Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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15.7.4 SYSMAN によるアクティブ値の変更

SYSMAN の PARAMETERS SET コマンド,PARAMETERS WRITE コマンド,および PARAMETERS USE コマンドを使用すると,アクティブ・パラメータ値を変更できます。

アクティブ値を変更するとメモリ上の値が変更されるため,ただちにダイナミック・パラメータに影響します。ダイナミック・パラメータについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。また,SYSMAN の PARAMETERS SHOW/DYNAMIC コマンドを使っても調べることができます。ダイナミック・パラメータ以外のパラメータ値は,システムの稼働中には変更できません。

アクティブ値を変更しても,ディスク上のシステム・パラメータ・ファイルには影響はありません。次回のシステム・ブート時には,以前の現在値がアクティブ値として使用されるためです。

新しいアクティブ・パラメータ値を設定し,その値を以降のブート操作で使用する場合には,PARAMETERS WRITE CURRENT コマンドを使って,新しい値を現在のパラメータ・ファイルに書き込みます。次の例を参照してください。

重要

SYSMAN によって変更されたパラメータ値は, AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。 SYSMAN で行った変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT に新しいパラメータ値を指定する必要があります。手順については, 第 15.5.1 項 を参照してください。


  1. LGI_BRK_TMO の値を作業領域で 300 に変更し,それをアクティブ値としてメモリに書き込んだ後,アクティブ値を表示する。


     
    SYSMAN> PARAMETERS SET LGI_BRK_TMO 300
     
    SYSMAN> PARAMETERS WRITE ACTIVE
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO 
     
    Node NODE21:   Parameters in use: ACTIVE 
    Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
    --------------         -------   -------   -------    ------- ----  ------- 
    LGI_BRK_TMO                300       300         0         -1 Seconds     D 
     
    Node NODE22:   Parameters in use: ACTIVE 
    Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
    --------------         -------   -------   -------    ------- ----  ------- 
    LGI_BRK_TMO                300       300         0         -1 Seconds     D
     
    

  2. LGI_BRK_TMO に含まれている現在のパラメータ値をディスクから作業領域に呼び出した後,LGI_BRK_TMO を表示する。この例では,ディスク上の現在値は 600 である。


    SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO
     
    Node NODE21:   Parameters in use: CURRENT 
    Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
    --------------         -------   -------   -------    ------- ----  ------- 
    LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D 
     
    Node NODE22:   Parameters in use: CURRENT 
    Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
    --------------         -------   -------   -------    ------- ----  ------- 
    LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
     
    

  3. LGI_BRK_TMO の値 (600) を作業領域からメモリに書き込む。書き込まれた値は,稼働中のシステムのアクティブ値となる。 PARAMETER WRITE ACTIVE コマンドにより,LGI_BRK_TMO だけではなく,すべてのパラメータ値が作業領域からメモリに書き込まれる点に注意。


    SYSMAN> PARAMETERS WRITE ACTIVE
     
    SYSMAN> PARAMETERS USE ACTIVE
     
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW LGI_BRK_TMO
     
    Node NODE21:   Parameters in use: ACTIVE 
    Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
    --------------         -------   -------   -------    ------- ----  ------- 
    LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D 
     
    Node NODE22:   Parameters in use: ACTIVE 
    Parameter Name         Current   Default   Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
    --------------         -------   -------   -------    ------- ----  ------- 
    LGI_BRK_TMO                600       300         0         -1 Seconds     D
     
    

15.8 SYSGEN ユーティリティによるシステム・パラメータの管理

注意

システム・パラメータを変更する場合には,できるだけ AUTOGEN を使用してください (詳細は 第 15.5 節 を参照)。何らかの理由で AUTOGEN を使用できない場合には, SYSMAN ユーティリティを使用してください (詳細は 第 15.7 節 を参照)。

次に,SYSGEN ユーティリティを使ってシステム・パラメータを管理できる作業を示します。ただし,この方法はなくべく使用しないでください。

作業 参照箇所
パラメータ値の表示 第 15.8.2 項
省略時のパラメータ・ファイル内の現在値の変更 第 15.8.3 項
稼働中のシステムのアクティブ値の変更 1 第 15.8.4 項
新しいパラメータ・ファイルの作成 第 15.8.5 項


