日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート
第 4 章
修正箇所
この章では,本バージョンの TCP/IP Services で修正された問題点について説明します。
4.1 本リリースで修正された管理コマンド・インタフェースの問題点
以下に示す TCP/IP Services TCP/IP 管理コマンドの問題点は,本リリースで修正されています。
- 問題点:
- ノード固有のコンフィギュレーション・レコードまたはクラスタ単位のコンフィギュレーション・レコードに多くのサービス・エントリが含まれている場合,これらのレコードを処理すると, SET CONFIGURATION ENABLE SERVICE コマンドは正しく実行されません。
- コンフィギュレーション・レコードに登録されているサービス・エントリの数がすでに最大数に達しているときに,そのレコードにサービスを追加しようとした場合, SET CONFIGURATION ENABLE SERVICE コマンドはエラー・メッセージを出力しません。
- TCPIP$CONFIG.COM コンフィギュレーション・プロシージャは, DCL シンボルの上限である 1024 バイトを超えるエラー処理サービス・リストを出力します。
- ノード固有のコンフィギュレーション・レコードまたはクラスタ単位のコンフィギュレーション・レコードに格納できるサービス・エントリの数 (63) は少なすぎます。
修正結果:
- TCPIP$CONFIG.COM のルーチンは,DCL シンボルの上限である 1024 バイトを超える長いイネーブル・サービス・リストを正しく処理するようになりました。
- TCPIP$UCX.EXE で,"TOOMANYSERV" エラーを通知するルーチンは修正されました。
現在のサービス・エントリの最大数より少ない上限を指定しているコンフィギュレーション・レコードを更新すると,サービス・エントリの最大数は 64 から 128 に変更されます。
- TCPIP$ACCESS_SHR.EXE では,コンフィギュレーション・レコードでサポートされるサービス・エントリの最大数は,64 から 128 に増大しています。
- TCPIP$ACCESS_SHR.EXE では,レコード記述子テーブルの最大レコード・フィールドは,INET 機能の最大レコード・サイズを使用します。
この変更により,大きなサービス・リストの作成時に発生していたシステム障害が修正されました。
- TCPIP$MESSAGE.MSG では,TOOMANYSERV メッセージが追加されました。
- 問題点: TCP/IP 管理コマンド MOUNT は,ワイルドカード・マウント操作を実行しようとすると,アクセス違反になります。
修正結果: MOUNT コマンドの処理の問題点は修正されました。
4.2 本リリースで修正された BIND の問題点
以下に示す BIND/DNS の問題点は,本リリースで修正されました。
- 問題点: BIND バージョン 9 では,動的更新を手動で反映できません。
修正結果:
rndc flush-updatesコマンドが追加されたことにより,サーバを実際に停止したり,シャットダウンしたりしなくても,
rndc stopコマンドと同じ動作が実行されるようになりました。
4.3 本リリースで修正された FTP の問題点
以下に示す FTP の問題点は,本リリースで修正されました。
- 問題点: FTP クライアント/サーバの 7 つの問題点。
修正結果: UAF でユーザのデバイスのルートが論理名として指定されている場合,その論理名には,少なくとも隠し変換属性をシステム単位で割り当てる必要があります。割り当てておかないと,
cdコマンドは失敗します。次の例を参照してください。
- moxie$root には /SYSTEM だけが割り当てられています。
FTP> cd ~moxie
550-Failed to set default directory to
MOXIE$ROOT:[user].
550 error in directory name
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- moxie$root には /SYSTEM/TRANSLATION=CONCEALED が割り当てられています。
FTP> cd ~moxie
250-CWD command successful.
