Compaq OpenVMS

Compaq OpenVMS

V7.3 新機能説明書

AA-QGL7E-TE


2001 年 7 月

本書では,OpenVMS Alpha および OpenVMS VAX バージョン 7.3 オペレーティング・システムの新機能について説明し,本ソフトウェアをサポートするドキュメントの概要も示します。

改訂/更新情報: 本書は新規マニュアルです。
ソフトウェア・バージョン: OpenVMS Alpha V7.3

OpenVMS VAX V7.3



コンパックコンピュータ株式会社


© 2001 Compaq Computer Corporation

本書の著作権はコンパックコンピュータ株式会社が保有しており,本書中の解説および図,表はコンパックの文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。

また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,コンパックは一切その責任を負いかねます。

本書で解説するソフトウェア(対象ソフトウェア)は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。

コンパックは,コンパックまたはコンパックの指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。

Compaq,AlphaServer,POLYCENTER,VAX,VMS,および Compaq ロゴは米国 Compaq 社の登録商標です。

OpenVMS および Tru64 は米国 Compaq Information Technologies Group, L.P. の商標です。

UNIX および X/Open は米国およびその他の国の The Open Group の商標です。

その他のすべての商標および登録商標は,それぞれの所有者が保有しています。

原典:OpenVMS Version 7.3 New Features and Documentation Overview
© 2001 Compaq Computer Corporation

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まえがき

本書の対象読者

本書は,Compaq OpenVMS オペレーティング・システムを使用する一般ユーザ,システム管理者,プログラマを対象にしています。

本書では,OpenVMS Alpha および OpenVMS VAX オペレーティング・システム V7.3 の新機能について説明します。バージョン 7.3 のインストールやアップグレードを行う場合や,実際にご使用になる場合は,新機能がシステムにどのような影響を与えるかについて,あらかじめリリース・ノートを参照してください。

本書の構成

本書の構成は次のとおりです。

関連ドキュメント

OpenVMS の製品とサービスの詳細については,次の World Wide Web アドレスをご覧ください。


http://www.openvms.compaq.com/ 

本書で使用する表記法

本書では,次の表記法を使用しています。

表記法 意味
Ctrl/x Ctrl/x という表記は, Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
PF1 x PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
[Return] 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。

HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。

... 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。

  • 文中のオプションの引数が省略されている。

  • 前出の 1 つまたは複数の項目を繰り返すことができる。

  • パラメータや値などの情報をさらに入力できる。

.
.
.
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。
( ) コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。
[ ] コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか1つを選択しても,あるいは1つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。
[|] コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。
{ } コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか 1 つのオプションを指定しなければなりません。
太字 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。
italic text イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ (たとえば内部エラー number),コマンド・ライン(たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ(たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。
UPPERCASE TEXT 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。
Monospace type モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。

C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。

- コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。
数字 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて10 進数です。 10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。


第 1 部
OpenVMS バージョン 7.3 の新機能


第 1 章
OpenVMS バージョン 7.3 の新機能の概要

Compaq OpenVMS バージョン 7.3 では,e-Business にとって必要な最高レベルの可用性,拡張性,柔軟性,パフォーマンス,セキュリティが提供されます。 OpenVMS には,20 年以上にわたって高い信頼性を提供してきた実績があり,さらに新しいテクノロジを基本オペレーティング・システムおよび OpenVMS Cluster ソフトウェア環境に統合することで,可用性とパフォーマンスが向上しています。 e-Business アプリケーションをサポートするのに必要な,基本的なインフラストラクャ・テクノロジが OpenVMS ライセンスに統合されたため, OpenVMS は e-Business およびインターネットに対応できるオペレーティング・システムになっています。

OpenVMS バージョン 7.3 では,次の新機能が提供されます。

OpenVMS バージョン 7.3 には,OpenVMS バージョン 7.2, OpenVMS バージョン 7.2-1,OpenVMS バージョン 7.2-1H1 ハードウェア・リリースのすべての機能が含まれています。

