日本語 Compaq DECwindows Motif for OpenVMS
インストレーション・ガイド


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A.1.5.1 必須の PCSI ECO インストール後のアップグレード問題

必須の POLYCENTER ソフトウェア・インストレーション・ユーティリティ ECO をインストールすると,システムは, PCSI ユーティリティのこのバージョンで提供される新機能を使用するようになります。この新機能を利用するレイヤード製品がインストールされている場合,このユーティリティを古いバージョンに戻すことはできません。ソフトウェア製品データベース内に,このユーティリティの古いバージョンでは解釈できないレコードがあるため,制限が生じます。

PCSI ECO をインストールした後に DECwindows Motif をインストールし,その後 OpenVMSOpenVMS オペレーティング・システムに対してある種のアップグレードを行うと,制限が生じることになります。次の手順で,この問題が生じる状況を説明します。

  1. OpenVMS V6.2,6.2--1H1,6.2--1H2,6.2--1H3,7.1,7.1--1H1,または 7.1--1H2 システム上に PCSI ECO キットをインストールします。
  2. DECwindows Motif V1.2--6 ソフトウェアをインストールします。
  3. OpenVMS V6.2,6.2--1H1,6.2--1H2,6.2--1H3,7.1,7.1--1H1,または 7.1--1H2 にアップグレード (または再インストール) します。

項目 3 に示した OpenVMS のいずれかのバージョンにアップグレードすると,次のいずれかのエラーで失敗します (または,製品データベースで他の PRODUCT コマンド操作を行うと失敗します)。


%SYSTEM-F-ACCVIO, access violation, ... 
%PCSI-E-UNSDOCENC, unsupported product document encoding version 

PCSI ECO および DECwindows Motif のインストール後にこの障害を回避するには,次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを使用して DECwindows Motif を削除します。


    $ PRODUCT REMOVE DWMOTIF
    

  2. OpenVMS V6.2,6.2--1H1,6.2--1H2,6.2--1H3,7.1,7.1--1H1,または 7.1--1H2 にアップグレード (または再インストール) します。
  3. PCSI ECO を再インストールします。
  4. DECwindows Motif を再インストールします。

OpenVMS Alpha V7.2--1 以降または OpenVMS VAX V7.2 以降にアップグレードする場合には,この対処方法は必要ありません。これらのバージョン以降には,PCSI ECO で追加された新機能がすでに組み込まれています。

A.1.6 OSF/Motifリリース1.1.3およびXUIプログラミング・サポート

Compaq DECwindows Motif for OpenVMS V1.2--6 ソフトウェアで提供される X Window および OSF/Motifライブラリは, V1.2 より前のバージョンに付属のライブラリとの互換性がありません。実行時の互換性は維持されていますが, OSF/Motifリリース1.1.3およびXUIのプログラミング環境は,それよりあとのOSF/Motifリリース1.2のプログラミング環境との互換性はありません。

DECwindows Motifの旧バージョンで提供されていた XUIおよびOSF/Motifリリース1.1.3環境でのプログラミングは, Compaq DECwindows Motif for OpenVMS V1.2--6 製品ではサポートされていません。ただし, ( Compaq DECwindows Motif for OpenVMS V1.2--6 のインストレーション前に) システムに存在するXUIおよびOSF/Motifリリース1.1.3のプログラミング・ファイルを保管するためのオプションがあります。これらのプログラミング・ファイルの保管を選択した場合,ファイルはサブディレクトリに移され,プログラミング用にアクセスできるようになります。具体的には, 表 A-1 に示す各ディレクトリに [.DECW$113] というサブディレクトリが作成され,古いファイルが新しい [.DECW$113] サブディレクトリに移されます。

表 A-1 旧バージョンのXUIまたはMotifプログラミング環境用ディレクトリ
ディレクトリ 内容 新しい位置
DECW$INCLUDE Cヘッダ・ファイル SYS$SYSROOT:[DECW$INCLUDE.DECW$113]
SYS$SYSTEM UILコンパイラ SYS$SYSROOT:[SYSEXE.DECW$113]
SYS$LIBRARY 非C言語バインディング SYS$SYSROOT:[SYSLIB.DECW$113]