250 New default directory is MOXIE$ROOT:[user]
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DECC$SHR.EXE V7.2 およびそれ以降のバージョンのシステムの場合,次の論理名を割り当てると,
lsコマンドおよび
dirコマンドで再帰的ディレクトリ・リストが有効になります。
$ ASSIGN/SYSTEM 1 TCPIP$FTPD_DIR_RECURSIVE
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このフラグをオンにすると,以下に示すような UNIX と同様の動作が実行されます。ここで,省略時のディレクトリは DEV1$:[TOPDIR] であり,そのディレクトリにはサブディレクトリ SUB1.DIR があり, 3 つのファイルが格納されています。
FTP> ls sub1
200 PORT command successful.
150 Opening data connection for sub1 (16.20.208.97,52062)
DEV1$:[TOPDIR.SUB1]a.txt;1
DEV1$:[TOPDIR.SUB1]b.txt;1
DEV1$:[TOPDIR.SUB1]c.txt;1
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~username 形式を使用してユーザのログイン・ディレクトリを取得する際に,username が現在のユーザ以外の名前である場合は,システム特権が必要です。
- 問題点: "150 Opening data connection..." メッセージにファイル・サイズを出力しないようにすることはできません。この新しい動作は,以前のバージョンの SmartTerm を使用するファイル転送に影響します。
修正結果: 新しい論理名 TCPIP$FTPD_NO_FILESIZE_HINT を使用すると, "150 Opening data connection..." メッセージに追加されるファイル・サイズ・ヒントを出力しないようにすることができます。
- 問題点: FTP クライアントは拡張解析モードで起動します。 SHOW PROCESS/PARSE コマンドでは,解析スタイルが Extended に設定されているとして表示されます。
修正結果: この動作は修正され,省略時の設定で従来の解析が使用されるようになりました。解析スタイルを変更するには, SET PROCESS/PARSE コマンドを入力します。
4.4 本リリースで修正された NFS の問題点
以下に示す NFS サーバの問題点は,本リリースで修正されました。
- 問題点:
-
string.string.nnn という形式のファイル名が ODS5 ボリュームで作成される場合, nnn はファイルのバージョン番号として取り扱われます。ローカルでファイルを表示すると,xxx.yyy.123;1 ではなく, xxx.yyy;123 として表示されます。数字の部分が 32767 より大きい場合は,ファイルの作成は失敗します。
-
typeless_directoriesオプションを使用して, ODS5 ボリュームで
string.dir という形式のディレクトリ名を作成すると,サーバは名前の ".dir" の部分を取り除きます。ローカルで表示すると,ディレクトリは "dirname.dir.DIR;1," ではなく, "dirname.DIR;1" として表示され,クライアントには "dirname.dir" ではなく, "dirname" として表示されます。
- 問題点: SET FILE /STATISTICS コマンドを実行した後, COPY コマンドまたは TYPE コマンドを使用してファイルをオープンしようとすると,NFS クライアントにエラー -RMS-F-CRMP と -SYSTEM-F-SHMNOTCNCT が返されます。
- インアクティビティ・タイマ・リミットの時間内に,OpenVMS クライアントが作成した STREAM_LF 以外のファイルに UNIX クライアントがアクセスすると,サーバはデータ変換を実行しません。
4.5 本リリースで修正された TELNET の問題点
- 問題点: TELNET シンビオントは,TCPIP$LPD_ROOT 論理名が定義されていない場合でも,ログ・ファイルを SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] に出力します。
修正結果: TCPIP$LPD_SPOOL 論理名は,TCPIP$LPD_ROOT 論理名に置換されました。
- 問題点: TCP/IP Services V5.1 以降,TELNET を使用して TELNET 以外のサービス (SMTP など) に接続するときに,ローカル・エコーが行われなくなりました。
修正結果: 以前のバージョンの TCP/IP Services で実行されていた動作に戻りました。
4.6 本リリースで修正された SMTP の問題点
以下に示す SMTP の問題点は,本リリースで修正されました。
4.7 本リリースで修正された SNMP の問題点
以下に示す SNMP の問題点は,本リリースで修正されました。
- 問題点:
- TCPIP$SNMP_TRAPSND を介して SNMPv2 トラップを送信しようとしても,その操作は無視されるか,またはシステム障害が発生します。
- SNMP_REQUEST
-i,
-r,および
sオプションは無視されます。
第 5 章
マニュアルのアップデート
この章では,TCP/IP Services for OpenVMS 製品のマニュアルで提供される情報のアップデートについて説明します。
5.1 アップデートされたマニュアル
次のマニュアルは,本バージョンの TCP/IP Services でアップデートされています。