1ダイナミック・システム・パラメータのみ。

SYSGEN でシステム・パラメータを管理するときに使用するコマンドを, 表 15-4 に示します。SYSGEN コマンドについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSGEN の節を参照してください。

表 15-4 システム・パラメータとともに使用される SYSGEN コマンド
コマンド 機能
SHOW パラメータ値を表示する。
USE メモリまたはディスクから,調査または変更のために一時作業領域に値を読み込む。
SET パラメータ値を変更する。変更内容は作業領域のみで有効。変更内容をより永久的なものにするためには,WRITE コマンドが必要。
WRITE 作業領域の内容をメモリまたはディスクに書き込む。

一時作業領域についての詳細は, 第 15.8.1 項 を参照してください。

15.8.1 パラメータ値と SYSGEN について

第 15.1.1 項 で説明しているように,システム・パラメータの値にはいくつかの種類があります。簡単にまとめると,現在値とは,ディスク上の省略時のパラメータ・ファイルに格納されている値のことです。 アクティブ値 とは,メモリ内に格納され,システムの稼働中に使用される値のことです。これらの値のほかにも, SYSGEN はディスク上の独自の作業領域にパラメータ値を一時的に書き込みます。この値を一時値と呼びます。 図 15-3 は,この 3 種類の値と, SYSGEN コマンドがそれらの値にどう影響するかを示しています。

図 15-3 SYSGEN パラメータの一時値,アクティブ値,現在値


パラメータ値を表示または変更する場合,通常のセッションでは次の手順に従います。

  1. USE コマンドを使って,パラメータの値を SYSGEN の一時作業領域に読み込む。アクティブ値を読み込むときは USE ACTIVE,現在値を読み込むときは USE CURRENT をそれぞれ使用する。

  2. SHOW コマンドを使って,パラメータ値を表示する。

  3. SET コマンドを使って,パラメータ値を変更する。ただし,SET コマンドは,SYSGEN の一時作業領域の値を変更するだけである。

  4. WRITE コマンドを使って変更内容を有効にする。

システム・パラメータについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

15.8.2 SYSGEN によるパラメータ値の表示

システム・パラメータの値を表示するときには,次の手順に従います。

  1. 次のコマンドを入力して SYSGEN を起動する。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
    

  2. 次の USE コマンドを使って,表示する値を指定する。

    表示対象 入力するコマンド
    アクティブ値 USE ACTIVE
    現在値 USE CURRENT
    他のパラメータ・ファイルの値 USE ファイル指定
      ファイル指定には,表示したい値が含まれているパラメータ・ファイルの名前を指定する。たとえば,USE SYS$SYSTEM:ALTPARAMS.DAT。

  3. SHOW コマンドを次の形式で入力する。


    SHOW [/修飾子] [パラメータ名] 
    


    特定のタイプのパラメータを表示する場合には,修飾子を指定する。例を示す。

    表示対象となるグループ 入力するコマンド
    WSMAX パラメータ SHOW WSMAX
    すべてのダイナミック
    ・パラメータ
    SHOW/DYNAMIC
    TTY カテゴリのすべての
    パラメータ
    SHOW/TTY
    すべてのパラメータ SHOW/ALL

SYSGEN SHOW コマンドと修飾子についての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSGEN の節を参照してください。


ここでは, SYSGEN を使ってすべての TTY システム・パラメータの現在値を表示します。


$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
SYSGEN> USE CURRENT
SYSGEN> SHOW/TTY


$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
SYSGEN> USE CURRENT
SYSGEN> SHOW/TTY


