[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ 索引 ] [ DOC Home ]

4 COM for OpenVMSキットのインストール

この章では,COM for OpenVMSキットの内容, 必要なソフトウェア,インストールの前処理について説明します。また,COM for OpenVMS のインストールの方法とインストールの後処理についても説明します。

4.1 COM Version 1.1 for OpenVMSキットの内容

COM Version 1.1 for OpenVMSには,次のコンポーネントが含まれています。

4.2 インストールの要件

次のソフトウェアが必要です。

4.3 サポートされるCOM for OpenVMS のインストール・オプション

ここでは,COM Version 1.1 for OpenVMSのインストール・ オプションとアップグレード・オプションについて説明します。

実行する操作 参照箇所
COM for OpenVMSをOpenVMSスタンドアロン・ システムに初めてインストールする。 第4.4節を参照。
COM for OpenVMSをOpenVMS Clusterシステムに初めてインストールする。 第4.6節を参照。
OpenVMSスタンドアロン・システムでCOM Version 1.0 for OpenVMS からCOM Version 1.1 for OpenVMSにアップグレードする。 第4.5節を参照。
OpenVMS ClusterシステムでCOM Version 1.0 for OpenVMS からCOM Version 1.1 for OpenVMSにアップグレードする。 第4.7 節を参照。

4.4 OpenVMSスタンドアロン・システムでのCOM for OpenVMS のインストール

次の操作を行います。

  1. OpenVMS Version 7.2-1をインストールします。 この手順については,『OpenVMS Alpha Version 7.x Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

  2. TCP/IPをインストールします。この手順については, 『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IPサプライヤが提供するマニュアルを参照してください。

  3. インストールしたシステムをシステム・ディスクからブートします。

  4. COM Version 1.1 for OpenVMSをインストールします。 この手順については,第4.10節を参照してください。

  5. Advanced Server for OpenVMSをインストールします。 この手順については,『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  6. TCP/IPを構成し(スタートアップとリブートのための設定),起動します。 この手順については,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IP サプライヤのマニュアルを参照してください。

  7. 次の手順でOpenVMS Registryを構成します。

  8. REG$STARTUP.COM ファイルを実行して,OpenVMS Registryを起動します。

  9. DCEを実行する場合は,ここで起動します。


    注意
    DCEを使用しなくてもCOM for OpenVMSを実行することはできますが, 環境でDCEを使用する場合は,ここで起動してください。

    この手順については,『DIGITAL DCE Installation and Configuration Guide』を参照してください。

    OpenVMS外部認証の詳細については,第4.8節を参照してください。

  10. Advanced Server for OpenVMSを構成します。Advanced Server for OpenVMS の構成を終了するには, 最後にリブートする必要があります。システム構成に応じて,0 〜n回リブートする必要があります。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  11. Advanced Server for OpenVMSを起動します( リブート時にスタートアップするための設定)。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  12. 次のコマンドを使用して,ACMEサーバを起動します。
           $ @SYS$STARTUP:NTA$STARTUP_NT_ACME
    

  13. 次のコマンドを使用して,RPCを起動します。
           $ @SYS$STARTUP:DCE$RPC_STARTUP.COM
    

  14. COM for OpenVMSを構成します。 この手順については,第4.11 節第5.2節を参照してください。

  15. SYLOGICALS.COM ファイルを編集し,次の行を追加します。
           $ DEFINE DCOM$TO_BE_STARTED TRUE
    

  16. COM for OpenVMSを起動します。 この手順については,第4.12節を参照してください。

4.5 OpenVMSスタンドアロン・システムでのCOM Version 1.0 for OpenVMS からのアップグレード


注意
アップグレードを開始する前に,Advanced Server for OpenVMS ,OpenVMS Registry,その他のレイヤード製品の自動スタートアップを無効にして,COM for OpenVMSとその関連コンポーネントがアップグレードされるまで,これらの製品が起動されないようにしてください。

次の操作を行います。

COM for OpenVMSが実行中の場合は,最初にCOM for OpenVMS をシャットダウンし,次にAdvanced Server for OpenVMS をシャットダウンし(実行されている場合),最後にOpenVMS Registryをシャットダウンします。


