Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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24.5.3 デバイス特性の設定

LAN 装置はすべて,パラメータの集まりで特徴付けられます。パラメータは,装置が接続されている媒体の LAN 装置の操作特性を定義します。

LAN 装置のパラメータを直接設定するには, LANCP> プロンプトで SET DEVICE コマンドを入力します。 LANCP ユーティリティは,LANACP サーバ・プロセスにこのコマンドを発行し, LANCP サーバ・プロセスは適切な QIO を発行してドライバ特性を設定します。

SET DEVICE コマンドの形式は次のとおりです。


SET DEVICE 装置名 [/修飾子,...] 

表 24-9 に, LAN 装置に直接適用される SET DEVICE コマンドの修飾子を簡単に説明します。

表 24-9 DEFINE DEVICE と SET DEVICE のコマンド修飾子
修飾子 説明
/AGING_TIMER= ソース・ルーティング・キャッシュ・エントリが無効とされるまでの秒数を設定する。
/ALL 全 LAN 装置のデータを設定する。
/ATMADDRESS=LES++ ATM のための LAN エミュレーション・サーバ (LES) アドレスを設定する。通常このアドレスはユーザ指定のアドレスではなく,この修飾子も特定のアドレスが必要になった場合のみ使用する。省略時の設定では,アドレスは LES の構成サーバからソフトウェアにより決定される。

/ATMADDRESS=LES 修飾子は次の形式で使用する。

SET DEVICE/ATMADDRESS = ([NO]LES= ATM サーバ)

/ATMADDRESS=ARP++ ATM を介した Classical IP のためのアドレス解決プロトコル (ARP) サーバ・アドレスを設定する。ローカル・ホストが ARP サーバでない場合は, LIS を使用可能にする前にこの修飾子を指定する。

/ATMADDRESS=ARP 修飾子は次の形式で使用する。

SET DEVICE/ATMADDRESS = (ARP=atm_arp_server)

/CACHE_ENTRIES = ソース・ルーティング・アドレス・エントリのキャッシュ用のエントリ数を設定する。
/CLIP ++ ATM (RFC1577) を介した Classical Internet Protocol (CLIP) を設定する。 CLIP 修飾子は,データ・リンク・レベルのデバイスを,論理 IP サブネット (LIS) のクライアントまたはサーバあるいはその両方としてインプリメントする。これにより,IP プロトコルが, ATM ネットワークを介してイーサネット・フレームを送信できるようになる。 /CLIP = ENABLE コマンドを使用すると,システムが LIS に参加できるようになる。 /CLIP = DISABLE コマンドを使用すると,クライアントは論理 IP サブネットではなくなる。

LIS ではサーバが必要になるが,サーバは 1 つのサブネットにつき 1 つだけになる。サブネット間の通信は,ルータ経由でのみ可能になる。クライアントは 1 つの ATM アダプタにつき 1 つだけ対応することになる。

/CLIP 修飾子の形式は,標準のインターネット・ドット表記法で次のようになる。

SET DEVICE/CLIP =(ip_subnet=a.b.c.d,

ip_address=a.b.c.d,
parent=device,
name="ip subnet name",
enable, disable
type = client|server)
  /CLIP の形式の意味を次に示す。

  • ip_address

    CLIP クライアントの IP アドレスを指定する。

  • subnet_mask

    CLIP クライアントのサブネット・マスクを指定する。

  • parent

    親装置名。

  • name

    操作および診断メッセージで使用するための LIS の名前を指定する。

  • type=client

    Classical IP クライアントのみを起動する。これが省略時の設定になる。

  • type=server

    Classical IP サーバを起動する。これを指定した場合,1 つの LIS につきノードを 1 つだけ使用できる。サーバは最初に起動する必要がある。

  • type=(server,client)

    classical IP サーバとクライアントを起動する。

  /CLIP のキーワードとその意味を次に示す。

キーワード 意味
Create Classical IP ドライバをロードするが起動しない。
Enable ノードが論理 IP サブネットに参加するよう設定する。
Disable ノードが論理 IP サブネットに参加しないよう設定する。

/CONTENDER リングに加わるときに,装置がモニタ・コンテンション・プロセスに加わることを指定する。
/DISCOVERY_TIMER = ソース・ルーティング・ルート発見プロセスを実行しているときの,遠隔ノードからの応答待ち時間を秒数で設定する。
/DLL= 許可オプション,排他オプション,サイズ・オプション,既知クライアント専用オプション 装置に対して,MOP ダウンライン・ロード・サービス設定を提供する。

この修飾子で,次のものを指定できる。

  • 許可オプション

    MOP ダウンライン・ロード・サービスを装置に対して許可または禁止するかどうかを示す。

  • 排他オプション

    指定された LAN 装置に対して,LANCP と同時に他のプロバイダからの MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可しないことを示す。

