OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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2.11 システムからのログアウト

システムを使用し終わったら,必ずログアウトしてください。これは,登録されていないユーザがアカウントやシステムにアクセスできないようにするためです。また,ログアウトすると,必要がなくなった資源を他のユーザが使用できるようになるので,システム資源も無駄になりません。

ログアウトするには,DCL プロンプトに対して LOGOUT コマンドを入力します。


$ LOGOUT [Return]

システムは次のようなメッセージを表示し,ログアウトしたことの確認メッセージを表示します。


$ LOGOUT [Return]
HARRIS logged out at 11-DEC-1996  12:42:48.12

システムからログアウトできるのは, DCL プロンプト ($) が出ているときだけです。プログラムをコンパイルしていたり実行しているとき,テキスト・エディタ (EDT や EVE など) を使用しているとき,ユーティリティ (Mail など) を実行しているときには LOGOUT コマンドは入力できません。まず,プログラム,エディタ,ユーティリティを終了し,システムが DCL プロンプトを出してはじめて,ログアウトできます。

2.11.1 アカウント情報の取得

どのくらいターミナルを操作したか (経過時間),どのくらいコンピュータを使用したか (CPU 使用時間) などのアカウント情報を知るには,DCL プロンプトに対して LOGOUT/FULL を入力します。


$ LOGOUT/FULL [Return]

次のような情報が表示されます。


SIMPSON logged out at 11-DEC-1996  12:42:48.12 
 
Accounting information: 
 Buffered I/O count:      8005   Peak working set size:    212 
 Direct I/O count:         504   Peak virtual size:        770 
 Page faults:             1476   Mounted volumes:            0 
 Charged CPU time:0 00:00:50.01  Elapsed time:0 02:27:43.06

2.11.2 リモート・セッションの終了

リモート・セッションは次の2種類の方法で終了できます。

リモート・セッションを終了すると, "%REM-S-END, control returned to node NODENAME::" というメッセージが表示され,リモート・ノード接続を確立したシステムのプロセスに戻ります。

2.11.3 ネットワーク接続の消失

リモート・システムとのネットワーク接続が失われた場合には, DECnetは通信を再確立するときにデータを再送します。 DECnetが前もって決められた時間切れの時間内に通信を再確立できない場合には,リモート・システムとの接続は終了し,"Path lost to partner"というメッセージが表示されます。

2.12 システム・セキュリティを損なわずにログアウトする

セッションからログアウトすると,システム資源を節約でき,ファイルを保護できます。ターミナルをオンライン状態のままにしておくと,内部的な侵入の最大の原因になります。ターミナルをオンラインにしたまま,オフィスを開放しておくことは,自分のパスワートや特権を人に教えてしまうのと同じであり,自分のファイルやグループの他のメンバのファイルが保護されなくなります。このような場合,アカウントを介してアクセス可能なファイルはすべて,誰もが簡単に転送できます。また,ユーザのファイルや,そのユーザが書き込みアクセス権を持つ他のファイルを,内部の人間が悪意で削除したり,ファイル名を変更することもできます。特殊な特権がある場合,特にFilesカテゴリやAllカテゴリの特権がある場合には,悪意のあるユーザが大きな損害を与える可能性もあります。

たとえ短時間でもオフィスを離れるときは,ログアウトしてください。リモート・ログインを実行した場合には,それぞれのノードからログアウトしなければなりません。

2.12.1 ターミナル画面を消去する理由

ユーザ名,ノード名,オペレーティング・システムのバージョン番号を誰にも知られないようにするために,ターミナルをログアウトするたびに,画面を消去してください。リモート・ログインの後にログアウトする場合には,元のノードの名前(ローカル・ノード)もわかってしまいます。ネットワークを介してリモート・ノードの複数のアカウントにアクセスする場合には,ログアウト・コマンドの最後のシーケンスを見れば, (もっとも遠くにあるノード以外の)すべてのノードと,それぞれのノードでアクセス可能なユーザ名がわかります。プロンプトやログアウト・メッセージからオペレーティング・システムを認識できる場合には,オペレーティング・システムのバージョン番号もわかってしまいます。

システムによっては,次のようにして,ログアウト・メッセージの他には何も画面に残さないようにすることが必要です。

画面を消去すると,カーソルは画面の一番上のDCLプロンプトの横に表示されます。プロンプトに対してDCLのLOGOUTコマンドを入力します。このようにすれば,ログアウト後に表示される情報は,ログアウト・コマンドとログアウト完了メッセージだけです。次の例を参照してください。


$ LOGOUT
  RDOGWOOD     logged out at 11-DEC-1996 19:39:01.43

2.12.2 ハードコピー出力の破棄

ハードコピー・ターミナルからログアウトした後,セキュリティ情報が漏れる可能性のあるすべてのハードコピー出力を抹消するか,ファイルに保存するか,破棄してください。セキュリティ管理者が適切な方法を指示するはずです。多くのサイトでは,シュレッダや施錠したごみ箱を使用しています。保管する予定の出力の取り扱いには注意してください。

ログアウトする前にシステムで障害が発生した場合でも,ハードコピー出力は破棄してください。また,システムが初期化されるときに席を離れる場合には,ターミナルの電源を切ってください。

2.12.3 ダイアルアップ回線への接続の切断

セキュリティ管理者は,ログアウトするときにダイアルアップ回線への接続を切断するようにユーザに指示することがあります。ラインをすぐに使用する予定がない場合には, LOGOUTコマントに/HANGUP修飾子を指定してください。 /HANGUP修飾子を指定すると,ログアウトした後,ダイアルアップ回線への接続が自動的に切断されます。