Parameters in use: Current(1)
Parameter Name            Current    Default       Min.      Max. Unit       Dynamic 
--------------            -------    -------    -------  -------  ----       ------- 
(2)                            (3)        (4)          (5)       (6)      (7)
TTY_SCANDELTA            10000000   10000000    100000        -1  100Ns 
TTY_DIALTYPE                    0          0         0       255  Bit-Encode 
TTY_SPEED                      15         15         1        16  Special 
TTY_RSPEED                      0          0         0        16  Special 
TTY_PARITY                     24         24         0       255  Special 
TTY_BUF                        80         80         0     65535  Characters 
TTY_DEFCHAR             402657952  402657952         0        -1  Bit-Encode 
TTY_DEFCHAR2               135178       4098         0        -1  Bit-Encode 
TTY_TYPAHDSZ                   78         78         0        -1  Bytes 
TTY_ALTYPAHD                 2048        200         0     32767  Bytes 
TTY_ALTALARM                  750         64         0        -1  Bytes 
TTY_DMASIZE                    64         64         0        -1  Bytes       D (8)
TTY_CLASSNAME               "TTY"      "TTY"      "AA"      "ZZ"  Ascii 
TTY_SILOTIME                    8          8         0       255  Ms 
TTY_TIMEOUT                  3600        900         0        -1  Seconds    D 
TTY_AUTOCHAR                    7          7         0       255  Character  D 
SYSGEN> 

SYSGEN は,次の情報を表示します。

  1. 使用中の値 (この例では,現在値)

  2. システム・パラメータの名前

  3. 要求された値 (この例では,現在値)
    このカラムの見出しは,パラメータの現在値を表示する場合にも,アクティブ値を表示する場合にも,常に "Current" である。この場合の "Current" は,USE コマンドで指定される,このパラメータの現在使用されている値を指すのであって, WRITE CURRENT コマンドによってディスクに格納されたパラメータの現在値を指すのではない。

  4. 省略時の値

  5. 最小値

  6. 最大値

  7. 割り当て単位

  8. そのシステム・パラメータがダイナミックのときは "D"

15.8.3 SYSGEN によるシステム・パラメータ・ファイルの変更

重要

システム生成ユーティリティ (SYSGEN) を使って変更されたパラメータ値は, AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。 SYSGEN による変更内容を保持するには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルで新しいパラメータ値を指定する必要があります ( 第 15.5.1 項 を参照)。

注意

システム・パラメータの変更は SYSGEN を使ってもできます。ただしシステム・パラメータ値を変更する場合にはできるだけ AUTOGEN を使ってください。詳細は 第 15.5 節 を参照してください。

AUTOGEN を使用できない場合には,システム管理ユーティリティ (SYSMAN) を使用してください。詳細は 第 15.7 節 を参照してください。

省略時のシステム・パラメータ・ファイルの現在値の変更は,実行中のシステムのアクティブ値には,すぐには反映されません。次回のシステム・ブート時に,新しい値で初期化されます。


VAX システム・パラメータ・ファイルの TTY_TIMEOUT パラメータの値を変更します。


$ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
$ RUN SYSGEN
SYSGEN> USE CURRENT
SYSGEN> SET TTY_TIMEOUT 3600
SYSGEN> WRITE CURRENT
%OPCOM, 15-APR-2000 16:04:06.30, message from user SYSTEM
%SYSGEN-I-WRITECUR, CURRENT system parameters modified by process
ID 00160030 into file VAXVMSSYS.PAR
SYSGEN> EXIT

15.8.4 SYSGEN によるアクティブ値の変更

重要

SYSGEN によって変更されたパラメータ値は, AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。 SYSGEN による変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルで新しいパラメータ値を指定する必要があります ( 第 15.5.1 項 を参照)。

注意

システム・パラメータの変更は SYSGEN を使ってもできます。しかし,システム・パラメータ値を変更する場合にはできるだけ AUTOGEN を使ってください。詳細は 第 15.7 節 を参照。

アクティブ値を変更すると,ダイナミック・パラメータにすぐに影響を与え,メモリ内にある値が変更されます。ダイナミック・パラメータについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。また,SYSGEN の SHOW/DYNAMIC コマンドを使ってもダイナミック・パラメータであるか調べることができます。ダイナミック・パラメータ以外の値をシステムの稼働中に変更することはできません。

アクティブ値を変更しても,ディスク上のシステム・パラメータの現在値には影響を与えません。次回のシステム・ブート時に,それまでの現在値がアクティブ値として設定されます。

