Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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3.8.3.1 既存の PCF

第 3.7.4 項 で,製品のインストール前に PCF を作成する方法について説明しています。インストール中にこの既存の PCF を使用するには,PRODUCT INSTALL コマンド行に /CONFIGURATION=INPUT 修飾子を指定します。たとえば,CMS をインストールして, DEC-VAXVMS-CMS.PCSI$CONFIGURATION という名前の PCF に記録されている構成の選択を使用するには,次のように入力します。


$ PRODUCT INSTALL/CONFIGURATION=INPUT=DEC-VAXVMS-CMS.PCSI$CONFIGURATION -
_$ CMS/VERSION=3.4

3.8.3.2 インストール中の新しい PCF の作成

インストール前に PCF を作成していない場合には,インストール中に作成します。次のように,PRODUCT INSTALL コマンド行に /CONFIGURATION=OUTPUT=pcf 名  修飾子を指定します。


$ PRODUCT INSTALL/CONFIGURATION=OUTPUT=CMSV3.DAT CMS/VERSION=3.0

CMS バージョン 3.0 のオプションに関する問い合わせに応答すると,その応答は,現在の省略時ディレクトリで,CMSV3.DAT という名前の PCF に記録されます。

製品構成ファイルについての詳細は, 第 3.7.1 項 および 第 3.7.4 項 を参照してください。

3.8.4 インストールの質問に対する応答

インストール中に,製品のオプションに関する完全な説明や,任意の個々の質問に対する説明を要求することができます。 1 つの質問または質問のサブセット全体に対して,省略時の値を使用することもできます。

3.8.4.1 質問に対する説明の要求

製品の全オプションに関する完全な説明と情報を要求するには, PRODUCT INSTALL コマンドに /HELP 修飾子を指定します。個々の質問についてのヘルプを要求するには,質問に対する応答として Help キーまたは PF2 を押します。POLYCENTER Software Installation ユーティリティは, (ある場合には) 説明を表示し,そのオプションに必要なディスクとメモリ要件の要約を表示します。

次は Help キーを使用した例です。


$ PRODUCT INSTALL UCX
   .
   .
   .
Optional example files may be installed... [YES] [Help]
The example files include client server programming examples.
Block Size -      Total:    507  Optional:      0  Required:    507
Global Pages -    Total:      0  Optional:      0  Required:    0
Global Sections - Total:      0  Optional:      0  Required:    0
Optional example files may be installed... [YES] [Return]
   .
   .
   .

情報量は製品によって異なり,情報が提供されない製品もあります。

3.8.4.2 省略時の応答の受け付け

省略時の応答は,次の 3 つのいずれかから設定されます。

入力 PCF を指定し,それにオプションに対する応答が含まれている場合は,その PCF からの省略時の応答が使用されます。PCF のエントリによっては,省略時の応答を変更できるものとできないものがあります。

入力 PCF がないか,あるいは入力 PCF にオプションに対する応答が含まれて いない場合には,PDB または PDF から省略時の応答が設定されます。PDB が存在し,オプションを含んでいる場合は,その PDB から省略時の応答が設定されます。PDB が存在しない (新しいインストール) か,オプションを含んでいない (新しいオプション) 場合には,PDF から省略時の応答が設定されます。省略時の応答は,PDB からのものでも PDF からのものでも変更できます。

オプションに応答するには,Return キーを押して省略時の応答を使用するか,あるいは自分の応答を入力してから Return キーを押します。

質問またはオプションのサブセットを含む製品もあります。インストレーション・プロシージャで,サブセット全体に対する省略時の値を 使用するか,あるいはサブセットの各オプションに応答するかを選択することができます。

サブオプションのあるオプションを選択すると, POLYCENTER Software Installation ユーティリティは次のように聞いてきます。


Do you want the defaults for all options? [YES]

YES と応答すると,それより下位の項目については聞いてきません。代わりにユーティリティが,その下位項目に対して省略時の値を使用します。 NO と答えると,ユーティリティは下位の各項目について聞いてきます。

3.8.5 応答の確認

製品のオプションに関する質問に応答した後, POLYCENTER Software Installation ユーティリティは応答の要約を表示することができます。次に例を示します。


Do you want to review the options? [YES] [Return]
DEC TCP/IP Services for OpenVMS
    Optional example files may be installed...: NO
    Optional NFS files may be installed...: NO
    Optional applications may be installed...: YES

その後,POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,次プロンプトを表示します。


Are you satisfied with these options? [YES] [Return]