次の操作を行います。

  1. OpenVMS Version 7.2-1にアップグレードします。 この手順については,『OpenVMS Alpha Version 7.x Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

  2. TCP/IPをアップグレードする場合は,ここでアップグレードしてください。 この手順については,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IP サプライヤのマニュアルを参照してください。

  3. アップグレードしたシステムをシステム・ディスクからブートします。

  4. COM for OpenVMSをアップグレードします。 この手順については,第4.10 節を参照してください。

  5. Advanced Server for OpenVMSをインストールまたはアップグレードします。 システム構成に応じて,0 〜n回リブートする必要があります。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  6. リブート時に起動するようにTCP/IPを有効に設定した場合を除き,TCP/IP を起動します。この手順については,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IP サプライヤのマニュアルを参照してください。

  7. リブート時に起動するようにOpenVMS Registryを有効に設定した場合を除き,OpenVMS Registryを起動します。 この手順については, 第8.2節を参照してください。

  8. DCEを実行する場合は,ここでDCEを起動します。


    注意
    DCEを使用しなくてもCOM for OpenVMSを実行することはできますが, 環境でDCEを使用する場合は,ここで起動してください。

    この手順については,『DIGITAL DCE Installation and Configuration Guide』を参照してください。

    OpenVMS外部認証の詳細については,第4.8節を参照してください。

  9. Advanced Server for OpenVMSを構成します。Advanced Server for OpenVMS の構成を終了するには, リブートしなければなりません。システム構成に応じて0 〜n回リブートする必要があります。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  10. Advanced Server for OpenVMSを起動します( リブート時にスタートアップするための設定)。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  11. 次のコマンドを使用して,ACMEサーバを起動します。
           $ @SYS$STARTUP:NTA$STARTUP_NT_ACME
    

  12. 次のコマンドを使用して,RPCを起動します。
           $ @SYS$STARTUP:DCE$RPC_STARTUP.COM
    

  13. COM Version 1.0 for OpenVMSからCOM Version 1.1 for OpenVMS へのアップグレードの詳細については, 付録 D を参照してください。

  14. COM for OpenVMSを構成します。 この手順については,第4.11 節第5.2節を参照してください。

  15. SYLOGICALS.COM ファイルに次の行を追加します。
           $ DEFINE DCOM$TO_BE_STARTED TRUE
    

  16. COM for OpenVMSを起動します。 この手順については,第4.12節を参照してください。

4.6 OpenVMS ClusterでのCOM for OpenVMSのインストール


注意
ここで説明するクラスタ・ インストール手順では,1つのシステム・ディスクにCOM for OpenVMSをインストールするものと想定しています。

次の操作を行います。

  1. 必要に応じて,すべてのシステム・ディスクにOpenVMS Version 7.2-1 をインストールします。 この手順については,『OpenVMS Alpha Version 7.x Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

  2. TCP/IPをインストールします。この手順については, 『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IPサプライヤのマニュアルを参照してください。

  3. インストールしたシステムをシステム・ディスクからブートします。

  4. COM Version 1.1 for OpenVMSをインストールします。 この手順については,第4.10節を参照してください。

  5. クラスタ内のこのノードにAdvanced Server for OpenVMSをインストールします。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。


    注意
    クラスタ内の少なくとも1つのAlpha ノードにAdvanced Server for OpenVMSをインストールしなければなりません。 他のノードにはAdvanced Server for OpenVMSをインストールするか, または「External Authentication images (only)」 を選択することができます。

  6. TCP/IPを構成し(各ノードでリブート時にスタートアップするための設定) ,TCP/IPを起動します。この手順については, 『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IPサプライヤのマニュアルを参照してください。