旧プログラミング環境を保存する手順についての詳細は, 付録 A.3.2.7 項 を参照してください。

注意

保存した環境を使用するための手順については,リリース・ノートの「プログラマ向けリリース・ノート」の章に説明があります。

A.1.7 設定したブックリーダ・ファイルの保管

インストレーション・プロシージャによって,次のファイルが新バージョンに置き換えられます。

SYS$SYSROOT:[DECW$BOOK]LIBRARY.DECW$BOOKSHELF

カスタマイズしたファイルを保管したい場合は, Compaq DECwindows Motif for OpenVMS V1.2--6 ソフトウェアをインストールする前に,別のディレクトリにコピーするか,名称を変更して削除されないようにします。

カスタマイズしたファイルを別のディレクトリにコピーする場合は,ディレクトリを作成して, DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM ファイルにグローバル・シンボルを定義します。

次の手順に従って, SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL] という名前のブックリーダ用のディレクトリを作成します。

  1. 次のようにディレクトリを作成し, WORLD の読み取りアクセスを指定します。


    $ CREATE/DIRECTORY/PROTECTION=WORLD:R -
    _$ SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]
    

  2. 次のように LIBRARY.DECW$BOOKSHELFファイルを新しいディレクトリにコピーします。


    $ COPY SYS$SYSROOT:[DECW$BOOK]LIBRARY.DECW$BOOKSHELF -
    _$ SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]*/LOG
    

  3. SYS$MANAGERディレクトリに DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMコマンド・ファイルが存在しない場合は,次のようにテンプレート・ファイルをコマンド・ファイルにコピーします。


    $ COPY SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE -
    _$ SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM/LOG
    

  4. DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルを編集して次の1行を追加し,グローバル・シンボルのDECW$BOOKがブックリーダのディレクトリを示すようにします。


    $ DECW$BOOK == "SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]"
    

  5. 製品のインストレーション後およびDECwindowsの起動後 (たとえば,システムのリブート後など) に手順 4 を実行した場合は,次のコマンドを使用して DECwindows Motif を再起動します。


    $ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART
    

DECwindows Motif 環境の設定手順についての詳細は,『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 環境設定の手引き』を参照してください。

A.1.8 インストレーション・プロシージャに必要な条件

この節では, PCSIおよびVMSINSTALインストレーション・プロシージャを使用して Compaq DECwindows Motif for OpenVMS V1.2--6 ソフトウェアをインストールする際に必要な条件について説明します。

インストレーション・プロシージャで,以下の点がチェックされます。

VMSINSTALインストレーションに特に必要とされる条件についての詳細は, 付録 A.3.1 項 を参照してください。

A.1.8.1 プロセス・アカウントのクォータ

インストレーション・プロシージャでは,インストールするアカウントに少なくとも 表 A-2 に示されたクォータが必要となります。

表 A-2 インストールするアカウントのプロセス・クォータ
クォータ Alpha値 VAX値
ASTLM    250     24
BIOLM    150     18
BYTLM  64,000  32,768
DIOLM    150     18
ENQLM   2,000     30
FILLM    100     20

OpenVMS AUTHORIZEユーテリィティを使用して,利用者登録ファイル(UAF)内のインストレーション・アカウントのプロセス・クォータの確認および変更を行います (サイトによっては,特定のアカウントあるいはユーザに対して, AUTHORIZEユーティリティの使用を制限している場合があります)。たとえば,インストレーション・アカウント account-name の BYTLMクォータを変更するには,次のコマンドを入力してください。


$ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
$ RUN AUTHORIZE
UAF> SHOW account-name
UAF> MODIFY account-name /BYTLM = 32768
UAF> SHOW account-name
UAF> EXIT
$ LOGOUT

インストレーション・アカウントのクォータを変更した場合は,新しい値を有効にするために一度ログアウトした後に再度ログインしてください。以上で,インストレーションに進むことができます。

ユーザ・アカウント・クォータは SYS$SYSTEM:SYSUAF.DATファイルに保存されています。アカウント・クォータを変更する手順についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

A.1.8.2 ディスク・スペース

表 A-3 を使用して, DECwindows Motif の構成要素をインストールするために必要な空きスペースがシステム・ディスクにあるかどうか確認します。ただし,すべての構成要素をインストールしない場合は,実際に使用するディスク・スペースはこれよりも少なくなります。

