Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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C.1.2 DSM サブエージェントを使用するためのシステム設定

システムで SNMP を構成し,マスタ・エージェントが SNMP クライアントからの SET コマンドを受け付けることを許可するには,次に示す TCP/IP Services 管理コマンドを TCPIP>プロンプトから実行します。この操作には, SYSPRV 特権または BYPASS 特権が必要です。


TCPIP> SET CONFIGURATION SNMP /FLAGS=SETS 

ローカルの MIB データに対するアクセスの種類を許可または禁止するには,次に示すコマンド,修飾子,オプションを使用します。


TCPIP> SET CONFIGURATION SNMP /[NO]COMMUNITY="名前" - 
_TCPIP> /[NO]ADDRESS=ホスト・アドレス - 
_TCPIP> /TYPE=[NO]READ,[NO]TRAP,[NO]WRITE 

例えば,次に示すコマンドでは,SNMP を構成し,コミュニティ名とアドレスを指定して,コミュニティのメンバからの SET コマンドをエージェントが受け付けられるように指定し,かつ,マスタ・エージェントがコミュニティのメンバに対してトラップ・メッセージを送信することを許可します (TRAP または WRITE を指定すると,READ アクセスもあると想定されている)。


TCPIP> SET CONFIGURATION SNMP /COMMUNITY="public" /ADDRESS=128.45.2.8 - 
_TCPIP> /TYPE=TRAP,WRITE 

管理者のために,次に示すファイルには,DSM サブエージェントの起動,稼働,シャットダウンを行うエントリのサンプルが含まれています。

必要に応じて,上記のファイル内で SVRSYSTEM_MIB エントリを検索し,変更してください。また, GOTOエントリを削除する必要もあります。この GOTO文があると,これらのコマンド・プロシージャはすぐに終了してしまいます。

C.2 Compaq Cluster MIB サブエージェント

Compaq Cluster MIB (DCM) は,OpenVMS Cluster システムに関する管理情報を配布する,プライベートなコンパックの管理情報ベースです。

DCM は,次のような 2 つの拡張部分またはサブエージェントから構成されています。

拡張部分 説明
システム 標準 MIB では定義されていない,クラスタ・システム情報への管理インタフェース
管理 整数変数に対するしきい値を検出し,監視する機能を含む,コンパック拡張エージェントにある機器

標準の SMI (Structure of Managed Information) 規定に含まれる DCM の表記は,次のとおりです。


 
iso(1) org(3) dod(6) internet(1) private(4) enterprises(1) 36 

OpenVMS Alpha バージョン 7.2 は DCM サブエージェントを実装しています。 DCM サブエージェントがあると,次のような OpenVMS Cluster システムについての状態情報をリモートから決定することができます。

DCM サブエージェントにアクセスするには,次のソフトウェアを使用します。

これ以降の項では,DCM サブエージェントと,システムでのその設定方法を説明します。

C.2.1 DCM サブエージェントの概要

DCM サブエージェントは,DCM オブジェクト --- ネットワーク管理者が関わるデータ項目 --- または,トラップ --- 状態の変更についての情報 --- に対する SNMP 要求に応答します。サブエージェントは,このようなオブジェクトやトラップに関連するデータの報告や保守を担当します。

DCM サブエージェントは, 表 C-4 にあるオブジェクトを実装しています。オブジェクトは,それぞれ, OpenVMS Cluster システムに関連する情報を戻します。ネットワーク管理者はこれらに対して ServerWORKS Manager 経由でアクセスできます。

表 C-4 OpenVMS上に実装された DCM サブエージェント・オブジェクト
オブジェクト データ型 アクセス 説明
クラスタ情報
svrCluSoftwareVendor DisplayString 読み込み専用 クラスタ・ソフトウェア・ベンダ名。現在の値は Digital。
svrCluSoftwareVersion DisplayString 読み込み専用 クラスタ・ソフトウェア・バージョン。これは OpenVMS バージョンの文字列である。
svrCluSoftwareStatus ClusterStatus 読み込み専用 クラスタ・ソフトウェアの状態。可能な値は running および not running。
svrCluClusterType ClusterType 読み込み専用 稼働中のクラスタの型。現在の値は OpenVMS。
svrCluExtensionOID Object Identifier 読み込み専用 MIB に対する認可された ID。このような識別子が存在しない場合には,値 {0.0} が戻される。
svrCluThisMember Integer 読み込み専用 このノードに対応するメンバ・テーブル (svrCluMemberTable) へのインデックス。
SMNP トラップ
svrCluMemberAdded Trap Packet 読み込み専用 クラスタ・メンバが追加されたときに作成される。
svrCluMemberDeleted Trap Packet 読み込み専用 クラスタ・メンバが削除されたときに作成される。
ノード固有情報
svrCluMemberIndex Integer 読み込み専用 エントリに固有なインデックス。svrCluMemberIndex の値は,少なくとも,管理対象のノードにあるネットワーク管理システムの再ブートまでは一定なままである必要がある。可能な場合,この値には,システムが本来持っているメンバ識別子を反映すべきである。
svrCluMemberName DisplayString 読み込み専用 このクラスタ・メンバの SCS ノード名。長さ 0 の値は,メンバのノード名が未知であることを意味する。この名前は,必ずしもアドレスに置き換えられるわけではない。
svrCluMemberComment DisplayString 読み込み専用 これは,$GETSYI システム・サービスによって戻される,ノードのハードウェア名である。
svrCluMemberStatus MemberStatus 読み込み専用 このメンバの状態。可能な値は normal と removed である。
svrCluMemberAddressIndex Integer 読み込み専用 このアドレスに対するインデックス。
svrCluMemberAddress IPAddress 読み込み専用 このクラスタ・メンバの IP アドレス。このアドレスは,クラスタには構成されていないノードからは到達できない可能性がある。