  • 既知クライアント専用オプション

    MOP ダウンライン・ロード要求は,LAN 運用時ノード・データベースに定義されたクライアントだけにサービスされることを示す。

  • サイズ・オプション

    各ダウンライン・ロード・メッセージのファイル・データ部分をバイト単位のサイズで指定する。

/EARLY 装置上で Early Token Release を使用可能にする。
/ELAN++ LAN エミュレーションを設定する。 /ELAN 修飾子は,enable と disable のいずれかの値をとる。キーワード STARTUP とともに /ELAN=ENABLE を指定すると, LANACP が開始するときに LAN エミュレーションがロードされる。 /ELAN=DISABLE では,ENABLE の場合と同じパラメータを使用できる。
  /ELAN 修飾子は次の形式で使用する。
SET DEVICE/ELAN =(parent=parent device,

name="ELAN NAME to join",
size=1516
type=CSMACD
Enable,
Disable,
description = "description string,")

/ELAN の形式の意味は次のとおり。

  • parent

    ATM アダプタ装置の名前。DGLTA の場合,親装置は HC n0 (ただし n はコントローラの番号) のようになる。 DAPCA の場合は,HW n0 (ただし n はコントローラの番号) のようになる。

  • name

    特定の ELAN に参加したい場合,オプションとして指定することができる。省略時の設定は空 (null) になる。

  • size

    参加したい LAN の最大フレーム・サイズ。有効なサイズは 1516 バイト, 4544 バイト,9234 バイトのいずれかになる。省略時の値は 1516 になっている。

  • type

    現在 CSMACD のみがサポートされており,これが省略時の値になる。

  • description

    ELAN の注釈を付ける方法。表示のためだけに使用する。

/ELAN で使用されるキーワードと意味は次のとおり。

キーワード 説明
Create エミュレーション・ドライバ SYS$ELDRIVER.EXE をロードするが起動しない。
Enable 指定したエミュレートされた LAN で Join を開始する。ドライバがロードされていない場合はロードする。
Disable クライアントに,エミュレートされた LAN を終了させる。

/FULL_DUPLEX LAN 装置の全二重操作を可能にする。
/MAP=(MULTICAST_ADDRESS=アドレス,
FUNCTIONAL_ADDRESS=アドレス)
機能アドレス・マッピング・エントリを定義する。
/MAX_BUFFERS= LAN 装置に対して LAN ドライバが割り当てて使用する最大受信バッファ数を設定する。
/MEDIA=

  • トークン・リング・デバイスの場合

    ケーブル・タイプを自動的に検出しない装置のトークン・リング MAU (Media Access Unit) に,アダプタを接続するのに使用されるケーブルのタイプを選択する。

  • イーサネット・デバイスの場合

    ケーブル接続を選択する。

/MIN_BUFFERS= LAN 装置に対して LAN ドライバが割り当てて使用する最小受信バッファ数を設定する。
/PERMANENT_DATABASE (SET コマンドのみ) LAN 運用時デバイス・データベースにある装置エントリを,パーマネント・データベースに現在設定してあるデータに更新する。
/PVC(vci[,...])++ パーマネント仮想サーキット (PVC)を定義する。これは省略可能な修飾子である。

PVC のリストは,CLIP クライアントでの使用のために定義される。このコマンドを使用した後で CLIP クライアントを有効にすること。 ATM スイッチでは,PVC は手動で設定する必要がある。

vci は, PVC の VCI (仮想サーキット ID) である。

/NOPVC=(vci[,...])++ パーマネント仮想サーキット (PVC) は設定しない。
/RING_PURGER++ FDDI 装置のリングのパージ処理を有効にする。
/SOURCE_ROUTING++ トークン・リング・デバイス上でのソース・ルーティングを可能にする。
/SPEED= 複数の速度をサポートしている場合に,LAN の速度を設定する。
/SR_ENTRY=(LAN_ADDRESS= アドレス,

RI= ルーティング情報)

特定のノードに対して,特定のソース経由のルートを静的に定義する。
/TOKEN_ROTATION++ FDDI リングに対して要求されたトークン・ローテーション時間を設定する。
/TOKEN_TIMEOUT++ FDDI リングに対して制限のあるトークン・タイムアウト時間を設定する。
/TRANSMIT_TIMEOUT++ FDDI 装置に対して有効な転送時間を設定する。
/UPDATE++ 現在,LAN デバイス・データベースのいずれにも入っていない LAN 装置を LAN デバイス・データベースに追加する。 DEFINE DEVICE コマンドはパーマネント・データベースに適用される。これに対して,SET DEVICE コマンドは運用時データベースに適用される。
/VOLATILE_DATABASE (DEFINE コマンドのみ) LAN パーマネント・デバイス・データベースにある装置エントリを,運用時データベースに現在設定してあるデータに更新する。


