Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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26.6.1 付加サービスの定義

コンパックが提供する LAT$SYSTARTUP.COM プロシージャは, 1 つのサービスを定義します。このプロシージャで定義するサービスは,ユーザが汎用のシステム環境にアクセスするために使用する1次サービス,あるいはデータ・エントリ・プログラムやオンライン・ニュース・サービスのような特殊なアプリケーション・サービスのどちらにすることもできます。

Alpha システムの場合, 第 26.6.2.3 項 で説明するように,決まった数の LTA 装置に制限されたサービスを定義することもできます。

LAT$SYSTARTUP.COM プロシージャが定義するサービスの名前はローカル・ノードの名前と同じになります。ただし, 第 26.5 節 で説明したように, @SYS$STARTUP:LAT$STARTUP.COM コマンドの引数として一意のサービス名を指定すれば,その名前が割り当てられます。

作業方法

LAT$SYSTARTUP.COM によって定義するサービスのほかにもサービスを定義する場合は,CREATE SERVICE コマンドを使用します。このコマンドは,LAT$SYSTARTUP.COM に追加することができます。アプリケーション・サービスを定義する場合,そのサービスにはできるだけアプリケーション・プログラムの名前を割り当てるようにしてください。 LATCP ユーティリティの CREATE SERVICE コマンドについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。


次の例は,ローカル・ノード上にアプリケーション・サービス NEWS を定義します。


$ LCP :== $LATCP 
$ LCP CREATE SERVICE /APPLICATION NEWS 

26.6.2 ポートの設定

コンパックが提供する LAT$SYSTARTUP.COM ファイルには,サービス・ノード上に論理ポートを作成したり,それらのポートをターミナル・サーバ・ノード上の物理ポートやサービスに対応づけたりするためのサンプル・コマンドが含まれています。これらのポートは,アプリケーション・サービスおよび遠隔プリンタに使用できます。

作業方法

ポートを作成する場合は, LAT$SYSTARTUP.COM ファイルのサンプル・コマンドの前にある感嘆符(!) を削除します。あるいは,必要に応じてサンプル・コマンドと同様の CREATE PORT コマンドおよび SET PORT コマンドをファイルに追加します。 LATCP ユーティリティのコマンド CREATE PORT および SET PORT については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

注意

アプリケーション・ポートおよび専用ポートは,LATCP ユーティリティのコマンド SET NODE/STATE=ON を実行した 後で作成するようにしてください。それにより,非ページング・プール・メモリの使用量が最小限に抑えられ,ポートを重複して作成することがなくなります。

LCP CREATE PORT LTA5001:/APPLICATION などのコマンドを使用してアプリケーション・ポートを作成しようとしているとき,次のようなエラーが発生する場合があります


%LAT-W-CMDERROR, error reported by command executor 
-SYSTEM-F-DUPLNAM, duplicate name 

このエラーは,作成しようとしている LAT アプリケーション・ポートが他のアプリケーションによってすでに作成されていることを示します。このポートは,LATCP 自身が作成したものである場合もあります。 LATCP のポート LATCP$MGMT_PORT は, LTDRIVER と通信を行うときに使用されます。

このエラーが発生しないようにするためには,アプリケーション・ポートまたは専用ポートを作成するどのコマンドを実行するよりも前に, SET NODE/STATE=ON コマンドを実行します。 LATCP の SET NODE/DEVICE_SEED コマンドを使用する方法もあります。 SET NODE/DEVICE_SEED コマンドについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

26.6.2.1 プリンタの設定

プリンタ用のポートを設定する場合は,以下の作業も同時に行う必要があります。

  1. プリンタ用のスプール出力キューを作成する。

  2. 作成したスプール出力キューを起動するコマンドを,他のキューを起動するスタートアップ・コマンド・プロシージャまたは汎用のサイト別コマンド・プロシージャに追加する。

これらの作業については, 第 14 章 で説明しています。

26.6.2.2 特殊アプリケーション・サービスの設定

特殊アプリケーション・サービスを確立するためには, LAT ポートを定義するときに /DEDICATED 修飾子を指定します。サービスの接続先のアプリケーション・プログラムで,同じ専用ポートを定義する必要があります。たとえば,次のコマンドは NEWS というアプリケーション・サービスのためのポートを設定します。


$ LCP :== $LATCP 
$ LCP CREATE PORT LTA333:/DEDICATED 
$ LCP SET PORT LTA333:/SERVICE=NEWS 

アプリケーション・サービスを LAT ネットワーク上のユーザ・ターミナルから利用可能にするためには,アプリケーション・プログラムを起動する必要があります。通常は,アプリケーション起動のためのコマンドを SYLOGIN.COM に追加します。

26.6.2.3 制限されたサービスの設定

専用ポートを持ったアプリケーション・サービスを使用すると,システムが提供するプロセスの制御下にある LTA 装置 (LAT ターミナルなど) を,あらかじめ決まった数だけ作成できます。ただし,このような環境では,専用 LTA 装置がシステム・ログイン・イメージ (LOGINOUT.EXE) を実行する方法がないので,ユーザはサービスにログインできません。