  7. OpenVMS Registryを構成します。

  8. DCEを構成します。


    注意
    DCEを使用しなくてもCOM for OpenVMSを実行することはできますが, 環境でDCEを使用する場合は,ここで起動してください。

    この手順については,『DIGITAL DCE Installation and Configuration Guide』を参照してください。

  9. DCEを実行する場合は,ここで起動します。DCEを実行する各ノードでDCE を構成しなければなりません。

    OpenVMS外部認証の詳細については,第4.8節を参照してください。

  10. Advanced Server for OpenVMSを構成し, 起動します。この手順については,『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

    このノードでAdvanced Server for OpenVMSを実行している場合は,リブート時に起動するようにAdvanced Server for OpenVMS を設定します(必要に応じてSYS$STARTUP ファイルを編集します)。システム構成に応じて,0 〜n回リブートする必要があります。

    このノードでAdvanced Server for OpenVMSを実行していない場合は, SYLOGICALS.COM ファイルを編集し,PWRK$ACME_ SERVER 論理名を定義します。この手順については,『日本語Advanced Server for OpenVMS インストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。 PWRK$ACME_SERVER 論理名の詳細については, 表 12-2を参照してください。

  11. ACMEサーバを起動します。次のコマンドを使用します。
           $ @SYS$STARTUP:NTA$STARTUP_NT_ACME
    

  12. RPCを起動します。次のコマンドを使用します。
           $ @SYS$STARTUP:DCE$RPC_STARTUP.COM
    

  13. COM for OpenVMSを構成します。 この手順については,第4.11 節第5.2節を参照してください。

  14. SYLOGICALS.COM ファイルに次の行を追加します。
           $ DEFINE DCOM$TO_BE_STARTED TRUE
    

  15. COM for OpenVMSを起動します。 この手順については,第4.12節を参照してください。

4.7 OpenVMS ClusterでのCOM for OpenVMSのアップグレード


注意
ここで説明するクラスタ・ アップグレード手順では,1つのシステム・ディスクにCOM for OpenVMSをインストールするものと想定しています。


注意
アップグレードを開始する前に,Advanced Server for OpenVMS とレイヤード製品の自動スタートアップを無効にして,COM for OpenVMSとその関連コンポーネントがアップグレードされるまで, これらの製品が起動されないようにしてください。

次の操作を行います。

COM for OpenVMSが実行中の場合は,クラスタ内のすべてのノードで最初にCOM for OpenVMSをシャットダウンし,次にAdvanced Server for OpenVMSをシャットダウンし(実行されている場合),最後にOpenVMS Registry をシャットダウンします。


次の操作を行います。

  1. 必要なすべてのシステム・ディスクでOpenVMS Version 7.2-1にアップグレードします。 この手順については, 『OpenVMS Alpha Version 7.x Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

  2. TCP/IPをアップグレードします。この手順については, 『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration 』マニュアルまたはTCP/IPサプライヤのマニュアルを参照してください。

  3. アップグレードしたシステムをシステム・ディスクからブートします。

  4. COM Version 1.1 for OpenVMSにアップグレードします。この手順については,第4.10節を参照してください。

  5. クラスタ内のこのノードでAdvanced Server for OpenVMSをアップグレードします。この手順については, 『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。


    注意
    クラスタ内の少なくとも1つのAlpha ノードにAdvanced Server for OpenVMSをインストールしなければなりません。 他のノードでは,Advanced Server for OpenVMSをインストールするか, または 「External Authentication images (only)」を選択できます。

  6. TCP/IPを構成します(各ノードでリブート時にスタートアップするための設定) 。この手順については,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS: Installation and Configuration』マニュアルまたはTCP/IP サプライヤのマニュアルを参照してください。

  7. 次の手順でOpenVMS Registryを構成します。

  8. Advanced Server for OpenVMSを構成し, 起動します。この手順については,『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

    このノードでAdvanced Server for OpenVMSを実行する場合は,リブート時に起動するようにAdvanced Server for OpenVMS を設定します( 必要に応じてSYS$STARTUPファイルを編集します)。システム構成に応じて,0 〜n回リブートする必要があります。

    このノードでAdvanced Server for OpenVMSを実行していない場合は,SYLOGICALS.COM ファイルを編集して,PWRK$ACME_SERVER 論理名を定義します。 この手順については,『日本語Advanced Server for OpenVMSインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。 PWRK$ACME_SERVER 論理名の詳細については,表 12-2 を参照してください。

