日本語 Compaq DECwindows Motif for OpenVMS
リリース・ノート


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2.1.1.2.1 サポートされる表示

カラー・カスタマイザは,カラーまたはグレースケールを使用したあらゆる表示をサポートしています。これにはほとんどの4プレーンおよび8プレーンのワークステーション表示が含まれます。

2.1.1.2.2 サポートされるアプリケーション

カラー・カスタマイザは,弊社の X ツールキット・ライブラリを使用している任意のアプリケーションの色を調整することができます。他社製のアプリケーションあるいは弊社の旧バージョンの X ツールキット・ライブラリを使用したアプリケーションには影響しません。

注意

独自のカラー設定ダイアログ・ボックスを持っているアプリケーション (たとえば,セッション・マネージャ,ウィンドウ・マネージャ,DECwindowsメール) の色を調節するためにカラー・カスタマイザを使用した場合,これらアプリケーション独自のカラー設定ダイアログ・ボックスが,カスタマイザ実行中は,現在のカラー設定値を正しく反映しないことがあります。これは異常ではありません。設定値の変更には,アプリケーションのダイアログ・ボックスではなくカスタマイザを使用してください。

2.1.1.2.3 OpenVMS システムでのカラー・カスタマイザのビルド

カラー・カスタマイザをOpenVMS システムでビルドするには,次の手順に従ってください。

  1. 各ファイルを個人ディレクトリにコピーします。次の例を参照してください。


    $ SET DEFAULT SYS$LOGIN
    $ CREATE/DIRECTORY [.CUSTOMIZER]
    $ SET DEFAULT [.CUSTOMIZER]
    $ COPY DECW$EXAMPLES:CUSTOM.C []
    $ COPY DECW$EXAMPLES:CUSTOM.UIL []
    $ COPY DECW$EXAMPLES:CUSTOMIMAGE.DAT []
    $ COPY DECW$EXAMPLES:XSETROOT_CUST.C []
    $ COPY DECW$EXAMPLES:BUILD_CUSTOMIZER.COM []
    

  2. 次のコマンドを使用してカスタマイザをビルドします。


    $ @BUILD_CUSTOMIZER.COM
    

このコマンド・プロシージャによって次の出力ファイルが作成されます。

CUSTOM.UID
CUSTOM.EXE
XSETROOT_CUST.EXE

2.1.1.2.4 カラー・カスタマイザの実行

カラー・カスタマイザを実行するには,次の手順に従ってください。

  1. カスタマイザのビルド時に作成されたCUSTOM.UIDおよびCUSTOM.EXEのファイルを,カスタマイザが実行されるディレクトリに複写します。典型的なディレクトリとしては, SYS$LOGINまたはDECW$USER_DEFAULTSがあります。
  2. CUSTOM.DATおよびDXMDEFAULTS.DATのファイルをDECW$EXAMPLESディレクトリから 1の手順でファイルをコピーした場所にコピーします。この場合も上記と同じ典型的なディレクトリが適用されます。
  3. 次のように実行可能ファイル CUSTOM.EXE を起動します。


    $ RUN CUSTOM
    

注意

カスタマイザが起動した後に呼び出されたアプリケーションの色だけがこの影響を受けます。このため,カスタマイザをログイン・プロセスの最初のX アプリケーションとして起動してください。

2.1.1.2.5 DECW$LOGIN.COM ファイルの変更

第 2.1.1.2.4 項 に記述しているように,カラー・カスタマイザはログイン・プロセスで最初に起動される X アプリケーションでなければなりません。これは, DECW$LOGIN.COMファイル内のサブプロセスとして起動させることで可能です。また,カスタマイザの起動と他のアプリケーションの起動の間には,約10秒間の待ち時間を設けるためのコマンドを追加してください。

たとえば,次の行をDECW$LOGIN.COMに追加します。


$! Starting the color customizer 
$ DISPLAY = F$LOGICAL("DECW$DISPLAY") 
$ SPAWN/NOWAIT/OUTPUT='DISPLAY' RUN SYS$LOGIN:CUSTOM.EXE 
$ WAIT 0:0:10 

DECW$LOGIN.COMファイルについての詳細は,『Using DECwindows Motif for OpenVMS』および『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 環境設定の手引き』を参照してください。

2.1.1.2.6 コマンド・インタフェースの要約

カラー・カスタマイザのウィンドウの左端に利用できるパレットの一覧があります。希望するパレットをクリックし,その色が有効になることを確認します。

パレットの下の 2組のカラー・ボタン列は,通常の色と影の色のために動的に割り当てられたカラー・セルを表わしています。カラー・セルによってどのリソースが影響されるかを調べるには,カラー・セルの横にある矢印ボタンをクリックしたまま押し続けます。

