Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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13.9 キュー・データベースの保存と復元

キュー構成に変更を行う場合は,必ずキュー・データベース・ファイルのコピーを作成しておきます。このコピーを保存しておくと,キュー・データベース・ファイルにアクセスできなくなったときに,保存したキュー・データベースを復元することができます。その結果,フォームや属性を再定義して,各キューを再度初期化する必要がなくなります。

13.9.1 キュー・データベース・ファイルの保存

次に,キュー・システムが動作しているときに キュー・データベースのレコードごとのコピーを保存する手順を説明します。保存されるのはキュー,フォーム,および特性の定義だけであり,ジョブ情報は保存されません。なお,時刻指定してあるジョブや保留中のジョブが,ジャーナル・ファイルの復元後に再実行される場合があるので,ジャーナル・ファイルは保存しないようにしてください。

作業方法

  1. 次の形式で OpenVMS の CONVERT ユーティリティ・コマンドを入力して,マスタ・ファイルを保存する。


    CONVERT/SHARE QMAN$MASTER.DAT   マスタ・ファイル名 
    


    マスタ・ファイル名には,QMAN$MASTER.DAT のコピー先のファイル名を指定する。
    CONVERT ユーティリティについては,『OpenVMS Record Management Utilities Reference Manual』を参照。

  2. 次の形式で CONVERT コマンドを入力して,キュー・ファイルを保存する。


    CONVERT/SHARE SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES - 
       キュー・ファイル名 
    


    キュー・ファイル名には,SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES のコピー先のファイル名を指定する。

  3. 次の形式で BACKUP ユーティリティ・コマンドを使用して, CONVERT で作成したファイルを保存する。


    BACKUP/LOG   マスタ・ファイル名 , キュー・ファイル名 
       装置: セーブ・セット名 /LABEL= ラベル 
    


    BACKUP ユーティリティについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照。


次の例は,キュー・データベースを保存する方法を示す簡単なプロシージャです。


$ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYSEXE]
$ CONVERT/SHARE QMAN$MASTER.DAT MASTERFILE_9SEP.KEEP;
$ CONVERT/SHARE SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES QFILE_9SEP.KEEP;
$ INITIALIZE MUA0: QDB
$ MOUNT/FOREIGN MUA0:
%MOUNT-I-MOUNTED, QDB mounted on _LILITH$MUA0:
$ BACKUP/LOG MASTERFILE_9SEP.KEEP,QFILE_9SEP.KEEP MUA0:QDB_9SEP.SAV/LABEL=QDB
%BACKUP-S-COPIED, copied SYS$COMMON:[SYSEXE]MASTERFILE_9SEP.KEEP;
%BACKUP-S-COPIED, copied SYS$COMMON:[SYSEXE]QFILE_9SEP.KEEP;
$ DISMOUNT MUA0:

13.9.2 キュー・データベース・ファイルの復元

キュー・データベース・ファイルを復元すると,すべてのキュー,フォーム,属性,キュー・マネージャ情報が復元されます。しかし,キューに登録されているジョブに関する情報は復元されません。

作業方法

  1. キュー・マネージャが動作している場合は,DCL の STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER コマンドを入力して停止させる。

  2. 3 つのキュー・データベース・ファイルをすべて削除する。残っているファイルがあっても,すべて削除すること。

  3. MOUNT コマンドを使用して,キュー・データベースのバックアップを格納したディスクまたはテープをマウントする。

  4. BACKUP ユーティリティを使用して, 第 13.9 節 のステップ 3 で作成したセーブ・セットからキュー・ファイルとマスタ・ファイルを復元する。マスタ・ファイルかキュー・ファイルを省略時以外の場所に格納している場合は,その場所に復元する。格納場所を変更した場合は,キュー・マネージャを起動するときに新しい格納場所を指定すること。

    注意

    キュー・データベースの復元では,いずれか 1 つだけが失われている場合でも,必ずマスタ・ファイルとキュー・ファイルの両方を復元する必要があります。

  5. START/QUEUE/MANAGER コマンドを使ってキュー・マネージャを起動する。/NEW_VERSION 修飾子は使用しないこと。新しい空のジャーナル・ファイルが自動的に作成される。


次の例は,キュー・データベースをテープから復元する方法を示すプロシージャです。


$ STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER
$ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYSEXE]
$ DELETE SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$JOURNAL;,SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;, -
_$ QMAN$MASTER.DAT;
$ MOUNT/FOREIGN MUA0:
%MOUNT-I-MOUNTED, QDB mounted on _LILITH$MUA0:
$ BACKUP/LOG MUA0:QDB_9SEP.SAV/SELECT=[SYSEXE]MASTERFILE_9SEP.KEEP; -
_$ QMAN$MASTER.DAT;
%BACKUP-S-CREATED, created SYS$COMMON:[SYSEXE]QMAN$MASTER.DAT;1
$ SET MAGTAPE/REWIND MUA0:
$ BACKUP/LOG MUA0:QDB_9SEP.SAV/SELECT=[SYSEXE]QFILE_9SEP.KEEP; -
_$ SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES
%BACKUP-S-CREATED, created SYS$COMMON:[SYSEXE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES;1
$ DISMOUNT MUA0:
$ START/QUEUE/MANAGER