システム・ディスクの空きブロック数を確認するには, DCLプロンプトで次のコマンドを入力してください。


$ SHOW DEVICE SYS$SYSDEVICE

インストレーション・プロシージャは,システム・ディスクの空きスペースをチェックします。空きスペースが十分でない場合は,次のようなオプションが提供されます。

注意

インストール中に必要な空きスペースが不足すると,インストレーション・プロシージャは失敗します。

表 A-3 構成要素毎の所要ディスク・スペース (ブロック数)
構成要素 Alpha VAX
ベース・キット 1  65,818  81,891
  ランタイム・サポート 該当なし  66,021
  CDAサポート 該当なし   3,650
  Motifアプリケーション 該当なし  12,200
デスクトップ・サポート  71,066 2 該当なし
  New Desktop  47,314 該当なし
  DECwindowsデスクトップ  20,952 該当なし
  Manual pages for
New Desktop
  2,800 該当なし
プログラミング環境  63,192 3  13,500 2
  C, C++  19,916   8,190
  FORTRAN  14,792   2,187
  Pascal  15,656   3,123
  New Desktop  12,828 該当なし
サンプル・プログラム  51,652 4  12,672
  サウンド・サンプル  14,220 該当なし
  サンプル・プログラム  23,440  12,672
  New Desktopサンプル  13,992 該当なし
変換イメージ・サポート  39,632 該当なし
NCSA Mosaic 該当なし   1,200 5


合計ディスク・スペース必須:


291,360


109,263


1この数字は,ベース・キットの全ファイルを含みます。 Alphaシステムの場合,表に記載の構成要素がベース・キットにかならず同梱されています。
2この数字は,すべてのデスクトップ・サポートを含みます。小項目は,各デスクトップ・オプション毎の所要ブロック数です。
3この数字は,すべてのプログラミング言語サポートを含みます。小項目に,各言語で実際に必要なブロック数が示されています。
4この数字は,すべてのサンプル・プログラムを含みます。小項目に,各サンプル・プログラムに必要な実際のブロック数が示されています。
5NCSA Mosaic は OpenVMS VAX 5.5--2 システムでのみ使用できます。

VMSINSTALインストレーションの場合,代替作業デバイスの使用法については 付録 A.3.1.2 項 を参照してください。 DFS (Distributed File Service) の使用法については, 付録 A.3.1.3 項 を参照してください。

A.1.8.3 システム・パラメータ

表 A-4 は,インストレーションに最低限必要なシステム・パラメータ値の一覧です。ご利用のプログラムとアプリケーションの種類に応じて,一部の設定について表の値より高い値が必要となる場合もあります。

表 A-4 最低限必要なシステム・パラメータ値
システム・パラメータ Alpha値 VAX値
GBLSECTIONS      600 1      420 1
GBLPAGES   150,000 1    62,000 1
GBLPAGFIL     1,024     6,024
SWPOUTPGCNT      512      500
MAXBUF     8,192     2,048
VIRTUALPAGECNT      ---    50,000
CHANNELCNT      255      255
PROCSECTCNT       64       40
PQL_DPGFLQUOTA      ---    32,768
PQL_MPGFLQUOTA    32,768      ---
PQL_MASTLM      100      100
PQL_MBIOLM      100      100
PQL_MBYTLM   100,000    48,000
PQL_MDIOLM      100      100
PQL_MENQLM      300      200
PQL_MFILLM      100      100
PQL_MPRCLM       10        8
PQL_MWSDEFAULT     1,024      512
PQL_MWSQUOTA     2,048     1,024
PQL_MWSEXTENT     8,192     2,048
CLISYMTBL      512      256
GH_RES_CODE     1,024 2      ---
IMGREG_PAGES     2,000 2      ---
WINDOW_SYSTEM        1        1
NPAGEDYN  1,998,848   999,936
PAGEDYN   600,000   400,000
WSMAX    12,000     4,096


1グローバル・ページおよびグローバル・セクションを使用するアプリケーションをすでにインストールしてある場合は,表より高いパラメータ値が必要となることがあります。システムをブートすると, DECWindows Motif の起動時にシステムの未使用の GBLPAGES および GBLSECTIONS の値がチェックされます。 GBLPAGES および GBLSECTIONS に十分な空きがない場合は, DECwindows Motif の起動プロシージャが,警告と各パラメータの推奨値を出力します。
2このシステム・パラメータは, OpenVMS Alpha V6.2以降のシステムでのみ使用可能です。

警告

システムに,インストレーションに必要な量のグローバル・ページおよびグローバル・セクションがあることを確認しない場合, DCL テーブルが壊れる可能性があります。


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