パラメータの新しいアクティブ値を設定し (WRITE ACTIVE と入力),以降のブート時に新しい値を使用する場合には, 第 15.8.3 項 で説明しているように, WRITE CURRENT コマンドを使用して,ディスク上の現在のパラメータ・ファイルに新しい値を書き込む必要があります。また,パラメータがダイナミック・パラメータでない場合には, WRITE CURRENT コマンドを入力して,システムを再ブートする必要があります。

SYSGEN を使ってアクティブ・パラメータを変更すると, DCL の SET MESSAGE コマンドを使ってシステム・メッセージの形式を変更していない限り,オペレータ通信マネージャ (OPCOM) により,そのメッセージがオペレータ・ログとオペレータ・コンソールに書き込まれます。


  1. PFCDEFAULT パラメータのアクティブ値を変更する。


    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN SYSGEN
    SYSGEN> SET PFCDEFAULT 127
    SYSGEN> WRITE ACTIVE
    %OPCOM, 15-APR-2000 16:04:06.30, message from user SYSTEM
    %SYSGEN-I-WRITEACT, ACTIVE system parameters modified by process
    ID 00160030
    SYSGEN> EXIT
    

  2. PFCDEFAULT パラメータのアクティブ値を変更し,同時に OpenVMS Alpha システム・パラメータ・ファイルに書き込む。このファイルは,システムの再ブート時に使用される。


    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN SYSGEN
    SYSGEN> SET PFCDEFAULT 127
    SYSGEN> WRITE ACTIVE
    %OPCOM, 15-APR-2000 16:04:06.30, message from user SYSTEM
    %SYSGEN-I-WRITEACT, ACTIVE system parameters modified by process
    ID 00160030
    SYSGEN> WRITE CURRENT
    %OPCOM, 15-APR-2000 16:04:06.30, message from user SYSTEM
    %SYSGEN-I-WRITECUR, CURRENT system parameters modified by process
    ID 00160030 into file ALPHAVMSSYS.PAR
    SYSGEN> EXIT
    

15.8.5 SYSGEN による新規パラメータ・ファイルの作成

パラメータ・ファイルを新しく作成しても,稼働中のシステムには影響を与えません。しかし,それ以降の会話型ブート操作で,アクティブなシステムを新しいファイルの値で初期化することができます。

パラメータ・ファイルの作成方法

  1. 次のコマンドを入力して SYSGEN を起動する。


    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN SYSGEN
    

  2. 次の形式のコマンドを入力して,パラメータ・ファイルを SYSGEN の一時作業領域にコピーする。


    USE   ファイル指定 
    


    ファイル指定には,ベースとなる既存のパラメータ・ファイルを指定する。このファイルの値を変更して,新しいパラメータ・ファイルを作成できる。

  3. 次の形式のコマンドを入力して,必要に応じて値を変更する。


    SET   パラメータ名   値 
    


    パラメータ名には,値を変更するパラメータの名前を指定する。値には,そのパラメータの新しい値を指定する。

  4. 次の形式のコマンドを指定して,値を新しいパラメータ・ファイルに書き込む。


    WRITE   ファイル指定 
    


    ファイル指定には,作成するパラメータ・ファイルの名前を指定する。

  5. SYSGEN を終了する。

重要

SYSGEN ユーティリティを使って変更したパラメータ値は, AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。 SYSGEN による変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに新しいパラメータ値を指定する必要があります ( 第 15.5.1 項 を参照)。


  1. パラメータ・ファイル PARAMS.PAR の TTY_TIMEOUT パラメータの値を変更して,ファイルを更新する。


    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN SYSGEN
    SYSGEN> USE SYS$MANAGER:PARAMS.PAR
    SYSGEN> SET TTY_TIMEOUT 3600
    SYSGEN> WRITE SYS$MANAGER:PARAMS.PAR
    SYSGEN> EXIT
    

  2. PARAMS.PAR ファイルをベースにして SYS$SYSTEM:OURSITE.PAR という名前のファイルを作成する。


    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN SYSGEN
    SYSGEN> USE SYS$MANAGER:PARAMS.PAR
    SYSGEN> SET TTY_TIMEOUT 1000
    SYSGEN> WRITE OURSITE.PAR
    SYSGEN> EXIT
    


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