C.2.2 DCM サブエージェントを使用するためのシステム設定

管理者のために,次に示すファイルには,DCM サブエージェントの起動,稼働,シャットダウンを行うエントリのサンプルが含まれています。

必要に応じて,上記のファイル内で SVRCLUSTER_MIB エントリを検索し,変更してください。また, GOTOエントリを削除する必要もあります。この GOTO文があると,これらのコマンド・プロシージャはすぐに終了してしまいます。


付録 D
OpenVMS Registry の管理

OpenVMS Registry Server は,OpenVMS Registry Database を管理するためのものです。

OpenVMS Registry の最新情報については,『OpenVMS コネクティビティ開発者ガイド』を参照してください。本書は,COM for OpenVMS キットの一部として,また,OpenVMS Web サイト (www.compaq.com/openvms) の OpenVMS マニュアルのエリアから入手することができます。

ここでは,OpenVMS Registry サーバのインストールと管理方法を説明します。これは, OpenVMS バージョン 7.3 システムのインストール作業の一部です。

D.1 OpenVMS Registry へのアクセス

OpenVMS Registry データベースは, OpenVMS Registry サーバを初めて起動したときに作成されます。あらかじめ, SYS$REGISTRY論理名を定義してから OpenVMS Registry サーバを起動する必要があります。 SYS$REGISTRY論理名を定義しておかないと, OpenVMS Registry サーバは起動しません。

COM API を使用して OpenVMS Registry にアクセスするには, COM for OpenVMS をインストールする必要があります。

Windows NT のアプリケーションである RegEdt32を使用して OpenVMS Registry にアクセスするには,まず, Advanced Server for OpenVMS をインストールし,設定して,起動させる必要があります。詳細は, Advanced Server for OpenVMS のドキュメントを参照してください。

OpenVMS Registry には, OpenVMS Registry サーバ管理ユーティリティ,または OpenVMS バージョン 7.2-1 以降で OpenVMS Registry の一部としてインストールされる OpenVMS Registry システム・サービスを使用して,アクセスすることもできます。

D.2 OpenVMS Registry の構成: REG$CONFIG Configuration ユーティリティ

OpenVMS Registry Configuration ユーティリティ (REG$CONFIG) は, OpenVMS Registry のサーバ状態および OpenVMS Registry のデータベース位置に関する情報を提供し,ユーザが OpenVMS Registry の論理名およびパスを変更できるようにしています。

次のコマンドを入力すると, OpenVMS Registry Configuration ユーティリティが開始されます。


  $ @SYS$MANAGER:REG$CONFIG 

システムは,次のメニューを表示します。


--------------------------------------------------------- 
 
        OpenVMS Registry Configuration Utility 
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
        1 - Configure OpenVMS Registry logical names and directory paths 
 
        2 - Display OpenVMS Registry logical names and directory paths 
 
        3 - Check the state of the OpenVMS Registry server 
 
        4 - Start the OpenVMS Registry server on this node 
 
        H - Help about this utility 
 
       [E] - Exit 
 
Please enter your choice : 
--------------------------------------------------------- 

オプションを選択するには,オプション番号を入力します。オプションは,次のとおりです。

ヒント: Q (Quit) はいつでも入力できる

どのプロンプトからでも, Qを入力すると, OpenVMS Registry Configuration ユーティリティ・メニューに戻ります。

論理名を構成している途中で取り消し終了すると,システムは,それまでに確認メッセージを表示したものの値についてのみ,更新します。

D.2.1 OpenVMS Registry の値の構成

システムは,次のような質問を表示します。

  1. システムは,スタンドアロンまたはクラスタの情報を入力するよう指示します。次のメッセージを,システムは表示します。


     Is this system now a node in a cluster or will this system 
     become part of a cluster? (Y/N/Q): 
    

  2. システムは, REG$TO_BE_STARTED論理値に関する現在の情報を表示し,次に,その値を変更するよう指示します。


                 - REG$TO_BE_STARTED - 
     
       [current value of REG$TO_BE_STARTED]
     
            NOTE: Setting this logical to TRUE starts the OpenVMS Registry 
              server automatically when the system boots. Setting this logical 
              to FALSE prevents the OpenVMS Registry server from starting 
              when the system boots and prevents other products from starting 
              the OpenVMS Registry server. If the OpenVMS Registry Server is not 
              started at boot time, but other products that require an OpenVMS 
              Registry server are able to start the OpenVMS Registry server, you 
              do not need to assign a value to this logical. 
     
