーティリティと呼ばれるイベント管理ユーティリティによってオペレーティング・システムのイベント・ログ・ファイルとのインタフェースを行います。これによって,システム・ユーザはシステム・イベント・エントリから ASCII レポートを作成することができます。ASCII レポートの形式は,コマンド行インタフェース (CLI) に入力したコマンドによって異なります。 CLI で入力できる最大文字数は 255 文字です。これが DECevent のビットからテキストへの変換機能であり,この章で説明します。

DECevent では,イベント・ログ・ファイルに含まれたデータについての分析と解釈もできます。これが DECevent の解釈機能です。説明はこの章では行いませんが,次の URL のオンラインで利用できる『DECevent User's Guide』で説明されています。


    http://techpubs.cxo.cpqcorp.net/doc_event.html 

注意

OpenVMS を実行している Alpha DS,ES,GS システム (AlphaServer GS60 と GS140 以外のシステム) では, Web-Based Enterprise Services (WEBES) を使用してください。 WEBES は,System Event Analyzer (SEA),Computer Crash Analysis Tool,および Revision and Configuration Management (RCM) のツールを含むサービスです。

WEBES の情報とリリース済みバージョンに対するアップデートは,次の場所にあります。


    http://h18000.www1.hp.com/support/svctools/ 

WEBES は,AlphaServer GS60 と AlphaServer GS140 では使用できません。 DECevent と WEBES ツールはクラスタ内で併用できます。

入力ファイルを指定しない場合, DECevent はシステム・イベント・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS を省略時の入力ファイルとして使用します。

9.2 DECevent 使用法の要約

DECevent ユーティリティは,任意の数のイベント・ログ・ファイルの内容を変換し,レポートを作成します。DECevent によって,詳細 (省略時の設定),簡略,簡潔,要約,および FSTERR の 5 種類のレポートを作成することができます。コマンドでこれらのレポートを組み合わせて同時に選択することはできません。また,DECevent ではデータについての分析と解釈ができます。


形式

DIAGNOSE[/1 次修飾子][/2 次修飾子[,...]] [ファイル指定[,...]]


パラメータ

/1 次修飾子

DIAGNOSE コマンドで実行する 1 次機能を指定します。

/2 次修飾子[,...]

DIAGNOSE コマンドで実行する 2 次機能 (複数可) を指定します。

ファイル指定[,...]

指定したレポートに変換されるバイナリ・エラー情報を含む 1 つまたは複数のファイルを指定します。ファイルの指定には,ワイルドカード文字を使用できます。ファイルを指定しなかった場合は,省略時のファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS が使用されます。 (このファイルの保守については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。)

ファイル指定の詳細については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。


説明

DECevent を起動するには,次のような DCL のコマンドを入力します。


DIAGNOSE [/1 次修飾子][/2 次修飾子[,...][ファイル指定][,..] 

/TRANSLATE 修飾子は,省略時の 1 次修飾子であるため,コマンド行で入力する必要はありません。

これ以降の項で,有効な修飾子,その用法,および順序について簡単に説明します。詳細な説明については,次の URL でオンラインで利用できる『DECevent User's Guide』を参照してください。


    http://techpubs.cxo.cpqcorp.net/doc_event.html 

まず,"support tools" を選択し,次に "DECevent", "documentation" の順で選択してください。『DECevent User's Guide』には複数の形式が用意されています。

DECevent を終了するには, Ctrl/C と Return キーを押すと,システム・プロンプトが表示されます。

DECevent ユーティリティを実行するには SYSPRV 特権が必要です。しかし,読み込みアクセス権があれば, ERRLOG.SYS ファイルにアクセスすることができます。 /CONTINUOUS 1 次修飾子を使用して,ターミナル画面にイベントを継続的に表示するには, DIAGNOSE 特権が必要です。


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