日本語 Compaq OpenVMS
フォント管理ユーティリティ
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第 4 章
Character Manager (CMGR) ユーティリティ

この章では, Character Manager (CMGR) ユーティリティについて説明します。

4.1 概要

Character Manager (CMGR) ユーティリティは,システム・フォント・データベースの管理およびプリローディング用ファイルの作成を行います。

4.2 起動方法

CMGRユーティリティは,DCLコマンドの CHARACTER_MANAGER によって起動され, "CMGR>" というプロンプトがディスプレイに表示されます。このプロンプトに対して,ユーザはCMGRコマンドを入力することにより,様々な機能を実行できます。また, CMGRコマンドはDCLレベルからも起動でき,その場合には,先頭に CHARACTER_MANAGER というDCL コマンドを指定します。

ただし,EDIT コマンドによるフォント・エディタの起動は,日本語 DECwindows の日本語ターミナル・エミュレータを通じてはできません。

4.3 ファイル形式

この節では,CMGR のファイル形式について説明します。 図 4-1 はフォント・システムの概略を示しています。

図 4-1 フォント・システム概略図


4.3.1 システム・キャラクタ・マスタ・インデックス・ファイル

システム・キャラクタ・マスタ・インデックス・ファイル JSY$CHARACTER_MASTER_INDEX.DATは,可変長レコードの順編成テキスト・ファイルであり,日本語 Compaq OpenVMS のシステム・ディレクトリ(JSY$SYSTEM)に登録されています。このファイルは,CMGR$MASTERというエグゼクティブ・モードのシステム論理名によって参照されます。このファイルは,それぞれのデータベースのシステム・キャラクタ・インデックス・ファイルとキャラクタ・セット・インフォメーション・ファイルに対するポインタとして使用されます。また,フォント・システムのカントリ・インフォメーション・ファイルに対するポインタとしても使用されます。

これはフォント・システムで使用されるシステム・ファイルであり,ユーザやシステム管理者はこのファイルを変更してはいけません。

4.3.2 カントリ・インフォメーション・ファイル

カントリ・インフォメーション・ファイル JSY$JAPAN_SPECIFIC.DATは,可変長レコードの順編成テキスト・ファイルであり,日本語 Compaq OpenVMS のシステム・ディレクトリ(JSY$SYSTEM)に登録されます。

これはフォント・システムで使用されるシステム・ファイルであり,ユーザとシステム管理者はこのファイルを変更してはいけません。

4.3.3 キャラクタ・セット・インフォメーション・ファイル

キャラクタ・セット・インフォメーション・ファイル JSY$DECKANJI_CODE_INFO.DAT は,可変長レコードの順編成テキスト・ファイルであり,日本語 Compaq OpenVMS のシステム・ディレクトリ (JSY$SYSTEM) に登録されます。

これはフォント・システムで使用されるシステム・ファイルであり,ユーザとシステム管理者はこのファイルを変更してはいけません。

4.3.4 システム・キャラクタ・インデックス・ファイル

システム・キャラクタ・インデックス・ファイルは,可変長レコードの順編成テキスト・ファイルであり,日本語 Compaq OpenVMS のシステム・ディレクトリ (JSY$SYSTEM) に登録されます。ファイル名は JSY$xxx_CHARACTER_INDEX.DAT という形式です。ここで,xxx はデータベース名を示します。ただし,JSY$CHARACTER_INDEX.DAT という名前は省略時のデータベースに対して使用されます。

このファイルは,特定の文字コード範囲とフォント・サイズに対して,システム・フォント・データベース・ファイルを示すポインタとして使用されます。 CMGR$DATABASE_NAMEという論理名は,オペレータのプロセスで現在参照されているシステム・キャラクタ・インデックス・ファイルを示すために使用されます。

これはフォント・システムで使用されるシステム・ファイルであり,ユーザとシステム管理者はこのファイルを変更してはいけません。

4.3.5 システム・フォント・データベース

システム・フォント・データベースは,固定長レコードの複数の索引順編成ファイルで構成され,日本語 OpenVMS のシステム・ディレクトリ (JSY$SYSTEM) に登録されます。システム・フォント・データベースは, 24 × 24, 32 × 32, 40 × 40 などのフォント・サイズ,ユーザ定義文字やJIS X 0208第2水準漢字などの文字範囲の両方によって,複数のファイルに分類されます。 24 × 24, 32 × 32,および 40 × 40 ドットのフォント・サイズに対するシステム・フォント・データベース・ファイルには,ロード可能なフォーマットで文字パターンが格納されます。