13.10 キュー・システム性能の最大化

次のシステム資源は,キュー登録システムの性能に最も影響を与えます。

次の操作を行うと,キュー登録システムの性能を最大化できます。

13.11 キュー・マネージャに関する問題の解決

次の参照箇所を読んで,キュー・マネージャに関する問題を解決してください。

問題 参照箇所
一般的な問題の回避: 問題解決チェックリスト 第 13.11.1 項
キュー・マネージャが起動しない場合 第 13.11.2 項
キュー登録システムが停止する場合またはキュー・マネージャがあるノードで実行されない場合 第 13.11.3 項
キュー・マネージャが使用できない場合 第 13.11.4 項
ある OpenVMS Cluster ノードでキュー登録システムが実行されない場合 第 13.11.5 項
別々の OpenVMS Cluster ノードでキュー登録動作が一定でない場合 第 13.11.6 項
キュー登録システムに関する問題のコンパックへの連絡 第 13.12 節

13.11.1 一般的な問題の回避: 問題解決チェックリスト

キュー登録システムに関する一般的な問題を避けるために,次の条件を必ず満たしてください。

必要条件 参照箇所
QMAN$MASTER がクラスタ内のすべてのノードで同等に定義されていること。 第 13.3 節
キュー・データベースが指定の格納場所に存在すること。 第 13.3 節
キュー・データベース・ディスクがマウントされており利用可能なこと。 第 13.3 節
十分な数のノードを /ON 修飾子のノード・リストに指定すること。ノード・リストを指定する場合には,ノード・リストの最後にアスタリスク (*) を指定するとよい。 第 13.11.4 項
システム・アドレス・パラメータ SCSNODE と SCSSYSTEMID が DECnet for OpenVMS のノード名およびノード ID と一致すること。 第 13.11.5 項

13.11.2 キュー・マネージャが起動しない場合

START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力しても,キュー・マネージャが起動しない場合,システムは次のメッセージを表示します。


%JBC-E-QMANNOTSTARTED, queue manager could not be started 

13.11.2.1 問題の調査

次のようなコマンドを使用して,オペレータ・ログ・ファイル SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG (またはオペレータ・コンソール) 上に,キュー・マネージャまたはジョブ・コントローラから問題に関してメッセージが出力されていないか検索してください。


$ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG/WINDOW=5 QUEUE_MANAGE, 
JOB_CONTROL,BATCH_MANAGE

メッセージが見つかったら,それを利用してさらに問題を調査し, 第 13.11.1 項 の条件を満たしていることを確認してください。

13.11.2.2 原因

この問題が発生するのは,システムがキュー・マスタ・ファイルを見つけることができないからです。多くの場合,論理名の定義が正しくないか,またはディスクが使用可能な状態でないと考えられます。たとえば,次のメッセージは,マスタ・キュー・ファイルが適切な場所に格納されていないことを示します。


%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-MAR-2000 15:53:52.84  %%%%%%%%%%% 
Message from user JOB_CONTROL on ABDCEF 
%JBC-E-OPENERR, error opening SYS$COMMON:[SYSEXE]QMAN$MASTER.DAT 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-MAR-2000 15:53:53.04  %%%%%%%%%%% 
Message from user JOB_CONTROL on ABDCEF 
-SYSTEM-W-NOSUCHFILE, no such file 

13.11.2.3 問題の解決

複数のキュー・マネージャが存在するシステムでも,追加キュー・マネージャによって表示されるメッセージを,検索文字列にプロセス名を含めて調べてください。ユーザのシステムで実行されているキュー・マネージャに関する情報を表示するために, 第 13.4 節 の説明にしたがって SHOW QUEUE MANAGERS コマンドを使用してください。メッセージに表示されたすべての問題を解決してください。



$ START/QUEUE/MANAGER DUA55:[SYSQUE] (1)
%JBC-E-QMANNOTSTARTED, queue manager could not be started (2)
$ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG /WINDOW=5 QUEUE_MANAGE,JOB_CONTROL (3)
%%%%%%%%%%%  OPCOM  14-APR-2000 18:55:18.23  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on CATNIP 
%QMAN-E-OPENERR, error opening DUA55:[SYSQUE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES; 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  14-APR-2000 18:55:18.29  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on CATNIP 
-RMS-F-DEV, error in device name or inappropriate device type for operation 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  14-APR-2000 18:55:18.31  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on CATNIP 
-SYSTEM-W-NOSUCHDEV, no such device available (4)
$ START/QUEUE/MANAGER DUA5:[SYSQUE] (5)
 

