Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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SHOW DEVICE/FULL コマンドを入力すると,ボリュームが ODS-5 に変換されたことが表示で確認できます。


$ SHOW DEVICE DKA300:/FULL 
 
  Disk $10$DKA300:, device type RX74, is online, allocated, deallocate 
  on dismount, mounted, file-oriented device, shareable. 
 
    Error count                    0    Operations completed 155 
    .
    .
    .
 
  Volume Status:  ODS-5, subject to mount verification, file high-water 
  marking, write-back caching enabled. 

ボリューム・タイプを表示するその他の方法としては,あるコマンドを発行して,次に示すような応答を受け取る方法があります。


$ WRITE SYS$OUTPUT F$GETDVI ("DKA500:","ACPTYPE") 
F11V5 

F11V5 はボリュームが ODS-5 であることを示しています。

障害が起った場合の対処

SET VOLUME/STRUCTURE_LEVEL コマンドが実行中でまだ完了していないときに I/O エラーやシステム・クラッシュが起った場合,ボリュームは部分的にしか更新されていない可能性があります。そのような場合, MOUNT コマンドを入力すると, Mount ユーティリティは次のいずれかのメッセージを表示します。


     Inconsistent file structure level on device ... 
 
     Structure level on device ... is inconsistent with volume set 

いづれかの条件が真である場合, /NOSHARE 修飾子をつけて (または, /NOSHARE修飾子が省略時の設定であるため,修飾子なしで) MOUNT コマンドを実行します。これを実行するとシステムは同じエラー・メッセージを表示しますが,重大度レベルが警告に変化します。

エラー状態から復旧するには,再度 SET VOLUME/STRUCTURE_LEVEL=5 コマンドを入力してから,ディスクをディスマウントして再マウントします。最後の手段として,作成しておいたバックアップを復元することもできます。

9.5.5.2 ODS-1 から ODS-2 への変換

ODS-1 形式から ODS-2 形式への変換は,次の手順で行います。

  1. 変換するディスクをすべてバックアップする。

  2. ODS-2 ファイル形式で初期化する。

  3. ディスクをすべて復元する。

9.5.5.3 ODS-5 ファイルから ODS-2 への変換

ファイルとイメージという 2 種類の BACKUP 操作は,ファイル名の ODS-5 から ODS-2 への変換をサポートします (ファイル操作とイメージ操作の詳細については, 第 11 章 を参照してください)。

これ以降の説明の例を見ると,セーブ・セットとの変換の際に,変換されたファイルに対して created as または copied as メッセージが表示されているのがわかります。

もし BACKUP が既存のディレクトリ内でファイル名を変更できない場合,ファイル名を変換して非配置の状態にします。これにより ANALYZE /DISK /REPAIR がこのファイルを ODS-2 対応のファイル名を持てる [SYSLOST] ディレクトリに配置できるようにします。また,BACKUP は,次のようなメッセージも表示します。


%BACKUP-I-RECOVCNT, 5 files could not be converted into a directory on DKA100: 
-BACKUP-I-RECOVCMD, use the Analyze/Disk_Structure/Repair command to recover files 

この場合,[SYSLOST] にあるファイルは他の適切なディレクトリに移動する必要があります。ファイルが論理的に置かれる場所とそれを手動で移動することについては, created asログ・メッセージを参照してください。

9.5.6 ディスク・ボリューム特性の変更

マウントした Files--11 ディスク・ボリュームの特性を変更する場合は, DCL の SET VOLUME コマンドを使用します。このコマンドを使用するためには,ボリュームの索引ファイルに対する書き込みアクセス権が必要です。また,ボリュームの所有者でない場合は,システム UIC かユーザ特権の SYSPRV を所有している必要があります。コマンドには, Files--11 ボリュームの名前を指定します。

次の例は,SET VOLUME コマンドの使用例です。



  1. $ SET VOLUME/DATA_CHECK=(READ,WRITE) DKA100:
    


    DKA100: ボリュームの読み込みおよび書き込みをすべて行った後,データ・チェックを行うよう要求している。


  2. $ SET VOLUME/LABEL=LICENSES DKA100:
    


    DKA100: ボリュームに LICENSES というラベルを書き込んでいる。 /LABEL 修飾子があるため,ラベルの文字が小文字で入力されても,大文字に変換される。

9.5.7 ディスクのマウントの高速化

DISKMOUNT.C プログラムは,システムのスタートアップ時に,ディスクのマウントを高速化するのに役立ちます。 $MOUNT システム・サービスを直接呼び出すことにより, MOUNT イメージの起動時間を短縮します。