++Alpha のみ



  1. LANCP> SET DEVICE/CONTENDER/MEDIA=UTP/NOEARLY/SOURCE ICA0
    


    このコマンドで,モニタのコンテンション,UTP ケーブル・メディア,ソース・ルーティングが使用可能になり,トークン・リング・デバイス ICA0 の Early Token Release が使用不能になる。


  2. LANCP> SET DEVICE/MEDIA=TWIST EWB0
    


    このコマンドは,媒体のタイプを 2 番目の Tulip イーサネット・デバイスのツイストペアに設定する。


  3. LANCP> SET DEVICE/ALL/MIN_BUFFERS=12
    


    このコマンドは,全 LAN 装置の受信バッファ数を 12 以上に設定する。


  4. LANCP> DEFINE DEVICE EXA0/MOPDLL=(ENABLE,EXCLUSIVE)
    


    このコマンドは LAN 装置 EXA0 を定義して,排他的モードで LANACP MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可する。 KNOWNCLIENTSONLY および SIZE 特性の設定値は変更されない。デバイス・エントリが LAN パーマネント・デバイス・データベースに現在存在しない場合には,この設定値が省略時の値に設定される。


  5. LANCP> DEFINE DEVICE/ALL/MOPDLL=NOEXCLUSIVE
    


    このコマンドは,LAN パーマネント・デバイス・データベースに定義されている全装置に対して,非排他的モードの LANACP MOP ダウンライン・ロード・サービスを設定する。


  6. LANCP> SET DEVICE EXA0/MOPDLL=(ENABLE,NOEXCLUSIVE)
    LANCP> SET DEVICE FXA0/MOPDLL=(ENABLE,EXCL,KNOWN)
    


    このコマンドは次の状態の LANACP MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可する。

24.6 LAN デバイス・データベースの管理

LAN の運用時およびパーマネント・デバイス・データベースには,システムに存在する LAN 装置ごとに 1 つのエントリがあります。 LAN 運用時デバイス・データベースの各エントリは,装置情報および MOP ダウンライン・ロード・カウンタ情報を含みます。 LAN パーマネント・デバイス・データベースの各エントリに含まれる装置情報は, LANACP LAN サーバ・プロセスの起動時に運用時データベースを作成するのに使用されます。

通常,各データベースは同じ装置を含んでいます。ただし,パーマネント・データベースには,システムにまだ構成されていない,またはインストールされていない装置のエントリが含まれる場合があります。 LANACP LAN サーバ・プロセスは,運用時デバイス・データベースを管理します。 LANCP ユーティリティは,パーマネント・デバイス・データベースを管理します。どちらのデータベースも LANCP ユーティリティ・コマンドで操作できますが,次に示すように,操作できる内容はユーザ特権によって異なります。

以降の各項では,LAN パーマネント・デバイス・データベースおよび運用時デバイス・データベースへの装置の入力と削除の方法,および MOP ダウンライン・ロード・サービスの許可と禁止の設定方法について説明します。

24.6.1 LAN デバイス・データベース内の装置の表示

LAN パーマネント・デバイス・データベースの情報を表示するには, LIST DEVICE コマンドを次の形式で入力します。


LIST DEVICE 装置名 [/修飾子,...] 

LAN 運用時デバイス・データベースの情報を表示するには, SHOW DEVICE コマンドを次の形式で入力します。


SHOW DEVICE 装置名 [/修飾子,...] 

表 24-10 に, LIST DEVICE 修飾子と SHOW DEVICE 修飾子について簡単に説明します。

表 24-10 LIST DEVICE および SHOW DEVICE コマンド修飾子
修飾子 説明
/ALL 装置名が一致するすべての装置をリスト,または表示します。
/CHARACTERISTICS /PARAMETER 修飾子と同じ。
/COUNTERS+ デバイス・カウンタを表示する。
/DLL ダウンライン・ロード特性をリスト,または表示します。
/MAP 機能アドレス・マッピング・テーブルの現在の構成を表示する。
/MOPDLL DLL と同じ。
/PARAMETERS 装置についての状態および関連情報を表示する。
/OUTPUT= ファイル名 指定されたファイルを作成し,そのファイルに出力する。
/REVISION+ アダプタの現在のファームウェア・リビジョンを表示する (可能な場合)。
/SR_ENTRY 現在のソース・ルーティング・キャッシュ・テーブルの内容を表示する。


+SHOW DEVICE のみ
++Alpha のみ

注意

修飾子を指定しなければ,一致する装置が追加情報を伴わずに表示されます。


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