表 1-1 では,OpenVMS Alpha および OpenVMS VAX バージョン 7.3 で提供される各機能の概要を機能別 (e-Business,一般ユーザ,システム管理,プログラミング,関連製品) に示しています。

OpenVMS Alpha プラットフォームでのみ提供される新機能には,この表および各セクションのタイトルに "Alpha" という表記が追加されています。これらの機能を OpenVMS VAX システムで使用することはできません。しかし,OpenVMS Alpha の一部の機能は複合アーキテクチャ・クラスタで使用できます。

表 1-1 OpenVMS VAX および OpenVMS Alphaバージョン 7.3 ソフトウェアの機能の概要
Compaq OpenVMS e-Business Infrastructure Package for OpenVMS Alpha バージョン 7.3
Compaq OpenVMS e-Business この章では,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 で提供される Compaq OpenVMS e-Business Infrastructure Package に含まれている次の e-Business テクノロジについて説明します。

  • Compaq Secure Web Server for OpenVMS Alpha (Apache ベース)

  • Compaq COM for OpenVMS

  • Compaq Java 2 SDK,Standard Edition

  • Compaq Fast Virtual Machine (Fast VM) for the Java 2 Platform on OpenVMS Alpha

  • Compaq XML Technology

  • Attunity Connect "On Platform" Package

  • Compaq Enterprise Directory Services for e-Business

  • Reliable Transaction Router (RTR)

  • Compaq Bridgeworks

Compaq OpenVMS e-Business Infrastructure Package では,基本の OpenVMS Alpha オペレーティング・システムを強化するテクノロジとして,インターネットおよび e-Business ソフトウェア・テクノロジが提供されます。これらのテクノロジのライセンスは OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのライセンスに含まれています。

一般ユーザ機能
DCL コマンド バージョン 7.3 では,複数の DCL コマンドが更新されました。
ユーティリティ・ルーチンのオンライン・ヘルプ バージョン 7.3 では,『OpenVMS Utility Routines Manual』に記載されているすべての OpenVMS ユーティリティ・ルーチンの説明がオンライン・ヘルプでも提供されるようになりました。
MIME ユーティリティ MIME ユーティリティに新しいコマンドと修飾子が追加されました。
OpenVMS Alpha ファームウェア OpenVMS バージョン 7.3 の CD-ROM パッケージには, Alpha Systems Firmware Update バージョン 5.9 の CD-ROM と『Release Notes』が含まれています。ファームウェアをインストールする場合は,前もって『Release Notes』を参照する必要があります。
World-Wide PostScript Printing Subsystem (Alpha) WWPPS は新しいユーティリティであり,常駐言語フォントのない汎用 PostScript プリンタで,多くの言語のテキスト・ファイルの印刷を可能にします。
システム管理機能
新しい AlphaServer GS シリーズ・システムに対する OpenVMS のサポート OpenVMS バージョン 7.3 では,Compaq の AlphaServer GS80, GS160,GS320 システムのサポートが提供される。このサポートには次のものが含まれています。

  • AlphaServer GS160 および GS320 システムのハード・パーティションとソフト・パーティション (Galaxy) に対する OpenVMS のサポート

