Compaq OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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表 A-2 は,どのような場合も調整が必要ないシステム・パラメータを示しています。これらのパラメータは,システムのデバッグで使用するためにだけ提供されているものです。コンパックのサポートから特に指示された場合を除き,これらのパラメータを変更しないでください。これらのパラメータを誤って調整すると,クラスタ障害が発生することがあります。

表 A-2 OpenVMS でのみ使用するために確保されているクラスタ・システム・パラメータ
パラメータ 説明
++MC_SERVICES_P1 (動的) このパラメータの値は,MEMORY CHANNEL で接続されているすべてのノードで同じでなければならない。
++MC_SERVICES_P5 (動的) このパラメータは,デフォルト値の 8000000 から変更してはならない。このパラメータの値は,MEMORY CHANNEL で接続されているすべてのノードで同じでなければならない。
++MC_SERVICES_P8 (静的) このパラメータは,デフォルト値の 0 から変更してはならない。このパラメータの値は,MEMORY CHANNEL で接続されているすべてのノードで同じでなければならない。
++MPDEV_D1 マルチパス・システム・パラメータ。
NISCS_PORT_SERV PEDRIVER データ・チェックがコンピュータに対して有効に設定されるかどうかを指定する。デフォルト値は 0 であり,データ・チェックは無効になる。パラメータ値のビット設定は以下のとおりである。

  • Bit <0>---セットされている場合,送信時のデータ・チェックが有効になる。

  • Bit <1>---セットされている場合,受信時のデータ・チェックが有効になる。

  • Bits <31:2>---予約。0 でなければならない。

PAMAXPORT PAMAXPORT は,各 CI および DSSI でポーリングされる最大ポート番号を指定する。CI および DSSI ポート・ドライバは,新たに初期化されたポートを検出するためや,これまで応答していたリモート・ポートの障害やこれらのポートの不在を検出するためにポーリングを行う。

ポート番号がこのパラメータ値より大きいポートの存在は検出されない。したがって,このパラメータは,システムに接続されている CI または DSSI で使用されている最大ポート番号に等しいか,それより大きい値に設定しなければならない。

ハードウェア構成に含まれるポートの数が 16 未満の場合は,このパラメータ値を小さくすることで,ポーリングの回数を削減することができる。たとえば,ポート番号 0〜4 の 5 つのポートが割り当てられている最大構成の CI または DSSI の場合,PAMAXPORT を 4 に設定することができる。

システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合,このパラメータは無視される。

このパラメータのデフォルト値は 15 である (0〜15 の可能なすべてのポートがポーリングされる)。各クラスタ・コンピュータでこのパラメータを同じ値に設定することを推奨する。

PANOPOLL このパラメータが 1 に設定されている場合,CI および DSSI によるポートのポーリングが無効になる (デフォルト値は 0)。PANOPOLL が設定されている場合,別のコンピュータがシャットダウンされていたり,電源がオフになっていることを迅速に検出することができず,新たにブートされたコンピュータも検出できない。デバッグのために,あるコンピュータをクラスタの他の部分から分離して起動したいときは,このパラメータを使用すると便利である。

PANOPOLL を 1 に設定すると,DSSI またはスター・カプラからシステムを切断した場合と同じように機能する。このパラメータは LAN を介した OpenVMS Cluster 通信に影響しない。

デフォルト値は 0 であり,これは標準的な設定で,HSC コントローラからブートする場合や,システムが OpenVMS Cluster に参加する場合は,この設定が必要である。システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

PANUMPOLL 各ポーリング間隔でポーリングされる CI および DSSI ポートの数を設定する。 PANUMPOLL の標準設定は 16 である。

それほど強力でない CPU を搭載している以前のシステムでは,システムが IPL 8 で費やす連続時間に敏感なアプリケーションで,このパラメータを使用すると便利なことがある。PANUMPOLL を小さくすると,各ポーリング間隔で IPL 8 で費やされる時間を短縮することができ,一方,ポーリング間隔を長くすると,新しいポートや障害のあるポートを検出するのに必要な時間が長くなる。

システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

PAPOLLINTERVAL 新たにブートされたコンピュータ,壊れているポート間仮想サーキット,障害のあるリモート・コンピュータを,CI ポート・ドライバがポーリングするために使用するポーリング間隔を秒数で指定する。

このパラメータの値を小さくするすると,ポーリング・オーバヘッドが拡大するが,仮想サーキット障害への応答性は高くなる。このパラメータは,各クラスタ・コンピュータで同じ値に設定しなければならない。