  9. ACMEサーバを起動します。次のコマンドを使用します。
           $ @SYS$STARTUP:NTA$STARTUP_NT_ACME
    

  10. RPCを起動します。次のコマンドを使用します。
           $ @SYS$STARTUP:DCE$RPC_STARTUP.COM
    

  11. COM Version 1.0 for OpenVMSからCOM Version 1.1 for OpenVMS へのアップグレードの詳細については, 付録 D を参照してください。

  12. COM for OpenVMSを構成します。 この手順については,第4.11 節第5.2節を参照してください。

  13. SYLOGICALS.COM ファイルに次の行を追加します。
           $ DEFINE DCOM$TO_BE_STARTED TRUE
    

  14. 特定のノードでCOM for OpenVMSを起動します。この手順については,第4.12節を参照してください。

4.8 OpenVMSの外部認証

COM for OpenVMSでは,COMオブジェクトへのアクセスを制御するために,NTLM セキュリティ資格情報を使用します。OpenVMS ユーザはNTA$LOGONユーティリティを使用して,Advanced Server for OpenVMS (PATHWORKS) 機能で定義されているWindows NT ユーザを認証し,必要な資格情報を取得できます。 このユーティリティは,ACM (Authentication and Credential Management)オーソリティに対するユーザ・インタフェースです。

OpenVMSでの認証では,Windows NTのユーザ名をSYSUAF.DAT ファイルでローカルのOpenVMSアカウントにマップする必要があります。 デフォルトでは,外部(NTLM)認証を行うには,Windows NTユーザ名にマップされるOpenVMSアカウントに対して,EXTAUTH フラグをセットする必要があります。EXTAUTHフラグをセットしないと,OpenVMS は必要なマップを実行できません。フラグがセットされていない場合は, 認証は失敗します。

たとえば,Advanced Server for OpenVMS (PATHWORKS)ユーザ・データベースでWindows NTユーザ名SMITH が定義されていて,ホスト・ マップ・データベースでWindows NTユーザ名 SMITH と,JSMITH というOpenVMS アカウントの間の対応関係が定義されている場合,OpenVMSシステムの JSMITH のSYSUAF.DATレコードで,EXTAUTHフラグが有効に設定されていなければなりません。EXTAUTH フラグが有効に設定されていない場合や,Windows NT ユーザ名のホスト・ マップ・エントリが削除されている場合は,外部認証は失敗します。

SECURITY_POLICY sysgenパラメータでIGNORE_EXTAUTHフラグ(ビット11 ,%X0800)をセットしておけば,外部認証のために使用するすべてのOpenVMS アカウントでEXTAUTHフラグを有効にする必要がなくなります。IGNORE_EXTAUTH フラグを有効にすると,OpenVMSユーザは, EXTAUTHフラグが有効になっていないOpenVMSアカウントにWindows NTユーザ名がマップされる場合でも,NTA$LOGON ユーティリティを使用して資格情報を取得できます。

4.8.1 外部認証でのLOGINOUT.EXEの使用

EXTAUTHフラグはまた,ログオン・プロセス(つまりローカル・ログイン, ダイアルアップ・ログイン,リモート・ログイン,会話型ログイン,ネットワーク・ ログイン)でOpenVMSユーザを認証するために,外部認証を使用するようにLOGINOUT.EXE に要求します。EXTAUTHフラグを有効にすると, LOGINOUT.EXEはSYSUAF.DATレコードのパスワードではなく,外部認証を使用してOpenVMS ユーザ名とパスワードを確認します。

LOGINOUT外部認証では,必ずSYSUAFアカウント・レコードでEXTAUTHフラグを有効にしておく必要があります。NTA$LOGON や認証済みRPCと異なり, IGNORE_EXTAUTHフラグを使用しても,この必要条件を無効にすることはできません。

4.8.2 DCE統合ログインの制限

あるサイトの同じシステムで,外部認証と以前のLGIコールアウト機能の両方を使用することはできません。LGI コールアウト・イメージがインストールされている場合は, ログイン用の外部認証は無効になります。DCE 統合ログインではLGIコールアウト・メカニズムを使用するため,OpenVMS では,DCE統合ログインが有効に設定されている場合,Windows NTベースの外部認証を使用してログインを行うことはできません。