  • アプリケーションに対する OpenVMS Resource Affinity Domain (RAD) のサポート

  • CPU Online Replace 機能

夏時間への自動切り換え システム・パラメータを設定することで,OpenVMS はシステム時刻を自動的に夏時間に切り換えたり,夏時間から標準時間に戻すことができるようになりました。
CPU Online Replace 機能 (AlphaServer GS160/320 システム) OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では,CPU Online Replace 機能がサポートされます。CPU Online Replace 機能を利用すると,実行中のシステムで再ブートせずにセカンダリ CPU を交換できます。このため,システムのメンテナンス機能とサービス機能が向上します。
CPU スケジューリングのためのクラス・スケジューラ 新しいクラス・スケジューラは VAX システムと Alpha システムの両方で使用でき,ユーザをスケジューリング・クラスに配置することで,システムのユーザが使用できる CPU 時間数を指定できます。
専用 CPU Lock Manager (Alpha) Compaq for OpenVMS バージョン 7.3 では,専用の CPU ロック・マネージャが提供されます。この機能を利用すると, SMP システムとアプリケーションのパフォーマンスを向上できます。
OpenVMS Enterprise Directory for e-Business OpenVMS Enterprise Directory for e-Business は拡張性の高いディレクトリ・サービスであり, OpenVMS Alpha で X.500 サービスと LDAPv3 サービスの両方を提供します。個別のライセンス料金は不要です。
Extended File Cache (XFC) (Alpha) XFC は I/O のパフォーマンスを向上し,使用するキャッシュやキャッシュ・パラメータを制御できます。Extended File Cache は I/O のパフォーマンスを向上し,仮想 I/O キャッシュでは提供されない次の機能を備えています。

  • 先読みキャッシュ

  • キャッシュ・サイズの自動変更

  • 最大キャッシュ・サイズの増大

  • クローズされているファイルを無制限にキャッシュ可能 (ファイル数は制限されない)

  • キャッシュできる I/O の最大サイズを制御可能

  • キャッシュ・メモリが静的か,動的かを制御可能

INSTALL ユーティリティに /ARB_SUPPORT 修飾子が追加 INSTALL ユーティリティの ADD コマンド,CREATE コマンド, REPLACE コマンドで /ARB_SUPPORT 修飾子を使用できるようになりました。/ARB_SUPPORT 修飾子は,スレッドごとのセキュリティ Persona Security Block (PSB) データ構造でまだ更新されていない製品に対して, Access Rights Block (ARB) のサポートを提供します。
MONITOR ユーティリティの機能拡張 OpenVMS でのシステム情報の表示機能を強化するために, MONITOR コマンドに 2 つの新しいパラメータが追加されました。 RLOCK はノードの動的ロック再マスタリング統計情報を監視し, TIMER はノードの Timer Queue Entry (TQE) 統計情報を監視します。
OpenVMS Cluster システム OpenVMS Cluster システムに次の新機能が追加されました。

クラスタ単位の侵入検出機能 クラスタ単位の侵入検出機能は,各システムからクラスタ単位の侵入データベースに侵入データと情報を統合することで有効になる。クラスタ単位のデータベースには,すべての不正な試行と侵入イベントの状態が格納される。
SCSI および Fibre Channel に対する Fast Path のサポート (Alpha) Fast Path は KZPBA (パラレル SCSI) と KGPSA (Fibre Channel) ポートでサポートされるようになった。
OpenVMS Cluster システムでサービスされるフロッピー・ディスク (Alpha) MSCP は OpenVMS Cluster システムでフロッピー・ディスクのサービスをサポートする。ただし,デバイス名がポート割り当て命名規則に従っていなければならない。
Fibre Channel のサポート (Alpha) 従来より大きな I/O パケット,新しい Fibre Channel ハードウェア,従来より大きな構成がサポートされるようになった。
クラスタ・インターコネクトとしての LAN ATM をクラスタ・インターコネクトとして使用すると,パフォーマンス,拡張性,管理機能を向上できる。さらに,新しい管理ユーティリティである SCA Control Program (SCACP) は,特定の特権クラスタ管理機能を実行する。
保証サポートと移行サポート OpenVMS Alpha バージョン 7.3 と OpenVMS VAX バージョン 7.3 では,複合バージョンおよび複合アーキテクチャ OpenVMS Cluster システムで 2 レベルのサポート,つまり保証サポートと移行サポートが提供される。

