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LPDのスタートアップおよびシャットダウン・コマンド・プロシージャは,個々のサイトで編集されていることがあります。したがって,前のバージョンからTCP/IP Services の現在のバージョンにアップグレードするときには,これらの編集結果を手動で保存しなければなりません。編集結果を保存するための手順は,OpenVMS Alphaシステム ( 第 2.6.3.1 項 を参照) とOpenVMS VAXシステム ( 第 2.6.3.2 項 を参照) で異なります。サイト固有のスタートアップとシャットダウン・コマンド・プロシージャ・ファイルを保存するには,システムのタイプに適したプロシージャを使用してください。
2.6.3.1 LPD 動作の保存 (Alpha システム)
TCP/IP Services を前バージョンに重ねてインストールするときに, LPDのスタートアップとシャットダウン・コマンド・プロシージャの編集結果を保存するには,画面に表示される指示に従います。
次に画面表示の例を示します。
The following product will be installed to destination: DEC AXPVMS TCPIPJA V5.1-15 DISK$ALPHASYS:[VMS$COMMON.] UCX product already installed. *********************************************************************** Another version of TCP/IP is installed. You must execute the following three commands before continuing with this installation: $ BACKUP SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_STARTUP.COM; - SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM; $ BACKUP SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_SHUTDOWN.COM; - SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM; $ PRODUCT REMOVE UCX *********************************************************************** |
これらの指示に従い, TCP/IP Services のインストレーションを完了すると,LPD のスタートアップおよびシャットダウン・ファイルのサイト固有の編集結果は以下のファイルに格納されています。
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM_OLD
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM_OLD
その後,サイト固有の編集結果を以下のファイルにマージします。
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SYSTARTUP.COM
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SYSHUTDOWN.COM
サイト固有のスタートアップおよびシャットダウン情報を保存するには, TCP/IP Services をインストールした後に,以下のファイルからサイト固有の編集結果をコピーします。
SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_STARTUP.COM
SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_SHUTDOWN.COM
コピー先のファイルは以下のとおりです。
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM
編集結果をマージするときには,キューUCX$LPD_QUEUEの開始と停止を行うコマンドは追加しないようにしてください。このキューはTCPIP$LPD_QUEUE に置き換えられています。TCPIP$LPD_QUEUE の開始および停止用のコマンドは LPDのスタートアップおよびシャットダウン・コマンド・プロシージャ・ファイルに含まれています。
編集結果をマージした後に,追加した LPDクライアント・キュー・スタートアップ・コマンドの /PROCESSOR修飾子の値を変更して,UCX$LPD_SMBをTCPIP$LPD_SMBで置き換えます。たとえば,次のコマンドを入力します。
LSE Command> SUBSTITUTE/ALL "ucx$lpd_smb" "tcpip$lpd_smb" |
新しいバージョンの SMTP には,これまでのバージョンとは異なる制御ファイルが含まれています。現在のバージョンの TCP/IP Services にアップグレードする前に,次のように ANALYZE ユーティリティを使って,デッド・レター (プリント・キューに登録されていない SMTP 制御ファイル) を保存しておきます。
$ UCX ANALYZE MAIL/REPAIR |
2.6.5 SNMPのスタートアップとシャットダウンの動作の保存
現在のバージョンの TCP/IP Services にアップグレードした後に,SNMPのスタートアップが正しく行われるように,以下のいずれかの操作を実行する必要があります。
ファイルUCX$SNMP_STARTUP.COMとUCX$SNMP_SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャの別バージョンを (拡張サブエージェントの起動と停止のために)カスタマイズしていた場合には,カスタマイズしたファイルを別のディレクトリに保存しておいてから, TCP/IP Services の新しいバージョンへのアップグレードを行ってください。この保存操作を行わないと,カスタマイズした変更点は失われます。
次の位置のファイルのバージョンをチェックしてください。