フォント・サイズと文字範囲の両方の基準によって,システム・フォント・データベース・ファイルを区別するために,これらのファイルには JSY$xxx_nnXnn_yyy.GDB という形式の名前が付けられます。ここで, "xxx"はデータベース名であり,"nn"はファイル内のユーザ定義文字のフォント・サイズを示し,"yyy"は文字の範囲を示します。たとえば, JSY$GOTHIC_24X24_USER.GDBは,フォント・サイズが24×24ドットであり,データベース名がGOTHICであるユーザ定義文字のフォント・データベース・ファイルです。

4.3.6 プリロード・ファイル

プリロード・ファイルはユーザ・ファイルであり,ユーザ定義文字のロード可能シーケンスが格納されます。これは可変長レコードの順編成ファイルです。プリロード・ファイルには,異なるフォント・サイズのロード可能シーケンスを格納できます。ユーザ定義文字の文字パターンは,このファイルに対して DCL コマンドの TYPE を実行することにより漢字ターミナルの,また,PRINT を実行することによりプリンタのフォント RAM にロードできます。出力先装置のフォント・サイズと一致しないシーケンスは無視され,破棄されます。このファイルの省略時のファイル拡張は ".PRE" です。

4.4 CMGR コマンド

この節では, Character Manager (CMGR) バージョン2.0 でサポートされる CMGR のコマンドについて説明します。

表 4-1 に CMGR のコマンドをまとめます。

表 4-1 Character Manager (CMGR)のコマンドの一覧
Character Manager (CMGR) コマンド 説明
CONVERT DATABASE フォント・データベース・フォーマットを変換する
CONVERT FONT_FILE フォント・ファイルをプリロード・ファイルに変換する
CONVERT FONT_SIZE プリロード・ファイル内の文字パターンのサイズを変換する
COPY データベース内の文字パターンをコピーする
EDIT 文字パターンを編集する
EXIT CMGR を終了する
EXTRACT CODE 指定された文字コードに対するプリロード・ファイルを作成する
EXTRACT REFERENCE 指定されたテキスト・ファイル内のユーザ定義文字に対してプリロード・ファイルを作成する
HELP ヘルプ・テキストを表示する
REMOVE 文字パターンをデータベースから削除する
SET DATABASE 指定されたデータベースへのアクセスを設定する
SHOW BITMAP 文字パターンをビットマップ形式で表示する
SHOW DATABASE データベース名を表示する
SHOW CHARACTER_SET 文字コード情報を表示する
SHOW TABLE 文字コード・テーブルを表示する
SHOW VERSION CMGR のソフトウェア・バージョンを表示する
UPDATE 文字パターンをデータベースに登録する

次に CMGR のコマンドについて詳しく説明します。


CONVERT DATABASE (VAX のみ)

Character Manager (CMGR) のもとで使用するために,システム・フォント・データベースを CMGR 以前のファイル・フォーマットから新しいファイル・フォーマットに変換します。

注意

このコマンドは,日本語 Compaq OpenVMS VAX 上でのフォント・データベースの互換性を維持するためのもので,日本語 Compaq OpenVMS Alpha 上では使用できません。


形式

CONVERT DATABASE

コマンド修飾子 省略時設定
/CONFIRM /CONFIRM
/LOG /LOG

制限事項

このコマンドを使用するには,SYSPRV 特権が必要です。この特権がない場合には,エラー・メッセージが表示され,CONVERT DATABASE コマンドは無視されます。


コマンド修飾子

/CONFIRM
/NOCONFIRM

文字コードの文字パターンが,新しいシステム・フォント・データベースにすでに登録されているときに, CONVERT DATABASEコマンドが確認を要求するかどうかを制御します。 CONVERT DATABASEコマンドが2回以上実行された場合に,確認メッセージが表示される可能性があります。

肯定応答は YES,TRUE,および 1 です。否定応答は NO,FALSE,0 および  [Return]  キーです。 QUIT または  [Ctrl/Z]  を入力すると, CONVERT DATABASEコマンドはその時点で処理を停止します。 ALL を入力した場合には,CONVERT DATABASE コマンドは処理を継続し,その後,プロンプトを表示しません。