POLYCENTER Software Installation ユーティリティの修飾子 /FULL 修飾子が PRODUCT LIST コマンドに追加された。この修飾子を使用すると,132 桁形式で出力が作成され,ファイルのサイズやファイルの使用方法に関する注意事項など,製品キットの各ファイルに関する補足情報が表示されます。
対称型マルチプロセシング (SMP: Symmetric Multi-Processing) のパフォーマンスの向上 OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では,SMP の拡張性を向上するためにソフトウェアが変更されています。
SYSMAN コマンドと修飾子 OpenVMS バージョン 7.3 では,複数の新しい SYSMAN コマンドと修飾子が追加されました。
システム・パラメータ OpenVMS バージョン 7.3 では,複数の新しいシステム・パラメータが追加され,一部のパラメータが更新されました。
Volume Shadowing for OpenVMS Volume Shadowing for OpenVMS では,次の 3 つの新機能が追加されました。

  • ミニコピー操作。これはコピー操作を単純化したものである。ミニコピーは,完全なコピー操作で必要な時間を大幅に短縮するので,この機能を使用するシャドウ・セットの可用性を大幅に向上できる。

  • OpenVMS Cluster システムでディザスタ・トレラントをサポートするために,DISMOUNT コマンドと SET コマンドに新しい修飾子が追加された。

  • INITIALIZE コマンドに /SHADOW 修飾子が追加された。

プログラミング機能
3D グラフィックのサポート PowerStorm 300/350 (PBXGD-AD,PBXGD-AE) グラフィック・カードが Alpha ベースのシステムでサポートされるようになりました。OpenGL 3D グラフィック API は基本オペレーティング・システムの一部として提供されるようになりました。
ATM LAN アダプタ (Alpha) Compaq OpenVMS バージョン 7.3 では,2 つの新しい ATM LAN アダプタ, 3X-DAPBA-FA と 3X-DAPCA-FA が提供されます。
Compaq COBOL 実行時ライブラリ COBOL RTL では,次の機能拡張が行われています。

  • 4 桁形式の年をサポートするために,5 つの新しい組み込み関数が追加された。

  • ファイルにリダイレクトされた DISPLAY,および /MATH=CIT3 と MATH=CIT4 を使用してコンパイルされたプログラムのパフォーマンスが向上した (Alpha)。

  • ON SIZE ERROR の処理で Alpha と VAX の互換性が向上した。

Compaq C 実行時ライブラリの機能拡張 OpenVMS バージョン 7.3 の Compaq C 実行時ライブラリでは,次の機能拡張が行われています。

  • strptime 関数が XPG5 準拠になった。

  • ODS-5 デバイスのディレクトリ・レベルのネストの上限が従来の 8 レベルから引き上げられた (Alpha)。

  • ファイル名で大文字と小文字の区別がサポートされるようになった (Alpha)。

  • 大部分の C RTL 関数は,引数として長い OpenVMS 形式のファイル名を受け付けるようになった。

  • 大文字と小文字を区別する argv 引数がサポートされるようになった (Alpha)。

  • ファイルを共用アクセスのために暗黙にオープンできるようになった。

  • UNIX ファイル指定を変換する別の方法が提供されるようになった。

  • 複数の新しい C RTL 関数が追加された。

Fortran での 64 ビット・アドレスのサポート (Alpha) Fortran 開発者が 64 ビット・アドレス空間で静的データを使用できるようにするためのサポートが追加されました。
大きいページ・ファイル・セクション (Alpha) 大きい物理メモリを利用できるように,ページ・ファイル・セクションに関するこれまでの上限が大幅に拡大されました。64 ビット・アドレスを使用するイメージは,システムで使用できる物理メモリ・サイズより大きい動的仮想メモリをマップし,アクセスできるようになりました。
マルチパス・システム・サービス 新しいサービスが追加され,パス情報を返すことができるようになり,任意のデバイスへの特定の I/O パスの有効化,無効化,切り換えを行うことができるようになりました。
マルチプロセス・デバッグ (Alpha) マルチプロセス・プログラムのデバッガのサポートが大幅に向上しました。これまでの問題が修正され,ユーザ・インタフェースが向上しました。
非ページング・エグゼクティブ (Alpha) 以前のリリースでは,OpenVMS Alpha のエグゼクティブ・コードの一部はページングすることができず (メモリに常駐),一部はページング可能でした。 OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では,基本オペレーティング・システム・イメージには,ページング不可コードだけが含まれるようになりました。