4.9 COM for OpenVMS環境とは

COM for OpenVMSは相互に関係する多くのサーバ( プロセス)とオペレーティング・システム・イメージに依存します。 ほとんどの場合,システムを再起動すると,サーバは自動的に起動します( 自動的な起動を行うには,各コンポーネントをインストールし,構成しておくことが必要で, SYLOGICALS.COM ファイルも必要に応じて変更しなければなりません) 。サーバの起動と構成の詳細については, 第4.3節を参照してください。

図 4-1は,プロセスとオペレーティング・ システム・レイヤの関係と依存関係を示しています。

図 4-1 プロセスとレイヤの関係

表 4-1は,プロセス名と, それに対応するサーバの関係を示しています。

表 4-1 プロセス名とサーバ名の関係

プロセス名 サーバ名 参照箇所
DCOM$RPCSS COM for OpenVMS Service Control Manager (SCM) 第4.9.1項
REGISTRY_SERVER OpenVMS Registryサーバ 第4.9.2項
PWRKxxx Advanced Server for OpenVMSサーバ(複数のプロセス) 第4.9.3項
ACME_SERVER ACMEサーバ 第4.9.4項
DCE$RPCD RPCエンドポイント・マッパ 第4.9.5項

この節では,サーバとレイヤについて説明します。

4.9.1 COM for OpenVMS Service Control Manager (SCM)

COM for OpenVMS Service Control Manager はCOM for OpenVMSを有効にします。

プロセス名: DCOM$RPCSS

必須コンポーネント: OpenVMS Registry,OpenVMS (RPCおよびSSPI/NTLMレイヤ)

このプロセスを必要とするコンポーネント: COMアプリケーション

構成: DCOM$SETUP。第5.2節を参照。

起動: DCOM$SETUPのオプション4。第5.2節を参照。

シャットダウン・プロシージャ: DCOM$SETUPのオプション5。第5.2節を参照。

4.9.2 OpenVMS Registryサーバ

OpenVMS RegistryサーバはOpenVMS Registryデータベースを管理します。

プロセス名: REGISTRY_SERVER

必須コンポーネント:なし

このプロセスを必要とするコンポーネント: COM for OpenVMS,Advanced Server for OpenVMS

構成: REG$CONFIG。第8.2 節を参照。

起動: REG$STARTUP。第8.3.1 項を参照。

シャットダウン・プロシージャ: SET SERVER REGISTRY_SERVER /EXIT。詳細については,第8.4節を参照。

4.9.3 Advanced Server for OpenVMSサーバ

Advanced Server for OpenVMSサーバはWindows NTとOpenVMSの間の接続機能を提供します。

プロセス名:


NETBIOS
PWRK$ADMIN_0
PWRK$KNBDAEMON
PWRK$LICENSE_R
PWRK$LMBROWSER
PWRK$LMDMN
PWRK$LMMCP
PWRK$LMSRV
PWRK$MASTER
PWRK$MONITOR
PWRK$NBDAEMON

ACMEサーバを使用するには,PWRK$LMSRVプロセスが必要です。

必須コンポーネント: OpenVMS Registry

このプロセスを必要とするコンポーネント: ACMEサーバ

構成: PWRK$CONFIG

起動: PWRK$STARTUP

シャットダウン・プロシージャ: PWRK$SHUTDOWN

詳細については,『DIGITAL PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server) Server Migration Guide』を参照してください。

4.9.4 ACMEサーバ

ACMEサーバは資格情報の付与を制御します。

プロセス名: ACME_SERVER

必須コンポーネント: Advanced Server for OpenVMS

このプロセスを必要とするコンポーネント: OpenVMS (RPCおよびSSPI/NTLM レイヤ)とOpenVMS Events

起動:

シャットダウン・プロシージャ:

     $ SET SERVER ACME {/EXIT | /ABORT}

詳細については,第12.3.3項を参照してください。

4.9.5 RPCエンドポイント・マッパ

RPCエンドポイント・マッパは認証とセキュリティを制御します。

プロセス名: DCE$RPCD

必須コンポーネント: RPCイメージ

このプロセスを必要とするコンポーネント: COM for OpenVMS Service Control Manager ,RPCイメージ

起動: OpenVMS

シャットダウン・プロシージャ:次のコマンド・プロシージャを使用します。

       $ @SYS$STARTUP:DCE$RPC_SHUTDOWN.COM

詳細については,『DIGITAL DCE for OpenVMS VAX and OpenVMS Alpha』マニュアルを参照してください。

4.9.6 RPCおよびSSPI/NTLMレイヤ

RPCおよびSSPI/NTLMレイヤは,OpenVMSでリモート・プロシージャ・コールとWindows NT スタイルの認証機能を提供します。

プロセス名:なし(OpenVMSオペレーティング・システムの一部)

必須コンポーネント: OpenVMS,ACMEサーバ

このプロセスを必要とするコンポーネント: COM for OpenVMS

起動: OpenVMS

シャットダウン・プロシージャ:なし

4.9.7 OpenVMS Events

EventsレイヤはOpenVMSでWindows NTスタイルのイベント・ ログ機能を提供します。

プロセス名:なし(OpenVMSオペレーティング・システムの一部)

必須コンポーネント: ACMEサーバ

このプロセスを必要とするコンポーネント: COM for OpenVMS

起動: OpenVMS

シャットダウン・プロシージャ:なし

詳細については,第11章を参照してください。

4.10 COM for OpenVMSのインストール

COM for OpenVMSインストール・キットには,POLYCENTER Software Installation ファイルが格納されています。 キット名はDEC-AXPVMS-DCOM-V0101-1.PCSI です。COM for OpenVMS ファイルをOpenVMS Alphaバージョン7.2-1 システムにインストールしなければなりません。キットをインストールする前に, 第4.2節を参照して,インストールの要件を確認してください。

COM for OpenVMSをインストールするには, 次のコマンドを使用してPOLYCENTER Software Installationユーティリティを呼び出します。

     $ PRODUCT INSTALL /SOURCE=device:[user] DCOM

device:[user]に対して,キットのデバイス名とディレクトリの場所をそれぞれ指定します。


MIDLコンパイラ・ライセンス

COM for OpenVMS MIDL コンパイラにはライセンスが必要です。DCOM-MIDL PAK はCOM for OpenVMSキットと別個に提供されます。

例 4-1はインストールの例を示しています。

例 4-1 COM for OpenVMSのインストールの例

$ product install dcom/source=disk:[directory]

The following product has been selected:
    DEC AXPVMS DCOM V1.1                   Layered Product [Installed]

Do you want to continue? [YES]

Configuration phase starting ...

You will be asked to choose options, if any, for each selected product and
for
any products that may be installed to satisfy software dependency
requirements.

DEC AXPVMS DCOM V1.1

    Copyright  Compaq Computer Corporation 1999. All rights reserved.

Do you want the defaults for all options? [YES]

    The following software is required to run COM for OpenVMS

      - OpenVMS Alpha V7.2-1 or later
        - Includes DCE RPC and OpenVMS Registry
      - TCP/IP Services for OpenVMS V5.0 or later (or equivalent product)
      - Advanced Server for OpenVMS V7.2A or later
      - In order to use the DCOM MIDL compiler you must install
        the DCOM-MIDL License PAK

    Do you want to continue? [YES]

Do you want to review the options? [NO]

Execution phase starting ...

The following product will be installed to destination:
    DEC AXPVMS DCOM V1.1                   DISK$AXP_72PLUS:[VMS$COMMON.]