PAPOOLINTERVAL ポート割り当て障害が発生した後,ポート・ドライバが使用可能な非ページング・プールを確認する間隔を秒数で指定する。

このパラメータを小さい値にすると,プール割り当て障害への応答が迅速になるが,システム・オーバヘッドが高くなる。

システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

PASANITY PASANITY は,IPL 8 またはそれ以上で 100 秒間ハング状態になっているシステムをリモート・システムが検出できるように, CI および DSSI ポート・サニティ・タイマが有効に設定されるかどうかを制御する。また,ローカル・システムで仮想サーキットのチェックが有効に設定されるかどうかも制御する。 TIMVCFAIL パラメータは時間 (1〜99 秒) を制御する。

PASANITY は通常,1 に設定され,XDELTA を使用してデバッグする場合や,100 秒以上 CPU を停止する場合にだけ, 0 に設定しなければならない。

PASANITY は半動的である。PASANITY の値を変更すると, CI または DSSI ポートを次回再初期化するときに,新しい値が有効になる。

システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

PASTDGBUF 各 CI または DSSI ポート・ドライバの構成ポーラのために,キューに初期登録されるデータグラム受信バッファの数。初期値は必要に応じてシステム操作時に拡張される。

システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

PASTIMOUT 時間ベースの管理操作を実行するために,CI ポート・ドライバが起動される基本的な間隔。スタート・ハンドシェイク・データグラムに対する応答が受信されなかったときに,時間切れが宣言されるまでの時間でもある。

システムで CI または DSSI デバイスが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

PRCPOLINTERVAL 接続マネージャや MSCP ディスクなどの SCS アプリケーションを他のコンピュータから検索するために使用されるポーリング間隔を秒数で指定する。各コンピュータは各間隔で最大 1 回ずつポーリングされる。

このパラメータの値を小さくすると,ポーリング・オーバヘッドが高くなるが,新しいコンピュータやサーバが検出されるまでの時間を短縮できる。

SCSMAXMSG 1 つの連続したメッセージに含まれるシステム・アプリケーション・データの最大バイト数。1 つのメッセージが消費する物理メモリ・サイズは,SCSMAXMSG の値にバッファ管理のオーバヘッドを加算した値である。

システムで SCS ポートが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

SCSMAXDG 1 つのデータグラムに含まれるアプリケーション・データの最大バイト数を指定する。

システムで SCS ポートが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。

SCSFLOWCUSH 新しい受信バッファをリモート SCS に通知するために,SCS が開始する受信バッファの下限値を指定する。各接続に対して,SCS は使用可能な受信バッファの数を追跡する。SCS は,この値を接続のリモート側の SCS に通信する。しかし,新しい受信バッファが追加されるたびに,SCS がこの操作を実行する必要はない。このような場合,受信バッファの数が SCSFLOWCUSH の値以下であれば,SCS は新しい受信バッファをリモート SCS に通知する。

システムで SCS ポートが構成されていない場合は,このパラメータは無視される。


++Alpha 固有


付録 B
共通ファイルの作成

ここでは,コンピュータ固有の利用者登録ファイル (UAF) から共通のファイルを作成するガイドラインを示します。また,RIGHTSLIST.DAT ファイルのマージについても説明します。

コンピュータ固有の登録ファイルの設定方法については,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

B.1 共通の SYSUAF.DAT ファイルの作成

共通の SYSUAF.DAT ファイルを作成するには, 表 B-1 の手順に従います。

表 B-1 共通の SYSUAF.DAT ファイルの作成
ステップ 操作
1 各コンピュータで SYSUAF.DAT のリストを印刷する。このリストを印刷するには,AUTHORIZE を起動し,以下に示すように AUTHORIZE コマンド LIST を指定する。
$ SET DEF SYS$SYSTEM

$ RUN AUTHORIZE
UAF> LIST/FULL [*,*]
2 リストを利用して,各コンピュータのアカウントを比較する。リスト上で必要な変更をマークする。以下の例を参照。

  • 不要なアカウントは削除する。

  • UIC が適切に設定されているかどうか確認する。

    • ユーザ UIC

      クラスタ内の各ユーザ・アカウントを調べ,固有の利用者識別コード (UIC) が割り当てられているかどうか確認する。 たとえば,OpenVMS Cluster メンバである VENUS に JONES というユーザ・アカウントがあり,MARS コンピュータの SMITH というユーザ・アカウントと同じ UIC が割り当てられているとする。コンピュータ VENUS と MARS が結合されてクラスタを形成すると,同じ UIC を持つアカウント JONES と SMITH がクラスタ環境内に存在するようになる。これらのアカウントの UIC が区別されなければ,各ユーザはクラスタ内のさまざまなオブジェクトに対して同じアクセス権を保有するようになる。この場合,各アカウントに固有の UIC を割り当てる必要がある。