制限されたサービスを作成して,このサービスに関連する,あらかじめ決まった数の LTA 装置にユーザがログインできるようにすることが可能です。LTA 装置がすべて使用中の場合, LAT ソフトウェアはこのサービスへの追加接続要求を拒否して,"service in use" というエラー・メッセージを表示します。このようにして制限されたサービスを作成すると,システム上の LAT ユーザの数を制限できます。ただし,ユーザが制限されたサービスに接続する際の LTA 装置の割り当て方は制御できません。

次の例は,2 つの LTA 装置を持つ制限されたサービスを設定します。


$ LCP :== $LATCP 
$ LCP CREATE SERVICE /LIMITED RESTRICTED 
$ LCP CREATE PORT LTA100 /LIMITED 
$ LCP CREATE PORT LTA101 /LIMITED 
$ LCP SET PORT LTA100 /SERVICE=RESTRICTED 
$ LCP SET PORT LTA101 /SERVICE=RESTRICTED 

ユーザが RESTRICTED という名前の制限されたサービスに接続を試みると, LAT ソフトウェアは LTA100 または LTA101 の内,最初に使用できる方を選択して,接続を完了します。これでユーザはシステムにログインできます。別のユーザがサービスに接続しようとすると,もう一方の LTA 装置に割り当てられます。このユーザは 2 番目のシステムにログインできます。 RESTRICTED という名前の制限されたサービスに関連するこの 2 つの装置が両方とも使用中であれば,この制限されたサービスへのこれ以降の接続要求は拒否されて,エラー・メッセージ "service in use" が表示されます。

ユーザがシステム (LTA100 または LTA101) からログアウトしても, LTA 装置は削除されません。制限されたサービスへの次の接続要求を受け付けられるように再設定されます。

26.6.3 外部からの接続要求のキュー登録

省略時の設定では,制限されたサービスまたはアプリケーション・サービスへの外部からの接続要求はキューに登録されます。つまり,ユーザが (順方向キュー登録が可能なターミナル・サーバ・ポートを使用するか,または DCL コマンド SET HOST/LAT/QUEUE を入力して) 制限されたサービスまたはアプリケーション・サービスへの接続を要求すると,サービスでポートが使用できない場合には, LAT ソフトウェアはこの接続要求を拒否するのではなくキューに登録します。

作業方法

外部からの接続要求をキューに登録するサービスは,次のような設定および管理を行うことができます。

キュー登録要求のサポートに使用する LATCP コマンドおよび修飾子の詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。


次は,システム上でのキュー登録の許可方法を示す例です。


$ LCP :== $LATCP 
$ LCP SET SERVICE /QUEUE 

注意

システムがキュー登録された接続要求を処理するように構成されている場合は,次の設定を行ってキュー接続の失敗を防ぐ 必要があります。

  • 外部からおよび外部への接続を許可する。

  • ユーザ・グループ・コードおよびサービス・グループ・コードを同一にする。

26.6.4 外部への LAT 接続の許可

各ノードの省略時の設定では,外部への LAT 接続は不可能になっています。各ユーザがSET HOST/LAT コマンドによりローカル・ノードから LAT 接続を確立することを許可する場合は,外部への接続が可能になるように LAT$SYSTARTUP.COM を変更します。 SET HOST/LAT コマンドを使って外部への LAT 接続を行う方法についての詳細は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』にあるこのコマンドの説明を参照してください。

外部への接続を可能にするコマンドは,コンパックが提供する LAT$SYSTARTUP.COM ファイルに含まれています。実行したいコマンドがあれば,その前に付いている感嘆符(!) を削除します。あるいは,必要に応じて同様のコマンドをこのファイルに追加します。詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の中の LATCP ユーティリティのパートにある,SET NODE コマンドの修飾子 /CONNECTIONS および /USER_GROUPS の説明を参照してください。

SET HOST/LAT の性能を最適化し,ポートの性能を向上させるためには,システム・パラメータTTY_ALTYPAHD の値を 1,500 に設定して再ブートします。

ローカル・ノードを外部からの接続だけが可能なサービス・ノードとして設定する場合は, LAT$SYSTARTUP.COM を変更する必要はありません。ただし,次の場合は LAT$SYSTARTUP.COM を変更します。

26.6.5 LAT$SYSTARTUP.COM プロシージャの変更例

次に示すのは, LAT$SYSTARTUP.COM プロシージャを変更した例です。この変更により,サービスの定義,ポートの作成と設定,外部からおよび外部への両方向の接続の許可が行われます。