    Do you want to change this value? (Y/N/Q) [Y]: 
    


    Yを選択すると,システムは,新しい値を入力するよう指示します。


     Enter the new value (TRUE/FALSE/NOVAL/Q): 
    


    次のうちいずれか 1 つを入力します。

    処理
    再ブート時に OpenVMS Registry サーバを開始する。他の製品が OpenVMS Registry サーバを開始できるようにする。 TRUE
    再ブート時に OpenVMS Registry サーバを開始しない。他の製品が OpenVMS Registry サーバを開始できるようにしない。 FALSE
    再ブート時に OpenVMS Registry サーバを開始しない。他の製品が OpenVMS Registry サーバを開始できるようにする。 (論理名の割り当てを解除する。) NOVAL
    この処理を取り消し終了し, OpenVMS Registry Configuration ユーティリティ・メニューに戻る。 Q


    In which logical name table do you want the logical defined? 
           (SYSTEM/SYSCLUSTER/CLUSTER/Q) : 
    


    次のうちいずれか 1 つを入力します。

    処理
    REG$TO_BE_STARTED 論理名を LNM$SYSTEM 論理名テーブルに追加する。このテーブルには,システム内のすべてのプロセスで共用される名前が含まれる。 SYSTEM
    REG$TO_BE_STARTED 論理名を LNM$SYSCLUSTER 論理名テーブルに追加する。このテーブルには, OpenVMS Cluster 内のすべてのプロセスで共用される名前が含まれる。 SYSCLUSTER
    REG$TO_BE_STARTED 論理名を LNM$CLUSTER 論理名テーブルに追加する。このテーブルは,クラスタ全体のすべての論理名テーブルの親テーブルである。 CLUSTER
    この処理を取り消し終了し, OpenVMS Registry Configuration ユーティリティ・メニューに戻る。 Q


    新しい値や更新した値を入力すると,システムは変更内容を確認し, SYLOGICALS.COM ファイルに追加しなければならない行を表示します。


            The logical REG$TO_BE_STARTED has been temporarily defined. 
            Before you reboot the system you must edit your SYLOGICALS.COM 
            to include the line: 
     
            DEFINE/TABLE=table-name REG$TO_BE_STARTED value
     
    Press [Enter] to continue. 
    

  3. システムは SYS$REGISTRY論理値に関する現在の情報を表示し,次に,値を変更するよう指示します。


                 - SYS$REGISTRY logical - 
     
       current value of SYS$REGISTRY
     
            Note: When the OpenVMS Registry server is started, the system 
              creates an OpenVMS Registry database at this location. 
              If an OpenVMS Registry database already exists on your system, 
              you must redefine the SYS$REGISTRY logical to point to the 
              existing OpenVMS Registry database location. 
     
    Do you wish to change this value? (Y/N/Q) [Y]: 
    


    Yを選択すると,システムは新しい値を入力するよう指示します。


    Enter the new value for SYS$REGISTRY ("yourvalue"/NOVAL/Q): 
    


    次のうちいずれか 1 つを入力します。

    処理
    OpenVMS Registry データベースの新しい位置または変更した位置を定義する。 DKA0:[SYS$REGISTRY] のような有効なディレクトリ指定
    論理名の割り当てを解除する NOVAL
    この処理を取り消し終了し, OpenVMS Registry Configuration ユーティリティ・メニューに戻る。 Q

  4. システムは更新された値を表示し,値を確認するよう指示する。


     You have entered:  value 
     Is this correct? (Y/N/Q) [Y]: 
    

  5. システムは,新しい論理値または更新された論理値を格納する論理名テーブル名を入力するよう指示する。


    In which logical name table do you want the logical defined? 
           (SYSTEM/SYSCLUSTER/CLUSTER/Q): 
    


    次のうちいずれか 1 つを入力します。

    処理
    SYS$REGISTRY 論理名を LNM$SYSTEM 論理名テーブルに追加する。このテーブルには,システム内のすべてのプロセスで共用される名前が含まれる。 SYSTEM
    SYS$REGISTRY 論理名を LNM$SYSCLUSTER 論理名テーブルに追加する。このテーブルには, OpenVMS Cluster 内のすべてのプロセスで共用される名前が含まれる。 SYSCLUSTER
    SYS$REGISTRY 論理名を LNM$CLUSTER 論理名テーブルに追加する。このテーブルは,クラスタ全体のすべての論理名テーブルの親テーブルである。 CLUSTER
    この処理を取り消し終了し, OpenVMS Registry Configuration ユーティリティ・メニューに戻る。 Q


    新しい値や更新した値を入力すると,システムは変更内容を確認し, SYLOGICALS.COM ファイルに追加しなければならない行を表示します。


            The logical SYS$REGISTRY has been temporarily defined. 
            Before you reboot the system you must edit your SYLOGICALS.COM file 
            to include the line: 
     
            DEFINE/TABLE=table-name SYS$REGISTRY dir-spec
     
    Press [Enter] to continue. 
    


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