    • グループ UIC

      同じ種類の作業を実行するアカウントには,同じグループ UIC を割り当てるようにする。おそらくシングル・コンピュータ環境内のアカウントはこの規則に従っている。しかし,クラスタ内で同じ作業を実行するユーザ・グループが各コンピュータにあり,それぞれのローカル・コンピュータで固有のグループ UIC が割り当てられている可能性がある。規則として,特定の作業カテゴリのグループ UIC は,クラスタ内の各コンピュータで同一でなければならない。たとえば, VENUS のデータ入力アカウントには,MARS のデータ入力アカウントと同じグループ UIC を割り当てなければならない。

    注意: 特定のユーザの UIC を変更する場合,そのユーザの既存のファイルおよびディレクトリの所有者 UIC も変更しなければならない。このような変更を行うには,DCL コマンド SET FILE と SET DIRECTORY を使用する。これらのコマンドの詳細については,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照。

3 マスタ SYSUAF.DAT として,1 台のコンピュータから SYSUAF.DAT ファイルを選択する。

注意: SYSUAF でのプロセスの制限やクォータのデフォルト値は, VAX コンピュータの場合より,Alpha コンピュータの場合の方が大きい。両方のコンピュータで値を設定する方法については,『A Comparison of System Management on OpenVMS AXP and OpenVMS VAX』 1 を参照。

4 マスタ SYSUAF.DAT を所有しているコンピュータで Convert ユーティリティ (CONVERT) を実行することにより,他のコンピュータの SYSUAF.DAT ファイルをマスタ SYSUAF.DAT にマージする (CONVERT の詳細については,『OpenVMS Record Management Utilities Reference Manual』を参照)。 CONVERT を使用してファイルをマージするには,CONVERT を実行するコンピュータから各 SYSUAF.DAT ファイルにアクセスできなければならない。

構文: UAF をマスタ SYSUAF.DAT ファイルにマージするには,以下の形式で CONVERT コマンドを指定する。

CONVERT SYSUAF1,SYSUAF2,...SYSUAFn MASTER_SYSUAF

特定のユーザ名が複数のソース・ファイルに指定されている場合,マージされたファイルには,最初に検出された名前だけが登録される。

例: 以下のコマンドの例では,2 つの入力ファイルの内容を組み合わせて,新しい SYSUAF.DAT ファイルが作成される。

$ SET DEFAULT SYS$SYSTEM

$ CONVERT/MERGE [SYS1.SYSEXE]SYSUAF.DAT, -
_$ [SYS2.SYSEXE]SYSUAF.DAT SYSUAF.DAT

この例の CONVERT コマンドは,[SYS1.SYSEXE]SYSUAF.DAT ファイルと [SYS2.SYSEXE]SYSUAF.DAT ファイルのレコードをローカル・コンピュータの SYSUAF.DAT ファイルに追加する。

CONVERT を実行した後,他の SYSUAF.DAT ファイルのレコードを含むマスタ SYSUAF.DAT が作成される。

5 各コンピュータの SYSUAF.DAT ファイルの初期リストでマークした変更に従って,AUTHORIZE を使用してマスタ SYSUAF.DAT でアカウントを変更する。
6 マスタ SYSUAF.DAT ファイルを SYS$COMMON:[SYSEXE] に格納する。
7 ノード固有のすべての SYSUAF.DAT ファイルを削除する。


1このマニュアルはアーカイブとして保管されているが, OpenVMS Documentation CD-ROM に PostScript 形式および DECW$BOOK (Bookreader) 形式で格納されている。

B.2 RIGHTSLIST.DAT ファイルのマージ

RIGHTSLIST.DAT ファイルをマージしなければならない場合は,以下のコマンドを使用します。


$ ACTIVE_RIGHTSLIST = F$PARSE("RIGHTSLIST","SYS$SYSTEM:.DAT")
$ CONVERT/SHARE/STAT 'ACTIVE_RIGHTSLIST' RIGHTSLIST.NEW
$ CONVERT/MERGE/STAT/EXCEPTION=RIGHTSLIST_DUPLICATES.DAT  -
_$ [SYS1.SYSEXE]RIGHTSLIST.DAT, [SYS2.SYSEXE]RIGHTSLIST.DAT RIGHTSLIST.NEW
$ DUMP/RECORD RIGHTSLIST_DUPLICATES.DAT
$ CONVERT/NOSORT/FAST/STAT RIGHTSLIST.NEW 'ACTIVE_RIGHTSLIST'

この例に示したコマンドは,OpenVMS Cluster の 2 台のコンピュータの RIGHTSLIST.DAT ファイルを現在のデフォルト・ディレクトリのマスタ RIGHTSLIST.DAT ファイルに追加します。 RIGHTSLIST.DAT ファイルの作成と管理の詳細については,システムのセキュリティ・ガイドを参照してください。


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