  1. キュー・マネージャを起動するコマンド。キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの格納場所として DUA55:[SYSQUE] が指定されている。

  2. キュー・マネージャを起動できなかったことを示すエラー・メッセージ。

  3. このコマンドは,オペレータ・ログ・ファイルに関連するメッセージがあるか調べる。 SEARCH コマンドには,BATCH_MANAGE などの 2 番目のキュー・マネージャ名が指定されていない。

  4. このメッセージは,装置 DUA55: が存在しないために,キュー・ファイルをオープンできなかったことを示す。

  5. このコマンドは,キュー・ファイルとジャーナル・ファイルの場所として DUA5:[SYSQUE] を正しく指定しているため,キュー・マネージャを正しく起動できる。

複数のキュー・マネージャとそのプロセス名についての詳細は, 第 13.8.1 項 を参照してください。

13.11.3 キュー登録システムが停止する場合またはキュー・マネージャがあるノードで実行されない場合

クラスタ内のあるノードでキュー・マネージャが実行されない場合,またはキュー登録システムが停止する場合には,この項の説明をお読みください。特に,次のいずれかの項目にあてはまる場合は,この項を参考にしてください。

13.11.3.1 問題の調査

キュー・マネージャの起動時またはフェイルオーバ時のオペレータ・ログをチェックしてください。キュー・マネージャ (QUEUE_MANAGE プロセス名) からのオペレータ・メッセージがないかログを検索してください。

複数のキュー・マネージャが存在するシステムの場合も,追加キュー・マネージャから表示されるメッセージがないか,検索文字列にプロセス名を含めて調べてください。システムで実行されているキュー・マネージャに関する情報を表示するためには, 第 13.4 節 の説明にしたがって SHOW QUEUE MANAGERS コマンドを使用してください。

複数のキュー・マネージャとそれらのプロセス名についての詳細は, 第 13.8.1 項 を参照してください。

次のメッセージは,キュー・データベースが指定した格納場所に存在しないことを示しています。


%%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:06:25.21  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR 
%QMAN-E-OPENERR, error opening CLU$COMMON:[SYSEXE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES; 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:06:27.29  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR 
-RMS-E-FNF, file not found 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:06:27.45  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR 
-SYSTEM-W-NOSUCHFILE, no such file 
 

次のメッセージはキュー・データベース・ディスクがマウントされていないことを示しています。


%%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:36:49.15  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR 
%QMAN-E-OPENERR, error opening DISK888:[QUEUE_DATABASE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES; 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:36:51.69  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR 
-RMS-F-DEV, error in device name or inappropriate device type for operation 
 
%%%%%%%%%%%  OPCOM   4-FEB-2000 15:36:52.20  %%%%%%%%%%% 
Message from user QUEUE_MANAGE on MANGLR 
-SYSTEM-W-NOSUCHDEV, no such device available 

13.11.3.2 原因

キュー登録システムは,次の環境下では正常に動作しません。

キュー・マネージャに重大なエラーが発生し,キュー・マネージャが同一ノードで 2 分間に 2 回連続して強制的にクラッシュやフェイルオーバを行った場合には,通常,キュー登録システムは完全に停止します。ただし,元のノードの起動に失敗した後で,キュー・マネージャをデータベースにアクセスできる別のノードに移動した場合は,キュー登録システムの実行を続けることができます。

13.11.3.3 問題の解決

次の操作を実行してください。

  1. キュー・マネージャが停止している場合には, START/QUEUE/MANAGER コマンドに次の項目を加えて実行します。

  2. ノード・リストに指定されたすべてのノードで,マスタ・ファイルが格納されているディスクをマウントする MOUNT コマンドを,プロシージャ SYLOGICALS.COM に追加する。ただし,キュー・データベース・ファイルが格納されているディスクからブートされるノードは省く。システム・ディスクの場合は,ディスクをノードに明示的にマウントする必要はない。

13.11.4 キュー・マネージャが使用できない場合

キュー・マネージャが起動しない場合や,実行を停止した場合には,キュー・マネージャは使用できなくなります。

13.11.4.1 問題の調査

問題を調査するには,SHOW CLUSTER コマンドを入力して,リストに指定されているノードが使用可能な状態であるかどうか確認します。

13.11.4.2 原因

十分なフェイルオーバ・ノード・リストがキュー・マネージャに対して指定されていないため,キュー・マネージャを実行できるノードがフェイルオーバ・リストにありません。


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