ヒント

手っ取り早い方法として,ダイアログ・ボックスの右端にある画面のサンプルをクリックすることもできます。クリックした部分がカスタマイザによって制御されているリソース値の 1 つで色付けされる場合,対応するカラー・ボタンのポップアップ・ウィンドウが表示されます。

カラー・セルの 1 つを変更するには,対応するカラー・ボタンをクリックします。カラーミックス・ウィジェットがポップアップし,色を変更するとこれがワークステーション環境にどう反映されるかを見ることができます。最初の色に戻したい時は,カラーミックス・ウィジェットのリセット・ボタンを押します。また,カラーミックス・ウィジェットが表示されている時に他のカラー・ボタンをクリックすれば,カラー・セルを変更することができます。

Automatic Shadowing オプションを有効にすると,影の色は自動的に更新されます。 Motif 標準影付けアルゴリズムがこの計算に使用されます。

[ファイル] メニューを使用して,次のようにカラー・パレットの変更,追加,削除を行います。

[ファイル]メニューで行った変更により,リソースの省略時の設定を含むCUSTOM.DATファイルが自動的に更新されます。

[ファイル]メニューの終了ボタンを使用して,カスタマイザ・アプリケーションを終了することができます。最初に警告ダイアログ・ボックスが表示されます。カスタマイザによって割り当てられている (現在実行中のアプリケーションによって使用されている)カラー・セルの割り当てが解除されることに注意してください。カスタマイザの終了後,現在実行中のアプリケーションの色が正しくない場合には,そのアプリケーションを再起動して通常の色に復元する必要があります。通常,カラー・カスタマイザを終了する必要はなく,セッション・マネージャのように常に実行状態にしておきます。

2.1.1.2.7 カラー・リソースとカラー・セルの間のマッピングの変更

DXMDEFAULTS.DATファイルにより,割り当てられる動的カラー・セルの数と影響を受けるリソースを制御することができます。このファイルには下記のようなリソースを指定してあります。


*background:       DXmDynamicWindowBackground 
*foreground:       DXmDynamicWindowForeground 
*topShadowColor:   DXmDynamicWindowTopShadow 

カスタマイザが起動された時, DXMDEFAULTS.DATファイルはルート・ウィンドウのプロパティに書き込まれます。これに続いて,正しいX ツールキット・ライブラリを使用して実行される任意のアプリケーションは,これらのリソースを各自の通常のリソース・データベースにマージします。このファイルのリソース指定は,他のリソースの省略時の設定ファイルにある同一リソース名よりも優先されます。

DXMDEFAULTS.DATファイルにあるリソースの値は特別のフォーマットになっています。このファイル内の文字列 "DXmDynamic" で始まる異なるカラー値に対応して,カラー・カスタマイザにカラー・ボタンが作成されます。名前に文字列 "Shadow" が含まれている場合,カラー・ボタンは通常のカラー・ボタン・ボックスではなく,シャドウ・ボタン・ボックスの方に置かれます。カラー値の文字列の接尾辞が "Background" となっている場合は,自動影付けを目的として,同一の接頭辞と "TopShadow","BottomShadow", "SelectColor" という接尾辞をもつカラー・ボタンとリンクされます。 "DXmDynamicScreenBackground" というカラー値の場合は,カスタマイザが割り当てられたカラー・セルをルート・ウィンドウの背景色設定に使用します。

DXMDEFAULTS.DAT ファイルを編集して,同じカラー・セルを使用するようにリソースを定義することができます。また,スクロールバー・ウィジェットや[電子メール]アプリケーションでは,下記のような各行をつけ加えることによって,別々の動的カラー・セルを持つことができます。


Mail*background:         DXmDynamicMyMailBackground 
Mail*foreground:         DXmDynamicMyMailForeground 
Mail*topShadowColor:     DXmDynamicMyMailTopShadow 
Mail*bottomShadowColor:  DXmDynamicMyMailBottomShadow 

前記の各行をDXMDEFAULTS.DATファイルに追加後,カスタマイザを再起動すると,4つの新しいカラー・セルが割り当てられ, 4つの新しいカラー・ボタンがカスタマイザ・インタフェースに追加されます。これらのボタンは,それぞれのパレットに省略時のカラー値(通常は黒または白)として割り当てられます。この省略時の設定値は各パレットは,カスタマイザ・インタフェースで変更することができます。