ユーザが操作の実行を確認した場合には,CONVERT DATABASE コマンドは新しいシステム・フォント・データベース内の文字パターンの上に古いシステム・フォント・データベースのパターンを重ね書きします。

省略時の設定では,/CONFIRM が指定されているものと解釈されます。

/LOG
/NOLOG

文字パターンを変換する文字コードを,CONVERT DATABASE コマンドが表示するかどうかを制御します。 /LOG 修飾子を指定した場合には,CONVERT DATABASE コマンドは変換された文字パターンの総数も表示します。

省略時の設定では,/LOG が指定されているものと解釈されます。


説明

日本語 VAX/VMS V5.5 より前のシステム・フォント・データベースは,日本語システム・ディレクトリ (JSY$SYSTEM) に登録されている 2 つのファイル (FONT.DATとFONT1.DAT) で構成されていましたが,日本語 VAX/VMS V5.5 からの新しいシステム・フォント・データベースは複数のファイルで構成されています。これらのファイルの名前は,JSY$SYSTEM:JSY$xxx_nnXnn_yyy.GDB という形式です。ここで xxx はデータベース名を示し,nn はフォント・サイズを示し, yyy は文字コード・クラスを示します。

CONVERT DATABASEコマンドはFONT1.DATから文字パターン・データを読み込み,それを新しいデータ・フォーマットに変換し,変換したデータを新しいシステム・フォント・データベース・ファイルに出力します。新しいファイルのファイル名は,コード範囲とフォント・サイズによってシステム・キャラクタ・インデックス・ファイルに定義されています。変換後のデータが格納されるデータベースの名前はSET DATABASEコマンドによって選択できます。

このコマンドは,日本語 VAX/VMS V5.5 より前のシステムを日本語 OpenVMS VAX V6.0 へアップグレードした際に,システム管理者が実行しなければなりません。このコマンドを使用してシステム・フォント・データベースを変換した後,システム管理者がこのコマンドを再度使用する必要はありません。

このコマンドを 2 回以上実行する場合には,新しいシステム・フォント・データベースに格納されている文字パターンの上に, FONT1.DAT に格納されていた文字パターンが重ね書きされる可能性があります。


#1

$ CHARACTER_MANAGER CONVERT DATABASE
%CMGR-I-READFIL, Reading file, JSY$SYSTEM:FONT1.DAT
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A121 is converted
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A122 is converted
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A221 is converted
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A222 is converted
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A223 is converted
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A224 is converted
%CMGR-I-FDBCONVEND, Total 6 patterns converted to CMGR_DEFAULT Database
      

CONVERT DATABASE コマンドは,古いシステム・フォント・データベース (FONT.DATとFONT1.DAT) を新しいシステム・フォント・データベース(JSY$GLYPH_nnXnn_yyy.GDB)に変換します。この例では,6 つの文字パターンが変換され, CMGR_DEFAULT という名前の新しいシステム・フォント・データベースに登録されます。


CONVERT FONT_FILE

フォント・ファイル内の文字パターンが,CMGRユーティリティで使用できるように,フォント・ファイルをプリロード・ファイルに変換します。

形式

CONVERT FONT_FILE input-file[,...] output-file

コマンド修飾子 省略時設定
/LOG /LOG


パラメータ

input-file[,...]

特定のフォント・サイズの文字パターン・シーケンスが,ビットマップ形式で格納されている,1つ以上のプリロード・ファイルを指定します。

ファイル指定において,ワイルドカードが使用できます。

output-file

変換後の文字パターンを出力する,プリロード・ファイルを指定します。

コマンド修飾子

/LOG
/NOLOG

文字パターンを変換した文字コードのコード指定を,CONVERT FONT_FILE コマンドが表示するかどうかを制御します。 /LOG 修飾子を指定した場合には,CONVERT FONT_FILE コマンドは変換した文字の総数も表示します。

省略時の設定では,/LOGが指定されているものと解釈されます。


説明

CONVERT FONT_FILE コマンドは,入力ファイルからビットマップ形式の文字パターンのデータを読み込み,それらを新しいデータ形式に変換して,変換後のデータを指定されたプリロード・ファイルに出力します。