$! 
$!    LAT$SYSTARTUP.COM -- LAT Startup Commands Specific to Site 
$! 
$!    Use this command procedure to customize the LAT characteristics for 
$!    the local node.  These commands, which should serve as examples, 
$!    will set up a LAT service name SYS$NODE and default identification 
$!    SYS$ANNOUNCE.  The LAT service name and identification will default 
$!    to SYS$NODE and SYS$ANNOUNCE unless you specify a service name and 
$!    identification as arguments to the command line that invokes 
$!    LAT$STARTUP.COM: 
$!                    $ @SYS$STARTUP:LAT$STARTUP 
$! 
$!    You can specify other node and service characteristics (such as group 
$!    codes) as arguments to this command line, as shown below. 
$! 
$!        Argument     Function 
$!        ---------    -------- 
$! 
$!           P1        Name of the service to be created.  If not supplied, a 
$!                     service will be created with the same name as the node. 
$! 
$!        P2,P3,P4     Parameters and qualifiers to the SET NODE command. 
$! 
$!           P5        Parameters and qualifiers to the SET SERVICE command. 
$!                     P5 is only used if P1 is specified.  More than one 
$!                     argument may be supplied by enclosing the string in 
$!                     quotes. 
$! 
$!    Example: $ @SYS$STARTUP:LAT$STARTUP HAWK "/IDENTIFICATION=" - 
$!                      """""Development node""""" 
$! 
$!    Please review and edit this file for possible additions and deletions 
$!    that you wish to make.  Future software updates will not overwrite the 
$!    changes made to this file. 
$! 
$ required_privileges = "OPER" 
$ prev_privs = f$setprv(required_privileges) 
$ if .not. f$privilege(required_privileges) then goto no_privileges 
$ lcp := $latcp 
$! 
$! ---------------------  Modify Node Characteristics  ------------------------ 
$! 
$ lcp set node 'p2' 'p3' 'p4' 
$! 
$! Some examples: 
$! 
$! ** Allow incoming connections only 
$! 
$! lcp set node /connections=incoming /groups=(enable=(12,40,43,73),disable=0) 
$! lcp set node /connections=incoming /groups=enable=(0-255) 
$! 
$ LCP SET NODE /CONNECTIONS=INCOMING /GROUPS=(ENABLE=(12,40,43,73),DISABLE=0) 
$! 
$! ** Allow outgoing connections only 
$! 
$! lcp set node /connections=outgoing /user_groups=enable=(24,121-127) 
$! lcp set node /connections=outgoing /user_groups=(enable=0-255) /node_limit=50 
$! 
$! ** Enable incoming and outgoing connections 
$! 
$! lcp set node /connections=both /group=enable=(43,73) /user=enable=(44,56) 
$! lcp set node /connections=both /group=enable=(0-255) /user=enable=(0-255) 
$! 
$! 
$! --------------------  Modify Service Characteristics  ---------------------- 
$! 
$ if p1 .eqs. "" 
$ then 
$    lcp create service 
$ else 
$     lcp create service 'p1' 'p5' 
$ endif 
$! -------------------------  Start LAT Protocol  ----------------------------- 
$! 
$ lcp set node /state=on 
$! 
$! 
$! -------------------------  Create and Map Ports  --------------------------- 
$! 
$! Some examples: 
$! 
$! lcp create port lta101: /dedicated 
$! lcp create port lta102: /application 
$! lcp create port lta103: /application 
$! lcp create port /nolog/logical=(name=ln03$mgmt, table=system, mode=executive) 
$ 
$ LCP CREATE PORT LTA1: /NOLOG 
$ LCP CREATE PORT LTA20: /NOLOG 
$ 
$! lcp set port lta101: /dedicated /service=graphics 
$! lcp set port lta102: /node=server_1 /port=port_1 
$! lcp set port lta103: /node=server_2 /service=laser 
$! lcp set port ln03$mgmt: /node=server_3 /service=ln03_printers 
$! 
$ LCP SET PORT LTA1: /APPLICATION/NODE=TERM_SERVER_1 /PORT=PORT_6 
$ LCP SET PORT LTA20: /APPLICATION/NODE=TERM_SERVER_2 /PORT=PORT_6 
$! 
$exit: 
$ prev_privs = f$setprv(prev_privs) 
$ exit 
$! 
$no_privileges: 
$ write sys$output "Insufficient privileges to execute LATCP commands." 
$ write sys$output "Requires ",required_privileges," privileges." 
$ goto exit 

26.7 LATACP データベースのサイズの管理

OpenVMS ノード上では,LAT ソフトウェアの別のコンポーネントである LAT 補助制御プロセス (LATACP) によって,利用可能なノードとサービスのデータベースが保守されます。このデータベースには,遠隔 LAT ノードからマルチキャストされたノードとサービス,あるいは,ローカル・システムで定義したローカル・ノードと 1 つ以上のローカル・サービスが登録されます。このデータベースのサイズの上限は,システム・パラメータ CTLPAGES の値に依存します。

LATCP コマンドの入力後,次のような応答メッセージを受け取ることがあります。


%LAT-W-CMDERROR, error reported by command executor 
-LAT-F-ACPNOCTL, insufficient resources - ACP CTL/P1 space limit reached 

このメッセージは,データベースのサイズが CTLPAGES で指定されている上限に達したことを示します。次にいずれかの方法でこの状態を修正することができます。


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