日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


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1.2 セキュア・シェル (SSH)

本リリースには,セキュア・シェル (SSH) クライアントおよびサーバが含まれており,セキュア・ログイン,リモート・コマンド実行,ファイル転送が可能になりました。このインプリメントは, SSH Communications Security Corp が提供する SSH2 ソフトウェア・バージョン 2.4.1 をベースにしています。

注意

TCP/IP Services V5.3 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) for SSH for OpenVMS がシステムにインストールされている場合には, TCP/IP Services V5.4 をインストールする前に, PCSI コマンド PRODUCT REMOVE を使用して EAK を削除する必要があります。

SSH サーバを使用すると,次のことが可能です。

SSH for OpenVMS のコンフィギュレーション,管理,使用についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to SSH 』を参照してください。

本バージョンの SSH for OpenVMS を使用する際の制限事項については, 第 3.5 節 を参照してください。

1.3 セキュア POP

POP (Post Office Protocol) に対して SSL (Secure Socket Layer) がサポートされるようになったため,メールの安全な取得が可能になりました。

セキュア POP サーバは,ポート 995 で接続を受け付けます。セキュア POP はパスワード,データ,POP コマンドを暗号化し, SSL を使用するクライアント (Microsoft Outlook など) と互換性があります。

この機能を使用するには,次のアドレスから OpenVMS Alpha 用の HP SSL キットをダウンロードする必要があります。


http://www.openvms.compaq.com/openvms 

「Security Products」を選択してください。

HP SSL ソフトウェアがインストールされていない場合は, POP サーバは非 SSL モードで通信します。

セキュア POP のコンフィギュレーションと管理についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

SSL 論理名は,SSL スタートアップ・プロシージャで定義されます。したがって,SSL 論理名を使用して証明書およびキー・ファイルを検索するように POP をコンフィギュレーションする場合は, TCP/IP Services スタートアップ・プロシージャより前に,SSL スタートアップ・プロシージャが動作していることが必要です。

1.4 failSAFE IP

failSAFE IP 機能は,ホストまたはクライアント上の複数のインタフェースに対して,IP アドレスのフェールオーバ機能を提供します。

注意

TCP/IP Services V5.3 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) for failSAFE IP をインストールした場合は, TCP/IP Services V5.4 をインストールする前に, PCSI コマンド PRODUCT REMOVE を使用して EAK を削除する必要があります。

failSAFE IP のコンフィギュレーションと管理についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

本バージョンの failSAFE IP の使用上の制限事項については, 第 3.2 節 を参照してください。

1.5 IPv6 の拡張と強化

ここでは,アップデートおよび拡張された IPv6 の機能について説明します。

1.5.1 IPv6 DNS ドメイン名およびアドレスの登録

本リリース以降,TCPIP$ND6HOST プロセスは, DNS でホストのドメイン名およびアドレスを登録できるようになりました。

TCPIP$ND6HOST プロセスは,近隣探索プロトコルの IPv6 RA (ルータ通知) パケットを受信して処理します。このため,システムの自動コンフィギュレーションが可能になり,手動の設定は不要になりました。本バージョンの TCP/IP Services では, DNS 登録を有効にすることもできます。

ホスト名とアドレスの登録を有効にするには,次のコマンドを入力します。


$ DEFINE /SYSTEM TCPIP$ND6D_ENABLE_DDNS 1 

登録されるドメイン名は, gethostname()呼び出しを使用して取得されます。

ゾーンをアップデートするために,TCPIP$ND6HOST は動的アップデート情報をプライマリ・マスタ・ネーム・サーバに送信します。プライマリ・マスタ・ネーム・サーバの名前は,ゾーンの SOA レコードの MNAME フィールドに格納されます。マスタ・ネーム・サーバを判断するために, TCPIP$ND6HOST は DNS リゾルバ・コンフィギュレーションに指定されているネーム・サーバに,ゾーンの SOA レコードを照会するクエリを送信します。 DNS リゾルバ・コンフィギュレーション情報を表示するには,TCP/IP 管理コマンド SHOW NAME を使用します。

この機能を使用するには,動的アップデートを有効にしておく必要があります。省略時の設定では,動的アップデートは DNS サーバで拒否されます。動的アップデートを有効にする方法については,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』の BIND に関する章を参照してください。

1.5.2 IPv6 API のアップデート

IPv6 プログラミング API はアップデートされました。本リリースでは,新しいプログラミング・サンプルが提供されます。 IPv6 API で変更された点は次のとおりです。

IPv6 API の使用についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6 』を参照してください。

1.6 BIND バージョン 9.2.1

BIND サーバは,バージョン 9.2.0 からバージョン 9.2.1 にアップデートされました。このアップデートにより,以前のバージョンで報告されていた問題が修正されました。

1.7 INET ドライバのパフォーマンスの向上

Alpha システムの場合のみ,INETDRIVER は TCP/IP ネットワーキング・カーネルに対して高速の内部インタフェースを使用するようになりました。この結果,非ページング・プールの消費およびプロセス・クォータに与える影響は大幅に削減されました。

1.8 NFS サーバのパフォーマンスの向上

NFS サーバは,ディレクトリ・ファイルの内容を,他のファイルの内容とともにキャッシュに格納するようになりました。ディレクトリ・ファイルの内容をキャッシュに格納するには,サーバはこれらのファイルにアクセスする必要があります。