旧来のフォント・エディタであるFEDITユーティリティは,ビットマップ形式で文字パターンを格納したフォント・ファイルを作成しますが, CMGRユーティリティの,EDITコマンドはプリロード・ファイルを作成し,フォント・ファイルの文字パターンのデータ形式はサポートしません。したがって,フォント・ファイルを持つユーザは,文字パターンのデータ形式を変換するために CONVERT FONT_FILE コマンドを使用してください。


#1

$ CHARACTER_MANAGER CONVERT FONT_FILE FONT.FNT PRELOAD.PRE
%CMGR-I-READFIL, Reading file DISK$:[DIRE]FONT.FNT;1
%CMGR-S-FONCONV, Font pattern of size 24x24 for code A121 converted
%CMGR-S-FONCONV, Font pattern of size 24x24 for code A122 converted
%CMGR-S-FONCONV, Font pattern of size 24x24 for code A123 converted
%CMGR-I-FONWRTN, 3 font patterns written to file DISK$:[DIRE]PRELOAD.PRE;1
 
      

この例では,CONVERT FONT_FILEコマンドは, FONT.FNT内の 24×24 ドット・サイズの3 つの文字パターンを変換します。変換後の文字パターンは PRELOAD.PRE に出力されます。


CONVERT FONT_SIZE

プリロード・ファイル内のロード可能な文字パターンのフォント・サイズを,別のフォント・サイズに変換し,変換後のパターンのロード可能シーケンスを,ファイルに出力します。

形式

CONVERT FONT_SIZE input-file[,...] output-file

コマンド修飾子 省略時設定
/SIZE=font-size /SIZE=24
/LOG /LOG


パラメータ

input-file[,...]

特定のフォント・サイズのロード可能な文字パターン・シーケンスが格納されている,1つ以上のプリロード・ファイルを指定します。

複数の入力ファイルを指定する場合には,各ファイル指定をコンマ(,)で区切ります。この記号は,指定されたファイル内のすべてのロード可能シーケンスが, /SIZE 修飾子に指定されたフォント・サイズに変換されることを示します。

入力ファイル指定では,ワイルドカードを使用できます。

output-file

変換後のロード可能シーケンスを出力する,出力ファイルを指定します。

コマンド修飾子

/SIZE=font-size

変換するフォント・サイズを選択します。指定できる値は 24,32,40 のいずれかです。 24,32,および 40 という値はそれぞれ,出力フォント・サイズが 24 × 24 ドット, 32 × 32 ドット,および 40 × 40 ドットであることを示します。

この修飾子を指定しなかった場合には,/SIZE=24 であるものと解釈されます。

/LOG
/NOLOG

文字パターンを変換した文字コードのコード指定を,CONVERT FONT_SIZE コマンドが表示するかどうかを制御します。/LOG 修飾子を指定した場合には, CONVERT FONT_SIZE コマンドは変換した文字の総数も表示します。

省略時の設定では,/LOG が指定されているものと解釈されます。


説明

CONVERT FONT_SIZE コマンドは,入力ファイル内のロード可能な文字パターン・シーケンスのフォント・サイズを変換し,変換後のロード可能シーケンスをファイルに出力します。

/SIZE 修飾子に指定された,フォント・サイズのロード可能シーケンスが,すでに入力ファイルに格納されている場合には,CONVERT FONT_SIZE コマンドはそのシーケンスを,指定された出力ファイルに単にコピーします。

複数の入力ファイルを指定したときに, 1 つの文字コードに対して複数のロード可能シーケンスが存在する場合には,最後に検出された最も近いフォント・サイズのロード可能シーケンスが変換されます。


#1

$ CHARACTER_MANAGER CONVERT FONT_SIZE /SIZE=32 FONT24.PRE FONT32.PRE
%CMGR-I-READFIL, Reading file DISK$:[DIRE]FONT24.PRE;1
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A121 is converted
%CMGR-S-FONTCONVTD, Font Data of A122 is converted
%CMGR-I-GLYLPHOUT, 2 patterns written in DISK$:[DIRE]FONT32.PRE
 
      

この例では,CONVERT FONT_SIZE コマンドは,FONT24.PRE 内の A121とA122 という文字コードのロード可能文字パターンを,32×32 ドット・サイズのパターンに変換します。変換後のパターンは,FONT32.PRE に出力されます。


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