Portion done:
0%...10%...20%...30%...40%...50%...60%...70%...80%...90%...100%

The following product has been installed:
    DEC AXPVMS DCOM V1.1                   Layered Product
$

4.11 COM for OpenVMSのインストールの後処理

COM for OpenVMSキットをインストールした後, 次の操作を行います。

  1. OpenVMS Registryが実行されていることを確認します( 第8章を参照してください) 。

  2. Advanced Server for OpenVMSが実行されていることを確認します( Advanced Server for OpenVMSプロセス名については,第4.9.3項を参照してください)。

  3. ACMEサーバが実行されていることを確認します(このプロセスの名前については, 第4.9.4項を参照してください) 。

  4. RPCデーモンが実行されていることを確認します(プロセスの名前については, 第4.9.5項を参照してください) 。

  5. DCOM$SETUP ユーティリティのオプション3を使用して,COM for OpenVMS の必要なキーと値をOpenVMS Registry に登録します( 第5.2節を参照してください)。 この操作はOpenVMS クラスタで1回だけ実行しなければなりません。

  6. DCOM$SETUP ユーティリティのオプション8 を使用して,DCOM$RPCSSアカウントを構成します( 第5.2.1項を参照してください) 。この操作はOpenVMSクラスタで1回だけ実行しなければなりません。

  7. DCOM$SETUP ユーティリティのオプション4を使用して,COM for OpenVMS を起動します( 第5.2節を参照してください)。 この操作はOpenVMS クラスタの各ノードで実行しなければなりません。

  8. システムをリブートするときにCOM for OpenVMSを自動起動するには,SYLOGICALS.COM ファイルでDEFINE DCOM$TO_BE_STARTED という行を変更します( 第4.12.1項を参照してください) 。この操作はOpenVMSクラスタの各ノードで実行しなければなりません。

4.12 COM for OpenVMSの起動(COM for OpenVMS Service Control Manager)

COM for OpenVMSを起動するには,次のコマンドを使用します。

       $ @SYS$STARTUP:DCOM$STARTUP

また,DCOM$SETUP を実行し,オプション4を選択することもできます( 第5.2節を参照してください) 。

COM for OpenVMS Service Control Manager は,初期化中,実行中,起動されていない状態のいずれかになります。COM for OpenVMS Service Control Manager の状態に応じて, 次のいずれかのメッセージが表示されます。

4.12.1 リブート後のCOM for OpenVMSの自動起動

COM for OpenVMSの起動を制御するには, SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM コマンド・ファイルを変更してください。

OpenVMSには変更されたSYLOGICALS.TEMPLATE ファイルが含まれていて, このファイルにはCOM for OpenVMSと関連コンポーネント用の新しいスタートアップ・コマンドが登録されています。 このテンプレート・ファイルの"Coordinated Startup"セクションを確認し,既存のスタートアップ・ファイルに適切な情報を追加してください。

システムのブート時にCOM for OpenVMSが自動起動するように設定するには, 次の行をSYLOGICALS.COM ファイルにコピーし,この行のコメントの設定を解除し, TRUE に設定されているかどうか確認します。

     $ DEFINE DCOM$TO_BE_STARTED TRUE

システムのブート時に自動起動するようにCOM for OpenVMSを設定していない場合は,「DCOM$SETUP OpenVMS COM Tools」メニューのオプション4を使用して,COM for OpenVMSを起動できます(第5.2 節を参照)。

4.13 COM for OpenVMS (COM for OpenVMS Service Control Managerのシャットダウン)

COM for OpenVMSをシャットダウンするには, 次のコマンドを使用します。

       $ @SYS$STARTUP:DCOM$SHUTDOWN

また,DCOM$SETUP を実行し,オプション5を選択することもできます( 第5.2節を参照してください) 。

COM for OpenVMS Service Control Manager は停止,実行中,初期化中のいずれかの状態になります。COM for OpenVMS Service Control Manager の状態に応じて, 次のいずれかのメッセージが表示されます。

4.13.1 DCOM$SHUTDOWNの確認要求を行わない設定

NOCONFIRMパラメータを指定すると,DCOM$SHUTDOWNコマンドの確認要求が表示されないようにすることができます。 次のコマンドを使用します。

        $ @SYS$STARTUP:DCOM$SHUTDOWN NOCONFIRM

次のシャットダウン・メッセージが表示されますが,シャットダウンを続行するかどうかの確認は行われません。

             ***  DCOM system shutdown procedure  ***

        Terminating DCOM Service Control Manager daemon (DCOM$RPCSS) . . .

             ***  DCOM shutdown successful  ***

          ***  DCOM Shutdown Procedure Complete  ***


[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ 索引 ] [ DOC Home ]