この新しいページング不可設計により,システム・サービスのパフォーマンスは 5〜20% 向上し,イメージをリンクするために使用される方法が変更された結果,追加メモリをほとんど使用しなくなりました。

Performance API Performance Application Programming Interface (API) は,ドキュメントに記載されている機能インタフェース ($GETRMI システム・サービス) を提供します。このため,パフォーマンス・ソフトウェア・エンジニアはあらかじめ定義されているパフォーマンス・データ項目の一覧にアクセスできます。
POLYCENTER Software Installation ユーティリティの機能拡張 POLYCENTER Software Installation ユーティリティの製品記述言語の機能が拡張され,『POLYCENTER Software Installation Utility Developer's Guide』が更新されました。
プロセス・ダンプ・ツール (Alpha) プロセス・ダンプを分析するための新しいダンプ形式とツールが提供されるようになったため,信頼性の高い,一貫した方法で次の操作を実行できるようになりました。

  • 分析のためにダンプを別のシステムに転送できる。

  • スレッド・プロセスおよび 64 ビット・プロセスを分析できる。

  • 共用リンクを含むイメージを分析できる。

RMS ロックの機能拡張 OpenVMS バージョン 7.3 では,RMS で次の機能が拡張されました。

  • グローバル・バッファ読み込みモード・バケット・ロック (Alpha) 。

    グローバル・バッファへの共用アクセスのためのロックを最低限に抑えることで, OpenVMS Alpha システムで RMS アプリケーションのパフォーマンスが向上している。既存のアプリケーションを変更する必要はない。

  • クエリー・レコード・ロックの無効化 (Alpha) 。

    アプリケーションがレコードを読み込む際に,レコードをロックする必要がないようにすることで,OpenVMS Alpha システムで RMS アプリケーションのパフォーマンスが向上している。ロック・マネージャに対するレコード・ロック呼び出しに関連する処理を回避できる。この機能は,レコード単位の読み込み操作で有効に設定でき,ファイル・レベルで有効にすることもできる。新しい /QUERY_LOCK 修飾子と値が SET RMS_DEFAULT コマンドに追加され,プロセス・レベルでクエリー・レコード・ロックを無効にすることができる。

  • デッドロックの検出を制御するためのレコード・ロック・オプション。

    これらのオプションを使用することで,RMS はデッドロックの検出を直接制御できる。オプションは,($ENQ システム・サービス呼び出しを通じて) 分散ロック・マネージャで使用されていた既存のロック要求フラグに対応する。

OpenVMS Registry OpenVMS Registry には,$REGISTRY サービスが Registry Server からの応答を待つ秒数を指定できる機能が追加されました。
System Dump Analyzer (SDA) コマンド,パラメータ,修飾子 (Alpha) 新たに追加された Alpha SDA コマンド,パラメータ,修飾子は,System Dump Analysis ツールの機能を拡張します。
Spinlock Tracing ユーティリティのための System Dump Analyzer (SDA) コマンド (Alpha) 新しい SDA Spinlock Tracing ユーティリティには,スピンロック・パフォーマンス・データの収集と分析のためのコマンドが含まれています。SDA Spinlock Tracing ユーティリティは OpenVMS Alpha バージョン 7.2-1H1 で導入されました。
システム・サービス バージョン 7.3 では,複数のシステム・サービスが追加され,更新されています。
Alpha および VAX SDA のための TCP/IP ファイル TCP/IP ファイルには,Alpha および VAX の SDA READ コマンドのエグゼクティブ・イメージの内部のグローバル・シンボルとロケーションが格納されています。
Visual Threads バージョン 2.1 (Alpha) Visual Threads 診断ツールは,マルチスレッド・アプリケーションの分析と改善に役立ちます。このツールを使用すると,発生する可能性のあるスレッド関連の問題をデバッグし,ボトルネックやパフォーマンスの問題点を突き止めることができます。