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Installation and Configuration』 (AA-LU49O-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Management』(AA-LU50N-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to SSH』(AA-RVBUA-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS User's Guide』(AA-PC27L-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Tuning and Troubleshooting』 (AA-RN1VB-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Quick Reference Card』(AV-RN1WB-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference』 (AA-PQQGI-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS UNIX Command Equivalents Reference Card』 (AV-RNJ4B-TE)
- 『HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6』(AV-RNJ3B-TE)
さらに,本バージョンの TCP/IP Services では,新しいバージョンのヘルプ・ファイルも提供されます。
- HELP TCPIP_SERVICES
- TCPIP HELP
- HELP FTP
- HELP TELNET
- HELP NSLOOKUP
- HELP/MESSAGES
次のマニュアルは, TCP/IP Services V5.4 でアップデートされていません。
- 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Sockets API and System Services Programming』
- 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference』
- 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS ONC RPC Programming and Reference』
- 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Concepts and Planning』
これらのマニュアルは, TCP/IP Services の今後のリリースでアップデートされる予定です。本リリースでは,この後の節で説明する変更箇所を参考にして,既存のマニュアルをご利用ください。
5.1.1 『SNMP Programming and Reference』のアップデート
『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference 』に以下の情報が追加される予定です。
- TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャ, TCP/IP 管理コマンド SET CONFIG SNMP, SYS$SYSDEVICE:[TCPIP$SNMP]TCPIP$VMS_SNMP_CONF.DAT ファイルで,通常の SNMP に対してコンフィギュレーションされているトラップ・コミュニティは,トラップ・レシーバ・ホストやコミュニティの名前の判断に使用されません。
SNMP_TRAPSND ユーティリティに対する
-cフラグと
-hフラグの値は,次のように処理されます。
-
-c(community) フラグが使用されていないときは,省略時の名前である "public" がトラップで使用されます。
-
-h(host) フラグが使用されていないときは,トラップは LOCALHOST に送信されます。
- SNMPv1 トラップ PDU の "agent address" フィールドの値は,マスタ・エージェント (TCPIP$ESNMP_SERVER) が稼動しているホストのプライマリ・インタフェースのアドレスです。このアドレスの値は,次の手順で確認できます。
- 論理名 TCPIP$INET_HOSTADDR を変換します。
- 次の TCP/IP コマンドを使用して,LOCALHOST の値を取得します。
$ TCPIP SHOW CONFIGURATION COMMUNICATION
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この値が IP アドレスの形式でない場合は,次のコマンドを使用して IP アドレスを判断します。
$ TCPIP SHOW HOST/LOCAL local-host-name
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5.1.2 『Sockets API and System Services Programming』のアップデート
『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Sockets API and System Services Programming 』の内容は,次のようにアップデートされる予定です。
- 表 2-2 に示されている TCPIP_KEEPIDLE オプションの省略時の設定は誤っています。このオプションの正しい省略時の設定は,7200 秒 (14400 ハーフ・セカンド) です。さらに,「表 2-2 のオプションを使用するには,プログラムで TCP.H ファイルを使用する必要があります。」という記述が抜けています。
5.2 ヘルプ・ファイルのアップデート
HELP CC Socket_Routines 情報は削除されました。その代わりに,次のコマンドを入力すると,ソケット・プログラミングに関する情報が表示されます。
$ HELP TCPIP_SERVICES Programming_Interfaces Sockets_API
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Sockets_API HELP ファイルに IPv6 の情報が追加されました。