注意

カラー・カスタマイザによって, DXMDEFAULTS.DATファイルのテキストが読み込まれ解析されます。この解析アルゴリズムはコメント,誤ったスペーシング,間違ったリソース指定などはエラーと見なします。このファイルおよびCUSTOM.DATリソース・ファイルに問題がある場合は,カスタマイザが正しく起動できません。この問題を解決するには,DECW$EXAMPLES ディレクトリから CUSTOM.DATおよびDXMDEFAULTS.DATをログイン・ディレクトリにコピーします。

2.1.1.2.8 影響を受けない漢字端末エミュレータのウィンドウ

カラー・カスタマイザは,漢字端末エミュレータのウィンドウに影響を与えません。漢字端末エミュレータのウィンドウの色を変更する場合は,漢字端末エミュレータ・リソース指定をDXMDEFAULTS.DATファイルからコピーして,漢字端末エミュレータ・リソースの省略時の設定ファイルである DECW$USER_DEFAULTS:DECW$TERMINAL_DEFAULT.DATに追加する必要があります。たとえば,次の各行を漢字端末エミュレータ・リソースの省略時の設定ファイルに追加してください。


   .
   .
   .
  DECW$TERMINAL.main.terminal.background: DXmDynamicTerminalBackground 
  DECW$TERMINAL.main.terminal.foreground: DXmDynamicTerminalForeground 

以上で,漢字端末エミュレータのウィンドウの色が,カラー・カスタマイザによって設定できるようになります。

2.1.1.2.9 Automatic Shadowing トグル・ボタンの省略時の設定値の変更

Automatic Shadowing トグル・ボタンの省略時の設定値は, CUSTOM.DATファイルのCustom.autoShadowリソースで次のように設定することができます。


Custom.autoShadowing: False 

省略時の設定値は真(True)です。

2.1.1.2.10 マルチヘッド・システムでのカスタマイザの使用

省略時の設定では,カラー・カスタマイザはカスタマイザと同じ画面で起動されたアプリケーションにのみ影響します。マルチヘッド・システムではそれぞれの画面に対して異なるカラー・カスタマイザを起動し,それぞれの画面に有効な異なるパレットを持つことが可能です。

起動された画面に関係なく,一度呼び出しただけですべてのアプリケーションに影響を与えるようにカラー・カスタマイザを構成することができます。このモードに入るには,省略時の設定ファイルである CUSTOM.DAT の Custom.multiScreenリソースを次のように変更します。


Custom.multiScreen: True 

省略時の設定値は偽(False)です。

2.1.1.2.11 XSETROOT_CUST デモ・プログラムの使用

カスタマイザの組み込み時に作成されたXSETROOT_CUST.EXE デモ・プログラムは, MITのユーティリティ・プログラム xsetrootの変更バージョンであり,ルート・ウィンドウにビットマップを設定するために使用することができます。 XSETROOT_CUST.EXEプログラムは, DXmDynamicScreenBackground および DXmDynamicScreenForeground を指定されたビットマップの前景色および背景色として使用します。 DXMDEFAULTS.DATファイルにこれらの2つの動的な色指定が入っている場合は,カスタマイザを使用してビットマップの色を動的に変更します。

次に例を示します。


$ XSETROOT_CUST :== "$SYS$LOGIN:XSETROOT_CUST.EXE"
$ XSETROOT_CUST -BITMAP your_xbm_file.XBM

2.1.1.3 ウィンドウ・ダンプ印刷 (xpr)ユーティリティ

V1.2

ウィンドウ・ダンプ印刷ユーティリティ(xpr)は, X Window ダンプを印刷します。

xpr プログラムは,ウィンドウ・ダンプ・ユーティリティ(xwd)が作成したウインドウ・ダンプ・ファイルを受け取って,次のプリンタに出力するためのフォーマットを行います。

xpr プログラムを使用するには, xpr をユーザ定義コマンドとして定義しておかなければなりません。


$ xpr == "$DECW$UTILS:XPR" 

入力ファイルを指定しなければなりません。 xpr プログラムは出力ページに収まる最大のサイズでウィンドウを印刷します。オプションによりユーザは,ヘッダ,トレーラ,マージン指定,拡大および縮小,印刷方向などを調整したり,複数のウインドウ・ダンプを1つの出力ファイルにまとめることができます。

次のコマンド・フォーマットを使用します。


$ xpr input_file [options...] 