注意

DISKMOUNT.C は,Infoserver に接続したディスク,DFS でサーブされたディスク,あるいはストライプ・セットのマウントはサポートしません

このプログラムには VAX C コンパイラが必要です。次の手順にしたがって実行してください。

  1. SYS$EXAMPLES のファイル DISKMOUNT.H,DISKMOUNT.C, DISKMOUNT_CHILD.C を任意のディレクトリにコピーする。

  2. このディレクトリを指す論理名 SRC$ を定義する。

  3. DISKMOUNT.C ファイルと DISKMOUNT_CHILD.C ファイルをアセンブルする。

  4. DISKMOUNT.OBJ と DISKMOUNT_CHILD.OBJ をリンクして, DISKMOUNT.EXE と DISKMOUNT_CHILD.EXE の実行可能イメージ・ファイルを作成する。

  5. これらの実行可能イメージをディレクトリにコピーする。このディレクトリは,ターゲット・システムの SYS$MANAGER が望ましい。

詳細は,DISKMOUNT.H ファイルのコメントを参照してください。

9.6 ディスク・ボリューム・セットの設定

この節では,ボリューム・セットに関連する概念と次の作業を行う方法について説明します。

作業 参照箇所
新規ディスク・ボリュームからのボリューム・セットの作成 第 9.6.2 項
シャドウ・ディスク・ボリューム・セットの作成 第 9.6.3 項
既存ディスク・ボリュームからのボリューム・セットの作成 第 9.6.4 項
既存のディスク・ボリューム・セットへのボリュームの追加 第 9.6.5 項

9.6.1 ディスク・ボリューム・セット

ボリューム・セットとは,DCL の MOUNT/BIND コマンドによって 1 つのエンティティにまとめられたディスク・ボリュームのことです。ユーザから見ると,ボリューム・セットは,1 つの大容量のボリュームに見えます。こうしたボリューム・セットは次の特性をもちます。

大容量,同一種の公用ファイル空間を実現したい場合は,ボリューム・セットを使用してください。1 つの物理ディスク・ボリュームに収まらない大きなファイルを作成するためには,ボリューム・セットを使用する必要があります。ファイル・システムは,たとえば,その時点で最も未使用空間の多いボリュームに新しいファイルを作成することによって,ボリューム・セット全体の負荷のバランスを取ろうとします。

ユーザのグループが異なっていたり,あるいは管理方針が異なっていたりして,ファイルの格納場所を明確に分けたい場合は,それぞれに 1 つのボリュームまたはボリューム・セットを使用する必要があります。たとえば,あるボリュームはユーザの恒久記憶用として,ディスク・クォータを設けて,定期的にバックアップを取るようにし,また別のボリュームは,制限を設けずに自由に使用させて,バックアップを取らず,ファイルを定期的に削除するという「スクラッチ」用に使用します。このとき,各ボリュームまたはボリューム・セットには,そこにファイルを保管するユーザごとにトップレベルのユーザ・ファイル・ディレクトリを作成する必要があります。

ボリュームを単独で使用することの利点は,その独立性にあります。ボリューム・セットのディレクトリ構造はボリューム間で相互に関連していますから,それを装填している装置が 1 台でも故障すると,セット全体が使用できなくなります。しかし,ボリュームを単独で使用している場合は,ボリュームを装填している装置が動かなくなっても,使用できなくなるのは,そのボリュームのファイルだけです。

ボリューム・セットの欠点は,マルチボリューム・セットのイメージ・バックアップのサイズが大きくなることです。これは,ユーザのバックアップ・スケジュールにも影響を与えます。たとえば,5 つの異なるボリュームをそれぞれバックアップするのに 5 時間必要であると仮定します。これと同じボリューム・セットをバックアップしようとすると,25 時間かかってしまいます。これでは,1 日たっても終わりません。つまり,スケジューリングの問題にまで発展してしまいます。

9.6.1.1 ディスク・ボリューム・セットを作成するときのガイドライン

ディスク・ボリューム・セットを作成するにあたっては,次の点に留意してください。

ディスク・ボリューム・セットをマウントするためには,そのリストに指定されているボリューム・ラベルが装置名リストの同じ位置の装置名と対応している必要があります。

複数のディスク・ボリュームをバインドして, 1 つのボリューム・セットを作成した場合,セットの先頭ボリュームをルート・ボリュームと呼びます。セットを構成する各ボリュームは,ルート・ボリューム,すなわち,ボリューム 1 を基準にしたボリューム番号で識別されます。

ディスク・ボリューム・セットのディレクトリ構造は 1 つだけです。マスタ・ファイル・ディレクトリ (MFD) はセット中の第 1 ボリューム上にあります。

ディスク・ボリューム・セットをオンラインにして,マウントすると,次のいずれかを指定することによって,セットに含まれるすべてのファイルとディレクトリにアクセスすることができます。


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