TCP/IP Servicesをインストールした後に,保存しておいた変更点を,インストレーション後に作成される新しいファイルに手動でマージします。詳細については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。
2.7 SNMP のインストレーションおよびセットアップに関する注意事項
以降の各項では,SNMP のインストールおよびセットアップのための手順について説明します。
2.7.1 TCP/IP Services のインストレーション時に表示される SNMP メッセージ
同じバージョンの TCP/IP Services が何度もインストールされるようなサイトでは,インストレーションのダイアログに次のような情報メッセージが表示されることがあります。
Do you want to review the options? [NO] Execution phase starting ... The following product will be installed to destination: DEC AXPVMS TCPIP T5.3-9I DISK$AXPVMSSYS:[VMS$COMMON.] The following product will be removed from destination: DEC AXPVMS TCPIP T5.3-9H DISK$AXPVMSSYS:[VMS$COMMON.] %PCSI-I-RETAIN, file [SYSEXE]TCPIP$ESNMP_SERVER.EXE was not replaced because file from kit does not have higher generation number %PCSI-I-RETAIN, file [SYSEXE]TCPIP$HR_MIB.EXE was not replaced because file from kit does not have higher generation number %PCSI-I-RETAIN, file [SYSEXE]TCPIP$OS_MIBS.EXE was not replaced because file from kit does not have higher generation number %PCSI-I-RETAIN, file [SYSLIB]TCPIP$ESNMP_SHR.EXE was not replaced because file from kit does not have higher generation number %PCSI-I-RETAIN, file [SYSLIB]UCX$ESNMP_SHR.EXE was not replaced because file from kit does not have higher generation number |
これらのメッセージは無視してかまいません。
2.7.2 SNMPインストレーションの検証
SNMPには,別個のインストレーション検証プロシージャ(IVP)があります。 SNMP のコンフィギュレーションを検証するには,以下の操作を行います。
$ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG |
$ RUN SYS$COMMON:[SYSTEST.TCPIP]TCPIP$SNMPIVP.EXE |
2.7.3 SNMP サブエージェントのスタートアップ・メッセージ
SNMP スタートアップ・プロシージャは,サブエージェント・ログ・ファイルに次のようなエラー・メッセージを出力することがあります。
25-JUL-2001 14:13:32.47 **ERROR ESNMP_INIT.C line 3777: Could not connect to master: connection refused 25-JUL-2001 14:13:32.94 WARNING OS_MIBS.C line 942: Master agent cannot be reached. Waiting to attempt reconnect. |
これらのメッセージは,タイミングの問題の結果であり,無視してかまいません。
2.8 TCP/IP Servicesメッセージ・データベースの設定
TCP/IP Servicesメッセージ・データベースは, TCP/IP Servicesをインストールしたときに, SYS$COMMON:[SYSHLP]TCPIP.MSGHLP$DATAにインストールされます。
TCP/IP メッセージに関する情報を取得するには,次のように,このデータベースをOpenVMSメッセージ・データベースに取り込みます。
$ DEFINE/SYSTEM MSGHLP$LIBRARY SYS$COMMON:[SYSHLP]*.MSGHLP$DATA |
$ HELP/MESSAGE FTP SESDCN, FTPD: Session disconnection from 'host' at 'time' Facility: TCPIP, FTP Server Explanation: This message appears when a session is disconnected, stating the name of the client initiating the disconnection and the time of the disconnection. User Action: None. Press RETURN to continue ... |
この例では,Help Messageは,メッセージIDの一部としてFTPを含んでいるすべてのメッセージを表示します。
2.9 SMTP と LPD のシャットダウンの問題のトラブルシューティング
SMTP または LPD のシャットダウンで,キュー・マネージャが実行されていないことを示すエラーが発生した場合には,サイト固有のシャットダウン・コマンド・プロシージャ (SYS$MANAGER:SYSHUTDWN.COM) をチェックしてください。このプロシージャがキュー・マネージャを停止するコマンド (STOP/QUEUE/MANAGER) を含んでいる場合には,このコマンドが TCPIP$SHUTDOWN.COM プロシージャの呼び出しの後に置かれていることを確認してください。