注意

/HANGUP修飾子が有効であるかどうかは,システム管理者がモデム回線をどのように構成しているかと,回線がコンピュータにどのような方法で接続されているかに応じて異なります。ターミナル・サーバに接続された回線では,この修飾子は機能しません。

ダイアルアップ回線への接続を切断しておく理由は次のとおりです。


第 3 章
DIGITALコマンド言語:システムとの会話

本章では,DIGITAL コマンド言語の使用方法について説明します。特に次のことについて説明します。

詳細情報については,次のものを参照してください。

3.1 DCL コマンドの使用方法

DIGITAL コマンド言語 (DCL) は,オペレーティング・システムに特定の操作を実行させる命令からなります。

DCL コマンドを使用すると,次のことが行えます。

3.1.1 コマンドの入力

DCL コマンドを入力するためには, DCL プロンプト($)に対してコマンドを入力してから Return を押します。 DCL は大文字と小文字を区別しません。したがって,コマンドは大文字または小文字のどちらでも入力できます。

パラメータがスラッシュ(/)やアットマーク(@)を含んでいる場合は,そのパラメータを引用符(" ")で囲む必要があります。

たとえば,DCL コマンドSHOW TIME を使用する場合には,次のコマンドを入力します。


$ SHOW TIME [Return]

現在の日付と時間が表示された後 DCL プロンプトに戻るので,別のコマンドを入力できます。


11-DEC-1996  15:41:43 
$ 

次の表は,いくつかの一般的なシステム操作を実行する場合に使用される DCL コマンドを示しています。

コマンド 操作
COPY 指定されたファイルをコピーする。
CREATE ファイルまたはディレクトリを作成する。
DELETE 指定されたファイルをディレクトリから削除する。
DIRECTORY ディレクトリの内容 (ファイルのリスト) を表示する。
EDIT テキスト・ファイルの内容を調べて変更する。
LOGOUT セッションを終了する。
PRINT 指定されたファイルをプリンタに送って印刷する。
RENAME 指定されたファイルの名前または位置を変更する。
SET 画面上でのシステムの表示のしかたを制御する。
SHOW システムの状態を表示する。
TYPE 指定されたファイルの内容を画面に表示する。

3.1.2 キー・シーケンス

このような DCL コマンドに加えて,キーの組み合わせを使用してもタスクを実行できます。キーの組み合わせは,別のコマンドを処理しながらシステムを使用するための手段です。

キーの組み合わせを入力するためには, Ctrl キーを押しながらもう 1 つのキーを押します。

3.1.3 一般的に使用されるキー・シーケンス

次の表に,キーの組み合わせをいくつか示します。この他のキーの組み合わせは, 第 3.11 節 で示します。

キーの組み合わせ 機能
Ctrl/C コマンド入力時に,コマンド処理を取り消す。 Ctrl/C を押すと,画面上に Cancel という文字列が表示される。
Ctrl/Y コマンド処理に割り込む。 Ctrl/Y を押すと,画面上に Interrupt という文字列が表示される。
Ctrl/T 現在のプロセスについての情報を表示する。ただし,システムが一時的に応答不能になっている場合や NOBROADCAST に設定されている場合は表示されない。 Ctrl/T の使用についての詳しい説明は, 第 2.9 節 を参照。

3.2 DCL コマンドの構成

話し言葉と同じように,DCL は, (語彙) と語順 (構文または形式) から構成されます。ここでは,この 2 つの要素について説明するとともに,有効な DCL コマンドの構成方法について解説します。

次の例は,DCL コマンド行の一般形式と各要素を示しています。


 $  PRINT/COPIES = 5  GROCERY.LIS  [Return]
(1) (2)    (3)    (4)     (5)        (6)

DCL コマンド行の各要素について説明します。

  1. DCL プロンプト

    省略時の DCL プロンプトはドル記号 ($) である。 DCL と会話している場合,DCL のコマンド受け入れ準備が整うと,このプロンプトが表示される。

  2. DCL コマンド

    コマンドの名前を指定する。コマンドは,組み込みコマンド・プログラムを起動するコマンド,フォーリン・コマンドのいずれかである。この例では,DCL コマンドは PRINT である。

  3. 修飾子

    コマンドの処理内容を詳細に指定する。コマンド全体を変更する修飾子もあれば,特定のコマンド・パラメータ だけを変更する修飾子もある。また,値を取る修飾子もある。修飾子の前には,常にスラッシュ (/) が付く。この例では,修飾子は /COPIES である。

  4. 修飾子をさらに詳細に指定する。多くの場合,値の前には等号 (=) が付く。値としては,ファイル指定,文字列,数値,DCL キーワードを指定できる。キーワードとは,特定の構文形式で使用するために予約された語のことである。
    この例では,値は 5 (5 部) になっている。

  5. パラメータ

    コマンドの処理内容を指定する。パラメータは,決まった順序でコマンドに指定しなければならない。パラメータ値としては,ファイル指定,キュー名,論理名などを指定できる。

  6. Return キー

    Return キーは,DCL コマンド行の最後にくるもので,「コマンドを実行せよ」とシステムに知らせる。

3.2.1 コマンド行の他の項目

その他に次の項目も,DCL コマンド行で使用可能です。


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