NFS ディレクトリ・キャッシュの管理についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

1.9 TELNET サーバのパフォーマンスの向上

本リリースでは,TELNET/RLOGIN サーバ (TNDRIVER) の機能が向上しました。向上した点は次のとおりです。

1.10 10,000 以上の BG デバイスのサポート

この機能により,Web サーバなどのシステムは 10,000 以上のデバイスを保有することが可能になりました。この機能を有効にするには,次の netサブシステム属性を 9999 〜 32767 の値に設定します。


ovms_unit_maximum 

このサブシステム属性は,SYSCONFIGTAB.DAT に定義する必要があります。 SYSCONFIGTAB.DAT ファイルの変更についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Tuning and Troubleshooting 』を参照してください。

1.11 BG デバイスの高速作成と高速削除のサポート

大量の BG デバイスが継続的に作成および削除されるシステムや,BG デバイスの数が省略時の 10,000 デバイスという上限を超えて増加するシステムをサポートするために,新しいサブシステム属性が導入され,BG デバイスの高速作成および削除が可能になりました。


ovms_unit_fast_credel 

この属性の省略時の設定は 0,つまり OFF です。この属性は SYSCONFIGTAB.DAT ファイルに定義する必要があります。 SYSCONFIGTAB.DAT ファイルの変更についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Tuning and Troubleshooting 』を参照してください。

1.12 TCP/IP カーネルのアップデート

TCP/IP Services カーネルは,Tru64 UNIX 5.1B にアップデートされました。

1.13 tcpdump のサポート

本バージョンの TCP/IP Services には, tcpdumpユーティリティが付属しています。 tcpdumpユーティリティは,ダンプの分析機能とパケットの収集機能を提供します。特に,次の機能を使用できます。

tcpdumpユーティリティについての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Tuning and Troubleshooting 』を参照してください。


第 2 章
インストール,コンフィギュレーション,およびスタートアップに関する注意事項

この章は,『日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド』を手元に置いて読み進めてください。

2.1 V5.3 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) がインストールされている場合の注意

次の V5.3 EAK を 1 つ以上インストールしている場合は, TCP/IP Services V5.4 をインストールする前に, PCSI REMOVE コマンドを使用して, EAK を削除する必要があります。

注意

failSAFE IP EAK を削除した後,現在のバージョンの TCP/IP Services をインストールする場合は, TCPIP$CONFIG.COM を実行して,ターゲット・インタフェースとホーム・インタフェースを再確立する必要があります。

2.2 インストールの変更点

TCPIP$VMS_FILES.DOC ファイルは, TCP/IP Services ソフトウェア・キットのインストレーションに含まれなくなりました。

2.3 IPv6 のコンフィギュレーション

以降の各項は,IPv6 を有効にするシステムに固有の手順について説明します。

2.3.1 IPv6 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) のユーザのための情報

いずれかのバージョンの TCP/IP Services V5.0 IPv6 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) を実行している場合は,EAK を削除したのち, TCP/IP Services ソフトウェアの現在のバージョンをインストールしてください。その後,TCPIP$IP6_SETUP.COM コマンド・プロシージャを実行します。詳細については,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6 』を参照してください。

sockaddr構造体の定義に変更が加えられています。この変更は, TCP/IP Services V5.0 EAK を使ってコンパイルされた IPv6 アプリケーションのバイナリ互換性を損うものです。 TCP/IP Services の現在のバージョンをインストールした後に,アプリケーションを再コンパイルし,再リンクしなくてはなりません。

2.3.2 TCPIP$CONFIG.COM の警告メッセージ

TCPIP$IP6_SETUP.COM コマンド・プロシージャを実行して IPv6 を有効にしたのちに TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを実行した場合, Core environmentオプションを選択すると, TCPIP$CONFIG.COM は次のような警告メッセージを表示します。


                           WARNING 
 
This node has been configured for IPv6.  If you make any additional 
changes to the configuration of the interfaces, you must run 
TCPIP$IP6_SETUP again and update your host name information in 
BIND/DNS for the changes to take effect. 
 
(このノードは,IPv6 用にコンフィギュレーションされています。 
インタフェースのコンフィギュレーションに変更を加える場合には, 
TCPIP$IP6_SETUP を再度実行して,BIND/DNS 内のホスト名情報を 
更新し,変更を有効にする必要があります。) 

2.4 スタートアップ時の問題および制限事項

ここでは, TCP/IP Services のスタートアップ時の制限事項について説明します。

2.5 TCP/IP Services バージョン 4.x からのアップグレード

ここでは,以前のバージョンの TCP/IP Services (UCX) から現在のバージョンへアップグレードするときに,ソフトウェアの動作を以前と同じになるように保持する方法について説明します。

2.5.1 LPD のアップグレード

2.5.2 アップグレード時のメール・メッセージの保存

SMTP の新しいバージョンには,以前のバージョンと異なる制御ファイルが含まれています。現在のバージョンの TCP/IP Services にアップグレードする前に, TCP/IP 管理コマンド ANALYZE MAIL を使用して,デッド・レター (プリント・キューに未登録の SMTP 制御ファイル) を取り出します。次の例を参照してください。


$ TCPIP ANALYZE MAIL/REPAIR 

2.5.3 SNMP スタートアップおよびシャットダウン時の動作の保持

現在のバージョンの TCP/IP Services にアップグレードした後,次のいずれかの操作を行って, SNMP のスタートアップが正しく行われるようにする必要があります。

UCX$SNMP_STARTUP.COM および UCX$SNMP_SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャをカスタマイズしたバージョン (拡張サブエージェントの起動と停止に使用) を使用している場合は,新バージョンの TCP/IP Services へアップグレードする前に,カスタマイズしたファイルを別のディレクトリに保存してください。この操作を行わないと,カスタマイズした情報が失われます。

次に示す場所で,これらのファイルのバージョンを確認してください。

TCP/IP Services をインストールした後,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』の説明に従って, TCPIP$SNMP_SYSTARTUP.COM および TCPIP$SNMP_SYSHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャにコマンドを手動で入力します。


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