応答が意図したものと異なる場合は No と答えてください。その場合には,応答を入力し直すか,インストール・プロシージャを終了させます。


Do you want to change any options? [YES] NO [Return]
%PCSIUI-I-USERABORT, operation terminated by user

この質問に No と答えると,インストール・プロシージャは終了します。製品はインストールされず,システムは変更されません。

3.8.5.1 DCL ヘルプ・テキストのアップデート

DCL ヘルプ・テキストをアップデートするレイヤード製品をインストールする場合, PRODUCT INSTALL コマンドは,DCL ヘルプ・ライブラリ・ファイル SYS$HELP:HELPLIB.HLB に排他的にアクセスする必要があります。たとえば,インストール作業によってヘルプ・ライブラリのアップデードが行われている最中にユーザが HELP にアクセスした場合,メッセージがいくつか表示されて,いくつかの質問に回答するよう要求されます。そのメッセージと質問は,次の順序で表示されます。

  1. 2 分間の待機時間を置いて PRODUCT INSTALL コマンドがヘルプ・ライブラリへの排他的アクセスに失敗した場合,システムによって次のメッセージが表示される。


    %PCSI-I-PRCOUTPUT, output from subprocess follows ... 
    %LIBRAR-F-OPENIN, error opening disk:[SYS0.SYSCOMMON.] 
       [SYSHLP]HELPLIB.HLB;1 as input 
    -RMS-E-FLK, file currently locked by another user 
     
    %PCSI-E-MODREPLFLK1, error replacing module module-name in 
       library disk:[SYS0.SYSCOMMON.][SYSHLP]HELPLIB.HLB 
    -PCSI-E-MODREPLFLK2, library update failed because it is 
       currently accessed by one or more users 
    -PCSI-E-MODREPLFLK3, after the file is closed, answer YES 
       at the prompt to retry the update
     
    

  2. ライブラリのアップデート操作を再試行するか,インストール作業を終了する。

3.8.6 バッチ・ジョブとしてのインストールの実行

POLYCENTER Software Installation ユーティリティをバッチ・ジョブとして実行するには,コマンド・プロシージャ・ファイルに PRODUCT コマンドを入力してから,そのファイルをバッチ・キューに登録します。コマンド・プロシージャでは,製品のオプションや構成の選択についての質問にPOLYCENTER Software Installation ユーティリティが応答できるよう,/CONFIGURATION 修飾子を使用して既存の PCF を指定します。 /CONFIGURATION を指定しない場合には,省略時の値が使用されます。

例 3-2 は,コマンド・プロシージャを使用して製品をインストールする方法を示しています。この例では VERIFY を設定して元に戻し,インストールの時間を記録します。

例 3-2 製品をインストールするためのコマンド・プロシージャの例

 
$ SAVE_PROC_VERIFY = F$ENVIRONMENT("VERIFY_PROCEDURE") 
$ SAVE_IMAGE_VERIFY = F$ENVIRONMENT("VERIFY_IMAGE") 
$ SET VERIFY 
$ ON ERROR THEN GOTO ERROR_EXIT 
$ START_TIME = F$TIME() 
$ WRITE SYS$OUTPUT "START TIME -- ''START_TIME'" 
$ PRODUCT INSTALL CHESSMASTER - 
    /CONFIGURATION=PRODUCER - 
    /HELP - 
    /LOG 
$ERROR_EXIT: 
$ END_TIME = F$TIME() 
$ TEMP = F$VERIFY(SAVE_PROC_VERIFY,SAVE_IMAGE_VERIFY) 
$ WRITE SYS$OUTPUT "  --------------------------------" 
$ WRITE SYS$OUTPUT "  END TIME -- ''END_TIME'" 
$ WRITE SYS$OUTPUT "  START TIME -- ''START_TIME'" 
$ WRITE SYS$OUTPUT "  --------------------------------" 
$ EXIT 

3.9 インストールしたソフトウェア製品の他の操作の実行

インストールしたソフトウェア製品に対して他の操作を実行できます (たとえば,インストール中に設定した選択の再構成,ボリューム・ラベルの変更の記録,ソフトウェアを新しい場所または異なる媒体にコピーする操作などを実行できます)。また,キットを新しい形式に変換したり,製品情報を表示したり,順次パッケージされている製品キットの内容を表示したり,順次パッケージされているキットからファイルを取り出さなければならないこともあります。

3.9.1 インストールした製品の再構成

インストール時に設定した構成の選択を,製品のインストール後に変更することができます。これを,再構成 と呼びます。新しいオプションを選択すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティが,必要な変更をすべて行います。