オプションには次のものがあります。


    -append filename  -noff  -output filename
    -compact 
    -device {ln03 | la100 | ps | lw | pp | ljet | pjet | pjetxl} 
    -dump 
    -gamma correction
    -gray {2 | 3 | 4} 
    -height inches  -width inches
    -header string  -trailer string
    -landscape  -portrait 
    -left inches  -top inches
    -noposition 
    -nosixopt 
    -plane n
    -psfig 
    -render type
    -report 
    -rv 
    -scale scale
    -slide 
    -split n-pages

使用可能なオプションは 表 2-2 に定義されています。

表 2-2 ウィンドウ・ダンプによるファイル印刷オプション
オプション 説明
-device devtype ファイルを印刷するプリンタを指定します。

現在サポートしているプリンタ:

la100 Digital LA100
ln03 Digital LN03
ljet HP LaserJet シリーズおよびその他のモノクロ PCL プリンタ (ThinkJet,QuietJet,RuggedWriter,HPシリーズ,HP-シリーズ・プリンタ)
pjet HP PaintJet (カラー・モード)
pjetxl HP PaintJet XL Color Graphics Printer (カラー・モード)
pp IBM PP3812
ps PostScript プリンタ
lw LaserWriter オプションは -device ps と等価で,互換性のために用意されています。

省略時は PostScriptです。

-scale scale ページ上のウィンドウのサイズに影響します。 PostScript,LN03,HPプリンタでは,ウィンドウのピクセル・マップを特定のサイズのグリッドに変換します。たとえば,-scale 3 を指定した場合,各ビットは,3x3 のグリッドに変換されます。省略時の設定の場合,ウインドウは指定された印刷の方向に応じて,そのページに収まる最大のサイズで印刷されます。
-height inches そのページの最大の高さを指定します。
-width inches そのページの最大の幅を指定します。
-left inches 左マージンをインチで指定します。小数を使用することができます。省略時には,ウィンドウはページの中央に印刷されます。
-top inches グラフィックス表示時の上端のマージンをインチで指定します。小数を使用することができます。
-header string ウィンドウ上部に印刷されるヘッダの文字列を指定します。
-trailer string ウィンドウ下部に印刷されるトレーラの文字列を指定します。
-landscape ウィンドウを横長方向に印刷します。省略時には,ウィンドウの長い方向を用紙の長い方向に合わせて印刷します。
-portrait ウィンドウを縦長方向に印刷します。省略時には,ウィンドウの長い方向を用紙の長い方向に合わせて印刷します。
-plane number どのビット・プレーンでイメージを印刷するかを指定します。省略時には,イメージ全体を,マップの値を色の輝度に合わせてモノクロで印刷します。
-gray 2x2,3x3,4x4 のいずれかのグレー・スケールを使用して,カラー・イメージを通常のモノクロではなく,グレー・スケールに変換して印刷します。これにより,印刷されるイメージの縦横ともそれぞれ2倍,3倍,4倍になります。
-rv ウィンドウを反転して印刷します。
-compact run-length encoding を使用して白ピクセル部分を圧縮した形式で,ウィンドウを表現します。
-output filename 出力ファイル名を指定します。
-append filename xpr によってすでに作成されたファイルの名前を指定して,そのファイルにウインドウを追加します。
-noff -append とともに使用すると,すでにあるウィンドウと同じページに別のウィンドウが印刷されます。
-split n-pages これにより1つのウィンドウを数ページに分割して印刷することができます。非常に大きなウィンドウを印刷するとき,プリンタが過負荷により正常な印刷を行わなくなる場合などに使用することができます。
-psfig PostScriptによるイメージがページ中央に印刷されるのを禁止します。
-density dpi 1インチ当たりのドット数(dpi)による密度を指定します。 HP プリンタで使用します。
-cutoff level LaserJet プリンタのモノクロ出力用に色が白または黒でマップされている場合,輝度のレベルを変更します。レベルは最大輝度を100%として,パーセントで指定します。小数を使用することができます。
-noposition ヘッダ,トレーラ,イメージの位置指定コマンド生成を無効とします。 LaserJet,PaintJet,PaintJet XL の各プリンタで使用します。
-gamma correction PaintJet XL プリンタによるカラー印刷時に,色の輝度を変更します。浮動小数点法で0.00から3.00の範囲で修正します。各プリンタの適正値については,オペレータ・マニュアルを参照してください。
-render algorithm プリンタの稼動効率と印刷品質との間の関係を決めるアルゴリズム。使用可能なアルゴリズムについては,オペレータ・マニュアルを参照してください。
-slide filename PaintJetおよび PaintJet XLプリンタで, OHP用スライドに印刷するときに使用します。


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