Visual Threads バージョン 2.1 には,アプリケーションの問題が発生する前に検出するのに役立つ機能や拡張機能が含まれています。

関連製品機能
Availability Manager バージョン 1.4 OpenVMS バージョン 7.3 には,Availability Manager バージョン 1.4 が含まれています。OpenVMS バージョン 7.3 のリリース後まもなく,Availability Manager バージョン 2.0 が提供される予定です。このバージョンには,いくつかの新機能と拡張機能が含まれます。
Compaq Advanced Server V7.3 for OpenVMS (Alpha) Compaq Advanced Server V7.3 には,新機能と拡張機能が含まれています。
Compaq BASIC for OpenVMS Alpha の拡張機能 Compaq BASIC では,IEEE 浮動小数点データ型がサポートされるようになりました。
Compaq DECwindows Motif for OpenVMS Compaq DECwindows Motif for OpenVMS バージョン 1.2-6 では,デスクトップ用に広範囲にわたる変更と機能拡張が行われています。
Compaq Distributed Computing Environment (DCE) for OpenVMS Compaq DCE for OpenVMS バージョン 7.3 では,次の機能拡張が行われています。

  • DCE RPC の NT Lan Manager セキュリティが完全に機能するようになった。

  • システム論理名 DCE$IEEE_802_DEVICE を使用して新しいイーサネット・デバイスを定義できるようになった。

DECram バージョン 3.0 (Alpha) DECram バージョン 3.0 では,Galaxy ユーザのために,次のパフォーマンス向上機能が提供されます。

  • Galaxy 共用メモリを使用して,OpenVMS 共用メモリ・ディスクを作成する機能

  • 共用ディスク環境のデータへの高速アクセス

DECram バージョン 3.0 およびサポート・ドキュメントは,OpenVMS バージョン 7.3 の CD-ROM の [.DECRAM_030] ディレクトリに格納されています。

Enterprise Capacity and Performance (ECP) OpenVMS バージョン 7.3 で,パフォーマンス管理ツールである ECP Data Collector for OpenVMS および ECP Performance Analyzer for OpenVMS がオペレーティング・システムに含まれるようになりました。
Kerberos for OpenVMS Kerberos は,秘密鍵暗号を使用することで,クライアント/サーバ・アプリケーションに強力な認証機能を提供できるように設計されたネットワーク認証プロトコルです。
LDAP API (Alpha) LDAP API が OpenVMS に追加されました。この API では,LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) を使用して,X.500,ActiveDirectory,Novell の NDS などのリモート・ディレクトリ・サービスにアクセスできます。クライアントを作成するためのツールや,リモート・ディレクトリへのアクセスのために既存のアプリケーションに LDAP 機能を追加するツールが提供されます。
Compaq PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server) OpenVMS バージョン 7.3 では,Compaq PATHWORKS V6.0D for OpenVMS (Advanced Server) がサポートされます。PATHWORKS for OpenVMS サーバの以前のバージョンはアップグレードする必要があります。
Compaq サービス・ツールと DECevent Compaq Services は新しい Web ベースのサービス・ツール機能であり, Web-Based Enterprise Services (WEBES) とも呼ばれます。WEBES は OpenVMS バージョン 7.3 の CD-ROM パッケージの Compaq System Tools CD-ROM に格納されています (WEBES には Compaq Crash Analysis Tool (CCAT) と Compaq Analyze コンポーネントが含まれています。)

Compaq System Tools CD-ROM には,WEBES の他に,DECevent,DSNLINK,Revision and Configuration Management (RCM) ツールも含まれています。

Compaq TCP/IP Services for OpenVMS バージョン 5.1 Compaq TCP/IP Services には,OpenVMS バージョン 7.3 に対応した新機能と拡張機能が含まれています。


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