インストールされている製品について構成の選択を変更するには, PRODUCT RECONFIGURE コマンドを使用します。製品キットは,ユーザの省略時のディレクトリ上に置かれているか, /SOURCE 修飾子または PCSI$SOURCE 論理名で指定されている必要があります。

3.9.2 製品データベース内のボリューム・ラベルの変更の記録

変更したボリューム・ラベルを製品データベースに記録するには, PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドを入力します。古いボリューム・ラベルと,ボリュームをマウントする装置名を入力するよう求められます。

このコマンドは,古いボリューム・ラベルをすべて,新しいボリューム・ラベルに置き換えます ( POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,ディスクから新しいラベルを読み込みます)。

PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドは,製品データベースの情報だけを変更し,ボリュームのラベルは変更しません。ボリューム名を変更するには,DCL コマンドの SET VOLUME を使用します。その後,PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドで新しい名前を記録します。

PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドで,物理装置名または論理装置名の変更を記録することもできます。

3.9.3 新しい位置へのソフトウェア・キットのコピー

POLYCENTER Software Installation ユーティリティで,ある位置から別の位置に製品のディストリビューション・キットをコピーすることができます。キットをテープからディスクに転送すると, 順次コピー形式から 参照コピー形式に変更することができます。

ある位置から別の位置にソフトウェア・キットをコピーするには, PRODUCT COPY コマンドを使用します。次の例のように,/SOURCE 修飾子で現在の位置を指定し, /DESTINATION 修飾子で新しい位置を指定します。


$ PRODUCT COPY/SOURCE=WORK_DISK:[KITS]/DESTINATION=LOCAL_DISK:[KIT_INSTALL] CMS

3.9.4 ソフトウェア・キットの形式の変換

PRODUCT COPY コマンドに/FORMAT 修飾子を指定すると,ソフトウェア・キットを (ディスクまたは CD-ROM 上の) 参照形式から順編成形式へ,あるいは順編成形式から参照形式に変換することができます。

たとえば,CMS を順編成形式から参照形式に変換するには,次のコマンドを入力します。


$ PRODUCT COPY/FORMAT=REFERENCE/SOURCE=MUA1:/DESTINATION=LOCAL_DISK:[KIT_INSTALL] CMS

3.9.5 製品情報の検索

製品データベース (PDB) に格納されている情報はすべて,SHOW OBJECT, SHOW PRODUCT, SHOW HISTORY の各コマンドを使用してアクセスできます。この項では,これらのコマンドを使用して PDB から情報を検索する方法について説明します。

3.9.5.1 オブジェクトに関する情報の表示

システムにインストールした製品に関連する管理オブジェクト (ファイル,アカウント,ディレクトリなど) についての情報を表示するには,SHOW OBJECT コマンドを使用します。 表 3-8 に,SHOW OBJECT コマンドで解決できる質問を示します。

表 3-8 SHOW OBJECT コマンド: 管理オブジェクト情報の表示
質問 コマンド
この製品が作成したファイルまたはその他のオブジェクトは何か ? PRODUCT SHOW OBJECT * /PRODUCT= 製品名
このファイルまたはその他のオブジェクトを作成したのはどの製品か ? PRODUCT SHOW OBJECT オブジェクト名/FULL

3.9.5.2 製品についての情報の表示

SHOW PRODUCT コマンドと SHOW HISTORY コマンドを使用すると,システムにインストールした製品についての情報が得られます。 表 3-9 に,このようなコマンド解決できる質問をいくつか示します。

表 3-9 SHOW PRODUCT コマンドと SHOW HISTORY コマンド: 製品情報の表示
質問 コマンド
インストールされている製品は何か ? PRODUCT SHOW HISTORY */OPERATION=INSTALL
PRODUCT SHOW PRODUCT *
製品の相互依存: 製品 A は製品 B によって参照されているか ? PRODUCT SHOW PRODUCT A/FULL
PRODUCT SHOW PRODUCT */REFERENCED_BY= B
製品をインストールしたのはどのユーザか ? PRODUCT SHOW HISTORY 製品名/FULL
2000 年 3 月 31 日より前にインストールされたのは,どの製品か ? PRODUCT SHOW HISTORY */BEFORE=31-MAR-2000
製品に適用されるソフトウェア・パッチはあるか ? PRODUCT SHOW PRODUCT 製品名/FULL

3.10 インストールしたソフトウェア製品とキットの削除

POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用して,インストールした製品を削除すると,製品をインストールしたときに作成されたファイルやアカウント,その他のオブジェクトがすべて,システムと製品データベースから削除されます。

インストールした製品を削除するには,次のように, PRODUCT REMOVE コマンドを入力します。


$ PRODUCT REMOVE CMS


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