キュー・マネージャを明示的に停止する必要はありません。キュー・マネージャは自動的に停止され,システムの再起動の際に自動的に起動されます。 |
本章では,現在のバージョンの日本語 TCP/IP Services の問題点と制限事項について説明します。
3.1 チャネル割り当てからの TCP/IP デバイス名の判断
OpenVMS では,チャネル割り当てに基づいてデバイス名を判断する方法をいくつか提供しています。 SYS$GETDVI/SYS$GETDVIW システム・サービスを使用すると, DVI$_DEVNAM,DVI$_FULLDEVNAM,および DVI$_UNIT 項目のすべてがデバイスに関する情報を返します。最初の 2 つは完全なデバイス名を返しますが,DVI$_UNIT はデバイスのユニット番号だけを返します。完全なデバイス名を形成するには,プログラムでユニット番号の前に (文字列として) デバイス名とコントローラ情報を付加する必要があります。 TCP/IP デバイス名の場合は,文字列 BGまたは BGAを付加します。たとえば, BG + 1234でデバイス名 BG1234:が生成されます。
TCP/IP のデバイス名は将来のリリースで変更される可能性があります。プログラミング時には,DVI$_DEVNAM または DVI$_FULLDEVNAM 項目を使用して,完全なデバイス名の文字列を取得するのが良いでしょう。このようなプログラムは TCP/IP デバイス名が BGnnnn または BGA
nnnnであるという仮定に基づいていないため, TCP/IP デバイス名の方針が変更されても影響を受けることがありません。
3.2 RCP の完全に透過なコピー操作
OpenVMS の RCP は,テキスト・ファイルの転送に最もよく使用されます。省略時の設定では,RCP は,標準の OpenVMS $CONVERT ユーティリティを次の変換指定で使用して, Stream_LF 以外の OpenVMS の任意のファイル・タイプを Stream_LF フォーマットに変換します。
FILE;ORGA SEQU;RECO;CARR CARR;FORM STREAM_LF;SIZE 0;BLOCK YES |
すると,RCP は,ブロック・モード RMS ファイル I/O を使用して変換されたファイルを送信し (SYS$READ()),受信時には,ブロック・モードを使用してデータを書き込みます (SYS$WRITE())。
この動作は,RCP が (Stream_LF ファイルのほかに) Fixed または Undefined ファイルを変換しないように変更されています。
TCPIP$RCP_SEND_FIX_FORMAT_AS_ASCII 論理名を使用すると,古い動作に戻すことができます。この論理名が設定されている場合,Fixed および Undefined ファイルが変換されるという元の動作が復元されます。この論理名が 1 以外の数字に設定されている場合には,この論理名の値に正確に一致する固定長のレコード・サイズを持つファイルを除いて (これらのファイルは変換されません),元の動作が復元されます。
たとえば,この論理名を 512 と定義すると,レコード・サイズが固定長の 512 の Fixed ファイル (OpenVMS の実行可能イメージ・ファイルなど) を除いて,すべての Fixed および Undefined のファイルが変換されます。
受信ピアは,OpenVMS の場合,必ずタイプが Stream_LF のファイルを作成します。 RCP プロトコルでは,送信側と受信側との間でファイル・タイプ情報を転送する手段を提供していません。このため,受信ピアはファイル構造について知る方法がありません。
OpenVMS から OpenVMS への転送では,元のファイルが Fixed または Undefined で,変換されなかった場合,ユーザは,元のファイルのフォーマットに対応するように,コピーされた Stream_LF の属性を変更することができます。この操作は,DCL コマンドの SET FILE/ATTRIBUTES を使用して行うことができます。
たとえば,OpenVMS 実行可能イメージ・ファイル (レコード長が 512 バイトの Fixed) を転送した後,次のコマンドを入力してそのファイルを再度実行可能にします。
$ SET FILE/ATTR=(RFM:FIX,LRL:512) RCP-COPIED-FILE.EXE |
RCP には,ファイル・サイズの制限もあります。これは,RCP が Compaq C RTL (ランタイム・ライブラリ) に依存しているためです。 RCP プロトコルでは,プロトコルの一部として,送信されるファイルの長さを必要とします。長さは,符号付き 32 ビット整数として解釈されます。 OpenVMS では,ファイルの長さは, fstat()への Compaq C RTL 呼び出しを使用して判断されます。このため,RCP を使用して転送されるファイルは,2 GB - 1 バイト (2147483647 バイト) 未満でなければなりません。
これに比べ,FTP にはこのような制限は一切ありませんが,異なるセキュリティ・モデルを利用しています。
3.3 BIND Version 9 は VAX システムでは動作しない
新しい BIND Version 9 DNS サーバは VAX システム上では動作しません。 VAX システム上での BIND 8 の将来のサポートは限定される可能性があることに注意してください。 BIND サーバを VAX システム上で実行している場合には, Alpha システムへアップグレードした方がいいでしょう。
3.4 NFS の問題点と制限事項
以降の各項では,NFS の問題点と制限事項について説明します。
3.4.1 NFS サーバの問題点と制限事項
NFS サーバと NFS クライアントが異なるドメインにあるとき,修飾されていないホスト名が要求で使用されると,ロック・サーバ (LOCKD) は要求の受け入れに失敗し,ファイルはアンロックのままになります。
サーバが,完全に修飾されたホスト名 (たとえば, johnws.abc com) ではなく,修飾されていないホスト名 (たとえば, johnws) を使用してホストを検索しようとしたとき,ホストがサーバと同じドメインにない場合,その要求は失敗します。
このタイプの問題を解決するため,次のいずれかの処置を行うことができます。
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